介護

ショートステイ(短期入所介護)とは?介護保険の適用や要介護度、費用、安く抑えるコツも解説

visual img

ショートステイ(短期入所生活介護)とは何か、対象者や利用条件、費用の目安、サービス内容について解説します。自宅介護を続けながら、介護者の負担軽減や利用者のリハビリ・生活支援が受けられる仕組みです。連続利用日数や費用の注意点もあわせて紹介します。

この記事がおすすめな人

  • logostat
    ショートステイ(短期入所生活介護)の利用を検討しているご家族や介護者
  • logostat
    在宅介護中で、一時的な介護支援を必要としている方
  • logostat
    ケアマネジャーや介護職員として働いている、または目指している方
  • logostat
    介護保険制度や福祉サービスの仕組みについて学んでいる学生(社会福祉士を目指す大学生・専門学生など)
  • logostat
    福祉系の進路を検討している高校生やその保護者
  • logostat
    社会福祉士国家試験の受験を考えている社会人やキャリアチェンジ希望者
  • logostat
    介護施設の種類や費用、選び方を基礎からわかりやすく知りたい方
Section Image
01

ショートステイ(短期入所生活介護)とは?

ショートステイ(短期入所生活介護)は、介護老人福祉施設や老人保健施設などに短期間宿泊し、介護サービスを受けられる介護保険サービスのひとつです。

利用者は入浴や食事、排泄といった日常生活の介助に加えて、リハビリなどの機能訓練も受けられます。

介護を必要とする高齢者の心身機能の維持や回復を目的とすると同時に、家族介護者の負担を軽減する役割も果たしています。

自宅での生活を続けたい家庭にとって、安心して利用できる大切な仕組みです。

サービスの概要

  • ショートステイ(短期入所生活介護)は、入浴・排泄・食事・日常生活介助・機能訓練を短期間で提供するサービス
  • 利用者の心身機能維持と、家族介護者の身体的・精神的負担軽減が目的
  • 利用は連続30日までが原則( 31日目以降は短期入所としては介護保険給付の対象外で保険外扱いとなります。長期連続利用に対しては、2024年度改定で減算の適正化も導入・見直しされています。)

出典:どんなサービスがあるの? - 短期入所生活介護(ショートステイ)|厚生労働省


Section Image
02

ショートステイ(短期入所生活介護)の対象者・入所条件

ここでは、ショートステイ(短期入所生活介護)を利用できる対象者について解説します。

要介護認定を受けた方はもちろん、要支援者も「介護予防型」として利用可能です。また、本人の体調や家族の事情など、具体的な利用条件についても整理します。

  • 利用者の体調や病状が悪い場合
  • 家族(介護者)が病気・冠婚葬祭・出張で介護が難しい場合
  • 家族(介護者)の身体的・精神的負担を軽減したい場合

出典:健康長寿ネット  ショートステイの対象者|公益財団法人長寿科学振興財団

要介護認定者が対象

ショートステイ(短期入所生活介護)は、介護保険で「要介護1~5」の認定を受けている方が対象です(要支援1・2は『介護予防型ショートステイ』として利用)。

利用者の介護度(要介護1~5)や、家族の病気・出張・冠婚葬祭・介護負担のリフレッシュなど幅広い事情で申し込むことができます。利用時は事前にケアマネジャーへ相談し、ケアプランに盛り込んで手続きを進めます。

たとえば、日常生活の介助を中心にサポートが必要な要介護1の方から、常時介護を要する要介護5の方まで幅広く利用可能です。

短期間の入所を通じて、生活機能の維持や体調の安定を図るとともに、介護者の負担を軽減する役割を担っています。

要支援者は「介護予防型」を利用

要介護には至っていないものの、支援を必要とする要支援1・2の方は「介護予防短期入所生活介護」を利用できます。

これは、将来的な要介護状態への進行を防ぐことを目的としたサービスです。自宅に閉じこもりがちな高齢者にとって、ショートステイ(短期入所生活介護)での共同生活や機能訓練は心身機能の維持に効果的です。

介護予防型のショートステイ(短期入所生活介護)を計画的に活用することで、本人ができる限り自立した生活を続けられるよう支援し、在宅生活の継続を後押しします。

本人や家族の事情による利用

ショートステイ(短期入所生活介護)は、利用者本人の体調不良や病状悪化の際に利用されることがあります。加えて、家族の側の事情も重要な利用条件です。

介護者が病気になった場合や、冠婚葬祭・出張などで一時的に介護が難しいときに活用できます。

また、介護を続ける家族が心身の疲労を抱えた際のリフレッシュ目的にも利用可能です。


このように、本人と家族双方のニーズに対応できる柔軟な仕組みとなっており、在宅介護を支える大切な制度として位置づけられています

Section Image
03

ショートステイ(短期入所生活介護)を利用するタイミング

ここでは、ショートステイ(短期入所生活介護)をどのような場面で利用すればよいかを解説します。

利用者本人の体調や生活状況、介護者の事情など、具体的なタイミングを理解することで計画的に活用できます。

利用者本人の体調や病状が悪化したとき

ショートステイ(短期入所生活介護)は、利用者本人の体調不良や生活支援が必要なとき、または介護者が病気や出張・冠婚葬祭などで一時的に自宅介護ができないときにも利用できます。加えて、家族の介護負担を予防・軽減したい時やリフレッシュ休暇にも活用できます。

例えば、食欲低下や歩行の不安定さなど、日常生活に支障が生じた場合に短期間施設でケアを受けることで、体調を整えたり生活リズムを維持したりすることが可能です。

また、リハビリを受けることで機能回復を図ることもできます。

家庭だけでは対応が難しいと感じたタイミングで、安心して利用できる選択肢となるでしょう。

家族(介護者)の事情があるとき

介護者である家族に病気、冠婚葬祭、出張といった事情があるときも、ショートステイ(短期入所生活介護)は心強い支えになります。

突発的に介護ができなくなる場面でも、施設に短期間入所することで利用者が安心して生活できる環境を確保できます。


介護者が一時的に不在でも、入浴や食事など必要な介助や夜間の見守りを受けられるため、家庭に無理をかけずに介護を継続できます。家族のライフイベントや体調に合わせて計画的に利用すると安心です。

介護者の心身の負担を軽減したいとき

長期間にわたる在宅介護は、家族にとって大きな心身の負担となります。介護疲れやストレスが蓄積すると、介護の質や家族関係にも影響が出かねません。

こうしたときにショートステイ(短期入所生活介護)を利用することで、介護者が休養をとり心身をリフレッシュすることができます

その間、利用者は専門スタッフの支援を受けながら安全に過ごせるため、双方にとってプラスの効果が期待できます。介護を無理なく長く続けるための「予防策」としても有効です。

Section Image
04

ショートステイ(短期入所生活介護)の部屋タイプ

ショートステイ(短期入所生活介護)では、施設ごとに異なる居室タイプが用意されています。

従来型個室や多床室、ユニット型個室、ユニット型個室的多床室などがあり、費用やプライバシー、生活スタイルに影響します。ここではそれぞれの特徴を解説します。

従来型個室

従来型個室は、プライバシーを確保しやすい居室です。室内に洗面台やトイレが備え付けられている場合が多く、利用者が安心して過ごせる環境が整っています。

一方で、食事や入浴、機能訓練などは共用スペースで行われるため、他の利用者と交流する機会も確保できます。

費用は多床室よりも高めになりますが、自分のペースで生活したい方や落ち着いた環境を希望する方には適した居室タイプといえるでしょう。

shared-room

多床室は、1部屋に複数人(4床以下)が入居する相部屋タイプです。医療施設や老人保健施設などで多く採用されており、費用を抑えられる点が大きなメリットです。

他の利用者と同じ空間で過ごすため、孤立感を感じにくい一方で、プライバシーが制限される側面もあります。

施設によってはカーテンやパーティションで区切りを設けて配慮している場合もあります。費用面を重視しつつ、一定の交流を持ちたい方に適した選択肢といえます。

ユニット型個室

ユニット型個室は、10人前後をひとつの「ユニット」として生活するスタイルで、居室は完全な個室です。

トイレや洗面台は個室に備えられている場合が多く、食堂や浴室、リビングはユニットごとの共用スペースとして設けられています。

少人数単位の生活環境が整うため、スタッフの目が届きやすく、利用者同士の交流も自然に生まれやすい特徴があります。プライバシーを守りつつ、適度なコミュニケーションを希望する方に向いた居室タイプです。

ユニット型個室的多床室

ユニット型個室的多床室は、以前「ユニット型準個室」と呼ばれていたタイプで、個室に近い環境を提供しつつ費用を抑えられるのが特徴です。

構造上、居室の天井と壁の間に隙間があるため、完全な個室とは言えませんが、ユニット型個室と同様に少人数ごとの共同生活が可能です。

利用者は一定のプライバシーを保ちながらも、他の入居者との交流やスタッフの目配りを受けられます。完全個室よりも費用負担を軽減しつつ快適に過ごしたい方に適しています。

青空が印象的な建物
05

ショートステイ(短期入所生活介護)の施設の形態

ショートステイ(短期入所生活介護)を提供する施設には、大きく分けて「併設型」と「単独型」の2種類があります。

施設の特徴や環境によって、サービス内容や利用のしやすさが異なるため、違いを理解して選ぶことが大切です。

併設型施設とは

併設型施設とは、特別養護老人ホーム(特養)や老人保健施設、介護療養型医療施設などの大規模な介護施設にショートステイ(短期入所生活介護)用の部屋が併設されているタイプです。

入居者と同じ建物内に短期入所者が滞在するため、医療や介護体制が整っているケースが多く、安心して利用できます。

また、既存施設の設備や職員を活用するため、比較的安定したサービスが受けられるのも特徴です。

短期間でしっかりとしたケアを受けたい方や、医療的ケアが必要な方に適した環境といえるでしょう。

単独型施設とは

単独型施設とは、ショートステイ(短期入所生活介護)専用の事業所として設けられた施設を指します。他の介護施設に併設されていないため、独自の運営体制でサービスを提供しているのが特徴です。

利用者は短期入所を前提とした環境で過ごすため、柔軟な対応が可能であり、比較的小規模な施設が多い傾向にあります。

地域に密着した運営を行っている施設も多く、アットホームな雰囲気の中で介護を受けられる場合もあります。特に在宅介護の延長として利用したい方に向いています。

Section Image
06

【ショートステイ(短期入所生活介護)】併設型と単独型の選び方

併設型と単独型のどちらを選ぶかは、利用者や家族の状況によって異なります。

医療体制や専門的な介護を重視する場合は併設型、地域に根差した家庭的な環境を希望する場合は単独型が向いています

また、費用や立地、空き状況も重要な判断基準となります。ケアマネジャーに相談し、本人の介護度や家族の負担状況に合わせて最適な施設を選ぶことが大切です。

両者の特徴を理解することで、ショートステイ(短期入所生活介護)をより効果的に活用できるようになるでしょう。

Section Image
07

ショートステイ(短期入所生活介護)の利用料金

2025年現在、ショートステイ(短期入所生活介護)の自己負担額(1日あたり・多床室・1割負担の例)は、要介護1で約600~650円、要介護5で約850~900円が目安です。

このほか食費1,500~2,000円、滞在費1,000円前後が必要となり、合計で1日あたり3,500~5,000円台になることが一般的です。自己負担率(1~3割)や施設の所在地によっても変わりますので、見積書でご確認ください。

ここでは利用者負担の仕組みや具体的な費用例を解説します。

自己負担割合(1割~3割)

ショートステイ(短期入所生活介護)の費用は介護保険が適用され、原則として利用者は1割を負担します。ただし、一定以上の所得がある方は2割または3割負担となるため注意が必要です。

負担割合は市区町村が交付する「介護保険負担割合証」で確認できます。


また、40歳から64歳の第2号被保険者についても、特定疾病がある場合はショートステイ(短期入所生活介護)を利用でき、自己負担は1割です。利用前に自分の負担割合を把握しておくことで、費用計画を立てやすくなります。

併設型施設の料金例

併設型施設では、特別養護老人ホーム(特養)や老人保健施設などにショートステイ(短期入所生活介護)専用の居室が用意されています

1割負担の目安として、例えば多床室の場合、要介護1は約586円/日、要介護3は737円/日、要介護5は868円/日です。

従来型個室やユニット型個室の場合は金額が高くなる傾向があります。これに加えて、食費や滞在費、理美容代、日常生活費などが必要です。

施設や地域区分によって金額は変わるため、事前に確認しておくと安心です。

併設型施設の料金例(1割負担/1日あたり)

要介護区分

1割負担の目安(多床室/1日あたり)

要介護1

約586円前後 え/日

要介護3

737円前後

要介護5

868円前後

※別途:食費・滞在費・理美容代などが必要

※実額は「地域区分(1〜7級地)」「各種加算/減算」「処遇改善等加算」で増減します。

※最新の単位は施設・地域で異なるため、見積書で総額をご確認ください。

単独型施設の料金例

単独型施設はショートステイ(短期入所生活介護)専用に設けられているため、料金体系も独自で設定されます。  併設型よりやや高めになる傾向がありますが、運営規模や人員体制によって差が出ます。

1割負担の目安(2024年度改定の基本単位ベース/1日あたり)は以下のとおりです。  (実際の自己負担は「地域区分(1級地~その他地域)」「各種加算・減算」「処遇改善加算」によって増減します。)

単独型施設の料金例(1割負担/1日あたり)


要介護区分

従来型個室

多床室

ユニット型・ユニット型個室的多床室

要介護1

約627円

約627円

約725円

要介護2

約695円

約695円

約792円

要介護3

約765円

約765円

約866円

要介護4

約833円

約833円

約933円

要介護5

約900円

約900円

約1,000円

※記載は1割負担の目安です。所得により2割・3割負担となる場合があります。  

※別途、食費(1日1,500〜2,000円程度)・滞在費(1,000円前後)・理美容代・日用品費などが加算されます。  

※最新の単位は施設・地域で異なるため、見積書で総額をご確認ください。

追加費用(食費・滞在費・理美容代など)

ショートステイでは、介護サービス費用とは別に日常生活にかかる費用が発生します。代表的なのは食費と滞在費で、1日あたり数百円から数千円かかる場合があります。

さらに、理美容代や日用品費、レクリエーション参加費などが必要になるケースもあります。施設によっては冷暖房費やベッドシーツ代などが別途請求される場合もあるため要注意です。

利用前に見積もりを取り、総額でどのくらいの費用になるかを確認することで、安心して計画的に利用できるでしょう。

1泊あたりの料金

ショートステイ(短期入所生活介護)は、原則として「1日あたりの単価」で費用が算定されます。そのため1泊2日の利用であれば2日分、2泊3日であれば3日分の料金がかかる仕組みです。

併設型・多床室の1割負担の目安(2024年度改定後の基本単位ベース)では、例として要介護1:603円前後/日、要介護3:737円前後/日、要介護5:868円前後/日。実際の自己負担は、地域区分(1〜7級地)・各種加算/減算・処遇改善等で増減します。

これに食費(1日1,500〜2,000円程度)や滞在費(1日1,000円前後)、その他の日常生活費が加算されます。

実費は「基本サービス費」+「食費」+「滞在費」+「加算・日用品等」の合計。入退所日の食費按分や加算の有無で増減します。

目安としては1日あたり2,500〜4,000円前後(多床室・1割負担想定)ですが、地域区分と施設差を確認してください。

※記載の金額は1割負担の目安です。所得により2割・3割負担となる場合があります。

1泊あたりの料金の目安

ショートステイ(短期入所生活介護)は「1日あたりの単価」で算定されるため、1泊2日の利用であれば2日分の費用がかかります。以下は多床室利用時の目安です。


要介護区分

併設型(多床室)

単独型(多床室)

1泊2日利用の目安(+食費・滞在費)

要介護1

603円 ×2日

627円 ×2日

約5,000〜7,000円

要介護3

737円 ×2日

765円 ×2日

約5,500〜7,500円

要介護5

868円 ×2日

900円 ×2日

約6,000〜8,000円

※実費は「介護費用+食費(1,500〜2,000円/日)+滞在費(1,000円前後/日)」で計算。

※記載の金額は1割負担の目安です。所得により2割・3割負担となる場合があります。

※入退所日は食費が半額になる場合があります。

Section Image
08

ショートステイ(短期入所生活介護)の費用相場【初期費用と月額費用】

ショートステイ(短期入所生活介護)は、要介護者や要支援者が短期間だけ介護施設に入所するサービスであり、利用を検討する上で費用は重要なポイントです。  

有料老人ホームのような入居一時金や敷金といった初期費用はなく、利用した日数分だけ費用が発生する「日割り計算」となっています。

費用相場の目安

1日あたりの自己負担額は、要介護度や施設の形態によって異なりますが、おおよそ3,000〜8,000円程度が目安です。  

例えば、1泊2日であれば約8,000〜15,000円程度、1ヶ月連続で30日利用した場合には約10万〜15万円前後になるケースもあります。  

短期間の利用が中心ですが、長期利用になった場合の総額イメージも把握しておくと安心です。 

細かい費用の内訳

ショートステイ(短期入所生活介護)で発生する費用は、大きく分けて以下の4つです。  

  • 介護サービス費:介護保険が適用され、自己負担は1〜3割。要介護度やサービス内容によって差があります。  
  • 食費:朝食・昼食・夕食ごとに設定され、1日あたり1,500〜2,000円程度が一般的。  
  • 居住費:介護保険の適用外で全額自己負担。多床室で約1,000円、個室やユニット型個室では1,200〜2,100円程度。  
  • その他の費用:おむつ代、日用品費、レクリエーション費用、美容代や医療費など。施設によってはおむつ代が介護サービス費に含まれる場合もあります。  


これらを合計すると、実際の自己負担は「介護サービス費+食費+居住費+その他費用」の合計額となります。施設ごとに金額や設定が異なるため、見積書で総額を確認しましょう。 

出典:東京都福祉保健局  ショートステイの食費の設定について
出典:令和6年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直しに係る周知への協力依頼について

Section Image
09

ショートステイ(短期入所生活介護)の職員体制と安心のサポート

ショートステイ(短期入所生活介護)では、医療・介護・生活支援を行う多職種が配置され、利用者の安全と安心を支えています。


ここでは、配置される職種や多職種連携によるサポート体制について解説します。

配置される職種

ショートステイ(短期入所生活介護)を運営する施設には、介護職員だけでなく、医師や看護師(または准看護師)、生活相談員、栄養士、機能訓練指導員、調理員などが配置されます。※医師は嘱託医や協力医療機関との連携が基本です。(常駐とは限りません)

これにより、日常生活の支援はもちろん、利用者の健康状態の変化にも迅速に対応できます。特に医療的な配慮が必要な高齢者にとって、専門スタッフが常駐していることは安心材料です。

職種

主な役割・仕事内容

医師

健康管理、緊急時の対応、診断や指示

※医師は嘱託医や協力医療機関との連携が基本(常駐とは限りません)

看護師/准看護師

バイタルチェック、服薬管理、医療的ケア

介護職員

入浴・食事・排泄などの日常生活介助

生活相談員

利用者や家族の相談対応、サービス調整

栄養士

栄養バランスを考えた食事提供、食事形態の調整

機能訓練指導員

リハビリや体力維持のための機能訓練

調理員

食事の調理・提供、衛生管理

利用者本人だけでなく、介護を任せる家族にとっても心強いサポート体制となっています。

多職種連携によるケア体制

ショートステイ(短期入所生活介護)では、多職種が連携して利用者を支える仕組みが整っています。

介護職員が日常の介助を行い、看護師が健康管理を担い、栄養士が食事内容を調整し、機能訓練指導員がリハビリを実施するなど、それぞれの専門性を活かしたチームケアが行われます。

この多角的な支援体制により、利用者は心身の状態に合った適切なサービスを受けられます。短期間の利用であっても、生活の質を維持・向上できるのは、こうした多職種連携の大きな強みです。

Section Image
10

ショートステイ(短期入所生活介護)で受けられるサービス

ショートステイ(短期入所生活介護)では、日常生活の支援から機能訓練、交流活動まで幅広いサービスが提供されます。

利用者が自宅と同じように安心して過ごせるよう、多職種が連携して生活をサポートしています。

サービス内容

主な内容・ポイント

日常生活介助

入浴・食事・排泄などを介助

自宅では難しい部分をスタッフがサポート

機能訓練・リハビリ

理学療法士や機能訓練指導員による体操・歩行訓練

心身機能の維持や回復を図る

夜間の介護・見守り

夜間も職員が常駐

体調変化や排泄介助に対応し、安心して休める環境

レクリエーション活動

季節行事や趣味活動、交流イベントなどを実施

孤立感を防ぎ、生きがいづくりにつながる

健康管理・服薬支援

バイタルチェック、服薬確認、医師への報告など

飲み忘れ防止や健康維持に効果が期待できる

入浴・食事・排泄などの日常生活介助

ショートステイ(短期入所生活介護)の基本サービスは、入浴や食事、排泄など日常生活に欠かせない介助です。

入浴はスタッフの支援を受けながら安全に行うことができ、食事は栄養士が考えたメニューが提供されます。

排泄介助も丁寧に行われ、利用者の尊厳を守りながら生活を支えます。家庭での介護が難しい部分をサポートしてもらえるため、安心して生活リズムを保つことができます。

機能訓練・リハビリ

ショートステイ(短期入所生活介護)では、理学療法士や機能訓練指導員によるリハビリを受けられるのも大きな特徴です。歩行訓練や関節運動、筋力維持のための体操などが実施され、心身機能の維持・回復を図ります。

自宅では十分にできない運動やリハビリを、専門スタッフの指導のもとで安全に行える点は大きなメリットです。定期的にショートステイ(短期入所生活介護)を利用することで、要介護度の進行予防にもつながります。

夜間の介護・見守り

自宅での介護では不安が大きい夜間も、ショートステイ(短期入所生活介護)では職員が常駐して見守りや介助を行います

就寝中の体調変化に対応したり、夜間のトイレ介助を行ったりすることで、利用者は安心して眠ることができます。

家族にとっても「夜間に一人で任せて大丈夫か」という心配を解消できるため、安心して休養や外出を取ることが可能です。

レクリエーションや趣味活動

ショートステイ(短期入所生活介護)では、施設ごとに工夫されたレクリエーションや趣味活動が行われます。季節のイベント、手工芸、体操、カラオケなど、多様なプログラムに参加することで、利用者は楽しみや生きがいを感じられます

また、他の利用者や職員との交流の場にもなるため、孤立感を防ぎ、心の健康維持にもつながります。自宅では得にくい「社会的つながり」を持てる点が大きな魅力です。

健康管理と服薬支援

ショートステイ(短期入所生活介護)では、看護師によるバイタルチェックや服薬支援が行われます。血圧や体温測定を通じて体調を確認し、必要に応じて医師へ報告や対応がなされます。

服薬のタイミングを管理してもらえるため、飲み忘れや飲み間違いを防げるのも安心して利用できる理由の一つ。

利用者の体調に応じた食事や生活リズムの調整も行われ、在宅介護だけでは難しいきめ細やかな健康サポートを受けられます。

Section Image
11

ショートステイ(短期入所生活介護)を利用するメリット

ショートステイ(短期入所生活介護)は、利用者本人にとっても介護者にとっても大きなメリットがあります。

ここでは、心身機能の維持や社会的交流、家族の負担軽減など、多方面から得られる効果について解説します。

視点

利用者のメリット

家族(介護者)のメリット

心身への効果

機能訓練やリハビリで体力・認知機能を維持

介護疲れを防ぎ、心身をリフレッシュできる

生活面

入浴・食事・排泄の支援で安心して生活可能

介護を任せられることで予定や休養を確保

精神面

他の利用者や職員との交流で孤立を防げる

「介護を一人で抱え込まない」安心感が持てる

在宅生活

自立した暮らしを続けるサポートになる

在宅介護を無理なく継続しやすくなる

介護者の休養・負担軽減

ショートステイ(短期入所生活介護)を利用する最大の利点は、介護者が安心して休養をとれる点です。長期的な在宅介護は心身に大きな負担を与えるため、疲労やストレスの蓄積が問題となります。

短期間でも介護を施設に任せることで、家族は休養やリフレッシュの時間を確保でき、介護の質を保ちながら無理なく在宅介護を継続できます。

家族が倒れてしまうリスクを減らす「予防策」としても有効です。

利用者の心身機能維持・リハビリ効果

ショートステイ(短期入所生活介護)では、入浴や食事の介助に加えて機能訓練も受けられるため、心身機能の維持や回復につながります

特にリハビリを兼ねて利用することで、在宅では得られない運動機会や専門的なサポートを受けられるのが特徴です。

短期間であっても、生活リズムを整え、体力や認知機能を維持する効果が期待できます。要支援・要介護者にとって、今後の自立した生活を支える大切な機会となります。

社会的交流の機会

自宅での生活が中心になると、外部との関わりが少なくなり孤立感を抱きやすくなります。ショートステイ(短期入所生活介護)では、他の利用者や職員との交流、レクリエーションへの参加を通じて社会的つながりを持てます。

こうした交流は精神的な安定をもたらし、うつ予防や生活意欲の向上にもつながります。

施設での活動を楽しみにする利用者も多く、孤立を防ぎながら生活の質を高められる点も大きなメリットです

在宅生活の継続支援

ショートステイ(短期入所生活介護)を計画的に取り入れることで、在宅介護を長く続けやすくなります。

本人は施設で心身のケアを受けつつ、家族は介護から解放される時間を持つことができ、双方にとってバランスのとれた介護環境が整います。

施設入所を急がず、自宅での生活を維持したい家庭にとって、ショートステイ(短期入所生活介護)は重要な選択肢です。定期的な利用を組み合わせることで、長期的な介護負担の軽減と生活の安定につながります。

Section Image
12

ショートステイ(短期入所生活介護)を利用するデメリット・注意点

ショートステイ(短期入所生活介護)は便利なサービスですが、利用日数や地域制限、費用面などに注意が必要です。正しく理解して計画的に利用することで、トラブルを避けつつ安心して活用できます。

注意点

内容

利用地域の制限

ショートステイ(短期入所生活介護)自体は原則として市区町村外も利用可/

認知症グループホームの“短期利用”(地域密着型)は原則市区町村内

予約の混雑

夏休みや年末年始は予約が集中

早めの相談・複数施設の確保が必要

長期利用の不可

最大30日まで

31日目以降は全額自己負担

費用の地域差

地域区分や施設ごとに料金が異なる

事前見積もりを確認

利用できる地域の制限

ショートステイ(短期入所生活介護)は地域密着型サービスではありません。 原則として市区町村外の施設も利用可能です。

なお、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の“短期利用”は地域密着型に該当するため、原則として同一市区町村内の利用となります。

ただし、例外的にやむを得ない事情がある場合は、市区町村の判断で利用できることもあります。施設選びの際には、自分の住む地域でどの事業所が対象となるのかを確認しておくことが大切です。

混雑や予約待ちのリスク

ショートステイ(短期入所生活介護)は、介護者の休養や冠婚葬祭など突発的な事情で利用されるケースが多く、特に繁忙期には予約が取りにくいことがあります。

お盆期間や年末年始などは利用希望者が増え、希望日程での利用が難しくなる場合もあります。

そのため、あらかじめケアマネジャーを通じて早めに相談し、計画的に予約を入れることが重要です。急な利用を想定して、日頃から複数の施設と連絡を取っておくと安心です。

長期利用はできない

ショートステイ(短期入所生活介護)の利用は連続30日までと定められています。これは介護保険制度上の制限であり、

31日目以降は「短期入所としては介護保険給付の対象外(保険外扱い)」となります。

長期的に入所したい場合は、特別養護老人ホーム(特養)等の他サービスを検討してください。

費用は地域区分によって変動

ショートステイ(短期入所生活介護)の自己負担額は、施設の形態や部屋の種類だけでなく、地域区分(1級地〜7級地など)によっても異なります。

例えば同じ要介護度でも、都市部と地方で1日あたりの費用に差が出ることがあります。

また、食費や滞在費も施設ごとに異なるため、実際にかかる総額は利用前に見積もりを取ることが重要です。負担割合が2割や3割の方はさらに費用が高額になるため、注意が必要です。

Section Image
13

ショートステイ(短期入所生活介護)での1日の流れ

ショートステイ(短期入所生活介護)を利用する際の1日の過ごし方を知っておくと、利用者本人も家族も安心です。施設によって細かな違いはありますが、ここでは一般的な1日の流れを紹介します。


ポイント

  • 施設によって時間設定や活動内容は異なる

  • 機能訓練やレクリエーションは、利用者の状態に合わせて柔軟に調整される

  • 夜間は介護職員が常駐し、看護職は常駐またはオンコール対応など施設により体制が異なります。体調の変化や夜間の排泄介助にも対応できる体制が整えられており、自宅と異なり夜間の見守りがある点が安心材料です。


時間帯

内容

7:00〜8:00

起床・洗面・着替え、バイタルチェック(血圧・体温測定)

8:00〜9:00

朝食(必要に応じて食事介助)

9:30〜11:30

入浴介助、機能訓練(体操・歩行訓練など)

12:00〜13:00

昼食・口腔ケア

13:30〜15:00

レクリエーション、趣味活動、リハビリ

15:00〜16:00

おやつ・休憩

16:00〜17:00

健康チェック、自由時間

17:30〜18:30

夕食・口腔ケア

19:00〜21:00

談話室での交流、テレビ鑑賞、就寝準備

21:00以降

就寝、夜間の巡回・排泄介助・体調管理

朝(起床・健康チェック・朝食)

朝はスタッフの声かけで起床し、洗面や着替えを済ませます。その後、血圧・体温測定などの健康チェックが行われ、体調に応じてその日の活動が調整されます。

朝食は栄養士の管理に基づいたメニューが提供され、必要に応じて介助を受けられます。自宅と同じように一日の生活リズムを整えられる点が、ショートステイ(短期入所生活介護)の安心感につながります。


日中(入浴・機能訓練・レクリエーション)

午前から午後にかけては、入浴介助や機能訓練が行われます。入浴はスタッフのサポートを受けながら安全に行い、心身のリフレッシュにつながります。

機能訓練ではリハビリ専門職による体操や歩行訓練が行われ、心身機能の維持・回復を目指します。

また、午後はレクリエーションや趣味活動が実施され、他の利用者や職員との交流が生まれる時間になります。楽しみながら社会的つながりを持てるのも大きな特徴です。

夕方〜夜(夕食・就寝準備・夜間ケア)

夕方には夕食が提供され、食後はテレビを見たり談話室で過ごしたりと自由時間となります。

その後、就寝前の口腔ケアや排泄介助などが行われ、落ち着いた環境で眠りにつきます。

夜間は介護職員や看護師が常駐し、体調の変化やトイレの介助にも対応できる体制が整えられています。自宅と異なり、夜間でも見守りがあることで安心して休めるのがショートステイ(短期入所生活介護)の大きなメリットです。

Section Image
14

ショートステイ(短期入所生活介護)の申し込みから利用までの手順

ショートステイ(短期入所生活介護)を利用するには、ケアマネジャーを通じた申し込みが基本です。手続きの流れを理解しておくことで、スムーズに利用準備ができます。


ここでは、ショートステイ(短期入所生活介護)の申し込みから利用までの手順を段階的に解説します。

ポイント

  • 施設によって必要書類や手順は多少異なる
  • 人気のある施設は予約が埋まりやすいため早めの相談が安心
  • ケアマネジャーとの連携がスムーズな利用のカギ

Step

手順

内容

1

ケアマネジャーへ相談

利用目的や希望日を伝え、ケアプランに組み込み

施設候補を紹介してもらう

2

施設の選定・見学

居室タイプ、食事、職員体制、雰囲気を確認

複数施設を比較検討すると安心

3

申し込み・書類提出

介護保険証、負担割合証、診断書や服薬情報などを提出

申込書に利用期間を記入

4

利用開始(入所当日)

健康チェックや入所説明を受け、持ち物を確認

利用者の状態に合わせたケアが開始

ケアマネジャーへの相談

ショートステイ(短期入所生活介護)の利用を希望する場合、まずは担当のケアマネジャーに相談します。

利用目的(介護者の休養、冠婚葬祭、利用者の体調管理など)を伝えると、ケアマネジャーがケアプランにショートステイ(短期入所生活介護)を組み込み、適切な施設を紹介してくれます。

施設によっては人気が高く、予約がすぐに埋まることもあるため、早めの相談が欠かせません。

施設の選定と見学

候補となる施設をいくつか提示されたら、実際に見学するのがおすすめです。

居室の環境、食事内容、職員体制、レクリエーションなどを確認し、利用者本人が過ごしやすいと感じられるかどうかをチェックします。

併設型と単独型、居室のタイプによって料金や雰囲気が異なるため、比較検討して選ぶことが重要です。

申し込みと必要書類の提出

利用する施設が決まったら、申し込みを行います。その際には、介護保険証、介護負担割合証、医師の診断書(必要に応じて)、服薬情報などを提出する場合があります。

また、利用希望日や期間を明記した申込書の記入が必要です。施設側はこれらの情報をもとに受け入れの可否を判断します。

利用開始と当日の流れ

予約が確定したら、利用当日に必要な持ち物(着替え、洗面道具、薬、お薬手帳など)を準備し、施設へ入所します。

到着後は職員による健康チェックや入所説明が行われ、利用者の体調や生活習慣に合わせたケアがスタートします。

短期間であっても、自宅に近い環境で安心して生活できるようにサポートされるのがショートステイ(短期入所生活介護)の特徴です。

Section Image
15

ショートステイ(短期入所生活介護)と老健の違い

ショートステイ(短期入所生活介護)と介護老人保健施設(老健)は、どちらも高齢者を支える介護保険サービスですが、目的や利用期間に大きな違いがあります

ショートステイ(短期入所生活介護)は在宅生活を続けるために一時的に施設に宿泊し、日常生活の介助やリハビリを受けられるサービスで、最大30日までの短期利用が前提です。

一方、老健は自宅復帰を目指す中期的な施設で、入所期間は数か月から1年程度に及ぶこともあります。

リハビリや医療ケアを重視し、退院後の自宅生活に備える役割を担っています。利用目的に応じて選ぶことが重要です。

項目

ショートステイ(短期入所生活介護)

介護老人保健施設(老健)

利用目的

在宅介護の補助、介護者の休養支援

自宅復帰を目指したリハビリ・医療ケア

利用期間

最大30日(短期)

数か月~1年程度(中期)

提供サービス

日常生活介助、リハビリ、夜間介護

医師・看護師による医療、集中的リハビリ

対象者

要支援1・2、要介護1〜5

主に要介護1〜5、退院後の在宅復帰希望者

施設形態

特養・老健などへの併設や専用施設

老健専用施設

特別養護老人ホーム
16

ショートステイ(短期入所生活介護)と特養の違い

ショートステイ(短期入所生活介護)と特別養護老人ホーム(特養)は、どちらも介護老人福祉施設を利用する点で共通していますが、利用目的や入所期間が大きく異なります

ショートステイ(短期入所生活介護)は在宅介護を続けながら、一時的に施設に宿泊して介護サービスやリハビリを受けられる仕組みで、最長30日までの短期利用が基本です。

一方、特養は要介護3以上の方を対象とした「終の棲家」としての役割を持ち、長期間の入所を前提としています。

日常生活の介護を中心に提供し、医療よりも生活支援に重点を置いている点が特徴です。

項目

ショートステイ(短期入所生活介護)

特別養護老人ホーム(特養)

利用目的

在宅介護の補助、介護者の休養支援

長期入所による生活の場

利用期間

最大30日(短期)

原則長期(終身利用も想定)

提供サービス

日常生活介助、機能訓練、夜間介護

日常生活全般の介護、生活支援中心

対象者

要支援1・2、要介護1〜5

要介護3以上(原則)

施設の性格

一時的な入所サービス

終の棲家としての生活施設

Section Image
17

ショートステイ(短期入所生活介護)とデイサービスの違い

ショートステイ(短期入所生活介護)とデイサービスは、どちらも在宅介護を支える重要な介護保険サービスですが、利用形態や役割に違いがあります。

ショートステイ(短期入所生活介護)は施設に宿泊して日常生活介助やリハビリを受けられる短期入所サービスで、夜間の介護や見守りも提供されます。

一方、デイサービスは日中のみ施設に通い、入浴や食事、機能訓練、レクリエーションなどを受ける仕組みです。

宿泊を伴わないため、家族の在宅介護を前提としながら日中の負担を軽減する役割があります。利用目的や家庭の状況に応じて、使い分けることが大切です。

項目

ショートステイ(短期入所生活介護)

デイサービス(通所介護)

利用目的

在宅介護の補助、介護者の休養支援

日中の介護支援、介護者の負担軽減

利用期間

最大30日(宿泊を伴う)

日帰り(数時間〜1日)

提供サービス

日常生活介助、リハビリ、夜間介護

入浴・食事・機能訓練、レクリエーション

宿泊の有無

あり

なし

家族の関与

短期的に完全に介護を任せられる

夜間や送迎後は家族が対応

Section Image
18

ショートステイ(短期入所生活介護)施設の選び方

ショートステイ(短期入所生活介護)を安心して利用するためには、施設の環境やサービス内容を事前にしっかり確認することが大切です。

ここでは、施設を選ぶ際にチェックしておきたい3つのポイントを解説します。

料金は「基本サービス費(単位×地域単価×自己負担割合)」+「食費」+「滞在費」+「加算・日用品等」で決まります。同じ要介護度でも地域区分・居室タイプ・施設形態で総額が変わるため、見積書で総額を確認しましょう。

居室タイプや設備をチェックする

施設によって従来型個室、多床室、ユニット型個室など、用意されている居室タイプが異なります。

個室はプライバシーを確保できますが費用が高め、多床室は費用を抑えられる一方で生活音が気になる場合もあります。

また、トイレや洗面台の有無、バリアフリー設備、冷暖房環境なども快適さに直結します。利用者の生活スタイルや希望に合った環境を選ぶことが重要です。

職員体制やサービス内容をチェックする

施設ごとに配置される職員の数や専門性が異なります。

医師や看護師が常勤かどうか、機能訓練指導員によるリハビリが受けられるか、夜間の見守り体制が整っているかは安心につながるポイントです。

※医師は嘱託医や協力医療機関との連携が基本です。(常駐とは限りません)

また、レクリエーションの充実度や、食事・健康管理の工夫も施設ごとに差があります。利用者本人のニーズに合ったサービスが受けられるかを確認しましょう。

料金体系や追加費用をチェックする

ショートステイ(短期入所生活介護)の料金は要介護度や部屋のタイプ、施設形態によって変わります。介護サービス費用に加え、食費や滞在費、理美容代、日用品費などが別途かかるのが一般的です。


同じ要介護度でも地域区分によって費用差が生じるため、見積もりを出してもらい、総額でいくらになるかを確認することが大切です。料金体系を把握し、無理のない範囲で利用できる施設を選びましょう。

Section Image
19

ショートステイ(短期入所生活介護)の費用を安く抑えるコツ

ショートステイ(短期入所生活介護)の費用を抑えるには、基本料金以外の「保険適用外費用(食費・居住費・オプション)」をどう減らすかがポイントです。  


多床室利用や減免制度の活用、不要サービスの省略、日用品持参などを組み合わせることで、経済的な負担を大きく減らせます。ここでは、ショートステイ(短期入所生活介護)の費用を安く抑えるコツについて詳しく解説します

多床室を選ぶ:個室より費用が安い

ショートステイ(短期入所生活介護)の居室には「多床室(相部屋)」と「個室」があります。多床室は個室に比べて滞在費(居住費)が安く設定されており、同じサービス内容でも総額を抑えることが可能です。  

例えば要介護3の場合、基本料金は同じでも居住費が多床室の方が低いため、トータルで負担が軽くなります。

食費・滞在費が安い施設を選ぶ

介護サービス費は全国一律の単位で決められていますが、食費や居住費は施設ごとに設定されています。  

都市部や新しい施設、設備や食事内容にこだわる施設も費用が高額になる傾向があります。複数施設の料金表を比較し、必要なサービスを見極めることでコストを抑えられるでしょう。

不要なオプションサービスを省く

理容、美容やレクリエーション、特別なケアなどオプションサービスは保険適用外のため追加費用が発生します。  

必要なものだけを選び、不要なサービスは利用しないことで費用を削減できます。

日用品は持参する

歯ブラシやタオル、衣類、オムツなどを施設で購入すると割高になる場合があります。

可能な範囲で持参し、施設ごとの持ち込みルールを確認しましょう。 

所得による減免制度を活用する

「介護保険負担限度額認定証」や「特定入所者介護サービス費」などの制度を利用すると、所得に応じて食費・居住費が大幅に軽減される可能性があります。  

例えば多床室では、1日あたりの食費が300〜1,300円、居住費が0〜430円程度に下がるケースもあります。申請は市区町村窓口やケアマネジャーを通じて行うことができるので事前に確認しておきましょう。

その他の工夫

複数施設を比較・見学し、事前に見積もりを取ることが大切です。

利用前に自己負担額を把握することで予算オーバーを防ぎ、納得できる施設選びにつながります。 

Section Image
20

まとめ

ショートステイ(短期入所生活介護)は、在宅介護を続ける家庭の「介護負担軽減」や「高齢者の生活リズム維持」のために活用できる公的サービスです。必要なタイミングや日数・費用を理解した上で計画的に活用することで、家族と本人双方がより安心して暮らせる環境が整います。利用は最大30日までで、費用は介護度や部屋タイプによって異なります。

利用者の心身機能の維持と、家族の介護負担の軽減を両立できるため、在宅生活を支える重要な仕組みといえるでしょう。

利用を検討する際は、ケアマネジャーや施設に相談し、計画的に活用することをおすすめします。

ショートステイ(短期入所生活介護)に関するよくある質問

よくある質問

Q.ショートステイ(短期入所生活介護)はどういうときに使いますか?
A.

介護者が病気や用事、冠婚葬祭、介護疲れなどで自宅介護ができないときや、利用者本人の体調維持・リハビリなど、幅広い事情で利用できます。連続利用は原則として30日までで、これを超えて連続利用すると31日目以降は介護保険では全額自己負担となります


実際の利用は、1週間から2週間程度が多く、要介護3以上の方では特に14日前後で利用されるケースが多いといわれています。利用期間はケアマネジャーと相談し、本人や家族の状況に合わせて調整することが大切です。

Q.ショートステイ(短期入所生活介護)の1日あたりの利用料金はいくらですか?
A.

ショートステイ(短期入所生活介護)の料金は、要介護度・施設形態・居室タイプで異なります

併設型施設・多床室の1割負担の目安(2024年度改定の基本単位ベース)では、要介護1で約603円/日、要介護3で約737円/日、要介護5で約868円/日が一例です。

これに食費(1日1,500〜2,000円程度)や滞在費(1日1,000円前後)、各種加算・日用品等が加わります。実際の自己負担は地域区分(1〜7級地)や加算/減算、処遇改善等で増減するため、施設の見積書で総額をご確認ください。

※記載の金額は1割負担の目安です。所得により2割・3割負担となる場合があります。

Q.ショートステイ(短期入所生活介護)の入所条件はなんですか?
A.

ショートステイ(短期入所生活介護)を利用できるのは、介護保険の要介護認定を受けた方が中心です。要支援1・2の方は「介護予防短期入所生活介護」として利用可能です。

利用条件としては、利用者本人の体調悪化や病状への対応、家族の病気・冠婚葬祭・出張など一時的に介護が難しい場合、または家族の心身的な負担軽減などが挙げられます。

事前にケアマネジャーへ相談し、ケアプランに組み込んでもらうことが必要です。

Q.短期入所とショートステイ(短期入所生活介護)の違いは何ですか?
A.

「短期入所生活介護」と「ショートステイ」は同じサービスを指します。正式名称は「短期入所生活介護」ですが、一般的には「ショートステイ」という呼び方で広く使われています。

介護老人福祉施設や老人保健施設などに短期間宿泊し、入浴や食事、排泄など日常生活の介助や機能訓練を受けられるサービスです。

要介護者や要支援者が在宅生活を継続できるよう支援し、同時に介護者の負担を軽減する目的があります。

豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
監修者

海野 和看護師

この記事の監修者情報です

2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。

【保有資格】

日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み

前後の記事