制度

要介護度(介護レベル)とは? 認定基準・利用できるサービスを解説

要支援・要介護

ご家族の介護が必要になり始めた方へ「要介護度」とは何かをご説明します。

介護保険の仕組みは複雑で、「どんなサービスが使えるの?」「費用はどのくらい?」「そもそも誰に相談すれば?」など、分からないことだらけで不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなあなたの不安や疑問を解消するため、「要介護度とは何か」という基本のキから、7段階ごとの心身の状態や利用できるサービス、費用、そして具体的な申請手順まで、介護の全体像を網羅的に、そして初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。

介護に関する知識が身につき、安心して次の一歩を踏み出すための道しるべとなります。

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要介護度
01

要介護度(介護レベル)とは

「要介護度」という言葉を初めて聞いた方も多いかもしれません。

要介護度(介護レベル)とは、日常生活の中でどの程度の介護や支援が必要になるのかを示す指標で、介護保険のサービスを受ける際の重要な基準となっています。

ご高齢の方や、病気や障がいで日常生活に支援が必要な方が、どのくらいの介護を必要としているのかを客観的に判断し、適切なサービスを受けられるようにするために設けられています。

日本の介護保険制度では、介護が必要な状態を7つの段階(要支援1・2、要介護1〜5)に分けて評価します。

この評価によって、利用できる介護サービスの種類や回数、費用の上限(利用限度額)が決まります。

要介護度で得られること

要介護認定は、単に介護の必要度を測るだけでなく、ご本人とご家族がより安心して生活を送るための具体的な支えとなります。認定を受けることで、主に以下の4つのメリットが得られます。

・状態に合わせた最適なサービスを利用できる

介護の専門家であるケアマネジャーが、ご本人の心身の状態や希望に沿った最適なケアプランを作成します。これにより、訪問介護やデイサービス、福祉用具のレンタルといった多様なサービスを、過不足なく計画的に利用できます。

・経済的な負担を大幅に軽減しやすくなる

 介護サービスにかかる費用は、介護保険の適用により自己負担が原則1割(所得に応じて 2〜3割)に抑えられます。月々の負担が重くなった場合でも「高額介護サービス費制度」 などが利用でき、経済的な不安を大きく減らせます。

・専門家のサポートで本人と家族の負担が軽くなる

 認定後はケアマネジャーが一貫して支援してくれるため、サービス事業所との連絡・調整 などを任せられます。また、デイサービスなどを利用することで、介護にあたるご家族が 休息を取る時間(レスパイト)を確保でき、心身の負担も軽減されます。

・公平な基準で将来の見通しが立ち、不安が解消される

 「これからどうすればいいのだろう」という漠然とした不安が、全国共通の客観的な基準 によって利用できるサービスや費用が明確になることで解消されます。今後の生活設計が 立てやすくなり、ご本人もご家族も安心して未来に向き合えます。

要介護1
02

要介護認定の申請方法

要介護認定の認定調査を受けられる条件は、お住まいの市区町村に住民票がある方で、年齢によって以下の2つに分かれています。

65歳以上の方(第1号被保険者)

65歳以上の方は、介護や支援が必要になった原因を問わず、認定調査の申請ができます。 例えば、以下のような状態になった場合に申請を検討します。病気やケガ、加齢による衰 えるなどで、日常生活(入浴、排泄、食事、着替え、歩行など)に手助けが必要になった。

・物忘れが進み、一人での生活に不安が出てきた。

40歳から64歳までの方(第2号被保険者)

40歳から64歳までで、医療保険に加入している方は、介護が必要になった原因が、加齢に伴う特定の病気(特定疾病)である場合に限り、認定調査の申請ができます。

交通事故によるケガや、特定疾病以外の病気が原因で介護が必要になった場合は、介護保険の対象とはなりません。

出典:介護保険制度について|厚生労働省

対象となる「特定疾病」(全16種類)

  1. がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など)
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

出典:特定疾病の選定基準の考え方|厚生労働省

申請から認定までのステップ

1.申請手続き

要介護認定の申請は、お住まいの市区町村の役所や地域包括支援センターで行います。

申請できるのは、原則として本人または家族ですが、代理でケアマネジャーや医療機関の  職員が行うことも可能です。

申請書には、本人の基本情報や現在の生活状況、健康状態などを記入します。

2.認定調査

申請後、自治体から認定調査員(市区町村の職員や委託された専門員)が自宅や入院先を訪問し、本人の心身の状態を細かく調査します。

調査項目は以下のような点が重視されます。

  • 身体機能(歩行、立ち上がり、食事、排泄、入浴など)
  • 認知機能(記憶力、判断力、理解力など)
  • 精神・行動面(感情の安定、問題行動の有無など)
  • 社会生活への適応(買い物、金銭管理、服薬管理など)

【調査の例】

「一人で立ち上がれますか?」

「食事や入浴は自分でできますか?」

「最近、物忘れや混乱はありませんか?」

調査員は本人の『できること』『できないこと』を客観的に評価するため、普段の様子をありのまま正直に伝えることが大切です。

家族が同席し、日常の困りごとや気になる点を補足説明するのもおすすめです。

3.主治医意見書の作成

認定調査と並行して、本人の主治医に「主治医意見書」の作成を依頼します。主治医意見書には、病気や障害の状況、治療歴、今後の見通しなどが記載されます。

主治医がいない場合は、自治体が指定する医師の診断を受けることもできます。

4.審査・判定

調査結果と主治医意見書をもとに、コンピューターによる一次判定と、介護認定審査会による二次判定が行われます。審査会は、保健・医療・福祉の専門家で構成されており、本人の状態や生活環境を総合的に判断します。

5.認定結果の通知

申請から約30日以内に、認定結果が郵送で届きます。認定結果には、認定区分(要支援1・2、要介護1〜5)と認定期間、サービス利用開始日などが記載されています。

認定結果が届いたら

認定結果が届いたら、いよいよ介護サービスの利用が始まります。

まずはケアマネジャー(介護支援専門員)に相談し、本人や家族の希望をもとに「ケアプラン(介護サービス計画)」を作成しましょう。

ケアプランは、本人の状態や希望に合わせて柔軟に変更できます。「もっとサービスを増やしたい」「別のサービスを試したい」といった要望も、随時ケアマネジャーに相談しましょう。

出典:どんなサービスがあるの? - 居宅介護支援 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省
出典:介護保険制度について|厚生労働省

要介護
03

要介護度7段階の特徴

この章では、要支援1・2、要介護1〜5のそれぞれの特徴と判断基準を、初めての方にもわかりやすく解説します。

7段階の要介護度は、主に「要介護認定等基準時間」という指標を基に判断されます。これは認定調査の結果をもとに、1日の介助に要する時間を推計したもので、介護の手間を客観的に測る「ものさし」のようなものです。この推計時間が長いほど介護の必要度が高いと判断されますが、この時間は実際に利用できるサービス時間とは異なる点に注意が必要です。

まずは全体像を以下の表で見てみましょう。

区分

主な状態・特徴

認定基準時間

要支援1

基本的に自立、生活の一部で軽い支援が必要

25分以上32分未満

要支援2

自立はできるが、複数の場面で支援や見守りが必要

32分以上50分未満

要介護1

部分的に介助が必要、入浴や排泄などで時々手助けが必要

要介護2

介助が必要な場面が増え、立ち上がりや歩行が不安定

50分以上70分未満

要介護3

ほぼ全面的な介助が必要、自力移動が難しい

70分以上90分未満

要介護4

日常生活のすべてでほぼ常時介助が必要、寝たきりに近い

90分以上110分未満

要介護5

完全な寝たきり、意思疎通が困難、24時間体制の介護が必要

110分以上

要支援1・2

「要支援」とは、現在は介護の必要がないものの、将来要介護状態になる恐れがあり、家事や日常生活に支援が必要な状態を指します。要支援は2段階に分けられます。

要支援1

要支援1は、基本的には自立した生活ができているものの、生活の一部で見守りや軽い支援が必要な状態です。

たとえば、家事や買い物、ゴミ出しなど、日常生活の一部で手助けがあれば自宅で問題なく生活できます。

身体機能や認知機能の低下が軽度で、介護予防の観点から早めに支援を受けることで、状態の悪化を防ぐことが主な目的です。

要介護認定等基準時間は「25分以上32分未満またはこれに相当すると認められる状態」とされています。

要支援2

要支援2は、要支援1よりも支援が必要な範囲や頻度が増えた状態です。

日常生活の中で複数の場面で手助けが必要になってきます。

たとえば、歩行や立ち上がりに不安があったり、入浴や着替えなど一部の動作で介助が必要になったりします。

要支援2の方も、介護予防サービスを利用して自立を維持することが大切です。

要介護認定等基準時間は「32分以上50分未満またはこれに相当すると認められる状態」とされています。

要介護1~5

「要介護」とは、食事・入浴・排泄などの日常生活動作について常時介護を要すると見込まれる状態のことをいいます。要介護は5段階に分けられます。

要介護1

要介護1は、日常生活の多くは自立しているものの、部分的に介助が必要な状態です。

たとえば、入浴や排泄、着替えなどで時々手助けが必要になります。

認知症の初期症状が見られる場合もありますが、コミュニケーションは基本的に可能です。

要介護認定等基準時間は、要支援2と同じく「32分以上50分未満またはこれに相当すると認められる状態」とされています。

要介護2

要介護2は、要介護1よりも介助が必要な場面が増え、身体機能や認知機能の低下もやや進行しています。

立ち上がりや歩行が不安定になるため、日常生活の多くで介助が必要となります。

食事や排泄の一部にも手助けが必要なことがあります。

要介護認定等基準時間は「50分以上70分未満またはこれに相当すると認められる状態」とされています

要介護3

要介護3は、ほぼ全面的な介助が必要な状態です。

自力での移動が難しくなり、ベッドで過ごす時間が増える方もいます。

食事や排泄、入浴、着替えなど、日常生活のほとんどに介助が必要です。

認知症の症状が進行している場合も多く、見守りや声かけも重要です。

要介護認定等基準時間は「70分以上90分未満またはこれに相当すると認められる状態」とされています。

要介護4

要介護4は、日常生活のすべてにおいてほぼ常時介助が必要な状態です。

寝たきりに近い方も多く、身体的な介護だけでなく、医療的なケアや見守りも必要となる場合があります。

認知症の症状や問題行動が強く出ることもあります。

要介護認定等基準時間は「90分以上110分未満またはこれに相当すると認められる状態」とされています。

要介護5

要介護5とは、最も重度の状態です。

ほぼ完全に寝たきりや意思疎通が困難な場合が該当します。

食事、排泄、入浴、着替えなど、すべての生活動作に全面的な介助が必要になります。

医療的な管理や、24時間体制での見守りが求められるケースもあります。

要介護認定等基準時間は「110分以上またはこれに相当すると認められる状態」とされています。

要介護度は単なる「評価」ではなく、ご本人やご家族がこれからの生活を考える上での大切な指標です。

「どこまで自分でできるのか」「どんな支援があれば安心して暮らせるのか」を一緒に考え、必要なサポートを受けるための第一歩です。

出典:要介護認定はどのように行われるか|厚生労働省
出典:要支援・要介護度の目安 - 朝霞市

車椅子に座っている高齢者と押している看護師
04

主な介護サービス

要介護度が決まると、その区分に応じて利用できる介護サービスや利用限度額が明確になります。

介護保険で利用できるサービスは大きく分けて「要支援1・2と認定された方が利用できるサービス(予防給付)」「要介護1〜5と認定された方が利用できるサービス(介護給付)」があります。

ここでは、要支援1・2、要介護1〜5のそれぞれで利用できる主なサービスや、実際の利用例についてわかりやすく解説します。

要支援1・2で利用できる主なサービス

要支援1・2の方は、「介護予防サービス」を利用します。

介護予防サービスは、高齢者ができる限り自立した生活を維持・向上し、要介護状態に進行しないよう予防するための多様なサービスです。

サービス名

内容・特徴

自宅に訪問

訪問入浴介護

看護職員と介護職員が自宅を訪問し、

持参した専用浴槽で入浴の介助を行う

訪問看護

看護師などが自宅を訪問し、

療養上の世話や診療の補助を行う

訪問リハビリテーション

理学療法士などが自宅を訪問し、

リハビリテーションを行う

施設に通う

通所リハビリテーション

(デイケア)

利用者が施設に通い、日帰りで

リハビリテーションや医療的ケアを受ける

認知症対応型通所介護

認知症の利用者が施設に通い、日帰りで

日常生活の支援・訓練を受ける

短期間の宿泊

短期入所生活介護

(ショートステイ)

介護老人福祉施設に短期間入所する

短期入所療養介護

医療機関などに短期間入所し医療・看護・

機能訓練などを受ける

複合型

小規模多機能型居宅居宅介護

施設への「通い」を中心に、短期間の「宿泊」や自宅への「訪問」を組み合わせる

施設などで生活

特定施設入居者生活介護

有料老人ホームや軽費老人ホームなどが、

日常生活の支援や機能訓練を行う

地域密着型

認知症対応型共同生活介護

(グループホーム)

認知症高齢者が介護スタッフとともに

少人数で共同生活を送る

(※要支援2のみ利用可)

福祉用具を使う

福祉用具貸与

事業者が車いす・手すり・歩行器などの

福祉用具を取付・調整し貸与する

特定福祉用具販売

事業者が入浴や排泄に用いる

福祉用具を販売する

【利用例】

週に1回デイサービスを利用し、必要に応じてホームヘルパーが掃除や買い物をサポートしてくれます。自宅での生活を維持しつつ、無理なく自立を続けることが目標です。

要介護1~5で利用できる主なサービス

要介護認定を受けると、要支援1・2に比べてより多様なサービスが利用できるようになります。

要介護1〜5のうち、要介護度が高いほど利用できるサービス量(利用限度額)が多くなりますが、サービスの種類自体はほぼ共通です。

サービス名

内容・特徴

介護の相談

居宅介護支援

ケアマネジャーがケアプランを作成し、

関係機関との連絡・調整を行う

自宅に訪問

訪問介護(ホームヘルプ)

訪問介護員が自宅を訪問し、食事・入浴・

排泄などの介護や家事などの支援を行う

訪問入浴介護

看護職員と介護職員が自宅を訪問し、

持参した専用浴槽で入浴の介助を行う

訪問看護

看護師などが自宅を訪問し、

療養上の世話や診療の補助を行う

訪問リハビリテーション

理学療法士などが自宅を訪問し、

リハビリテーションを行う

夜間対応型訪問介護

夜間帯に訪問介護員が「定期巡回」と

「随時対応」で自宅を訪問する

定期巡回・随時対応型

訪問介護看護

看護と介護の一体的なサービスを

必要に応じて24時間365日受けられる

施設に通う

通所介護(デイサービス)

利用者が施設(定員19人以上)に通い、

日帰りで日常生活の支援・訓練を受ける

通所リハビリテーション

(デイケア)

利用者が施設に通い、日帰りで

リハビリテーションや医療的ケアを受ける

地域密着型通所介護

利用者が施設(定員19人未満)に通い、

日帰りで日常生活の支援・訓練を受ける

療養通所介護

難病や末期がんなどの患者が施設に通い、

日帰りで日常生活の支援・訓練を受ける

認知症対応型通所介護

認知症の利用者が施設に通い、日帰りで

日常生活の支援・訓練を受ける

短期間の宿泊

短期入所生活介護

(ショートステイ)

介護老人福祉施設に短期間入所する

短期入所療養介護

医療機関などに短期間入所し医療・看護・

機能訓練などを受ける

小規模多機能型居宅介護

施設への「通い」を中心に、短期間の「宿泊」や自宅への「訪問」を組み合わせる

看護小規模多機能型居宅介護

(複合型サービス)

「通い」「宿泊」「訪問」に加えて、看護師

などによる「訪問(看護)」を組み合わせる

施設などで生活

介護老人福祉施設

(特別養護老人ホーム)

入所者の在宅復帰を念頭に、日常生活の

支援・訓練、療養上の世話などを行う

(新規で入所する要介護1・2はやむを得ない理由がある場合以外は新規入所不可)

介護老人保健施設(老健)

在宅復帰を目指す入所者の医療・介護・

リハビリテーションなどを行う

特定施設入居者生活介護

有料老人ホームや軽費老人ホームなどが、

日常生活の支援や機能訓練を行う

介護医療院

長期にわたる療養が必要な入所者の医療と

日常生活に必要なサービスを提供する

地域密着型

サービス

認知症対応型共同生活介護

(グループホーム)

認知症高齢者が介護スタッフとともに

少人数で共同生活を送る

地域密着型介護老人福祉施設

入居者生活介護

定員30人未満の施設が、入所者の日常生活の

支援・訓練、療養上の世話などを行う

(新規で入所する要介護1・2はやむを得ない理由がある場合以外は利用不可)

地域密着型特定施設

入居者生活介護

定員30人未満の有料老人ホームや軽費老人ホームなどが、日常生活の支援や機能訓練を行う

福祉用具を使う

福祉用具貸与

事業者が車いす・手すり・歩行器などの

福祉用具を取付・調整し貸与する

特定福祉用具販売

事業者が入浴や排泄に用いる

福祉用具を販売する

※やむを得ない理由とは、虐待、やむを得ない事情による在宅困難等を指す。

【利用例】

要介護3の方が、週2回デイサービスを利用し、週1回ホームヘルパーが入浴や食事の介助に訪問します。月に数回ショートステイを利用して、ご家族の負担軽減を図るなど、状態や希望に合わせて組み合わせが可能です。

源泉徴収票の控除欄と計算機
05

介護保険のサービス利用料

自己負担額の割合

介護保険サービスを利用した際にかかる費用は、その一部を利用者が負担します。この自己負担の割合は、所得に応じて決定されますので、ご自身の「介護保険負担割合証」をご確認ください。

負担割合

対象となる方

1割

下記いずれかに当てはまる方

  • 65歳以上で、2・3割の条件に当てはまらない方
  • 40歳から64歳の方

2割

65歳以上で、下記条件を満たす方

  • 本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満
  • 年金収入+その他合計所得金額が280万円以上(単身の場合)
  • 年金収入+その他合計所得金額が346万円以上(夫婦世帯の場合)

3割

65歳以上で、下記条件を満たす方

  • 本人の合計所得金額が220万円以上
  • 年金収入+その他合計所得金額が340万円以上(単身の場合)
  • 年金収入+その他合計所得金額が463万円以上(夫婦世帯の場合)

出典:給付と負担について|厚生労働省

利用限度額の目安

居宅サービスを利用する場合、要介護度ごとに「1か月あたりの利用限度額(利用限度額)」が決まっています。限度額を超えた分は全額自己負担となるため、ケアマネジャーと相談しながら上手に利用しましょう。

居宅サービスの1ヶ月あたりの利用限度額

要介護度

利用限度額

要支援1

50,320円

要支援2

105,310円

要介護1

167,650円

要介護2

197,050円

要介護3

270,480円

要介護4

309,380円

要介護5

362,170円

※金額は1単位10円で計算した場合の目安です。お住まいの地域(地域区分)によって1単位の単価が異なるため、実際の限度額は変動します。
出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省

施設サービスを利用する場合は、個室や相部屋など住環境の違いによって自己負担額は変わります。また、介護保険でカバーされるのは介護サービスそのものにかかる費用までで、施設での食費・居住費や別途希望するサービスにかかる日常生活費などは原則として全額自己負担となります。

自己負担額の軽減制度

月々の自己負担額が重くならないように、いくつかの軽減制度が設けられています。

高額介護サービス費

1ヶ月に支払った自己負担額(1割〜3割の部分)の合計が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合、超えた分が後から払い戻される制度です。

年収

負担上限額(月額)

約1,160万円~

140,100円

約770~1,160万円

93,000円

~約770万円

44,000円

住民税非課税世帯

15,000~24,600円

出典:令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます|厚生労働省

負担限度額認定

所得の低い方が介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院)やショートステイを利用する際に、食費と居住費の負担を軽減する制度です。

対象となるのは、以下の条件をすべて満たす方です。

  • 本人および世帯全員が住民税非課税であること
  • 配偶者(世帯が別でも)が住民税非課税であること
  • 預貯金などが一定額以下であること(単身で1,000万円以下、夫婦で2,000万円以下など、所得段階で異なります)

この認定を受けると、「介護保険負担限度額認定証」が交付され、施設に提示することで1日あたりの食費・居住費に上限額が設けられます。

高額医療・高額介護合算制度

世帯内で1年間にかかった医療費と介護サービス費の自己負担を合計し、高額になった場合に上限額を超えた分が払い戻される制度です。

年収

介護保険+後期高齢者医療

介護保険+被用者保険または国民健康保険

75歳以上

70~74歳

70歳未満

約1,160万円~

212万円

約770~1,160万円

141万円

約370~770万円

67万円

~約370万円

56万円

60万円

住民税非課税世帯

19~31万円

34万円

出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省

居宅サービス計画書を記入する職員男性
06

要介護度の再認定

要介護度は一度決まったら終わりではありません。ご本人の健康状態や生活状況は日々変化するものです。そのため、要介護度も定期的に見直しが行われ、必要に応じて再認定の手続きをすることができます。この章では、要介護度が変わるタイミングや再認定の流れについて、初めての方にもわかりやすく解説します。

再認定が必要になる主なきっかけ

以下のような場合は、区分変更(再認定)を申請しましょう。状態が変わったまま古い要介護度でサービスを続けると、必要な支援が十分に受けられなかったり、逆に無駄な負担がかかったりすることがあります。

体調の悪化や大きな病気・ケガ

たとえば転倒による骨折や、脳梗塞・心筋梗塞などの発症で、日常生活に必要な介助の量が急に増えることがあります。

認知症の進行

物忘れや混乱、徘徊など認知症の症状が進行し、見守りや介助が増えた場合も要介護度の見直しが必要です。

リハビリや治療による回復

逆に、リハビリや治療の効果で身体機能や認知機能が改善し、介助が減った場合は要介護度を下げることができます。

要介護認定の有効期限

新規認定の場合は原則6か月(最長12か月)、更新認定の場合は原則12か月ですが、状態が安定している場合などは最長48か月(4年)まで延長されることがあります。

更新認定で前回と同じ要介護度になった場合に限り、最長48か月まで設定可能であり、要介護度が変わった場合の上限は36か月です。

再申請の流れ

1.区分変更申請

要介護度の見直しを希望する場合は、市区町村の窓口や地域包括支援センターに「区分変更申請」を行います。

申請は本人や家族、ケアマネジャーなどができます。

2.再度の認定調査

申請後、改めて認定調査員が自宅や施設を訪問し、現在の心身の状態について調査します。

初回の認定調査と同じく、身体機能・認知機能・精神面・社会生活の適応などが評価されます。

3.主治医意見書の提出

再認定の場合でも主治医意見書が必要です。

現在の健康状態や治療経過、今後の見通しなどについて主治医に記入してもらいます。

4.審査・判定

調査結果と主治医意見書をもとに、コンピューターの一次判定と介護認定審査会による二次判定が行われます。

5.結果通知

申請から約30日以内で新しい要介護度が決定し、通知が届きます。

新しい要介護度に応じて利用できるサービスや利用限度額も変更されます。

要介護度は「今のご本人」に合った支援を受けるためのものです。状態が変わることは誰にでもあり得ることなので、遠慮せずに必要なタイミングで再認定を受けましょう。

「以前より大変になった」「逆に元気になってきた」など、どんな変化でもまずはケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください。ご本人やご家族が安心して生活できるよう、最適なサービスを一緒に考えてくれるはずです。

歩行器を使用してリハビリを行う高齢女性と介助する職員
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まとめ

要介護度(介護レベル)は、ご本人やご家族が安心して介護サービスを利用するための大切な指標です。要介護度が決まることで、利用できるサービスや利用限度額が明確になり、必要な支援を無理なく受けることができます。

「自分や家族はまだ大丈夫」と思っていても、急な体調変化やケガなどで介護が必要になることもあります。そのときに慌てず、スムーズに必要なサービスを受けられるよう、要介護度の仕組みを知っておくことはとても大切です。

介護について不安や疑問があるときは、一人で抱え込まず、遠慮せずに専門機関やケアマネジャーに相談しましょう。介護は「支え合い」の仕組みです。周囲のサポートを受けながら、安心して介護の第一歩を踏み出してください。

また、要介護度は一度決まったら終わりではありません。ご本人の状態が変われば、その都度適切なサービスを受けながら、できるだけ自分らしい生活を続けていけるようサポートしていくのが介護保険制度です。正しい知識と適切なサービスを活用し、ご本人もご家族も安心して毎日を過ごせるよう応援しています。

要介護度に関する

よくある質問

Q.介護サービスを利用したいけど、どこに相談すればいい?
A.

まずはお住まいの地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口にご相談ください。どんな小さなことでも、親身になって相談に乗ってくれます。

Q.どんな人が要介護認定を受けられますか?
A.

65歳以上の方は、介護や支援が必要となった場合に介護保険の申請ができます。40歳〜64歳の方でも、特定疾病と呼ばれる特定の病気によって介護が必要になった場合は申請可能です。

Q.要介護認定はどのくらいの期間で結果が出ますか?
A.

申請から認定結果が届くまで、原則30日以内(介護保険法施行規則・通知の定めあり)です。ただし、調査や主治医意見書の提出状況によっては、多少前後する場合もあります。

Q.申請や認定には費用がかかりますか?
A.

要介護認定の申請にかかる手数料は無料です。また、主治医意見書の作成費用も介護保険から支払われるため、ご本人の自己負担はありません。

ただし、診察のために医療機関を受診した際の初診料や検査費用などは自己負担となる場合があります。

Q.介護保険の自己負担割合はどう決まるの?
A.

65歳以上の場合、原則は1割負担ですが、所得に応じて2割または3割になる場合があります。負担割合は介護保険証に記載されています。(第2号被保険者についての記述は現状維持で可だが、第1号被保険者の所得基準を明確化する)

65歳以上の方は原則1割負担ですが、一定以上の所得がある方は2割または3割負担となります。40歳から64歳の方(第2号被保険者)は、所得に関わらず1割負担です。

Q.要介護度が変わったら、サービス内容や費用はどうなるの?
A.

要介護度が上がると、利用できるサービスの種類や量、利用限度額が増えます。逆に要介護度が下がると、利用できるサービスが減る場合もあります。

Q.ケアプランって何?
A.

介護サービスの詳細な計画書のことです。原則として、ケアマネジャー(介護支援専門員)がご本人やご家族の希望を聞きながら作成します。

Q.家族が遠方に住んでいる場合、どんなサポートが受けられますか?
A.

家族が近くにいなくても、訪問介護や配食サービス、緊急通報システムなど、さまざまな支援が受けられます。ケアマネジャーがご本人の状況を定期的に把握し、必要に応じてご家族にも連絡してくれるので、遠方からでも安心して見守ることができます。


執筆者

[介護サーチプラス]編集部

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夜間訪問介護(ナイトケア)とは?夜間介護の基本知識、サービス種類、費用、利用方法を徹底解説

「夜間の介護に対応できる方法がわからない…」「夜中に何かあったらどうすればいいの?」「夜間訪問介護(ナイトケア)のサービス内容や費用の相場は?」など、質問を持つご家族が多いとされています。高齢者の夜間の見守りや排泄介助、緊急時の対応など、夜の時間帯に必要なサポートを担うのが「夜間訪問介護(ナイトケア)」です。介護労働安定センターの令和6年度(2024年度)介護労働実態調査によると、介護職員(ホームヘルパー含む)の離職率は12.4%となり、前年度(13.1%)から0.7ポイント低下し、過去最低を記録しました(調査期間:2023年10月~2024年10月)。一方で、採用率は14.1%(前年度比2.6ポイント減)と低下傾向にあり、夜間対応を含む訪問介護分野での人材確保は引き続き課題となっています。昼間とは異なるリスクや負担がある夜間の介護を、専門的なサービスで支えることで、介護する側・される側の生活環境と対応体制が充実します。この記事では、介護分野における夜間訪問介護(ナイトケア)の基本から、そのメリット・デメリット、サービスの種類、利用方法までをわかりやすく解説します。夜間の介護に対応したい方に向けた実用的な情報をお届けします。
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