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エッセンシャルワーカーとは
「社会機能維持者(エッセンシャルワーカー)」とは、人々が日常生活を送るために欠かせない仕事に従事する人々を指します。
医療や介護、物流、小売、保育、インフラ管理など、社会の土台を支える役割を担っています。
新型コロナウイルス感染症拡大時、多くの人が在宅勤務に移行する一方で、現場で働き続けたことから、エッセンシャルワーカーの存在が改めて注目されました。
しかし、社会に不可欠な仕事であるにもかかわらず、処遇や雇用の安定が十分とは言えない状況が続いており、これらの分野における働き方や評価の見直しが重要な課題となっています。
厚生労働省など公的機関における定義と位置づけ
「エッセンシャルワーカー」という言葉が広く知られるようになったのは、新型コロナ禍の「社会機能維持者(Essential Worker)」の指定がきっかけです。
厚生労働省などは、次のような分野で働く人々を「社会機能を維持するために継続的に業務が必要な職種」と位置づけました。
- 医療・福祉・育児:病院職員、介護士、障害福祉従事者、保育士 など
- 生活基盤サービス:食料・生活必需品の供給、小売業、ごみ収集 など
- 社会インフラ:電気・ガス・水道、運輸・物流、金融、行政、メディア など
これらの職種は、有事であっても「止めることができない仕事」という点に共通性があります。
類義語・対義語(ライフライン従事者との関係)
エッセンシャルワーカーの類義語として、公的文書では「社会機能維持者」が用いられます。また、電気・ガス・通信などを維持する職種は「ライフライン従事者」と呼ばれ、役割は重なります。
一方、明確な対義語は存在しませんが、議論の文脈では次のような点が問題提起されています。
- 社会に不可欠な仕事ほど、必ずしも高い報酬が支払われているとは限らない
- 利益を生みやすい産業と比べ、ケア労働は「低賃金・低評価」になりやすい構造がある
こうした問題は、韓国・欧州などで「ケア労働の公共性を高める政策」として議論が進んでいます。
新型コロナ禍で注目された背景と、2025年時点の状況
コロナ禍では、医療・介護・保育・物流・小売などの日常生活を維持する仕事が、社会にとってどれほど必要不可欠であるかが可視化されました。
そのため、「感謝」「拍手」「支援」など、エッセンシャルワーカーの価値が広く共有されました。
しかし、2025年現在、その認識が必ずしも持続しているとは言えません。以下のような課題が指摘されています。
課題 | 内容 |
|---|---|
処遇改善の遅れ | 社会的役割の重要性に比べ、賃金水準が十分でない |
人材不足 | 高齢化と人手不足が重なり、負担が集中しやすい |
雇用の不安定さ | 非正規雇用・シフト制による所得や生活の不安定さ |
こうした状況に対し、政府は「新しい資本主義」実行計画(2025年改訂)において次の方針を示しています。
- 医療・介護・保育分野の公定価格引上げによる処遇改善
- デジタル活用等による「アドバンスト・エッセンシャルワーカー」育成
- 非正規雇用から正規雇用への転換支援や労働市場改革
出典:新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2025年改訂版 (抄) (令和7年6月13日閣議
出典:新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画 2025年改訂版
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エッセンシャルワーカーに含まれる主な職種
ここでは、エッセンシャルワーカーに分類される代表的な職種を整理します。
医療・介護・保育といったケア労働から、物流・小売・インフラ・行政サービスまで、その領域は幅広いことが特徴です。
職種ごとに役割や現場が抱える課題も異なるため、具体例を通じて理解を深めていきましょう。
医療・看護・介護・福祉
医療・看護・介護・福祉は、人々の命と生活を直接支える「ケア労働」の中心を担う領域です。
病院や診療所、介護施設、訪問介護、障害福祉支援など、生活の再生産を支える重要な役割を果たしています。
職種 | 主な課題 |
|---|---|
医療・看護 | 夜勤や長時間労働、感染リスク、個人用防護具(PPE:Personal Protective Equipment)不足などによる身体的・精神的負担が大きい。 |
介護・福祉 | 賃金水準の低さ、非正規雇用の多さ、ケアの質より効率が優先されがちな制度構造が課題。 |
特に介護分野は、高齢化に伴い需要が急増しているにもかかわらず、人手不足が深刻です。訪問介護職の求人倍率は非常に高い水準が続き、安定したサービス提供に支障が生じています。
背景には、「家庭内のケア労働の延長」として専門性が低く評価され、制度設計時から処遇が抑制されてきた歴史的経緯があります。
介護職は女性就業率が高い分野でもあり、低賃金は生活の安定だけでなく、人材確保そのものを困難にする要因となっています。
保育・教育(学校・幼児教育・学童など)
保育・教育の分野は、子どもの育ちと学びを支える社会の基盤です。しかし、公務員定数の削減や行政効率化が進む中で、保育士・教員・発達支援員など多くの職種で非正規化と低賃金化が進行しています。
たとえば、児童発達支援センターや学校現場では、高い専門性を持つ職員が会計年度任用職員として雇用されるケースが増えています。
これにより、同じ仕事内容でも待遇に大きな差が生じる状況が生まれ、サービス提供の継続性にも影響が及ぶ可能性があります。
物流・運輸(トラック運送・郵便・宅配 など)
物流・運輸は、生活物資や製品を流通させるための要となる仕事です。パンデミック下でも業務継続が求められ、社会にとって不可欠であることが明確になりました。
しかし、この分野には多重下請構造による低単価競争が存在し、現場の労働者にしわ寄せが起きやすい状況があります。
結果として、低報酬・長時間労働が慢性化し、ドライバー不足が深刻化しています。近年は、適切な対価の支払いを促すための国の是正指導や制度改革が進められています。
生活インフラ(電気・ガス・水道・通信)
生活インフラに従事する人々は、どのような状況でも社会活動を継続させるための要となる存在です。
災害時や感染症流行時には、業務継続と労働者の安全確保の両立が求められ、備えや体制整備が重要になります。
また、感染症への不安や偏見が生まれないよう、住民理解や職場環境の改善など、社会全体で支える視点が必要となります。
小売・販売(スーパー・コンビニなど)
生活必需品の供給を担う小売・販売業は、日常生活に最も近いエッセンシャルワークです。
しかし、この分野では非正規雇用の比率が非常に高く、賃金水準も低い傾向があります。
特にスーパーマーケットでは短時間シフトが中心となり、希望しても労働時間を増やせないケースも多く、安定的な収入を得にくい構造となっています。
この背景には、日本の長期的な労働政策や賃金制度が影響しているといわれています。
公務・行政・防災(警察・消防・自治体職員・ごみ処理)
公務・行政・防災の領域は、社会基盤を維持するための公的業務を担います。
しかし、自治体における職員数削減が進む一方で、必要な業務量は減っていません。その結果、臨時・非常勤(会計年度任用職員)による公共サービス支えが常態化しています。
非常勤職員の中には、昇給や退職手当の制度がないケースも多く、処遇格差が大きいことが課題です。
公的サービスの質を維持するためには、雇用の安定と適切な待遇が求められます。
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エッセンシャルワーカーが社会に不可欠とされる理由
社会活動や暮らしを止めないために必要な仕事を担うのがエッセンシャルワーカー。医療・介護・物流・保育など、多様な現場で人々の生活を支え続けています。
ここでは、エッセンシャルワーカーが「社会に不可欠」と位置づけられる理由を整理します。
生活と社会基盤を支える役割
エッセンシャルワーカーは、人々の「生きる」ために必要なサービスを継続的に提供する存在です。たとえば、看護師、介護職、保育士、配送ドライバー、スーパーの販売スタッフ、ごみ収集作業員、学校の教員、自治体窓口の職員などが挙げられます。
これらの職種は、経済的な利益を大きく生み出す産業とは異なり、日常生活そのものを支えることに価値があります。
しかし、その価値は目に見えにくいため、「労働が低く評価されやすい」といった点が大きな特徴です。結果として、「社会に不可欠なのに、待遇は十分ではない」というミスマッチが生じやすくなっています。
テレワーク代替が困難な「対人・対物」労働である
エッセンシャルワーカーの多くは、業務の性質上、現場で直接人や物に関わる必要がある仕事です。そのため、テレワークによる代替が困難です。
たとえば、訪問介護では利用者宅に赴き、排泄、食事介助、移動支援など身体に直接触れるケアが必要です。こうした仕事は、画面上やオンライン上では置き換えることができません。
コロナ禍では、「テレワークができる仕事」と「できない仕事」の格差が顕在化しました。にもかかわらず、後者の仕事は待遇が低く評価されがちであり、社会ニーズと評価のバランスを見直す必要性が明らかになっています。
災害・感染症などの有事における継続性
災害や感染症といった不測の事態において、エッセンシャルワーカーは社会の機能を維持するために業務を止められないという特徴があります。
新型コロナ禍で、医療・介護・物流・インフラ・小売などの職種が緊急事態宣言下でも継続して稼働したように、彼らの仕事は社会の安全と生活を支えるために不可欠です。
同様に、東日本大震災などの災害時にも、ライフラインや地域コミュニティを維持するために現場で働き続けることが求められました。
一方で、有事下での継続業務は、感染リスク・長時間労働・偏見やストレスなど、心身の大きな負担を伴います。
こうした負荷に対して十分な保護と支援を行う仕組みづくりが、今後の重要な課題となっています。
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エッセンシャルワーカーを取り巻く現状と課題
エッセンシャルワーカーは社会に欠かせない役割を担っていますが、現場では、人手不足・処遇格差・心身の負担など、多くの課題が続いています。
ここでは、現状で何が起きているのかを整理し、改善が求められている理由について確認します。
人手不足(特に介護・保育・医療)
少子高齢化が進む中で、エッセンシャルワーカーの確保は深刻な課題となっています。
特に医療・介護・保育などのケア分野では、需要は増加しているものの人材不足が著しい状態です。
職種 | 人手不足の状況 |
|---|---|
訪問介護 | 訪問介護 令和5年度の有効求人倍率は14.14倍と依然として高く、多くの事業所が人手不足によりサービス提供を断った経験がある。 |
看護・医療 | 長時間労働や夜勤の負担が重く、離職・転職が発生しやすい。新卒看護師が夜勤のない美容医療へ流れる動きも見られる。 |
公務・行政 | 正規職員の削減により業務量が増加し、専門職が会計年度任用職員(非正規)として雇用されるケースが増えている。 |
とりわけ訪問介護では、倒産件数の増加やサービス提供困難によって「介護難民」の発生が現実味を帯びています。
人材確保は、地域の生活支援体制そのものに直結する重要な課題です。
訪問介護事業所の経営環境は特に厳しく、2024年の訪問介護事業者の倒産件数は81件と過去最多を記録しました(東京商工リサーチ調査)。介護事業者全体でも172件の倒産が発生し、前年比40.9%増となっています。倒産の主な原因は、人手不足に加え、2024年4月の基本報酬引き下げ(約2%マイナス)による収益悪化が挙げられています。
出典:エッセンシャルワーカーを取り巻く課題を 考える新たな視点
出典:エッセンシャルワーカー連合総研レポート2024年10月号No.401 | 連合総研
出典:2024年『介護事業者』倒産動向調査|東京商工リサーチ
出典:統計データを探す | 政府統計の総合窓口
賃金・待遇の伸び悩み
エッセンシャルワーカーの処遇改善が進まない背景には、低評価を前提とした労働構造があります。小売業では労働者の多くがパートタイムであり、家計補助的な賃金水準に抑えられる傾向が続いています。
ケア労働では特に賃金が低くなりやすい構造が顕著です。たとえば訪問介護職では、利用者宅でのサービス提供時間しか賃金に反映されず、移動時間や待機時間が実質的に無償となることが多いため、拘束時間に比して賃金水準が低くなりがちです。
厚生労働省『令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果』(2025年8月公表)によると、月給制・常勤で働く介護職員の平均給与(月収)は33万8,200円となり、前年度の32万4,240円から1万3,960円(4.3%)増加しました。しかし、全産業平均と比較すると依然として賃金水準は低く、人材流出の一因となっています。
さらに、医療・介護・福祉など公定価格制度に基づく分野では、コスト増を価格に転嫁できないことから、他産業と比べて賃金水準が上がりにくいという構造的な限界があります。その結果、人材確保がより困難になっています。
メンタルヘルス・感染リスク問題
新型コロナ禍では、医療従事者や介護職をはじめとする多くのエッセンシャルワーカーが、感染リスクにさらされながら業務を継続しました。
個人用防護具(PPE)の不足や過度の負担、長時間労働は心身の消耗を招き、「持続可能な働き方とは言えない」と指摘されました。
また、感染リスクへの不安だけではなく、医療・介護職員の家族に対して社会的偏見が向けられたケースも報告され、身体的負担と精神的負担の両方が問題として浮き彫りになりました。
職場では残業削減などの取り組みが進みましたが、業務量が変わらない場合、労働密度が上昇し、かえってストレスが増加するケースもみられています。
今後の感染症対策では、メンタルケアや偏見防止も踏まえた総合的支援が求められます。
社会的評価のギャップ
エッセンシャルワーカーは、社会にとって不可欠な仕事を担っています。
しかし、社会的評価と賃金・待遇の間にはしばしば大きなギャップがあり、「感謝されるが報われにくい仕事」と位置づけられてしまう状況があります。
この背景には、非正規雇用や委託労働が広がり、処遇改善を求める声を束ねる組織が弱いという構造的な問題があります。労働組合の対象外となる働き方が多いことで、「声が上げにくい」環境が続いてきました。
このギャップを解消するためには、労働条件改善に取り組む仕組みや、担い手が誇りを持ち働き続けられるキャリア形成の整備が欠かせません。
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国と自治体による支援策・改善の動き【2025年最新】
エッセンシャルワーカーの処遇改善は、人手不足の深刻化と社会機能の維持という観点から、最優先で取り組むべき課題となっています。
政府は、コロナ禍で明らかになった低処遇の構造を見直すため、公定価格の引上げや生産性向上への投資を盛り込んだ政策を展開しています。
さらに、地域間の賃金格差の是正や、デジタル技術を活用した新たな人材育成の推進によって、現場で働く人々が労働の価値に見合った待遇を得られる環境づくりを進めています。
処遇改善加算(介護・障害福祉)
介護・障害福祉分野では、公定価格制度を通じて処遇改善が進められてきましたが、依然として課題が残っています。
2024年4月の介護報酬改定では、全体の改定率は+1.59%となりましたが、訪問介護の基本報酬は約2%引き下げられ、現場経営が圧迫される状況となりました。一方、2024年6月からは従来の3つの処遇改善加算(介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算)が「介護職員等処遇改善加算」に一本化され、加算率が引き上げられました。この新加算により、2024年度に2.5%、2025年度に2.0%のベースアップへとつながることが期待されています。
これは、現場の業務負担を軽減し、人材の定着を支えるための重要な施策です。
賃金引上げに関する政策動向(介護職員等ベースアップ支援加算など)
エッセンシャルワーカーの賃金引上げは、働き手を確保するための根本的な対策です。
政府は「新しい資本主義」の実行計画に基づき、医療・介護・保育・福祉などの公定価格分野で賃金水準を引き上げる方針を明確に示しています。
公定価格で運営される分野では、コスト増を価格に転嫁できず、他産業よりも賃金が上がりにくい構造があります。そのため、賃上げが進む民間産業に人材が流出しやすく、労働力の確保が困難になっています。
また、最低賃金の引き上げも処遇改善の底上げにつながっています。
2024年度に全国平均で51円引き上げられ、加重平均1,055円となりました。さらに、2025年度(令和7年度)は66円引き上げられ、全国平均1,121円となり、すべての都道府県で1,000円を超える水準に達しています。
出典:新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2025年改訂版 (抄) (2025年6月13日閣議決定
出典:エッセンシャルワーカー - 連合総研
出典:地域別最低賃金の全国一覧|厚生労働省
保育・医療分野における人材確保施策
保育や医療など、社会に不可欠なケア領域の人材不足に対応するため、政府は賃金引き上げに加えて、キャリア形成とスキル活用を組み合わせた支援を進めています。
その一つが、デジタル技術を活用してより高度な役割を担う人材、すなわち「アドバンスト・エッセンシャルワーカー」の育成です。これにより、現場で働く人々がより高い処遇と専門性を得られるようにすることを目指しています。
さらに、地域によって賃金差が生まれやすいケア分野では、地域区分の見直しが進められています。
隣接自治体間で賃金差が大きいと人材が都市部へ流出してしまうため、この調整は人材確保に直結する政策です。
働き方改革・研修制度・キャリアパス整備の強化
エッセンシャルワーカーが安心して働き続けられる環境をつくるためには、賃金の引き上げだけでなく、働き方そのものの持続可能性を高めることが重要です。
政府は、労働者の自律的なキャリア形成を支えるため、キャリア面談やセルフ・キャリアドックの活用、教育訓練給付制度の強化などを進めています。
ただし、残業削減の取り組みがあっても業務量が変わらない場合、労働密度が高まりストレスが増えるという課題があります。
そのため、働き方改革では「負担の総量を減らす」視点が不可欠です。
また、地方部や中小企業における柔軟な働き方(例:良質なテレワーク)の環境整備も、労働者のウェルビーイング向上に寄与します。
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介護・福祉分野で働くことのやりがい
介護・福祉分野は、人々の生活と生命を直接支えるエッセンシャルワークの中心的な領域です。
高齢化の進行により需要が増え続けているため、長期的に安定した働き先としての可能性を持ち、専門職としてキャリアを築きたい人にとって重要な選択肢となります。
一方で、拘束時間の長さに対して賃金水準が低い、雇用が不安定なケースがあるなど、構造的な課題を抱えていることも事実です。
それでも、多くの人がこの仕事を続ける理由は、利用者との関わりから生まれる「働く意味」と、資格を通じた専門性・キャリアの広がりにあります。
利用者との関係性が生み出す「働く意味」
介護・福祉の仕事の大きな特徴は、利用者と直接向き合い、生活の継続を支える中で、深い関係性が生まれる点にあります。
特に訪問介護は、住み慣れた自宅で暮らし続けたいと願う高齢者にとって不可欠なサービスであり、支援は一対一の信頼関係を基盤として行われます。
しかし近年、制度改定により、訪問介護の時間が短縮・細分化される傾向が強まっています。そのため、ヘルパーは「もっと丁寧に寄り添いたい」という思いと、「決められた時間内でケアを終えなければならない」現実の間で葛藤を抱えることも少なくありません。
利用者からの「もう帰っちゃうの?」という声は、ケアにおける関係性の価値が十分に制度に反映されていないことを示しています。

【介護福祉分野】エッセンシャルワーカーのキャリア形成
介護・福祉分野は、エッセンシャルワーカーの中でも資格制度とキャリアパスが比較的整備されている領域です。
ここでは、資格取得を軸にした働き方や未経験からの成長ステップを整理し、長く働き続けられるキャリア形成のポイントについて解説します。
資格取得によるキャリアアップ
介護・福祉分野では、就業内容や役割が資格によって明確に区分されるため、資格はキャリア形成の中心的な要素となります。
看護師、介護福祉士、社会福祉士、保育士などの国家資格は、専門知識と技術を証明し、安定した雇用と再就職のしやすさにつながります。以下に当てはまる方にもおすすめです。
- 「手に職をつけたい」
- 「資格で長く働ける環境を持ちたい」
- 「家庭と両立しながら収入を得たい」
賃金水準は依然として課題がありますが、男女間の賃金格差が根強い日本において、介護・福祉は女性が専門職として働き続けやすい職域のひとつでもあります。
未経験からのキャリアパス
この分野は、未経験からでも段階的に専門性を高められるキャリアパスが整っています。
資格 / 職種 | ステップの意味・役割の変化 |
|---|---|
実務者研修 | 現場で働くための基礎的な専門知識と技術を身につける。 未経験からの第一歩に適した資格。 |
介護福祉士 | 介護専門職としての国家資格。 再就職がしやすい、長く働ける、指導的役割も担うなどキャリアの土台になる。 |
ケアマネジャー(介護支援専門員) | 利用者の生活全体を設計する「ケアプランの専門家」。 現場経験を踏まえて、管理・調整の役割へ進むステップ。 |
アドバンスト・エッセンシャルワーカー | ICTなどを活用し、より高度な業務を担う新たな専門職像。 今後重点的に育成が進められる方向性。 |
出典:エッセンシャルワーカーを取り巻く課題を 考える新たな視点
高齢化が進む中、この分野の需要は今後も続きます。資格取得は、長期的に働ける基盤となり、専門性を高めるほどキャリアの幅も広がります。
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まとめ
エッセンシャルワーカーとは、社会の生活基盤を支える仕事に従事する人々を指します。なかでも介護・福祉分野は、人々の暮らしを直接支える重要な役割を担う領域です。
これからは、こうした仕事が「続けたいと思える仕事」として成り立つようにすることが求められています。
具体的には、労働の価値に見合う賃金や待遇を整えること、無理なく働ける環境をつくること、そしてケア労働を社会全体で支えるものとして位置づけ直すことが重要です。
その実現のためには、制度の改善だけでなく、地域の利用者・家族・事業者・住民・労働組合が協力し、ケアを支える仕組みを一緒につくっていく視点が欠かせません。
よくある質問
Q.エッセンシャルワーカーとはどのような職業ですか?
エッセンシャルワーカーとは、人々の日常生活や社会システムを維持するために不可欠な業務に従事する労働者のことです。
具体的には、医療・看護、介護・福祉、保育、教育、小売(スーパー・コンビニ)、運輸・物流、建設、飲食、行政窓口、ごみ収集など多岐にわたります。
新型コロナ禍では、社会を止めないために必要な「社会機能維持者」として、事業継続が求められた職種として注目が集まりました。コロナ禍収束後の2025年現在も、高齢化の進行や自然災害の頻発などを背景に、エッセンシャルワーカーの重要性は継続して認識されています。
Q.エッセンシャルワーカーとはどういう意味ですか?
「エッセンシャル(Essential)」とは「不可欠・必要不可欠」を意味します。つまりエッセンシャルワーカーとは、パンデミックや災害などの有事においても、社会生活を維持するために欠かすことのできない労働に従事する人々を指します。
コロナ禍でこの概念が可視化されたことで、エッセンシャルワーカーの役割と責任の重さが再認識されました。
Q.エッセンシャルワーカーになるには国家資格が必要ですか?
職種によって異なります。看護師、介護福祉士、保育士、社会福祉士、言語聴覚士などのケア職や専門職は、国家資格によって専門性が担保されています。
一方、スーパー・飲食・物流など、資格がなくても働ける職種も多く含まれます。
つまり「エッセンシャルワーカー=資格職」に限定されるわけではありません。重要なのは「社会に欠かせない役割を担っているかどうか」です。
Q.保育士はエッセンシャルワーカーですか?
保育士はエッセンシャルワーカーです。政府が新型コロナ対応時に事業継続を求めた領域には「育児支援(保育)」が明確に含まれています。
保育士は国家資格を必要とする専門職であり、家庭や社会が機能する基盤を支える重要な役割を担います。
ただし、非正規雇用の増加や低賃金化など、労働条件に関する課題が指摘され続けている分野でもあります。
[介護サーチプラス]編集部
この記事の執筆者情報です
介護業界に特化した情報を発信するオウンドメディア。
介護や福祉に関する制度、転職・キャリアに役立つトピック、スキルアップのヒントなど、幅広いテーマを取り上げ、誰にとっても読みやすいメディア運営を目指しています。
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