介護

要支援1とは?受けられるサービスとその回数、費用をわかりやすく解説【2025年最新版】

visual img

要支援1とは、介護保険制度における要支援・要介護認定の中で最も軽度な区分です。日常生活の多くは自立して行えるものの、一部に支援が必要な状態を指し、介護予防サービスを中心に利用できます。

本記事では、要支援1の認定基準や要支援2・要介護1との違い、利用できるサービスの種類と回数、自己負担額の目安をわかりやすく解説します。

要支援1の方が自分らしい暮らしを続けていくためにも、制度について理解を深めておきましょう。

この記事がおすすめな人

  • logostat
    要支援1の認定を受けた、または検討している方
    どんな支援が受けられるのか、サービス内容を知りたい方
  • logostat
    家族の介護予防に関心がある方
    できるだけ自立した生活を続けるために、適切な支援を検討したい方
  • logostat
    要支援と要介護の違いを知りたい方
    今後の介護保険の利用や申請の参考にしたい方
Section Image
01

要支援1とは?どんな状態?

要支援1とは、介護保険制度における要支援・要介護認定の中で最も軽度な区分です。日常生活の大部分は自立して行えるものの、買い物や掃除などの家事、立ち上がりや入浴といった一部の動作に支援が必要な状態を指します。

要支援1に認定されると、介護予防を目的とした「介護予防サービス」を利用できます。介護予防サービスの目的は、心身機能の低下を防ぎ、できる限り自立した生活を維持することです。

具体的には、訪問介護による生活援助、デイサービスでの運動プログラム、栄養指導などが含まれます。軽度の段階から支援を活用することで、要介護状態への進行を遅らせる効果が期待できます。

出典:介護保険制度における要介護認定の仕組み|厚生労働省
出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省
出典:要介護認定の仕組みと手順|厚生労働省

Section Image
02

要支援1に認定される基準

要支援1は、介護認定調査と主治医意見書をもとに行われる一次判定で算出された「要介護認定等基準時間」が25分以上32分未満の場合に該当します。この時間は、食事や排泄、入浴、移動など日常生活に必要な介助時間を全国一律の基準で推計したものです。

区分

基準時間

状態の特徴

要支援1

25分以上32分未満

基本的に自立しているが、家事や立ち上がりなどに部分的な支援が必要

出典:介護保険制度における要介護認定の仕組み|厚生労働省
出典:要介護認定はどのように行われるか|厚生労働省
出典:要介護認定の仕組みと手順|厚生労働省

ただし、最終的な認定は介護認定審査会において、一次判定の結果と主治医意見書などを総合的に踏まえて決定されます。

要支援1に認定される方は、生活の大半は自立しているものの、買い物や掃除などの家事、立ち上がりや歩行、軽度の排泄や入浴動作に支援が必要なケースが多いのが特徴です。

介護が全面的に必要なわけではありませんが、心身機能の低下が進行しやすいため、早期に介護予防サービスを利用して、できるだけ長く自立した生活を維持することが重視されます。

よく見られる生活動作の低下例

  • 買い物や掃除などの家事に時間がかかる
  • 立ち上がりや歩行が不安定になる
  • 軽度の排泄・入浴動作に支援が必要
Section Image
03

要支援1と自立状態の違い

要支援1と自立状態は一見似ていますが、介護保険制度上は明確に区別されます。自立状態の高齢者は日常生活をほぼ完全に自力で行うことができ、要介護認定調査で「非該当(自立)」と判定されるため、介護保険サービスの対象にはなりません

一方、要支援1は基本的に自立しているものの、買い物や掃除といった家事や、立ち上がり・入浴などの一部動作に支援が必要な状態です。要介護認定等基準時間では25分以上32分未満に該当します。

区分

基準

サービス利用

状態の特徴

自立状態

支援なしで日常生活可能

介護保険サービスの対象外

家事・入浴・移動などを自力で行える

要支援1

基準時間25分以上32分未満

介護予防サービス

一部に支援が必要、家事や軽度の動作で困難


要支援1に認定されると、介護予防を目的としたサービスを受けることができます。違いのポイントは「生活に支障が出ているかどうか」であり、要支援1は軽度ではあっても支援がなければ生活の質が低下する可能性がある状態といえます。

Section Image
04

要支援1と要介護1の違い

要支援1と要介護1は、介護の必要度に明確な差があります。要支援1は生活の大部分を自力で行えるものの、一部に支援が必要な状態で、介護予防サービスが中心です。

一方、要介護1は日常生活における介助の必要度が増し、特に入浴・排泄・移動などで定期的な介護を要する段階です。

一次判定の基準時間の目安では、要支援1は25分以上32分未満、要支援2・要介護1は32分以上50分未満です。ただし最終決定は介護認定審査会の総合判定で行われます

区分

基準時間(目安)

支給限度額(月額)

状態の特徴

要支援1

25分以上32分未満

50,320円

主に家事や立ち上がりで部分的な支援が必要

要支援2

32分以上50分未満

105,310円

移動・排泄・入浴など支援が増え、介護量が多い

要介護1

32分以上50分未満(審査会の総合判定)

167,650円

入浴・排泄・移動などで定期的な介助が必要

また、利用できる介護保険の支給限度額も大きく異なります。

2025年時点で、要支援1は月50,320円、要介護1は月167,650円と3倍以上の差があり、要介護1は継続的な介護が必要な段階といえます。

出典:介護保険の支給限度額とは | 健康長寿ネット
出典:介護サービス利用時の費用(自己負担額)のめやす|鹿児島市
出典:要支援・要介護と認定されたかたへ/川口市ホームページ

Section Image
05

要支援1と要支援2の違い

要支援1と要支援2の最大の違いは、日常生活における支援の必要度です。

一次判定における基準時間で見ると、要支援1は25分以上32分未満、要支援2は32分以上50分未満に相当します。

要支援2になると、要支援1よりも生活動作に制限が増え、家事や移動、入浴や排泄などで支援を必要とする場面が多くなります。

そのため利用できる支給限度額も拡大し、要支援1は月50,320円に対し、要支援2は月105,310円(2025年時点)です。

区分

基準時間

支給限度額(月額)

状態の特徴

要支援1

25分以上32分未満

50,320円

主に家事や立ち上がりで部分的な支援が必要

要支援2

32分以上50分未満

105,310円

移動・排泄・入浴など支援が増え、介護量が多い

つまり、要支援2は要支援1よりも支援量が多く、介護予防サービスを組み合わせて生活の安定を図る必要がある区分といえます。

出典:介護保険制度における要介護認定の仕組み|厚生労働省

Section Image
06

要支援1で受けられるサービス一覧

要支援1に認定されると、介護予防を目的とした「介護予防サービス」や「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」を中心に利用できます

これらは要介護状態へ進行しないようにすることを目的としており、生活の自立支援や心身機能の維持に役立ちます。

利用できる内容や対象は要介護認定者に比べると制限がありますが、早期の活用が生活の安定につながります。以下では主なサービスを紹介します。

サービス区分

主な内容

利用の特徴

訪問型サービス(訪問介護・訪問看護)

掃除・洗濯・買い物などの生活援助、健康チェックや服薬管理

家事や体調管理を在宅で支援。身体介護は原則限定的。

通所型サービス(デイサービス・デイケア)

入浴・食事・機能訓練・趣味活動・交流

筋力維持や認知症予防につながる。生活リズムの安定にも効果的。

福祉用具貸与・住宅改修

手すり、歩行補助杖、浴室いす等のレンタル、段差解消や手すり設置など

要支援では対象が限定されるが、自宅で安全に暮らすための環境整備に有効。

介護予防・日常生活支援総合事業

訪問型・通所型サービス、ボランティア活動、地域交流

地域資源を活用し、社会参加や孤立防止につなげる。

訪問型サービス(訪問介護・訪問看護など)

要支援1で利用できる訪問型サービスには、訪問介護(生活援助中心)と訪問看護があります。

訪問介護では掃除・洗濯・買い物・調理など日常生活の援助が中心で、身体介護は原則限定的です。

訪問看護は医師の指示に基づき、看護師等が健康チェックや服薬管理、必要な助言を行います。総合事業では、地域の実情に合わせた短時間・軽度者向けの訪問型サービスが用意されることもあります。

出典:介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)の訪問型サービスとは  | 健康長寿ネット

通所型サービス(デイサービス・デイケア)

通所型サービス(デイサービス・通所リハ)は、入浴・食事の提供に加え、運動プログラムや趣味活動、交流を通じて心身機能の維持と生活リズムの安定を図ります

要支援1向けには、短時間・少人数など介護予防に特化したプログラムが設けられる場合があります。孤立の予防や外出機会の確保にも有効で、週1回程度から生活状況に応じて調整できます。


出典:「要介護認定の仕組みと手順」|厚生労働省

福祉用具のレンタル・住宅改修

要支援1では、福祉用具の一部レンタルや住宅改修費の支給を受けられます。対象となる用具は限定されており、手すり、歩行補助杖、浴室用いす、簡易スロープなどが中心です。

住宅改修では手すり設置や段差解消、滑り止め床材の変更などが支給限度額の範囲で利用可能です。これにより、自宅での転倒防止や安全確保が図られ、外出や入浴など日常動作を自立して行える環境づくりが促進されます。

要支援の福祉用具貸与は品目が限定され、つえ・手すり・簡易スロープ等が中心です。(車いす・特殊寝台等は原則貸与対象外(例外規定あり)。詳細は地域包括支援センターで確認。)

住宅改修は上限20万円の範囲で手すり設置や段差解消等が利用でき、安全な動線づくりに有効です。

出典:福祉用具・住宅改修の概要|厚生労働省

地域支援事業(総合事業)

要支援1の方は、市区町村が実施する「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」も利用できます

これは従来の介護予防サービスが地域主体の仕組みに移行したもので、訪問型・通所型のほか、生活支援ボランティアや地域交流活動など多様なサービスが含まれます。

軽度の段階から地域資源を活用することで、社会参加が促進され、孤立や心身機能の低下を防ぐことにつながります。

地域包括支援センターの役割

地域包括支援センターは、要支援1・2の相談窓口であり、介護予防ケアプラン(第1号介護予防支援)の作成やサービス調整、権利擁護、虐待防止、総合事業の案内などを担います。

本人の希望や生活状況を踏まえて必要な支援を組み合わせ、継続的にモニタリングします。「まずどこに相談すべきか分からない」場合も、最初の連絡先として活用することが可能です。


出典:地域包括支援センターについて|厚生労働省

介護予防支援(第1号介護予防支援)

介護予防支援は、要支援1・2の方が要介護へ進行しないよう、目標と手段を明確にした介護予防ケアプランを作成し、定期的に見直す仕組みです。

運動・栄養・口腔・認知機能・社会参加などの取り組みを、地域包括支援センターが中心となって調整します。

短時間プログラムや地域の「通いの場」との連携も含め、無理なく続けられる支援を組み立てます。

Section Image
07

【要支援1】保険外(自費)サービスの活用

介護保険の対象外となる支援(付き添い外出、理美容、安否確認、家事代行など)は、全額自己負担で柔軟に依頼できます

時間・内容の自由度が高く、保険サービスでカバーしきれない部分を補うのに有効です。

併用時は、ケアプランでの目的や役割分担(公費/自費)を明確にし、必要性や費用対効果を踏まえて選びましょう。地域包括支援センターやケアマネジャーに相談すると紹介を受けられることがあります。

地域によって総合事業の内容や支援は異なります。まずは地域包括支援センターに相談し、利用可能な通いの場・体操教室・見守り事業・配食・移動支援などを確認しましょう。

あわせて、市区町村の広報・ホームページ、社会福祉協議会、民生委員等の情報も参考になります。

Section Image
08

要支援1の利用料(支給限度額・自己負担)

要支援1の方が介護保険サービスを利用する場合、1か月あたりの支給限度額は 50,320円(2025年現在) に設定されています。この範囲内であれば、利用料の自己負担は原則1割で済みます。

ただし、一定以上の所得がある方は2割または3割負担となります。例えば1万円分のサービスを使った場合、1割負担なら1,000円、2割なら2,000円、3割なら3,000円の支払いです。

区分

支給限度額

(月額)

自己負担

(1割の場合)

自己負担

(2割の場合)

自己負担

(3割の場合)

要支援1

50,320円

約5,030円

約10,060円

約15,090円

支給限度額を超えて利用した分については全額自己負担となるため、ケアマネジャーと相談しながら計画的にサービスを組み合わせることが重要です。

※単価や自己負担は、地域区分(単価)や加算の有無、提供時間等により変動します。実際の負担額は、地域包括支援センターまたは事業所の見積りでご確認ください。

出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
出典:介護保険の支給限度額とは | 健康長寿ネット
出典:区分支給限度額・負担限度額・高額介護サービス費|筑後市

Section Image
09

要支援1から要介護へ移行する場合

要支援1は軽度の支援が必要な段階ですが、心身機能の低下が進むと、定期の更新認定で要介護に移行することがあります

例えば歩行や排泄の介助量が増える、入浴や立ち上がりの自立度が下がる、認知症症状が進行して見守りが欠かせなくなるといったケースです。

判定は、介護認定調査と主治医意見書をもとに一次判定が行われ、その後、介護認定審査会で総合的に判断されます。

一方で、介護予防サービスを積極的に活用し、運動や栄養指導、社会参加を継続することで、要介護状態への進行を遅らせたり、非該当(自立)に改善する場合もあります。


出典:サービス利用までの流れ | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」

要支援1から要介護へ移行する主なケース

  • 移動や立ち上がりが一人でできなくなった
  • 入浴や排泄で介助が必要になった
  • 軽度の認知症症状が進み、見守りや支援が欠かせなくなった
  • 日常生活の自立度が大きく低下した
Section Image
10

要支援1の更新・申請の流れ

要支援1の認定は一度決まれば永久的に続くわけではありません。新規・変更申請は、原則6か月(3〜12か月)、更新申請は原則12か月(3〜48か月)です。

更新時には改めて市町村や地域包括支援センターへの申請が必要で、認定調査員による聞き取りや観察、主治医の意見書をもとに判定が行われます。

状態が改善すれば「非該当」となり、逆に悪化すれば「要介護」に区分変更されることもあります。

新規申請も更新申請も手順は基本的に同じで、介護サービスを利用するためには欠かせません。

  1. 市町村の窓口へ申請(本人または家族、ケアマネジャーなどが代行可能)
  2. 認定調査(調査員による74項目の基本調査+特記事項)
  3. 主治医意見書の作成(心身の状態や病歴を記載)
  4. 一次判定(コンピュータによる基準時間算出)
  5. 二次判定(介護認定審査会で専門家が審査)
  6. 市町村が認定結果を通知(非該当/要支援1・2/要介護1〜5)

出典:サービス利用までの流れ | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
出典:介護保険制度における要介護認定の仕組み|厚生労働省
出典:要介護認定の仕組みと手順|厚生労働省老人保健課

Section Image
11

要支援1で介護予防サービスを利用する具体例

要支援1と認定された方がどのように介護予防サービスを活用できるのかは、生活状況によって大きく異なります。一人暮らし、家族と同居、施設入居など、それぞれの環境に合わせた利用例を知ることで、必要な支援を具体的にイメージしやすくなります。

一人暮らしの場合

一人暮らしで買い物・掃除・入浴などの家事はある程度自力でできても、歩行や立ち上がりに不安があり、転倒リスクや見守りが必要なケースです。

サービス

内容例

利用頻度・費用目安*

訪問型サービス(生活援助)

掃除・買い物代行・調理など

週1~2回。月2,000〜3,500円程度(1割負担)

訪問看護・訪問リハ

健康チェック、服薬管理、運動訓練

週1回。20分程度で1回約300円前後(1割負担)

福祉用具貸与・住宅改修

手すり、杖、浴室用椅子など

レンタル・改修費に助成あり。安全な環境整備に有効

通所型サービス

軽運動・入浴・交流

月数回。1回数千円〜(地域差あり)


出典:概算料金の試算 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」

※自己負担は1割を基本とする例。所得等で2〜3割になる場合あり。

家族と暮らしている場合

家族と同居している場合は、日常的な見守りや支援がある一方で、家族の負担軽減や専門的ケアの補完が必要になることもあります。

介護予防サービスを組み合わせることで、本人の自立を支えつつ、家族の生活にもゆとりをもたらすことができるでしょう。

サービス区分

内容例

利用の特徴・効果

訪問型サービス

掃除・洗濯・調理補助などの家事援助

週1回程度依頼し、家族の負担を軽減。身体介護は頻度を抑えて調整可能

通所型サービス(デイサービス/デイケア)

入浴・食事・体操など

週1回通所で本人のリフレッシュと家族の休養確保につながる

訪問リハビリ・訪問看護

歩行・移乗の補助、健康チェック

専門職が介護方法を指導し、家族の介助スキル向上にも役立つ

福祉用具の導入

手すり、滑り止めマット、杖など

自宅内の動作を安全にし、転倒予防に有効

見守り・地域活動

見守りサービス、地域サロン、趣味活動

社会的交流を増やし、孤立を防止

施設に入居している場合

サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームなどに入居している場合は、居住環境の整備に加えて、外出や交流、リハビリといった介護予防が重要になります。

施設内外のサービスを活用すれば心身機能の維持と生活の質向上を同時に図ることが可能です。

サービス区分

内容例

利用の特徴・効果

施設内リハビリ・体操

理学療法士や機能訓練指導員による運動

日常的に運動機会を確保し、機能維持をサポート

通所型/施設サービス

デイサービスや通所リハを施設内または外部で利用

外出機会や交流機会を増やし、生活に変化を持たせる

居宅管理指導・訪問看護

医師連携、施設の看護スタッフによる健康管理

定期的な健康チェックや必要時のケアを提供

福祉用具貸与・環境調整

杖・歩行補助具、手すり設置など

施設内でも転倒リスクを軽減、安全な生活環境を維持

地域・施設主催の交流活動

レクリエーション、趣味教室、屋外散歩など

活動の幅を広げ、生活にメリハリを与える


※上記の具体例はあくまでモデルケースであり、自治体・市区町村の制度や地域包括支援センター、施設の設備等によって「使えるサービス・頻度・費用」が大きく変わります。

「介護サービス情報公表システム」を使うと、お住まいの地域で利用可能な事業所とサービス内容・料金が調べられます。 

ケアプラン作成時には、日常生活の具体的な困りごと・本人の希望をケアマネジャーに伝えることで、自分に合ったサービスを組み合わせやすくなります。

Section Image
12

要支援1で利用できるサービス回数の目安

ここでは、要支援1の方が利用できる主な介護サービスの回数目安について解説します。訪問ヘルパー、デイサービス、ショートステイの利用頻度を知ることで、生活に合わせた計画的なサービス活用が可能になります。

サービス

利用回数の目安

主な特徴

自己負担費用の目安(1割負担)

訪問ヘルパー(生活援助中心)

週1~2回程度

掃除・調理・買い物などの家事支援。身体介護は原則少なめ。

1回 約250~400円

デイサービス(通所介護)

週1回程度

入浴・食事・運動・交流を通じて心身機能維持や孤立防止に役立つ。

1回 約500~1,000円+食費

ショートステイ(短期入所生活介護)

年数回~月数日

家族の休養や一人暮らしの安全確保に活用可能。宿泊を伴った安心感がある。

1泊 約2,000~4,000円(食費・居住費込み)


出典:概算料金の試算 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」

訪問ヘルパー(ホームヘルプ)の利用回数

要支援1では訪問ヘルパーによる支援は生活援助が中心で、掃除・洗濯・調理・買い物などを手助けしてもらえます。

利用回数の目安は週1〜2回程度で、必要に応じてケアマネジャーがケアプランに組み入れます。

身体介護(入浴や排泄の介助など)は原則対象外ですが、ちょっとした支援を受けることで一人暮らしでも安心して生活を維持できます。

デイサービス(通所介護)の利用回数

要支援1でデイサービスを利用する場合は、心身機能の維持や孤立防止を目的に週1回程度通うケースが一般的です。

入浴や食事の提供に加え、運動プログラムや趣味活動、交流を通じて生活に張りを持たせられます。

本人の体力や希望、家族の支援状況により調整でき、例えば「リハビリ型デイサービスを週1回+交流型を月数回」など組み合わせも可能です。

ショートステイ(短期入所生活介護)の利用回数

ショートステイ(短期入所生活介護)は施設に数日間滞在し介護サービスを受けられる仕組みで、要支援1でも利用できます。

 要介護度や要支援度に関しては、介護認定の判定基準となる「介護認定等基準時間(心身の状態や日常生活に必要な介護時間を数値化したもの)」に基づいて決められます。

また、ショートステイ(短期入所生活介護)は主に家族の休養を目的とした一時的な介護(レスパイトケア)として活用されることが多く、年数回や月に数日の利用が目安です。

入浴・食事・健康管理を受けられるため安心して過ごせ、一人暮らしで体調に不安がある場合にも一時的に利用可能です。

Section Image
13

介護保険サービスの自己負担割合の決まり方

介護保険サービスの利用料は、原則1割負担ですが、所得が一定以上ある方は2割または3割に引き上げられます

自己負担割合は前年の所得や年金収入等に基づき、市町村が毎年判定します。結果は「負担割合証」として介護保険証に記載され、サービス利用時の自己負担額に直結します。

同じサービスを利用しても負担割合によって月額費用は大きく変わるため、自分の区分を確認しておくことが大切です。

負担割合

判定基準の目安

対象者の例

1割

原則すべての被保険者

多くの高齢者(年金収入+合計所得金額が一定以下)

2割

単身で年金収入+合計所得金額が 280万円以上 (夫婦で346万円以上)

所得が比較的高い世帯

3割

単身で年金収入+合計所得金額が 340万円以上 (夫婦で463万円以上)

高所得者層

Section Image
14

要支援1の方が一人暮らしをする場合の注意点

要支援1の状態で一人暮らしを続けることは可能ですが、生活動作に不安があるため、事故防止や健康維持、孤立を防ぐ工夫が欠かせません。以下では主な注意点を紹介します。

転倒や事故を防ぐ住環境の整備

高齢者の自宅では転倒事故が多いため、段差の解消や手すり設置、滑り止めマットを積極的に活用する必要があります。

特に浴室や玄関、階段はリスクが高いため、福祉用具を活用しましょう。なお、要支援1では貸与できる用具が一部に限られるため、住宅改修と併用して整備することが推奨されます。

家の中の危険箇所(浴室・玄関・階段)を優先に、専門職と動線を点検し、段差・滑り・手すりの有無をチェックしましょう。

健康管理と体調チェック

一人暮らしでは体調の変化に気づきにくいため、訪問看護や定期的な通院、血圧計などによるセルフチェックを取り入れることが大切です。

服薬管理に不安がある場合は、訪問サービスや服薬支援カレンダーやアプリを利用すると良いでしょう。

定期的なモニタリング結果に応じて支援内容を見直すことで、早期の体調変化にも対応しやすくなります。気になる変化があれば、受診やケアプランの再調整を速やかに行いましょう。

孤立を防ぐ地域交流

外出や交流が減ると心身機能が低下しやすいため、デイサービスや地域サロン、趣味活動に参加することが推奨されます。

地域包括支援センターに相談すると、通いの場や介護予防教室などの参加先を案内してもらえます。交流と運動を同時に満たせる場を継続的に活用しましょう。

介護予防サービスの積極的な利用

訪問介護での生活援助やデイサービスでの運動プログラムなど、介護予防サービスを上手に組み合わせることで、自立した生活を長く維持できます

要支援1の支給限度額(月50,320円)の範囲内で計画的に利用することがポイントです。

無理なく続けられる頻度と時間設定が継続の秘訣です。週1回の通所+短時間の自主トレなど、生活リズムに合う組み合わせを検討しましょう。

Section Image
15

まとめ

要支援1とは、日常生活の多くを自立して行えるものの、一部に支援が必要な状態を指し、介護保険の中で最も軽度の認定区分です。支給限度額は月額50,320円で、自己負担は原則1割(一定所得者は2〜3割)に設定されています。

利用できるサービスは訪問型や通所型を中心に、福祉用具や地域支援事業など多岐にわたり、心身機能の維持や社会参加をサポート。

介護予防サービスを早期に活用し、生活習慣を整えることが、自立した暮らしを長く続けるための大切なポイントです。

要支援1に関するよくある質問

よくある質問

Q.要支援1とはどんな状態ですか?
A.

要支援1は介護保険制度における要介護認定のうち最も軽度な区分です。日常生活の多くは自力で行えるものの、掃除や買い物といった家事、立ち上がりや歩行、入浴など一部の動作で支援が必要な状態を指します。

要支援1は「介護予防サービス」の利用対象となり、心身機能の低下を防ぎ自立生活を維持することが目的です。状態に応じた早期の支援が、要介護への進行を防ぐことにつながります。

Q.要支援1で受けられるサービスはどのようなものがありますか?
A.

要支援1では、介護予防を目的としたサービスを中心に利用できます。具体的には訪問介護による生活援助(掃除・洗濯・買い物など)、訪問看護や訪問リハビリによる健康チェックや運動指導、デイサービスやデイケアでの入浴・食事・交流・機能訓練があります。

さらに、手すりや歩行補助杖など一部の福祉用具の貸与や住宅改修、地域サロンや交流事業なども対象です。これらを組み合わせ、自立した生活を支援します。

Q.要支援1でデイサービスに何回行けますか?
A.

要支援1では、デイサービスの利用回数は支給限度額(月50,320円※2025年現在)の範囲で調整されます。1回あたりの費用は施設や利用時間によって異なりますが、7〜8時間の利用でおおむね7,000〜1万円前後(1割負担で約500〜1,000円)です。

そのため一般的には週1回程度の利用が目安となります。

本人の体力や希望、他サービスとの併用によって週2回の利用や、リハビリ型・交流型のサービスを組み合わせるケースもあります。


Q.要支援1で受けられる金額はどのくらいですか?
A.

要支援1の方が介護保険サービスを利用できる金額の上限(支給限度額)は、1か月あたり50,320円(2025年現在)です。この範囲内であれば、自己負担は原則1割で済みます。例えば1万円分のサービスを利用した場合、自己負担は1,000円です。

ただし、一定以上の所得がある場合は2割または3割負担となります。限度額を超えて利用した分は全額自己負担となるため、ケアマネジャーと相談しながら計画的にサービスを組み合わせることが重要です。

豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
監修者

海野 和看護師

この記事の監修者情報です

2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。

【保有資格】

日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み

前後の記事

最新コラム

カテゴリ一覧

タグ一覧