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- 介護予防運動指導員を目指したい人講座受講条件や取得ルートを知りたい
- 高齢者の健康支援や自立支援に関心がある人
- 介護・福祉分野でキャリアを広げたい現場経験者、専門性を高めたい方
- 地域や施設で高齢者と関わる仕事・やりがいを求める方

介護予防運動指導員とは?高齢者の自立支援の専門家
介護予防運動指導員は、高齢者が自立した生活を維持し、要介護状態に陥ることを防ぐために、専門的な知識と技術を用いて運動プログラムを作成・指導する専門職です。
利用者一人ひとりの身体状況や生活環境、目標に合わせたプログラムを立案し、実施・評価を通じて自立支援や生活の質の向上に貢献します。
また、医療・保健・福祉の専門職と連携し、地域や施設、健康教室など多様なフィールドで活躍しています。
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介護予防運動指導員の仕事内容
介護予防運動指導員は、高齢者の健康維持や要介護状態の予防を目的に、多角的な支援を行います。
以下では、プログラム立案から運動指導、効果の評価、他職種との連携まで、具体的な仕事内容を整理して解説します。
項目 | 内容 |
---|---|
介護予防プログラムの立案 | 利用者の身体状況や生活環境、健康状態、ケアプランを踏まえて、筋力向上・バランス維持・転倒予防・口腔機能向上・栄養改善などを目的とした運動プログラムを作成 |
運動指導の実施 | 筋力トレーニング、ストレッチ、転倒予防体操、尿失禁予防体操、口腔体操を利用者と共に行い、正しい動作を指導し必要な器具も活用 |
事前評価・事後評価 | プログラム前後で身体機能や生活状況を評価し、効果を測定 結果をもとに内容を見直し、改善を図る |
他職種との連携 | 医療・保健・福祉の専門職と密に連携し、最適な指導やアドバイスを提供して総合的なケアを支援 |
栄養・口腔ケアの指導 | 誤嚥を防ぐための口腔ケア指導や、栄養状態を改善する食事指導を行い、咀嚼機能の維持・向上を支援 |
このように、介護予防運動指導員は運動や栄養、口腔ケアを通じて利用者の生活の質を高める重要な役割を担います。
医療や福祉の専門職と協力しながら、多面的に支援することで、地域や施設における介護予防の推進を支えています。

介護予防運動指導員の資格は意味がない?
介護予防運動指導員の資格は「意味がない」と言われることがありますが、実際には高齢化が進む社会において重要な役割を果たしています。
国家資格ではなく民間資格であるため、就職や待遇面で必須条件になることは少なく、資格取得だけで大きなキャリアアップにつながるケースは限られます。
しかし、専門的な知識を学んで現場での指導力を高めることができるため、介護やリハビリの現場で利用者の信頼を得やすくなります。
また、他職種との連携を円滑にし、転倒予防や口腔ケアなど多面的な支援につなげられる点も強みです。「意味がない」「不要」なことは一切なく、スキルアップや差別化の手段として活用できる資格です。
高齢者人口増加に伴う社会的ニーズの高まり
総務省統計局の予測では、日本の65歳以上の高齢者人口は2040年に40%に達するとされています。これを背景に、高齢者の健康寿命を延ばし自立を支援する介護予防運動指導員への社会的なニーズは今後ますます高まっていくと見込まれています。
介護予防運動指導員の1日の流れ
介護予防運動指導員の1日は、利用者の体調確認から始まり、運動指導や栄養・口腔ケアまで幅広い業務で構成されています。
利用者の変化を観察しながら、チームで情報を共有し、次回に向けた改善を行うのが特徴です。以下に典型的な1日の流れをまとめます。
時間帯 | 内容 |
---|---|
朝 | 出勤・ミーティング:スタッフと利用者の健康状態や注意事項、当日の運動プログラムを共有します。 |
午前 | 健康チェック・プログラム準備と指導:バイタル測定や体調確認を行い、ストレッチや筋力トレーニング、個別指導を実施します。 |
昼 | 食事・口腔ケア指導:嚥下体操や栄養指導を行い、必要に応じて管理栄養士や看護師と連携します。 |
午後 | レクリエーションや運動指導の継続、効果観察とプログラムの調整を行います。 |
夕方 | 効果評価・記録・カンファレンス:利用者の変化を評価し、スタッフと共有して次回の計画に反映します。 |
退勤 | 業務を終え、必要に応じて夜間の地域教室や講座に参加する場合もあります。 |
このように、介護予防運動指導員の業務は多岐にわたり、利用者一人ひとりに寄り添った支援が求められます。
日々の観察や記録を積み重ねることで、利用者の自立支援や健康寿命の延伸につながり、大きなやりがいを感じられる仕事といえます。
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介護予防運動指導員が活躍できる職場【就職・転職先】
介護予防運動指導員は、地域づくりや介護予防の推進において次のような多様な現場で専門性を発揮しています。
- 介護施設(デイサービス、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)
- 医療機関(総合病院、リハビリテーションセンターなど)
- 地域包括支援センター、介護予防教室や「通いの場」
- スポーツクラブ、フィットネスクラブ、カルチャーセンター
- 自治体、公民館、保健センターなどの行政主催の健康講座や地域サロン
これらの職場・フィールドで高齢者の自立支援や健康寿命延伸に貢献するとともに、住民主体の地域づくりを進める重要な役割を担っています。

介護予防運動指導員の年収・給料
介護予防運動指導員の給与は、勤務先や地域、雇用形態、経験年数などによって幅がありますが、一般的な目安や実態を詳しく解説します。
月給の目安
介護予防運動指導員の給与水準は、勤務先や雇用形態、経験、地域によって差があります。
都市部の大手法人では安定した月給が期待できる一方、パートやアルバイトとして柔軟に働く道も選べます。ここでは、月給の目安や収入に影響する要素を整理しました。
雇用形態 | 給与の目安 | 特徴 |
---|---|---|
正社員 | 月給25万円〜30万円程度 | 都市部の大手法人や医療・福祉施設での相場。安定した収入と福利厚生が期待できる |
パート・アルバイト | 時給1,000円〜1,500円程度 | 短時間勤務の求人が多く、家庭やプライベートと両立しやすい働き方が可能 |
給与に影響する要素
要素 | 内容 |
---|---|
勤務先の種類 | 病院、リハビリ施設、介護施設、行政機関、フィットネスクラブなど、勤務先によって給与水準が変わります。医療法人や大手法人、都市部の施設は高めの傾向があります。 |
経験・スキル・資格 | 介護予防運動指導員に加えて、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、看護師などの資格を持つと給与アップや役職登用の可能性が高まります。 |
雇用形態 | 正社員、契約社員、パート・アルバイトなど、雇用形態により給与や福利厚生が大きく異なります。 |
このように、介護予防運動指導員の収入はさまざまな条件に左右されます。
資格やスキルを増やすことで給与アップの可能性が広がり、働き方次第で安定性と柔軟性の両立も可能です。将来のキャリア設計を考える上で、勤務先や雇用形態を見極めることが重要です。

介護予防運動指導員の福利厚生・待遇
介護予防運動指導員として働く場合、雇用形態や勤務先によって福利厚生や待遇に差があります。
特に医療法人や大手法人では、社会保険や手当の充実度が高く、長く安心して働ける環境が整っています。以下に主な福利厚生の例を紹介します。
- 社会保険完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)
- 通勤手当、住宅手当、資格手当、役職手当
- 研修・資格取得支援制度
- 有給休暇、産休・育休、介護休暇など
大手法人や医療機関では、福利厚生が充実している場合が多いです。

介護予防運動指導員のキャリアアップと収入増加
介護予防運動指導員として経験を積むことで、主任指導員や管理職、地域の講師、行政委託事業のリーダーなど、キャリアアップの道が開けます。
また、複数の資格を活かして多職種連携のコーディネーターや、介護予防事業の企画・運営に携わることで、収入アップや活躍の場がさらに広がります。
介護予防運動指導員の1日は、利用者一人ひとりの状態や目標に合わせたプログラム立案・実施・評価を中心に、多職種連携や地域活動、啓発事業など多岐にわたります。
給与水準は医療・福祉業界の中でも標準的ですが、働き方の柔軟さやキャリアアップの可能性、社会的意義の高さが大きな魅力です。
今後も高齢社会の進展とともに、介護予防運動指導員のニーズと活躍フィールドはますます広がっていくでしょう。
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介護予防運動指導員のやりがい
介護予防運動指導員は、利用者の身体機能や生活の質を高めるサポートを通じて、大きなやりがいを得られる仕事です。
個人の変化を実感できるだけでなく、地域全体の健康づくりや介護予防の普及にも貢献できる点が魅力です。ここでは、介護予防運動指導員として働くことで得られるやりがいについて2つにわけて解説します。
利用者の変化を実感できる
介護予防運動指導員の最大のやりがいは、利用者の身体的・精神的な変化を間近で実感できることです。
運動プログラムや生活指導を通じて、「歩ける距離が伸びた」「転ばなくなった」「自分でできることが増えた」といったポジティブな変化が現れる瞬間に立ち会えます。
また、利用者やご家族から「ありがとう」「元気になった」「毎日が楽しくなった」といった感謝の言葉を直接受け取ることができるのも、大きなモチベーションになります。
自分のサポートが誰かの生活の質向上や自立支援につながっている実感を得られるのは、この仕事ならではの魅力です。
地域社会への貢献
介護予防運動指導員は、個々の利用者だけでなく、地域全体の健康寿命の延伸や介護予防の普及にも大きく貢献しています。地域の健康教室や介護予防イベント、行政の啓発活動などを通じて、健康づくりの大切さを広める役割も担っています。
高齢者が元気に暮らせる地域づくりに直接関わることで、社会全体の課題解決や福祉向上に寄与しているという誇りと責任感を持って働けるのも、この職種の大きなやりがいです。
自分の活動が地域の活性化や医療・介護費の抑制にもつながっていることを実感しながら、やりがいを持って長く働くことができます。

介護予防運動指導員に向いている人の特徴
介護予防運動指導員は、高齢者ができるだけ自立した生活を維持し、要介護状態になることを防ぐための運動指導や生活支援を行う専門職です。そのため、単に運動や健康に関する知識があるだけでなく、「人」と向き合う力や現場での柔軟な対応力が強く求められます。
ここでは、特に重要とされる「コミュニケーション力が高い人」「体を動かすことが好きな人」という2つの特徴について、現場の実情や資格の学びの内容も踏まえ、詳細に解説します。
コミュニケーション力が高い人
利用者との信頼関係を築く力
介護予防運動指導員の仕事は、利用者一人ひとりの身体状況や生活背景、性格や価値観に寄り添いながら、最適なプログラムを作成し、実施・評価することです。
高齢者の多くは、加齢による身体機能の低下や慢性的な疾患、不安、孤独感などさまざまな悩みを抱えています。そのため、まずは利用者の話をよく聞き、気持ちや希望を受け止める姿勢が不可欠です。
信頼関係を築くことで、利用者は安心して自分の体調や困りごとを話せるようになり、運動や生活改善へのモチベーションも高まります。
例えば「最近歩くのがつらい」「食欲がない」などの小さな変化も、日々の会話の中から引き出すことができれば、早めの対応やプログラムの見直しにつなげられます。
わかりやすく伝える力
高齢者にとって、専門用語や難しい説明は理解しづらい場合があります。介護予防運動指導員は、運動の目的や効果、正しい動作のポイントを、誰にでもわかる言葉や身振り手振りを使って丁寧に説明する力が求められます。
また、運動の継続には「なぜこの運動が必要なのか」「どんな効果が期待できるのか」を納得してもらうことが大切です。
利用者の反応を見ながら、時には例え話を交えたり、実際に一緒に動いてみせたりすることで、理解と納得を深めていきます。
チームワーク・多職種連携
介護予防運動指導員は、医師や看護師、理学療法士、管理栄養士、介護支援専門員(ケアマネジャー)など、さまざまな専門職と連携しながら支援を行います。
利用者の健康状態や生活環境に関する情報共有、ケアプランの調整、プログラムの評価や見直しなど、チームで協力し合う場面が多くあります。
また、家族や地域住民、ボランティアなど、支援の輪を広げていくためにも、円滑なコミュニケーション力が不可欠です。自分の意見を伝えるだけでなく、他者の意見や専門的な視点を柔軟に受け入れ、最適な支援方法を一緒に考えていく姿勢が求められます。
利用者の「やる気」を引き出す力
高齢者の中には、運動への不安や「自分には無理だ」と感じている方も少なくありません。介護予防運動指導員は、利用者の小さな成功体験や変化を見逃さず、積極的に声をかけて励ますことで、やる気や自信を引き出す役割も担います。
例えば「昨日より歩く姿勢が良くなっていますね」「この運動、最初よりスムーズにできるようになりましたね」といった具体的なフィードバックは、利用者の自己効力感を高め、継続的な取り組みにつながります。
心のケア・心理的サポート
介護予防の現場では、身体面だけでなく、認知症やうつ、閉じこもりなど心理・社会的な課題にも向き合う必要があります。
利用者の表情や言動、日々の変化に気を配り、必要に応じて専門職と連携しながら、心のケアや社会参加のサポートも行います。
体を動かすことが好きな人
運動を自ら楽しみ、実践できる
介護予防運動指導員の仕事は、利用者と一緒にストレッチや筋力トレーニング、転倒予防体操、口腔体操などを実践することが中心です。
自分自身が運動を楽しみ、健康の大切さを体感している人は、その思いを自然に利用者に伝えることができます。
「体を動かすことが好き」「日常的に運動習慣がある」という人は、指導の際も無理なくお手本を見せたり、動作のポイントを実演したりできるため、利用者からの信頼も得やすくなります。
体力・持久力がある
高齢者の運動指導は、ゆっくりとした動きや軽い負荷から始めることが多いですが、1日に複数のグループや個別指導を担当する場合もあり、意外と体力や持久力が求められます。
また、器具の準備や片付け、利用者の移動やサポートなど、細かな動きが多いのも現場の特徴です。自分自身の健康管理や体力づくりにも意識を向け、常にベストな状態で利用者と向き合えることが大切です。
運動の楽しさ・大切さを伝える力
「運動は楽しい」「体を動かすと気持ちがいい」というポジティブな気持ちを持っている人は、利用者にもその魅力を伝えやすくなります。
高齢者の中には、運動に苦手意識を持っている方や、過去のケガや病気で消極的になっている方もいます。そんな時こそ、指導員自身が楽しそうに運動を行い、少しずつ達成感や喜びを感じてもらう工夫が求められます。
柔軟な対応力・観察力
高齢者の身体状況や体調は日々変化します。時には、予定していた運動が難しい日や、急な体調不良に対応しなければならない場面もあります。
体を動かすことが好きな人は、そうした変化にも前向きに対応し、無理のない範囲で運動やリハビリを工夫できる柔軟性があります。
また、利用者の動きや表情をよく観察し、些細な変化にも気づけることが、事故やケガの予防にもつながります。
継続的な学びへの意欲
介護予防の分野は、医学やリハビリ、運動生理学、栄養学、心理学など幅広い知識が求められます。
体を動かすことが好きな人は、新しい運動プログラムやトレーニング方法、健康づくりの知識にも興味を持ち、継続的に学び続けることができます。
自分の知識やスキルをアップデートし、利用者に最適な指導を提供する姿勢が大切です。
総合的に求められる資質
介護予防運動指導員は、「人と接するのが好き」「運動が好き」という素質を活かしながら、利用者の自立支援や健康寿命の延伸に貢献する役割を担っています。
コミュニケーション力と運動への情熱は、利用者のやる気や安心感を引き出し、プログラムの効果を最大限に高めるための大きな武器となります。
また、現場では「思いやり」「観察力」「柔軟な対応力」「学び続ける姿勢」も欠かせません。
高齢社会が進む中、介護予防運動指導員はますます重要な存在となっており、これらの資質を持つ人が活躍できるフィールドは今後さらに広がっていくでしょう。

介護予防運動指導員の仕事の大変さ・苦労する点
ここでは、介護予防運動指導員の仕事の大変さ・苦労する点を8つにわけて解説します。
多様な利用者に合わせた個別対応が求められる点
高齢者は、年齢が同じでも身体機能や健康状態、生活歴、運動経験、心理的状態、周囲との関係まで千差万別です。
そのため、介護予防運動指導員はまず一人ひとりを丁寧に観察し、ヒアリングを重ね「どの程度の運動が安全か」「本人の目標や希望に合っているか」を見極め、無理のない個別プログラムの作成が求められます。
現場で柔軟にプログラムを調整する難しさ
運動指導の場面では、利用者それぞれの表情や動作、疲労感、声のトーンなどを観察し、その日の体調や心理状態にあわせて、休憩や負荷設定を柔軟に調整する必要があります。
特に認知症や精神的不調のある利用者には、身振りや実演を交えて理解を促したり、家族や他職種と連携する工夫が重要です。
利用者のやる気を引き出す心理的サポート
個別対応の難しさは運動メニューの調整だけではありません。小さな成功体験を重ねる声かけや、失敗・体調不良時のフォローなど、利用者の「やる気」を引き出しモチベーション維持につなげる心理的配慮も求められます。
加えて、利用者の小さな変化やSOSを見逃さず、必要に応じて医療職・介護支援専門員(ケアマネジャー)と早期情報共有を行うことがポイントです。
幅広いスキルと専門性が必要となる点
個別対応を成功させるには、「観察力」「柔軟な対応力」「コミュニケーション力」「多職種連携力」など幅広いスキルが不可欠です。
一人ひとりに寄り添い続ける努力が、最適な支援提供と「やりがい」につながる仕事です。
知識や技術を継続的にアップデートする必要がある
介護予防運動指導員は、医学・リハビリ・運動科学など幅広い分野の知識を常にアップデートする必要があります。
現場でも、法改正やガイドライン変更、最新事例や研究動向の把握が求められ、資格取得後も定期的な研修や勉強会、論文読解など自己研鑽が不可欠です。
資格更新と最新技術の習得が欠かせない点
介護予防運動指導員の資格は3年ごとに更新が義務付けられており、最新の知識や技術の習得が必須とされています。
現場経験と試行錯誤を重ねる努力が必要な点
現場の利用者や状況によって最適なプログラムや対応方法は異なるため、自ら経験や工夫を重ね「より良い支援とは何か」を問い続ける探究心が必要です。失敗や試行錯誤も成長の糧となり、専門職としての力を高めていきます。
多職種と連携しチームで学び合う姿勢の重要性
医療や介護の現場では他職種との連携やカンファレンスを通し、異なる専門家から新たな視点や知識を得ることが可能です。自己研鑽だけでなく、周囲と協力しながら学び続ける姿勢が現場で長く活躍するポイントです。

介護予防運動指導員になるには
介護予防運動指導員は、高齢者の健康寿命延伸や要介護状態の予防を目的に、専門的な運動プログラムを立案・実施するプロフェッショナルです。
この資格を取得するには、一定の医療・福祉系資格や実務経験を持ったうえで、指定の養成講座を修了し、修了試験に合格する必要があります。以下では、資格取得までの流れや要件、講座の内容、費用まで詳しく解説します。
介護予防運動指導員養成研修を受講する
介護予防運動指導員を目指すには、東京都健康長寿医療センターが認定する養成研修を受講する必要があります。この研修は誰でも受けられるわけではなく、介護や医療に関連する資格や一定の実務経験を持つ人が対象です。
例えば、初任者研修や実務者研修の修了者、介護支援専門員、健康運動指導士、さらに医師や看護師、理学療法士などの国家資格保持者が受講可能です。
また、関連資格の養成校に在学していて、資格取得を見込まれている人も対象となります。
修了試験に合格する
研修のカリキュラムを修了した後には、知識や理解度を確認するための修了試験があります。内容は講義や実技で学んだ範囲から出題されるため、研修を真面目に受講していれば合格しやすいといわれています。
不合格となった場合でも、初回受験日から1年以内であれば再受験が認められています。こうした試験を経て合格することで、正式に介護予防運動指導員として活動できるようになります。
受講要件(受講できる人)
介護予防運動指導員の養成講座を受講するには、下記のような医療・福祉系の資格や実務経験が必要です。
- 介護職員初任者研修修了者(実務経験2年以上)
- 介護福祉士実務者研修修了者
- 介護職員基礎研修課程修了者
- 訪問介護員2級以上(実務経験2年以上)
- 介護福祉士
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)
- 健康運動指導士
- 医療系国家資格(医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、精神保健福祉士、歯科衛生士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士など)
これらの資格を持つか、資格取得見込みであれば受講可能です。初任者研修や訪問介護員2級の場合は、2年以上の実務経験が必須となります。
養成講座の内容と受講形式
介護予防運動指導員養成講座は、地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所が指定する機関で実施されています。
項目 | 内容 |
---|---|
実施機関 | 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所が指定する機関 |
講座時間 | 31.5時間~ |
主なカリキュラム | ・介護予防の基礎知識 ・高齢者の身体機能と運動生理学 ・転倒予防 ・筋力向上トレーニング ・認知症予防 ・口腔機能向上 ・プログラム立案・評価方法 ・実技演習(マシンやゴムバンド等を使った運動指導) |
受講形式 | 一部eラーニング(オンライン)受講可 |
実習 | 約12時間を対面で実施 |
通学期間 | 2日~、働きながらでも受講可能なスケジュールあり |
資格取得までの流れ
介護予防運動指導員になるには、研修の受講から修了試験合格まで一定のステップを踏む必要があります。
講義や実技を通して知識と技術を習得し、最終的に修了証を得ることで資格が認定されます。以下に流れをまとめました。
- 受講要件を満たす
- 指定の養成講座に申し込み・受講
- 講義・実技・演習を受ける
- 修了試験を受験
マークシート方式(45問・選択式)で、講座内容の復習が中心
- 修了証・登録証の交付
このように、資格取得のプロセスは体系的に設計されており、基礎から実践まで段階的に学べます。修了試験は難易度が高すぎるものではなく、真剣に研修に取り組めば合格が期待できます。
費用と期間
- 受講料:9万円前後(機関によって差あり)
- 受講期間:最短2日~(eラーニング+通学実習)
- 実習:12時間程度は必ず対面で実施
修了試験と難易度
修了試験は、受講した内容の理解度を確認するもので、45問の選択式(マークシート)です。
合格率は公表されていませんが、90%以上とされており、しっかり講義内容を理解していれば合格は難しくありません。
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介護予防運動指導員資格の維持には3年ごとに更新が必要
介護予防運動指導員の資格は3年ごとに更新が必要です。
- 更新手続き:登録更新申請書の提出、写真添付
- 更新費用:3,000円(税別)
- 更新時期:登録から3年ごとに案内が届く
更新制度は、資格保持者が常に最新の知識や技術を身につけて現場で活躍し続けるために設けられています。
定期的に手続きを行うことで、専門性を維持しながら安心して活動を続けられる点も、この資格の信頼性を高める要素となっています。
介護予防運動指導員と介護予防指導士の違い【比較一覧表】
「介護予防運動指導員」以外にも、「介護予防指導士」など類似資格があります。
項目 | 介護予防運動指導員 | 介護予防指導士 |
---|---|---|
資格の位置づけ | 運動を中心にした介護予防の専門資格 | 介護予防の基礎知識を学ぶ入門資格 |
受講時間 | 約31.5時間〜 | 約21.5時間 |
受講料 | 約9万円前後 | 4万9,500円(税込) |
修了試験 | あり | なし |
取得要件 | 医療・福祉系の基礎資格や経験が必要 | 特になし(誰でも受講可能) |
活躍の場 | 介護施設、地域の健康教室、医療機関など幅広い現場 | 地域活動や福祉現場での基礎的な介護予防支援 |
更新制度 | 3年ごとに更新が必要 | 更新制度なし |
特徴 | 実践的な運動指導力を高め、キャリアアップや転職に有利 | 短期間・低コストで学べる入門的な資格 |
介護予防指導士は受講時間が短く費用も安い(49,500円(税込)、21.5時間、修了試験なし)ですが、より専門的な運動指導や現場経験を積みたい場合は「介護予防運動指導員」がおすすめです。
介護予防運動指導員になるには、医療・福祉系の基礎資格や経験を持ったうえで、指定の養成講座(約31.5時間〜)を修了し、修了試験に合格することが必要です。
受講料は9万円前後、期間は2日〜で、働きながらでも取得しやすいカリキュラムが整っています。資格取得後は、介護施設や地域の健康教室、医療機関など幅広い現場で活躍でき、高齢者の自立支援や健康寿命延伸に貢献できます。
また、3年ごとの更新制度があるため、常に最新の知識や技術を学び続ける姿勢も求められます。
この資格を取得することで、介護やリハビリの現場での専門性が高まり、キャリアアップや就職・転職にも有利となります。高齢化社会が進む今、介護予防運動指導員はますます注目される資格です。
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まとめ
介護予防運動指導員は、高齢者の健康寿命を延ばし、要介護状態を予防するための運動指導や生活支援を専門的に担う資格です。
取得には、医療・福祉系の基礎資格や実務経験を持ち、約31.5時間〜の養成講座を修了し、修了試験に合格する必要があります。費用は6万〜10万円程度で、働きながらでも取得しやすいカリキュラムが整っています。
資格取得後は、介護施設や医療機関、地域の健康教室、行政の介護予防事業など、さまざまな現場で活躍できます。
個別対応の難しさや継続的な学びが求められる一方で、利用者の変化を実感できるやりがいや、地域社会への貢献という大きな達成感が得られる仕事です。3年ごとの更新制度もあり、常に最新の知識や技術を身につける姿勢が重要です。
高齢社会の進展に伴い、介護予防運動指導員のニーズは今後ますます高まります。人と接するのが好き、運動が好き、社会に貢献したいという思いを持つ方にとって、やりがいと成長のある職種です。
資格取得を通じて、専門性を高めながら高齢者の自立支援や健康寿命の延伸に貢献できる、今後も注目されるキャリアパスといえるでしょう。
よくある質問
Q.介護予防運動指導員になるにはどんな資格や経験が必要ですか?
介護予防運動指導員養成講座の受講には、介護職員初任者研修(実務経験2年以上)、介護福祉士実務者研修、介護職員基礎研修、訪問介護員2級以上(実務経験2年以上)、介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、健康運動指導士、医療・福祉系国家資格(医師、看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、栄養士など)のいずれかが必要です。資格取得見込みの方も受講可能です。
Q.介護予防運動指導員の養成講座はどのくらいの期間がかかりますか?
講座は約31.5時間からで、eラーニングと通学を組み合わせたカリキュラムも増えており、働きながら取得しやすいのが特徴です。
Q.介護予防運動指導員の資格試験の内容と合格率は?
養成講座修了後にマークシート方式(選択式)の修了試験があります。内容は講座で学んだ知識の復習が中心で、合格率は90%以上とされています。しっかり講義内容を理解していれば合格は難しくありません。
Q.介護予防運動指導員の資格の更新は必要ですか?
はい、介護予防運動指導員の資格は3年ごとに更新が必要です。更新手続きは登録更新申請書の提出と、3,000円(税別)の更新費用が必要です。更新の案内が届くため、忘れずに手続きを行いましょう。
Q.介護予防運動指導員の資格はどこで取れますか?
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターが指定するスクールや各地の研修実施機関で取得できます。申し込みは各事業者のホームページや案内を確認してください。
Q.介護予防運動指導員と介護予防指導士の違いは?
介護予防運動指導員は運動指導に特化し、より専門的な知識と実技を学びます。介護予防指導士は受講時間が短く、費用も安く、修了試験がないのが特徴です。短期間・低予算で資格を取得したい方は介護予防指導士も選択肢となりますが、現場での専門性やキャリアアップを重視するなら介護予防運動指導員がおすすめです。
Q.介護予防運動指導員の資格取得後の主な就職先や活躍の場は?
介護施設(デイサービス、老人ホーム)、医療機関、地域包括支援センター、行政の介護予防事業、スポーツクラブや健康教室など幅広いフィールドで活躍できます。高齢者の健康支援や自立支援を担う現場で、専門性を発揮できます。
Q.介護予防運動指導員の講座の受講や試験は働きながらでも可能ですか?
はい、多くの講座は土日や夜間、eラーニングなど柔軟なスケジュールで提供されており、現職の方でも受講しやすいよう工夫されています。
Q.介護予防運動指導員はオンライン(eラーニング)だけで資格取得は可能ですか?
介護予防運動指導員はオンライン(eラーニング)だけでは資格取得はできません。養成講座は講義と実習に分かれていて、講義はオンラインでも受講可能ですが、実習は対面でのみ実施されています。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
