介護

インテークとは?介護・福祉の現場での役割や活用方法!アセスメントとの違いも解説

visual img

インテークとは何か、介護や福祉現場での役割や目的、実践の流れをわかりやすく解説します。アセスメントとの違いや、現場でのマナーやポイント、実践例も紹介。利用者や家族との信頼関係構築に欠かせないインテークの重要性を詳しくまとめました。

この記事がおすすめな人

  • logostat
    インテークの意味や役割を初めて学ぶ人
    初めて介護や福祉の現場に関わる人でも、支援の流れや重要性を学ぶことができます。
  • logostat
    介護・福祉現場で利用者支援に関わる人
    インテークの知識を活かすことで、より的確な情報収集や信頼関係構築が可能になります。
  • logostat
    福祉住環境コーディネーターやケアマネジャーを目指す人
    インテークの理解は、ケアプラン作成や地域連携の基礎となるため、資格取得や実務でのスキル向上に役立ちます。
  • logostat
    利用者や家族の気持ちに寄り添った支援をしたい人
    単に手続きを進めるだけでなく、利用者や家族の不安や希望を受け止めた支援を提供したい方に向いています。
  • logostat
    家族の介護や福祉サービス利用を検討している本人や家族
    自宅介護や施設利用を検討する際に、インテークの流れや支援内容を理解しておくと、適切な相談やサービス選択がスムーズになります。事前知識として学んでおくと安心です。
Section Image
01

インテークとは?【定義と基本的な考え方】

厚生労働省によると、インテークとは「利用者の依頼等を受け、ケアマネジメントの対象となるかを確認し、生活機能におけるニーズや課題を整理しながら、生活の目標を相互に確認するプロセス」と定義されています。

一般的にインテークとは、利用者の依頼などに対して相談支援専門員が担当する内容(ケアマネジメントの対象者)かどうかを確認し、ケアマネジメントのプロセスをとおして生活機能における様々なニーズや課題・問題を整理し、生活の目標を明らかにしていくことを相互に確認することです。

引用:ケアマネジメントの基本|厚生労働省

Section Image
02

インテークの目的

インテークの目的は、利用者や家族の状況やニーズを的確に把握し、今後の支援やサービス提供の計画を立てるための重要な土台を築くことにあります。

これは、厚生労働省が示す「ケアマネジメントの基本」にも位置づけられている重要なプロセスです。

利用者・家族の基本情報の収集

厚生労働省の資料によれば、インテークでは氏名、年齢、家族構成、居住環境、生活歴といった基本的な情報を丁寧に確認することが求められています。

これにより、利用者の生活背景や支援が必要な状況を客観的に理解し、今後のケアプランの作成に役立てることができます。

主訴や要望の把握

同じく「ケアマネジメントの基本」では、主訴や要望の把握もインテークの重要な要素とされています。

利用者や家族が抱える困りごとや不安、介護サービスへの希望を聞き取り、表情や態度などの非言語的な情報にも配慮しながら、真のニーズを探る姿勢が求められます。


出典:ケアマネジメントの基本|厚生労働省

信頼関係の構築

インテーク面接は、信頼関係の構築にも大きな意義を持ちます。

厚生労働省の指針では、初回面接時に安心して話せる雰囲気をつくることが強調されており、共感的な傾聴や丁寧な対応を通じて、「この人になら相談できる」と感じてもらうことが、今後の支援の基盤になるとしています。


出典:ケアマネジメントの基本|厚生労働省

ケアマネジメントの適否判断

埼玉県社会福祉協議会が発行する『ケアマネジメントのプロセス』によれば、相談内容がケアマネジメントの対象となるかを判断することも、インテークの目的の一つです。

対象外の場合は、他機関との連携や適切な支援先への紹介を検討する必要があります。


出典:ケアマネジメントのプロセスPDF|埼玉県社会福祉協議会

今後の支援方針の検討

厚生労働省の資料では、インテークで得られた情報をもとに、今後の支援方針やサービスの方向性を整理することが推奨されています。

これにより、利用者にとって最適なケアプランや支援体制を構築していく準備が整います。


出典:ケアマネジメントの基本|厚生労働省

おすすめを紹介するさわやかな女性の笑顔
03

インテークの流れ【5つのステップでわかりやすく解説】

インテークは、介護や福祉サービスを利用する際の最初のステップであり、今後の支援方針を定めるための重要なプロセスです。


ここでは、初回面接から契約までの基本的な流れを5つのステップに分けて解説します。

1. アポイント・事前準備

インテークは、相談受付から始まります。電話・メール・来所など、さまざまな方法で連絡を受け付けた後、以下の対応を行います。

  • 相談受付
     相談者やご家族からの電話、メール、来所など、さまざまな方法で連絡を受けます。
  • 面談日時・場所の調整
     相談者の都合や体調、希望に応じて面談日時を設定します。自宅訪問、事業所面談、電話・オンライン面談など柔軟に対応します。
  • 事前準備
     相談者の基本情報やこれまでの経緯を確認し、必要な資料や契約書類、説明資料などを準備します。
  • 配慮事項の確認
     言語や文化、身体的な配慮が必要な場合は事前に把握し、必要な対応を検討します。

2. 初回面接の実施

厚生労働省「ケアマネジメントの基本」によれば、初回面接では以下の対応が重視されます。

  • あいさつ・自己紹介
     担当者の氏名や役割、所属を明確に伝え、安心感を持ってもらいます。
  • 面談の目的説明
     今回の面談の目的や流れ、所要時間の目安を説明し、相談者の不安を和らげます。
  • 傾聴と共感
     相談者やご家族の話をじっくり聞き、困りごと、不安、希望、生活状況などを丁寧に傾聴します。
  • プライバシー配慮
     個人情報の取り扱いや記録の必要性について説明し、同意を得てから記録を開始します。

出典:ケアマネジメントの基本|厚生労働省

3. 情報整理・記録

ケアマネジメントの基本埼玉県社会福祉協議会の資料によると、情報の整理と記録は以下の手順で行います。

  • 情報の整理
     聞き取った内容を、生活状況、健康状態、家族構成、支援歴、希望する支援内容などに分けて整理します。
  • 記録の作成
     相談内容や面談の経過、重要なポイントを記録します。
  • 同意の確認
     記録や情報共有の範囲について、相談者の同意を改めて確認します。

出典:ケアマネジメントのプロセスPDF|埼玉県社会福祉協議会

4. サービスや契約内容の説明

厚生労働省「介護支援専門員実務研修ガイドライン」では、契約前に以下の説明が必要とされています。

  • 介護サービスの概要説明
     利用可能なサービス内容や利用条件、費用負担などをわかりやすく説明します。
  • ケアマネジャーの役割説明
     ケアマネジャーがどのような支援を行うのか、今後の関わり方について説明します。
  • 契約事項の説明と確認
     契約書の内容を丁寧に説明し、不明点や不安がないかを確認します。
  • 同意・署名
     内容に納得いただいた上で、契約書など必要書類に署名・押印をいただきます。

出典:介護支援専門員実務研修ガイドライン|厚生労働省

5. 今後の支援方針と次のステップ

インテーク後は、次のステップを明確に伝えることが重要です。

  • 次回面談・アセスメントの予定調整
     次回の具体的な面談日程や、アセスメント(課題分析)の実施予定を確認します。
  • 今後の支援方針の説明
     今後どのような支援を行うか、スケジュールや流れをわかりやすく説明します。
  • 相談窓口の案内
     困ったときや急な変更があった場合の連絡先や、相談方法を案内します。
  • 安心感の提供
     「一人で悩まず、いつでもご相談ください」といった声かけで、安心感や信頼関係を築きます。
Section Image
04

インテークとアセスメントの違い

介護や福祉の現場では、利用者への支援を開始する前に「インテーク」と「アセスメント」という2つのプロセスが行われます。

どちらもケアマネジメントに欠かせない重要な工程ですが、それぞれ役割や目的が異なります。


ここでは、定義・実施タイミング・面談の深さ・目的・成果物という5つの視点から、両者の違いをわかりやすく解説します。

1. 定義と役割の違い H4:インテーク

インテーク

厚生労働省によると、インテークはケアマネジメントの最初の段階であり、利用者や家族から基本的な情報を収集して支援の必要性を判断するプロセスです。


主に「誰が」「どこで」「どんな状況か」を確認し、支援の入口としての役割を担います。

出典:ケアマネジメントの基本|厚生労働省

アセスメント
インテークで得られた情報を基に、利用者の抱える課題やニーズを詳細に分析するプロセスです。

「何が問題か」「どんな支援が必要か」を多角的に捉え、支援計画(ケアプラン)の土台を構築します。

2. 実施時期と頻度の違い

インテーク

初回相談時に必ず行われるもので、基本的には一度きりの対応です。ただし、状況に応じて再確認が必要な場合もあります。

出典:ケアマネジメントのプロセスPDF|埼玉県社会福祉協議会

アセスメント

インテークの後に行われ、ケアプラン作成時やサービス提供中にも継続的に実施されます。利用者の心身の変化に応じて見直される点が特徴です。

3. 面談内容の深さと範囲の違い

インテーク

面談では、個人情報や生活環境、健康状態などの概要を広く浅く把握します。相談者の話を受け止め、支援の大まかな方向性を探ります。

アセスメント

利用者の身体的・心理的・社会的課題を詳細に評価し、支援の優先順位を明確にします。必要に応じて医療・福祉の専門職と連携した評価も行われます。


4. 面談の目的とアプローチの違い

インテーク

面談では傾聴を重視し、利用者や家族が安心して話せるような信頼関係の構築を目指します。目的は支援の土台づくりであり、アプローチは柔軟かつ共感的です。

アセスメント

課題解決を視野に入れ、具体的な支援計画につながる情報を分析的かつ体系的に整理します。本人の強みや地域資源なども含めて多面的に評価します。

5. 成果物・活用

インテーク

面談記録や基本情報シートとして文書化され、支援の要否判断や初期対応の方針決定に使用されます。


アセスメント

詳細なアセスメントシートや報告書が作成され、ケアプランの基礎資料として、具体的なサービス調整や支援実施に活用されます。

まとめ:インテークとアセスメントは連続したプロセス

インテークとアセスメントは切り離されたものではなく、支援開始に向けた連続したプロセスです。

インテークで信頼関係と支援の方向性を築き、アセスメントで具体的な支援内容を明確にすることで、質の高いケアマネジメントが実現されます。

Section Image
05

インテークの意義とは?【介護・福祉支援における役割と重要性】

インテークは、ケアマネジメントのスタート地点として極めて重要なプロセスです。利用者や家族の不安を和らげ、信頼関係を築き、適切な支援方針を立てるための基礎となります。


ここでは、インテークが果たす4つの意義をわかりやすく解説します。

利用者・家族の不安を受け止め、安心感を与える役割

インテークは、初めて福祉や介護の相談をする利用者や家族が抱える不安や悩みを、共感的に受け止める貴重な機会です。

「相談しても大丈夫だろうか」「どこまで話してよいのか」と不安を抱えるケースも多く、ケアマネジャーや相談支援専門員には丁寧な対応が求められます。

  • あいさつや自己紹介を丁寧に行い、安心感を与える
  • 守秘義務を説明し、情報が漏れないことを明確に伝える
  • 話しやすい雰囲気を作ることで、「この人なら大丈夫」と感じてもらえる

ケアマネジメントの質を左右する重要な第一歩

インテークでは、利用者の生活状況・健康状態・家族構成・経済状況・居住環境など、今後の支援方針を決定するための基礎情報を収集します。

ここで得られた情報や信頼関係は、ケアプランの質に直結します。表面的な聞き取りだけでなく、表情や態度といった非言語的な情報も含めて多角的に把握することが求められます。

  • 的確な情報がなければ、支援方針は不正確になりやすい
  • 相互理解のないまま支援を始めると、ミスマッチが生じる可能性がある

信頼関係の構築は支援の円滑さ・効果に直結

インテークは、ケアマネジャーと利用者・家族が初めて顔を合わせる場です。

この段階で信頼関係を築くことができれば、利用者は本音を話しやすくなり、ニーズや課題を正確に把握することが可能です。

一方、信頼が築けないまま支援を始めてしまうと、必要な情報が得られず、結果として支援の質が低下するリスクも高まります。

  • 初回面談では「安心して相談できる人」と思ってもらうことが重要
  • 共感的な傾聴が信頼構築につながる

インテークの具体的な流れとポイント

インテーク面談を効果的に行うためには、以下のような流れと対応が重要です。

  • 丁寧なあいさつ・自己紹介:担当者の氏名や役割を明確に伝え、安心感を与える
  • 守秘義務の説明:個人情報が守られることを伝え、信頼を得る
  • 面談の流れの説明:所要時間や面談の目的を共有し、緊張を和らげる
  • 傾聴と聞き取り:利用者や家族の話を丁寧に聞き、不安や希望を把握する
  • 補足情報の確認と提案:状況に応じて支援方針やサービスの方向性を提示する


出典:ケアマネジメントの基本|厚生労働省

おすすめを紹介する妙齢の女性職員
06

インテークの現場でのポイント・マナー

インテークは、利用者や家族とケアマネジャーが初めて接する大切な機会です。

安心して話せる雰囲気づくりやプライバシーへの配慮、丁寧な説明など、初回対応の印象がその後の支援の質を大きく左右します。


ここでは、インテーク対応時に心がけるべき基本マナーと実践ポイントを6つの観点から解説します。

傾聴と共感:話しやすい雰囲気づくりが信頼の第一歩

話しやすい雰囲気作り

挨拶や自己紹介を丁寧に行い、リラックスできる環境を整えます。

表情や声のトーン、姿勢にも気を配り、利用者や家族が緊張せずに話せる雰囲気を作ることが大切です。

出典:ケアマネジメントの基本|厚生労働省

積極的な傾聴

相手の話を途中で遮らず、適度な相づちや質問を挟みながら「受け止めてもらえている」という安心感を与えます。

共感の姿勢
「心配ですね」「お気持ちを察します」など共感的な言葉をかけつつ、過度な感情移入は避け、客観性を保つことが重要です。

非言語的な観察
言葉だけでなく、表情やしぐさ、服装、生活環境などからも情報を読み取るよう心がけます。

プライバシー配慮:安心して話せる環境を整える

守秘義務の説明は必須
相談内容や個人情報が外部に漏れないことを明確に伝え、安心して話してもらえるよう配慮します。説明書類の提示も効果的です。

出典:ケアマネジメントの基本|厚生労働省

個人情報の管理は慎重に
メモを取る際は事前に了承を得て、書類やデータの管理には細心の注意を払いましょう。訪問時の書類の持ち出しや置き忘れにも注意し、必要な場合は電子化やロック付きケースを活用します。

面談場所の選定
プライバシーが保たれる場所で面談を行うようにし、他者に話が聞かれないよう配慮します。

説明責任:理解と納得を得る丁寧な対応

専門用語を避け、わかりやすく説明
専門用語はできるだけ避け、わかりやすい言葉で説明します。利用者や家族が理解しやすいよう、ゆっくりとしたペースで話しましょう。

出典:ケアマネジメントの基本|厚生労働省

流れと所要時間を事前に案内
インテークの流れや所要時間を事前に伝え、相談者が安心して話せるようにします。

出典:ケアマネジメントの基本|厚生労働省

納得と同意をその都度確認
重要な内容や契約事項は、その都度「ご不明な点はありませんか」と確認しながら進め、納得と同意を得ることを徹底します。

出典:介護支援専門実務研修ガイドライン|厚生労働省

信頼の構築:第一印象が今後の支援を左右する

誠実で丁寧な応対を心がける

言葉遣いや立ち居振る舞い、清潔感のある服装など、細部からにじみ出る誠実さが信頼につながります。

自己紹介と役割の明確化

「〇〇事業所のケアマネジャーです。今後は〇〇のような支援を行います」と、自身の役割と関わり方を明確に伝えることで、安心感を生みます。

(出典:厚生労働省『ケアマネジメントの基本』)

適切な距離感を保つ

利用者のペースに合わせ、必要以上に踏み込みすぎない対応を心がけることで、相手の緊張を和らげます。

一貫した誠意と配慮を忘れずに

電話・訪問・書類の渡し方など、どの場面でも一貫して丁寧に対応し、信頼の蓄積につなげましょう。

出典:ケアマネジメントの基本|厚生労働省

その他の実践ポイント

  • 事前準備の徹底
    質問事項や必要書類を事前にまとめておき、聞き漏れを防ぎます。
  • 時間管理
    話が長くなりすぎないよう、要所で時間を確認しながら進めます。
  • 緊急性の判断
    状況によっては、すぐに他の機関につなぐなど柔軟な対応も必要です。
介護職員初任者研修スクール選びのポイント
07

インテークの実践例【自宅・電話・施設面談の違いとポイント】

インテークは、利用者や家族の状況を正確に把握し、今後のケアマネジメントにつなげるための重要な初期プロセスです。

実施方法は一つではなく、相談者の状況や支援の必要度に応じて柔軟に選択できます。

ここでは、自宅訪問、電話、施設でのインテークそれぞれの実践的な特徴を解説し、共通する重要ポイントもご紹介します。

自宅訪問でのインテーク

自宅訪問によるインテークでは、利用者の生活環境を実際に目で見て確認できるため、支援の方向性を検討するうえで非常に有効です。

居室内の動線や段差、手すりの有無、日当たりなど、事故リスクや快適性に影響する要素を直接把握できるほか、住まいのインテリアや趣味の品、介護の実態などから利用者本人や家族の価値観、生活スタイルを感じ取ることもできます。

また、家族構成や関係性だけでなく、地域とのつながりや近隣住民との関係といった社会的背景にも触れやすく、支援の全体像を把握するうえで多くの情報が得られます。

訪問の際には、相談者が安心して話せるよう、清潔感のある服装や、状況に応じた衛生対策(マスクや消毒液など)にも気を配り、信頼感を高める工夫が求められます。


出典:介護支援専門員実務研修ガイドライン|厚生労働省

電話でのインテーク

電話によるインテークは、対面での面談が難しい場合や、まずは気軽に相談してみたいと考える利用者・家族にとって有効な選択肢です。

移動が困難な高齢者や、遠方に住む家族とも連絡を取りやすく、時間や場所にとらわれない柔軟な対応が可能です。

一方で、表情や生活環境が見えない分、相手の言葉から気持ちや状況を汲み取る注意深い傾聴が求められます。

丁寧に問いかけを重ねながら、安心感と信頼感を築くことが必要です。電話で得られた情報だけでは不十分な場合は、後日あらためて自宅訪問や事業所での面談に切り替えることで、さらに詳細な情報を得る対応も適切です。

施設でのインテーク

事業所や相談支援センターなどの施設で行うインテークは、落ち着いた環境で丁寧な対話がしやすい点が特徴です。

相談室や面談スペースを活用することでプライバシーが確保され、利用者や家族が安心して話せる空間を提供できます。

また、施設内で行う面談では、サービス案内や契約書、パンフレットなどの資料をその場で提示できるため、視覚的にもわかりやすい説明が可能となります。

必要に応じて、家族や関係機関の担当者が同席することもでき、情報の共有や支援方針のすり合わせがスムーズに行えるのも利点です。

補足:インテークに共通する大切なポイント

どのような形式でインテークを実施する場合でも、最も重要なのは利用者や家族の不安を和らげ、信頼関係を築くことです。

面談時には、守秘義務や個人情報の取り扱いについて丁寧に説明し、安心して話してもらえるような雰囲気づくりが欠かせません。

また、サービス内容や契約事項については専門用語を避け、わかりやすい言葉で誠実に説明することが求められます。

こうして得られた情報は、後続のアセスメントやケアプランの作成において基礎資料として重要な役割を果たします。

出典:ケアマネジメントの基本|厚生労働省

パソコンの横でコーヒーブレイクする様子
08

インテークにおける注意点・課題

インテークは、利用者や家族にとって初めての相談機会となることが多く、ケアマネジメント全体の質を左右する重要なプロセスです。

そのため、面談時にはいくつかの注意点や課題を意識して対応する必要があります。

利用者の緊張や不安を和らげる工夫

初対面の場では、利用者や家族が強い緊張や不安を抱きやすい傾向にあります。笑顔での挨拶や落ち着いた声のトーン、相槌や仕草で共感を示すことが、安心感につながります。

さらに雑談や世間話を挟むことで心を開きやすくなり、相談がスムーズに進みます。

また、自己紹介では名前や所属だけでなく、自分の役割や支援できる内容まで伝えることで、信頼関係を築くことができます。


出典:介護支援専門員実務研修ガイドライン|厚生労働省

情報の聞き取り漏れに注意

インテークでは、形式的な基本情報の確認だけでなく、本人や家族の気持ちや生活歴、困りごとや希望など、背景にあるストーリーを把握することが重要です。

聞き取った内容は整理し直し、「つまり〇〇ということでお困りなのですね」と言い換えて確認することで、認識のずれを防げます。

記録を取る際は事前に了承を得て、個人情報の管理や守秘義務にも十分配慮します。

ケアマネジメントの適否判断

インテークで寄せられる相談のすべてが、ケアマネジメントの範囲に含まれるとは限りません。

医療的な課題や福祉以外の相談では、他機関への紹介や連携が必要なケースもあります。

特に緊急性が高い相談では迅速な判断と対応が欠かせません。

また、支援方針を決める際には、利用者の自己決定を尊重し、複数の選択肢を提示しながら本人や家族が主体的に判断できるよう支援する姿勢が求められます。

その他の課題

インテークは必ずしも1回で完結するものではなく、利用者の状況によっては複数回に分けて面談を行う場合もあります。

その際は、時間管理を意識し、長時間になりすぎないよう配慮しながら進めることが大切です。

必要に応じて次回以降に追加の聞き取りを設定し、無理のない形で情報収集を行うことが求められます。

男性から説明を受ける老夫婦
09

介護・福祉現場におけるインテークの今後

ここでは、高齢化の進展や家族介護の負担増といった社会的背景を踏まえ、介護・福祉現場におけるインテークの役割が今後どのように変化し、発展していくのかを解説します。

ICT活用や多職種連携など、新たな展望にも触れていきます。

高齢化社会とインテークの重要性

日本では高齢者人口の増加に伴い、介護現場には認知症や多疾患併存、独居高齢者、老老介護といった複雑な課題が持ち込まれるようになっています。

こうした多様で個別性の高いニーズを的確に把握し、適切な支援につなげるために、インテークはますます重要な出発点となります。

介護現場における質の高い支援は、この初期段階での丁寧な聞き取りと整理から始まるといっても過言ではありません。

ICT・オンライン面談の活用

新型コロナウイルス感染症を契機に、オンライン面談やICTツールの活用が急速に広がりました。

オンライン会議システムを使った面談や電子記録システムの導入により、遠方に住む家族との情報共有や記録の効率化が進み、インテークの質とスピードが向上しています。

さらにAIやデータ分析を活用したアセスメント支援ツールも登場しており、ケアプランの根拠を明確化し、比較検討を容易にするなど、科学的介護へのシフトを後押ししています。

出典:地域包括ケアシステム報告書|厚生労働省

他職種連携の強化

介護現場では、医療、リハビリ、福祉、行政など多職種との連携が欠かせません。特にインテークの段階から関係機関との情報共有や協働を意識することが求められます。

医療的ケアが必要なケースや、福祉制度の枠を超える支援が必要なケースでは、速やかに専門職や関係機関につなげる体制づくりが不可欠です。

初期段階での適切な判断と連携が、その後の支援全体の質を左右します。

家族支援の拡充

介護を担う家族の高齢化や負担の増加も、今後の介護現場における大きな課題です。

インテークでは利用者本人だけでなく、介護を担う家族の意向や生活状況を丁寧に確認し、必要に応じて家族向けの相談窓口や支援サービスを紹介することが重要です。

また、心理的な負担に寄り添い、安心して介護を続けられる環境を整えることも、インテークの役割の一つとして拡大しています。

Section Image
10

インテークの今後の展望

これまでインテークは主に情報収集の場と位置づけられてきましたが、今後は利用者や家族の自己決定を支え、QOL(生活の質)の向上を目指すための重要なプロセスへと進化していくと考えられます。

ICTを活用した業務効率化が進む一方で、対面でしか築けない信頼関係や、利用者一人ひとりの価値観に配慮する人間的な側面もより重視されるでしょう。

さらに地域包括ケアや在宅医療の推進により、インテークは単なる相談窓口を超え、地域資源の活用や社会的孤立の防止にまで貢献する役割を担うことが期待されます。

生命の息吹を感じる明るい緑の葉っぱ
11

まとめ

インテークは、介護や福祉の現場で利用者と支援者が最初に出会う大切なプロセスです。


単なる情報収集の場ではなく、不安や課題を丁寧に聴き取り、信頼関係を築くことで、より良いケアマネジメントや支援のスタートラインとなります。


インテークの質がその後の支援の成否を左右するため、専門職としての知識や傾聴力、説明力、共感力が強く求められます。

今後も介護現場の最前線で、利用者や家族の安心と自立を支えるためのインテークの役割は、ますます重要になっていくでしょう。

ここでは、インテークに関するよくある質問に対して、Q&A形式で回答します。気になる項目があればぜひチェックして疑問や不安を解消しましょう。

よくある質問

Q.インテークは誰が担当するの?
A.

インテークは主にケアマネジャー(介護支援専門員)、生活相談員、相談支援専門員、社会福祉士などの専門職が担当します。

これらの職種は、利用者や家族の不安や困りごとを受け止め、初回面接を通じて信頼関係を築く役割を担います。

担当者は「インテーカー」とも呼ばれ、ケアマネジメントの最初の段階で利用者の基本情報や現状の課題を把握し、今後の支援方針の基礎を作ります。

Q.インテークはどこで行うの?
A.

インテークは、利用者や家族の状況に応じて柔軟に実施されます。

主な場所は利用者の自宅、事業所(事業所内の面談室など)、相談支援センター、または電話などです。自宅訪問では生活環境を直接確認でき、事業所やセンターでは資料を活用しながら説明ができます。

電話の場合は、対面が難しいケースや初回相談のハードルを下げたい場合に適しています。いずれの場合も、プライバシーや相談しやすい環境づくりが重視されます。

Q.インテークで聞き取るべき内容は?
A.

インテークでは、氏名・年齢・性別などの基本情報のほか、家族構成、居住環境、生活歴、現在の困りごとや悩み、希望や不安、健康状態、既往歴、利用しているサービスの有無などを丁寧に聞き取ります。

また、日常生活での困難や支援の希望、今後の生活に対する思いなども確認します。これらの情報は、今後の支援方針やケアプラン作成の基礎となるため、聞き漏らしのないようリストなどを活用して進めます。

Q.インテークの後はどうなる?
A.

インテークで収集した基本情報や相談内容をもとに、次の段階であるアセスメントに進みます。

アセスメントでは、より詳細な課題分析や利用者のニーズの把握、生活状況の評価などを繰り返し行い、解決すべき課題や必要な支援内容を明確にします。

その後、これらの情報をもとに具体的なケアプラン(支援計画)を作成し、関係機関との連携やサービス調整を進めていきます。インテークはあくまで初回面接であり、アセスメントを通じて継続的に情報を深めていく流れとなります。

Q.インテークを行う際に特に気をつけるべきポイントは?
A.

インテークでは、利用者や家族の状況やニーズを的確に判断し、緊急性の有無を見極めることが重要です。

また、初対面の場であるため、挨拶や自己紹介、雑談などで緊張を和らげ、安心して話せる雰囲気を作ることも大切です。

話に真摯に耳を傾け、誠実な対応を心がけることで、信頼関係の構築につながります。さらに、守秘義務の説明やプライバシーへの配慮、必要な情報の聞き取りを丁寧に行いながら、相談者の負担にならないよう配慮しましょう。

豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
監修者

海野 和看護師

この記事の監修者情報です

2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。

【保有資格】

日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み

前後の記事

最新コラム

カテゴリ一覧

タグ一覧