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- 介護・医療の仕事を目指している人療養病床と一般病棟の違いを知りたい人に
- 施設や病棟の種類を整理したい人働き先や家族の入院先を選ぶ参考にしたい人に
- 家族の長期入院を考えている人療養病床という選択肢を知っておきたい人に
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療養病床とは?定義と読み方について解説
療養病床とは、長期的な医療や看護を必要とする方が入院する病床のことです。
ここでは、療養病床の定義や対象となる患者様、社会的な背景や役割などを詳しく解説します。高齢化が進む中で、療養病床が果たす役割はますます重要になっています。
療養病床の定義と読み方
療養病床は、長期的な医療管理や療養を必要とする患者様が入院するための病床のことを指します。読み方は「りょうようびょうしょう(療養病床)」です。厚生労働省では、療養病床を以下のように定義しています。
療養病床は、病院又は診療所の病床のうち、主として長期にわたり療養を必要とする患者様を入院させるもの。 |
急性期の治療を終えた後も、慢性的な疾患や障害のために継続的な医療や看護が必要な方が対象となります。
たとえば、脳卒中後の後遺症、重度の認知症、慢性心不全や呼吸不全、難病など、日常生活の多くを医療や看護に頼る必要がある患者様が多く利用しています。
「療養病床」という言葉は、医療や福祉の現場でよく使われます。高齢化社会が進む中で、急性期治療後も自宅や施設での生活が難しい患者様が増加し、医療と生活支援の両面をカバーする療養病床の役割はさらに重要になっていくでしょう。
特に、在宅復帰が困難な高齢者や医療依存度の高い患者様の受け皿として、療養病床は社会的にも必要とされています。
療養病床に入院できる対象者と入院期間
療養病床は、急性期の治療を終えた後も継続的な医療が必要な慢性期の患者様を対象としています。慢性期とは、病状が安定しているものの長期的な治療や医療管理が必要な状態を指し、入院が長期化することも少なくありません。
実際に厚生労働省の2023年調査(令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況)によると、一般病床の平均入院日数が約16日であるのに対し、療養病床では約120日と長期間に及んでいます。
療養病床では医療と生活支援を受けながら療養できる環境が整っており、自宅や介護施設での対応が難しい患者様が安心して療養生活を続けられる場所となっています。
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一般病床と療養病床の違い
入院時に利用する病床は、医療法で5つに分類され、その中でも一般病床と療養病床は役割が異なります。具体的には、入院の目的や患者様の状態が大きな違いだと言えます。
ここでは、それぞれの病床の特徴や役割、入院期間、医療内容、費用などの違いをわかりやすく解説します。
患者様や家族が適切な選択をするために、一般病床と療養病床の違いをわかりやすく解説します。
病床の5つの種類
日本の病院は、治療内容や目的によって「一般病床」「療養病床」「精神病床」「結核病床」「感染症病床」の5つの種類に分類されています。
中でも利用者が多いのは一般病床と療養病床であり、その違いを理解しておくことは、適切な病院選びや治療計画を立てる際に役立ちます。
一般病床は、手術や検査、急性期の治療を目的とした短期間の入院向けで、高度な医療設備と充実した人員体制が整っているのが特徴です。
一方、療養病床は病状が安定している患者様が、慢性疾患や障害による長期的な医療・介護を受けながら療養生活を送るための病床になります。
医療と生活支援を両立できる環境が整っており、安心して長期療養を続けられることが特徴です。
病床の種類 | 対象患者様 | 主な目的・特徴 | 入院期間の目安 |
---|---|---|---|
一般病床 | 急性期の患者様 | 急性疾患の治療、検査、手術など短期集中治療、高度医療設備を有する | 原則3か月以内(症状により延長あり) |
療養病床 | 慢性期の患者様 | 病状は安定しているが継続的な医療・看護が必要、長期療養向け | 制限なし(長期入院可能) |
精神病床 | 精神疾患の患者様 | 精神疾患治療のための入院治療、隔離保護が必要な場合も含む | 長期入院可(病状による) |
感染症病床 | 感染症患者様 | 一般感染症患者様の隔離・治療を目的、感染拡大防止対策が整備 | 病状回復まで |
結核病床 | 結核患者様 | 結核患者様の隔離治療、感染防止を目的 | 症状により長期入院可 |
出典:令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況|厚生労働省
出典:介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯|厚生労働省
上記に加え、「介護療養病床」もありましたが、2024年3月に廃止されました。
療養病床の特徴と役割
療養病床は、慢性期で長期的な医療ケアが必要な患者様が入院するための病床です。入院当初から包括支援制度が適用され、検査や治療の内容には一定の制約がありますが、入院期間自体には制限がありません。
また、療養生活を送るために必要なゆとりある設計の病室や談話室が備えられ、医師・看護師・介護スタッフの配置基準も定められています。
このため、自宅や介護施設では難しい医療的ケアを受けながら、安心して療養生活を続けることが可能です。
【療養病床の特徴】
- 病状は安定しているが、継続的な医療管理が必要
- 長期入院が前提で、生活支援やQOL向上を重視
- リハビリ・栄養管理・日常生活支援も提供
- スタッフ体制は急性期より簡素だが多職種連携あり

療養病床と介護医療院の違い
療養病床は、慢性疾患などで長期療養が必要な患者様が医療的ケアを受けながら入院できる病床です。一方、介護医療院は「住まいと生活を医療が支える新たなモデル」として創設された介護保険施設で、医療ケアと介護、日常生活支援を一体的に提供し、看取りにも対応できることが大きな特徴です。
療養病床と異なり、居室のプライバシー確保や地域との交流が重視されており、Ⅰ型(医療依存度が高い方向け)とⅡ型(容体が安定した方向け)の2類型があります。
療養病床からの移行先として位置づけられていますが、単なる代替施設ではなく、自立支援と尊厳の保持を理念に地域包括ケアを支える施設です。
なお、2024年3月31日をもって「介護療養型医療施設」(通称:介護療養病床)が廃止され、介護医療院へと順次移行されています。
出典:介護医療院|厚生労働省

【2025年最新】療養病床の廃止について
療養病床には、医療保険で運営される「医療療養病床」と、介護保険で運営されていた「介護療養病床」の2種類があります。このうち廃止されたのは介護療養病床のみです。
介護療養病床は、慢性期の高齢患者様が長期療養を受ける場として機能してきましたが、医療と介護の連携強化を目的に、2024年3月末で廃止されました。今後は「介護医療院」への転換が進められています。
一方、医療療養病床は引き続き存続し、医療依存度が高い患者様の長期療養を支える役割を担っています。

療養病床の必要性
療養病床は、医療依存度の高い患者様の受け入れ、家族の介護負担軽減、医療と生活支援の両立の3つの観点から必要とされています。
自宅や介護施設だけでは対応が難しい医療ケアを行いながら、患者様のQOL向上と家族の安心を支える重要な役割を果たしています。
ここでは、療養病床の必要性について詳しく解説するので、ぜひチェックしてみてください。
1. 医療依存度の高い患者様を支える
療養病床は、医療依存度の高い患者様を受け入れる役割を担っています。急性期治療を終えた後も、医療的ケアが継続的に必要な患者様に対応します。
ここでいう医療的ケアとは、医師や看護師が行う医療行為のうち、特定の条件のもとで介護職などが実施できる医療的援助を指します。
自宅や一般の介護施設では対応が難しい場合でも、療養病床では医師や看護師が24時間体制でケアを行えるため、安心して療養生活を送ることができるでしょう。
2. 家族の介護負担を軽減する
療養病床は、家族の介護負担を軽減する役割も担っています。在宅介護では対応が難しい重度の患者様も、療養病床では専門スタッフがケアを行うため、家族の精神的・身体的負担を大幅に減らせます。
特に高齢の家族や共働き世帯にとって、療養病床の存在は安心して暮らし続けるための大きな支えとなるでしょう。
3. 医療と生活支援の両立によるQOLの向上
療養病床では、医療だけでなくリハビリや栄養管理、日常生活の支援も受けられるため、医療と生活支援の両立が可能です。
これにより、患者様のQOLを維持・向上させることができます。QOLとは、「Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)」の略で、どれだけ自分らしく、満足できる生活を送れているかを評価する概念のことです。
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療養病床に入院できる人とは?
療養病床の利用者は、以下のような方々が中心です。
まず、脳卒中や心筋梗塞などの急性期治療を終えた後、重度の後遺症が残る方が対象となります。また、心不全・腎不全・呼吸不全などの慢性疾患があり、継続的な医療管理が必要な方も含まれます。
さらに、難病やがんの終末期にあり、積極的な治療ではなく、症状の緩和や生活支援を希望する方も多く利用しています。そのほか、重度の認知症や障害により、日常生活全般において介助が必要な方も対象です。
療養病床の対象となる人
療養病床に入院できるのは、急性期の治療を終え、病状は比較的安定しているものの、継続的な医療管理や看護を必要とする方です。対象となるのは、慢性疾患によって点滴・酸素投与・経管栄養・吸引処置が必要な方や、褥瘡のケアが求められる方などです。
また、ADLが低下し、食事・排泄・移動などに介助が必要な方も含まれます。ADL(Activities of Daily Living=日常生活動作)とは、食事や排泄、入浴など、日常生活を営む上で基本となる動作のことです。
ここでは医療的な入居条件とADLの低下に伴う自力での生活が難しい方の2つに分けて解説します。
具体的な入院条件
療養病床の対象は、急性期治療を終えてもなお医療的処置が必要な方です。たとえば、点滴の持続管理、酸素吸入、褥瘡の治療、経管栄養(胃ろうや鼻チューブ)や口腔・気管内吸引など、日常的に医療行為が求められるケースが該当します。
医師や看護師の定期的な管理が必要なため、在宅や一般施設では対応困難な方が多く利用します。
日常生活動作(ADL)が低下した場合
日常生活動作(ADL)が著しく低下しており、自力で食事・排泄・移動・入浴などが難しい方も、療養病床の入院対象です。
身体的な機能障害や認知症により、常時の介助が必要な場合、専門スタッフによる支援が受けられる環境が求められます。生活の質を維持するためのきめ細やかな介護が提供されます。

療養病床を選ぶときのポイント
療養病床を選ぶかどうかは、患者様本人とご家族にとって重要な判断です。長期療養を前提とするため、医療体制のほか、リハビリや生活支援の充実度、面会の可否、費用負担など、幅広い観点から検討が必要です。
特に、在宅療養が難しい医療依存度の高い方や、介護負担が大きい家庭にとって、療養病床は有力な選択肢となります。療養病床では、医療だけでなくQOLを高めるための多職種によるチームケアが提供されます。
一方、一般病床は急性期医療が中心で、長期的な療養には不向きです。費用面でも違いがあるため、公的助成制度の活用も視野に入れた検討が求められます。
【選択時に考慮すべきポイント】
- 医療体制の充実度(医師常駐、夜間体制など)
- リハビリや生活支援の内容
- 面会のしやすさや家族のアクセス
- 入院費用と支援制度の有無
- 将来的な在宅復帰への支援体制
療養病床のメリット
療養病床では、医療処置に加え、リハビリや栄養管理、生活支援といった幅広いサービスが受けられます。
理学療法士や管理栄養士、ソーシャルワーカーなど多職種によるチームケアにより、患者様一人ひとりに合わせたケアが提供され、QOL(生活の質)の維持・向上が期待できます。長期療養を必要とする方にとって安心できる環境です。
費用面の違いと対策
一般病床は医療費が高くなる傾向にあるものの、入院期間は比較的短いため費用負担も一時的です。
一方、療養病床は長期入院が前提となるため、医療費に加えて食費や居住費などの自己負担が継続的にかかります。そのため、高額療養費制度や自治体の助成制度などを活用して、経済的な負担を軽減することが重要です。

療養病床の費用と入院期間
療養病床では、医療費に加えて食費や居住費など多くの費用がかかります。長期入院になることも多いため、費用負担や利用できる制度を正しく理解しておくことが重要です。ここでは、費用の内訳や入院期間の目安、公的支援制度について詳しく解説します。
療養病床にかかる医療費

療養病床の費用は、医療費だけでなく、食費や居住費、日用品費など多岐にわたります。医療費は健康保険が適用されるため、自己負担割合は年齢や所得によって異なり、一般的には1割から3割です。
後期高齢者医療制度を利用している場合、75歳以上の方は原則1割負担(一定所得以上は2割または3割)となります。高額療養費制度を活用すれば、1か月あたりの自己負担額に上限が設けられ、家計への負担を大きく抑えることができます。
出典:後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい? | 政府広報オンライン
食費や居住費については、医療保険の対象外となるため全額自己負担ですが、所得に応じて減額される「食事療養費・生活療養費の標準負担額減額制度」もあります。
生活保護を受給している方や低所得者の場合、さらに負担が軽減される場合もあるため、各自治体や医療機関の相談窓口で確認しましょう。
入院期間の一般的な目安
厚生労働省「病院報告(令和6年3月分概数)」によると、療養病床の平均在院日数は下記の通りです。
区分 | 令和6年1月 | 令和6年2月 | 令和6年3月 |
---|---|---|---|
病院 | 125.0日 | 116.3日 | 117.0日 |
診療所 | 104.2日 | 98.6日 | 87.9日 |
たとえば、脳卒中後の重度障害や、進行性の難病、認知症による生活全般の介助が必要な方などは、長期入院が前提となることが多いです。反対に、リハビリや医療ケアを受けながら在宅復帰を目指す方の場合は、医師や多職種チームによる定期的な評価をもとに、退院や転院のタイミングが検討されます。

療養病床の制度と基準
療養病床と呼ばれる病床には様々な制度と基準が存在しています。例えば病床数や面積、スタッフの人数、緊急時の対応体制などが基準として存在しています。ほかにもどんな基準があるのか見ていきましょう。
厚生労働省のガイドライン
療養病床の運営や設置には、厚生労働省が定めたガイドラインや基準が適用されます。これらのガイドラインは、患者様が安全かつ適切な医療を受けられるようにするためのもので、医師や看護師の配置基準、必要な医療機器や設備、感染症対策、リハビリテーション体制などが細かく規定されています。
2024年度の診療報酬改定では、患者様の状態や必要な医療機能に応じた評価体系が見直され、医療区分とADL区分に基づく30分類評価体系が導入されています。これにより、患者様一人ひとりの状態に応じた適切な医療とケアが提供される仕組みが強化されています。
療養病床の設置基準とは?

療養病床の設置には、病床数や面積、スタッフの人数、緊急時の対応体制など、さまざまな基準が設けられています。
たとえば、看護師や看護補助者の配置は、入院患者様4人に対して1人が原則ですが、経過措置として6対1まで緩和されている場合もあります。
また、医師は48人に1人以上(常勤3人以上)、100床以上の病院では栄養士または管理栄養士の配置が義務化されていること、職種ごとに具体的な配置基準が定められています。
さらに、病室の面積は1人あたり6.4㎡以上、食堂や談話室、浴室、リハビリ室などの共用設備も必要です。これらの基準は、患者様の安全とQOLを守るために不可欠なものです。
制度の変遷と方向性
療養病床の制度は、社会の高齢化や医療ニーズの変化に応じて見直されてきました。かつては「介護療養型医療施設」も存在していましたが、制度改正により廃止され、現在は医療療養病床が中心となっています。
今後は、在宅医療や地域包括ケアシステムの推進により、療養病床の役割もさらに変化していくと考えられます。医療と生活支援をより一体的に提供する体制や、地域の医療・福祉資源との連携強化が求められています。
出典:介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯|厚生労働省
療養病床の質の確保と多職種連携
療養病床では、医師や看護師だけでなく、リハビリスタッフ、管理栄養士、薬剤師、ソーシャルワーカーなど多職種が連携してケアにあたります。患者様ごとに個別のケアプランを作成し、定期的に見直しを行うことで、最適な療養環境を提供しています。
また、厚生労働省は定期的な監査や指導を通じて、療養病床の質の維持・向上を図っています。感染症対策や褥瘡予防、リハビリの実施状況、患者様・家族への説明責任など、多岐にわたる評価項目が設けられており、療養病床が単なる「長期入院の場」ではなく、患者様の尊厳やQOLを守る医療拠点として機能することが期待されています。
出典:保険診療の理解のために 【 医 科 】 (令和 6 年 度 )|厚生労働省
地域包括ケアとの連携
近年は、療養病床と地域包括ケアシステムの連携が強化されています。これは、病院だけでなく、地域の診療所や訪問看護、福祉サービスと連携し、患者様が住み慣れた地域で療養生活を送れるようにする取り組みです。
退院後の在宅医療や訪問リハビリ、地域のケアマネジャーとの情報共有など、切れ目のない支援体制が重視されています。これにより、療養病床での長期入院後も、スムーズに在宅や施設への移行が可能となり、家族の負担軽減や本人の希望に沿った生活が実現しやすくなっています。
短期入所と長期入所の違い
療養病床には、短期入所と長期入所の両方のニーズがあります。短期入所は、在宅療養中の患者様が一時的に医療管理やリハビリを受けるために利用するケースです。たとえば、家族のレスパイトや在宅環境の整備、症状の急変時などに活用されます。
短期入所は、在宅復帰を目指す患者様や、在宅生活を継続するための一時的なサポートとして重要です。医療的な処置やリハビリを集中的に受けることで、患者様の身体機能の回復や維持が期待できます。
一方、長期入所は、在宅復帰が難しい重度の障害や認知症、進行性疾患の患者様が、生活の場として療養病床で過ごす場合です。長期にわたり医療と生活支援を受けながら、患者様本人の尊厳やQOLの維持が図られます。
長期入所では、医療的な管理だけでなく、日常生活の介助やリハビリ、レクリエーション活動など、生活全般にわたるサポートが提供されます。家族にとっても、専門スタッフによるケアが受けられることで、精神的・身体的な負担が大きく軽減されます。

療養病床のある病院の探し方
療養病床が必要とわかっても、どの病院を選べばよいか迷う方は多いものです。
ここでは、療養病床のある医療機関の種類や選び方のポイント、公的な情報源の活用方法、見学時に確認すべき項目など、信頼できる病院を見つけるための具体的な方法を解説します。
療養病床がある病院の種類
療養病床を探す際は、まずどのような医療機関に療養病床が設置されているかを知ることが重要です。療養病床は主に中規模から大規模の病院に設置されており、地域の中核病院や、医療療養型の専門病院、さらには一部の診療所でも運営されています。
特に高齢者医療や慢性疾患に特化した病院では、療養病床の割合が高く、長期療養や医療依存度の高い患者様への対応が充実しています。近年では、在宅医療や地域包括ケアと連携した療養病床を持つ病院も増えており、患者様の状態やニーズに合わせて柔軟に対応できる体制が整っています。
病院選びで比較すべきポイント
療養病床を選ぶ際には、いくつかのポイントを比較・検討することが大切です。まず、医療スタッフの配置や専門性、リハビリや栄養管理の体制、感染症対策などの医療体制を確認しましょう。
また、施設の清潔さやバリアフリー対応、面会や外出のルール、レクリエーションや生活支援の充実度も重要な要素です。
さらに、病院の立地やアクセス、家族の面会のしやすさも、長期療養を考えるうえで大きなポイントとなります。
公的な情報や相談先を活用する
療養病床のある病院を探す際には、公的な情報源や相談窓口を活用するのが効果的です。たとえば、各都道府県や市区町村の医療機関リスト、地域包括支援センター、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなどが、患者様や家族の状況に合った病院を紹介してくれます。
また、インターネット上の医療機関検索サイトや口コミ情報も参考になりますが、最終的には実際に見学したり、担当者と面談して雰囲気や対応を確認することが安心につながります。
見学や相談で確認したいポイント
病院選びの際は、実際に施設を見学し、スタッフの対応や患者様への接し方、病室や共用スペースの環境を自分の目で確かめることが大切です。
見学時には、医療や介護の体制、リハビリやレクリエーションの内容、食事や生活支援のサービス、費用や入院までの流れなど、気になる点を積極的に質問しましょう。
また、入院後の定期的な面談やケアプランの見直し、退院支援や在宅移行のサポート体制についても事前に確認しておくと安心です。

療養病床の病院選びで大切なこと
療養病床のある病院を探す際は、医療体制や生活支援の充実度、立地やアクセス、スタッフの対応など、さまざまな観点から比較・検討することが重要です。
公的な情報源や専門家のアドバイスを活用し、実際に見学や相談を重ねて、自分や家族にとって最適な療養環境を選びましょう。長期療養を安心して過ごすためには、信頼できる病院選びが大きな鍵となります。

療養病床のメリット・デメリット
療養病床には、安心して医療や介護を受けられる一方で、費用や生活面での課題もあります。
ここでは、療養病床の主なメリットとデメリットを整理し、適切な療養環境を選ぶためのポイントを解説します。患者様とご家族にとって納得のいく選択ができるよう、ぜひチェックしてみてください。
療養病床のメリット
療養病床を利用する最大のメリットは、医療依存度が高い患者様でも24時間体制で医師や看護師の管理・ケアを受けられる点です。
慢性疾患や重度の障害、認知症などで在宅療養が難しい場合でも、専門スタッフが常駐しているため、安心して長期療養が可能です。リハビリや栄養管理、服薬管理なども多職種連携で行われ、患者様一人ひとりに合わせた個別のケアプランが作成されます。
また、ご家族にとっても介護負担が大きく軽減されることは大きな利点です。特に、在宅介護では夜間や急変時の対応に不安を感じることが多いですが、療養病床なら緊急時も迅速な医療対応が可能です。
さらに、終末期ケアやレスパイト入院など、患者様とご家族双方のニーズに柔軟に対応できる体制が整っています。
療養病床のデメリット
一方で、療養病床にはいくつかのデメリットも存在します。まず、長期入院による医療費や食費・居住費などの経済的負担が継続的に発生します。
高額療養費制度や減額制度を活用できる場合もありますが、在宅療養や一般の介護施設と比べて費用が高くなるケースも少なくありません。
また、入院生活が長期化すると、患者様の社会的な孤立感や生活の単調さが課題となることもあります。家族との面会や外出に制限がある場合、精神的なストレスや認知機能の低下につながることも指摘されています。
さらに、療養病床の数には地域差があり、希望する病院への入院がすぐに叶わない場合もあります。
適切な選択のためのポイント
療養病床を選択する際は、メリット・デメリットをよく理解し、患者様本人とご家族の希望や状況に合わせて最適な療養環境を検討することが大切です。医療機関の見学やスタッフとの面談を通じて、医療・介護体制や生活支援の内容、費用、面会ルールなどを事前に確認しましょう。
また、在宅医療や地域包括ケア、一般の介護施設など他の選択肢とも比較し、将来的な生活設計や終活も視野に入れて検討することが重要です。
必要に応じて医療ソーシャルワーカーやケアマネジャー、地域包括支援センターなど専門家のアドバイスを受けることで、納得のいく選択につながります。

まとめ
療養病床は、急性期治療後も継続的な医療管理が必要な方や、慢性疾患・認知症などで在宅療養が困難な方に対し、医療と生活支援を一体的に提供する医療施設です。
医師、看護師、リハビリスタッフ、管理栄養士など多職種が連携し、患者様一人ひとりの状態に応じたケアを行うことで、QOLの維持とご家族の介護負担軽減を実現します。
一方で、費用負担の長期化や社会的孤立、地域による病床数の偏りなどの課題もあり、利用にあたっては医療体制、生活支援、費用面、家族支援の有無などを十分に比較・検討することが必要です。
地域包括ケアや在宅復帰支援との連携も重要で、患者様本人の希望や将来設計に合わせた選択が求められます。療養病床の利用は、医療だけでなく終活の一環としても考えられ、ご家族と共に将来を見据えた話し合いを行うことが、安心して療養生活を送る鍵となります。
よくある質問
Q.療養病床と一般病床の違いは何ですか?
療養病床は、急性期治療後も長期的に医療管理や看護が必要な患者様向けで、慢性疾患や重度障害、認知症など医療依存度が高い方が対象です。一般病床は主に急性期の治療や手術、検査を目的とした短期入院が中心です。
Q.どのような基準で療養病床の対象になるか決まりますか?
医師の診断や医療の必要性、日常生活の自立度などをもとに判断されます。例えば、点滴や吸引、酸素療法などの医療行為が日常的に必要な方や、寝たきり状態で常時看護が必要な方などが対象です。地域の医療機関やケアマネジャーに相談するのが第一歩です。
Q. 費用はどれくらいかかりますか?
医療費の自己負担割合は年齢や所得で異なり、1割~3割です。加えて食費や居住費、日用品費がかかります。高額療養費制度や減額制度で負担軽減も可能です。
Q.どんな人が療養病床を利用できますか?
急性期治療後も医療管理や看護が必要な方、慢性疾患や難病、重度の認知症や障害で在宅療養が困難な方が主な対象です。医師やケアマネジャーと相談して決めます。
Q.家族の面会や外出はできますか?
病院ごとにルールが異なり、感染症対策や患者様の状態によって制限される場合があります。事前に病院に確認しましょう。
Q.療養病床のある病院はどうやって探せばいいですか?
地域包括支援センターや医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャーに相談することで紹介してもらえます。見学や面談で医療体制や費用なども確認しましょう。
Q.入院中のリハビリや生活支援は受けられますか?
はい。多職種チームによるリハビリや栄養管理、日常生活の支援などが提供されます。患者様ごとに個別のケアプランが作成されます。
Q.終末期ケアや看取りも対応していますか?
多くの療養病床では終末期ケアや看取りにも対応しており、痛みの緩和や精神的サポート、ご家族への支援も行われています。
Q.費用負担を軽減する制度はありますか?
高額療養費制度や医療費控除、所得に応じた食費・居住費の減額制度などが利用できます。詳しくは病院や自治体の窓口で相談してください。
Q.在宅復帰や他施設への転院はできますか?
状態が安定し、在宅や他施設での生活が可能と判断された場合は、退院や転院が可能です。退院支援や在宅移行のサポートも受けられます。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
