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介護福祉士になるには?介護福祉士の取得方法や仕事内容について解説!

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介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格であり、超高齢社会を迎えた日本において、今や社会インフラの一部とも言える存在です。1987年に制度が創設されて以来、介護福祉士は高齢者や障害者など、日常生活に支援が必要な方々の生活を支える専門職として、全国の介護現場で活躍しています。

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介護福祉士とは

介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格であり、超高齢社会を迎えた日本において、今や社会インフラの一部とも言える存在です。1987年に制度が創設されて以来、介護福祉士は高齢者や障害者など、日常生活に支援が必要な方々の生活を支える専門職として、全国の介護現場で活躍しています。

介護福祉士の仕事は単なる「お世話」ではありません。利用者一人ひとりの尊厳や自立を守るため、専門的な知識と技術を駆使して生活全般をサポートします。たとえば、認知症や身体障害を持つ方への個別ケア、家族への助言、他職種との連携、現場でのリーダーシップ発揮など、幅広い役割を担っています。

近年では、外国人介護人材の受け入れやICT・介護ロボットの導入など、介護現場の変革も進んでおり、介護福祉士にはより高い専門性と柔軟性が求められるようになっています。社会的な信頼性も高く、介護福祉士の資格を持つことで、就職・転職・キャリアアップの幅が大きく広がります。

介護福祉士の業務内容

介護福祉士の業務は多岐にわたり、働く場所や担当する利用者によっても内容が異なります。ここでは、代表的な業務内容を詳しく紹介します。

身体介護

身体介護は、利用者の身体に直接触れて行うケア全般を指します。

  • 食事介助:自力で食事が難しい方へのサポート。誤嚥防止栄養バランスにも配慮します。
  • 入浴介助:安全に入浴できるようサポートし、皮膚の状態体調も観察します。
  • 排泄介助:トイレ誘導やオムツ交換、排泄リズムの把握記録も重要です。
  • 移乗・移動介助:ベッドから車椅子への移乗歩行の見守り補助なども行います。

生活援助

生活援助は、利用者の生活全般を支える業務です。

  • 掃除・洗濯・調理・買い物など、日常生活を快適に過ごすためのサポートを行います。
  • 利用者の好みや生活習慣を尊重しつつ、衛生的安全な環境づくりに努めます。

相談・アドバイス

  • 利用者や家族からの相談に応じ、介護方法や福祉サービスの利用、生活上の悩みなどに専門的な立場から助言します。
  • 介護福祉士は、単なる作業者ではなく、利用者や家族にとって「頼れる相談役」としての役割も大きいです。

チームケア・マネジメント

  • 看護師、リハビリ職、ケアマネジャーなど他職種との連携を図り、利用者に最適なケアを提供します。
  • 新人や後輩職員への指導・教育、現場のリーダーとしてのマネジメントも担います。

専門分野への対応

  • 認知症ケア:症状の進行BPSD(行動・心理症状)への対応方法を学び、個別ケアを実践します。
  • 終末期ケア:利用者や家族の意向に寄り添い、最期までその人らしい生活を支えます。
  • 医療的ケア:喀痰吸引や経管栄養など、医師・看護師と連携しながら行う医療的サポートも増えています。

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介護福祉士になるには

介護福祉士になるためには、国家試験に合格することが必須です。しかし、その国家試験を受験するためには、まず受験資格を満たす必要があります。受験資格を得るルートは主に4つあり、それぞれ特徴や条件が異なります。ここでは、各ルートの詳細を解説します。

1.養成施設ルート

このルートは、介護福祉士養成施設(専門学校、短期大学、大学など)に入学し、所定のカリキュラムを修了することで国家試験の受験資格を得る方法です。

  • 学習内容
    介護の基礎から応用まで幅広く学びます。介護技術、福祉制度、心理学、医療的ケア、倫理など多岐にわたる科目を履修します。実習も必須で、実際の介護現場での経験を積みます。
  • 期間
    通常2年から4年(大学の場合)で、卒業時に国家試験の受験資格が与えられます。
  • メリット
    体系的に学べるため、未経験者でも安心して介護福祉士を目指せます。実習を通じて現場感覚も身につきます。

2.実務経験ルート

介護の実務経験を3年以上積み、かつ「介護福祉士実務者研修」を修了することで国家試験の受験資格を得る方法です。

  • 実務経験
    介護保険法に基づく介護サービスや障害福祉サービスの現場で、3年以上(1,095日以上)、かつ540日以上の勤務実績が必要です。
  • 実務者研修
    約450時間の研修で、介護技術や医療的ケアについて学びます。修了は国家試験を受ける年度の3月31日までに必要です。
  • メリット
    すでに介護職として働いている方が、働きながら資格取得を目指せる現実的なルートです。

3.福祉系高校ルート

福祉系の高校で所定の科目を修了し卒業することで、国家試験の受験資格を得られます。

  • 条件
    平成21年度以降入学者は卒業で受験資格取得。平成20年度以前入学者は卒業後1年以上の実務経験が必要な場合があります。
  • メリット
    若いうちから専門的な知識と技術を身につけられるため、早期に介護福祉士を目指せます。

4.経済連携協定(EAP)ルート

インドネシア、フィリピン、ベトナムなどのEPA協定国から来日した外国人介護福祉士候補者が、日本で研修や実務経験を積み、国家試験を受験するルートです。

  • 特徴
    日本語能力の習得や文化適応支援が行われています。
  • メリット
    外国人の方も日本で介護福祉士資格を取得し、活躍できる道が開かれています。
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試験の概要

  • 試験科目
    介護の基本から医療的ケア、福祉制度、認知症ケアなど幅広く出題されます。
  • 試験日
    毎年1月下旬に筆記試験が行われます。
  • 合格率
    近年は約70~80%で推移しています。

介護福祉士になるには、まず自分に合った受験資格ルートを選び、必要な学習や実務経験を積んで国家試験合格を目指すことが重要です。資格取得後は、介護現場で専門職として活躍できる道が開けます。

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介護福祉士の受験資格

介護福祉士国家試験の受験資格は、取得ルートによって細かく条件が異なります。ここでは、各ルートにおける受験資格について、さらに具体的な事例や注意点を含めて詳しく解説します。

1.養護施設ルートの受験資格

養成施設ルートでは、厚生労働大臣が指定する介護福祉士養成施設を卒業することが必須条件となります。しかし、養成施設には専門学校、短期大学、大学など様々な種類があり、それぞれ修業年限やカリキュラムが異なります。

  • 専門学校
    通常2年制で、介護技術や知識を集中的に学びます。短期間で資格取得を目指したい方に向いています。
  • 短期大学
    2年制または3年制があり、専門知識に加えて一般教養も学びます。専門学校よりもやや学術的な内容が含まれます。
  • 大学
    4年制で、福祉学や社会学など、より幅広い視点から介護を学びます。研究活動や国際交流の機会も多いです。

注意点

  • 養成施設を選ぶ際は、厚生労働大臣指定の施設であることを必ず確認しましょう。
  • 学費や奨学金制度、カリキュラム内容、就職支援体制なども比較検討することが大切です。

2.実務経験ルートの受験資格

実務経験ルートでは、3年以上の実務経験と実務者研修の修了が必須となります。

  • 実務経験
    介護保険法に基づく訪問介護や施設介護、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスなど、特定の事業所での勤務経験が対象となります。
  • 注意点
    アルバイトやパートの場合、勤務時間によっては実務経験として認められないことがあります。事前に確認が必要です。
  • 実務者研修
    450時間以上の研修で、介護に必要な知識や技術、医療的ケアなどを学びます。通信課程とスクーリング(対面授業)を組み合わせた形式が一般的です。
  • ポイント
    実務者研修では、喀痰吸引や経管栄養といった医療的ケアの基本も学ぶことができます。

3.福祉系高校ルートの受験資格

福祉系高校ルートでは、入学年度によって受験資格が異なります。

  • 平成20年度以前の入学者
    卒業時に介護技術講習を修了しているか、卒業後1年以上の実務経験が必要です。
  • 平成21年度以降の入学者
    介護福祉科を卒業すれば受験資格が得られます。
  • ポイント
    高校在学中に介護の基礎を学べるため、早期に介護福祉士を目指したい方にはおすすめです。

4.経済連携協定(ERA)ルートの受験資格

EPAルートでは、外国人介護福祉士候補者として来日し、所定の研修や実務経験を積むことが必要です。

  • 要件
    日本語能力試験N3以上、日本の文化や介護制度への理解、介護技術の習得などが求められます。
  • サポート体制
    日本語学習支援、生活オリエンテーション、介護技術指導など、様々なサポート体制が整っています。
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介護福祉士のメリット

介護福祉士の資格を取得することには、多くのメリットがあります。ここでは、資格取得によって得られる具体的な利点を詳しく解説します。

1.国家資格としての信頼性と社会評価

介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格であり、その専門性と信頼性は非常に高いものです。資格を持つことで、利用者やその家族、医療・福祉の他職種からも専門職として認められます。これは、仕事のやりがいや誇りにつながり、介護現場での自信にもなります。

2.就職・転職での有利さ

介護福祉士の資格は、就職や転職の際に大きな武器となります。多くの介護施設や事業所では、介護福祉士資格を持つ人材を優先的に採用し、資格手当や処遇改善加算による給与アップの対象としています。特に、施設介護や訪問介護では、資格があることで採用率が高まる傾向があります。

3.給与や待遇の向上

介護福祉士資格を持つことで、資格手当や処遇改善加算が支給されることが多く、無資格者や初任者研修修了者と比べて平均年収が高い傾向にあります。また、夜勤手当や役職手当と組み合わせることで、さらに収入が増えるケースもあります。安定した収入を得られることは、生活の安心につながります。


4.キャリアアップの道が広がる

介護福祉士の資格は、ケアマネジャー(介護支援専門員)や施設管理職、介護福祉士実務者研修の講師など、多様なキャリアパスの基盤となります。資格取得後も研修やスキルアップを続けることで、より責任のある役職や専門職に就くことが可能です。

5.一生涯有効な資格

介護福祉士の資格は、一度取得すれば更新不要で生涯有効です。これは、長期的に介護職として働きたい方や、ブランクがあっても再就職を考えている方にとって大きな安心材料となります。


6.社会貢献とやりがい

介護福祉士は、利用者の生活の質を向上させ、安心して暮らせる社会づくりに貢献できる職種です。利用者や家族から感謝の言葉を受けることも多く、仕事のやりがいを感じやすい職種です。

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介護福祉士のキャリアパス

介護福祉士の資格を取得した後は、多彩なキャリアパスが広がっています。ここでは代表的な進路や役職、専門分野への挑戦について詳しく解説します。

1.サービス提供責任者

訪問介護事業所などで、サービスの提供計画の作成やスタッフの指導・管理を担当します。介護福祉士の資格が必須で、現場経験を積んだ後に就くことが多い役職です。利用者のニーズに応じた質の高いサービス提供を支える重要な役割を担います。

 主な仕事内容

  • 訪問介護計画書の作成
    ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに、利用者一人ひとりの状態や希望に合わせて「訪問介護計画書」を作成します。アセスメント(利用者や家族との面談・状況把握)を通じて、必要なサービス内容や提供時間、手順を具体的に決めます。
  • サービス担当者会議への出席
    ケアマネジャーや他のサービス事業者とともに「サービス担当者会議」に参加し、利用者のケア内容やサービス方針について意見交換・情報共有を行います。必要に応じて計画書の見直しも行います。
  • ヘルパーの指導・管理
    ホームヘルパー(訪問介護員)のシフト作成や業務指示、技術指導、困りごとや相談対応など、スタッフのマネジメントを担当します。現場でのコミュニケーションや信頼関係づくりも重要です。
  • 利用者・家族との連絡調整
    サービス開始前や利用中に、利用者や家族からの要望・相談に対応し、必要な調整や説明を行います。契約内容や利用料金の説明、重要事項の説明も含まれます。
  • モニタリング・評価
    定期的に利用者宅を訪問し、サービスの実施状況や利用者の状態を確認・評価します。状況変化があれば、計画書やサービス内容を柔軟に見直します。
  • 事務・請求業務
    訪問介護計画書やサービス提供記録、実績管理、介護給付費の請求など、事務作業も多岐にわたります。介護保険制度や報酬体系の理解も不可欠です。
  • ヘルパー業務のフォロー
    急な欠員時や緊急対応時には自ら現場に入り、直接介護サービスを行うこともあります。

 求められるスキル・資質

  • マネジメント力・調整力:複数のスタッフや関係者との調整、シフト管理、問題解決能力
  • コミュニケーション力:利用者・家族・スタッフ・ケアマネジャーなど多方面との円滑なやり取り
  • 現場経験と専門知識:介護福祉士としての実務経験、介護保険制度や訪問介護の知識
  • 柔軟性と判断力:利用者の状態変化やトラブル発生時の迅速な対応力

 配置基準とキャリア

  • 利用者数に応じて常勤のサービス提供責任者の配置が義務付けられており、たとえば利用者40人以下で1人、80人以下で2人など明確な基準があります。
  • サービス提供責任者は現場経験を積んだ介護福祉士が多く就くポジションで、リーダーシップを発揮しながらチームをまとめ、サービスの質向上を支えます。

サービス提供責任者は、訪問介護サービスの「要」となる存在です。計画立案から現場管理、利用者・家族対応まで幅広い業務を担い、現場の信頼とサービスの質を支えています。


2.介護リーダー・主任

施設や事業所で、介護スタッフのまとめ役としてチームを牽引します。スタッフの育成や業務調整、現場の問題解決など、管理的な業務も増えます。リーダーシップやコミュニケーション能力が求められます。

介護リーダー・主任の主な役割

 職員のマネジメント・調整

  • 介護職員の勤務管理、シフト作成、人員配置の検討・調整など、現場の労働環境や業務体制を整えます。
  • 各職員のスキルや経験、適性を見極めて適材適所の配置を行い、効率的なチーム運営を目指します。

 教育・育成・指導

  • 新人職員や実習生への教育・指導、OJTの実施、日々の業務のフィードバックや研修の企画・実施を担当します。
  • 職員全体の介護技術やサービスの質向上を図るため、現場でのロールモデルとなり、知識や技術の伝達役を担います。

 現場の問題解決・リスク管理

  • 日々発生するトラブルやクレーム、事故対応、緊急時の連絡・判断など、現場の問題解決に中心的に関わります。
  • 事故防止やサービス改善のための対策を講じ、職員間のコミュニケーションを促進し、安心して働ける環境づくりに努めます。

 サービスの質の維持・向上

  • 利用者や家族の要望・状況を把握し、ケアの統一化・標準化を進めます。介護方針やサービス内容の見直しにも関与します。
  • 他職種(看護師、ケアマネジャー、リハビリ職など)や管理者との連携、会議・委員会への参加も重要な業務です。

  チームビルディングと職場環境の整備

  • チームの士気を高め、職員のメンタルケアや働きやすい環境づくりを推進します。
  • 職員一人ひとりの意見や悩みに耳を傾け、信頼関係を築く「傾聴力」や「俯瞰力」が求められます。

3.ケアマネージャー(介護支援専門員)

介護福祉士の資格を持ち、さらに介護支援専門員の資格を取得することで、ケアマネジャーとして活躍できます。ケアマネジャーは利用者の介護計画(ケアプラン)を作成し、サービス提供の調整や関係機関との連携を行います。介護福祉士の経験が活かせる重要な職種です。

 ケアマネジャーの主な役割

  • 介護計画(ケアプラン)の作成
    利用者や家族の希望・状況を丁寧にヒアリングし、最適な介護サービスを組み合わせてケアプランを作成します。
  • サービス調整・連携
    介護サービス事業者、医療機関、行政など多様な関係機関と連携し、利用者が必要な支援を受けられるよう調整します。
  • モニタリングと相談支援
    定期的な訪問や電話で利用者の状況を確認し、必要に応じてケアプランを見直します。家族や本人の相談にも応じます。

 ケアマネジャーになるまでの流れ

受験資格を満たす

  • 介護福祉士の場合

    介護福祉士などの指定国家資格を取得後、「資格に基づく業務」に通算5年以上(かつ900日以上)従事する必要があります。

  • 雇用形態(正社員・パート・非常勤)は問われませんが、育休や休職など実際に従事していない期間は除外されます。
  • 資格登録前の業務経験はカウントされません。

介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)を受験・合格

  • 試験は毎年1回(例年10月)都道府県ごとに実施されます。
  • 合格率は例年10~30%程度と難関です。

介護支援専門員実務研修を修了

  • 合格後、87時間以上の研修(講義+演習+実習)を全日程出席して修了します。
  • 研修内容はケアマネジメントの理論、ケアプラン作成演習、要介護認定の知識、関係機関との連携方法など実践的です。

介護支援専門員証の交付・登録

  • 研修修了後、各都道府県に申請し「介護支援専門員証」の交付を受けて初めてケアマネジャーとして働けます。

 活躍の場とやりがい

  • 居宅介護支援事業所や地域包括支援センター、介護施設などで活躍します。
  • 利用者・家族・医療福祉関係者の間に立ち、最善のケアをコーディネートするやりがいの大きい仕事です。
  • 介護福祉士としての現場経験やコミュニケーション力が強みとして活かされます。

ケアマネジャーは、介護福祉士の経験を土台に、より広い視野と専門性を持って利用者の生活全体を支える責任ある職種です。資格取得には計画的なキャリア形成と実務経験の積み重ねが不可欠ですが、その分、社会的意義ややりがいも非常に大きい仕事です。

4.施設管理者・管理職

施設長や管理者として、施設全体の運営やスタッフ管理、経営に関わる役割を担います。介護福祉士としての現場経験に加え、マネジメントスキルや経営知識が必要となります。管理職向けの研修や資格取得も推奨されます。

 施設長・管理者の主な役割

  • 施設全体の運営管理:事業計画の策定、予算管理、経理、行政対応、施設の安全衛生管理など多岐にわたります。
  • 人事・労務管理:スタッフの採用、教育、シフト管理、人事評価、労務トラブル対応など、職員のマネジメント全般。
  • サービス品質の維持向上:介護サービスの質のチェック、利用者・家族対応、苦情処理、事故防止策の徹底。
  • 地域・行政との連携:地域包括支援センターや医療機関、行政との調整・連携も重要な業務です。

 必要な資格・経験

【特別養護老人ホーム(特養)】

  • 社会福祉主事任用資格を持つ
  • 社会福祉事業に2年以上従事した経験がある
  • 社会福祉施設長資格認定講習会を修了している

    いずれかの要件を満たす必要があります。

【居宅介護支援事業所】

  • 原則として主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)の資格が必須(2027年4月以降必須)。

【グループホーム】

  • 認知症介護実践者研修の修了
  • 認知症対応型サービス事業管理者研修の修了
    これらの研修を受けていることが必要です。

【デイサービス(通所介護)】

  • 特別な資格要件はない場合も多いですが、生活相談員や介護福祉士、社会福祉士などの資格を持っていると有利です。

【介護老人保健施設・介護医療院】

  • 原則として医師資格が必要ですが、都道府県知事の承認を受ければ医師以外でも管理者になれる場合があります。


 求められるスキル・資質

  • マネジメント力:スタッフをまとめ、組織を円滑に動かすリーダーシップ
  • 経営感覚:収支管理や経営計画、効率的な運営
  • コミュニケーション力:利用者・家族・地域・行政・スタッフ間の調整や信頼構築
  • 法令遵守・リスク管理:介護保険法や労働法など関連法規の理解、事故・トラブルへの対応


  管理職向けの研修・資格

  • 社会福祉施設長資格認定講習会:全国社会福祉協議会中央福祉学院が実施、通信+集合研修で約1年、修了で施設長資格を得られます。
  • 認知症対応型サービス事業管理者研修:グループホームなど認知症対応型サービスの管理者向け。
  • 主任ケアマネジャー研修:居宅介護支援事業所の管理者に必須。

5.キャリアパスとのやりがい

介護福祉士として現場経験を積み、管理職へとキャリアアップすることで、施設全体の方針決定や人材育成、地域貢献に直接携われるやりがいがあります。経営者的な視点も身につき、より広い視野で介護業界に貢献できます。

 介護福祉士実務者研修の講師・教育者

介護福祉士の資格取得を目指す人たちに対して指導や教育を行う職種です。専門知識や指導力を活かし、次世代の介護人材育成に貢献します。

 講師になるための要件

介護福祉士実務者研修の講師には「専任教員」と「一般教員」があり、それぞれに必要な資格や経験があります。

  • 専任教員の主な要件
    • 介護福祉士として5年以上の実務経験があること
    • 大学などの教授、准教授、助教授または講師、福祉系高校や養成施設で3年以上の教歴がある、実務者研修で5年以上の教歴がある、いずれかの条件を満たすこと
    • 厚生労働省指定「実務者研修教員講習会」(50時間のカリキュラム)を修了していること
  • 一般教員の要件
    一般教員は、専任教員よりも要件が緩やかで、担当する科目によっては実務経験年数や研修修了が求められます。

 実務者研修教員講習会とは

実務者研修教員講習会は、介護福祉士実務者研修の教員を養成するための厚生労働省指定の講習です。

  • カリキュラムは3科目、合計50時間(通信+スクーリング)で構成され、指導法や教育理論、実践的な指導力を身につけます。
  • この講習会を修了することで、実務者研修の主任教員や「介護過程Ⅲ」の担当教員となる資格が得られます。

 主な仕事内容

  • 介護福祉士実務者研修の講義・演習の企画・運営
  • 受講生への知識・技術指導(介護過程、医療的ケア、生活支援技術など)
  • 実習の指導や評価、学習進捗の管理
  • 研修カリキュラムの開発や教材作成
  • 受講生の相談対応や学習支援

高度な指導力やとくに「介護過程Ⅲ」や「医療的ケア」など、国家試験合格に直結する重要な科目を担当する場合は、より高現場経験が求められます。

6.専門分野への進出

認知症ケア、リハビリテーション支援、医療的ケアなど、専門性の高い分野に特化して活躍する道もあります。専門資格や研修を受けることでスキルアップが可能です。

 認知症ケア

認知症ケアの専門性を高めるには、「認知症介護実践者研修」や「認知症ケア専門士」などの資格・研修を受講する方法があります。

  • 認知症介護実践者研修は、認知症の方の行動や心理症状(BPSD)への理解を深め、個別性を重視したケア方法を学びます。各都道府県や政令指定都市が実施しており、受講費用やカリキュラムは自治体ごとに異なります5
  • 認知症ケア専門士は、さらに高度な知識と実践力を証明する民間資格で、認知症ケアのリーダーや教育担当として活躍する道が開けます。

 リハビリテーション支援

リハビリテーション支援分野では、「介護予防運動指導員」などの資格があり、高齢者の身体機能維持や向上をサポートする専門家として活動できます。

  • 介護予防運動指導員は、筋力向上訓練や転倒予防プログラムの企画・実施、運動教室の講師など、介護予防を目的とした指導ができる資格です5
  • この分野の知識を深めることで、デイサービスや地域包括支援センターなどで、利用者の自立支援や健康寿命の延伸に貢献できます。

 医療的ケア

医療的ケアの分野では、「喀痰吸引等研修」や「医療介護福祉士」などの資格・研修があり、より医療的な支援が可能になります。

  • 喀痰吸引等研修は、たん吸引や経管栄養などのスキルを習得し、医療職が不在の際でも一定の医療的ケアを提供できるようになる研修です。未経験者でも受講可能で、修了後は現場で医療的ケアが実践できます。
  • 医療介護福祉士は、慢性期医療や応急処置の知識を学び、医療現場でのチーム医療の一員としても活躍できる民間資格です。

 その他の専門資格・研修

  • 認定介護福祉士は、介護福祉士の上位資格として、現場のリーダーや教育担当、他職種と連携する地域包括ケアの推進役を目指す人向けです。
  • 介護福祉士ファーストステップ研修では、技術・指導・チームマネジメントを学び、小規模施設のリーダーや初任者指導係として現場を牽引するスキルが身につきます。

 まとめ

このように、介護福祉士は自分の興味やキャリアプランに合わせて、認知症ケア、リハビリ、医療的ケアなどの専門分野に特化した資格や研修を受講し、スキルアップが可能です。専門性を高めることで、活躍の場が広がり、より質の高いケアの提供やキャリアアップ、昇給・昇格にもつながります。

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まとめ

介護福祉士は、超高齢社会の日本において今や不可欠な存在です。介護福祉士は、単なる介護作業者ではなく、利用者一人ひとりの尊厳や自立を守るために、専門的知識と技術を駆使して生活全般を支える「介護のプロフェッショナル」です。国家資格として社会的信頼性も高く、現場のリーダーや教育担当、他職種との連携役としても活躍しています。

資格取得の道は複数あり、養成施設で体系的に学ぶ方法、実務経験を積みながら資格を目指す方法、福祉系高校からの進学、EPAルートなど、自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせて選択できます。国家試験の合格率は約70%と比較的高く、しっかりと準備をすれば合格も十分に目指せます。

介護福祉士の資格を取得することで、就職・転職での有利さや給与・待遇の向上、キャリアアップの道が大きく広がります。ケアマネジャーやサービス提供責任者、施設管理者、教育者、専門分野への進出など、さまざまなキャリアパスが用意されており、自分の適性や目標に合わせて成長し続けることが可能です。

また、介護福祉士として現場で働く中で、利用者やご家族から感謝される瞬間や、社会貢献の実感を得られることも大きなやりがいとなります。ICTや介護ロボットの導入、外国人介護人材の増加など、介護現場は今後も進化し続けますが、どんな時代でも「人」に寄り添う力が求められる職種であることに変わりはありません。

介護福祉士に関する

よくある質問

Q.介護福祉士とヘルパーの違いは何ですか?
A.

介護福祉士は国家資格で、より専門的な知識と技術を持ち、現場のリーダー的役割を担います。ヘルパー(介護職員初任者研修修了者など)は基礎的な介護を担当し、国家資格ではありません。

Q.介護福祉士の資格は更新が必要ですか?
A.

いいえ。介護福祉士の資格は一度取得すると生涯有効で、更新は不要です。

Q.未経験でも介護福祉士を目指せますか?
A.

はい。実務経験ルートでは、介護職として3年以上働きながら「実務者研修」を修了し、国家試験を受験できます。未経験からスタートして資格取得を目指すことが可能です。

Q.男性でも介護福祉士になれますか?
A.

もちろんです。介護福祉士は男女問わず活躍できる職種で、男性介護福祉士も増加しています。

Q.夜勤は必須ですか?
A.

施設勤務の場合は夜勤があることが多いですが、日勤のみの職場もあります。勤務先の条件によりますので、希望に合わせて選ぶことが可能です。

Q.試験勉強は独学で大丈夫ですか?
A.

独学でも合格可能ですが、通信講座や対策講座を利用する人も多いです。過去問を繰り返し解くことが合格への近道です。

Q.介護福祉士の資格を持っているとどんな仕事ができますか?
A.

特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイサービス、訪問介護、障害者支援施設、病院など、多様な介護現場で活躍できます。リーダーやサービス提供責任者としての役割も期待されます。

豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
監修者

海野 和看護師

この記事の監修者情報です

2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。

【保有資格】

日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み

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