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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用相場の内訳・平均は?

庭のある部屋にベッドと車椅子がある

「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用は高い?」「月々の支払いにどんな項目が含まれているの?」という疑問や不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。

本記事では、全国の費用相場と料金表をもとに、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の初期費用の内訳・介護保険の活用法・家賃補助制度・地域差などをわかりやすく解説します。

夫婦で入居する場合の費用目安や、費用を抑える公的支援も紹介するので、予算やライフスタイルに合った住まい選びの参考にしてください。

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サービス付き高齢者向け住宅の模型と、お札と計算機が並んでる
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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用相場

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用は、厚生労働省が平成26年度(2014年)に実施した「高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する実態調査」によると、月額平均約14.0万円(家賃・共益費・基本サービス費・食費・光熱費を含む)であり、うち家賃部分は約6.0万円とされています。

ただし、このデータは2014年時点のものであり、現在の経済状況を踏まえると、実際の費用は上昇傾向にあります。総務省「消費者物価指数(住居・光熱費項目)」によると、2020年を基準(100)とした場合、2024年10月の食料品指数は112.0となっており、12.0%上昇しています。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用は、国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の入居費用(令和5年8月末時点)」によると、基本費用(家賃、共益費、サービス費の合計)の全国平均は月額約11.0万円です。

このうち、厚生労働省「高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する実態調査(平成26年度)」のデータを参考にすると、家賃部分は約6万円前後が目安とされています。

ただし、この基本費用には食費や光熱費は含まれていません。食事サービスを利用する場合は別途月額3.5〜4.5万円程度、光熱費は月額1〜1.5万円程度が必要となります。

したがって、生活に必要な総額としては月額15.5〜17万円程度を見込む必要があります。

サービス付き高齢者向け住宅は食費の有無・地域・設備グレードにより大きく差が出るため、比較時には総額ベースで検討することが重要です。

項目

平均月額

(2014年)

物価上昇補正後

(2025年推計)

備考

総額(家賃+共益費+サービス費+食費+光熱費)

約14.0万円

約15.5〜16.0万円

地域・サービス内容により変動

家賃

約6.0万円

約6.5〜7.0万円

地方:5万円台、都市部:7万円超

食費

約3.0〜3.5万円

約3.5〜4.0万円

物価上昇影響大

共益費・サービス費・光熱費

約4.0〜4.5万円

約5.0万円前後

設備・人件費上昇を反映

出典:高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する 実態調査 報告書
出典:情報提供 サービス付き高齢者向け住宅の現状等
出典:サービス付き高齢者向け住宅等 の月額利用料金|厚生労働省

月額表と計算機
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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の月額費用の内訳

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の月額費用は、家賃・共益費・サービス費・食費・光熱費の5つが中心です。

厚生労働省「高齢者向け住まい実態調査(平成26年度)」を基に、2025年の物価・人件費の上昇を踏まえた最新の推計値を以下に示します。

項目

推計費用(月額)

備考

家賃

6.5〜7.0万円

都市部は7万円超も

共益費

1〜2万円

設備・建物規模による

サービス費

2.5〜3.5万円

安否確認・生活相談等

食費

3.5〜4.5万円

任意契約、物価上昇の影響大

光熱水費

1〜1.5万円

個別契約か共益費込みか要確認

合計

約15.5〜16.5万円前後

2025年の実勢水準


2025年現在のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の平均月額費用は15〜16万円台が目安となります。

施設によっては、介護サービス費(介護保険自己負担分)やオプション費用が別途かかるため、入居前に詳細な見積もりを確認することが大切です。

出典:高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する 実態調査 報告書
出典:情報提供 サービス付き高齢者向け住宅の現状等
出典:サービス付き高齢者向け住宅等 の月額利用料金|厚生労働省

① 家賃

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の家賃は、調査当時平均約6.0万円でした。近年は建築費や土地価格の上昇により、2025年時点では6.5〜7.0万円前後が目安とされています。

都市部(東京・神奈川など)では7〜8万円前後、地方では5〜6万円台に収まるケースが多く、立地による差が最も大きい項目です。

② 共益費

共益費は、建物の共用部分(廊下・エントランス・エレベーター等)の維持管理や水道光熱費の一部に充てられる費用です。


平均は1〜2万円前後で、建物の規模や設備(エアコン・防災設備など)によって変動します。新しい施設ほど共益費が高い傾向にあります。

③ サービス費(基本サービス費)

安否確認や生活相談など、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に義務付けられた基本サービスに対する費用です。

厚生労働省の「高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する実態調査(平成26年度)」によれば、サービス付き高齢者向け住宅における 基本サービス相当費(いわゆるサービス費部分) は、当時「2〜3万円前後」が中心となる水準であるとの報告があります。

この水準をベースに、物価上昇や人件費高騰を勘案すると、2025年時点でも 2.5〜3.5万円程度 と見込むのが妥当と考えられます。

④ 食費

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で食事提供を受ける場合は、月3.5〜4.5万円前後が目安です。(1日3食30日換算で1,200〜1,500円程度)

契約は任意で、外部利用者は自炊や宅配弁当などを選ぶことも可能です。食費は物価変動の影響を最も受けやすい項目であり、施設選びの比較ポイントになります。

⑤ 光熱水費

各居室の電気・ガス・水道代で、月1〜1.5万円程度が一般的です。共益費に含まれる場合もありますが、個別契約型では別途支払いが必要です。冬季や夏季には季節変動もあります。

初期費用の文字が書いてあるブロック
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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の初期費用の内訳

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」に基づく賃貸住宅です。そのため、入居時に必要となる費用も、一般的な賃貸契約に準じた内容となります。

項目

費用目安

備考

敷金

家賃の2〜3ヶ月分

(13〜20万円)

退去時に精算・返還あり

礼金

0円(不要な施設が多い)

発生する場合もあるため要確認

入居一時金

一般型:原則不要

介護型:約15-50万円前後

高級・介護一体型は要確認

火災保険料

1〜2万円(2年分)

賃貸契約に準じる

保証会社利用料

1〜2万円

必須の場合あり

合計目安

15〜25万円前後

都市部・高額家賃の場合は上振れあり

出典:サービス付き高齢者向け住宅等 の月額利用料金|厚生労働省

① 敷金

敷金は、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入居する際に発生する傾向にあります。国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅登録制度」では、家賃の2〜3か月分程度が目安とされています。

退去時の原状回復費用に充てられ、返還される性質の費用です。ただし、入居時の家賃が6.5万円の場合、敷金は13〜20万円前後が一般的です。

② 礼金・仲介手数料

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は礼金を不要としている施設が多く、仲介手数料も発生しないケースが一般的です。


運営事業者が直接募集を行う場合が多いため、民間賃貸のような手数料は発生しません。ただし、一部の民間事業者が運営する施設では、契約形態により発生する場合もあります。

③ 入居一時金

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は自立した方の入居を想定した「一般型」と介護ケアを要する方の入居を想定した「介護型」の2つに分けられます。

項目

一般型サ高住

介護型サ高住

入居対象者

主に自立~軽度の要支援・要介護者

要介護度が中~重度の高齢者

提供サービス

安否確認・生活相談などの「基本サービス」が中心

介護スタッフ常駐による介護サービスや生活支援が充実

介護サービスの提供方法

外部の介護事業所(訪問介護・デイサービス等)を利用

建物内で介護サービスを一体的に提供(内部介護事業所あり)

職員体制

日中のみスタッフ常駐のケースも多い

24時間スタッフ常駐が一般的

居室・設備

自立生活を前提に、キッチン・浴室付きの個室が多い

介護対応を想定し、居室内の設備が簡素な場合もある(共用浴室など)

医療・看護体制

医療機関との連携中心(訪問診療など)

看護職員常駐や医療連携体制が強化されている場合あり

費用の名称

敷金(保証金)

入居一時金

最頻価格帯

約15〜30万円

約15〜50万円

入居一時金の有無

敷金・礼金のみで「一時金なし」の場合が多い

前払金(入居一時金)が必要な場合が多い

月額費用

10万~20万円前後(地域・設備により変動)

20万~30万円以上(介護費込み)

契約形態

建物賃貸借契約

(普通賃貸借)

利用権方式または賃貸借型

(施設により異なる)


一般型サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、原則として「入居一時金不要」が基本です。これは、有料老人ホームのように「終身利用権」を購入する方式ではなく、賃貸借契約による入居であるためです。
 

ただし、一部の高級サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)やサービス付き住宅型有料老人ホームでは、入居一時金を設定しているケース(数十万円〜数百万円)もみられます。契約時には、入居形態(賃貸型か終身型か)を必ず確認しましょう。

④ 火災保険料・その他の初期費用

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の初期費用には、敷金のほかにも契約時に必要な付随費用がいくつかあります。

特に、火災保険料や前払い家賃、保証会社の利用料は、入居時の負担として見落とされがちな項目です。

契約内容や運営事業者によって金額や有無が異なるため、事前に見積書で細部を確認することが大切です。以下に主な項目の目安を示します。

  • 火災保険料:2年間で1〜2万円前後が目安
  • 前払い家賃:契約時に1ヶ月分を先払いする場合あり
  • 保証会社利用料:高齢者の単身入居では、保証会社を利用するケースがあり、1〜2万円が相場

これらは一度きりの支払いですが、施設によっては契約更新時にも再加入が必要な場合があります。

初期費用の総額を正確に把握するためには、契約前に「一時費用一覧」や「重要事項説明書」を確認し、追加費用がないかを必ず確認しておきましょう。

車椅子の高齢者夫婦が庭でくつろいでる
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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に夫婦で入居する場合の費用目安

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では、夫婦での入居が可能な2人部屋(1LDK〜2DKなど)を設けている施設もあります。

東京都内では、月額費用が18万〜30万円前後、入居時の初期費用は20万〜60万円程度が目安です。中央値では、月額約24〜25万円、初期費用38〜40万円前後の施設が多く見られます。

費用が高くなる主な理由は、家賃や共益費、サービス費、食費が2人分必要となるためです。光熱費は共用か個別契約かで変動します。

夫婦で同じ住まいに暮らせる安心感が大きな魅力ですが、施設によって間取りや料金設定が異なるため、2人入居が可能か、費用体系を事前に確認しておきましょう。

夫婦で入居する場合、単身用より広い居室(1LDK〜2DK)が必要となるため、家賃や共益費が高くなる傾向があります。

一般的に、単身用の費用(月額15〜17万円)に対して、夫婦用は以下のような費用構造となります。

- 家賃:単身用の1.3〜1.8倍程度

- サービス費:2人分必要な場合が多い

- 食費:2人分(月額7〜9万円)

- 光熱費:単身用の1.2〜1.5倍程度

総額では月額20〜28万円程度を見込む必要があります。ただし、施設によって料金設定が大きく異なるため、入居を検討する際は複数の施設で見積もりを取り、比較することをおすすめします。

また、初期費用(敷金)も家賃に応じて高くなります(家賃の2〜3か月分)。

スマホと通帳を持ってる高齢者
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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用を抑える方法【公的支援制度と減免措置】

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用は月15万円前後が一般的ですが、公的支援制度や介護保険の併用を活用することで、実質的な負担を抑えることが可能です。


ここでは、国の制度や自治体の助成、生活保護の住宅扶助など、代表的な3つの方法を紹介します。

① 自治体独自の家賃補助制度

一部の自治体では、低所得の高齢者を対象に家賃補助制度を設けている場合があります。

例えば、荒川区の「高齢者住み替え家賃等助成事業」では、一定の条件を満たす高齢者世帯に対して、転居後の家賃との差額を月額上限4万円まで助成しています。

また、大阪府摂津市では、月額家賃が5万円以下の世帯に対して家賃の3分の1(上限1万円)までが補助されます。

※各自治体の制度は変更される可能性があります。最新情報は必ずお住まいの自治体にお問い合わせください。

② 介護保険サービスの併用

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の月額費用には、介護保険サービスの利用料は含まれていません

ただし、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は「自宅」として扱われるため、訪問介護・訪問看護・通所介護(デイサービス)などの在宅介護サービスを自由に組み合わせて利用できます。

これにより、必要な介護を受けつつ、自立生活を維持しながら費用を最適化できます。

介護保険の自己負担割合は、所得に応じて1〜3割で、要介護度に応じた限度額の範囲内で利用可能です。介護保険サービスを利用する際の自己負担割合は、所得に応じて以下のように設定されています。

【65歳以上の方】

- 1割負担:本人の合計所得金額が280万円未満

- 2割負担:下記いずれかに該当する方

・本人の合計所得金額が160万円〜220万円未満かつ合計所得金額が単身世帯の場合280万円以上、または夫婦世帯の場合346万円以上

・本人の合計所得が220万円以上かつ合計所得金額が単身世帯の場合に本人の合計所得金額が340万円以上、または夫婦世帯の場合463万円以上

- 3割負担:本人の合計所得金額が220万円以上かつ単身世帯の場合に本人の合計所得金額が340万円以上、または夫婦世帯の場合463万円以上

【40歳以上65歳未満の方】

- 1割負担(一律)

※2024年度の介護保険法改正では、当初検討されていた2割負担対象者の拡大が、物価高騰など高齢者の生活への影響を考慮して見送られ、現行制度(1割負担:合計所得金額280万円未満、2割負担:280万円以上340万円未満、3割負担:340万円以上)が維持されています。

また、要介護度に応じて月額の支給限度額が設定されており、限度額を超えた分は全額自己負担となります。

介護が必要な方は、ケアマネジャーを通じて介護計画(ケアプラン)を作成し、無駄のないサービス設計を行うことが大切です。


出典:介護保険制度の概要 |厚生労働省

③ 生活保護受給者の利用

生活保護を受給している場合でも、条件を満たせばサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入居は可能です。

生活保護制度の中には、住宅扶助と生活扶助があり、家賃や基本的な生活費を自治体が上限額内で支給します。

施設側が生活保護受給者の受け入れに対応していれば、自己負担をほぼゼロに近づけることも可能です。

ただし、地域ごとの住宅扶助基準や受け入れ条件が異なるため、事前に自治体の福祉課や生活保護担当窓口で確認することが必要です。


出典:生活保護制度 |厚生労働省

青い屋根の家と周りにグラフの紙が散らかってる
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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の地域別の費用差

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用は、地域による家賃水準・物価・人件費の違いによって大きく変動します。

国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅登録情報」に基づく各自治体データを参照すると、以下のような傾向があります。

地域区分

基本費用(月額)

総額(推計)

主な特徴

東京都・神奈川県

約13〜15万円

約18〜20万円

地価・人件費が高く、家賃が高額

大阪府・愛知県など都市圏

約11〜13万円

約16〜18万円

交通利便性の高い立地に集中

地方都市(東北・九州など)

約9〜11万円

約14〜16万円

比較的安価な家賃設定

地方郡部・郊外エリア

約8〜10万円

約12〜15万円

シンプルな構造、食費別契約が主流

※基本費用:家賃+共益費+サービス費

※総額:基本費用+食費(3.5〜4.5万円)+光熱費(1〜1.5万円)

出典:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム(令和5年8月末)」を基に推計

全国平均はおおむね約14〜15万円前後と推定され、都市部と地方では月額5万円程度の差が見られます

施設選びの際は、「立地」と「サービス内容」のバランスを重視することがポイントです。

笑顔の女性が手続きの説明をしている
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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の入居までの流れ・必要な手続き

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入居は、以下の手順で進めるのが一般的です。

1. 希望条件の整理

住みたい地域、予算、必要なサービスを明確にします。国土交通省が提供する「サービス付き高齢者向け住宅 情報提供システム」を活用して候補を絞り込みましょう。

2. 施設への問い合わせ・見学

候補施設に連絡し、見学を予約します。設備や職員体制、費用内訳を確認します。見学時に「重要事項説明書」を受け取り、契約条件を理解しておくことが大切です。

3. 仮申し込み・審査

健康診断書や収入証明書などを提出し、入居審査を受けます。身元保証人を求められる場合もあります。

近年、身寄りがない高齢者の増加により、介護施設入居時の保証人や身元保証人の確保が難しいケースが増えています。こうした場合の主な代替手段として、以下のような方法があります。

1. 民間の身元保証サービス(身元保証会社)を利用する

信頼できる身元保証会社と契約することで、施設側が求める緊急連絡先や契約時の連帯保証、万が一の際の対応(葬儀・遺品整理など)を代行してもらえます。契約には一定の費用がかかりますが、法的根拠や実績がある会社を選ぶことが重要です。

2. 成年後見制度の利用

認知症や判断能力に不安がある方には、家庭裁判所を通じて「成年後見人」を選任してもらうことができます。後見人が法的代理人として契約手続きを行うことで、保証人が不要となる施設もあります。

3. 地域包括支援センターや自治体への相談

地域包括支援センターでは、身元保証人が見つからない場合の相談に応じ、地域の支援サービスの紹介や成年後見制度の利用支援などを行っています。

また、社会福祉協議会と連携した日常生活自立支援事業の紹介なども行っています。

4. 家族信託や任意後見契約などの法的手続きの活用

将来を見据え、信頼できる第三者に財産管理や意思決定を託す「家族信託」や「任意後見契約」も選択肢になります。これにより、施設入居後の生活支援や金銭管理をスムーズに進められます。

4. 契約・初期費用の支払い

審査通過後、賃貸借契約を締結し、敷金や前払い家賃、火災保険料などを支払います。契約書・説明書の内容を十分に確認しましょう

5. 入居・生活開始

入居後は、スタッフによる安否確認や生活相談などの基本サービスを受けながら、必要に応じて介護保険サービスを組み合わせた支援を受けることができます。

日々の体調や生活リズムを見守ってもらえる環境の中で、自分らしい暮らしを続けられるようサポートが行われます。

笑顔で女性スタッフが高齢者の手を優しく重ねている
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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の「一般型」と「介護型」の違い

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)には、「一般型」と「介護型」の2種類があります。一般型は、主に自立生活が可能な高齢者や要支援の方を対象としており、提供されるのは安否確認と生活相談が中心です。

介護や医療サービスは外部の事業所を利用するため、自由度が高く、費用も月額15万円前後と比較的抑えられます

一方、介護型は施設内に介護スタッフが常駐し、生活支援や身体介護を一体的に提供します。要介護度が高い方も落ち着いて暮らせますが、月額費用は17〜20万円台と高くなる傾向があります。

項目

一般型サ高住

介護型サ高住

対象者

自立・要支援の方

要介護者(中〜重度)

提供サービス

安否確認・生活相談(必須)介護は外部サービス利用

施設内で介護・生活支援を一体的に提供

介護スタッフ

外部事業所が対応

常駐スタッフが対応

月額費用

約15万円前後

約17〜20万円台

自由度

高い(外出・サービス選択自由)

やや制限あり(手厚い支援)

高齢者向け施設の建物と印鑑とお札
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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と他の施設の費用比較

ここでは、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と、よく比較される「有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム(特養)」「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」の費用やサービス内容を比較します。

費用面だけでなく、入居条件やサポート体制の違いを理解することで、自分に合った住まいを選ぶ参考になります。

① 有料老人ホームとの比較

有料老人ホームは、介護・医療体制が充実している反面、入居一時金が必要な場合も多く、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)より費用が高めです。


一方で、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は安否確認や生活相談を中心に提供し、月額15万円前後と比較的リーズナブルです。

項目

有料老人ホーム

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

月額費用

18〜25万円前後

約15万円前後(食費・光熱費込)

入居一時金

必要な場合あり(数十万〜数百万円)

一般型:原則不要

介護型:約15-50万円前後

サービス内容

介護・医療体制が充実

安否確認・生活相談中心

対象者

要支援〜要介護

自立〜要介護

特徴

介護・看護スタッフ常駐

外部サービスを利用

② 特別養護老人ホーム(特養)との比較

特別養護老人ホーム(特養)は介護度が高い方が対象で、費用は安いものの、要介護3以上など入居要件が厳しく、待機者が多い点が課題です。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は入居要件が緩く、すぐに入居できる柔軟性があります。

項目

特別養護老人ホーム(特養)

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

月額費用

- 多床室:約10〜11万円

- 従来型個室:約10〜12万円

- ユニット型個室:約13〜15万円

(介護保険サービス利用料自己負担分、居住費、食費、日常生活費を含む)

約15万円前後(食費・光熱費込)

入居要件

原則:要介護3以上

自立〜要介護まで幅広く可

待機者数

多く、入居まで数ヶ月〜年単位

即入居可能な場合が多い

サービス内容

介護職員による生活支援・身体介護

安否確認・生活相談中心(介護は外部)

特徴

費用が安いが入居難易度が高い

自由度が高く、生活スタイル重視

※上記は標準的な費用の目安であり、所得に応じて負担限度額認定制度による減額がある場合があります。

③ 高齢者向け賃貸住宅との比較

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)以外にも、高齢者を受け入れる一般的な賃貸住宅が存在します。両者の違いは以下の通りです。

項目

一般的な賃貸住宅

サービス付き高齢者向け住宅

(サ高住)

月額費用

約8〜12万円前後(地域による)

約15万円前後(食費・光熱費込み)

契約形態

賃貸契約

賃貸契約

安否確認・生活相談

なし

義務あり(スタッフ常駐)

介護サービス

外部サービスを個別契約

外部サービスを利用可能

特徴

費用は安いが、高齢者の単独契約が難しい場合もある

高齢者向けに設計され、支援体制が整っている

※2011年10月の「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」改正により、従来の「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」は廃止され、サービス付き高齢者向け住宅に一本化されました。

サービス付き高齢者向け住宅の文字ががある小さな建物の模型
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まとめ

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用は、厚生労働省の実態調査に基づく平均値が約14万円前後であり、家賃部分は約6万円が目安です。

2025年現在は物価上昇の影響を受けて15万円前後となるケースもありますが、公的データに基づくベースラインを押さえることで、過大な予算を想定せずに済みます。

家賃補助制度や介護保険サービス、生活保護の住宅扶助などを活用することで、実質負担を数万円単位で軽減することも可能です。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入居を検討する際は、「公的データを基準に相場を把握」「自治体支援制度の有無を確認」「見積書で内訳を詳細に確認」することが、納得のいく選択につながるでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用に関連する質問

よくある質問

Q.サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の月額費用は全国平均いくらですか?
A.

厚生労働省の「サービス付き高齢者向け住宅等の月額利用料金」によると、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の月額費用は全国平均で約14万円です。

内訳は家賃約6万円、共益費・サービス費・食費・光熱費を合わせた総額となります。2025年現在は物価上昇により、15〜16万円前後が実勢相場といえます。


出典:サービス付き高齢者向け住宅等 の月額利用料金|厚生労働省

Q.サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用はいくらですか?
A.

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用は、以下の2つに分けて考える必要があります。

基本費用(必須):月額11〜13万円程度

- 家賃:6〜7万円

- 共益費:1〜2万円

- サービス費(安否確認・生活相談):2.5〜3.5万円

生活費(追加):月額4.5〜6万円程度

- 食費:3.5〜4.5万円(食事サービス利用の場合)

- 光熱費:1〜1.5万円

このほか、介護が必要な方は介護保険サービスの自己負担分(1〜3割)が別途発生します。地域や施設のグレードによっても費用は大きく異なるため、複数施設で見積もりを取ることをおすすめします。

介護サービスを利用する場合は別途、介護保険の自己負担分が発生します。食費契約や設備により費用差があります。

Q.サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入居するための条件は?
A.

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、60歳以上の方、または40歳以上60歳未満で要支援・要介護認定を受けた方が対象です

自立または軽度の介護が必要な方が想定され、医療的ケアが常時必要な方は入居制限がある場合もあります。

入居時には、健康状態や収入、身元保証人の有無が確認されることが一般的です。

身元保証人がいない場合には成年後見制度の利用や地域包括支援センターや自治体への相談など代替手段を検討しましょう。

Q.80歳から老人ホームに入る場合、費用はいくらですか?
A.

80歳で入居する場合も、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用は年齢によって変わりません。立地やサービス内容により異なりますが、月15〜16万円前後が目安です。

介護度が高くなると、別途介護保険サービスの自己負担が加わるため、総額で月18〜20万円程度と考えておくと良いでしょう。

豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
監修者

海野 和看護師

この記事の監修者情報です

2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。

【保有資格】

日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み

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