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- 社会福祉士の資格内容や、取得までの流れをしっかり理解したい方
- 国家試験の概要や合格率、効果的な試験対策のポイントを知りたい方
- 社会福祉士として働ける職場や、具体的な業務内容に興味がある方
- 福祉分野でのキャリアアップを目指している方、または転職・就職を検討している方
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社会福祉士になるには?受験資格【ルート別】
社会福祉士になるには、厚生大臣が指定した指定試験機関である(財)社会福祉振興・試験センターが実施する「社会福祉士国家試験」に合格し、社会福祉士名簿への登録を行う必要があります。
そのためには、まず受験資格を得るためのルートを選び、必要な課程を修了する必要があります。
ここでは、代表的な3つのルート(福祉系大学、一般大学+養成施設、実務経験+養成施設)を中心に、資格取得までの全体の流れを整理します。
資格取得までの基本ステップ
社会福祉士になるには、次の3ステップを順に進める必要があります。
ステップ | 内容 |
---|---|
① 受験資格を得る | 学歴や実務経験に応じて、大学や養成施設で必要科目を修了 |
② 国家試験に合格する | 毎年2月実施、筆記試験形式(共通・専門科目) |
③ 登録手続きを行う | 社会福祉士名簿への登録(申請手数料必要) |
このように、受験資格の取得 → 国家試験 → 登録が一連の流れです。それぞれのルートによって必要な学歴・実務年数・修了課程が異なります。
資格取得ルートは大きく3種類
社会福祉士国家試験の受験資格を得るためのルートは、次の3つに分かれます。
- ① 福祉系大学・短大ルート
福祉系の大学・短大で、厚生労働大臣が指定する科目を履修・卒業すると、自動的に受験資格を得られます。
最も一般的で、現役学生が多く選ぶルートです。 - ② 一般大学+養成施設ルート
一般大学卒業後に「短期養成施設」(6か月以上)または「一般養成施設」(1年以上)で指定科目を修了すると受験資格が得られます。社会人の学び直しにも対応。 - ③ 実務経験+養成施設ルート
指定された相談援助業務に4年以上従事し、あわせて「一般養成施設」(1年以上)を修了すると受験資格を取得できます。現場経験を活かして資格を目指す方向けです。
受験資格を満たした後の流れ
受験資格を得たら、次のステップに進みます。
- 国家試験の申込(毎年9〜10月頃)
- 試験実施(毎年2月、全国25会場前後)
- 合格発表(毎年3月中旬)
- 登録申請(合格後に申請書を提出)
登録後、「社会福祉士」として名簿に記載され、正式に業務を行うことができます。
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社会福祉士の受験資格【ルート別】
社会福祉士国家試験を受験するには、学歴や実務経験に応じた受験資格を満たす必要があります。
受験資格は「福祉系大学・短大ルート」「一般大学+養成施設ルート」「実務経験+養成施設ルート」の3種類に大別されます。ここでは、それぞれの要件や特徴を詳しく見ていきましょう。
① 福祉系大学・短大ルート(もっとも一般的なルート)
福祉系の大学や短期大学で、厚生労働大臣が指定する社会福祉士養成課程を修了すると、卒業と同時に受験資格を得られます。
主な要件
- 福祉系大学(4年制)で指定科目を修了し卒業
- または、福祉系短大(2〜3年制)卒業+「一般養成施設」で1年以上修了
- 実務経験は不要
ポイント
- 最も多くの受験者が選択するルート
- 在学中から体系的に学べる
- 卒業と同時に受験資格を取得可能
項目 | 内容 |
---|---|
必要学歴 | 福祉系大学または短大 |
実務経験 | 不要 |
養成施設 | 不要(または短大の場合は追加で1年以上) |
取得までの目安期間 | 約4年(大学) |
② 一般大学+養成施設ルート(社会人にも人気)
福祉系以外の一般大学を卒業した人は、短期または一般養成施設で指定科目を履修すれば受験資格を得られます。
主な要件
- 一般大学を卒業(学士)
- 「短期養成施設」(6か月以上)または「一般養成施設」(1年以上)を修了
ポイント
- 社会人の学び直しやキャリアチェンジに適している
- 通信制・夜間課程を選択できる施設もあり、働きながらの学習が可能
項目 | 内容 |
---|---|
必要学歴 | 一般大学卒業(学士) |
実務経験 | 不要 |
養成施設 | 短期(6か月以上)または一般(1年以上) |
取得までの目安期間 | 約1〜1.5年 |
③ 実務経験+養成施設ルート(現場経験を活かす)
相談援助業務など、厚生労働省が定める相談援助実務に4年以上従事した場合、一般養成施設(1年以上)を修了すれば受験資格を得られます。
主な要件
- 指定された相談援助業務に4年以上従事
- 一般養成施設(1年以上)を修了
対象となる実務例
- 福祉事務所の査察指導員
- 児童福祉司
- 身体障害者・知的障害者福祉司
- 社会福祉主事任用資格者としての業務
項目 | 内容 |
---|---|
必要学歴 | 不問(ただし高卒以上が望ましい) |
実務経験 | 4年以上(指定業務) |
養成施設 | 一般養成施設(1年以上) |
取得までの目安期間 | 約5年以上 |
通信制・夜間課程の活用
社会人の場合、通学が難しいため通信制や夜間コースの養成施設を利用するケースも増えています。
特徴
- 学習は自宅中心+スクーリング数日
- 働きながら資格を目指せる
- 費用は30〜60万円前後
注意点
- 学習期間が長期化しやすい
- 実習科目は必須(免除対象外の場合あり)
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実務経験として認められる職種・認められない職種
社会福祉士国家試験の受験資格には、一定の「相談援助業務の実務経験」が求められる場合があります。実務として認められるのは、福祉事務所のケースワーカー、社会福祉施設の相談員、病院の医療ソーシャルワーカー、地域包括支援センターの相談員など、利用者に対する相談・助言・支援業務を行う職種です。
一方で、介護職員、事務職、支援員など、直接的な相談援助を主としない職種は対象外となる場合があります。
業務内容や雇用形態によって判断が異なるため、詳細は勤務先の証明書類や試験センターの「実務経験証明書記入要領」を確認することが重要です。
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社会福祉士の資格は働きながらでも資格取得できる?
社会福祉士は、働きながらでも取得可能な国家資格です。実際に、受験者の多くは福祉・介護・医療分野で勤務しながら学習を進めています。
通信制大学や夜間課程、通信講座を活用すれば、仕事と両立しながら必要な科目履修や受験対策を進めることができます。
また、短期養成施設や一般養成施設では、実務経験を活かした学習ルートも用意されています。計画的に時間を確保し、6か月〜1年程度の学習期間を設けることで、合格を目指すことが十分に可能です。
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社会福祉士国家試験の概要
社会福祉士の資格は、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)に基づく国家資格です。
社会福祉士国家試験は、相談援助に必要な知識・技術を問う筆記試験であり、厚生労働大臣の指定を受けた公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが実施・登録事務を担当しています。
ここでは、試験制度の目的や概要、2025年度(第38回)の試験日程・科目・申込情報を整理します。
試験制度の目的と位置づけ
社会福祉士国家試験は、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づき、以下の目的で実施されます。
法の目的(第1条)
社会福祉士及び介護福祉士の資格を定めて、その業務の適正を図り、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。
社会福祉士の業務内容(法第2条)
- 身体的・精神的な障害、または環境的要因により生活に困難を抱える人の相談・助言・支援
- 福祉サービスの提供
- 医師や他職種との連携・調整
- 権利擁護や社会資源の活用支援
このため、国家試験では専門知識・倫理・ソーシャルワーク実践能力などが幅広く問われます。
第38回(令和7年度)社会福祉士国家試験の実施概要
項目 | 内容 |
---|---|
試験日 | 令和8年2月1日(日) |
試験方式 | 筆記試験(午前・午後) |
試験地 | 全国24会場(北海道〜沖縄) |
申込期間 | 令和7年9月4日(木)〜10月3日(金) |
合格発表 | 令和8年3月3日(火)/結果通知は3月6日発送 |
受験手数料 | 19,370円(社会福祉士のみ受験の場合) |
試験機関 | 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター |
試験科目と時間割
試験は午前・午後に分かれ、共通科目・専門科目を中心に構成されます。障がい等に応じた時間延長措置もあります。
時間帯 | 科目区分 | 主な出題内容 |
---|---|---|
午前(10:00〜12:20) | 共通科目 | 医学概論/心理学と心理的支援/社会学と社会システム/社会福祉の原理と政策/社会保障/権利擁護法制度/地域福祉/障害者福祉/刑事司法と福祉/ソーシャルワーク基盤・理論/社会福祉調査基礎 |
午後(14:10〜15:35) | 専門科目 | 高齢者福祉/児童・家庭福祉/貧困対策/保健医療と福祉/ソーシャルワーク実践/福祉サービスの組織と経営 |
合計6科目群・19科目から129問が出題され、1問1点の筆記試験として実施されます。
受験手続きと支払い方法
受験申込は、インターネット申込または郵送申込のいずれかで行います。
- インターネット申込:専用サイトから登録し、受験料をクレジットカードまたはコンビニ払いで決済
- 郵送申込:『受験の手引』を取り寄せ、必要書類と払込受領証を添付し、期日までに簡易書留で送付
- 受付期限:令和7年10月3日(金)必着(消印有効)
※支払期限を過ぎると申込は無効となります。
※初めての受験者は、必ず『受験の手引』の請求が必要です。
合格後の登録手続き
試験合格者は、社会福祉振興・試験センターに登録申請書を提出し、「社会福祉士名簿」に登録されて初めて資格が付与されます。
項目 | 内容 |
---|---|
登録先 | 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター |
必要書類 | 登録申請書・証明書類・登録免許税支払い証明等 |
登録免許税 | 15,000円(国家資格共通) |
登録完了後 | 「社会福祉士登録証」が交付され、業務に従事可能に |
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社会福祉士を得るために必要な費用
社会福祉士の資格取得には、受験資格を満たすための学習費用と、国家試験の受験・登録費用が必要です。
進学ルートによって負担額は大きく異なり、大学課程では学費が中心、実務経験ルートでは養成施設の受講費が主となります。ここでは代表的なルート別に必要な費用の目安を整理します。
ルート | 主な内訳 | 費用目安 |
---|---|---|
福祉系大学(4年制) | 学費・教材費・国家試験受験料・登録料 | 約400〜500万円(4年間) |
一般大学卒+養成施設 | 養成施設学費・受験料・登録料 | 約80〜150万円(1年課程) |
実務経験+養成施設(6か月〜1年) | 養成施設受講料・受験料・登録料 | 約50〜100万円 |
国家試験受験料 | 試験センターへ納付 | 19,370円(税込) |
登録免許税・登録手数料 | 合格後の登録手続き | 15,000円 |
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社会福祉士の難易度・合格率は?
社会福祉士国家試験は、出題範囲が広く、合格率も約30%前後とされる難関国家資格です。
ここでは、過去の受験者・合格者数の推移、合格基準について紹介します。
社会福祉士国家試験の合格率は近年50%前後に上昇
社会福祉士国家試験は、例年3〜5万人前後が受験する大規模国家試験です。以前は合格率30%前後で推移していましたが、近年は50%前後に上昇しており、制度改正や受験者層の変化が影響していると考えられます。
回次 | 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
第35回 | 令和4年度 | 36,974人 | 16,338人 | 44.2% |
第36回 | 令和5年度 | 34,539人 | 20,050人 | 58.1% |
第37回 | 令和6年度 | 27,616人 | 15,561人 | 56.3% |
第1回〜第37回までの累計受験者数は約108万人、累計合格者が約32万人で、平均合格率は30.2%ですが、直近数年は50%前後と高水準を維持しています。
これは、受験者数の減少や、受験資格制度の成熟により、受験者の学習意識が高まっていることが一因とされています。
合格基準は「総得点の60%前後+6科目群での得点」
社会福祉士国家試験では、単に得点が高ければ合格できるわけではありません。
総合得点と科目群別の得点という2つの基準を満たす必要があります。この「二重基準」により、幅広い分野をバランスよく理解しているかが評価されます。
以下の表で具体的な条件を確認しましょう。
合格条件 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
① 総得点基準 | 129点満点中 約77点以上(総得点の60%程度) | 問題の難易度により補正される(年度により変動) |
② 科目群別基準 | 6科目群すべてで得点があること | 共通科目免除者は2科目群で得点が必要 |
出典:令和 6 年度(第 37 回試験)から適用する 社会福祉士試験科目別出題基準 (予定版)
試験は19科目にわたる広範な範囲から出題されますが、合格には6つの科目すべてで1問以上正答していることが求められます。
つまり、特定分野に偏った学習では不合格になるリスクがあります。以下の表で、6科目群に含まれる具体的な科目を確認しましょう。
科目群 | 該当科目 |
---|---|
① | 医学概論/心理学と心理的支援/社会学と社会システム |
② | 社会福祉の原理と政策/社会保障/権利擁護を支える法制度 |
③ | 地域福祉と包括的支援体制/障害者福祉/刑事司法と福祉 |
④ | ソーシャルワークの基盤と専門職/ソーシャルワークの理論と方法/社会福祉調査の基礎 |
⑤ | 高齢者福祉/児童・家庭福祉/貧困に対する支援/保健医療と福祉 |
⑥ | ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)/ソーシャルワークの理論と方法(専門)/福祉サービスの組織と経営 |
難易度の特徴(範囲の広さと横断的理解が必要)
社会福祉士試験の難易度を高めている主な要因は以下のとおりです。
- 出題科目が19科目と非常に広範囲
- 法制度・社会保障・心理学など複数分野を横断
- ソーシャルワーク実践や倫理的判断など応用力が問われる
- 選択肢が5肢択一で、微妙な正誤を判断する問題が多い
そのため、単なる暗記ではなく、体系的な理解と過去問演習が不可欠です。
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社会福祉士の資格取得におすすめの勉強方法は?
ここでは、社会福祉士国家試験の合格を目指すうえで効果的な勉強方法を紹介します。
独学・通信講座・通学講座の特徴を比較し、自分のライフスタイルに合った学習法を選ぶことが重要です。忙しい社会人でも継続できる勉強計画の立て方も解説します。
合格に必要な勉強時間の目安
合格者の多くは、600〜1,000時間程度の学習を行っているといわれています。
これは資格学校や通信講座の推奨時間に基づいた目安で、働きながら受験する社会人の場合、6か月〜1年の学習期間を確保する傾向にあります。
学習スタイル | 学習期間 | 総学習時間 | 特徴 |
---|---|---|---|
通信講座 | 6〜12か月 | 600〜800時間 | カリキュラムが体系化され、管理しやすい |
独学 | 8〜12か月 | 700〜1,000時間 | 自己管理力と計画性が必要 |
通学講座 | 4〜8か月 | 500〜700時間 | 講師の直接指導が受けられる |
合格を目指すための学習ポイント
- 過去5年分の過去問分析(出題傾向を把握)
- 法改正・制度変更への対応(社会保障・福祉政策)
- 得点源科目の優先学習(ソーシャルワーク、社会保障)
- 模試・総合問題で実践力養成
社会福祉士試験は、知識の暗記だけでなく、「人の生活と権利を支える専門家」としての総合力が問われます。
長期的な学習計画を立て、体系的に知識を積み重ねることが合格への近道です。
出典: 社会福祉士国家試験科目別出題基準
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社会福祉士の仕事内容
ここでは、社会福祉士の具体的な仕事内容を紹介します。社会福祉士は、生活上の困難を抱える人に対し、相談・助言・支援を行う専門職です。
福祉・医療・教育など幅広い分野で活躍し、関係機関との連携や支援計画の立案など、多面的な役割が求められます。
社会福祉士の主な業務内容(相談援助の専門職)
社会福祉士は、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づき、相談援助の専門職として位置づけられています。主な業務は以下のとおりです。
- 福祉に関する相談対応・アセスメント
- 利用者への助言・支援計画の立案
- 関係機関との連携・調整(医療、行政、教育など)
- 権利擁護の支援(成年後見制度の活用など)
- 福祉サービスの提供・利用支援
利用者の課題を把握し、自立に向けた支援を行うことが目的であり、生活・心理・法制度・社会資源の知識を統合的に活用することが求められます。
活躍できる職場・領域(多様なフィールド)
社会福祉士は、相談援助を必要とするあらゆる場面で活躍します。代表的な勤務先と業務内容は以下の通りです。
分野 | 勤務先 | 主な業務内容 |
---|---|---|
行政 | 福祉事務所・自治体 | 生活保護や福祉制度の相談・支援 |
医療 | 病院・医療機関 | 医療ソーシャルワーカーとして退院支援・相談 |
高齢者 | 地域包括支援センター | 介護予防支援、サービス調整 |
障害者 | 障害者支援施設 | 生活支援・就労支援の相談 |
児童家庭 | 児童相談所・家庭支援センター | 虐待対応、家庭支援、養育相談 |
このように、多様な現場で「相談・調整・支援」の中心的役割を担います。
社会福祉士の役割(総合的な支援と連携)
社会福祉士の役割は、単に制度を案内するだけではなく、個々の課題に寄り添い、最適な支援をコーディネートすることです。
- 利用者の課題分析と支援計画の作成
- サービス提供者や家族との連携
- 地域資源の活用と制度調整
- 倫理的判断や権利擁護の実践
特に、高齢者・障害者・児童・貧困など多様な課題に対応するため、横断的な視点とソーシャルワークの専門知識が求められます。
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社会福祉士の主な就職先・働き方
社会福祉士は、国家資格に基づく専門職として、多様な分野で相談援助や支援を担います。
働く場所は、行政機関、医療機関、福祉施設、地域包括支援センターなど幅広く、それぞれで求められる役割も異なります。ここでは、代表的な就職先と業務内容を整理します。
行政機関(公務員)
地方自治体の「福祉事務所」や「市区町村役場」などに勤務し、公務員(社会福祉職)として住民支援を行います。
項目 | 内容 |
---|---|
主な業務内容 | ・生活保護や福祉サービスの相談 ・申請支援 ・高齢者、障がい者、子育て世帯への総合的支援 ・権利擁護や虐待防止の相談窓口対応 |
特徴 | ・正職員採用が多く、安定した待遇 ・行政の一員として社会的影響力が大きく、地域福祉の中核を担う |
主な職種例 | 福祉事務所職員、ケースワーカー、児童福祉司、障害福祉相談員 |
医療機関(病院・クリニック)
社会福祉士は、病院や医療センターなどでも活躍します。
医療ソーシャルワーカー(MSW)として、入退院支援や転院調整、医療費や介護保険制度の案内などを行い、患者と医療・地域をつなぐ重要な役割を担います。
項目 | 内容 |
---|---|
主な業務内容 | ・入院・退院支援、転院調整 ・医療費や介護保険などの制度活用支援 ・家族への心理的・社会的支援 |
特徴 | ・患者と医療・介護 ・地域をつなぐコーディネーター ・チーム医療の一員として活動 |
活躍の場 | 総合病院、精神科病院、地域包括ケア病棟 など |
福祉施設・社会福祉法人
高齢者施設や障がい者支援施設、児童福祉施設などで働く社会福祉士の仕事内容を紹介します。
利用者や家族の相談支援を中心に、サービス調整や関係機関との連携など、生活全体を支える支援が求められます。
項目 | 内容 |
---|---|
主な業務内容 | ・サービス利用調整 ・ケアプラン作成補助 ・利用者や家族の相談支援 ・関係機関との連携・調整 |
代表的な勤務先 | 特別養護老人ホーム(特養)、障がい者支援施設、児童養護施設、更生保護施設 など |
出典:福祉ソーシャルワーカー - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典:社会福祉士
地域包括支援センター・社会福祉協議会
ここでは、地域福祉を推進する拠点である地域包括支援センターや社会福祉協議会での役割を紹介します。
高齢者の生活支援や介護予防、権利擁護など、地域に根ざした支援を通じて包括的な福祉体制を支えます。
項目 | 内容 |
---|---|
主な業務内容 | ・高齢者の生活支援や介護予防支援 ・権利擁護・成年後見制度の普及啓発 ・住民・ボランティアとの地域ネットワーク構築 |
特徴 | ・行政・医療・地域団体との調整が中心 ・現場経験とコミュニティ支援スキルが求められる |
企業・教育・司法分野など
ここでは、企業・教育機関・司法など新しい領域で活躍する社会福祉士の仕事内容を解説します。スクールソーシャルワーカーや更生支援職など、社会課題の多様化に応じて活躍の幅が広がっています。
項目 | 内容 |
---|---|
具体例 | ・企業の福利厚生・人事部門(従業員支援) ・学校現場でのスクールソーシャルワーカー ・家庭裁判所調査官補など司法領域 |
特徴 | ・社会的課題の多様化に伴い、福祉専門職への需要が拡大 ・福祉 × 他分野のハイブリッドキャリアが可能 |
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社会福祉士の働き方と雇用形態
ここでは、社会福祉士として働く際の雇用形態や勤務スタイルを紹介します。
社会福祉士は、公務員や民間施設職員、医療機関スタッフなど多様な立場で活躍しており、正職員・契約職員・非常勤などの選択肢があります。勤務先によって働き方や待遇も異なります。
正職員(常勤職員)としての働き方
社会福祉士の多くは、正職員(常勤職員)として採用されます。行政の福祉職、公立・私立病院、社会福祉法人などでは、安定した雇用と昇給制度が整っています。
- フルタイム勤務(週5日・月給制)
- 社会保険・退職金・賞与などの福利厚生あり
- 長期的なキャリア形成が可能
特に自治体の福祉職採用では、地方公務員(福祉職)として勤務し、生活保護や児童福祉など地域の福祉行政に携わります。
契約職員・非常勤職員
社会福祉協議会や地域包括支援センター、医療機関などでは、契約職員や非常勤職員として採用されるケースもあります。
- 契約期間が定められ、更新制の場合が多い
- 勤務日数・時間を柔軟に設定できる
- 子育てや副業との両立がしやすい
経験を積みながら、将来的に常勤登用を目指す方も少なくありません。
非常勤・パート勤務・嘱託職員
施設や団体によっては、非常勤・パート勤務・嘱託職員として働く選択肢もあります。
- 週2〜3日勤務など柔軟な働き方
- 相談業務や訪問支援など特定業務を担当
- 定年後や資格取得直後のキャリア形成にも適している
ライフスタイルに合わせて無理なく働ける点が魅力です。
独立・フリーランスとしての働き方
一部の社会福祉士は、相談業務や研修講師、コンサルタントとして独立するケースもあります。
- 成年後見人・社会福祉士事務所の設立
- NPO法人・一般社団法人での活動
- 専門分野に特化した講師・執筆・研究
ただし、安定収入を得るにはネットワーク構築や専門性の発信が不可欠です。行政・医療・福祉機関との連携力も重要なスキルとなります。
出典:ソーシャルワーク専門職である 社会福祉士のソーシャルワーク機能の 実態把握と課題分析に関
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社会福祉士の平均年収・待遇
ここでは、厚生労働省の職業情報(Jobtag)を基に、職域別の年収・求人月額の相場を一覧化します。
社会福祉士が担う実務に近い分類で整理し、進路検討や年収交渉の目安として活用できるようにしました。数値は統計上の平均で、地域・経験・法人規模・手当で上下します。
働き方(職域) | 代表的な呼称 | 平均年収 | 求人月額の目安 |
---|---|---|---|
福祉分野の相談援助(福祉相談・指導専門員) | 福祉ソーシャルワーカー/ケースワーカー 等 | 約441万円 | 23.3万円 |
医療機関の相談援助(その他の福祉・介護の専門的職業) | 医療ソーシャルワーカー(MSW) 等 | 約441万円 | 23.5万円 |
老人福祉施設の相談援助(老人福祉施設指導専門員) | 生活相談員/支援相談員 等 | 約441万円 | 23.6万円 |
数値は「社会福祉士を含む職業分類」の全国平均であり、自治体給与や病院規模、夜間待機の有無、資格手当等で差が出ます。
応募時は就業規則と賃金規定、賞与実績、各種手当と昇給制度、処遇改善加算の反映有無を必ず確認しましょう。
出典:福祉ソーシャルワーカー - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
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社会福祉士に向いている人の特徴
ここでは、社会福祉士として活躍しやすい人の特徴を紹介します。社会福祉士は、相談援助を通じて人々の生活課題を解決に導く専門職です。
対人支援の資質や専門的思考力、チーム連携能力が求められます。自分の強みや適性を理解することで、長くやりがいを持って働けます。
人の話を丁寧に聞き、共感できる人
社会福祉士は、利用者の悩みや背景を丁寧に受け止め、最適な支援を設計します。そのため、「傾聴力」「共感力」「信頼関係の構築力」が重要です。
感情的にならず、相手の立場に立って考えられる人は、相談援助の現場で大きな強みを発揮できます。
制度や法律を理解し、論理的に考えられる人
社会福祉士の支援には、社会保障制度・介護保険・権利擁護制度など法制度の理解が欠かせません。
複雑な制度を整理し、客観的に判断できる論理的思考力を持つ人は、行政や医療、司法の現場でも信頼されます。
チームでの連携を大切にできる人
社会福祉士は、医師・看護師・行政職員・地域団体など多職種と協働します。
調整力・コミュニケーション力・柔軟な対応力がある人は、チームの中で中心的役割を担いやすく、より大きな支援を実現できます。
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社会福祉士の資格取得後のキャリアパス
ここでは、社会福祉士の資格取得後に目指せるキャリアパスを紹介します。
福祉分野にとどまらず、医療・教育・行政・企業など多様な進路があり、経験や専門性を積み重ねることで管理職・専門職・独立など多彩な働き方が可能です。
行政職・公務員としてのキャリア
地方自治体の福祉職員やケースワーカーとして採用され、生活保護・児童福祉・障害福祉などの行政業務を担います。
公務員として安定した雇用とキャリア形成が可能で、将来的には係長・課長など管理職への昇進も期待できます。
医療・福祉分野での専門職キャリア
医療機関では医療ソーシャルワーカー、福祉施設では生活相談員として活躍します。
現場経験を積みながら、主任相談員や施設長などへの昇格、または専門特化(高齢・障害・児童など)によるキャリアアップが可能です。
教育・研究・研修分野での活躍
大学や専門学校での教員・講師として、次世代の福祉専門職を育成する道もあります。
また、行政・法人向けの研修講師や研究職として、政策立案や福祉制度の改善に携わることも可能です。
独立・NPO・フリーランスとしての活動
成年後見制度の支援、福祉コンサルティング、地域福祉NPOの設立など、独立して活動する社会福祉士も増えています。
専門分野を確立し、地域や社会課題に直接アプローチするキャリアも選択肢の一つです。

まとめ
社会福祉士になるには、厚生労働省が定める受験ルートを経て、国家試験に合格・登録する必要があります。
試験は19科目・129問と広範囲で、合格率は約30〜50%前後。出題範囲が広く、体系的な理解が求められるため、600〜1,000時間の学習が目安です。
資格取得後は、行政機関・医療機関・福祉施設・地域包括支援センターなど多様な職場で活躍でき、社会的貢献度が高い職業です。
キャリアアップや社会貢献を目指す方にとって、長期的に安定して働ける有望な資格といえるでしょう。
よくある質問
Q.社会福祉士の資格を取るにはどうすればいいですか?
社会福祉士国家試験の受験資格を満たし、試験に合格したうえで登録を行う必要があります。
受験資格は、①福祉系大学などの所定課程修了、②一般大学+養成施設修了、③実務経験+養成施設修了などのルートがあります。合格後は、登録申請を経て資格が付与されます。
Q.社会福祉士は誰でも受けられる資格ですか?
誰でも受験できるわけではなく、法律で定められた受験資格を満たす必要があります。主なルートとして、「福祉系大学卒業」「一般大学+養成施設修了」「実務経験+養成施設修了」が挙げられます。
Q.社会福祉士になるには最短何年かかりますか?
最短ルートは、福祉系大学(4年制)で指定科目を修了し、卒業後に国家試験を受験・合格する4年間です。一般大学卒業者は、さらに1〜2年制の養成施設を修了する必要があり、合計5〜6年程度かかります。
また、実務経験ルートでは、相談援助業務で3年以上の実務経験を積み、6か月以上の短期養成施設を修了することで受験資格を得られます。
学歴や経験により必要年数は異なりますが、いずれのルートも計画的な学習と資格課程の履修が不可欠です。
Q.社会福祉士は独学で取れますか?
独学でも受験は可能ですが、受験資格を満たすための課程修了が必須です。そのため、大学や養成施設での履修を経ない独学のみでは受験できません。
試験対策は独学でも可能ですが、範囲が広いため通信講座や過去問活用が効果的です。
Q.文系・未経験でも社会福祉士になれますか?
文系・未経験でも受験資格を満たせば受験可能です。一般大学卒業後に指定の養成施設(1〜2年制)を修了することで受験資格を取得できます。 また、社会人経験者も実務経験+養成課程修了で受験可能です。
Q.社会福祉士は独学で合格できますか?
合格は可能ですが、試験範囲が19科目・129問と広く、体系的な学習が必要です。独学では過去問や公式テキストを活用し、6か月〜1年の学習期間を設けることが推奨されます。効率的な対策には通信講座や模試の併用も効果的です。
Q.社会福祉士の合格後の登録手続きはありますか?
合格後、社会福祉振興・試験センターに「登録申請書」を提出する必要があります。申請には、登録免許税(15,000円)と必要書類が必要です。
登録完了後、「社会福祉士登録証」が交付されます。登録を行わなければ、名乗って業務に従事することはできません。
Q.社会福祉士国家試験の最新の合格率はどれくらいですか?
直近の年度(令和7年度実施)の全国平均合格率は約35%前後です。受験者数や出題傾向の変化により年によって上下します。
Q.社会福祉士の国家試験の合格率の年度別推移にはどのような特徴がありますか?
ここ数年、社会福祉士の国家試験の合格率は30%台前半で推移しています。試験問題の難易度調整や受験者層の増減によって、数ポイントの変動が見られます。
Q.社会福祉士の国家試験の合格率は都道府県によって差はありますか?
都道府県別の合格率は、受験者数や学習環境の違いから数%程度の差が生じることがあります。ただし、大きく逸脱するケースは少なく、全国平均と大きく乖離しません。
Q.社会福祉士国家試験の合格率は大学別に差がありますか?
大学別の合格率には一定の差があります。特に福祉系の専門教育を行う大学や専攻では、全国平均を上回る傾向があり、実習・試験対策支援が充実している学校では合格率が高くなることが多いです。
Q.社会福祉士国家試験の勉強方法はどのようなものが効果的ですか?
過去問の活用と出題傾向の分析が基本です。加えて、模試や直前対策講座を活用し、苦手分野を明確にして重点的に学習する方法が効果的です。
Q.社会福祉士試験の合格率が学校の種類(大学・専門学校)によって変わるのはなぜですか?
実習サポートの充実度や国家試験対策カリキュラムの有無、教員による試験支援の手厚さなどが学校ごとの合格率の差につながります。
Q. 社会福祉士の合格後のキャリアパスはどのようになりますか?
合格後は医療・福祉施設、行政機関、学校、企業など幅広い分野で相談支援業務に従事できます。経験を積むことで主任相談員や管理職、ケアマネジャーなど上位資格への道も開かれます。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
