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看護師との違いや、どんなサポート業務を行うのかを知りたい方
年収・給料、勤務時間、働き方の実態を知りたい方
医療・介護分野でキャリアをスタートしたい未経験者の方
将来的に介護福祉士・看護師などへのステップアップを考えている方
自分に向いているかを判断し、転職・就職の準備を進めたい方

看護助手とは?
看護助手とは、看護チームの一員として、看護師などの指示のもとに専門的な判断を必要としない看護補助業務を行う職種です。
医療行為は行わず、患者の身の回りのサポートや診療準備、病棟の環境整備などを通じて、看護師が安全かつ効率的に業務を行えるよう支援します。
別名として「看護アシスタント」「看護補助者」「看護ヘルパー」とも呼ばれ、医療・福祉分野に分類されます。
主な勤務先は総合病院や大学病院で、診療所や介護医療院、在宅医療への同行など、さまざまな現場で活躍しています。
出典:看護補助者(看護助手、看護アシスタント、ナースエイド、ケアワーカー等) の確保について|厚生労働省
出典:看護助手 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)

看護助手の主な仕事内容
看護助手の仕事は、医療行為ではなく診療準備などの周辺業務と患者への直接ケアが中心です。
看護師の指示に従い、環境整備や生活支援を行うことで、医療チームの一員として現場を支えます。ここでは、看護助手の主な仕事内容について分かりやすく解説します。
周辺業務
看護助手が担う「周辺業務」は、医療現場を円滑に運営するための重要なサポートです。診療の準備や病棟内の環境整備、備品の補充など、患者と直接関わらない業務が中心となります。
業務内容 | 詳細・目的 |
|---|---|
医療器具の洗浄・消毒 | 使用後の器具を清潔に保ち、感染予防に貢献 |
診察台・ベッドのシーツ交換 | 清潔な環境を整える |
診療器具・備品の準備・片付け | 診療がスムーズに進むよう補助 |
伝票類の準備・整備・補充 | 各種検査や処置に必要な書類を管理 |
病棟内の清掃・物品補充 | 快適な療養環境を維持 |
ベッドメーキング | 患者が過ごしやすい環境を整備 |
これらの業務を通じて、看護師が医療行為に専念できるよう支えることが看護助手の大きな役割です。
直接ケア
「直接ケア」は、患者の生活支援を中心とした業務です。患者の状態を観察しながら、日常生活の中で必要な介助を行います。
業務内容 | 詳細・目的 |
|---|---|
食事の配膳・下膳・食事介助 | 食事を安全に行えるよう支援 |
着替えの介助 | 身体の清潔と快適さを保つ |
排泄介助・おむつ交換 | 身体的負担を軽減し、清潔を維持 |
入浴介助 | 清潔保持とリラックスをサポート |
検査・リハビリ・レントゲンへの移送介助 | 安全に移動できるよう補助 |
体位変換・褥瘡予防 | 長時間の同一姿勢による床ずれを防ぐ |
車いすの手配・操作 | 院内の移動を支援 |
これらの業務は、患者の快適な療養生活を支える重要なケアであり、観察力と柔軟な対応力が求められます。

看護助手の1日の流れ
看護助手の1日は、病棟全体のサポートを中心に、時間帯ごとに異なる業務を行います。
朝は情報共有から始まり、午前は診療準備や環境整備、昼は食事介助、午後は物品整理や記録補助など、幅広い仕事を担当します。
ここでは、看護助手の代表的な1日のスケジュール例を紹介します。
時間帯 | 仕事内容(例) |
|---|---|
8:30 | 朝のミーティング(入退院情報や担当患者の確認) |
午前 | 移送介助・診療準備・ベッドメーキング・病棟清掃 |
昼 | 食事の配膳・下膳・食事介助・口腔ケアの補助 |
午後 | 伝票・物品の整備・補充、環境整備、患者の見守り |
夕方〜夜 | 翌日の準備、必要に応じて夜勤者への申し送り |
看護助手は、1日を通して看護師のサポートや患者の生活支援を行い、病棟の円滑な運営に欠かせない存在です。
配属先によって業務内容やシフトは異なりますが、チームで連携しながら一日を過ごします。
勤務スケジュールの例(2交代制・3交代制)
看護助手の勤務形態は病院の規模や診療体制により異なります。
主に、2交代制(日勤+夜勤)と3交代制(日勤+準夜勤+深夜勤)で運用されている傾向にあります。
日本看護協会の調査・ガイドラインや厚労省の事例集でも、二交代・三交代の採用と、それぞれの労務上の留意点が示されています。
勤務形態 | シフト時間の例 | 特徴 |
|---|---|---|
2交代制 | 日勤 8:30〜17:00 夜勤 16:30〜翌9:00 | 1回あたりの勤務時間が長めで、勤務回数は少なめになりやすい運用が一般的(施設事例・資料上の代表例) |
3交代制 | 日勤 8:30〜17:00 準夜勤 16:30〜0:30 深夜勤 0:00〜9:00 | 1回あたりの勤務時間は短いが、出勤回数が増える傾向が指摘されている(複数事例・調査より) |
※勤務形態は病院の規模や診療体制によって異なります。日勤のみ・夜勤専従など、柔軟な勤務制度を導入している施設もあります。
いずれもシフト制で、休日は交代で平日取得を含む運用が多いほか、病院によっては夜勤専従や日勤のみなど多様な勤務形態の導入事例もあります。
出典:病院における取組事例等の紹介|厚生労働省
出典:2024 年 病院看護実態調査 報告書
出典:好 事 例 集|厚生労働省

看護助手に資格は必要?
看護助手は、学歴や資格がなくても始められる職種です。採用後にOJT(現場研修)で実務を学べるため、未経験からでもスタートできます。
厚生労働省の「職業情報共有サイトJobtag」によると、入職前に特別な訓練が「必要ない」と回答した人は65.4%に上り、主な学歴は高卒が最多です。
学歴・訓練の傾向
項目 | 割合・内容 |
|---|---|
学歴分布 | 高卒50.0% 専門学校卒23.1% 短大卒19.2% 大卒17.3%(複数回答あり) |
入職前訓練 | 「特に必要ない」65.4% 1か月以内9.6% 6か月以内7.7% |
必要な資格 | 看護助手として働くために法的に必要な資格はありませんが、 |
多くの人が無資格・未経験から就業しており、入職後に現場で基礎を学ぶのが一般的です。
医療現場に慣れるうちに、さらなるスキルアップを目指す人も少なくありません。以下のような資格を取得することで、基礎知識やマナーを体系的に学び、キャリアの幅を広げることができます。
資格名 | 内容・特徴 |
|---|---|
看護助手実務能力認定 | 全国医療福祉教育協会が実施。基礎知識やマナーを学べる |
メディカルケアワーカー | 医療現場の基礎知識・接遇を習得できる民間資格 |
介護職員初任者研修 | 患者介助の基礎を学べ、介護福祉士へのステップにもなる |
上記の資格は任意ですが、採用や昇給の加点要素になることもあります。将来的に准看護師や看護師を目指す登竜門として看護助手を選ぶ人も増えています。

看護助手と看護師の違い
看護助手と看護師は、同じ医療現場で働きますが、業務内容や資格、責任の範囲には明確な違いがあります。
看護助手は、看護師の指示のもとで生活支援や診療準備を担当し、医療行為は行いません。一方、看護師は国家資格を持ち、患者の観察や処置など、専門的な医療ケアを担います。
比較項目 | 看護助手 | 看護師 |
|---|---|---|
資格 | 不要(民間資格は任意) | 国家資格(看護師国家試験合格が必要) |
業務範囲 | 医療行為を除く補助業務(環境整備・介助・診療準備) | 医療行為を含む専門業務(観察・投薬・処置・記録) |
主な役割 | 看護師のサポート・患者の生活支援 | 患者の状態管理・治療実施・チーム医療の中心 |
勤務先 | 病院・介護医療院・診療所など | 病院・診療所・訪問看護など多様 |
平均年収 | 約328.6万円 | 約519.7万円 |
キャリアパス | 任意資格 → 介護福祉士・准看護師へ | 専門看護師・認定看護師など専門職へ |
※年収・労働時間・年齢は令和6年賃金構造基本統計調査を加工
出典:看護師 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
看護助手は、医療行為を行わず、看護師の補助として患者の生活支援や診療準備などを担当します。看護師の指示に基づき、移送・介助・物品管理など現場全体を支える存在です。
一方、看護師は国家資格を有し、患者の状態を観察し、投薬・処置・記録などを通して直接的な医療ケアを提供します。責任の範囲が広く、緊急対応や医師との連携も担います。
看護助手と看護師は役割が異なるものの、チーム医療において互いに欠かせない存在であり、看護助手から看護師を目指すキャリアパスもあります。
出典:看護助手 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典:看護師になるには|厚生労働省
出典:看護師 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)

看護助手の平均年収・給料・労働時間
ここでは、厚生労働省の最新統計データをもとに、看護助手の収入相場・労働時間・求人動向を整理します。
具体的な数値を提示することで、実際の待遇水準を把握しやすくし、キャリアを考える上での参考にできます。信頼できる公的データをもとに、年収・労働時間・求人倍率を可視化します。
項目 | 数値 |
|---|---|
平均年収 | 328.6万円 |
平均労働時間 | 月155時間 |
平均時給(全国) | 一般労働者:1,744円/短時間労働者:1,258円 |
求人月額(平均) | 19万円(前年比+0.9万円) |
有効求人倍率 | 4.12倍 |
平均年齢 | 48.6歳 |
※年収・労働時間・年齢は令和6年賃金構造基本統計調査を加工、有効求人倍率は令和6年度ハローワーク求人統計データ
看護助手の平均年収は約328万円で、医療・福祉職の中でも安定した水準にあります。労働時間は月155時間前後と、交代勤務を含めても極端な長時間労働にはなりにくい傾向です。
時給換算では一般労働者が1,744円、短時間勤務者が1,258円となり、パート勤務でも比較的安定した収入が得られます。
また、ハローワーク統計による求人月額は19万円で、前年より上昇傾向です。有効求人倍率は4倍超と高く、全国的に人手不足が続いていることがわかります。
年齢層は40〜50代が中心で、中高年からの転職や再就職にも適した職種です。
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看護助手が働く場所
看護助手は、主に病院で活躍する医療職ですが、診療所や在宅医療、介護医療院など福祉領域にも配置されることがあります。勤務先によって担当業務やシフト体制が異なり、求められるスキルも変わります。
ここでは、厚生労働省の公的データをもとに、看護助手が働く代表的な職場とその特徴を解説します。
病院・診療所(医療施設)
看護助手の主な勤務先は、病院・診療所(医療施設)です。病棟での入院患者ケアや診療準備、清掃・ベッドメーキングなど、看護師の補助業務を担います。
厚生労働省の 職業情報提供サイト(job tag)では、「勤務先は主に病院となり、診療所で勤務することはほとんどないが、採用しているところもある」と明記されており、外来患者補助や診療準備などのサポート業務も見られます。
一般的に、診療所勤務は日勤中心で、夜勤が少ない傾向です。
介護医療院・介護施設(福祉領域)
介護医療院や介護老人保健施設など、医療と介護が一体化した施設では、看護助手が生活支援・身体介助を担当する場合があります。
医療的ケアを要する利用者への支援が中心で、入浴・排泄・食事介助など身体ケアの割合が高いのが特徴です。
在宅医療・訪問同行
在宅医療を行う現場では、看護師や医師とともに患者宅を訪問し、移動介助や環境整備の補助を行う場合があります。
厚生労働省の 職業情報提供サイト(job tag)では、「在宅医療においては、看護師等の随行者として患者宅を訪問することもある」と明記されており、通院困難な高齢者の支援に関わる機会もあります。勤務は訪問スケジュールに基づき、日勤中心となることが多いです。

看護助手の勤務形態・シフト
看護助手は、勤務先の種類や配属先によって勤務形態やシフトが大きく異なります。
病棟勤務では夜勤や交代制を含むシフト制が多く、外来や診療所では日勤中心の勤務が一般的です。就業形態は正規職員のほか、パートや派遣など柔軟な働き方も広がっています。
ここでは、厚生労働省が公表する統計データに基づいて看護助手の勤務実態を整理します。
区分 | 割合(%) | 特徴 |
|---|---|---|
正規職員・従業員 | 48.1% | 病棟勤務・夜勤ありの常勤 |
パートタイマー | 40.4% | 日勤中心・扶養内勤務も可 |
派遣社員 | 17.3% | 配置先により業務内容が異なる |
契約社員・期間従業員 | 15.4% | 有期雇用での補助的業務が中心 |
その他(アルバイト等) | 少数 | 限定的な補助業務 |
※複数回答のため、合計は100%を超えます。
看護助手の勤務時間は、配属先の運営体制により異なります。
病院の病棟では、日勤・準夜勤・深夜勤を組み合わせた交代制勤務が一般的で、夜勤手当が支給される場合があります。外来や診療所、在宅医療同行では日勤のみの勤務が中心です。
また、急患対応や入院患者の容体変化などにより、残業が発生するケースもあります。
一方で、パート勤務や短時間勤務の求人も多く、家庭やライフスタイルに合わせた働き方が可能です。就業時間の柔軟性が高いことから、幅広い年代の人が活躍しています。

看護助手のやりがい・魅力
看護助手は、患者の日常生活を支え、医療チームの一員として現場を支える重要な役割を担います。
直接的な医療行為は行いませんが、介助や環境整備を通じて患者の回復や安心感に寄与できます。人との関わりを大切にしながら、やりがいを感じられる仕事です。
患者や家族から感謝される
看護助手は、患者の生活に寄り添い、食事介助や移動補助、入浴支援などを通じて日々の暮らしを支えます。患者や家族から直接「ありがとう」と言われる機会が多く、人の役に立つ実感を得やすい職種です。
医療現場での人間的なつながりが深く、感謝や信頼を糧に働くことができるのが大きな魅力です。自分の行動が患者の快適さや回復に直結するため、日々の努力が目に見える形で報われます。
チーム医療の一員として貢献できる
看護助手は、看護師や医師、リハビリ職、介護職など多職種と連携し、チーム医療を支える立場にあります。診療準備や物品補充、介助業務を通じて、医療現場全体の円滑な運営に欠かせない存在です。
自らの業務が看護師の負担軽減や患者ケアの質向上に繋がることを実感でき、チームの一員として働く責任と誇りを持てます。
医療現場の一線で実務を学ぶため、将来のキャリアアップにも役立つでしょう。
未経験・資格なしでも医療現場で働ける
看護助手は、特別な資格や学歴がなくても始められる職種です。
採用後のOJTや研修で実務を身につけられるため、医療に関わる第一歩として選ばれることが多いです。
医療や福祉に関心がある人にとって、現場を体験しながら知識と経験を積める点が魅力です。
実務経験を通じて、介護福祉士や看護師を目指すキャリア形成も可能で、将来の選択肢が広がります。
出典:看護助手 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典:看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド | 看護職の皆さまへ

看護助手の現場で大変なこと、仕事がきつい?
看護助手は、患者の生活支援や診療補助を担う重要な職種ですが、身体的・精神的に負担がかかる場面もあります。
業務量や人手不足に加え、患者対応やシフト勤務など、現場ならではの課題を感じる人も少なくありません。ここでは、看護助手として働くうえで大変な点を解説します。
身体介助による体力的な負担
多くの病棟で、食事介助・移乗援助・排泄介助などの身体介助業務が看護助手業務の中でも高い割合を占めており、特に高齢者や要介助者が多い病棟では、補助業務の比重が非常に高くなるケースも報告されています。
患者を抱えたり支えたりする動作が頻繁にあり、腰や肩への負担が大きくなる傾向があります。
正しいボディメカニクスの習得や、複数人での介助体制が求められますが、忙しい現場では十分に時間を確保できない場合もあり、体力的な負担を感じやすい点が課題です。
出典:病院における看護補助者の確保および活用に関する実態調査
出典:看護補助者の効果的・効率的な活用に向けての調査研究
出典:3.看護助手の配置の考え方と応援の仕組みについての検討 千葉大学医学部附属病院 金澤 薫
感情労働による精神的な負担
患者や家族への対応では、時に感情的な場面や厳しい言葉を受けることもあります。命や健康に関わる現場で働くため、緊張感が続き、精神的ストレスを感じる人も少なくありません。
患者一人ひとりに丁寧に接する姿勢が求められる一方で、業務量が多く、十分な時間を割けないことに葛藤を抱くこともあります。
感情のコントロールやチームでの支え合いが欠かせない仕事です。
シフト制・夜勤による生活リズムの乱れ
病棟勤務では、日勤・準夜勤・深夜勤を組み合わせたシフト制勤務が一般的です。勤務時間が不規則になりやすく、生活リズムが乱れやすい点が課題です。
夜勤では少人数体制の中で複数の患者を担当することもあり、緊張感を伴います。
家庭との両立が難しいと感じるケースもありますが、近年は夜勤専従や日勤限定の求人も増えており、自身のライフスタイルに合った働き方を選ぶことが重要です。
出典:看護助手 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典:看護チームにおける 看護師・准看護師及び看護補助者の 業務のあり方に関する ガイドライン

看護助手の必要スキル
看護助手は、医療チームの一員として、指示を理解し、患者と円滑に関わるためのコミュニケーション力が求められます。
厚生労働省の「しごと能力プロフィール」では、傾聴力・読解力・説明力が特に重要とされています。ここでは、スキルごとの重要度と現場での役割を整理します。
能力 | 重要度の目安(5段階) | 現場での意味 |
|---|---|---|
傾聴力(3.9) | 高め | 患者の言葉や表情から状態を把握し、安心感を与える |
読解力(3.1) | 中程度 | 看護師の指示や伝票内容を正確に理解し、誤りを防ぐ |
説明力(3.1) | 中程度 | 他職種やチームメンバーへ簡潔に申し送る能力 |
文章力(2.6) | やや低め | ケア記録や物品管理記録を正確に残すために必要 |
協調性・倫理観 | 定量化なし(必須要素) | チーム医療での連携・患者への誠実な対応に不可欠 |
看護助手には、医療行為を行わない立場でありながら、現場全体の円滑な運営を支える力が求められます。中でも傾聴力は、患者の小さな変化や訴えを正確に把握するうえで欠かせません。
読解力・説明力は、看護師や医師の指示を理解し、チームに情報共有する際に必要です。文章力も、業務記録や申し送りで重要な要素です。
さらに、医療従事者としての倫理観やチームワークを大切にし、他職種と協力しながら患者支援にあたる姿勢が重視されます。

看護助手に向いている人の特徴
看護助手は、医療や介護の現場で患者の生活を支える仕事です。人と関わることが多く、体力・思いやり・協調性が求められます。
専門的な判断を必要としない補助業務が中心のため、未経験からでも始めやすい一方、相手の立場を理解し、丁寧に行動できる人が向いています。
ここでは、看護助手への適性がある人の特徴を紹介します。
思いやりと傾聴力がある人
患者の状態や気持ちを理解し、寄り添う姿勢が求められます。
相手の話を丁寧に聞く「傾聴力」は、患者の安心感や信頼関係の構築に欠かせません。小さな変化に気づき、必要なサポートを考えられる人は現場で重宝されます。
思いやりをもって行動することで、感謝の言葉をもらえる機会も多いです。
協調性とチームワークを大切にできる人
看護助手は、看護師・医師・介護職員など多職種と連携しながら働きます。
報連相を意識し、他職種の指示を理解・実行することが求められるため、チームでの協働が得意な人に向いています。
自分の役割を理解し、全体を支える意識を持てる人ほど、チーム医療の中で評価されやすい傾向があります。
体力と責任感を持って働ける人
看護助手の業務には、移乗や排泄介助、入浴介助など体力を要する作業が含まれます。一定の身体的負担があるため、体を動かすことに抵抗がない人が向いています。
また、患者の命に関わる現場で働くため、ミスを防ぐ慎重さや責任感も重要です。指示に正確に従い、丁寧な対応を心がけられる人が安心して任されます。

看護助手のキャリアアップ
看護助手は、資格がなくても働ける職種ですが、経験を積むことで介護福祉士や看護師など、より専門性の高い職種へのステップアップが可能です。
民間資格の取得でスキルや知識を証明でき、昇給や転職にも有利になる可能性があります。ここでは、主なキャリアパスと取得可能な資格を紹介します。
キャリアアップにつながる民間資格
資格は必須ではありませんが、現場で役立つ民間資格を取得することで、業務理解が深まり、採用や昇給時に有利になる可能性があります。代表的な資格を以下にまとめました。
資格名 | 概要 | 実施団体 |
|---|---|---|
看護助手実務能力認定 | 看護助手として必要な基礎知識・実務能力を認定 | 一般社団法人 日本病院会 |
メディカルケアワーカー | 医療現場での介助・サポートスキルを評価 | 一般財団法人 日本能力開発推進協会 |
ホスピタルコンシェルジュ | 接遇・マナー・医療機関での対応力を育成 | 日本ホスピタルコンシェルジュ協会 |
出典:看護助手認定実務者試験
出典:看護助手 メディカルケアワーカー(R)検定試験
出典:ホスピタルコンシェルジュ®検定試験 | JSMA 技能認定振興協会
キャリアアップにつながる国家資格
看護助手として経験を積むことで、介護・看護分野の国家資格を目指す道も開けます。
代表的なステップアップは以下のとおりです。
ステップ | 取得資格 | 主な要件 |
|---|---|---|
Step1 | 介護職員初任者研修 | 130時間の研修修了で取得可。介助スキルを体系的に学ぶ |
Step2 | 実務者研修 | 450時間の研修。介護福祉士受験に必要 |
Step3 | 介護福祉士 | 国家資格。実務3年+実務者研修修了で受験可能 |
Step4 | 准看護師・看護師 | 学校進学+国家試験合格で資格取得可 |
出典:介護職員初任者研修 | 福岡県福祉人材センター
出典:実務者研修の指定基準について
出典:介護福祉士実務者研修に関するよくあるご質問Q&A
出典:ページ4:介護福祉士の概要について |厚生労働省
出典:准看護師
出典:令和5年度准看護師試験の実施状況
出典:看護師になるには
院内キャリア・リーダー職への道
病院によっては、経験を重ねることで主任・リーダー職に昇格し、後輩指導や業務管理を担うケースもあります。
民間資格の取得や勤務年数に応じて昇給する仕組みが導入されている病院もあり、長期的に安定したキャリア形成が可能です。
看護師や介護職との連携力を高めることで、チームの中心的存在として活躍できます。
出典:看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド | 看護職の皆さまへ

看護助手になるには?就職・転職の流れ
看護助手は、資格や学歴を問わず始めやすい職種で、未経験歓迎の求人も多数あります。
入職後は、OJT(職場内研修)を通じて必要な知識や技術を学びながら、現場で経験を積むことができます。
ここでは、看護助手として働き始めるまでの一般的な流れを紹介します。
ステップ1:求人を探す
看護助手の求人は、病院・介護医療院・診療所などの医療機関を中心に募集されています。
ハローワークや医療専門の人材会社を利用することで、希望条件(勤務時間・夜勤有無・勤務地)に合った職場を探すことが可能です。
未経験可・無資格可の求人も多く、応募のハードルは比較的低めです。
ステップ2:面接・配属決定
応募後は、面接で志望動機や勤務条件を確認します。採用後は、配属先の病棟やシフトが決定します。
急性期病棟、療養病棟、外来など、職場の特性によって業務内容が異なるため、事前に自分の希望や体力面を考慮して選ぶことが大切です。
ステップ3:入職後のOJT(職場内研修)
入職後は、先輩スタッフや看護師の指導のもとでOJT(On-the-Job Training)が実施されます。
主な研修内容は、感染対策、移乗介助、ベッドメーキング、物品管理、環境整備などです。現場で実践を通じて学ぶことで、短期間で業務を習得できます。
ステップ4:資格取得でスキルアップ
経験を積んだ後は、看護助手実務能力認定などの民間資格を取得することで、スキルを可視化できます。
資格を持つことで、昇給・評価・転職時の加点につながるケースもあります。将来的には、介護福祉士や准看護師などの国家資格を目指す人も少なくありません。

看護助手の求人動向・将来性
看護助手は、医療・福祉分野における人手不足を背景に、今後も安定した需要が見込まれる職種です。高齢化の進展に伴い、入院・介護を必要とする人が増加しており、現場のサポート人材としての役割がさらに重要になります。
ここでは、最新の求人統計をもとに、看護助手の求人動向と将来性について解説します。
求人倍率の高さが示す人手不足
厚生労働省「jobtag」によると、看護助手の有効求人倍率は4.12と非常に高く、1人の求職者に対して4件以上の求人がある計算です。
これは構造的な人材不足を示しており、全国的に採用ニーズが継続しています。施設拡大や高齢者の増加により、今後もこの傾向は続く見込みです。
指標 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
有効求人倍率 | 4.12 | 全国平均を大きく上回る |
求人月額賃金 | 約19万円 | 対前年+0.9万円 |
平均年齢 | 約48.6歳 | 中高年層の活躍が目立つ |
※年収・労働時間・年齢は令和6年賃金構造基本統計調査を加工、有効求人倍率は令和6年度ハローワーク求人統計データ
高齢化に伴うニーズの拡大
内閣府「令和6年版 高齢社会白書」によると、令和5年10月1日時点で日本の65歳以上人口は3,623万人で、総人口に占める割合(高齢化率)は 29.1% に達しており、入院や介護を必要とする高齢者が増加しています。
医療機関や介護医療院では、看護師の補助として生活支援を担う看護助手の役割がますます重要になります。
特に、慢性期医療や療養病棟などでは、介助業務を中心とした看護助手の配置が不可欠です。
出典:看護助手 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典:1 高齢化の現状と将来像|令和6年版高齢社会白書(全体版) - 内閣府
無資格・未経験可の求人が豊富
看護助手は無資格・未経験可の求人が多いです。OJT制度を整備している施設もあり、他業種からのキャリアチェンジを支援する職場が増えています。
家庭と両立できるパート勤務や日勤のみの求人も多く、多様な働き方が選べる点も将来性を支えています。
出典:看護助手 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典:看護助手(常勤) | 募集要項 | 採用情報 | 神戸百年記念病院 看護部採用ホームページ
出典:看護助手〈パート〉 | 看護職員 採用情報 | 採用情報 | 医療関係者の方へ | 医療法人財団 明理会 東戸塚記念病院

まとめ
看護助手は、医療現場で看護師を支え、患者の生活支援を担う重要な職種です。
資格や学歴がなくても始めやすく、入職後のOJTで実務を学べます。主な仕事は、診療準備や環境整備、食事・入浴などの介助で、医療行為は行いません。
厚生労働省の「 職業情報提供サイト(job tag)」によると、平均年収は約328万円、有効求人倍率は4倍を超え、安定した需要があります。高齢化の進展により今後もニーズは拡大する見通しです。
思いやりやチームワークを大切にできる方に向いており、介護福祉士や看護師を目指すキャリアの第一歩にもなります。
よくある質問
Q.看護助手になるには資格が必要ですか?
看護助手になるために、特別な資格は不要で、未経験からでも始められます。多くの職場では入職後にOJTで実務を学ぶ体制が整っています。
Q.看護助手の主な仕事内容は何ですか?
看護助手は、医療行為を行わず、看護師の指示のもとで診療準備や環境整備、患者の身の回りの介助を行います。食事・入浴・排泄の補助や移送介助など、生活支援を中心とした業務が多いのが特徴です。
Q.看護助手は夜勤はありますか?
勤務先によって異なります。病棟勤務では夜勤・交代制が組まれる場合もありますが、外来や日勤のみの病院もあります。
家庭との両立を重視する場合は、応募時に勤務時間を確認しておくと良いでしょう。
Q.看護助手の収入の目安はどのくらいですか?
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、看護助手の平均年収は約328.6万円、平均労働時間は月155時間です。
正社員だけでなく、パート勤務も多く、勤務形態によって月収は変動します。
Q.看護助手はどんな人が向いていますか?
看護助手は人と関わるのが好きで、思いやりや傾聴力がある人に向いています。チームで協力しながら働く場面が多いため、協調性や責任感も重要です。体を動かす仕事が得意な人にも適しています。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み









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