この記事がおすすめな人

- 介護や看護の仕事に関心がある介護士と看護師の役割や仕事内容の違いを知りたい方
- 自分に向いてる仕事を見極めたい生活支援に関わりたいのか、医療行為を担いたいのか迷っている方
- 福祉・医療の分野でキャリアを築きたい資格取得や進路選びに役立つ情報を知り、将来の選択に活かしたい方

【結論】介護士と看護師の違い
介護士と看護師は、いずれも人の生活と健康を支える重要な専門職ですが、目的と役割が異なります。
介護士は、食事・入浴・排泄などの介助を通じて、利用者の日常生活を支援し、自立や尊厳の維持を目指します。
一方、看護師は国家資格に基づき、注射や点滴、服薬管理などの医療行為を通じて、病気やけがの治療・回復を担います。
項目 | 介護士 | 看護師 |
---|---|---|
主な目的 | 生活支援・自立支援 | 治療・健康回復 |
主な業務 | 食事・入浴・排泄介助、生活援助、記録 | 注射・点滴・服薬管理、バイタル測定、診療補助 |
資格区分 | 国家資格(介護福祉士など) | 国家資格(看護師・准看護師) |
勤務先 | 特別養護老人ホーム、デイサービス、グループホームなど | 病院、診療所、訪問看護ステーションなど |
主な連携先 | 看護師、ケアマネジャー、家族 | 医師、介護士、リハビリ職、薬剤師 |
求められる能力 | 生活支援技術、観察力、コミュニケーション力 | 医療知識、判断力、技術力 |
社会的役割 | 生活の質(QOL)の向上 | 健康の維持・回復 |
勤務先も、介護士は特別養護老人ホームやデイサービスなど、看護師は病院やクリニックが中心と異なります。
高齢化が進む今、両職種が協力するチームケアの重要性が一層高まっています。
.webp&w=3840&q=75)
介護士にできて看護師にできないことは?
介護士は、利用者の日常生活を支援する専門職として、生活援助や自立支援を担います。
例えば、食事・入浴・排泄などの介助、生活環境の整備、レクリエーションの企画など、生活全体を支えるケアが可能です。
一方、看護師は医療行為が中心であり、生活支援を目的とした介護計画の立案や継続的な生活支援は業務範囲外です。
.webp&w=3840&q=75)
【仕事内容】介護士と看護師の違い
ここでは、介護士と看護師の仕事内容の違いを解説します。どちらも医療・福祉分野で人の暮らしを支える仕事ですが、目的や担当する範囲は明確に異なります。
介護士は生活支援を通じて利用者の自立を促すのに対し、看護師は医療行為を通じて健康の維持・回復を担います。
それぞれの主な業務と、チームケアにおける連携の重要性を見ていきましょう。
介護士の主な仕事
介護士は、高齢者や障がい者など、日常生活に支援が必要な方に対して、身体介助と生活支援を行う福祉職です。主な業務は以下の通りです。
- 食事・入浴・排泄の介助
- 着替えや移動のサポート
- 掃除・洗濯などの生活援助
- レクリエーションや外出支援の企画・実施
- ケア内容の記録・報告
介護士の目的は、単に介助するだけでなく、利用者が自分らしい生活を維持できるよう自立を支援することです。
施設では生活相談員・看護師・栄養士などと連携し、チームでケアを行います。
出典:老人福祉施設生活相談員 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典:施設介護員 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典:福祉ソーシャルワーカー - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典:社会福祉士|WAM NET
看護師の主な仕事
看護師は、医師の指示のもとで診療の補助と療養上の世話を行う医療職です。
病院・診療所・介護施設・訪問看護など、勤務先によって役割が異なりますが、共通する主な業務は以下の通りです。
【共通する主な業務】
- 採血・注射・点滴などの医療行為
- 服薬管理や症状観察(バイタル測定)
- 検査・処置の補助
- 療養上の世話(清潔保持・食事介助など)
- 患者・家族への説明や心理的支援
医師の診断・治療を支えると同時に、患者の身体・心理両面をケアするのが特徴です。介護施設では医師が常駐しないケースも多く、日常的な医療判断を担うこともあります。
共通点と連携の重要性
介護士と看護師は、それぞれ異なる専門性を持ちながら、同じ利用者の生活や健康を支える立場にあります。勤務先によっては、チームケアの一員として情報共有や役割分担を行うなど、必要に応じて連携する場面もあります。
特に介護施設や在宅介護の現場では、介護士が日々の生活支援を担い、看護師が健康状態を管理することで、包括的なケアを実現します。
- 介護士:生活状況・体調の変化を記録・報告
- 看護師:医療的視点から状態を評価し、必要な処置・指示を実施
この情報共有と協働が、利用者の状態悪化を防ぎ、早期対応につながります。
また、看護師は介護士に医療知識を共有し、介護士は生活面の観察から異変を伝えるなど、チームケアの要として互いを補完しています。

【資格・学歴・取得方法】介護士と看護師の違い
ここでは、介護士と看護師の資格取得方法や学歴要件、試験制度の違いを解説します。
介護士は無資格から始めることもできますが、国家資格である「介護福祉士」になるには実務経験や養成課程が必要です。
一方、看護師は国家資格の取得が必須で、指定の学校を卒業し国家試験に合格しなければなりません。両者は求められる知識や学習内容、受験ルートに明確な違いがあります。
介護士になるには
介護職員として働くために資格は必須ではありませんが、専門性を高めるには国家資格「介護福祉士」の取得が推奨されます。取得ルートは以下の3つです。
ルート | 内容 |
---|---|
実務経験ルート | 介護現場で3年以上の実務経験を積み、「実務者研修」を修了後、国家試験を受験 |
養成施設ルート | 高校卒業後、介護福祉士養成施設(専門学校など)で2年以上学び、卒業後に国家試験受験 |
福祉系高校ルート | 福祉系高校で所定の単位を修め卒業後、国家試験を受験 |
介護福祉士国家試験の合格率は例年70〜80%台で推移しています。最新の第37回試験(令和6年度実施)では、受験者数75,387人、合格者61,747人、合格率78.3%となりました。
回次 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
第33回(令和2年度) | 84,483人 | 59,975人 | 71.0% |
第34回(令和3年度) | 83,082人 | 60,969人 | 72.3% |
第35回(令和4年度) | 79,151人 | 66,711人 | 84.3% |
第36回(令和5年度) | 74,595人 | 62,912人 | 84.3% |
第37回(令和6年度)※最新 | 75,387人 | 61,747人 | 78.3% |
出典:[介護福祉士国家試験]受験資格:福祉系大学等:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
出典:[介護福祉士国家試験]:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
看護師になるには
看護師になるには、国家資格の取得が必須です。主な進路は以下の通りです。
- 看護大学(4年)
- 看護専門学校・養成所(3年)
- 高校卒業後5年一貫教育校
在学中に基礎・専門科目を学び、臨地実習を通じて技術を身につけ、卒業後に看護師国家試験を受験します。
合格率は例年90%前後と高いものの、幅広い医療知識と実践力が求められます。また、准看護師(都道府県試験)から正看護師へのステップアップも可能です。
資格取得後は、専門看護師(がん看護・老年看護など)や認定看護師(糖尿病看護など)としてキャリアを広げる道もあります。
出典:看護師 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典:2025年 看護師 国家試験の 合格率は90.1
資格の難易度や合格率、独占業務の違い
介護士と看護師は、資格の受験条件・難易度・業務範囲に明確な差があります。
項目 | 介護福祉士 | 看護師 |
---|---|---|
資格区分 | 国家資格 | 国家資格 |
受験条件 | 指定課程+実務 or 実務4年+養成施設 | 指定養成課程修了 |
合格率(2025年) | 56.3% | 約90% |
主な業務 | 生活支援・介助・相談援助 | 医師の指示による医療行為 |
独占業務 | なし(生活支援が中心) | 医療行為(注射・点滴など) |
介護福祉士はチームケアの一員として生活支援を担うのに対し、看護師は医師の指示のもと医療行為を行える業務独占資格です。
難易度は、看護師は専門教育の修了が必須、介護福祉士は幅広い福祉知識と実務力が求められます。
出典:看護師 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典:介護福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移

【働く場所】介護士と看護師の違い
ここでは、介護士と看護師がどのような職場で活躍しているかを解説します。介護士は福祉施設や在宅支援の現場など、生活に密着した場所で働くのに対し、看護師は医療機関を中心に、医師と連携しながら医療行為を担います。
勤務先によって、求められる知識・役割・勤務体制にも違いがあるので、ぜひ以下をチェックしてみてください。
介護士の主な職場
介護士は、介護を必要とする高齢者や障がい者の生活を支援するため、福祉施設や在宅支援の現場を中心に働きます。
【主な職場】
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- デイサービス(通所介護)
- グループホーム
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- 訪問介護事業所
施設では、食事・入浴などの身体介助や生活援助を担当し、在宅では訪問介護員(ホームヘルパー)として利用者の自宅を訪問します。
職場によって勤務時間帯や介助内容が異なり、夜勤を伴う施設勤務も多くみられます。
出典:社会福祉士
看護師の主な職場
看護師は、医療や福祉に関わる幅広い現場で活躍します。
【主な職場】
- 病院(総合病院・大学病院など)
- 診療所・クリニック
- 介護老人保健施設・特別養護老人ホーム
- 訪問看護ステーション
- 学校・企業の健康管理部門
病院・クリニックでは医師の診療補助や治療、入院患者のケアを行い、訪問看護では利用者の自宅で医療的ケアを提供します。
近年は高齢化に伴い、介護施設や在宅医療分野での需要も拡大しています。夜勤・交代制勤務の職場も多く、医療体制を支える役割を担います。
共通の職場と役割の違い
介護士と看護師は、同じ施設で働くことも多いですが、担う役割は明確に異なります。
例えば特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)では、介護士が生活支援や身体介助を行い、看護師はバイタルチェックや服薬管理などの医療的ケアを担当します。
項目 | 介護士 | 看護師 |
---|---|---|
主な役割 | 生活援助・介助 | 健康管理・医療行為 |
観察の視点 | 生活の様子・行動変化 | 体調・症状・バイタルサイン |
情報共有 | ケア記録・申し送り | 医療記録・指示受け |
両者は連携し、生活と健康の両面から利用者を支えますが、常に連携するとは限らず、施設の体制によって関与の度合いは異なります。
.webp&w=1920&q=75)
【給料・待遇】介護士と看護師の違い
ここでは、介護士と看護師の平均年収や労働条件の違いを紹介します。
どちらも24時間体制の現場で働く職種ですが、業務内容や資格要件の違いが賃金や待遇に反映されています。
夜勤手当や資格、経験年数によっても差が大きくなるため、職場選びやキャリア形成の際に確認が必要です。
介護士の平均年収
介護士の平均給与(月給・常勤者)は 338,200円で、前年より 13,960円増加しています。
賞与や手当を含めた推定年収は約406万円程度とされています。(338,200円 × 12か月 + 賞与約年2か月分想定)保有資格別では、以下のように差が見られます。
区分 | 平均月給(令和6年) | 推定年収 | 前年比増加額 |
---|---|---|---|
全体(常勤) | 338,200円 | 約406万円 | +13,960円 |
介護福祉士 | 350,050円 | 約420万円 | +12,890円 |
初任者研修修了者 | 324,830円 | 約390万円 | +13,540円 |
資格なし | 290,620円 | 約350万円 | +19,540円 |
処遇改善加算や特定加算の影響により、勤続年数・資格の有無を問わず賃金は上昇傾向にあります。特に経験年数1〜3年の若手層での伸びが大きく、定着促進策の効果が表れています。
一方、夜勤・介護報酬加算・地域区分などにより、実際の年収には個人差があり、400万円前後が全国的な目安となります。
看護師の平均年収
厚生労働省の職業情報提供サイトによると、看護師の平均年収は519.7万円で、介護士よりも高い水準です。平均年齢は41.2歳で、月の平均労働時間は155時間です。夜勤を含む交代制勤務が一般的な働き方となっています。
病院や介護施設では、夜勤回数に応じて夜勤手当が支給されるほか、管理職や専門看護師・認定看護師などの資格を持つ人はさらに給与が上がる傾向にあります。
医療・福祉分野では人材不足が続いており、処遇改善や柔軟な働き方の整備も進んでいます。
手当・夜勤・資格の影響
介護士・看護師ともに、夜勤手当・資格手当・経験年数が給与に大きく影響します。
項目 | 介護士 | 看護師 |
---|---|---|
夜勤手当 | 1回5,000〜8,000円前後 | 1回8,000〜15,000円前後 |
資格手当 | 介護福祉士・ケアマネなどで加算 | 認定看護師・専門看護師で加算 |
経験加算 | 勤続年数・役職で昇給 | 勤続・役職・スキルで昇給 |
介護職では「処遇改善加算」により、一定の条件を満たす事業所で月額2〜3万円の上乗せが可能。病棟勤務の看護師では、夜勤や休日勤務手当が年収を押し上げる主要因となっています
一方で、どちらの職種も長時間労働やシフト制による負担があるため、待遇改善が継続的な課題です。

【働き方・労働環境】介護士と看護師の違い
ここでは、介護士と看護師の勤務形態や労働時間、心身の負担、人間関係の特徴について比較します。
どちらの職種も24時間体制でケアを提供する現場が多く、シフト勤務や夜勤が発生しますが、業務内容や責任範囲の違いから、求められる働き方や負担の種類にも差があります。
シフト・夜勤の有無
介護士・看護師ともに、入所施設や病棟など24時間稼働の現場では交代制勤務が一般的です。主な勤務形態と平均的な夜勤頻度は以下の通りです。
項目 | 介護士 | 看護師 |
---|---|---|
勤務形態 | 2交代・3交代制 | 2交代・3交代制 |
平均夜勤回数 | 月 4.8回(全体平均) | 月 5.8回(病院勤務者) |
月平均労働時間 | 163時間 | 155時間 |
主な夜勤業務 | 巡回・排泄介助・記録 | 急変対応・点滴管理・記録 |
夜勤体制 | 複数人、1人体制 | 複数人(病棟)、待機制(訪問) |
介護施設では夜間の介助・巡回が中心、看護師は急変対応や医療処置も含まれます。いずれも不規則な勤務が生活リズムに影響するため、夜勤明けの休息や勤務間隔の確保が課題です。
出典:看護師 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典:施設介護員 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
体力・精神面の負担比較
介護士は身体介助(移乗・入浴・排泄介助など)が多く、腰や関節への負担が大きい傾向にあります。看護師は医療行為や患者対応の責任が重く、精神的な緊張が続く場面が多いのが特徴です。
負担の種類 | 介護士 | 看護師 |
---|---|---|
身体的負担 | 高い(介助動作が中心) | 中程度(立ち仕事・長時間勤務) |
精神的負担 | 利用者・家族対応でストレス | 医療行為の責任・緊急対応 |
休憩の取りやすさ | 現場により制約あり | 夜勤中は交代制で休息確保 |
いずれも慢性的な疲労が課題となるため、腰痛対策・メンタルケア・業務分担の見直しが推進されています。
出典:令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について
出典:正規雇用看護職員の離職率は11.3%に/日本看護協会調査
出典:「2024年病院看護実態調査」 結果新卒看護職員の離職率は2年ぶりに10%台から8%台へ改善 約4割の
人間関係・チーム医療での位置づけ
介護士は生活支援を担う立場として、利用者との関係構築や多職種連携が重要です。看護師は医師の指示のもとで医療行為を実施し、チーム医療の中心的役割を果たします。
視点 | 介護士 | 看護師 |
---|---|---|
チーム構成 | 介護職・ケアマネ・看護師など | 医師・看護師・コメディカルなど |
主な役割 | 生活全般の支援・観察・報告 | 医療的ケア・健康管理・指示実施 |
人間関係の特徴 | 多職種協働・報連相が要 | 医師との連携・緊張感ある現場も |
両者は立場が異なっても、利用者の生活と健康を支える共同パートナーとして連携が不可欠です。
ただし、職種間の役割認識の差や業務負担の偏りがストレスの要因となることもあります。
.webp&w=1920&q=75)
【プレッシャーや責任】介護士と看護師の違い
ここでは、介護士と看護師に共通する「責任の重さ」と、それに伴う離職率の実態を解説します。
いずれの職種も人の生活や健康を支える重要な役割を担うため、日々のプレッシャーが大きく、心身の負担や働き方の課題が定着率に影響しています。
離職率の比較(令和5年度)
介護士・看護師ともに、人手不足や業務負担の大きさから一定の離職が発生しています。
離職率は職種や勤務形態により異なりますが、近年は処遇改善や働き方改革の効果もあり、全産業平均より低い水準で推移しています。以下は令和5年度の最新データです。
職種 | 離職率 |
---|---|
介護士(常勤) | 13.1% |
看護師(病院) | 11.3% |
全産業平均 | 15.4% |
出典:―令和5年度 介護労働実態調査結果について―
出典:正規雇用看護職員の離職率は11.3%に/日本看護協会調査
出典:-令和5年雇用動向調査結果の概況-
介護士の離職率は依然高めで、体力的負担や賃金面への不満が主な要因とされています。
一方、看護師は夜勤負担や人間関係、育児との両立が課題です。両職種とも定着率向上に向けて、処遇改善加算や柔軟な勤務制度、キャリア支援などの施策が拡充されています。

【キャリアパス】介護士と看護師の違い
ここでは、介護士と看護師が経験を重ねることで歩めるキャリアの方向性を紹介します。
両職種とも現場経験を積むことで、リーダー職や専門資格、管理職へのステップアップが可能です。スキルの深堀りだけでなく、教育・マネジメント・地域連携など多様な道が開かれています。
介護士のキャリアパス
介護士は、経験年数と資格取得によりキャリアの幅が大きく広がります。現場での介助業務を経て、指導・管理職へと進むルートが一般的です。
ステップ | 役割・資格例 |
---|---|
初期段階 | 介護職員初任者研修/実務者研修修了者として現場介助 |
中堅層 | 国家資格「介護福祉士」取得で専門職として自立 |
管理職 | サービス提供責任者/リーダー/ユニットリーダー |
上位資格 | 介護支援専門員(ケアマネジャー)・生活相談員 |
管理・経営 | 施設長、エリアマネージャー、法人管理職など |
国家資格の「介護福祉士」取得後は、ケアマネや生活相談員、さらに認定介護福祉士への道もあります。
現場からマネジメント・相談援助・教育・経営へと進むキャリア形成が可能です。
看護師のキャリアパス
看護師は、国家資格取得後も専門分野の深化と管理職への昇進の両面でキャリア形成が可能です。
ステップ | 役割・資格例 |
---|---|
初期段階 | 一般看護師として臨床経験を積む |
専門職 | 認定看護師(糖尿病看護・緩和ケアなど19分野)/専門看護師(がん看護・在宅看護など14分野) |
管理職 | 主任・副師長・師長・看護部長 |
教育職 | 実習指導者・看護教員・大学教員 |
他職種連携 | 保健師・助産師・訪問看護師などへ展開 |
キャリアパスは臨床だけでなく、教育・研究・地域連携にも広がりがあります。日本看護協会による「生涯学習支援制度」により、スキルアップの機会が体系化されています。

【将来性】介護士と看護師の違い
介護士と看護師はともに、少子高齢化の進展により今後も需要が高い職種です。
介護士は要介護者の増加を背景に、施設・在宅の両面で求人が拡大しており、外国人材の受け入れやICT活用による業務効率化も進んでいます。
一方、看護師は医療現場の人手不足が慢性化しており、在宅医療や地域包括ケアの拡充に伴い、病院外でも活躍の場が広がっています。
どちらも専門知識と経験が長期的に評価される職種であり、安定性が高いのが特徴です。今後は、介護と医療の連携が強化される中で、両職種がチームとして協働できるスキルがより重視されていくでしょう。
出典:総合確保方針の概要
出典:医師、看護師、介護分野の職員など10の職種について、今後の人材確保の方向性などを提言 ――2022年版厚生労働白書
出典:介護人材確保に向けた取組について | 厚生労働省
.webp&w=1920&q=75)
看護師と介護士はどっちが大変?向いている人の特徴
ここでは、介護士と看護師の仕事の大変さを比較し、それぞれに向いている人の特徴を紹介します。
業務内容や責任の重さ、夜勤の有無、人間関係など、求められる資質は異なります。自分の性格や関心、働き方の希望に合わせて、適性を見極めることが重要です。
「介護士」に向いている人
介護士は、生活支援を通じて利用者の自立を支える仕事です。日々の関わりが多いため、相手の気持ちに寄り添い、細やかなケアを行う姿勢が求められます。
向いている人の特徴
- 人の役に立つ実感を大切にできる
- コミュニケーションを重視する
- 相手の立場に立って考えられる
- チームワークを大切にできる
体力に自信があり、継続力がある
身体介助など体力を使う場面も多いですが、感謝される機会が多く、やりがいを感じやすい職種です。キャリアアップすれば、ケアマネジャーや相談員などへの道も広がります。
「看護師」に向いている人
看護師は、医療の専門職として健康回復や治療を支える仕事です。医師の指示のもと、注射や点滴などの医療行為を担い、緊急対応力や冷静な判断が求められます。
向いている人の特徴
- 医療や科学的知識に関心がある
- 緊張感のある環境でも冷静に対応できる
- 責任感が強く、正確な判断を重視する
- 他職種と協働し、指示系統を意識できる
- 夜勤など変則勤務にも柔軟に対応できる
専門知識を深めることで、認定看護師や専門看護師などの高度資格を目指せます。医療現場だけでなく、地域医療・在宅看護など活躍の場も多様です。
どちらが大変か?(業務量・責任・夜勤・人間関係)
介護士と看護師の「大変さ」は、仕事内容や勤務先によって異なります。以下の表は主な比較ポイントです。
項目 | 介護士 | 看護師 |
---|---|---|
業務量 | 身体介助・生活支援中心 | 医療行為・健康管理中心 |
責任の重さ | 生活支援の継続・観察報告 | 医療処置・緊急対応など高責任 |
夜勤 | 月4〜6回前後(深夜勤務5〜7回未満が最多) | 2交替制の平均夜勤回数:4.28回/月 3交替制の平均夜勤日数:7.75日/月 |
人間関係 | 利用者・家族との密接な関わり | 医師や看護チームとの連携重視 |
出典:―令和5年度 介護労働実態調査結果について―
出典:2023年度 夜勤実態調査結果
介護士は体力的負担が大きく、看護師は精神的・責任的負担が大きい傾向にあります。
どちらも人の生活と命を支える重要職種であり、やりがいと負担の両面を理解して選ぶことが大切です。
.webp&w=1920&q=75)
看護師から介護福祉士になる方法
ここでは、看護師が介護福祉士資格を取得するための手順を解説します。医療現場で培った知識を活かし、介護福祉士として介護施設でキャリアを広げたい人向けに、必要な要件・受験ルート・取得メリットを整理します。
受験資格と実務ルート
看護師免許を持っていても、介護福祉士試験の受験資格を満たすには、原則として「介護実務3年以上+実務者研修修了」が必要です。
福祉系養成施設を卒業していない場合は、在職しながら実務経験を積む形が一般的です。
必要な研修・手続き
実務者研修(450時間)を修了し、国家試験に合格すると登録可能です。登録後は「介護福祉士」として介護報酬上の加算対象にもなり、キャリアアップが可能です。
メリット・注意点
医療知識を活かしつつ、介護現場でのマネジメント・ケアプラン支援に活躍できる点が魅力です。一方、看護師に比べ賃金水準は低めの傾向があり、目的を明確にして進むことが大切です。
%2520(1).webp&w=1920&q=75)
介護福祉士から看護師になる方法
ここでは、介護福祉士が看護師資格を取得し、医療現場での活躍を目指すためのルートを解説します。
准看護師・看護師養成課程への入学要件、学費・期間、働きながら学ぶ方法など、キャリアチェンジの実際を紹介します。
進学ルート(准看護師→看護師)
最短ルートは「准看護師養成所(2年)」→「看護師学校(2年)」のステップアップだといえます。高校卒業資格がない場合は高卒認定試験の合格が必要です。
社会人から看護師になるには?
社会人が看護師を目指す場合、看護学校・短期大学・看護大学などの養成機関で3年以上学ぶことが必須です。卒業後に「看護師国家試験」に合格すると免許が取得できます。
学費や働きながらの通学を支援する制度もあり、教育訓練給付制度や社会人入試制度を活用することで、キャリアチェンジを目指す人も増えています。
看護師養成ルート(社会人の場合)
ルート | 学習期間 | 特徴 |
---|---|---|
看護学校(専門学校) | 3〜4年 | 最も一般的。実習が多く即戦力を養う |
短期大学 | 3年 | 学士取得を目指す場合は大学編入も可能 |
看護大学 | 4年 | 幅広い教養と専門性。管理職・保健師などの道も |
社会人向け支援制度
- 社会人入試制度:既卒者・職務経験者を対象とする特別入試
- 教育訓練給付制度:厚労省の支援により学費の一部が給付
- 単位認定制度:過去の大学・短大で履修した科目の一部免除
学費・期間の目安
- 准看護師:2年間で約100〜200万円
- 看護学校(全日制):2〜3年で約200〜300万円
働きながら通う「定時制」や「通信制」もあり、奨学金・自治体の修学資金貸付制度の活用が可能です。
資格取得後のキャリア
病院・診療所など医療職として働けるほか、介護施設で医療ケアを担うポジションへの転身も可能です。医療的判断を伴う業務が増えるため、専門性と責任が高まるでしょう。

看護師と介護士のダブルライセンスのメリット
看護師と介護士の両資格を持つことで、医療・介護両面から利用者支援が可能となり、現場での専門性と信頼性の向上につながります。
介護施設では医療的ケアの理解が深まり、看護職としても生活支援の視点を活かせるため、包括的ケアの実践が可能です。
また、転職先の選択肢が広がり、病院・特養・訪問看護・在宅介護など多職種連携が必要な職場で活躍できます。
医療と介護の両面を理解している人材として、施設運営やチームリーダーなどのキャリアアップに活かせる可能性があります。
出典:地域包括ケアシステム|厚生労働省
出典:介護労働実態調査
.webp&w=1920&q=75)
看護師と介護士のダブルライセンスのデメリット
看護師と介護士のダブルライセンスを取得・維持するには時間・費用・労力の負担が大きく、働きながら学ぶ場合は両立が難しい点が課題です。
また、職場によっては資格に見合う給与や役割が十分に反映されないケースもあり、「介護職として勤務しても看護師手当が付かない」「看護師として採用されると介護業務が少ない」など、資格を十分に活かしにくい状況も存在します。
さらに、両資格を活かしたポジションは限られるため、キャリアの方向性を明確にすることが大切です。

【介護福祉士から看護師へ】免除制度はある?
介護福祉士から看護師を目指す場合、国家試験科目の免除制度は存在しません。
看護師資格を取得するには、「看護師等学校養成所指定規則」に基づき、看護大学・短大・専門学校などの養成課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。
ただし、介護現場で培った高齢者支援や医療連携の経験は、看護実習や授業内容の理解に役立つため、学習面での強みとなるでしょう。
また、多くの養成校では社会人入試枠や奨学金制度を設け、介護職経験者を積極的に受け入れる傾向があります。
制度的な科目免除はありませんが、介護福祉士としての実務経験は、進学・学習において大きなアドバンテージとなるでしょう。

【看護師から介護福祉士へ】免除制度はある?
看護師から介護福祉士を目指す場合、国家試験の科目免除制度はありません。介護福祉士の資格取得には、介護福祉士実務者研修の修了と、国家試験への合格が必要です。
ただし、看護師・准看護師は、実務者研修の一部科目が免除され、短期間で修了できる特例があります。(例:450時間→約320時間程度)
また、看護師資格を持つことで介護現場の医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養など)にも対応できるため、就業面でも有利です。
一方、介護福祉士試験の受験資格は、実務経験3年以上または養成施設卒業が必要であり、看護師資格だけでは受験できません。
出典:看護師等の資格を有する者に対する 介護職員初任者研修課程科目免除の事務取扱要領 (趣旨)
出典:社会福祉士及び介護福祉士法 | e-Gov 法令検索
出典:[介護福祉士国家試験]受験資格:福祉系大学等:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
出典:介護員養成研修の取扱細則について

まとめ
介護士と看護師は、支援の目的や役割は異なりますが、いずれも人の生活と健康を支える重要な専門職です。介護士は日常生活の介助を通じて利用者の自立を支援し、看護師は医療行為を通じて治療や健康の回復を担います。
給与や勤務形態、求められる専門性にも違いがあり、自身の関心やライフスタイルに合わせた選択が重要です。また、両資格を取得することで医療と介護の両面から支援できる人材として活躍の幅が大きく広がるでしょう。
将来的には、高齢化の進展により両職種のニーズがさらに高まる見込みです。自分の適性やキャリアビジョンを見据えて、資格取得や職場選びを検討しましょう。
よくある質問
Q.介護士と看護師はどちらが上ですか?
介護士と看護師は「上下関係」ではなく、役割が異なる専門職です。
看護師は国家資格を持ち、医療行為や健康管理を担います。一方、介護士は生活全般の支援を通じて利用者の自立を促す役割を果たします。
どちらもチームケアの一員として、互いの専門性を尊重し連携することが大切です。
Q.介護士にできて看護師にできないことは何ですか?
介護士は、利用者の日常生活に密接に関わり、食事・排泄・入浴・レクリエーション支援など、生活全般を支えます。
また、介護保険制度に基づく介護計画の作成や、生活の質を高める支援が得意です。
看護師は医療的ケア中心で、生活支援全般に長期的に関わることは少ない傾向があります。
Q.看護師は介護士として働けるのでしょうか?
看護師が介護士として働くことは可能です。ただし、介護福祉士などの資格が必要な業務(介護計画の作成など)もあるため、配置基準上は介護職としてカウントされない場合があります。
現場では、医療知識を活かしながら介護業務を行う看護師も多く、職場の方針により役割が異なります。
Q.介護と看護の違いは何ですか?
介護は生活支援を通じて自立を促し、日常生活の質を高めることを目的とします。
看護は医師の指示のもと、治療や健康回復を支援する医療行為が中心です。
目的は異なりますが、いずれも利用者の尊厳を守り、安心して生活できる環境づくりを目指しています。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
