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介護保険サービスを利用したいが、「要介護認定」の流れや仕組みがよくわからない方
認定の基準や区分(要支援・要介護)の違いを理解し、どのような支援が受けられるのか知りたい方
申請手続きや必要書類、判定の仕組みを事前に把握してスムーズに準備したい方
認定結果に納得できない場合の「審査請求」など、対応方法を知っておきたい方
家族の介護を検討しており、制度の全体像を正しく理解したい介護家族・支援者の方
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介護保険制度の仕組みとは?【介護保険制度】
ここでは、介護保険制度の目的や仕組み、誰が保険料を支払うのか、利用できるサービスの範囲、40〜64歳の人が対象となる「特定疾病」について解説します。
要介護認定の前提となる制度の理解を深めることで、介護の選択肢や備え方が見えてきます。
介護保険制度の目的|なぜ導入されたのか
介護保険制度は、急速な高齢化と核家族化の進行を背景に、介護を社会全体で支えるために2000年(平成12年)4月に創設されました。
目的は、高齢者がその能力に応じてできる限り自立した生活を送れるよう、公的に介護サービスを提供することにあります。
また、家族だけに介護負担が集中するのを避けるため、地域・医療・福祉が連携する「地域包括ケアシステム」の基盤としても機能しています。
制度導入により、介護の個人差や所得差を超えた一定の公平性が確保されています。
介護保険料は40歳から|被保険者の区分とは?
介護保険制度では、40歳以上の全員が被保険者となり、保険料を支払います。被保険者は以下の2つに区分されます。
区分 | 対象年齢 | 保険料の徴収方法 |
|---|---|---|
第1号被保険者 | 65歳以上 | 原則として年金から天引き(特別徴収)または口座振替(普通徴収) |
第2号被保険者 | 40〜64歳(医療保険加入者) | 医療保険料に上乗せして一括徴収 |
第1号は加齢による介護全般が対象ですが、第2号は後述する「特定疾病」に限り、介護保険サービスの利用対象となります。
介護保険で利用できるサービスと財源の仕組み
介護保険では、訪問介護、通所介護、短期入所、施設入所など、さまざまな介護サービスを利用できます。
これらのサービスは、介護度に応じた「支給限度額」の範囲内で提供され、自己負担は原則1〜3割に抑えられています。財源構成は公費50%、保険料50%で構成されます。
居宅サービスの場合
国:25%(定率分20%+調整交付金5%)
都道府県:12.5%
市区町村:12.5%
第1号保険料(65歳以上):23%
第2号保険料(40〜64歳):27%
施設サービスの場合
国:20%(定率分15%+調整交付金5%)
都道府県:17.5%
市区町村:12.5%
第1号保険料(65歳以上):23%
第2号保険料(40〜64歳):27%
このように、税金と保険料を組み合わせて運営されているため、個人の経済状況に関係なく必要な支援が受けられる仕組みです。
特定疾病とは?40〜64歳も対象になる理由
第2号被保険者(40〜64歳)は、老化に起因する特定の16疾病に該当する場合に限り、介護保険サービスを利用できます。
これらの疾患は、高齢者に多く見られる一方で、加齢に伴って中年期にも発症する可能性があると医学的に判断されたものです。
特定疾病の例(全16種) | 初老期認知症/脳血管疾患/がん末期/筋萎縮性側索硬化症(ALS)/関節リウマチ/パーキンソン病関連疾患/脊髄小脳変性症/閉塞性動脈硬化症 など |
|---|
このように、「老化が原因とされるが中年期にも発症する病気」が対象とされており、医師の診断により該当すると判断されると介護サービスの申請が可能になります。
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要介護認定とは?制度上の役割と重要性
ここでは、介護保険サービスを利用するために必要な「要介護認定」の役割と仕組みについて解説します。
介護の必要性がどのように評価され、どのように支援につながるのかを理解することが、制度を正しく活用するための第一歩となります。
要介護認定とは何か?定義と目的
要介護認定とは、本人の心身の状態を調査・審査し、介護の必要度を客観的に判定する制度です。
認定は全国共通の基準に基づいて行われ、要介護状態または要支援状態か、そしてその程度を7段階(要支援1・2、要介護1〜5)で判定します。
認定の結果は、利用できるサービスの種類や回数、費用の上限に反映されます。そのため、要介護認定は介護保険制度を支える重要なプロセスだと言えるでしょう。
また、「要介護状態であること」を公的に証明する役割も担っており、制度の公平性・透明性を確保する上でも欠かせません。
要介護・要支援・非該当の違いとは?
認定の結果は、「非該当」「要支援1・2」「要介護1〜5」のいずれかに分類されます。以下はその概要です。
区分 | 状態の目安 | サービス利用の可否 |
|---|---|---|
非該当 | 自立した日常生活が可能 | 介護保険サービスは原則利用不可(地域支援事業対象) |
要支援1・2 | 軽度の支援が必要 | 介護予防サービスの利用対象 |
要介護1〜5 | 日常生活において継続的な介護が必要 | 要介護サービスの利用対象(介護給付) |
この区分により、支援の内容や支給限度額が決定され、ケアプラン(介護サービス計画書)作成にも活用されます。
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要介護認定の仕組みと流れ
ここでは、介護サービスを利用するために必要な「要介護認定」が、どのような手順で進められているのかを解説します。
申請から結果通知までの一連の流れを知ることで、スムーズな手続きを行い、必要な支援を適切に受けることができます。
要介護認定の申請から結果通知までの流れ
要介護認定は、介護サービスを利用するための最初のステップです。申請から結果通知までの一般的な流れは以下の通りです。
手順 | 内容 |
|---|---|
① 申請 | お住まいの市町村の介護保険担当課で申請。本人または家族のほか、地域包括支援センターやケアマネジャーによる代行も可能。 |
② 認定調査 | 調査員が訪問し、74項目の「基本調査」と「特記事項」で心身の状態を確認。 |
③ 主治医意見書 | 市町村が主治医に意見書を依頼し、医療面からの情報を収集。 |
④ 一次判定 | 調査結果と意見書をもとに、全国一律の基準でコンピュータ判定を実施。 |
⑤ 二次判定 | 専門家による介護認定審査会で最終判定を実施。 |
⑥ 結果通知 | 原則30日以内に「要支援1〜2」「要介護1〜5」「非該当」のいずれかを通知。 |
一次判定と二次判定の仕組み
要介護度は、まず一次判定としてコンピュータによる自動評価が行われます。
この判定では、74項目の調査結果をもとに「要介護認定基準時間(1日の介護に必要な時間)」を算出します。たとえば、基準時間が70〜90分であれば「要介護3」となります。
続いて、介護認定審査会による二次判定では、一次判定の結果や主治医意見書、特記事項などを総合的に評価し、最終的な要介護度を決定します。
この二段階の判定により、全国で公平な基準に基づく認定が行われます。
出典:要介護認定の仕組みと手順|厚生労働省
出典:要介護認定はどのように行われるか|厚生労働省
出典:介護保険制度について|厚生労働省
認定結果と有効期間
認定結果は、「要支援1・2」「要介護1〜5」「非該当」に区分され、それぞれ利用できるサービスや上限額が異なります。認定の有効期間は次の通りです。
申請区分 | 原則の有効期間 | 設定可能な範囲 |
|---|---|---|
新規申請 | 6か月 | 3〜12か月 |
区分変更申請 | 6か月 | 3〜12か月 |
更新申請(区分変更あり) | 12か月 | 3〜36か月 |
更新申請(区分変更なし) | 12か月 | 3〜48か月 |
有効期間満了前には更新申請が必要です。また、状態の変化に応じて途中で区分変更申請も可能です。
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要介護度の判定基準と区分【基準時間で比較】
ここでは、介護保険制度における「要介護度」がどのような基準で決定されるのかを解説します。
判定は全国共通の「基準時間」に基づいて行われ、1日に必要とされる介助時間の長さによって区分されます。区分を理解することで、自分や家族に適したサービスの利用計画を立てやすくなります。
基準時間に基づく要介護度の区分
一次判定ソフトでは、74項目の調査結果をもとに「要介護認定等基準時間」を算出します。
この時間は、食事・排泄・移動など日常生活に必要な介助の合計時間を示します。
以下は、厚生労働省の基準に基づく要介護度の区分です。
※要介護認定等基準時間は「介護の手間」を表す「ものさし」としての時間の基準です。
必ずしも実際の介護時間と一致するわけではありません。
区分 | 基準時間(1日あたり) | 状態の目安 |
|---|---|---|
非該当 | 25分未満 | 自立生活が可能。介護保険の対象外だが、自治体の一般事業(総合事業)を利用可能な場合あり。 |
要支援1 | 25分以上32分未満 | 家事や身支度に一部支援が必要。介護予防サービスが中心。 |
要支援2・要介護1 | 32分以上50分未満 | 要支援2は身体介助や生活支援の頻度が増加。要介護1は一部の動作に介助が必要。※認知機能の低下や行動障害、医療的ケアの必要性などを総合的に判断して区分されます。 |
要介護2 | 50分以上70分未満 | 立ち上がりや移動に介助が必要。生活全体で支援が必要。 |
要介護3 | 70分以上90分未満 | 食事・排泄など複数の介助が必要。日常生活の多くを介護に依存。 |
要介護4 | 90分以上110分未満 | ほぼ全介助が必要。自力での生活維持が困難。 |
要介護5 | 110分以上 | 全介助が必要。生活全般にわたり常時介護が不可欠。 |
※「要支援2」と「要介護1」は基準時間が重なりますが、行動障害や医療的ケアの有無などで区分が異なります。
要介護度と利用できるサービスの関係
要介護度は、介護サービスの「内容」「利用できる量」「支給限度額」に直接影響します。
主な区分ごとの利用傾向は次の通りです。
区分 | 主なサービスの傾向 |
|---|---|
要支援1〜2 | 介護予防訪問介護、通所介護、福祉用具貸与、介護予防支援 など |
要介護1〜2 | 訪問介護、通所介護、短期入所、居宅療養管理指導 など |
要介護3〜5 | 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、定期巡回・随時対応型訪問介護看護 など |
区分が上がるほど、利用できるサービスの種類と量が増え、支給限度額も上昇します。
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要介護認定区分の早わかり表
ここでは、要介護認定の区分(非該当・要支援1〜2・要介護1〜5)を一目で比較できる早わかり表を紹介します。
区分ごとに「介護に必要な時間の目安」「日常生活の特徴」「主な利用サービス」を整理しており、現在の状態を把握する参考になります。
区分 | 基準時間(1日あたり) | 状態の目安 | 主な利用サービス |
|---|---|---|---|
非該当 | 25分未満 | 基本的な生活動作は自立しており、介護保険の対象外。 | 生活支援サービス(自治体事業) |
要支援1 | 25〜32分未満 | 家事や身支度に一部支援が必要。 | 介護予防訪問介護、通所介護、 |
要支援2 | 32〜50分未満 | 身体介助や生活支援の頻度が増加。 | 介護予防通所リハビリ、訪問リハビリ |
要介護1 | 32〜50分未満 | 一部の動作に介助が必要。 | 訪問介護、通所介護、 |
要介護2 | 50〜70分未満 | 立ち上がりや移動に介助が必要。 | 訪問看護、通所リハビリ、 |
要介護3 | 70〜90分未満 | 食事・排泄・更衣など複数の介助が必要。 | 小規模多機能型居宅介護、 |
要介護4 | 90〜110分未満 | ほぼ全介助が必要。 | 施設入所サービス、 |
要介護5 | 110分以上 | 全面的な介助が必要。 | 特別養護老人ホーム、 |
- 「基準時間」とは、1日に必要とされる介助時間の目安。
- 区分が上がるほど、支給限度額(利用可能なサービス量)も増加します。
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要介護認定を受けた後のステップ【ケアプラン(介護サービス計画書)とサービス開始】
ここでは、要介護認定を受けた後に実際の介護サービスを利用するまでの流れを解説します。
ケアプラン(介護サービス計画書)の作成から、サービス事業者との契約、利用開始までの手順を理解することで、スムーズに必要な支援を受けられるようになります。
ケアプラン(介護サービス計画書)の作成と担当者の役割
要介護認定後は、介護サービスをどのように組み合わせて利用するかを決める「ケアプラン(介護サービス計画書)」を作成します。
- 要介護1〜5:介護支援専門員(ケアマネジャー)が担当。居宅介護支援事業所で相談可能。
- 要支援1・2:地域包括支援センターが担当。介護予防を重視した支援内容を検討します。
ケアマネジャーは、本人・家族の希望、心身の状態、支給限度額などを踏まえ、訪問介護や通所リハビリなどのサービスを計画します。作成料は全額保険給付で、自己負担はありません。
サービス事業者との契約と利用開始の流れ
ケアプラン(介護サービス計画書)が完成したら、計画に沿ってサービスを提供する事業者と契約を結びます。契約後、訪問介護・通所介護・短期入所など、必要な支援が順次開始されます。
利用開始までの主な流れは次の通りです。
- ケアプラン(介護サービス計画書)完成
- サービス事業者と契約(複数可)
- サービス提供開始
- 定期的なモニタリング(ケアマネが調整)
利用後も、状態変化に応じてケアプラン(介護サービス計画書)を見直すことが可能です。
要介護度に応じた支給限度額と費用の考え方
介護サービスの利用には、要介護度ごとに「区分支給限度額(単位制)」が定められています。この限度額内であれば、自己負担は1〜3割に抑えられます。
区分 | 月あたりの支給限度額(全国平均) |
|---|---|
要支援1 | 約5,032単位(約5万円) |
要支援2 | 約10,531単位(約10万円) |
要介護1 | 約16,765単位(約17万円) |
要介護2 | 約19,705単位(約20万円) |
要介護3 | 約27,048単位(約27万円) |
要介護4 | 約30,938単位(約31万円) |
要介護5 | 約36,217単位(約36万円) |
※1単位=10円〜11.40円(地域加算により7段階に区分。1級地の東京23区は11.40円、7級地その他は10円)限度を超えた分は全額自己負担です。
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介護サービスの種類と内容【要介護度別】
ここでは、要介護認定の結果に応じて利用できる介護サービスの種類と特徴を整理します。
要支援・要介護それぞれの区分で利用できる支援内容は異なり、目的も「自立支援」から「日常生活の介護」まで段階的に変化します。
要介護度に応じた支援内容を把握しておくことが、今後の介護生活を支える基礎となります。
要支援1・2で利用できる介護予防サービス
「要介護1・2」は、家事支援に加えて一部の動作(入浴・排泄・移動など)で介助が必要な段階です。
自宅で生活を続けることを前提に、訪問サービスや通所リハビリが中心となります。
主なサービス | 内容 |
|---|---|
訪問介護 | 入浴・排泄・食事などの日常介助、掃除・洗濯などの生活援助 |
通所介護(デイサービス) | 食事・入浴・機能訓練などを日帰りで実施 |
訪問看護・リハビリ | 看護師・療法士による健康管理とリハビリ支援 |
短期入所(ショートステイ) | 家族の介護負担軽減を目的とした一時的な宿泊介護 |
要介護3〜5|全面的な身体介護・施設サービス中心
「要介護3〜5」は、日常生活の大部分に介助が必要な状態です。自宅介護が難しい場合は、施設入所を含む包括的な支援が行われます。
主なサービス | 内容 |
|---|---|
施設サービス | 介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設、介護医療院などでの入所介護 |
地域密着型サービス | グループホーム、小規模多機能型居宅介護など、地域での暮らしを支援 |
医療連携型サービス | 看護小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護など |
福祉用具貸与・住宅改修 | ベッド、リフト、手すり設置など、自宅での介護を補助する支援 |
要介護度が高いほど、サービス量の上限(区分支給限度額)も増加します。ケアプラン(介護サービス計画書)に基づいて、複数のサービスを組み合わせて利用可能です。
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要介護認定にかかるお金は?【費用負担のしくみ】
ここでは、要介護認定の申請からサービス利用までに発生する費用の仕組みを整理します。
申請や認定そのものに費用はかからない一方、実際に介護サービスを利用する際には「自己負担割合」や「支給限度額」が設定されています。
制度の仕組みを理解することで、無理のない利用計画を立てやすくなります。
申請・認定手続き自体は無料
要介護認定の申請や認定調査、主治医意見書の作成など、認定手続きそのものに費用はかかりません。市区町村が費用を負担するため、申請者は無料で利用できます。
- 申請費用:無料(市区町村窓口で受付)
- 認定調査:市町村職員・委託調査員が訪問(無料)
- 主治医意見書:市区町村が主治医に依頼(自己負担なし)
- 結果通知:原則30日以内に送付
ただし、主治医がいない場合は市町村指定医での診察が必要となり、その際の診察料が発生する場合があります。
介護サービス利用時の自己負担割合
介護保険サービスを利用する際の自己負担は、原則1割ですが、所得に応じて2割または3割になることがあります。割合は市町村が発行する「介護保険負担割合証」で確認します。
なお、2024年度介護保険制度改正の検討過程では、自己負担割合を『原則2割』に引き上げる案が議論されましたが、最終的に見送られ、現行の制度が維持されています。
所得区分 | 自己負担割合 |
|---|---|
一般(年金収入280万円未満など) | 1割 |
一定以上の所得がある世帯 | 2割 |
高所得者(単身340万円以上など) | 3割 |
たとえば、1万円分のサービスを利用した場合、1割負担なら1,000円が自己負担額となります。
支給限度額と自己負担の関係
介護サービスの利用は、要介護度ごとに「区分支給限度額」が設定されています。この範囲内であれば、自己負担割合を適用した金額を支払えば利用できます。
要介護区分 | 月あたり支給限度額(全国平均) |
|---|---|
要支援1 | 約50,320円 |
要支援2 | 約105,310円 |
要介護1 | 約167,650円 |
要介護2 | 約197,050円 |
要介護3 | 約270,480円 |
要介護4 | 約309,380円 |
要介護5 | 約362,170円 |
限度額を超えたサービスは全額自己負担になります。
負担軽減制度の活用
経済的に負担が大きい場合は、高額介護サービス費制度などの軽減策を利用できます。
- 高額介護サービス費制度:自己負担額が上限を超えた分を払い戻し
- 社会福祉法人減免制度:低所得者向けの利用料軽減
- 補足給付(特定入所者介護サービス費):施設入所者の居住費・食費を補助
これらは、所得・資産・世帯状況などの要件を満たす場合に利用可能です。
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要介護認定を受けることで得られるメリット
ここでは、要介護認定を受けることで得られる主なメリットを紹介します。
認定を受けると、介護保険制度を活用して多様な介護サービスを自己負担を抑えて利用できるようになり、介護にかかる経済的・心理的な負担を軽減できます。
介護サービスを保険適用で利用できる
要介護認定を受ける最大の利点は、介護保険を利用して多様なサービスを1〜3割の自己負担で受けられることです。
訪問介護・デイサービス・リハビリ・福祉用具貸与・施設入所など、ニーズに応じた支援が選択できます。
- 自宅での生活支援(訪問介護・リハビリ)
- 施設での短期滞在(ショートステイ)
- 長期入所(特別養護老人ホームなど)
- 自立支援のための介護予防サービス(要支援者)
要介護度に応じた「支給限度額」まで保険が適用され、経済的負担を大幅に軽減できます。
ケアマネジャーによる計画的な支援が受けられる
認定を受けると、介護支援専門員(ケアマネジャー)が本人や家族の希望に基づいたケアプラン(介護サービス計画)を作成します。
サービス内容・頻度・事業者選定などを専門家が管理してくれるため、複雑な手続きを自分で行う必要がありません。
- 要介護1〜5:居宅介護支援事業所のケアマネジャー
- 要支援1・2:地域包括支援センターが担当
生活状況に合わせたサービス調整や定期的な見直しも行われます。
家族の介護負担を軽減できる
介護サービスを活用することで、家族がすべての介護を担う必要がなくなります。訪問介護や通所介護、短期入所などを組み合わせることで、介護離職や過労を防ぐ効果も期待できます。
また、専門職によるリハビリや医療ケアを受けることで、本人の生活の質(QOL)維持にもつながります。
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要介護認定のデメリット
ここでは、要介護認定を受ける際に知っておきたい注意点を解説します。
認定を受けても、すべてが自動的に支援されるわけではなく、制度の制限や手続き上の負担がある点を理解しておくことが重要です。
認定結果が希望より低い場合がある
要介護認定は全国共通の基準で判定されるため、本人や家族が感じる介護負担と認定結果が一致しないことがあります。
たとえば、「要介護1」を希望しても、「要支援2」と判定されるケースもあります。その場合、利用できるサービス量や支給限度額が想定より少なくなる可能性があります。
満足できない場合は、認定結果の通知日から3ヶ月以内に「介護保険審査会」へ不服申立てが可能です。
支給限度額を超えると全額自己負担になる
介護保険の適用には、要介護度ごとの支給限度額(月単位)があります。限度額を超えたサービス利用分は全額自己負担になるため、計画的な利用が必要です。
要介護度 | 支給限度額(月) |
|---|---|
要支援1 | 約5万円 |
要支援2 | 約10万円 |
要介護1 | 約17万円 |
要介護5 | 約36万円 |
また、介護保険適用外の費用(食費・居住費・オムツ代など)は自己負担となります。
定期的な更新手続きが必要
要介護認定には有効期限があり、原則6〜12か月ごとに更新申請が必要です。状態が変われば途中で「区分変更申請」も行えますが、申請から結果通知までに時間がかかることもあります。
更新を忘れると介護サービスが一時的に利用できなくなる可能性があるため、期限管理が必要です。
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認定結果に不服がある場合の対処法
要介護認定の結果に納得できない場合は、「審査請求」を行うことができます。まず、市町村から送付される「認定結果通知書」を確認し、内容に疑問がある場合は、市町村の介護保険担当窓口に相談しましょう。
正式に不服申し立てを行う場合は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に『都道府県介護保険審査会』へ審査請求を提出します。
ただし、処分があったことを知った日の翌日から3か月経過していなくても、処分のあった日の翌日から1年以上経過している場合は審査請求をおこなうことはできません。
審査請求書が受理されてから裁決までに少なくとも4か月から6か月程度かかります(案件の内容等により、6か月以上かかる場合もあります)。
審査会では、一次・二次判定の内容や主治医意見書をもとに再審査が行われ、結果は書面で通知されます。
審査請求書が受理されてから裁決までに少なくとも4か月から6か月程度かかります。(※案件の内容等により、6か月以上かかる場合もあります。)
なお、認定結果が変更される場合もあれば、現状維持となることもあります。
出典:介護保険の審査請求(不服申立て)|東京都介護サービス情報
出典:介護保険審査会への審査請求について - 福岡県庁ホームページ
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まとめ
要介護認定は、心身の状態を客観的に評価し、必要な支援の度合いを7区分(非該当・要支援1・2・要介護1〜5)で判定する制度です。
認定結果は、利用できる介護サービスの内容・量・自己負担額に直結します。申請は市区町村で行い、認定調査や主治医意見書、審査会での判定を経て決定されます。
正しい流れと基準を理解することで、より自分に合った支援を受けやすくなります。不服がある場合は審査請求も可能です。
よくある質問
Q.介護保険審査会と介護認定審査会の違いは何ですか?
介護認定審査会は、市町村に設置され、一次判定結果や主治医意見書をもとに要介護度を審査・判定します。
一方、介護保険審査会は、都道府県に設置され、要介護認定の結果に不服がある場合に行う「審査請求」を審理・判断する機関です。前者は認定を決める役割、後者は不服申し立てを扱う役割です。
Q.要介護認定の審査判定はどのように行われますか?
まず、認定調査(74項目)と主治医意見書をもとにコンピュータで一次判定を実施します。
次に、介護・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が、一次判定結果や特記事項を総合的に審査し、二次判定を行います。その結果を基に、市町村が要介護度を決定します。
Q.要介護認定のプロセスは?
①市町村へ申請→②認定調査(74項目)+主治医意見書の作成→③一次判定(コンピュータによる基準時間算出)→④二次判定(介護認定審査会による審査)→⑤市町村が要介護度を決定・通知という流れにより、客観的かつ公平に介護の必要度が判定されます。
Q.介護保険のサービスを利用するにはどうすればよいですか?
介護保険のサービスを利用するには、市区町村の介護保険担当課または地域包括支援センターで「要介護(要支援)認定」の申請を行う必要があります。
申請後、認定調査や主治医意見書の作成を経て判定され、認定結果が出ると介護サービスを利用できます。
Q.申請から認定までどれくらいかかりますか?
原則として、申請から30日程度で結果が通知されます。ただし、調査や意見書の遅れなどにより、やむを得ず延長される場合があります。その際は市区町村から郵送などで連絡があります。
※地域によっては申請から判定まで1〜2か月かかる場合もあります。
Q.認定結果が出る前にサービスを利用できますか?
申請日以降であれば、暫定的に介護サービスを利用できる場合があります。ただし、後日「非該当」と判定されたり、支給限度額を超過した分については全額自己負担となるため、事前にケアマネジャーなどへ相談しましょう。
Q.認定結果はずっと有効ですか?
認定には有効期間があり、初回は原則6か月(自治体により12か月の場合も)です。
更新には申請が必要で、満了日の60日前から受け付け可能です。状態が変化した場合は、有効期間内でも区分変更申請ができます。
Q.主治医は誰を選べばよいですか?
普段の健康状態を把握しているかかりつけ医が望ましいです。複数の医師にかかっている場合は、介護が必要となった原因疾患を最もよく理解している医師を主治医に選びましょう。
Q.家族が同席する必要はありますか?
本人の意思表示が難しい場合や、生活状況を補足したい場合は家族の同席が望ましいです。調査員がより正確に状況を把握するために役立ちます。
Q.「非該当」となった場合はどうなりますか?
「非該当」と判定された場合、介護保険サービスは利用できません。ただし、市町村が実施する「介護予防・日常生活支援総合事業」など、地域の福祉サービスを利用できることがあります。
Q.要介護度が変わった場合や体調が悪化した場合はどうすればいいですか?
状態が変化したときは、いつでも「区分変更申請」が可能です。
申請後は再び調査・審査が行われ、新しい要介護度が決定されます。まずは担当ケアマネジャーや市区町村窓口へ相談しましょう。
Q.入院中でも申請できますか?
入院中でも申請は可能ですが、病状が不安定な場合は調査が難しいため、状態が落ち着いた後に受けるのが望ましいです。必要に応じて主治医や病院の医療相談室に相談しましょう。
Q.要介護認定は前もって受けておくことができますか?
要介護認定は、実際に介護が必要となった時点で申請する仕組みです。将来を見据えた事前認定や予約はできません。
Q.認定の有効期間が切れた場合はどうすればいいですか?
有効期間が過ぎると、介護サービスを継続利用できません。期限の60日前から更新申請が可能なので、早めの手続きを行いましょう。
Q.40〜64歳でも申請できますか?
40〜64歳の方は、第2号被保険者として、加齢に起因する「特定疾病(16種類)」が原因で介護が必要と認められた場合に限り申請できます。
特定疾病とは心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病であって次のいずれの要件をも満たすものについて総合的に勘案し、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病で、下記が該当します。
がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
関節リウマチ
筋萎縮性側索硬化症
後縦靱帯骨化症
骨折を伴う骨粗鬆症
初老期における認知症
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病※
【パーキンソン病関連疾患】
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症
多系統萎縮症※
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
脳血管疾患
閉塞性動脈硬化症
慢性閉塞性肺疾患
両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
Q.認定調査ではどんなことを聞かれますか?
調査では、起居動作や食事、排泄、認知機能、日常生活の適応など74項目について質問されます。調査員は市職員または委託事業者が担当します。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み







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