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医療介護福祉士になるには?廃止の背景や取得条件・合格率・代替資格まで徹底解説【2025年版】

青空をバックに笑顔を向けるさわやかな職員

医療と介護、福祉の現場をつなぐ重要な役割を担う「医療介護福祉士」。

2025年を迎える今、医療介護福祉士の廃止の背景や、資格取得に必要な条件、最新の合格率データ、さらには今後の代替資格について知っておくことは、これからこの分野で活躍したい方にとって必須です。


本記事では、最新の情報をもとに医療介護福祉士の全貌を徹底解説。資格取得を目指す方はもちろん、現場で働く方や制度の動向を知りたい方にも役立つ内容をお届けします。

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    介護福祉士の国家資格に興味があり、長期的に介護分野で活躍したい方
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    介護職員初任者研修や実務者研修を修了し、次のステップアップを目指したい方
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    高齢者や障害者支援の専門性を高め、利用者や家族に質の高いケアを提供したい方
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    資格を活かして昇給・昇進、管理職やリーダー職へのキャリアアップを目指す方
無表情の女性看護師
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医療介護福祉士とは?どんな資格か

資格の概要と役割

「医療介護福祉士」は、かつて一部の民間団体が独自に認定していた資格で、医療的ケアと日常生活支援を両立できる介護人材を育成する目的で設けられていました。

この資格は、チーム医療や地域包括ケアにおいて、医療職と連携しながら利用者を支援する役割を担っていました。

しかし、「医療介護福祉士」は、国家資格として公的に認められたものではありません。2012年度の社会福祉士及び介護福祉士法改正により、介護福祉士が一定の医療行為(喀痰吸引、経管栄養など)を行えるようになり、そのための公的な研修制度である「喀痰吸引等研修」や「医療的ケア研修」が創設されました。これにより、民間の「医療介護福祉士」という資格の必要性が薄れ、関連する講座は廃止されました。そのため、現在は新規で取得できる資格ではありません。

現在、医療的ケアに対応できる介護人材を育成するための制度は、この公的な研修に一本化されています。

医療と介護の連帯を支援する民間認定資格(※現在は取得不可)

  • 日常生活支援+医療的ケアを担う
  • チーム医療・地域包括ケアの中核的役割
  • 制度改正により代替研修制度へ移行

出典:「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度について」

出典:リエイの介護

介護福祉士との違いと位置づけ

医療介護福祉士は、介護福祉士の国家資格を基盤に、医療的ケアへの対応能力を強化した専門職として設けられていました。介護福祉士は介護保険法に基づく国家資格であり、主に身体介護や生活援助など日常生活の支援を担います。

これに対し医療介護福祉士は、喀痰吸引や経管栄養といった一定の医療的ケアにも対応でき、医療現場や在宅医療の場面での活躍が想定されていました。しかし、厚生労働省の方針により認定制度は廃止され、現在は「喀痰吸引等研修」などの公的研修制度が代替手段として整備されています。

出典:喀痰吸引等研修について|厚生労働省 

資格名

主な役割

活躍の場

特徴

介護福祉士

日常生活の介護・身体介助

介護施設、訪問介護、在宅介護

国家資格、生活支援の専門職

医療介護福祉士

医療的ケア+生活支援

医療・介護連携施設、在宅医療

民間資格(現在廃止)、医療知識あり

喀痰吸引等研修修了者

医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養)

特定の施設・在宅サービス提供現場

公的研修修了者、医行為の一部実施可能

出典:「介護福祉士養成施設における「医療的ケア」の追加について(概要)」|厚生労働省 

介護福祉士とは?

介護福祉士は、介護保険法に基づく国家資格であり、高齢者や障がい者の日常生活を支援する専門職です。食事・入浴・排せつといった身体介助や生活支援を行い、利用者の自立と生活の質の向上を目指します。

国家資格であるため、一定の実務経験や実務者研修を修了し、介護福祉士国家試験に合格する必要があります。介護施設、訪問介護、在宅介護など幅広い現場で活躍でき、厚生労働省の推計によれば高齢化の進展に伴いその需要は一層拡大しています。

また、介護福祉士は利用者に寄り添ったケアを提供するだけでなく、看護師やリハビリ職など多職種と連携し、チームケアの一員として支援を行うことが求められます。さらに、認定介護福祉士やケアマネジャーといった上位資格へのキャリアアップの基盤ともなり、制度改正や医療的ケアへの対応など、変化する介護現場のニーズに対応する人材として期待されています。

出典:介護福祉士国家試験について|厚生労働省 

出典:令和7年版高齢社会白書|内閣府 

リクルートスーツを着た悩む女性
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医療介護福祉士は現在取得できる?

ここでは、医療介護福祉士の認定講座廃止の背景とその理由、そして資格廃止後に注目される代替資格について解説します。

医療介護福祉士認定講座の廃止とその理由

 医療介護福祉士の認定講座は2020年代初頭に廃止され、制度自体も終了しました。背景には、介護職員による医療的ケアの法制化や、資格制度の再編による重複解消があります。

廃止の具体的な理由

  • 2012年の制度改正により、介護職員も一定の条件下で喀痰吸引・経管栄養の実施が可能になった
  • 「認定特定行為業務従事者」制度の創設により、現場ニーズに即した公的なスキル認定制度が整備された
  • 医療職と介護職の役割分担の明確化を政策的に進める中で、重複資格の整理が必要となった
  • 講座の更新・維持が難しく、実施機関が減少し続けた結果、制度の継続が困難になった

こうした経緯から、医療介護福祉士の認定講座は廃止され、現在は喀痰吸引等研修などの公的研修制度が代替手段として運用されています。

出典:「喀痰吸引等研修について」|厚生労働省 

出典:「平成23年介護保険法改正について」|厚生労働省 

資格廃止後の代替資格とは

医療介護福祉士の認定講座が廃止された後、介護分野における医療的ケアや高度なサービスを担う人材育成のために、いくつかの資格が注目されています。代表的なものとしては、認定介護福祉士介護支援専門員(ケアマネジャー)が挙げられます。

さらに、医療行為に直接かかわる場合には看護師や准看護師といった国家資格が必要です。また、喀痰吸引や経管栄養といった医療的ケアに関しては、現在では「喀痰吸引等研修」を修了することで介護職員が対応できる仕組みが整えられています。

これらの資格や研修は、介護福祉士をはじめとする介護職が医療職と連携しながら、在宅や施設でより質の高いサービスを提供するための代替手段となっています。

資格名

主な役割・特徴

対象者・条件

認定介護福祉士

医療連携・チームケア対応、高度介護技術の実践

介護福祉士としての実務経験、研修受講が必要

ケアマネジャー(介護支援専門員)

ケアプラン作成、サービス調整

国家資格(介護福祉士等)+実務経験が必要

看護師・准看護師

医療的ケア・医療行為を担当

医療資格(国家試験)取得が必要

出典:「喀痰吸引等研修について」 | 厚生労働省

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ここでは、医療介護福祉士に代わるキャリアアップとして有望な資格や、その取得方法・活躍の場について解説します。

認定介護福祉士の特徴と取得方法

認定介護福祉士は、介護福祉士の専門性をさらに高めるために設けられた上位資格であり、介護現場のリーダーや医療的ケアに対応できる専門職として活躍できます。チームケアの中心的役割を担うほか、現場のマネジメントや人材育成にも関わるため、キャリアアップを目指す介護職にとって重要な資格です。

取得要件の一例(日本介護福祉士会による基準)

  • 介護福祉士資格を保有していること
  • 実務者研修を修了し、3年以上の実務経験を有すること
  • 医療的ケアや専門技術、多職種連携・マネジメントに関する研修を受講すること

これらを満たすことで、より高度なケアの提供や現場リーダーとしての役割を担えるようになります。

出典:認定介護福祉士制度|公益社団法人日本介護福祉士会

出典:「介護に関する資格等について」|公益財団法人 

ケアマネジャー(介護支援専門員)で広がる活躍の場

ケアマネジャー(正式名称:介護支援専門員)は、要介護認定を受けた利用者のケアプラン(介護サービス計画)を作成・管理する専門職です。利用者や家族からの相談を受け、医師・看護師・介護職員・リハビリ専門職などと連携しながら、在宅生活の継続や地域包括ケアを支援します。

資格を取得するには、介護福祉士や看護師などの国家資格を持ち、一定の実務経験を積んだ上で介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、その後に実務研修を修了する必要があります。

ケアマネジャーは、介護サービスの調整役として重要な立場にあり、介護保険制度の運用に欠かせない存在です。今後の高齢化社会において、利用者の自立支援や介護サービスの質向上に大きく貢献する職種といえます。

ポイント

内容

役割

ケアプランの作成、サービス事業者との調整

取得条件

介護福祉士・看護師等の国家資格+実務経験3年以上+試験合格

活躍の場

居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、施設

キャリアパス

主任ケアマネ、施設長、地域ケア推進担当など

出典:介護職員・介護支援専門員|厚生労働省 

社会福祉士・社会福祉主事任用資格の違いと活用例

社会福祉士は、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく国家資格であり、医療や介護だけでなく、生活全般に関する相談援助を行う福祉の専門職です。福祉制度の活用支援や多様な分野での相談業務を担い、利用者や家族の幅広いニーズに対応できます。さらに、将来的にケアマネジャー(介護支援専門員)資格を取得する際の基盤ともなり、福祉分野でのキャリアアップに役立ちます。

一方で、社会福祉主事任用資格任用資格であり、主に自治体や福祉施設において事務的な役割を担います。相談援助よりも、福祉サービスに関する行政手続きや窓口業務が中心となるのが特徴です。

医療介護福祉士のように医療的ケアや介護技術を直接担う資格ではありませんが、社会福祉士は相談援助の専門職として医療・介護との連携や地域福祉の推進に重要な役割を果たします。一方、社会福祉主事任用資格は、行政や施設の運営を支える基盤的な資格として位置づけられています。

出典:社会福祉士について|厚生労働省

資格名

主な役割

資格区分

活用例

社会福祉士

相談援助、制度活用支援、生活支援

国家資格

医療機関、行政、福祉施設、地域包括

社会福祉主事任用資格

福祉行政事務、生活保護窓口などの業務補助

任用資格(大学科目等履修で取得)

市区町村役場、施設職員

おすすめ
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介護福祉士におすすめの研修

ここでは、介護福祉士が医療的ケアへの対応力を高めたり、基礎を学び直したりするのに有効な研修を紹介します。

喀痰吸引等研修で対応できる医療行為

喀痰吸引等研修」は、介護職員が一定の条件下で喀痰吸引や経管栄養といった医療的ケアを安全に実施できるようにするための公的研修制度です。

この研修を修了すると、次のような医療行為に対応できるようになります。

  • 喀痰吸引:口腔内・鼻腔・気管カニューレからの痰の吸引
  • 経管栄養:胃ろうや経鼻経管を用いた栄養補給
  • 医療機器の操作:吸引器などの基本的な機器操作方法
  • 感染症予防・緊急時対応:感染症対策や緊急時の初期対応に関する基礎知識

これらを習得することで、介護職員は医療的ケア能力を高め、利用者の健康管理や生活の質の向上に貢献できます。特に、在宅介護や施設介護の現場においては、医療と介護の連携を支える重要なスキルとなります。

各自治体・団体ごとに料金が異なりますのでご注意ください。

下記に料金の一例を記載いたします。

出典:喀痰吸引等研修について|厚生労働省

出典:静岡県:第一号・二号研修(募集要項・申込書)|社会福祉法人 聖隷福祉事業団

ファーストステップ研修の目的と内容

ファーストステップ研修は、介護福祉士の資格を取得した新人や未経験者を対象にした基礎研修であり、介護職員としての早期定着と専門職としての成長を目的としています。

この研修では、介護現場で必要とされる基本的な介護技術に加え、医療的ケアの概要やチーム連携に関する知識を体系的に学びます。主な内容は以下の通りです。

  • 基礎的な介護技術:移動介助、食事介助、排泄介助など日常生活支援の基本
  • 医療的ケアの基礎:喀痰吸引の仕組みやバイタルサイン(体温・血圧など)のチェック方法
  • コミュニケーション:利用者との信頼関係の築き方、多職種との連携の重要性
  • 安全管理:転倒予防、感染症対策、身体拘束に配慮したケアの実践

この研修を受講することで、新人介護職員は実践力と自信を高め、職場への定着とキャリア形成の第一歩を踏み出せます。

研修項目

内容概要

介護技術基礎

移動介助、食事介助などの基本技術

医療的ケアの基礎

喀痰吸引の仕組み、バイタルチェックの基本

コミュニケーション

利用者との接し方、チーム連携の重要性

安全管理

転倒防止、感染症対策、身体拘束への配慮

出典:ファーストステップ研修|公益社団法人 日本介護福祉士会

給料が入った茶封筒と時計
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医療介護福祉士の年収・待遇事情

ここでは、医療介護福祉士の給与や待遇の実情、資格取得(※既存取得者)による影響、施設ごとの手当の違いについて解説します。

資格による給与アップの可能性

かつて医療介護福祉士の資格を保有していることで、専門性の高さが評価され、基本給の上乗せや資格手当が支給される場合がありました。特に、医療的ケアに対応できることは介護現場での評価につながり、給与水準が同職種内で高くなる傾向も見られました。

給与アップにつながる仕組みの一例

  • 基本給の資格加算:一定の資格保有者に基本給を上乗せ
  • 資格手当:毎月の給与に手当として支給される場合がある
  • 処遇改善加算への影響:医療的ケアを担える介護職員の配置が加算評価につながることもある

ただし、医療介護福祉士の認定制度はすでに廃止されているため、現在は「喀痰吸引等研修」や「認定介護福祉士」「ケアマネジャー」などの資格・研修を通じて、給与や処遇に反映されるケースが増えています。

なお、資格手当や処遇改善の実情は、施設の規模や地域の方針によって大きく異なります。詳細は各事業所の規定を確認する必要があります。

出典:福祉・介護職員の処遇改善 |厚生労働省

施設によって異なる資格手当の実情

介護職員に支給される資格手当の金額や有無は、勤務先の規模や運営方針によって大きく異なります。大規模病院や特定施設では高めに設定される傾向があり、月額1万円前後の手当がつくケースも見られます。一方で、小規模事業所では資格手当が支給されない場合も少なくありません。

また、給与面の手当以外にも、研修受講費の補助や福利厚生の充実によって待遇が補われるケースがあります。たとえば、研修費の負担軽減や資格取得後のキャリアアップ研修を制度的に支援している事業所もあります。

資格手当や処遇改善の実情は事業所ごとに異なるため、就職・転職を検討する際には、求人票や施設の公式情報を確認することが重要です。

出典:令和4年度介護労働実態調査|介護労働安定センター

メリット
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医療介護福祉士になるメリットと将来性

ここでは、医療介護福祉士(※取得済者)が現場で担う役割や、他資格との違い、介護職における今後のキャリア展望について解説します。

資格取得で期待できるキャリアの広がり

医療介護福祉士の資格を保有している方は、医療的ケアと介護の両面での専門性を備えているため、現場で高く評価されやすい立場にあります。その強みを活かし、次のようなキャリアアップの方向性が考えられます。

  • 管理職・リーダー職への昇進
  • 認定介護福祉士としての専門性強化
  • ケアマネジャー(介護支援専門員)へのステップアップ
  • 看護師・准看護師など医療系資格の取得

管理職や認定介護福祉士、ケアマネジャー、さらには看護系資格への挑戦など、キャリアアップの道は多岐にわたります。今後の高齢社会において、医療と介護の橋渡し役として、引き続き重要な役割を担っていくことができます。

他資格と比較した強み・優位性

医療介護福祉士は、介護と医療的ケアの両方に対応できる点が大きな強みです。

  • 介護福祉士:生活支援や身体介助が中心。
  • ケアマネジャー:ケアプラン作成・調整が主な役割。
  • 医療介護福祉士:これらに加えて喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアが可能。

看護師ほど広範な医療行為はできませんが、介護と医療をつなぐ存在としてチーム医療で高い信頼を得やすいのが特徴です。

資格名

医療知識の深さ

介護専門性

主な役割

医療介護福祉士(廃止)

医療的ケアと介護の両立

介護福祉士

介護全般の実施

ケアマネジャー(介護支援専門員)

介護計画の作成と調整

看護師

低~中

医療行為全般

円グラフを見る老人と幼児のミニチュア
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介護福祉士に関する最新情報

ここでは、2025年に予定されている制度改正の内容や影響、今後の福祉人材に求められるスキルについて解説します。

「パート合格制」を導入

2025年度(第38回試験)から「介護福祉士国家試験のパート合格制」が導入されます。

パート合格制とは、介護福祉士国家試験において、筆記試験が3つの「パート(科目群)」に分けられ、各パートごとに合否を判定する制度です。合格したパートは2年間有効で、その期間は再受験が不要になります。

パート

主な出題範囲

パートA

人間の尊厳・自立、介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術

パートB

介護過程、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解

パートC

医療的ケア、こころとからだのしくみ、総合問題(事例問題含む)

日本は超高齢社会に突入しており、2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者(75歳以上)に達することで、介護ニーズは急増します。

一方で、慢性的な人材不足が深刻化しており、特に現場の中心を担う介護福祉士の確保が課題とされています。

介護福祉士国家試験の受験者は、主に以下のような状況にある人が多く、全11科目群を一度に学び、合格することが困難とされてきました。

  • 実務者ルートの社会人受験者(働きながら勉強)
  • 外国人介護人材(EPA・技能実習・特定技能)
  • ブランクのある再就職希望者やシングル世帯の子育て中の人

このような層にも資格取得の機会を広げるため、科目群を分割し段階的に合格を認めるパート合格制が導入されます。


出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験におけるパート合格(合格パートの受験免除)の導入について」

今後の福祉人材に求められるスキルとは

これからの福祉人材には、従来の介護技術に加えて医療的ケアの知識、ICT活用力、多職種との連携力が求められます。高齢化や認知症の増加に伴い、利用者のニーズが多様化しているため、柔軟な対応力や専門的な認知症ケアの知識も重要です。

具体的に身につけるべきスキル

  • 医療的ケア:喀痰吸引、バイタルチェックなど基本的な医療行為の理解と実践
  • ICT活用:電子カルテの操作、介護記録のデジタル管理
  • チーム連携:多職種との円滑なコミュニケーション
  • 認知症ケア:症状理解と適切な対応技術

これらの複合的スキルを習得することで、質の高いケアを提供できるだけでなく、職場での信頼やキャリア形成にもつながります。多様な利用者の生活を支えるためには、技術・知識・連携力を総合的に活用する姿勢が不可欠です。

スキル領域

具体例

医療的ケア

喀痰吸引、バイタルチェック

ICT活用

電子カルテ操作、ケア記録管理

チーム連携

看護師・ケアマネ・医師との協働コミュニケーション

認知症ケア

認知症理解、対応技術

柔軟性・対応力

多様な利用者ニーズへの対応


車いすの男性と職員のあみぐるみ
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まとめ

医療介護福祉士とは、医療的ケアと介護を両立できる民間資格であり、かつて介護福祉士の上位資格として位置づけられていました。

現在は講座が廃止され、新たに取得することはできませんが、制度改正により喀痰吸引等研修や認定介護福祉士などが代替資格として注目されています。

今後のキャリアアップには、介護福祉士を基盤に、医療的ケアの知識やチームケア力を備えることが重要です。また、2025年度から介護福祉士国家試験には「パート合格制」が導入され、働きながらでも段階的に資格取得が目指しやすくなります。

医療介護福祉士に関する

よくある質問

Q.医療介護福祉士の資格は将来復活しますか?
A.

医療介護福祉士の認定講座は現在、新規の募集が全国的に終了しており、新たに資格を取得することは非常に難しくなっています。

この資格は、医療的ケアと介護を両立させる専門職として期待されていましたが、法制度の見直しや医療・介護分野の役割分担の明確化により、制度自体が廃止されました。

しかし、今後の高齢化社会の進展や医療ニーズの多様化に伴い、類似の新しい資格や職種が創設される可能性は否定できません。例えば、医療的ケアに対応できる人材の育成を目的とした新たな研修や資格制度の導入が検討されることが考えられます。

こうした変化に対応するためには、厚生労働省や地方自治体の最新情報を定期的に確認し、制度改正の動向を把握することが重要です。医療介護福祉士の将来について正確な情報を得ることで、キャリア形成やスキルアップの計画に役立てることができます。


Q.文系出身・未経験でも医療介護福祉士を目指せますか?
A.

医療介護福祉士は、介護福祉士の資格と一定の実務経験が前提とされる専門資格です。そのため、未経験者や文系出身の方がいきなり医療介護福祉士を目指すことは困難ですが、まずは介護職員初任者研修や実務者研修を経て介護福祉士を取得するルートが一般的です。

その後、医療的ケアの研修(例:喀痰吸引等研修)や認定介護福祉士講習を受講することで、医療的知識を身につけた専門職を目指せます。

学部不問で資格取得が可能なので、文系出身者でも着実にステップを踏めば対応できます。

  • 医療介護福祉士は介護福祉士資格が前提
  • 未経験者は介護職からステップアップ
  • 実務経験の積み重ねが重要
  • 文系出身でも制度上の制限はない
Q.代替資格の中で特に転職に有利なのはどれですか?
A.

医療介護福祉士の取得が困難な今、代替的に評価されやすい資格として以下が挙げられます。これらの資格はそれぞれの分野で独自の強みを持ち、介護現場でのキャリアアップや転職の際に評価されやすい資格です。

特にケアマネジャーは高齢化社会において需要が伸びており、転職市場でも有利といえます。

資格名

転職市場での強み

主な活躍先

認定介護福祉士

専門的な介護技術が評価される

介護施設、医療連携施設、訪問介護等

ケアマネジャー(介護支援専門員)

介護計画作成のスキルで需要が高い

居宅介護支援事業所、地域包括支援センター

看護師

医療的ケア能力が求められる

医療機関、訪問看護ステーション

Q.なぜ医療介護福祉士の講座は終了したのですか?
A.

日本慢性期医療協会から正式な終了理由は発表されていません。認定介護福祉士制度の開始(2015年)など、類似資格の整備が進んだことが背景にある可能性があります。

Q.すでに医療介護福祉士資格を持っている人はどうなりますか?
A.

既存の資格保持者の資格は有効です。ただし、更新制度がないため、継続的なスキルアップは個人の研鑽に委ねられています。

Q.医療介護福祉士を保有していると処遇改善加算に影響しますか?
A.

現在の制度では直接影響はありません。ただし、医療的ケアの実務経験は評価されるため、喀痰吸引等研修の修了や認定介護福祉士へのステップアップによって処遇改善加算につながるケースがあります。

Q.医療介護福祉士が活躍できる職場にはどんなところがありますか?
A.

病院や介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、在宅介護サービスなど、医療的ケアを必要とする場面で特に強みを発揮できます。資格制度廃止後も、こうした実務経験は多職種連携の現場で高く評価されます。

Q.医療介護福祉士は履歴書や職務経歴書に書けますか?
A.

はい、記載できます。ただし国家資格ではなく民間認定資格であるため、必ず「民間資格」と明記しましょう。現場での医療的ケア経験をアピールする有効な手段になります。

Q. 医療介護福祉士の資格を持っていると海外で通用しますか?
A.

医療介護福祉士は日本国内の民間資格のため、海外で国家資格としては通用しません。ただし「医療と介護を両立できるスキルを持つ人材」として評価され、海外で介護職に就く際の強みになる可能性はあります。

豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
監修者

海野 和看護師

この記事の監修者情報です

2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。

【保有資格】

日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み

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