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- 認定介護福祉士に興味がある資格の内容や役割を知りたい方
- キャリアアップを目指したい介護福祉士の上位資格としてどんなメリットがあるのか知りたい方
- 資格取得の難易度や合格率を知りたい実際にどのくらいの学習量や経験が必要かを把握したい方
- 費用や講座の実態を知りたい受講料の目安や負担軽減の仕組みを確認したい方

認定介護福祉士になるには?
認定介護福祉士になるには、専門的な知識や技術を体系的に学ぶために「認定介護福祉士養成研修(全22科目)」を受講し、すべての単位を修了する必要があります。
研修を修了した後、認定機関である「認定介護福祉士認証・認定機構」に申請を行うことで、正式に認定介護福祉士として資格が付与されます。
なお、認定介護福祉士認証・認定機構は、認定介護福祉士の資格認定および養成研修の認証を通じて、質の高い介護実践と人材育成を推進する機関です。
出典:認定介護福祉士になるには | 認定介護福祉士認証・認定機構

そもそも認定介護福祉士とは?
認定介護福祉士とは、介護福祉士資格を持ち、実務経験を積んだ人が、より高度な専門知識と実践力を習得するための養成研修を修了し、所定の認定を受けた介護専門職です。
居宅や介護施設を問わず、多様な生活環境やニーズを持つ利用者に対応し、介護と医療の連携、チームマネジメント、地域包括ケアの推進など、幅広い分野での活躍が期待されます。
さらに、認定介護福祉士は自らの介護スキルを発揮するだけでなく、他の介護職員を育成・指導する役割も担います。利用者のQOL(生活の質)の向上や、地域全体の介護力強化といった社会的課題にも貢献する重要な存在です。
認定介護福祉士と介護福祉士の違いを徹底比較
認定介護福祉士は、介護の現場で直接支援を行う「プレイヤー」であると同時に、介護現場全体を高める「指導者・管理者」としての役割も担います。
そのため、現場での実践力に加え、チームマネジメントや医療・地域との連携力が求められ、地域包括ケアの中核を担う存在として幅広く活躍します。
項目 | 介護福祉士 | 認定介護福祉士 |
---|---|---|
資格区分 | 国家資格 | 民間資格 |
必要な実務経験 | 介護業務に関わる実務経験が3年以上が必要 | 介護福祉士として5年以上の実務経験 |
研修制度 | なし(資格取得時に学ぶ) | 養成研修Ⅰ類・Ⅱ類(全22科目) |
役割 | 利用者への直接支援 | 介護職の指導・チームマネジメント・地域連携 |
主な活躍の場 | 現場中心 | 現場+教育・マネジメント・地域支援など |
出典:認定介護福祉士と介護福祉士の違い | 介護の資格 net
出典:認定介護福祉士と介護福祉士の研修制度 | コメディカルドットコム

認定介護福祉士は意味がないと言われる理由
「認定介護福祉士は意味がないのでは?」という疑問の声が一部で挙がっています。その背景には、資格制度の浸透不足や現場ニーズとの乖離といった課題があると指摘されています。
本章では、認定介護福祉士が「意味がない」と言われてしまう理由を整理するとともに、この資格が本来果たすべき意義や役割について改めて解説します。
認定介護福祉士は介護報酬の加算対象外で処遇に直結しにくい
認定介護福祉士は制度上、介護報酬の加算対象外となっているため、資格を取得しても事業所にとっての経営的メリットが見えにくいのが現状です。
結果として、事業者が職員に取得を推奨する動機につながりにくく、現場の職員自身も「収入や処遇に直結しないなら意味がない」と感じてしまうケースがあります。
認定介護福祉士は受講費用や研修時間の負担が大きい
認定介護福祉士になるには、Ⅰ類・Ⅱ類をあわせて約600時間に及ぶ研修を受講する必要があり、費用も数十万円程度かかる場合があります。
勤務との両立が難しいことや経済的な負担の大きさから、学習意欲を継続しにくく、「意味がない」と捉えられる一因となっています。
認定介護福祉士は介護業界での知名度が低い
認定介護福祉士という資格は、まだ社会的な認知度が十分に高いとは言えず、取得を目指す人にとって不安要素のひとつとなっています。
施設や事業所内では努力や能力が評価される場合もありますが、転職や昇進、待遇改善といった場面では、一般的な評価基準として浸透していないのが現状です。
認定介護福祉士に現場から求められている力
認定介護福祉士が養成研修を通じて習得するのは、現場の中堅職として欠かせない判断力・連携力・育成力です。制度が十分に整備されていない現状だからこそ、こうした実践力を持つ人材は現場で強く求められています。
「認定介護福祉士は意味があるのか」という問いに対しては、制度上の恩恵だけで判断できません。実際には「現場でどう活躍するか」「後輩をどう育てるか」「チームにどう貢献するか」といった視点こそが、資格者に期待されている役割なのです。

認定介護福祉士になるまでの流れ
ここでは、認定介護福祉士になるまでの具体的なステップをわかりやすく解説します。
受講要件の確認から研修の修了、認定申請、登録、そして5年ごとの更新まで、すべての流れを順を追って整理しています。これから認定介護福祉士を目指す方にとって、全体像をつかむためのガイドラインとしてご活用ください。
STEP1:受講要件の確認
認定介護福祉士養成研修を受講するには、いくつかの前提条件を満たす必要があります。まず、介護福祉士の資格を取得し、その後5年以上の実務経験を積んでいることが求められます。
また、100時間以上の現任研修を修了していることも条件に含まれます。実施団体によっては、所定のレポート提出や試験で一定の評価を得ることが受講要件となる場合もあります。
さらに、小規模チームのリーダー経験や、居宅・施設の双方での支援経験を有していることが望ましいとされています。
出典:認定介護福祉士になるには | 認定介護福祉士認証・認定機構
区分 | 要件内容 | 備考 |
---|---|---|
必須 | 介護福祉士の資格を有していること | - |
必須 | 資格取得後の実務経験が5年以上あること | - |
必須 | 現任研修(介護職向け)の受講歴が100時間以上あること | 複数研修の合算も可 |
必須 | 所定のレポート課題または受講試験で一定の成績を修めていること | 実施団体により免除あり |
推奨 | 小チーム(5~10名)のリーダーとしての実務経験があること | ユニットリーダーなど |
推奨 | 居宅・居住(施設系)双方での生活支援経験があること | 両方の経験が望ましい |
その他 | 「介護福祉士基本研修」や「ファーストステップ研修」の受講が求められる場合がある | 実施団体により異なる |
場合によっては、「介護福祉士基本研修」や「ファーストステップ研修」の受講が必須となることもあるため、詳細は実施団体に確認しましょう。
STEP2:養成研修の受講
認定介護福祉士を目指すには、指定された養成研修を段階的に受講・修了する必要があります。
研修は「Ⅰ類(13科目)」と「Ⅱ類(9科目)」の2段階で構成されており、それぞれのカリキュラムをすべて修了することで、認定申請資格を得ることが可能です。
Ⅰ類では医療・認知症・リハビリなど基礎的かつ幅広い知識を習得し、Ⅱ類では指導力やマネジメント力に加え、地域包括ケアの視点を養います。
講義と演習を組み合わせた、実務に直結するカリキュラムが特徴で、現場経験を活かしながら高度な実践力を養うことができます。
区分 | 科目数 | 主な内容 | 修了要件 |
---|---|---|---|
Ⅰ類 | 13科目 | 医療とリハビリと福祉用具・住環境と認知症と心理・社会的支援と生活支援・介護過程などの基礎力強化 | 全科目の修了が必要 |
Ⅱ類 | 9科目 | 医療と心理・社会的支援とマネジメントと自立に向けた介護実践 | 全科目の修了が必要 |
出典:認定介護福祉士になるには | 認定介護福祉士認証・認定機構
出典:認定介護福祉士養成研修について | 認定介護福祉士認証・認定機構
STEP3:認定申請の手続き
養成研修の全科目を修了すると、認定介護福祉士として正式に認定を受けるために、所定の申請手続きを行う必要があります。
申請の際は、所定の認定申請書(DOCX形式)に必要事項を記入し、規定に基づいた添付書類を準備して、認定介護福祉士認証・認定機構に提出します。
提出前には、「認定規則」や「認定介護福祉士認定規則施行細則」を確認し、書類に不備がないよう十分に注意することが求められます。
申請が受理されると、次のステップとして「認定証の交付」に進み、正式に認定介護福祉士として登録されます。
STEP4:認定証の交付
必要書類を提出し、認定介護福祉士認証・認定機構の審査を通過すると、正式に「認定介護福祉士認定証」が交付されます。この認定証は、資格取得を証明する公的文書であり、今後の登録申請や更新手続きにおいても必須となる重要な書類です。
ただし、認定証が交付された段階では、まだ認定介護福祉士として名簿に正式登録された状態ではありません。
資格としての効力を発揮させるためには、次のステップである「登録手続き(STEP5)」を完了する必要があります。
STEP5:認定・登録手続き(登録証交付・名簿掲載)
認定証の交付を受けた後は、認定介護福祉士として正式に登録されるための手続きを行う必要があります。登録が完了することで、名簿に掲載され、資格としての効力が公的に認められます。
登録申請では、所定の申請書類を準備し、登録費用を納付したうえで、その領収証などの証明書を添えて提出する必要があります。申請内容に不備がなければ、後日「登録証」が交付され、正式に認定介護福祉士として活動できるようになります。
出典:認定介護福祉士養成研修について | 認定介護福祉士認証・認定機構
登録費用は返金不可となっており、機構が定めた期日までに申請を完了する必要があります。また、認定介護福祉士会員でない場合は、別途「活動推進費」(年会費相当)の支払いも求められます。
STEP6:登録完了(登録証交付・名簿掲載)
登録申請が受理され、必要書類と登録費用の確認が完了すると、正式に「認定介護福祉士登録証」が交付されます。同時に、公式名簿に氏名や所属が掲載され、資格が公的に認められた状態となります。
この登録をもって、認定介護福祉士として現場での実務や後進の指導、マネジメントなどの役割を担うことが可能になります。
ただし、登録は一度きりではなく、5年ごとの更新が義務づけられているため、継続的なスキルアップと制度上の管理が必要です。

認定介護福祉士養成研修とは?
認定介護福祉士養成研修は、介護福祉士としての実務経験を基盤に、より専門的かつ高度な実践力・指導力を養うための研修制度です。
研修は2段階構成となっており、「Ⅰ類」と「Ⅱ類」を順に修了することで、認定介護福祉士の申請資格を得ることができます。
認定介護福祉士養成研修Ⅰ類の学習内容(実践基盤の強化)
Ⅰ類では、医療・リハビリ・認知症支援・心理的支援など、従来の介護福祉士課程では十分に扱われない専門分野を幅広く学びます。
また、他職種との連携やチームの中でリーダーとして機能するための実践力を高め、現場での指導力を養成します。
【主な学習領域】
- 医療と連携した生活支援
- リハビリと身体機能の理解
- 福祉用具と住環境整備
- 認知症ケア
- 介護過程の展開と記録演習
- 家族・地域支援の視点
認定介護福祉士養成研修Ⅰ類カリキュラム一覧
領域名 | 科目名 | 単位 | 時間(課題学習) | 形態 |
---|---|---|---|---|
認定介護福祉士養成研修導入 | 認定介護福祉士概論 | 1 | 15(7) | 講義・演習 |
医療に関する領域 | 疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅰ | 2 | 30(30) | 講義 |
医療に関する領域 | 疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅱ | 2 | 30(15) | 講義・演習 |
リハビリテーションに関する領域 | 生活支援のための運動学 | 2 | 10(10) | 講義 |
リハビリテーションに関する領域 | 生活支援のためのリハビリテーションの知識 | 2 | 20(8) | 講義・演習 |
リハビリテーションに関する領域 | 自立に向けた生活をするための支援の実践 | 2 | 30(8) | 講義・演習 |
福祉用具と住環境に関する領域 | 福祉用具と住環境 | 2 | 30(0) | 講義・演習 |
認知症に関する領域 | 認知症のある人への生活支援・連携 | 2 | 30(15) | 講義・演習 |
心理・社会的支援の領域 | 心理的支援の知識技術 | 2 | 30(15) | 講義・演習 |
心理・社会的支援の領域 | 地域生活の継続と家族支援 | 2 | 30(15) | 講義・演習 |
生活支援・介護過程に関する領域 | 認定介護福祉士としての介護実践の視点 | 2 | 30(0) | 講義・演習 |
生活支援・介護過程に関する領域 | 個別介護計画作成と記録の演習 | 2 | 30(0) | 講義・演習 |
生活支援・介護過程に関する領域 | 自職場事例を用いた演習 | 1 | 30(20) | 演習・講義 |
出典:認定介護福祉士養成研修について|認定介護福祉士認証・認証機構
認定介護福祉士養成研修Ⅱ類の学習内容(応用力とマネジメント力の育成)
Ⅱ類では、Ⅰ類で培った知識やスキルを基盤として、現場指導・チーム運営・人材育成を担うための応用力を重点的に強化します。
さらに、地域包括ケアの視点を取り入れ、地域づくりや介護リーダーとしての役割を果たせるマネジメント力を養成します。
【主な学習領域】
- チームマネジメントと人的資源管理
- 介護業務の標準化・質の管理
- 法令理解と組織運営
- 応用的介護支援の展開と指導
- 地域介護力の強化とマネジメント
認定介護福祉士養成研修Ⅱ類カリキュラム一覧
領域名 | 科目名 | 単位 | 時間(課題学習) | 形態 |
---|---|---|---|---|
医療に関する領域 | 疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅲ | 2 | 30(15) | 講義・演習 |
心理・社会的支援の領域 | 地域に関するプログラムの企画 | 2 | 30(15) | 講義・演習 |
マネジメントに関する領域 | 介護サービスの特性と求められるリーダーシップ、人的震源の管理 | 1 | 15(7) | 講義・演習 |
マネジメントに関する領域 | チームマネジメント | 2 | 30(15) | 講義・演習 |
マネジメントに関する領域 | 介護業務の標準化と質の管理 | 2 | 30(15) | 講義・演習 |
マネジメントに関する領域 | 法令理解と組織運営 | 1 | 15(7) | 講義・演習 |
マネジメントに関する領域 | 介護分野の人材育成と学習支援 | 1 | 15(7) | 講義・演習 |
自立に向けた介護実践の指導領域 | 応用的生活支援の展開と指導 | 2 | 60(40) | 演習・講義 |
自立に向けた介護実践の指導領域 | 地域における介護実践の展開 | 2 | 30(0) | 講義・演習 |
出典:認定介護福祉士養成研修について|認定介護福祉士認証・認証機構
認定介護福祉士養成研修の目的と意義とは
認定介護福祉士養成研修は、単なるスキルアップにとどまらず、これからの介護現場で求められる「教育」「指導」「地域支援」を担える人材を育成することを目的としています。
この研修を通じて、介護職全体の質的向上とチームケアの高度化を推進し、地域包括ケアシステムにおける中核的な担い手として活躍できるようになります。

認定介護福祉士の申請・更新・再認定に必要な書類一覧
認定介護福祉士として資格を取得するには、養成研修を修了した後に所定の申請手続きが必要です。さらに、資格取得後も5年ごとに更新申請や再認定申請を行う必要があり、その際には複数の書類提出が求められます。
ここでは、「新規申請」「更新申請」「再認定申請」の3つの場面ごとに必要となる書類を一覧で整理しました。提出漏れや記入不備があると手続きが進まないため、あらかじめ確認して準備しておくことが重要です。
新規申請時の提出書類
更新申請時の提出書類(5年ごと)
認定介護福祉士の資格は5年ごとに更新が必要です。更新時には、新たな実務証明や更新研修の修了証など、提出書類が増える点に注意が必要です。
書類名 | 備考 |
---|---|
認定介護福祉士認定更新申請書 | 様式第2号 |
認定証の写し | 前回交付された認定証のコピー |
介護福祉士登録証の写し | 登録証の写し(有効なもの) |
実務経験等証明書 | 直近5年間の職務経歴や実務内容を証明 |
更新研修修了証の写し | 機構が認める研修の修了証明書 |
講師・発表等の実績履歴書 | 講演・学会発表等の記録(該当者のみ) |
※講師・学会発表等の実績がない場合は、「追加更新研修」の修了証が必要になります。詳細は機構の指定に従ってください。
再認定申請時の提出書類(有効期間経過後)
認定の有効期限を過ぎてしまった場合でも、再認定申請を行うことで資格を再取得することが可能です。ただし、申請時点と過去5年間の要件すべてを満たしている必要があります。
書類名 | 備考 |
認定介護福祉士再認定申請書 | 様式に基づいて作成 |
認定介護福祉士認定申請書(再提出) | 初回と同様の書類一式(様式第1号~第3号) |
介護福祉士登録証の写し | 有効な登録証のコピー |
養成研修修了証の写し | Ⅰ類・Ⅱ類の修了証明書 |
再審査料の振込証明書 | 金額は細則第17条に準拠(2万円) |
再認定では、すべての要件を再度満たしていることが求められます。不備があると申請が受理されないため、事前準備を徹底しましょう。

認定介護福祉士の申請・登録・更新・再認定にかかる費用
認定介護福祉士の資格を取得・維持するには、養成研修の受講費用とは別に、申請・登録・更新・再認定の各段階で所定の費用が発生します。
ここでは「新規認定申請」「更新申請」「再認定申請」「登録料」「活動推進費」に分けて、それぞれの金額と注意点を整理しました。
なお、費用はすべて税込表示で、理由の如何にかかわらず返金不可となっています。申請や登録の前に必ず確認しておきましょう。
申請・更新・再認定にかかる審査料
各種申請に必要な審査料は、一律20,000円(税込)です。振込後は返金されないため、事前に必要書類を整えたうえで申請しましょう。
区分 | 審査料 | 備考 |
---|---|---|
新規認定申請 | 20,000円 | 認定介護福祉士の初回申請時 |
更新申請(5年ごと) | 20,000円 | 有効期間満了に伴う更新時 |
再認定申請 | 20,000円 | 有効期間経過後の再申請時 |
登録料と活動推進費(非会員のみ)
認定証を交付された後、正式に認定介護福祉士として登録するには、別途「登録料」および(会員でない場合)「活動推進費」の支払いが必要です。
区分 | 登録料 | 活動推進費(非会員のみ) |
---|---|---|
認定時の登録 | 10,000円 | 年会費相当(例:正会員年会費) |
更新時の登録 | 10,000円 | 同上 |
再認定時の登録 | 10,000円 | 同上 |
活動推進費は「公益社団法人日本介護福祉士会」の正会員年会費と同額が必要となります。(支払時期・方法は登録料と同様)
納入済み費用の返金は原則行われない
いずれの審査料・登録料・活動推進費も、納入後の返金には一切応じない旨が規定されています。金額や手続き内容を確認したうえで、間違いのないよう準備を進めてください。
初回認定にかかるトータル費用の目安【シミュレーション】
認定介護福祉士になるためには、研修費用に加え、申請・登録にかかる費用も発生します。
以下は、初回認定時に必要となる費用の一例をシミュレーション形式でまとめたものです。
※研修受講料は団体や実施地域によって異なります。実際の金額は各研修団体にご確認ください。
※上記はあくまで参考金額であり、別途教材費や交通費等が必要になる場合もあります。

認定介護福祉士の費用は補助される?現状と自治体支援の有無
認定介護福祉士の取得には数十万円の費用がかかるため、「補助金や助成制度が利用できるのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。結論としては、現時点では全国的に明確な公的補助制度はほとんど存在していません。
ただし、一部の自治体(例:神奈川県)では、事業所を通じた研修費補助が行われています。また、厚生労働省の「人材開発支援助成金」を活用できる可能性もあり、勤務先によっては一部費用の補填が受けられるケースがあります。
出典:人材開発支援助成金|厚生労働省
出典:認定介護福祉士(仮称)制度の方向性について|厚生労働省
出典:介護職員研修受講促進支援事業費補助金 | 神奈川県ホームページ
全国的に見て補助制度はほぼ存在しない
2025年時点では、厚労省や都道府県による「認定介護福祉士」の取得費用を直接補助する仕組みは広く整備されていません。
実務者研修や介護福祉士受験支援など、他資格向けの補助制度は多く存在するものの、認定介護福祉士は制度的な位置づけが任意資格であるため、補助対象外とされることが多いのが現状です。
また、職場によっては研修費や受験料を自己負担とする方針が一般的で、受講ハードルの一因にもなっています。
神奈川県では費用補助制度が一部実施されている
一方で、神奈川県では「介護職員研修受講促進支援事業費補助金」として、認定介護福祉士養成研修の受講費や代替職員の人件費に対する補助制度が設けられています。
対象となるのは事業所であり、従業員が研修を受講する際に事業所が負担した費用の一部が支給されます。
補助対象 | 補助内容 | 上限額(認定研修の場合) |
---|---|---|
受講料補助 | 費用の1/3を補助 | 最大37,000円 |
代替職員配置補助 | 代替人件費を補助 | 最大60,000円 |
出典:介護職員研修受講促進支援事業費補助金|神奈川県ホームページ
※申請は事前手続きが必要で、個人申請は不可。詳細は神奈川県の公式サイトをご確認ください。
出典:代替要員確保対策事業費補助(代替職員配置への補助)|神奈川県
出典:研修受講料支援事業費補助(受講料負担への補助)|神奈川県
その他に活用できる可能性のある制度
認定介護福祉士に直接的な支援制度は少ないものの、他の介護職向け制度の対象になる可能性もあります。
補助制度名 | 対象となる研修・制度 | 認定介護福祉士への適用 | 備考 |
---|---|---|---|
教育訓練給付制度(厚生労働省) | 実務者研修、介護福祉士国家試験対策講座など | 対象外の場合が多い | 雇用保険の加入期間など要件あり。今後対象拡大の可能性あり |
自治体独自の助成制度 | 介護職向け研修(実務者研修、初任者研修など) | 自治体により異なる | 地域により対象範囲や補助内容が異なるため、福祉課などで要確認 |
また、職場によっては、研修費用や申請費用の一部を補助する制度を設けている場合もあります。
とくに社会福祉法人や中堅以上の介護事業所では、資格取得支援制度や研修費負担制度が整備されていることがあります。まずは上司や人事担当者に確認してみましょう。

認定介護福祉士の資格における合格率
認定介護福祉士の資格は、国家試験による合否判定ではなく、指定された研修を修了することが条件となっています。そのため、合格率の公表はありません。
公式な修了率データも存在しませんが、専門性を持った現役介護福祉士が対象であることから、関係者の間では修了率は概ね70〜90%程度と見込まれているとされています。
ただし、研修は時間的・金銭的負担が大きいため、途中で断念する方も一定数いるのが現状です。

認定介護福祉士の資格取得における難易度・デメリット
認定介護福祉士は、一定の経験と研修履歴、そして現場での実践力が求められる「キャリア発展型資格」です。そのため、介護福祉士の中でも、さらなる高みを目指す方にとっての登竜門とも言えます。
ここでは、資格取得に必要な条件や研修のボリューム、試験の有無などから、実際にどれほどの難易度があるのかを解説します。
受講要件のハードルが高い
認定介護福祉士になるには、まず「介護福祉士資格取得後の実務経験5年以上」が必要です。
さらに、過去に100時間以上の現任研修歴が求められたり、課題レポートの提出や選抜を伴う研修もあります。
これらの要件は、単に経験年数を満たせばよいというものではなく、日頃から学びに積極的に取り組んできた姿勢が問われるものです。
研修内容と学習負担が大きい
養成研修はⅠ類13科目、Ⅱ類9科目と幅広く、受講期間も複数ヶ月にわたります。
研修では、自施設での課題に基づく演習やディスカッションが多く、自分の職場の状況と真剣に向き合う力も問われます。
勤務と並行しながら取り組むには、時間的にも精神的にも一定の覚悟が必要です。
試験はないが修了には一定水準が求められる
認定介護福祉士には国家試験はありませんが、研修ごとにレポートや提出課題が課され、一定の基準に達しなければ修了できません。
講義を聞くだけでなく、学びを実践に落とし込む力や考察力が求められるため、単なる「座学」とは異なる学びの深さが特徴です。
働きながらの両立が難しさの一因に
多くの受講者はフルタイムで介護職として働きながら資格取得を目指します。
勤務日程と研修日程の調整や、課題の提出期限への対応など、日々の業務と学習の両立が難易度を高める要因になっています。そのため、職場の理解やサポート体制も研修修了や継続に影響する重要なポイントとなります。

認定介護福祉士の資格を取得するメリット
認定介護福祉士の資格は、単に肩書きが増えるだけではありません。現場での実践力の向上や、キャリアパスの形成、チーム内での信頼性の強化など、具体的なメリットが多数あります。
ここでは、認定介護福祉士の資格を取得することで得られる代表的な利点について紹介します。
介護の専門性が高まり、質の高いケアを実践できる
認定介護福祉士は、Ⅰ類(345時間・13科目)+Ⅱ類(255時間・9科目)=合計600時間以上の専門研修を通じて、知識と技術を体系的に深めます。これにより、根拠に基づいた介護実践が可能になります。
利用者一人ひとりの心身状態を的確に把握し、それに応じたケアプランを組み立てる力が強化されるため、介護サービス全体の質が向上します。
また、研修では事例検討や演習を通じて判断力が養われ、急変時の適切な対応や、医療職・リハビリ職を含む多職種チーム内での情報共有にも効果を発揮します。これは単なる「座学」では得られない、実践力と応用力に直結する学びです。
リーダーとしての信頼や役割を得やすくなる
認定介護福祉士は、チームマネジメントや人材育成に関する科目を学ぶため、現場ではリーダー的存在として期待されます。
介護職員の育成、業務の標準化、質の管理などを通じて、チーム全体を底上げする役割を果たすことができます。これにより、上司や他職種からの信頼も厚くなり、職場内での存在感が高まるでしょう。
キャリアアップや役職登用に繋がる可能性がある
資格を取得することで、現場リーダー、教育担当、サービス提供責任者など、より責任あるポジションへの登用につながる可能性があります。
特に、人事評価に研修受講歴や資格取得が反映される職場では、昇進や手当増加に直結するケースも見られます。
キャリアパスを明確化したい方にとって、有効なステップといえるでしょう。
多職種連携や地域連携の場面で中心的な役割を担える
認定介護福祉士は、医療職・リハビリ職・地域支援団体などとの連携を推進する能力を、養成研修(Ⅰ類・Ⅱ類)を通じて体系的に学びます。
そのため、介護サービス全体における橋渡し役や調整役として機能でき、厚生労働省が掲げる「地域包括ケアシステム」の推進にも貢献できる存在です。
また、研修で養う判断力やマネジメント力を活かし、急変時対応や多職種間の情報共有をスムーズに進められるため、他職種からの信頼を得やすく、利用者にとっても安心できる体制構築に寄与します。

認定介護福祉士の資格取得で得られるスキル
ここでは、認定介護福祉士の資格を取得することで身につく主なスキルについて紹介します。介護現場で求められる実践力に加え、チーム運営や人材育成、地域との連携といった幅広い力を養えるのが大きな特徴です。
現場のリーダーとして成長したい方や、より質の高いケアを提供したい方にとって、取得によって得られるスキルは非常に重要だと言えるでしょう。
高度な介護実践スキルを身につける
認定介護福祉士は、多様な利用者のニーズに対応するための専門知識や実践技術を習得しています。
疾患や障害に応じた生活支援、QOL向上のための介護技術、倫理的判断力など、より質の高い実践力が求められます。
個別性のあるケア(画一的な対応ではなく、その人らしさを尊重した対応)をチームに共有し、根拠をもって介護を展開する力も強化される点もメリットの1つです。
科学的介護やエビデンスに基づいた実践を意識する点でも、現場での信頼性が高まるスキルといえるでしょう。
チームを導くリーダーシップと教育力
現場でチームを支えるリーダーとして、指導力や教育力を発揮するのも認定介護福祉士の大きな役割です。OJTや事例共有を通じて、若手職員の技術向上やモチベーションの維持をサポートします。
また、職員一人ひとりの強みや課題を把握し、的確な助言を行う力も養われます。
介護の質を安定させるためには、組織全体のスキル底上げが重要であり、その実現に向けて中核を担う存在となるでしょう。
介護サービス全体をマネジメントする力
認定介護福祉士は、単なる実務者ではなく、介護サービス全体を俯瞰してマネジメントできる人材です。業務の標準化、サービス提供の効率化、課題の洗い出しと改善など、組織的な運営に関する視点が身につきます。
ケアの計画・評価においても、利用者のニーズと制度の要件を両立させながら、よりよいサービス提供体制を構築できる力が求められます。現場の質を継続的に高める牽引役です。
地域と連携して介護の輪を広げる
認定介護福祉士は、施設内にとどまらず、地域全体をフィールドとした支援活動も行います。
地域包括支援センターや医療機関、ボランティア団体などと連携し、支援が必要な住民をつなぐ「地域の窓口」としての役割を果たします。
講座や相談会を通じた介護予防の啓発、家族介護者への支援など、住民が安心して暮らし続けられる環境づくりに貢献します。地域福祉の推進に直結するスキルです。
人材を活かし育てるマネジメントスキル
人材育成や職場環境の整備においても、認定介護福祉士のスキルは活かされます。
業務の適切な分担、目標設定、評価のフィードバックなど、人材マネジメントに関する知識と実践力が求められます。
また、職員のやりがいや安心感を高めるための仕組みづくりも重要です。
介護職の離職防止や定着支援といった課題に取り組みながら、職場全体のパフォーマンスを引き出すことが期待されます。

認定介護福祉士の年収は?
認定介護福祉士は、専門性の高い介護実践力やチームマネジメント力を備えた人材ですが、現時点では資格取得による直接的な給与加算や手当制度は存在しません。
そのため、平均年収は介護福祉士と大きな差が出にくい状況にあります。
直近の厚生労働省調査(令和6年度・2024年9月時点)によると、常勤・月給制で働く介護職の年収目安は以下の通りです。
区分 | 平均給与(月) | 年収目安 |
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介護職員 | 338,200円 | 約405.8万円 |
介護福祉士(資格保有) | 350,050円 | 約420.06万円 |
出典:令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要|厚生労働省
※「平均給与」は 基本給+各種手当+一時金(4〜9月支給分の1/6) を含む統計上の月額です。年収はこの月額×12で機械的に年換算しています(実際の賞与・手当構成により上下します)。
勤労先の評価制度や職位、地域によって年収は変動するため、認定介護福祉士の資格そのものよりも「役割・ポジション」に応じて収入が決まる傾向があります。

認定介護福祉士の資格取得がおすすめな人
ここでは、認定介護福祉士の資格が特に役立つ人の特徴を整理します。
現場でリーダーを目指す人や後輩を育てたい人、地域や医療と協働したい人など、自分のキャリアの方向性に照らして参考にしてください。
介護現場でリーダーとしてチームをまとめたい人
日々の介護現場では、複数のスタッフが協力して利用者支援にあたります。その中でチームをまとめ、方向性を示すリーダーの存在は欠かせません。
認定介護福祉士は、介護福祉士としての基礎力に加え、マネジメントや判断力を身につける研修を修了しているため、現場の中心的役割を担うことができます。
現場の意見を調整しながら、質の高いケアを実現したいと考える方に最適な資格といえるでしょう。
若手職員の育成や教育に携わりたい人
介護業界では人材不足が続いており、若手の定着や育成が課題となっています。認定介護福祉士には、実務経験に基づいた知識や技術を若手に伝える役割が期待されているのです。
研修を通じて教育方法や指導力を体系的に学ぶため、現場で新人の育成やOJTを行う際に力を発揮できます。後進をサポートしながら、組織全体の成長に寄与したい人におすすめです。
医療職や地域と連携しながら幅広く活躍したい人
利用者の生活を支えるには、介護職だけでなく看護師やリハビリ職、地域の関係機関との協力が欠かせません。認定介護福祉士は、専門職間の情報共有や役割分担をリードできる存在として期待されています。
研修で学ぶ「連携力」や「言語化スキル」により、医療職との協働や地域包括ケアにスムーズに対応できます。多職種連携を実践し、利用者により良いケアを提供したい人に向いています。
専門性を高めてキャリアアップを目指したい人
介護福祉士資格を取得した後も、さらなるスキルアップを図りたい方に認定介護福祉士は有効です。22科目にわたる養成研修を通じて、医療知識、マネジメント力、地域ケアに関する幅広い専門性を習得できます。
その成果は現場での評価や昇進につながり、施設のリーダー職や管理職を目指す際の強みとなるでしょう。キャリア形成を進め、将来の選択肢を広げたい方に適した資格です。
地域包括ケアの推進に貢献したい人
これからの介護は施設内だけでなく、地域と連携しながら包括的に支える仕組みが重要です。認定介護福祉士は、地域住民や行政、ボランティアなどと協働しながら地域全体の介護力を高める役割を担います。
利用者の生活を支えるだけでなく、地域の資源を活かし、介護予防や家族支援にもつなげられる力が求められます。地域社会に根差した活動を志す方にとって、有意義なステップとなるでしょう。

認定介護福祉士の仕事内容
認定介護福祉士は、一般的な介護業務にとどまらず、介護チームのまとめ役や地域との連携、後進の育成など幅広い役割を担います。
現場で培った経験に加え、養成研修で得た知識や技術を活かし、より質の高いサービス提供とチームマネジメントを実践することが求められています。
ここでは、認定介護福祉士の主な仕事内容について解説するので、ぜひチェックしてみてくださいね。
利用者ごとの個別ケアとチーム全体のマネジメント
認定介護福祉士は、利用者一人ひとりの状況を踏まえた最適なケアを実践するだけでなく、チーム全体を見渡しながら介護サービスの質を高めていきます。
日常の支援に加えて、介護計画の立案や改善提案、ケアの標準化を推進することも大切な役割です。
個別ケアと組織的マネジメントを両立することで、現場全体の安定性や再現性が向上し、誰が対応しても一定水準のケアが提供できる体制づくりに貢献します。
医療職・リハ職との連携で質を高める
介護と医療が密接に関わる場面では、認定介護福祉士が多職種連携の中心的な役割を担います。医師や看護師、リハビリ職などから得た情報や助言を現場に伝え、介護職員が理解しやすい形で共有することで、ケア全体の一貫性を保ちます。
介護の根拠を言葉で説明できることも強みであり、他職種との相互理解を深める力になります。その結果、利用者にとって安心で継続性のあるケアを提供することが可能になり、地域包括ケアの実現にもつながるでしょう。
若手介護職への指導・教育
認定介護福祉士は、現場で働く若手スタッフの育成にも力を発揮します。OJTを通じて実践的な技術や考え方を伝え、定期的なフィードバックによって成長をサポートします。
また、自身の知識や経験をわかりやすく整理して共有することで、チーム全体のスキルアップにも貢献することが可能です。
教育の立場に立つことは、自らのスキルの見直しにもつながり、リーダーシップを磨く機会にもなります。こうした人材育成は、職場の士気やサービスの質を高める上でも重要です。
地域包括ケア推進の担い手としての活動
認定介護福祉士は、施設や在宅だけでなく、地域全体の介護体制づくりにも積極的に関わります。たとえば、地域包括支援センターや自治体と連携しながら、家族介護者やボランティアへの支援・助言を行うことも特徴のひとつ。
また、住民向けの相談支援や啓発活動を通じて、地域での介護力を底上げしていく役割も担っています。
地域にあるさまざまな資源を結びつけて支援の輪を広げる、いわば「地域ケアのハブ」として活動し、地域包括ケアの推進に貢献しています。

認定介護福祉士が活躍する職場
認定介護福祉士は、施設や在宅、地域など多様な現場で役割を担います。
単にケアを提供するだけでなく、チームのマネジメントや地域連携、後進の育成など幅広い分野で活躍できるのが特徴です。ここでは認定介護福祉士が活躍する主な職場と役割を紹介します。
介護施設・事業所での活躍
特養や老健などの介護施設では、サービス提供チームのリーダーとして役割を果たします。利用者のケア方針をチームで共有し、業務をマネジメントしながら、質の高い介護を実現していきます。
- チームの育成・指導
- サービスマネジメントの実践
- ケア品質の向上
医療機関との連携
医療ニーズの高い利用者を支える場面では、病院やリハビリスタッフと協働します。介護と医療をつなぐ中核的な存在として、適切な役割分担や情報共有を行います。
- 医師・看護師との連携
- リハビリ支援の調整
- 医療的ケアの理解
在宅介護・居宅支援
利用者が自宅で暮らし続けられるように、訪問介護や居宅介護支援事業所で活動します。家族支援や地域包括支援センターとの連携も重要な役割です。
- 自宅中心のケアマネジメント
- 家族介護者への助言・支援
- 地域包括支援センターでの相談対応
地域での活動
地域の介護力を高めるため、自治体や地域団体、ボランティアとも協働します。住民向け講座の実施や、介護予防活動への参画など、地域包括ケアの推進に欠かせない存在です。
- 自治体主催の介護講座
- ボランティアやNPOとの協働
- 地域包括ケア推進の中核

まとめ
認定介護福祉士は、介護福祉士としての実務経験と学びを積み重ねた先に得られる、より高度な実践力とマネジメント力を備えた資格です。
現在は加算対象ではないなどの課題もある一方で、チームリーダーとしての信頼、若手育成や地域連携への貢献など、現場から求められる役割も多くあります。
費用や研修のハードルはありますが、それを上回る専門性の獲得やキャリア形成の手応えが得られる資格です。自分にとってこの資格がどのような価値をもたらすか、じっくり考えてみることから始めると良いでしょう。
よくある質問
Q.認定介護福祉士は国家資格ですか?
認定介護福祉士は国家資格ではなく、日本介護福祉士会の「認証・認定機構」が認定する民間資格です。
ただし、国が定める介護職のキャリアパス構築の中で位置づけられており、制度的な信頼性と社会的な評価が高い資格の一つです。
専門性や役割が明確で、現場でのリーダー的役割を担うことが期待されます。
Q.認定介護福祉士の資格は加算対象ですか?
現時点では、認定介護福祉士の資格そのものが介護報酬加算の対象にはなっていません。制度上の明確な評価体系がまだ整っていない状況です。
ただし、今後の制度見直しや人材評価の動向によって、将来的に加算要素に含まれる可能性も考えられます。
Q.認定介護福祉士になるにはいくらかかりますか?
認定介護福祉士になるには、研修費用(Ⅰ類・Ⅱ類合計で数十万円)や受講に伴う交通費・宿泊費、さらに認定料・登録料などが必要です。トータルで約50〜60万円前後が目安とされています。
Q.認定介護福祉士の合格率はどのくらいですか?
認定介護福祉士は試験による「合否判定」ではなく、全22科目・600時間にわたる研修を修了し、所定の条件を満たすことが認定要件となるため、一般的な合格率データは存在しません。
ただし、課題提出や研修出席率など一定水準の学びが求められ、修了率はおおむね70〜90%程度とされています。誰でも簡単に認定されるわけではなく、実践力と継続学習への姿勢が重視されます。
Q.認定介護福祉士研修にかかる費用はどれほどかかりますか?
認定介護福祉士の養成研修はⅠ類13科目(345時間)、Ⅱ類9科目(255時間)から構成され、合計600時間近くに及びます。
費用は研修機関によって異なりますが、Ⅰ類・Ⅱ類それぞれ20万〜30万円程度、トータルで40〜60万円前後が相場です。さらにテキスト代や交通費、場合によっては宿泊費もかかるため、事前に確認しておくことが大切です。
Q.認定介護福祉士は何人くらいいますか?
2024年12月25日時点で、認定介護福祉士として登録されているのは全国で228名です。介護福祉士の上位資格と位置づけられており、専門性の高い介護実践力やチームマネジメント力を有する人材として認定されています。
勤務先は特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、医療機関、訪問介護事業所など幅広く、全国各地で活躍していることが名簿から見て取れます。
資格取得者はまだ少数であり、希少価値の高い資格だと言えるでしょう。
出典:認定介護福祉士登録名簿(2024年12月25日現在)|日本介護福祉会
出典:認定介護福祉士の認定・更新 PROCEDURE|認定介護福祉士認証・認証機構
Q.認定介護福祉士は意味がないって本当ですか?
認定介護福祉士の資格取得が「意味がない」と言われるのは、介護報酬加算など直接的な経済的メリットが少ないためです。
しかし実際には、現場での専門性向上やキャリアアップ、多職種連携の推進などにより、質の高い介護を実現するうえで大きな価値を持つ資格だといえます。
Q.認定介護福祉士になると年収は上がりますか?
認定介護福祉士になることで明確な「資格手当」が支給されるわけではありません。
しかし、現場でのリーダー職や教育担当など責任ある役割を任されやすくなり、その結果、役職手当や昇給につながるケースがあります。つまり、直接的な年収アップではなく、キャリア形成を通じて収入増を期待できる資格と言えるでしょう。
Q.認定介護福祉士資格を取得するデメリットはありますか?
認定介護福祉士資格の取得にあたっては、600時間に及ぶ研修と40〜60万円前後の費用がかかる点が最大のハードルです。
また、現時点で介護報酬の加算対象には含まれていないため、資格取得がすぐに収入増加につながるわけではありません。
それでも、長期的に見ればスキルアップやキャリア形成に役立ち、将来的な評価や役職登用のチャンスを広げる重要なステップとなります。
Q.認定介護福祉士資格は更新が必要ですか?
認定介護福祉士の資格には5年ごとの更新制度があります。更新には、認定期間中に通算2年以上・180日以上の介護実務経験が必要です。(産休・育休などは除外可)
さらに、現任研修や講師活動等で取得できる「更新ポイント」を20ポイント以上取得する必要があります。
また、更新研修の受講や、論文・レポートの提出、更新申請書類一式の提出も必要です。2020年3月以前に登録された方は、2025年3月末が初回の更新期限となっています。
Q.認定介護福祉士が活躍できる職場はどのような場所ですか?
認定介護福祉士は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、訪問介護など、多様な介護現場で活躍できます。
加えて、地域包括支援センターや福祉事業の研修担当、地域ケア会議などの場で、専門職としての役割を果たすこともあります。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
