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通所リハビリテーション(デイケア)を正しく理解したいどんなリハビリ内容や支援が受けられるのか知りたい方
デイサービス(通所介護)との違いを知りたいどちらを利用すべきか迷っている方
家族の介護や自分の将来に備えたい機能回復や生活の質を高める方法を検討している方

通所リハビリテーション(デイケア)とは?
通所リハビリテーション(デイケア)とは、要介護認定を受けた方が老人保健施設や病院、診療所などに日帰りで通い、専門職による機能訓練や日常生活支援を受けられる介護保険サービスです。
通所リハビリテーション(デイケア)は、医師の指示書に基づき、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などの専門職が心身機能の回復を支援します。
デイサービス(通所介護)と異なり、医療的リハビリを中心に行う点が特徴で、退院後の在宅復帰支援や生活機能維持を目的に利用されます。
出典:通所リハビリテーション(デイケア)とは | 健康長寿ネット
出典:通所リハビリテーション|厚生労働省
出典:どんなサービスがあるの? 通所リハビリテーション(デイケア)
通所リハビリテーション(デイケア)の基本概要
通所リハビリテーション(デイケア)は、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門職が在籍する医療的な通所系サービスです。
主治医の指示書に基づき、心身機能の維持・回復を目的としたリハビリテーションを行います。食事・入浴・口腔機能訓練など、日常生活に必要な支援を受けることが可能です。
また、通所リハビリテーション(デイケア)は要介護者が対象ですが、要支援の方には「介護予防通所リハビリテーション」として同様の支援が提供されます。これにより、在宅生活の継続と要介護状態の悪化防止を図ることができるでしょう。
どんな施設で受けられるのか(病院・老健・診療所など)
通所リハビリテーション(デイケア)は、主に介護老人保健施設(老健)、病院、診療所、介護医療院などに併設された施設で提供されます。
これらの施設では、医療と介護の両面から支援が行われ、主治医の指示に沿って個別または集団での訓練を受けられます。
施設によって、設備や訓練内容、リハビリ機器の種類、入浴設備の有無などが異なります。
そのため、ケアマネジャーを通じて複数施設を比較・見学し、自身の状態や希望に適した環境を選ぶことが大切です。利用前に、主治医と回復見通しや負担の程度を確認しておくことも推奨されます。
主治医の指示に基づく専門的リハビリテーション
通所リハビリテーション(デイケア)で行われるリハビリは、すべて主治医の指示書に基づいて実施されます。
利用者の病状や身体機能、生活環境に応じて、理学療法(歩行訓練・バランス訓練など)や作業療法(食事・着替え動作など)、言語聴覚療法(嚥下・発話訓練など)が組み合わせられます。
また、健康状態の維持や再発予防を目的に、血圧・体温・脈拍の測定や服薬確認などを行う点も大きな特徴です。
リハビリ計画は定期的に見直され、必要に応じて目標が調整される仕組みです。こうした医療的支援により、在宅生活での自立度を高めることが目指されています。

通所リハビリテーション(デイケア)の目的と役割
通所リハビリテーション(デイケア)は、利用者の心身機能を維持・回復し、在宅生活を続けられるよう支援することを目的としています。
リハビリテーションを通じて生活動作を取り戻し、社会的なつながりや生きがいの維持にもつなげていきます。
身体機能・生活動作の維持と回復
通所リハビリテーション(デイケア)の主な目的は、病気や加齢によって低下した身体機能や日常生活動作(ADL)の維持・回復です。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが個別の目標を設定し、歩行訓練や関節可動域の改善、嚥下機能の訓練などを行います。
また、退院直後など体力や動作能力が不十分な時期にも継続的な支援で再発防止や機能回復が期待できます。
これにより、入院や施設入所を防ぎ、在宅での自立生活を維持しやすくなるでしょう。
退院後や機能低下後の在宅リハビリ支援
通所リハビリテーション(デイケア)は、退院直後や病気・骨折などで体力が低下した方の「在宅復帰支援」の役割も担っています。医療機関でのリハビリを終えた後でも、定期的な通所によりリハビリを継続できる仕組みです。
専門職が生活環境を考慮して、自宅での動作訓練(階段昇降・トイレ動作など)を想定したリハビリを計画します。
また、主治医やケアマネジャーと連携し、身体機能の変化に応じてプログラムを調整します。こうした連携型リハビリは、再入院の防止と在宅での生活安定に大きく寄与しています。
介護者の負担軽減と社会参加の促進
通所リハビリテーション(デイケア)は、利用者本人だけでなく、介護する家族への支援効果も見込めます。
利用者が日中を施設で過ごすことで、介護者の身体的・精神的な負担を和らげる「レスパイトケア(介護者の休息支援)」としての側面があります。
また、通所リハビリテーション(デイケア)ではリハビリ以外にも、他の利用者との交流やレクリエーションを通じて社会的孤立の防止に役立ちます。
人との関わりが増えることで、心の活性化や生活意欲の向上が見込まれ、利用者のQOL(生活の質)の向上にもつながるでしょう。

通所リハビリテーション(デイケア)の対象者
通所リハビリテーション(デイケア)は、介護保険で「要介護1〜5」に認定された方が利用できます。
要支援1・2の方は「介護予防通所リハビリテーション」として同様の支援を受けられます。医師の指示書をもとに、心身機能の維持・回復を目的としたリハビリが行われます。
要介護認定を受けた方が対象
対象区分の概要
- 要介護1〜5:通所リハビリテーション(デイケア)の利用が可能
- 要支援1・2:介護予防通所リハビリテーションを利用
- 医師の指示書:個別リハビリの内容を決定する必須書類
通所リハビリテーション(デイケア)は、介護保険制度の「要介護1〜5」に認定された方が対象です。対象者は、自宅での生活を基本としながら、必要な医療的ケアや機能訓練を受けることで、自立生活を継続することを目指します。
利用にあたっては、主治医の指示書に基づいてリハビリ計画が立てられ、理学療法士や作業療法士などの専門職が支援します。
入浴・食事などの日常生活支援も含まれるため、在宅での生活機能維持に役立ちます。こうした支援は、介護予防や寝たきり防止にもつながります。
要支援の方は「介護予防通所リハビリテーション」を利用
要支援1または2と認定された方は、「介護予防通所リハビリテーション」を利用できます。これは、介護状態への進行を防ぎ、自立した生活を維持するためのリハビリサービスです。主な内容は以下のとおりです。
- 軽度の身体機能低下や筋力低下への対応
- 転倒予防やバランス機能の改善
- 口腔機能の維持・改善
- 生活習慣病による身体機能の低下防止
週1〜2回の通所で、個別訓練や集団体操を行い、在宅での生活機能を維持することを目指します。
要支援者の場合も、医師やケアマネジャーと連携し、無理のない範囲で継続的な支援が行われます。
主治医の指示書・意見書が必要
通所リハビリテーション利用時に関連する医師の書類は以下の2種類です。
①主治医意見書(要介護認定申請時):市区町村が審査に使用する書類で、市区町村が主治医に直接依頼するため利用者の準備は不要。
②リハビリテーション指示(サービス利用時):通所リハビリテーション事業所の医師が、具体的なリハビリ内容を決定するために行う指示。事業所の医師による指示に基づいてリハビリ計画が立てられます。
これらの情報に基づいて、施設のリハビリ専門職が個別の支援計画(通所リハビリテーション計画書)を立てます。
医療と介護の連携が前提となるため、医師・ケアマネジャー・リハビリ専門職が協力して支援内容を調整します。特に退院直後や慢性疾患を持つ方は、医師の指示に基づいた適切なリハビリが、再発防止や機能回復の鍵を握ります。
※要介護認定の申請時には「主治医意見書」が別途必要ですが、これは市区町村が主治医に依頼するもので、利用者が直接準備する書類ではありません。
出典:通所リハビリテーション|厚生労働省
出典:「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」第111条|厚生労働省

通所リハビリテーション(デイケア)で受けられるサービス内容
通所リハビリテーション(デイケア)では、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などによる専門的な機能訓練に加え、入浴・食事・口腔ケア・健康チェックなどの生活支援が受けられます。
身体機能の維持・回復を中心に、在宅生活を続けるための総合的な支援が行われます。
専門職による個別リハビリ(PT・OT・ST)
通所リハビリテーション(デイケア)では、医師の指示に基づき、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)が利用者ごとに計画を立ててリハビリを行います。
理学療法では歩行・バランス訓練や筋力向上、作業療法では食事・更衣などの日常動作の改善、言語聴覚療法では嚥下機能や発声訓練が実施されることが特徴です。
利用者の身体状態や目標に合わせて、個別・集団リハビリのどちらかが選ばれます。
専門職が連携して訓練内容を調整することで、機能回復と生活の質の向上が期待されます。
健康チェック・服薬管理・医療的ケア
通所リハビリテーション(デイケア)では、日々の健康状態を確認するために、血圧・体温・脈拍などのバイタルチェックを行います。
看護師や准看護師が常駐しており、服薬管理や医師への報告体制が整っています。
また、持病や慢性疾患を持つ方には、医療的なケアや必要時の応急対応も行われます。定期的な健康モニタリングにより、体調変化の早期発見・再発予防が可能です。
こうした医療と介護の連携が、通所リハビリテーションの大きな特徴です。
日常生活支援(食事・入浴・送迎など)
通所リハビリテーション(デイケア)では、リハビリだけでなく、日常生活を支える基本的な支援も提供されます。
昼食の提供や入浴介助、排泄支援、送迎サービスなどがあり、自宅での生活リズムを整える一助となります。
とくに入浴支援では、身体状態に応じて機械浴・個浴などを選択でき、清潔保持や血行促進の効果も期待できるでしょう。
送迎サービスは基本報酬に含まれています。ただし、事業所が送迎を行わない場合(利用者自身や家族が送迎する場合など)は、片道につき47単位の減算があります。
集団リハビリと個別リハビリの違い
通所リハビリテーション(デイケア)では、「集団リハビリ」と「個別リハビリ」の2つの形態があります。
集団リハビリは、複数人で体操やレクリエーションを行うもので、楽しみながら筋力維持や社会的交流を促進します。一方、個別リハビリは、利用者の身体状態に合わせて専門職がマンツーマンで行う訓練です。
どちらも目的は生活機能の維持・向上ですが、個別リハビリはより専門的で細やかな対応ができます。
施設によって比重が異なるため、希望や目標に応じて内容を確認しておくことが大切です。

通所リハビリテーション(デイケア)の職員体制
通所リハビリテーション(デイケア)には、医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・介護職員など、医療と介護の専門職が連携して配置されています。
利用者一人ひとりの心身状態に合わせた支援体制を整え、継続的なリハビリと健康管理を行います。
医師・リハビリ専門職によるチーム支援
通所リハビリテーション(デイケア)事業所には、医師をはじめ理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)が配置されています。
医師は主治医の指示に基づき、利用者の病状や回復状況を確認し、リハビリ計画の医学的妥当性を監修します。
リハビリ専門職は、機能訓練の実施や進捗の評価を担当し、必要に応じてプログラムを調整することが特徴です。
こうした多職種連携により、単なる運動訓練にとどまらず、在宅での生活動作や社会参加を見据えた支援が行われます。
【法定配置基準】
医師:専任1名以上(非常勤可)
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士:適当数(利用者数に応じて配置)
看護職員:専ら当該指定通所リハビリテーションの提供に当たる看護師または准看護師を適当数配置
介護職員:利用者数に応じて適当数配置
※「適当数」とは、提供するサービス量や利用者の状態に応じた人員を指します。
看護師・介護職員による健康管理と介助支援
通所リハビリテーション(デイケア)では、看護師または准看護師が常駐し、血圧測定や体調チェック、服薬管理、医療処置の補助などを行います。
体調に変化が見られた際は、医師や家族、ケアマネジャーへ迅速に情報を共有し、早期対応を図ります。
介護職員は、食事・入浴・移動などの日常生活動作を支援し、リハビリで培った成果を生活の中で活かせるようサポートすることが特徴です。
専門職と連携しながら、利用者の生活全体を支える役割を担っています。
多職種連携によるケア体制の特徴
通所リハビリテーション(デイケア)の特徴は、医療と介護の専門職が一体となって支援する「多職種連携体制」です。
医師・リハビリ職・看護師・介護職員・ケアマネジャーが情報を共有し、利用者の状態変化に応じて支援計画を柔軟に見直します。
この連携により、急な体調悪化への早期対応や、在宅生活の課題に応じた助言が可能です。
リハビリと生活支援を一体化した仕組みが、デイケアの質を支える重要な基盤となっています。

通所リハビリテーション(デイケア)の費用
通所リハビリテーション(デイケア)の費用は、介護度・利用時間・施設の規模によって異なります。
介護保険が適用され、原則として1割負担(所得により2〜3割)です。食費やおむつ代などの実費は別途かかる点にも留意が必要です。
通所リハビリテーション(デイケア)の費用(令和6年度改定後)
要介護度 | 基本単位数 (通常規模・6~7時間未満) | 1割負担額の目安 |
|---|---|---|
要介護1 | 715単位 | 約715円〜815円 |
要介護2 | 850単位 | 約850円〜969円 |
要介護3 | 981単位 | 約981円〜1,118円 |
要介護4 | 1,137単位 | 約1,137円〜1,296円 |
要介護5 | 1,290単位 | 約1,290円〜1,471円 |
※1単位=10円で計算(地域区分により10円〜11.40円で変動)
※送迎を実施した場合は上記金額に含まれます。送迎を行わない場合は片道につき47単位(約47円)の減算があります。
※各種加算(リハビリマネジメント加算、生活行為向上リハビリテーション実施加算等)は別途加算されます。
要支援者の費用(介護予防通所リハビリテーション・月額)
要支援度 | 基本単位数(月額・通常規模) | 1割負担額の目安※ |
|---|---|---|
要支援1 | 2,268単位 | 約2,268円〜2,586円 |
要支援2 | 4,228単位 | 約4,228円〜4,820円 |
※1単位は10円で計算されていますが、地域区分により10円〜11.40円で変動します。
※月額定額制のため、月に何回利用しても基本料金は変わりません。
※運動器機能向上加算、栄養改善加算、口腔機能向上加算などは別途加算されます。
※食費、おむつ代などの実費は別途自己負担となります。
出典:どんなサービスがあるの? 通所リハビリテーション(デイケア)|厚生労働省
出典:通所リハビリテーション(デイケア) 高齢・介護
出典:通所リハビリテーション|厚生労働省
出典:通所リハビリテーション(デイケア)とは | 健康長寿ネット
要介護者の基本利用料(1割負担の目安)
通所リハビリテーション(デイケア)の利用料は、介護報酬単位に基づいて算定され、要介護度と利用時間により細かく区分されています。
通常規模(利用延べ人数750人以内)の事業所で、6時間以上7時間未満を利用した場合の1割負担額は以下の通りです。
要介護区分 | 負担額(1回あたり) |
|---|---|
要介護1 | 約715円 |
要介護2 | 約850円 |
要介護3 | 約981円 |
要介護4 | 約1,137円 |
要介護5 | 約1,290円 |
送迎費は上記に含まれますが、日用品・食費などは自己負担となります。地域区分によって金額が異なる場合もあります。
要支援者の費用(介護予防通所リハビリテーション)
要支援1または2と認定された方は、「介護予防通所リハビリテーション」を利用できます。これは、介護状態への進行を防ぎ、自立した生活を維持するためのリハビリサービスです。
要支援1で2,268単位/月、要支援2で4,228単位/月。1単位は地域区分により10円〜11.40円で変動します。1割負担の場合、おおむね2,268円〜2,580円(要支援1)、4,228円〜4,820円(要支援2)程度となりますとなります。
主な内容は以下のとおりです。
- 軽度の身体機能低下や筋力低下への対応
- 転倒予防やバランス機能の改善
- 口腔機能の維持・改善
- 生活習慣病による身体機能の低下防止
利用頻度は週1〜2回程度が一般的ですが、月額制のため、ケアプランに基づいて設定されます。要支援者の場合も、医師やケアマネジャーと連携し、無理のない範囲で継続的な支援が行われます。
加算項目と費用変動の仕組み
通所リハビリテーション(デイケア)では、基本利用料に加えて「加算」が適用される場合があります。
【主な加算項目(令和6年度改定)】
リハビリテーション関連
リハビリテーションマネジメント加算(A)イ・ロ、(B)イ・ロ:月1回算定
生活行為向上リハビリテーション実施加算:リハビリ計画に基づく目標達成型の加算
短期集中リハビリテーション実施加算:退院・退所後3か月以内の集中的なリハビリ
職員処遇関連
介護職員処遇改善加算(Ⅰ)〜(Ⅴ)
介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)・(Ⅱ)
介護職員等ベースアップ等支援加算
その他
中重度者ケア体制加算
口腔機能向上加算
栄養アセスメント加算・栄養改善加算
送迎減算(送迎を行わない場合:片道47単位減算)
これらの加算は事業所の体制や提供するサービス内容により異なるため、利用前に事業所またはケアマネジャーに確認することをおすすめします。
実費負担が発生する主な項目
介護保険の給付対象外となる「実費負担」もあります。
代表的なものは、昼食費・おやつ代・おむつ代・レクリエーション材料費などです。これらは事業所ごとに料金設定が異なり、1回あたり300〜800円程度が一般的です。
また、長時間利用時の追加食事や特別入浴設備の利用にも別途費用がかかる場合があります。
費用の内訳を事前に確認し、ケアマネジャーを通じて見積もりを取ることが推奨されます。
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通所リハビリテーション(デイケア)とデイサービス(通所介護)の違い
通所リハビリテーション(デイケア)とデイサービス(通所介護)は、いずれも日帰りで利用できる介護保険サービスですが、目的や職員体制が異なります。
通所リハビリテーション(デイケア)は医療的リハビリが中心、デイサービス(通所介護)は生活支援と介護予防が中心です。
通所リハビリテーション(デイケア)には、「介護保険によるもの」と「医療保険によるもの」の2種類があります。
項目 | 介護保険の通所リハビリテーション(デイケア) | 医療保険のデイケア |
|---|---|---|
対象者 | 要支援・要介護認定を受けた方 | 主に精神疾患のある方、急性期・回復期の患者 |
目的 | 日常生活の維持・回復、在宅生活の継続支援 | 病状の改善・回復を図る医療的リハビリ |
必要な指示書等 | 主治医の指示書が必要 | 精神科医の治療指導が必要 |
退院後、医療保険でのリハビリ期間を終えた方が、介護保険のデイケアへ移行するケースも多くみられます。
目的と支援内容の違い
通所リハビリテーション(デイケア)は、医師の指示に基づく専門的なリハビリを目的としています。理学療法士や作業療法士などが在籍し、身体機能や嚥下機能などの回復・維持を目指す訓練を行います。
一方、デイサービス(通所介護)は、入浴・食事・レクリエーションなどの支援を通じて、利用者の生活の質を高めることを目的としています。
そのため、通所リハビリテーション(デイケア)は医療的要素が強く、デイサービス(通所介護)は日常生活の支援に重点を置いている点が大きな違いです。
職員体制と施設の違い
通所リハビリテーション(デイケア)では、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など、医療資格を持つスタッフが配置されています。
主治医の指示書をもとに専門的リハビリを行うため、医療と介護の連携が特徴です。
一方、デイサービス(通所介護)は介護職員・生活相談員・機能訓練指導員などが中心で、医師の常駐は必須ではありません。
施設形態も異なり、通所リハビリテーション(デイケア)は病院や介護老人保健施設に併設されるのに対し、デイサービス(通所介護)は地域密着型の介護事業所で行われます。
利用対象者と利用目的の違い
通所リハビリテーション(デイケア)は、病気や怪我の回復期、または身体機能が低下した要介護者を対象としています。主に医療的なサポートやリハビリを必要とする方が中心です。
一方、デイサービス(通所介護)は、要支援・要介護の認定を受けた高齢者全般が対象で、社会的な孤立防止や介護予防を目的とするケースも多くみられます。
利用時間や内容も柔軟で、短時間デイサービス(通所介護)など多様な形態があります。自身の状態や希望に合わせ、目的に合ったサービスを選ぶことが大切です。

通所リハビリテーション(デイケア)の利用手続きと流れ
通所リハビリテーション(デイケア)を利用するには、介護保険の申請や要介護認定、主治医の指示書、ケアマネジャーによるケアプラン作成などの手続きが必要です。
申請から利用開始まではおおむね1か月程度を目安に進めます。
利用までの流れ(申請~契約まで)
通所リハビリテーション(デイケア)の利用は、まず介護保険の要介護認定を受けることから始まります。認定後、担当ケアマネジャーと相談し、通所リハビリテーション(デイケア)を含むケアプランを作成します。
その後、主治医の指示書を取得し、利用希望施設の見学・面談を経て契約手続きを行います。
契約時には、利用日・送迎時間・料金などを確認します。初回利用前には、リハビリ専門職による身体評価が行われ、個別のプログラムが設定されます。
全体として、申請から利用開始まではおおむね3〜4週間が一般的な流れです。
必要書類と提出先
通所リハビリテーション(デイケア)を利用する際には、いくつかの書類を準備する必要があります。
【申請に必要なもの】
- 介護保険被保険者証
- 要介護認定結果通知書
- 主治医の指示書
- 印鑑
- 利用者本人の身分証など
これらの書類は、ケアマネジャーや施設職員を通じて提出します。
特に「主治医の指示書」はリハビリ内容を決定する重要な書類であり、施設側が指示内容を確認してから利用契約を結びます。
書類不備があると手続きが遅れるため、早めの準備が推奨されます。
利用回数と利用時間の目安
通所リハビリテーション(デイケア)の利用時間は、介護報酬の算定区分により以下のように定められています。
【時間区分】
1時間以上2時間未満
2時間以上3時間未満
3時間以上4時間未満
4時間以上5時間未満
5時間以上6時間未満
6時間以上7時間未満
7時間以上8時間未満
8時間以上9時間未満
利用回数は週1〜3回程度が一般的ですが、介護度やケアプランにより異なります。
介護保険の支給限度額(区分支給限度基準額)の範囲内であれば、回数に上限はありません。
6時間以上7時間未満の利用が最も多く、入浴・食事・リハビリを含めた総合的な支援を受けられます。
リハビリを中心に短時間のみ通う利用者もいれば、日中を通して利用する方もいます。自身の生活リズムに合わせ、無理のないスケジュールを組むことが大切です。

通所リハビリテーション(デイケア)のメリット
通所リハビリテーション(デイケア)の最大の利点は、医療と介護の両面から心身機能をサポートできる点にあります。専門職によるリハビリを定期的に受けることで、歩行能力や日常動作の維持・回復が期待できます。
また、同世代の利用者と交流することで、孤立防止や生活意欲の向上にもつながります。
さらに、利用者が施設で過ごすことで、家族の介護負担が一時的に軽減される「レスパイト(介護休息)」の効果もあります。
医師・看護師による健康チェックや早期対応が可能な点も、在宅生活を安定させる要素の一つです。

通所リハビリテーション(デイケア)の注意点と確認事項
通所リハビリテーション(デイケア)を利用する際は、施設によって設備やサービス内容に差がある点に注意が必要です。
リハビリ時間や入浴設備の有無、送迎範囲、加算の有無などを事前に確認しましょう。また、地域区分によって利用料金が異なるため、費用面の確認も欠かせません。
体調や持病によっては一部の訓練が制限されることもあります。
主治医・ケアマネジャー・施設職員と情報を共有し、無理のない計画で継続することが重要です。利用目的を明確にしておくと、効果的なリハビリを受けやすくなります。

通所リハビリテーション(デイケア)の選び方
通所リハビリテーション(デイケア)は施設によって特徴が異なるため、目的や身体状況に合った事業所を選ぶことが大切です。
リハビリ体制や職員の専門性、送迎範囲、費用などを比較し、自分に最も適した施設を見極めましょう。
リハビリ体制・専門職の配置を確認する
通所リハビリテーション(デイケア)を選ぶ際は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの配置状況を確認することが重要です。これらの専門職が常勤しているか、どの程度の人数が担当しているかによって、リハビリの質が大きく変わります。
また、個別リハビリの実施頻度や、リハビリマネジメント加算(リハビリ計画や評価の手厚さに応じた加算)の有無も比較のポイントです。
専門職の連携体制が整った事業所ほど、利用者の状態に合わせた適切な支援が期待できます。
施設の雰囲気や清潔さ、送迎対応をチェック
施設見学は、実際の雰囲気や職員の対応を確かめる良い機会です。スタッフの声かけや利用者の表情、清潔感などから、安全性や衛生管理に配慮した環境かどうかを判断できます。
また、送迎対応も重要な要素です。自宅からの距離や送迎範囲、車椅子対応の有無などを確認しておくと良いでしょう。
通所時間帯や週の利用回数の調整が可能な施設を選ぶことで、利用者・家族双方の負担を軽減できます。
費用・加算項目・サービス内容を比較する
通所リハビリテーション(デイケア)の料金は、基本利用料に加えて加算項目や実費負担があるため、総額を把握しておくことが大切です。
加算には「リハビリマネジメント加算」「職員体制加算」「処遇改善加算」などがあり、施設によって異なります。
また、入浴・食事・口腔機能訓練などのサービス内容も異なるため、希望する支援が受けられるか確認しておきましょう。
ケアマネジャーを通じて複数施設を比較検討し、費用と内容のバランスを考慮して選ぶことが推奨されます。

通所リハビリテーション(デイケア)で働くスタッフの一日のスケジュール
通所リハビリテーション(デイケア)で働くスタッフの1日のスケジュール例は、以下のようになります。職種や施設によって多少異なりますが、代表的な流れをまとめます。
【8:00~9:00】出勤・送迎準備・情報共有
スタッフが出勤し、当日の利用者情報や健康状態、注意事項をチームで共有します。
送迎車両や福祉用具の準備を行い、利用者宅へのお迎えに出発します。
【8:30~10:00】利用者お迎え・健康チェック
利用者宅を訪問し、車いすや歩行器の利用者には乗車介助を行いながら施設へ送迎します。
施設到着後は、健康チェック(体温・血圧・脈拍などのバイタル測定)を実施します。
【10:00~12:00】リハビリ・入浴・体操・日常介助
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)による個別リハビリや自主トレーニングを行います。入浴介助や整容介助もこの時間帯に実施されることが多いです。
集団体操やウォーミングアップ体操も行い、身体機能の維持・向上を図ります。必要に応じてトイレ誘導や排泄介助も随時行います。
【12:00~13:00】昼食・口腔ケア・休憩
昼食の配膳や食事介助、服薬介助を行います。食後は口腔ケアをサポートし、利用者の休憩や自由時間を見守ります。スタッフも交代で休憩を取ります。
【13:00~15:00】リハビリ・レクリエーション・創作活動
午後も個別リハビリやグループリハビリ、歩行訓練などを実施します。レクリエーション(体操、カラオケ、ゲーム、手工芸、脳トレなど)や創作活動を企画・実施。
必要に応じてトイレ誘導や排泄介助も継続します。
【15:00~16:00】おやつ・帰宅準備・記録業務
おやつの配膳や介助を行い、利用者の帰宅準備(荷物整理、トイレ誘導、着替えなど)をサポートします。その日の利用者の様子やケア内容、リハビリの進捗などを記録します。
【16:00~17:00】送迎・片付け・ミーティング
利用者を自宅まで安全に送迎します。施設内の片付けや翌日の準備、スタッフ間のミーティングを行い、1日の業務を振り返ります。
このように、通所リハビリテーション(デイケア)のスタッフは、送迎・健康管理・リハビリ・介助・レクリエーション・記録など多岐にわたる業務をチームで分担しながら、利用者の心身機能の維持と生活の質向上を支えています。
よくある質問
Q.通所リハビリテーション(デイケア)を利用できる要件は何ですか?
要介護認定で要支援1〜要介護5と認定された方が対象です。主治医の同意書を取得し、市区町村窓口で給付管理受託事業者を介してサービス利用申請を行います。
Q.通所リハビリテーション(デイケア)とデイサービス(通所介護)の違いは何ですか?
通所リハビリテーション(デイケア)は医師の指示に基づく理学療法や作業療法など専門的なリハビリを中心に提供します。
通所介護(デイサービス)は主に生活支援やレクリエーション、食事・入浴介助を中心とし、リハビリ専門職は必須ではありません。
Q.1回あたりの利用時間や利用頻度の上限はありますか?
1回の利用時間は、1時間以上2時間未満から8時間以上9時間未満まで複数の時間区分が設定されています。最も利用されているのは6時間以上7時間未満、または7時間以上8時間未満の区分です。利用者の状態やニーズに応じて選択できます。
利用回数そのものに上限はありませんが、介護保険の区分支給限度基準額(要介護度ごとに上限あり)の範囲内で、ケアプランに基づいて回数・時間が設定されます。限度額を超えた分は全額自己負担となります。
Q.費用負担はいくらで、自己負担割合はどのように計算されますか?
自己負担割合は原則1割ですが、所得に応じて2割または3割負担となります。負担割合は負担割合証で確認できます。
食費は利用者負担です。送迎は介護報酬に含まれており、送迎を行わない場合は片道47円の減算が適用されます。通常の実施地域を超える送迎については実費徴収が可能です。市町村による助成制度や減免措置を活用することも可能です。
Q.通所リハビリテーション(デイケア)とデイサービス(通所介護)は併用できますか?
通所リハビリテーション(デイケア)とデイサービス(通所介護)は、原則として併用が可能です。ただし、同じ日に両方を利用することはできません。
介護保険の支給限度額(要介護度ごとに上限あり)の範囲内であれば、曜日を分けて利用することが認められます。
たとえば、週2回通所リハビリテーション(デイケア)、週1回デイサービス(通所介護)といった組み合わせが可能です。
どちらをどの頻度で利用するかは、ケアマネジャーが作成するケアプランで調整します。目的に応じて、リハビリ重視か生活支援重視かを選択することが大切です。
【併用時の注意点】
・両サービスとも区分支給限度基準額に含まれるため、合計利用単位数が限度額を超えないよう調整が必要です。
・限度額は要介護度により異なります(要介護1:16,765単位/月、要介護5:36,217単位/月など)
・限度額を超えた分は全額自己負担となります。
・併用する場合は、ケアマネジャーが両サービスのバランスを考慮してケアプランを作成します。
※令和6年6月時点の限度額
Q.医療保険の通所リハビリテーション(デイケア)との違いは?
通所リハビリテーションには「介護保険による通所リハビリテーション(デイケア)」と「医療保険による通所リハビリテーション(デイケア)」があります。
介護保険のデイケアは、要介護認定を受けた方を対象に日常生活の維持・回復を目的とするものです。一方、医療保険の通所リハビリテーション(デイケア)は、急性期・回復期の患者が医師の管理下でリハビリを継続する医療サービスです。
退院後、医療保険でのリハビリ期間を終えた方が、介護保険の通所リハビリテーション(デイケア)へ移行するケースも多くみられます。
両者の切り替え時期は、主治医やケアマネジャーと相談して判断します。
Q.要介護1の場合、通所リハビリテーション(デイケア)は週何回まで通えますか?
要介護1の方が通所リハビリテーション(デイケア)を利用できる回数は、介護保険の支給限度額内であれば制限はありません。平均的には週1〜3回の通所が多く、必要なリハビリ内容や生活状況に応じて調整します。
ケアマネジャーが作成するケアプランに基づき、医師の指示書で決まるリハビリ頻度に沿って実施されます。
たとえば、週1回は個別訓練中心、もう1回は集団体操を行うなど、目的に応じた組み合わせが可能です。回数を増やす場合は、支給限度額の超過に注意が必要です。
[介護サーチプラス]編集部
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