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- 未経験から介護事務や介護職にチャレンジしたい方
- 安定した福祉業界で長く働けるキャリアを築きたい方
- 資格取得やスキルアップを通じて自分らしい働き方を実現したい方
未経験から介護事務になるには?
業界未経験者が介護事務になるには、以下のステップを踏むと良いとされています。
- 仕事内容を理解する
- 資格取得または未経験可の求人へ応募
- 実務を通して経験を積む
まず、介護事務の仕事内容を正しく把握しておくことが大切です。仕事内容を理解しておくことで、入職後のミスマッチを防げるだけでなく、面接でスムーズに受け答えができ、採用されやすくなります。
主な業務は、介護報酬を請求する「レセプト業務」、利用者の情報を整理する「データ管理」、施設への問い合わせに対応する「電話応対」などです。
基本的には独学で学ぶ人が多いですが、効率的かつ体系的に学びたい場合は、無料の職業訓練を活用したり、「介護事務管理士」や「ケアクラーク」などの資格講座で基礎知識を身につけたりするのも良いでしょう。
介護事務は、「資格不要」「未経験可」の求人が多く、入社後の基礎研修やマナー研修制度が充実している傾向にあります。介護業界は人手不足のため、意欲を持って学ぶ姿勢があれば未経験からでも十分目指せるでしょう。
未経験者が介護事務になるのは難しい?
未経験から介護事務を目指すのは、決して難しいことではありません。介護事務は特別な資格がなくても始められる職場が多く、採用後に業務を学びながら働ける環境が整っています。
主な仕事内容は、介護報酬の請求に関わるレセプト業務やデータ管理、電話応対などが中心なので、パソコンの基本操作ができれば問題ありません。
また、人手不足の影響で未経験者を歓迎する事業所も多いため、事務職に興味があり、学ぶ意欲があれば十分目指せる職種です。
介護事務に必要な資格と難易度
厚生労働省が運営する職業情報提供サイトによると、介護事務として働く際に特別な学歴や資格は必須ではありません。
同資料では、実際に介護事務で働く人のうち44.9 %が「入職前の特別な訓練は不要」と回答しています。
入職後の研修を通じて仕事を覚えるケースがほとんどです。入社後は基礎研修やマナー研修を受け、レセプトコンピュータ(レセコン)の操作に慣れることで、半年ほどで業務をこなせるようになるでしょう。
介護事務関連の民間資格もありますが、取得は義務づけられておらず、パソコン操作や社会人マナーがあれば未経験でも十分に目指せる職種です。
次章からは、介護事務職の仕事内容や医療事務との違い、取得することで役立つ資格などについて解説するのでぜひチェックしてみてくださいね。

介護事務とは?
介護事務は、介護施設や事業所の運営を支える専門職です。介護報酬の請求業務をはじめ、事務管理や受付対応など、幅広い業務を担います。高齢化の進行に伴い、今後も需要の高まりが見込まれています。
ここでは、介護事務の概要やおもな仕事内容、必要性について詳しく解説します。
介護事務の概要
介護事務は、介護サービス施設で介護報酬の請求や受付・電話対応、書類管理などを担当します。デスクワークが中心ですが、パソコン操作や利用者対応のスキルも求められます。
なかでも介護報酬請求業務(レセプト作成)は、介護サービスを提供した分の報酬を国や自治体に請求する重要な業務であり、ミスがあると施設の経営に大きな影響を及ぼすため、正確さと丁寧な確認作業が求められる仕事です。
このほかにも、利用者や家族への請求書・領収書の発行、電話や来客対応、各種書類の作成・管理など、日々多岐にわたる業務を担っています。
【介護事務のおもな業務内容】
- 介護報酬請求業務(レセプト作成・提出)
- 利用者や家族への請求書・領収書発行
- 電話応対や受付業務
- 書類作成・管理、契約書の管理
- 職員の勤怠管理や給与計算
- 備品や消耗品の発注・在庫管理
- ケアマネジャーや介護職員の事務サポート
介護事務は事務所の「顔」として、施設の運営を円滑に進めるための中心的な役割を担っています。
利用者や家族、職員とのコミュニケーションも多く、単なるデスクワークにとどまらず、人と接する機会が多いのも特徴です。
介護事務の役割と必要性
介護事務は、施設の運営や経営を支える縁の下の力持ちです。介護報酬請求を正確かつ迅速に行うことは、施設の安定した運営や経営につながるため、非常に責任のある仕事だと言えるでしょう。
介護施設や事業所の主な収入源は介護報酬であり、介護事務が正確に請求業務を行うことで施設は安定した経営を維持できます。
もし請求にミスや遅延が発生すると、報酬の支払いが遅れたり、最悪の場合は収入が減少するリスクがあります。そのため、介護事務は「経営の要」と言っても過言ではありません。
また、介護事務は利用者や家族、職員、外部機関との調整役としても重要な役割を担います。例えば、利用者や家族からの問い合わせに丁寧に対応したり、行政や保険者とのやり取りを行うなど、コミュニケーション能力や調整力も求められます。
- 介護報酬請求を通じて施設の経営を支える
- 利用者や家族、職員、行政との調整役
- 事務処理の正確さと迅速さが信頼につながる
- 現場の運営を裏方から支える重要な役割
このようにデスクワークや利用者対応の業務が中心の介護事務は、施設全体を支える大切な役割を担っています。
介護事務と医療事務の違い
介護事務と医療事務はどちらも「報酬請求業務」を担いますが、対象となる保険制度・請求先・仕事内容・求められる知識が異なります。
介護事務は介護保険制度に基づき、介護報酬の請求を市町村や保険者に対して行います。利用者や家族と直接やり取りする機会が多く、生活支援や福祉の視点も求められる点が特徴です。
一方、医療事務は医療保険制度に基づき、診療報酬(医療レセプト)の請求を健康保険組合や国民健康保険などに行います。受付対応や会計業務をはじめ、医療現場特有の専門用語や診療内容に関する知識が必要です。
項目 | 介護事務 | 医療事務 |
---|---|---|
対象制度 | 介護保険制度 | 医療保険制度 |
請求内容 | 介護報酬請求(介護レセプト) | 診療報酬請求(医療レセプト) |
請求先 | 市町村・保険者 | 健康保険組合・国民健康保険など |
業務内容 | 請求業務、書類管理、受付・電話対応、利用者・家族対応 | 請求業務、受付対応、会計業務、カルテ管理 |
必要な知識 | 介護保険制度、福祉サービスの知識 | 医療保険制度、診療内容・医療用語 |
特徴 | 利用者・家族との直接対応が多く、福祉的視点が必要 | 医療現場の専門知識や迅速な対応力が必要 |
資格 | 必須ではないが民間資格あり(介護事務管理士など) | 必須ではないが民間資格あり(医療事務技能審査試験など) |
出典:医療事務 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
出典:介護事務 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
出典:医療保険 |厚生労働省
出典:平成30年度診療報酬改定について
このように介護事務と医療事務は、似ているようで制度や業務内容が大きく異なり、働く環境や求められるスキルも異なります。どちらを目指すかによって、必要な知識や資格を計画的に学んでおくことが大切です。

介護事務を目指す際に取得すると役立つ資格
繰り返しになりますが、介護事務は資格が必須の職種ではありません。実際、多くの介護施設や事業所で「未経験・無資格可」の求人があり、採用後の研修やOJTを通じて業務を覚えながら働けます。
ただし、資格を取得しておくことで、以下のようなメリットもあるため、取得を検討する人も少なくありません。
- 介護保険制度やレセプト請求の流れを理解しやすくなる
- 就職時のアピール材料になり、未経験者の中で差別化できる
- 給与・待遇面で優遇される場合がある
そのため「資格がないと働けない」というわけではありませんが、就職や転職を有利に進める手段の一つとして資格取得を活用するのもおすすめです。
ここでは、介護事務資格の種類や取得方法、それぞれの特徴や違い、合格率や難易度について詳しく解説します。
介護事務資格の種類と取得方法
介護事務には下記の通り複数の民間資格があり、代表的なものとして「介護事務管理士」「介護保険事務管理士」「ケアクラーク」などがあります。どの資格も受験資格に特別な制限はなく、未経験者や社会人でも挑戦しやすいのが特徴です。
- 介護事務管理士
- 介護保険事務管理士
- ケアクラーク
- 介護報酬請求事務技能検定
- 介護事務実務士
- 介護事務士
- 介事管理専門秘書検定
資格の取得方法は、通信講座や専門学校、独学など多様です。通信講座は自分のペースで学べ、添削指導や模擬試験などサポートも充実しています。
専門学校は実践的なカリキュラムや就職サポートが強みです。独学の場合は、市販のテキストや過去問題集を活用して学習します。
介護事務管理士と介護保険事務管理士の違い
「介護事務管理士」は、日本医療教育財団が主催する民間資格で、介護報酬請求や実務全般に対応できる知識を証明します。試験は毎月第4土曜日翌日の日曜日に実施され、受験資格は特に問われません。
試験は学科と実技があり、介護給付費明細書の作成や点検など実務的な内容が特徴です。
一方で、「介護保険事務管理士」は、一般財団法人日本病院管理教育協会が認定する資格です。取得には指定カリキュラムの受講が必須で、主に医療・介護施設での介護報酬給付請求業務に必要な知識を証明します。認定校で学ぶ必要があるため、学生や通学可能な方に向いています。
両者の違いは、取得方法や主催団体、学習内容の幅にあります。介護事務管理士は独学や通信講座でも取得しやすく、介護保険事務管理士はカリキュラム受講が必須でより専門的です。
介護事務管理士の合格率・難易度
介護事務管理士の資格試験を運営している技能認定振興協会によると、2024年10月〜2025年3月の合格率は73.7%〜87.3%です。試験合格者には「介護事務管理士®」の称号が付与されます。
ケアクラークとは
ケアクラークは、介護事務に関する知識と技能を証明する民間資格です。一般財団法人日本医療教育財団が実施する「ケアクラーク技能認定試験」に合格することで取得でき、合格者には「ケアクラーク®」の称号が付与されます。
この資格は、介護報酬請求事務や日常的な事務処理、窓口業務など、介護施設や事業所における事務職として必要な知識とスキルを持っていることを証明するものです。
試験は学科と実技の2部構成で、学科では介護保険制度や社会福祉制度、介護事務の基礎知識などが問われ、実技では介護給付費明細書の作成など実務能力が評価されます。受験資格に制限はなく、誰でも受験可能です。
試験は年に複数回実施されており、インターネット試験(IBT方式)や在宅試験にも対応しています。
ケアクラーク資格は、介護事務職の技能の向上やキャリアアップ、そして介護事務職の社会的地位の向上を目的としており、全国の介護施設や事業所で活躍する人材の証明として広く活用されています。
出典:ケアクラーク技
出典:能認定試験(ケアクラーク)|資格試験/技能認定|日本医療教育財団
出典:介護事務管理士®技能認定試験 | JSMA 技能認定振興協会
介護事務の資格試験に向けた勉強方法
資格によって異なりますが、試験内容は学科と実技に分かれており、学科は介護保険制度や介護報酬請求の基礎知識、実技はレセプト作成や請求書類の作成が中心です。
- 過去問題集や模擬試験を繰り返し解く
- 通信講座の添削指導や模擬試験を活用
- 公式テキストや市販の参考書で基礎から学ぶ
- 試験範囲を計画的に学習し、苦手分野を重点的に対策
ケアクラークの場合は実技試験もあるため、実践的な練習も重要です。介護事務管理士は学科・実技ともに70%以上の得点が必要で、特に実技では介護給付費明細書の作成力が問われます。
介護事務の具体的な仕事内容
介護事務の仕事は多岐にわたり、正確さとスピード、コミュニケーション力が求められます。デスクワークだけでなく、窓口対応や職員のサポートなど、現場の運営を支える幅広い役割を担っています。
ここでは、介護事務の仕事内容についてより詳しく解説するので、業務に関する理解を深めたい方はぜひチェックしてみてください。
実務における主な業務内容
介護事務の主な業務は、介護報酬請求(レセプト作成・提出)です。これは、介護サービスを提供した分の報酬を国民健康保険団体連合会(国保連)に請求する重要な業務で、施設の経営を支える基盤となります。
- 介護報酬請求業務(レセプト作成・提出)
- 利用者や家族への請求書・領収書発行
- 電話応対や受付業務
- 書類管理、契約書の作成・管理
- 備品発注・在庫管理
- 職員の勤怠管理や給与計算
- ケアマネジャーや介護職員の事務サポート
また、来客対応や見学受付、会計、郵便物の仕分け・発送、データ入力や経費精算、スタッフのシフト管理や新規雇用者の労働条件通知書作成なども担当します。
施設によっては、労務や経理、一般事務の業務範囲も広く、事業所の規模や人員体制によって担当範囲が異なります。
レセプト請求業務について
介護報酬請求(レセプト業務)は、介護事務の中でも最も重要な業務の一つです。介護サービスを提供した内容を「介護給付費明細書(レセプト)」としてまとめ、国保連へ毎月提出します。
この業務は、利用者ごとに異なるサービス内容や負担割合を正確に反映させる必要があり、ミスがあれば返戻や再請求が発生します。返戻が多いと施設の収入が遅れ、経営に大きな影響を及ぼすため、正確さと丁寧な確認作業が不可欠です。
- 利用者ごとに負担割合やサービス内容を確認し、請求額を算出
- 提出書類やデータに不備があれば返戻・再請求となる
- 介護報酬は施設の主な収入源なので、経営の安定に直結
このため、介護事務には介護保険制度や請求業務の知識、細かな事務処理能力が求められます。
介護事務になるために必要なスキルと知識
介護事務になるために必須の資格やスキルはないものの、業務を円滑に遂行するうえで専門的な知識と実務スキル、そしてコミュニケーション能力が求められます。
- 介護保険制度や請求業務の知識
- パソコン・介護ソフトの操作スキル
- 正確性と注意力
- コミュニケーション能力
- タスク管理や自己管理能力
介護保険制度や介護給付費明細書の作成知識は、日々の業務の正確さに直結します。パソコンや専用ソフトの操作も必須で、データ入力や書類作成の効率化に役立ちます。また、利用者や家族、職員とのやり取りが多いため、丁寧な対応や調整力も重要です。
さらに、複数の業務を並行して進めるためのタスク管理能力や、締め切りを守る自己管理能力も必要です。業務の効率化や改善提案能力も、現場で重宝されるスキルとなります。
未経験から介護事務になる方法
介護事務は未経験からでも目指せる職種です。資格や経験がなくても応募できる求人が多く、パソコンスキルや学ぶ意欲があれば十分に活躍できます。自分に合った学習方法や働き方を選ぶことが、長く続けるコツです。
ここでは、未経験から介護事務への転職を成功させる方法や、通信講座と専門学校の必要性、独学での学習法と教材の選び方について解説します。
未経験から介護事務への転職方法
未経験でも介護事務に転職することは十分可能です。国家資格などの必須条件はなく、事務職や経理、総務の経験があれば有利ですが、未経験者歓迎の求人も多くあります。
- 資格がなくても応募可能な求人が多い
- パソコンスキルや一般事務経験があると有利
- 派遣やパートから始めて経験を積むのもおすすめ
- 施設によっては研修やOJTが充実している場合もある
- 小規模施設では研修が少ないこともあるため、自分で学ぶ姿勢が大切
また、介護事務の仕事は介護報酬請求業務だけでなく、電話応対や職員サポート、場合によっては現場の補助業務も含まれることがあるため、事前に業務内容をよく確認しておくことが重要です。
求人選びの際は、待遇や福利厚生、残業の有無、研修制度の有無、職場の雰囲気などもチェックしましょう。
転職エージェントを活用すれば、未経験からでも自分に合った介護事務の求人を効率的に探せるだけでなく、履歴書添削や面接対策、条件交渉のサポートも受けられるため、安心して転職活動を進めることができます。
通信講座と専門学校の違い
介護事務の知識やスキルを学ぶ方法には、独学のほか、通信講座と専門学校があります。どちらも資格取得を目指せますが、学び方やサポート体制、費用や通学の有無などが異なります。
自分のライフスタイルや目標に合わせ、どちらの方法が合っているかを比較して選ぶことが大切です。
通信講座
通信講座は、自宅で自分のペースで学べるのが魅力。費用も比較的安価で、働きながらでも資格取得を目指せます。添削指導や模擬試験、質問サポートなども充実しています。
専門学校
専門学校は、実践的な指導やグループワーク、就職サポートが強みです。現場実習や講師による直接指導が受けられるため、より実務的なスキルが身につきます。
どちらも資格取得を目指すコースがあり、カリキュラムやサポート体制、費用、通学の有無など、自分のライフスタイルや目標に合わせて選ぶことが大切です。
独学での学習法と教材の選び方
独学でも介護事務の資格取得や実務習得は可能です。公式テキストや過去問題集、模擬試験を活用し、計画的に学習することが成功のポイントです。
- 公式テキストや市販の参考書を活用する
- 過去問題集や模擬試験で出題傾向を把握する
- インターネットや通信教育の無料コンテンツも活用
- 学習計画を立てて、苦手分野を重点的に対策する
- 現場で役立つ知識や実践的なスキルも意識して学ぶ
独学の場合は、自己管理能力や継続力が求められますが、費用を抑えつつ自分のペースで学べるメリットがあります。資格取得後も、実務を通じて知識を深めていくことが大切です。

介護事務職の現状と将来性
高齢化社会が進む中で、介護事務の需要は年々高まっています。介護施設や事業所の増加により、介護事務の仕事は今後も安定して求められるでしょう。
ここでは、介護事務の市場でのニーズについて詳しく説明します。「将来性のある仕事に就きたい」「AIに仕事が取られるのでは?」といった不安を抱えている方もぜひチェックしてみてください。
市場における介護事務の需要
日本は超高齢社会を迎えており、今後も高齢者人口は増加傾向にあります。それに伴い、介護施設やサービス事業所の数も増え続けています。介護保険制度のもと、介護報酬請求業務を担う介護事務の求人は安定して多く、転職や再就職を目指す方にも人気の職種となっています。
実際に、介護事務の有効求人倍率は他の事務職(一般事務)と比べても高い水準を維持しており、今後も安定した需要が見込めるでしょう。
出典:一般事務 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
出典:職業紹介-都道府県別有効求人倍率
出典:一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)について | 厚生労働省
出典:介護事務 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
介護事務職の平均年収・給料
介護事務職の平均年収は、職業情報提供サイトのjob tagによると全国平均で約481万円、平均年齢は43.5歳、月平均労働時間は154時間と報告されています。
時給換算では一般労働者で約2,461円、短時間労働者で約1,502円となっており、他の事務職と比較しても高水準を維持しています。
ハローワーク求人統計でも求人月額は約19.7万円、有効求人倍率は1.92倍と高く、安定した需要があるのも特徴です。
高齢化が進む中、介護事務職は今後もニーズが続くと予想され、転職・再就職を検討する方にも魅力的な選択肢といえるでしょう。
介護事務の働き方・職場環境とキャリアパス
介護事務は、正社員・パート・派遣など多様な働き方が選べます。事務職としての経験を積んだ後、管理職や事務長、施設運営に関わるポジションへキャリアアップする道もあります。
また、介護現場のサポート業務や、福祉用具専門相談員、生活相談員など他の福祉職への転身も可能です。
施設によっては、資格取得支援制度や研修制度が整っているところも多く、スキルアップを目指す方には良い環境が整っています。
介護事務になることによるメリット・デメリット
介護事務は、専門知識を活かしながら施設運営に貢献できるやりがいのある仕事ですが、同時に制度や業務の変化に対応する難しさも伴います。ここでは、介護事務のやりがいや魅力、直面しやすい課題ついて詳しく解説します。
介護事務のやりがいとは?
介護事務の大きなやりがいは、施設運営を支える重要な役割を担えることにあります。
介護報酬請求業務をはじめとした事務作業は、施設の経営やサービスの質に直結しており、自分の仕事が現場全体を支えている実感を得やすいです。
また、利用者やそのご家族、職員と日常的に関わる中で信頼関係が築かれ、感謝の言葉をもらえることも多く、社会的な貢献を感じられる点も魅力です。
さらに、介護保険や請求業務の専門知識を身につけることで、キャリア形成や再就職にも強みとなり、長く安定して働ける環境が整っています。
体力的な負担が比較的少なく、日勤中心で生活リズムを保ちやすい点も、他の介護職と比べて大きなメリットといえるでしょう。
介護事務のきつい・つらいと感じる部分
介護事務は、責任が大きい分、きつい・つらいと感じることもあるでしょう。
特に介護報酬請求業務は、ミスが許されない責任の重い仕事です。請求内容に誤りがあると、返戻や再請求が発生し、施設の収入や信頼に直接影響します。
また、介護保険制度は定期的に改正されるため、常に最新の知識を学び続ける必要があり、自己研鑽が欠かせません。月末や月初の締め切り前には業務が集中し、残業やプレッシャーを感じることもあります。
さらに、利用者や家族、職員からの問い合わせやクレーム対応も日常的に発生し、柔軟な対応力やコミュニケーション能力が求められます。小規模な施設では、事務業務と現場サポートを兼任するケースも多く、業務量が増えて負担を感じることも少なくありません。
40代の未経験者が介護事務に転職することは可能?
介護事務は、40代からの転職や再就職にも適した職種だといえます。
これまでの社会人経験やコミュニケーション力は大きな強みとなり、未経験からでもチャレンジしやすい環境が整っています。
実際に、年齢や前職に関係なく、やる気や学ぶ姿勢を評価する職場が多く見られます。資格や実務経験を積むことで、長く安定して働けるだけでなく、管理職や他の福祉系職種へのキャリアアップも目指せるでしょう。
体力的な負担が少ないため、長期的なキャリア形成を考える方や、家庭と両立したい方にもおすすめできる仕事です。

介護事務の求人情報と就職先
介護事務の求人は年々増加傾向にあり、働き方や職場環境も多様化しています。高齢化社会の進展により、介護サービスを提供する施設の数は着実に増え、介護事務の役割も拡大しています。
介護事務の求人トレンド
介護事務の求人は、正社員だけでなくパートやアルバイト、派遣など多様な雇用形態で募集されています。特に未経験者や無資格者でも応募可能な求人が多く、資格取得支援や研修制度を設けている施設も増えています。
ICTや介護ロボットの導入が進む中、パソコンやシステム操作に関するスキルを重視する求人も目立ちます。また、家庭と両立しやすい時短勤務や柔軟なシフト制を導入する施設も増加しており、ライフスタイルに合わせた働き方が選びやすいのも特徴です。
就職先の種類と特徴
介護事務の就職先は幅広く、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、デイサービス・デイケア、訪問介護事業所、グループホーム、福祉用具貸与事業所など多岐にわたります。
また、働く場所によって仕事内容や求められる役割が少しずつ異なります。以下の表で主な就職先とその特徴を確認しておきましょう。
就職先 | 特徴 |
---|---|
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム | 大規模な施設が多く、事務職員が複数在籍しチームで業務を行う |
デイサービス、デイケア | 比較的小規模で、利用者や家族と近い距離で関わる機会が多い |
訪問介護事業所 | 利用者宅でサービスを提供する現場スタッフとの連携が求められる |
グループホーム | 少人数の利用者が共同生活を送る場で、現場との連携が多い |
福祉用具貸与事業所 | 福祉用具のレンタル・販売を行う事業所で、ケアマネジャーとの調整も多い |
応募時の注意点とアピールポイント
応募の際は、パソコンスキルや事務経験をしっかりアピールしましょう。介護事務は書類作成やデータ入力が多いため、基本的なパソコン操作能力が必須です。
また、資格取得や学習意欲、コミュニケーション力、チームワークを大切にする姿勢も評価されます。未経験の場合でも、前職で培った事務処理能力や対人スキルを自己PRに活かすと良いでしょう。

介護事務職のキャリアアップについて
介護事務の仕事で長く安定したキャリアを築くためには、日々のスキルアップが欠かせません。
ここでは、必要なスキルとその習得方法、実務で役立つ知識の継続学習、そして資格取得後のキャリアアップについて解説します。
必要なスキルの習得方法
介護事務に求められるスキルは多岐にわたります。まず、介護保険制度や請求業務の知識は必須です。制度の仕組みや介護報酬の計算方法を理解し、法改正にも対応できるよう継続的な学習が重要となります。
また、パソコンや介護ソフトの操作力も欠かせません。レセプト作成やデータ入力、書類作成にはWordやExcelなどの基本操作が求められます。パソコンスキルは独学やオンライン講座、実務経験を通じて磨くことができ、PC関連の資格取得もアピールポイントになります。
さらに、コミュニケーション能力も大切です。介護スタッフや利用者、その家族と円滑にやり取りする力が、現場の信頼や業務効率の向上につながります。
実務で役立つ知識の学習方法
介護事務の現場では、制度改正や新しいソフトの導入など、常に最新情報への対応が求められます。日々の業務を通じて知識をアップデートし、専門誌や業界ニュース、研修会などで情報収集を続けることが大切です。
また、介護事務管理士やケアクラークなどの資格取得を目指すことで、体系的に知識を整理し直すこともできます。実務経験を積みながら、分からない点は積極的に調べたり、先輩や上司に質問する姿勢もスキル向上につながります。
資格取得後のキャリアアップ
資格取得後は、さらなるキャリアアップの道も広がります。管理職や事務長など責任あるポジションを目指すことも可能ですし、他の福祉系資格(例:ケアマネジャーや福祉用具専門相談員など)への挑戦も選択肢となります。
また、医療事務や経理など関連分野への転職や、介護現場でのマルチな活躍も視野に入れることができます。自分の強みや興味に合わせて、キャリアパスを柔軟に描いていくことが、長期的な成長と安定につながります。
【2025年】介護事務における今後の展望と最新トレンド
介護事務は、社会や制度の変化に合わせてその役割や業務内容が進化しています。2025年以降も、介護保険制度の改正やデジタル化、AI・ICTの導入など、さまざまな変化が現場に影響を与えています。
今後の介護事務の展望について、制度・業務・業界全体の観点から解説します。
介護保険制度の変化と影響
総務省の推計によると、2025年には団塊の世代が75歳以上となり、介護保険制度の見直しや改正が相次いでいます。直近では介護報酬改定や処遇改善加算の一本化、育児・介護休業法の改正などが施行され、事務業務にも大きな影響を与えています。
また、デジタル化の進展により、介護報酬請求や書類管理の効率化が進み、今後はさらに専門性の高い事務スキルや柔軟な対応力が求められるようになります。
業務内容の進化と未来
AIやICTの導入によって、介護事務の業務も大きく変わりつつあります。レセプト作成やデータ入力などの定型業務は自動化が進み、事務職員はより専門的な判断や利用者対応、現場スタッフとの連携などに注力する時代が到来しています。
また、業務の効率化によって、職員一人ひとりの生産性向上が求められ、デジタルツールや新しいシステムへの適応力も重要なスキルとなっています。
介護職全体のトレンドと介護事務の位置
介護業界全体では、多職種連携や地域包括ケアシステムの強化が進められており、介護事務もその一翼を担う存在として期待されています。
介護人材不足が深刻化する中、事務職も現場の業務負担軽減やサービスの質向上に貢献する役割がますます重要になっています。
今後は、事務職が現場のハブとなり、地域や多職種と連携しながら、より柔軟で専門性の高い業務を担うことが求められるでしょう。
まとめ
介護事務は、介護現場を支える重要な専門職です。高齢化社会の進展により、今後も介護サービスの需要は増加し続けると予想されています。
2025年には団塊の世代が75歳以上となり、介護人材不足が深刻化する中で、介護事務の役割はますます重要になっています。
介護事務は、介護報酬請求や事務管理などを通じて施設の経営を支えるだけでなく、現場スタッフや利用者・家族との信頼関係づくりにも貢献しています。
資格取得やスキルアップを通じて、未経験からでも自分らしい働き方やキャリアパスを描くことができるのも大きな魅力です。
今後は、デジタル化や業務効率化の流れも加速していくため、柔軟な対応力や継続的な学びがより一層求められるでしょう。安定したキャリアを築きたい方にとって、介護事務は将来性の高い職種といえます。
よくある質問
Q.介護事務は未経験でも働けますか?
未経験でも働ける求人が多く、資格取得やパソコンスキルがあればさらに有利になります。
Q.介護事務の主な仕事は何ですか?
介護報酬請求業務(レセプト作成)、受付・電話対応、書類管理、勤怠管理など多岐にわたります。
Q.介護事務の仕事は将来性がありますか?
高齢化社会の進展により、今後も安定した需要が見込まれています。
Q.介護事務の資格にはどんな種類がありますか?
代表的な資格には「介護事務管理士」や「ケアクラーク」などがあります。いずれも民間資格であり、取得しておくと就職や転職で有利になる場合があります。
Q.どのような場所で働くことができますか?
特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、訪問介護事業所など、さまざまな介護関連施設で働くことができます。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
