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- ケアハウスの入居を検討している高齢者の方費用やサービス内容、入居条件を事前に把握したい方
- 家族の住まいや介護環境を考えているご家族の方老人ホームとの違いやメリット・デメリットを知り、最適な施設を選びたい方
- 高齢期の生活設計や介護予防に関心がある方ケアハウスの種類や1日の流れを理解し、将来の住まい選びに役立てたい方
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ケアハウスとは?
ケアハウスは、60歳以上の高齢者が、食事や家事支援といった日常サポートを受けつつ、比較的手頃な費用で継続的に暮らせるよう設計された入居型施設です。
原則60歳以上で、独居や家族からの援助が難しい方が対象となり、食事提供や生活支援、緊急時対応などを受けられます。
介護が必要になった場合は外部の介護保険サービスや、特定施設の指定を受けたケアハウス内で介護サービスを利用できます。
費用は比較的安価で、月額7万〜15万円程度が目安とされ、有料老人ホームより経済的負担を抑えやすい点も特徴です。
出典:ケアハウスとは|公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
出典:軽費老人ホーム 高齢・介護|独立行政法人福祉医療機構「WAM NET」
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ケアハウスの種類
ここでは、ケアハウスの「一般(自立)型」と「介護型」の2種類について解説します。
自立生活を支援するか、介護サービスまで提供するかで特徴が異なり、費用や利用条件も変わってきます。自身や家族の状態に合うタイプを選ぶことが大切です。
種類 | 対象者 | サービス内容 | 費用の目安 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
一般(自立)型 | 60歳以上で自立に不安がある方 | 食事提供・生活支援・緊急時対応、介護は外部サービス契約 | 月7万~15万円程度 | 比較的低額で自立生活を支援 |
介護型 | 65歳以上で要介護1以上 | 施設内で介護保険サービス(入浴・排泄・食事介助・機能訓練など) | 月10万~20万円程度 | 認知症対応や看取りまで対応する施設もある、長期居住に適する |
一般(自立)型ケアハウス
一般型ケアハウスは、60歳以上で自炊や生活に不安を抱える方を対象にしています。食事の提供や掃除・洗濯などの生活支援、緊急時の対応が受けられ、原則は自立した生活を基本とします。
介護が必要となった場合は、訪問介護や通所介護などの外部サービスを個別に契約して利用できる仕組みです。費用は比較的安く抑えられ、独居や高齢夫婦世帯の暮らしを支えます。
介護型ケアハウス
介護型ケアハウスは、65歳以上で要介護1以上の認定を受けた方が対象です。
特定施設入居者生活介護の指定を受けており、2024年4月の介護報酬改定により基本報酬が引き上げられました。入浴・排泄・食事介助や機能訓練、療養上の支援を施設内で受けることができます。
認知症対応や看取りを行う施設もあり、介護度が進んでも住み続けられる点が主な特徴です。費用は一般型より高めですが、介護サービス込みで長期的な居住に適しています。
出典:福岡市 介護保険のサービス
出典:介護保険制度における要介護認定の仕組み|厚生労働省
出典:要介護認定はどのように行われるか|厚生労働省
出典:令和6年度介護報酬改定について
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ケアハウスの入居条件
ここでは、ケアハウスに入居できる対象や申込みの基本条件を解説します。
年齢や生活状況、家族の援助の有無などが主な判断基準となり、施設によって細かな条件が異なる場合があります。事前に確認しておくことが重要です。
出典:養護⽼⼈ホーム・軽費⽼⼈ホームについて|厚生労働省
主な入居条件(年齢と介護度)
ケアハウスへ入居するためには、年齢や生活の状況、介護度といったいくつかの条件があります。基本的には60歳以上で自立生活に不安を抱える方が対象ですが、施設の種類によって要件は変わります。代表的な条件を整理すると以下の通りです。
- 年齢要件:原則60歳以上(夫婦の場合はどちらか一方が60歳以上で可)
- 生活状況:自宅での生活に不安があり、自炊や日常生活に困難を抱えている
- 家族援助:身寄りがない、または家族による十分な支援を受けられない
- 介護度:一般型は自立または要支援程度、介護型は65歳以上で要介護1以上
上記のとおり、ケアハウスの入居条件は「年齢」「生活状況」「家族の援助の有無」などが基準となっています。
一般型か介護型かによって対象が分かれるため、実際に申し込む際は施設の要件を事前に確認しておくことが大切です。
条件項目 | 一般(自立)型 | 介護型 |
---|---|---|
年齢 | 原則60歳以上 | 65歳以上 |
介護度 | 自立・要支援 | 要介護1以上 |
家族援助 | 受けられない人が対象 | 同左 |
特記事項 | 自立生活に不安がある方 | 施設内で介護サービス提供 |
自立度や生活状況
一般型ケアハウスは「自炊や生活に不安はあるが、ある程度は身の回りのことができる」方が対象です。
掃除・洗濯が完全に自立してできる必要はなく、食事提供や生活支援を受けながら生活できる状態が前提です。
経済的条件
入居一時金や月額費用を安定して支払えることは条件のひとつです。契約内容により費用滞納が続くと退去対象になる場合があります。
ただし「即時契約解除」とは限らず、自治体や施設によって猶予措置や相談対応が行われることもあります。無理のない支払い計画を立てて利用を検討しましょう。
身元保証人の有無
多くの施設では入居時に「身元引受人(保証人)」を求められます。役割は緊急時の連絡先や費用滞納時の保証などです。
ただし近年は保証人が確保できない高齢者も多く、保証会社や成年後見制度で代替できる場合もあるため、施設ごとの対応を事前に確認することが推奨されます。
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ケアハウスの費用
ここでは、ケアハウスの入居一時金や月額費用について解説します。ケアハウスは有料老人ホームに比べて費用が安いといわれますが、入居するタイプ(一般型・介護型)や利用する介護サービスによって負担額は大きく変わります。目安を把握して無理のない資金計画を立てましょう。
入居一時金の相場
ケアハウスに入居する際は、初期費用として「入居一時金」が必要になる場合があります。金額は施設の種類や立地条件によって差があり、一般型と介護型で水準が異なります。
近年は初期費用を抑えた施設も増えており、選択肢が広がっています。
- 一般型:0円〜数十万円
- 介護型:0円〜数百万円
※施設によっては一時金不要のケースもあり
なお、入居一時金は退去時に一部返還される場合もありますが、償却の仕組みは施設ごとに異なります。契約内容を必ず確認し、長期的に見て無理のない資金計画を立てることが重要です。
月額費用の内訳(居住費・食費・介護費用)
入居後に毎月かかるのが「月額費用」です。生活支援や住居費、食事など基本的なサービスが含まれており、介護型ではさらに介護サービス費用も加わります。
地域や施設の規模によって金額に幅がある点も特徴です。
- 一般型:7万〜15万円程度
- 介護型:10万〜20万円程度
※居住費、食費、水道光熱費などを含み、外部介護サービス利用時は別途自己負担
月額費用は有料老人ホームに比べて抑えられているものの、介護度が上がれば追加費用が発生します。入居前に「基本料金に何が含まれるか」を確認しておくことが大切です。
介護保険サービスの自己負担
介護や支援が必要になった場合は、介護保険サービスを利用できます。その際にかかる「自己負担額」は、所得や介護度によって1〜3割に設定されており、利用するサービスの種類によっても金額が変わります。
- 自己負担割合:要介護・要支援認定を受けている場合、所得に応じて1〜3割を負担
- 利用サービス別の費用:訪問介護やデイサービス、リハビリなど利用内容や回数で変動
- 支出全体の管理:施設利用料と合わせて見積もることで、毎月の支出を正確に把握可能
介護サービス費用は利用状況によって増減するため、事前に「どのサービスが必要になりそうか」をシミュレーションしておきましょう。
ケアハウスと有料老人ホームの費用比較
高齢者施設を検討する際に、多くの方が気になるのが毎月の費用です。
ケアハウスは軽費老人ホームとして位置づけられており、有料老人ホームに比べて利用料が抑えられています。ここでは両者の違いをわかりやすく比較します。
施設種類 | 入居一時金 | 月額費用の目安 | 特徴 |
---|---|---|---|
一般型ケアハウス | 0〜数十万円 | 7万〜15万円 | 生活支援中心、介護は外部サービス契約 |
介護型ケアハウス | 0〜数百万円 | 10万〜20万円 | 施設内で介護サービス提供、長期入居可 |
有料老人ホーム | 0〜数百万円以上 | 20万〜30万円以上 | 生活支援+介護サービス+多様な付加価値サービス |
費用面ではケアハウスの方が一般的に安く、基本的な生活支援を受けながら負担を抑えて暮らせる点が魅力です。
一方、有料老人ホームはサービスや設備の自由度が高く、手厚い介護やレクリエーションを重視する方に適しています。利用者や家族の希望に合わせて比較検討することが重要です。
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ケアハウスはなぜ安い?ほかの施設より安い理由
ここでは、ケアハウスの利用料金が有料老人ホームに比べて安いといわれる理由を解説します。
軽費老人ホームC型に分類されるケアハウスは、制度面やサービス内容の特徴により、比較的低額で生活支援を受けられる仕組みになっています。
公的制度に基づいた「軽費老人ホーム」だから
ケアハウスは、老人福祉法に基づき整備された軽費老人ホームの一種で、社会福祉法人や自治体などが運営主体です。
国の制度に基づいて運営されているため、民間の有料老人ホームに比べて初期費用や月額費用が抑えられています。
サービス内容が生活支援中心だから
一般型ケアハウスでは、食事提供や掃除・洗濯といった生活支援が中心です。介護が必要になった場合は外部事業者と個別契約する仕組みのため、施設利用料自体を低く設定できます。
居室や設備に一定の基準があるから
ケアハウスの居室は原則としてすべて個室で、法律(老人福祉法に基づく基準)により最低面積が定められています。
- 単身利用者:21.6㎡(約13畳)以上
- 夫婦利用者:31.9㎡(約19畳)以上
この広さには居室内のトイレや洗面設備が含まれることが多く、ベッドや収納スペースを確保しても十分に生活できる設計になっています。
出典:老人福祉法に基づく基準
都市型軽費老人ホーム
都市部では土地や建設コストの事情から、居室面積を7.43㎡以上(約4.5畳)に緩和した「都市型軽費老人ホーム」も存在します。
都市型は定員20名以下の小規模施設が多く、最低限のスペースながらも個室でプライバシーを守れる点が特徴です。
このように、ケアハウスは居室面積などの基準を設けることで、過度に豪華な設備を排除しつつも、個室で落ち着いた暮らしを担保する仕組みになっています。その結果、無駄なコストを抑え、利用料金を低額に保つことが可能となっています。
出典:軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準 | e-Gov 法令検索
出典:都市型軽費老人ホーム - 高齢者|東京都福祉局
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ケアハウスで受けられるサービス
ここでは、ケアハウスで提供される主なサービスについて解説します。
食事や掃除・洗濯といった生活支援に加え、健康管理や生活相談も受けられ、介護型では介護サービスも提供されます。利用者の自立度に応じて支援内容が変わる点が特徴です。
食事の提供
ケアハウスでは、栄養バランスを考慮した食事が1日3食提供されます。高齢者に配慮したやわらかめの調理や減塩メニューなど、健康状態に合わせた工夫がされているのが特徴です。
自炊が難しくなった方にとっては大きな支援となり、毎日の生活リズムを整える役割も果たします。
掃除・洗濯など生活支援
一般型ケアハウスでは、掃除や洗濯といった日常生活の基本的な家事を職員がサポートします。
自立度が比較的高い方でも、加齢とともに負担となる家事を任せられるため、心身の負担軽減につながります。
生活支援が中心であることから、施設利用料が比較的抑えられている点もポイントです。
健康管理と生活相談
ケアハウスには生活相談員が配置されており、日常的な悩みや困りごとに対応してくれます。定期的な健康チェックや緊急時の対応体制も整っており、必要に応じて医療機関との連携も行われます。
特に独居高齢者にとって、気軽に相談できる窓口があることは重要なサポートとなります。
介護サービスの利用
一般型では介護が必要になった場合、訪問介護やデイサービスなどの外部介護サービスを個別契約で利用します。
介護型では「特定施設入居者生活介護」として、入浴・排泄・食事介助や機能訓練などを施設内で受けられます。介護度が進んでも住み続けられる施設もあり、継続的な生活が可能です。
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ケアハウスの1日の流れ
ここでは、ケアハウスで暮らす高齢者の一般的な1日の流れを紹介します。食事や入浴などの生活支援サービスを受けながら、入居者が落ち着いて過ごせるよう工夫されています。
時間帯 | 主な過ごし方 | サービス内容・特徴 |
---|---|---|
7:00〜8:00 | 起床・健康チェック | 職員による安否確認や体温・血圧測定など |
8:00〜9:00 | 朝食 | 食堂で栄養バランスのとれた食事を提供 |
9:00〜11:30 | 午前の活動 | 掃除・洗濯の生活支援、体操・趣味・レクリエーション |
12:00〜13:00 | 昼食 | 管理栄養士監修のメニュー、食後は休憩時間 |
13:30〜15:30 | 入浴・機能訓練 | 週数回の入浴サービス、介護型ではリハビリや機能訓練も実施 |
15:30〜17:00 | 自由時間 | 談話、趣味活動、散歩など個々のペースで過ごす |
17:30〜18:30 | 夕食 | 食堂で夕食、食後は談話やテレビ鑑賞など |
19:00〜21:00 | くつろぎの時間 | 読書、趣味、交流などリラックスして過ごす |
21:00〜22:00 | 就寝準備・消灯 | 職員が安否確認を行い、リラックスして休める環境を整える |
※施設ごとによってスケジュールは異なりますが、基本的な流れを知っておくと生活イメージがつかみやすくなります。
朝:起床・健康チェック・朝食
職員による声かけや安否確認から1日が始まります。必要に応じて体温や血圧を測定し、健康状態を確認します。
食堂で栄養バランスに配慮した朝食をとり、その後は自由時間を過ごします。
午前:掃除・洗濯・レクリエーション
午前中は掃除や洗濯といった日常生活支援が行われます。
体操や趣味活動、談話スペースでの交流などを通じて、生活リズムを整える時間となります。
昼:昼食・休憩
昼食は管理栄養士が監修した献立に基づき、食堂で提供されます。食後は居室で休憩したり、談話室で過ごしたりと、それぞれのペースで過ごせます。
午後:入浴・機能訓練・自由時間
入浴サービスは週数回のペースで実施され、介助が必要な場合は職員がサポートします。介護型ケアハウスでは機能訓練やリハビリを行う時間が設けられることもあります。
夕方〜夜:夕食・団らん・就寝準備
夕食後はテレビ鑑賞や談話を楽しみ、ゆったりとした時間を過ごします。
就寝前には職員が安否確認を行い、落ち着いて1日を終えられるようサポートしています。
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ケアハウスの人員・職員体制
ケアハウスでは、高齢者が適切に生活できるよう、老人福祉法や厚生労働省令に基づく人員配置基準に従って職員が配置されています。
生活相談員や介護職員、看護職員などが役割を分担し、入居者の健康状態や生活状況に応じたサポートを行う体制が整えられています。
生活相談員・ケアマネジャー(介護支援専門員)
入居者一人ひとりの生活を支えるため、生活相談員が配置され、日常生活に関する相談や困りごとに対応します。
また、要介護認定を受けた入居者にはケアマネジャー(介護支援専門員)が担当し、ケアプランの作成や介護サービス事業者との連携・調整を行います。
看護・介護スタッフの配置基準
介護職員は、要支援者10人に対して1人、要介護者3人に対して1人を配置することが基準として定められています。
看護職員は要介護者が30人までは1人、30人を超える場合は50人ごとに1人を追加配置する必要があります。さらに、機能訓練指導員や施設管理者も配置され、医療的な支援やリハビリ面でのサポートを行います。
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ケアハウスのメリット
ここでは、ケアハウスを利用することで得られる主なメリットを解説します。
費用面での負担軽減や生活支援の充実、プライバシーの確保、さらに介護度が高くなっても住み続けられる可能性など、利用者にとって主なメリットを紹介します。
費用が比較的抑えられる
ケアハウスは軽費老人ホームの一種であるため、有料老人ホームに比べて入居一時金や月額費用が低く設定されています。
月7万〜20万円程度が目安で、経済的に大きな負担をかけずに入居できるのが魅力です。
生活支援が充実している
食事の提供や掃除・洗濯といった家事支援が整っているため、一人暮らしに不安を感じる高齢者でもサポート体制が整った環境です。
日常生活の負担を軽減できることで、体力の温存や健康維持につながり、生活の安定をサポートします。
原則個室でプライバシーが確保される
ケアハウスの居室は原則個室と定められており、単身なら21.6㎡以上の広さが確保されています。自分の生活空間を持ちながら、共同生活による交流の機会も得られる点が主な特徴です。
介護型なら長期的に暮らせる
介護型ケアハウスは、要介護1以上の方を対象に、介護サービスを施設内で一貫して受けられます。
認知症や看取りに対応している施設もあり、介護度が上がっても住み続けられるケースが多いため、長期的な暮らしを見据えた選択肢となります。
家族の負担軽減につながる
ケアハウスでは、食事や掃除・洗濯といった生活支援に加え、介護型であれば介護サービスも施設内で受けられます。
これにより、在宅介護で家族が担っていた日常的なケアの多くを施設が担うため、家族の身体的・精神的負担を軽減できます。
特に離れて暮らす家族にとっては、緊急時の対応体制が整っていることが重要なポイントといえます。
地域とのつながりを維持できる
ケアハウスは多くが地域社会に開かれた施設運営を行っており、地域住民との交流やイベント参加の機会が設けられる場合もあります。
入居者同士の交流だけでなく、地域との関わりを持つことで孤立を防ぎ、生きがいのある生活を続けやすくなります。特に高齢期において社会参加の場があることは、心身の状態維持に寄与する可能性があります。
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ケアハウスのデメリット
ここでは、ケアハウスを検討する際に知っておくべき注意点を解説します。
入居条件の制限や施設ごとのサービス差、定員の限界、重度介護への対応範囲など、デメリットを理解してから他施設と比較検討することが重要です。
入居条件に制限がある
ケアハウスは、一般型では60歳以上、介護型では65歳以上で要介護1以上の方が対象となります。
年齢や介護度など条件を満たさない場合は入居できないため、入居を希望する際には事前確認が欠かせません。
施設によってサービスに差がある
介護や医療対応の範囲は施設ごとに異なります。特に医療機関との連携体制や認知症ケアの有無は差が大きいため、見学や相談を通じて具体的に確認することが重要です。
ケアハウスは費用が比較的抑えられるため人気が高く、地域によっては空きが出るまで長期間待つ必要があります。
複数の施設に同時に申し込んでおくことで、待機リスクを減らせます。
重度介護には対応できない場合がある
一般型ケアハウスでは介護サービスを外部事業者と契約して利用するため、介護度が上がると十分な対応が難しくなる場合があります。
その際には、特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームなど他の施設を検討せざるを得なくなります。
医療的ケアの制限がある
ケアハウスは医療施設ではないため、医療的な処置や高度な医療ケアには対応できない場合があります。軽度の健康管理や定期的な健康チェックは可能ですが、人工呼吸器の管理や点滴など医療行為を伴うサポートは原則として行えません。
そのため、持病や医療ニーズが高い方は、医療体制が整った介護老人保健施設や介護医療院など、別の選択肢を検討する必要があります。
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ケアハウスとほかの施設との違い
ここでは、ケアハウスと有料老人ホーム・特別養護老人ホーム(特養)・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の違いを解説します。
運営主体や入居条件、提供されるサービス、費用の目安などを比較することで、それぞれの特徴を理解し、自分や家族に合った選択肢を検討できるようになります。
ケアハウスと有料老人ホームの違い
有料老人ホームは、民間事業者が運営し、介護・食事・生活支援を幅広く提供する施設です。入居条件やサービスの自由度が高い反面、費用はケアハウスより高額になる傾向があります。
ケアハウスは軽費老人ホームに分類され、費用を抑えつつ基本的な生活支援を受けられる点が大きな違いです。
項目 | ケアハウス | 有料老人ホーム |
---|---|---|
運営主体 | 社会福祉法人・自治体・民間 | 主に民間事業者 |
入居条件 | 一般型:60歳以上/介護型:65歳・要介護1以上 | 制限は少ない(施設による) |
提供サービス | 食事・掃除・洗濯などの生活支援、介護型は介護サービス含む | 生活支援・介護・医療サポートなど幅広い |
費用目安 | 月7万〜20万円程度 | 月15万〜30万円以上が多い |
ケアハウスと特別養護老人ホーム(特養)の違い
特別養護老人ホーム(特養)は要介護3以上の高齢者が対象で、長期的な介護を受けられる公的施設です。
費用は比較的安いものの、入居待機が長い傾向があります。ケアハウスは要支援・要介護1から利用でき、比較的入居しやすいのが特徴です。
項目 | ケアハウス | 特別養護老人ホーム(特養) |
入居条件 | 一般型:60歳以上/介護型:65歳・要介護1以上 | 原則 要介護3以上 |
提供サービス | 生活支援中心、介護型は介護サービスも提供 | 介護サービス(生活全般) |
費用目安 | 月7万〜20万円程度 | 月6万〜15万円程度(所得に応じて変動) |
入居のしやすさ | 比較的入居しやすい | 待機者が多く入居困難な場合あり |
ケアハウスとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の違い
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は「住宅」として位置づけられ、安否確認や生活相談といった基本サービスを提供するのが特徴です。
介護サービスは外部事業者と契約して利用します。一方、ケアハウスは「福祉施設」として運営され、生活支援が基本にあり、介護型であれば施設内で介護サービスを受けられる点が大きな違いです。
項目 | ケアハウス | サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) |
---|---|---|
施設区分 | 福祉施設(軽費老人ホームC型) | 住宅 |
提供サービス | 食事・掃除・洗濯など生活支援、介護型は介護サービス含む | 安否確認・生活相談が中心、介護は外部契約 |
入居条件 | 一般型:60歳以上/介護型:65歳・要介護1以上 | 原則 60歳以上(自立〜軽度介護) |
費用目安 | 月7万〜20万円程度 | 月10万〜25万円程度(別途介護費用あり) |
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ケアハウスの入居手続きの方法
ケアハウスに入居するには、対象条件を満たしたうえで申込手続きを行い、面接や審査を経て契約に進みます。ここでは、一般的な流れと必要書類を紹介します。
手続きの流れ | 内容 | 必要書類・確認事項 |
---|---|---|
① 入居対象の確認 | 原則60歳以上(夫婦はどちらか一方が60歳以上)で、自宅での生活に困難を感じている方 保証人や費用負担能力も必要 | 年齢・生活状況の確認、保証人の有無 |
② 施設見学・申し込み | 希望する施設を見学後、利用申込書を提出 受付をもって手続きが開始 | 利用申込書 |
③ 面接・一次審査 | 順番がきたら本人・家族同席で面接を実施 健康状態や生活状況を確認 | 健康診断書、身元保証書 など |
④ 必要書類の提出 | 契約前に収入や世帯状況を証明する書類を提出 | 収入申告書、前年の収入証明、住民票 など |
⑤ 入居契約の締結 | 入居契約書や誓約書を交わし、正式に契約成立 | 契約書、誓約書、必要経費の領収書 など |
⑥ 入居開始 | 契約完了後、入居日を調整し生活がスタート | - |
1. 入居対象の確認
ケアハウスは原則60歳以上(夫婦の場合はどちらか一方が60歳以上)で、自宅での生活に困難を感じている方が対象です。
身の回りのことをある程度自分で行えること、利用料の支払いが可能であること、さらに身元引受人(保証人)がいることも条件に含まれます。
2. 施設見学と申し込み
希望する施設を見学したうえで、利用申込書を記入・提出します。
申込書の受付が済んだ時点で、正式な手続きが開始されます。申込内容に変更が生じた場合は、速やかに施設へ連絡することが求められます。
3. 面接・必要書類の提出
順番が回ってきたら施設から連絡があり、本人と家族を交えた面接が行われます。
面接時には健康診断書や保証人に関する書類などを提出し、生活状況や健康状態が確認されます。
4. 入居契約の締結
入居が認められた場合は、契約書や誓約書、収入証明書や住民票などを提出します。
その後、正式に契約が締結され、入居日を調整したうえで新しい生活が始まります。
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ケアハウスの数は緩やかに推移している
ここでは、ケアハウス(軽費老人ホームC型)の施設数や定員数が近年どう変化しているかを解説します。
高齢者向け住まいの需要が高まるなかで、ケアハウスの整備状況は「増えている」と言えるのかを、公的データをもとに整理しました。
ケアハウスは全国で約2,038施設
厚生労働省「令和4年度介護サービス施設・事業所調査」によると、2021年時点での全国のケアハウス施設数は2,038施設となっています。
大規模な増加は見られませんが、一定数の整備が続いており、都市部を中心にニーズは根強い状況です。
※全国の軽費老人ホーム全体は2,330施設(A型188施設、B型13施設、ケアハウス2,038施設、都市型91施設)令和4年度調査)。ケアハウス単体の数はこの内数です。
増加ペースは緩やか
ただし、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が急増しているのに比べ、ケアハウスの増加ペースは穏やかです。
近年は横ばい〜微増にとどまり、「急速に増えている」とは言い切れません。
形態の変化も背景にある
ケアハウスは一般型・介護型があり、特定施設入居者生活介護の指定を受ける施設も増えています。
施設数の変化だけでなく、機能転換やサービス内容の変化も「増えている」と認識される一因となっています。
出典:地域包括ケアシステムにおける高齢者向け住まいについて|厚生労働省
出典:特定施設入居者生活介護型のケアハウスの 経営に関する一考察
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ケアハウスを選ぶ際のポイント
ケアハウスは施設ごとに費用やサービス内容、環境が異なるため、入居前に比較検討することが欠かせません。ここでは、選ぶ際に注目すべき主なポイントを整理しました。
立地や施設環境をチェックする
ケアハウス選びでは、立地条件や施設環境を確認することが重要です。病院や診療所へのアクセスが良いかどうかは、通院や体調変化への対応を考えるうえで欠かせません。
また、家族が訪問しやすい立地かどうかも生活の継続性に影響します。さらに、居室の広さや日当たり、共用スペースの活用しやすさなども比較すべき要素です。
食堂や談話室が充実していれば、入居者同士の交流の場にもなります。バリアフリー設計やエレベーターの有無など、生活動線の快適さも含めて確認すると、自分に合った環境を選びやすくなります。
費用とサービス内容のバランスをチェックする
ケアハウスの費用は、入居一時金と月額費用が中心です。検討の際には、金額だけでなく、その費用に含まれるサービスの範囲を把握することが大切です。
食事や掃除・洗濯といった生活支援が基本に含まれますが、外部の介護サービスを利用する場合には別途費用がかかります。施設によっては光熱費や管理費が月額に含まれていない場合もあるため、料金表を確認する必要があります。
同じ予算でも、含まれるサービスやサポート体制に差があるため、複数の施設を比較することで適正なバランスを見極められます。追加費用の有無や発生条件を確認することも欠かせません。
長期的に住み続けられるかをチェックする
ケアハウスは、自立度の高い高齢者から利用できますが、将来的に介護度が上がった場合の対応も確認しておく必要があります。
介護型ケアハウスであれば、施設内で介護サービスを受けられるため、住み替えの負担を避けやすくなります。一方、一般型ケアハウスでは外部の介護サービスを利用する仕組みとなっており、介護度が重くなると対応が難しくなる場合もあります。
施設によっては認知症ケアや看取りへの対応体制を整えているところもあり、医療機関との連携がどの程度あるかも重要な判断材料です。
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ケアハウスの退去条件
ここでは、ケアハウスを退去しなければならない主な条件について解説します。
入居後に健康状態や生活状況が変化することもあるため、事前にどのようなケースで退去が必要になるのかを理解しておくことが重要です。なお、退去条件は施設によって大きく異なるため、契約時に必ず確認しておきましょう。
介護度が基準を超えた場合
一般型ケアハウスでは、外部サービスを利用して一定の介護に対応できます。
しかし、要介護度が高くなり日常生活に全面的な介助が必要となった場合、施設のサポート範囲を超えることがあります。
その際は退去を求められ、特別養護老人ホーム(特養)や介護付き有料老人ホームへの転居が必要となるケースがあるので事前に確認しておきましょう。
医療的ケアが必要になった場合
点滴や人工呼吸器の管理など、医療依存度が高い状態になるとケアハウスでは対応できない場合があります。
医療体制が整った病院や介護施設への移行が求められることもあるため、入居前にどの程度の医療対応が可能かを確認しておくことが大切です。
利用料が継続的に支払えない場合
入居費や月額費用の滞納が続いた場合、契約違反として退去につながる可能性があります。
無理のない計画を立てたうえで利用を検討しましょう。必要に応じて自治体の制度や相談窓口の活用を推奨します。
身元保証人の不在や契約違反
入居時に必要とされる身元保証人が不在となった場合や、施設規則を守らず他の入居者に迷惑をかける行為が繰り返された場合も、契約解除の対象となります。
施設によっては代替制度を設けている場合もあるため、詳細は事前に確認しておきましょう。
ケアハウスの退去に関する注意点
退去条件は老人福祉法に基づく運営基準を踏まえて定められていますが、具体的な内容は各施設の契約書や利用規則によって異なります。
そのため、入居前に契約書をよく確認し、不明点は必ず施設に確認しておくことが大切です。
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まとめ
ケアハウスは、費用を抑えながら高齢者が生活支援を受けられる住まいとして注目されています。一般型は60歳以上で自立生活に不安のある方、介護型は65歳以上かつ要介護1以上の方が対象で、食事や掃除などの日常支援に加え、介護サービスまで幅広く対応しています。
費用は月7万〜20万円程度が目安で、居室は原則個室のためプライバシーも保たれています。
一方で、入居条件や保証人の有無、重度の介護や医療的ケアの可否には制限があります。そのため、入居前に施設見学や契約内容の確認を行い、自分や家族のライフスタイルに適した施設を選ぶことが大切です。
よくある質問
Q.ケアハウスと有料老人ホームはどう違いますか?
ケアハウスは「軽費老人ホームC型」に分類され、比較的低料金で食事や生活支援を受けられるのが特徴です。有料老人ホームは民間事業者が運営し、介護・医療連携やレクリエーションなど幅広いサービスを提供する分、費用が高額になる傾向があります。
Q.ケアハウスの月額費用はどれくらいかかりますか?
ケアハウスの月額費用は 7万〜20万円程度が目安です。内訳には居住費・食費・水道光熱費などの生活費が含まれ、介護型ケアハウスではさらに介護サービス費用も加わるため、一般型より高めになります。
一般型(自立型)は7万〜15万円程度で、外部の介護サービスを利用した場合は別途自己負担が発生します。
一方、介護型は10万〜20万円程度で、入浴・排泄・機能訓練などの介護サービスが施設内で提供される仕組みです。
金額はあくまで目安であり、地域や施設によって差があります。入居前には見積もりを取り、費用に含まれるサービス内容を必ず確認しておくことが重要です。
Q.介護が必要になった場合、ケアハウスを退去しなければなりませんか?
介護型ケアハウスであれば、介護度が上がっても継続して生活できる施設が多くあります。
一般型では外部の介護サービスを利用して対応できますが、重度の介護が必要になった場合には特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなどへの住み替えが必要になるケースもあります。
Q.ケアハウスと老人ホームの違いは何ですか?
ケアハウスは「軽費老人ホームC型」に分類される施設で、入居者は月額おおむね5万〜10万円程度の費用で生活支援を受けられます。
これは特別養護老人ホーム(特養)や民間の有料老人ホームに比べて低額であり、国や自治体からの公的補助が適用されるため、経済的負担を抑えて利用できる仕組みです。
一方、有料老人ホームは民間運営ではサービスの自由度が高い反面、費用は高額です。
特別養護老人ホーム(特養)は要介護3以上が対象で費用は低めですが、入居待機者が長くなる傾向があります。
Q.ケアハウスに入る条件は?
一般型は60歳以上、介護型は65歳以上かつ要介護1以上が基本条件です。夫婦での入居も、どちらか一方が条件を満たせば可能な場合があります。
ただし、施設によって受け入れ条件や体制が異なるため、申込前に必ず確認しておくことが大切です。
Q.ケアハウスとはどういう施設ですか?
ケアハウスは高齢者が暮らしやすいように生活支援や介護サービスを提供する入居施設です。原則個室で、食事・掃除・洗濯などの支援を受けられ、介護型では入浴・排泄・機能訓練などの介護サービスにも対応しています。
費用は月7万〜20万円程度が目安で、公的制度に基づき低料金で生活できる住まいとして整備されています。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
