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- 介護士として病院勤務を考えている護施設との違いや、病院での具体的な業務内容を知りたい方
- 医療チームの一員として働きたい医師や看護師と連携しながら、患者さんの生活面を支える仕事に関心がある方
- キャリアアップを目指したい病院勤務ならではの経験を積み、将来的に専門性を高めたいと考えている方

病院で働く介護士(看護助手)の仕事内容【入院患者の介助業務】
病院勤務の介護士は、主に入院患者の日常生活をサポートします。食事・排泄・入浴・移動など、患者の身体状況に応じた丁寧なケアが求められます。
項目 | 内容の詳細例 |
---|---|
入浴介助 | ・入浴前の体調確認、脱衣所の温度調整、着替え ・用具準備・かけ湯・洗身・浴槽への出入りの介助 ・入浴後の水分補給・体調確認など |
食事介助 | ・誤嚥防止の姿勢調整、配膳準備 ・食事形態や嚥下状態に応じたサポート ・一口ごとの声かけと水分補給の促し |
排泄介助 | ・トイレ誘導や衣服の上げ下ろし介助 ・ポータブルトイレ ・おむつ交換、皮膚トラブル防止の処置 |
更衣介助 | ・麻痺や術後の部位に配慮しながら、動きやすい側から着脱をサポート |
移動・移乗 | ・ベッド⇔車椅子、車椅子⇔トイレ間などの介助 ・転倒防止に配慮した支援と声かけ |
体位変換 | ・褥瘡(床ずれ)予防のため2〜3時間ごとに姿勢を調整 ・枕やクッションを用いて安定を確保 |

入浴介助
病院での入浴介助は、患者の安全と体調変化に細心の注意を払いながら行う重要なケア業務の一つです。以下に、入浴の流れを段階ごとにまとめました。
入浴前の準備
項目 | 内容 |
---|---|
体調確認 | 発熱や不調がないか確認し、状況によっては入浴を中止または清拭に切り替える |
環境整備 | 脱衣所や浴室の温度を調整し、冬季はヒートショック防止のため暖房を使用 |
入浴準備 | バスタオル・着替え・シャワーチェア・転倒防止マットなどを手の届く範囲に配置 |
トイレ誘導 | 入浴前に排泄を済ませてもらい、事故や不快感を防ぐ |
入浴中の介助
項目 | 内容 |
---|---|
入浴形態 | 基本的には半身浴を採用 |
移動介助 | 浴室までの移動を支援し、転倒に注意しながら誘導 |
かけ湯 | シャワーの温度を確認し、手先・足先からお湯をかけて体を慣らす |
洗身・洗髪 | 自力で可能な部分は本人に任せ、届きにくい部位を介助。皮膚の観察も行う |
浴槽出入り | 浴槽への出入りを介助し、めまいや転倒を防止。入浴時間は5分程度が目安 |
食事介助
項目 | 内容 |
---|---|
配膳・セッティング | ベッドの角度や高さを調整し、誤嚥防止に配慮した姿勢を整える。エプロンやテーブルの準備も行う |
介助方法 | 一口ごとに声かけをしながら、飲み込みを確認しつつ進める。患者のペースに合わせて提供する |
特別食対応 | 刻み食・ミキサー食などの食事形態や嚥下機能を確認し、必要時は看護師と連携する |
水分補給 | 脱水を防ぐため、こまめに水分を促す |
排泄介助
項目 | 内容 |
---|---|
トイレ誘導 | トイレまでの移動を介助し、衣類の上げ下ろしをサポート。プライバシーに配慮して手早く行う |
おむつ交換 | 排泄後はお尻を丁寧に清拭し、皮膚トラブル予防のため保湿剤を適宜使用 |
更衣介助
項目 | 内容 |
---|---|
着脱の介助 | 患者が動かしやすい側から衣類を着脱する。無理な力がかからないよう配慮する |
特殊配慮 | 術後部位や麻痺のある箇所は避け、丁寧に着脱を行う |
移動・移乗介助
項目 | 内容 |
---|---|
移乗の支援 | ベッド⇔車椅子、車椅子⇔トイレなどへの移乗時に身体機能に応じたサポートを行う |
転倒予防 | 声かけと身体の支えを同時に行い、安心して移動できるように支援する |
体位変換
項目 | 内容 |
---|---|
頻度と目的 | 2~3時間おきに体位を変え、褥瘡(床ずれ)を予防 |
支援方法 | 枕やクッションを使って、無理のない安定した姿勢を保つ |

病院で働く介護士(看護助手)の仕事内容【環境整備】
病院勤務の介護士(看護助手)は、患者の身体介助だけでなく、病室や共用スペースの清掃・消毒・整理整頓など、快適で衛生的な療養環境を維持する業務も担います。
特に感染症対策の観点からも重要な役割を果たしており、医療現場の安全を陰で支えています。
業務項目 | 内容の詳細 |
---|---|
ベッドメイキング・リネン交換 | シーツ・枕カバー・掛布団カバーなどのリネンを定期交換。汚れたものは速やかに回収・洗濯処理 |
病室・共用部の清掃 | 病室内の床・窓・トイレ・洗面所、共用スペース(廊下・待合室など)の清掃を実施 |
消毒・衛生管理 | ドアノブや手すりなどよく触れる箇所を定期的に消毒。アルコールや専用薬剤を用いて感染対策を徹底 |
整理整頓・備品管理 | 病室やナースステーションの整理。備品・消耗品の在庫管理や補充、医療機器の配置確認も行う |
洗濯業務 | 患者の衣類・タオル・リネンの洗濯・乾燥・収納を行い、清潔な状態を保つ |
その他(事務・声かけ) | カルテや書類の整理・配布、患者との会話で不安の軽減や心理的ケアにも貢献 |
環境整備は見えにくい業務でありながら、患者の安全や医療スタッフの働きやすさに直結します。
こうした細やかな配慮こそ、病院における介護士(看護助手)のプロフェッショナリズムの一端といえるでしょう
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病院で働く介護士(看護助手)の仕事内容【看護師の補助業務】
病院で働く介護士(看護助手)は、看護師の補助役として医療現場を支える重要な存在です。医療器具の準備や診察の付き添い、環境整備や物品管理など、多岐にわたる業務を通じてチーム医療に貢献しています。
業務項目 | 内容の詳細 |
---|---|
医療器具の準備・洗浄・消毒 | 体温計・血圧計・処置トレーなどの準備、使用後の洗浄・消毒まで対応 |
診察・検査・処置の付き添い | 患者の移動介助や検査準備、リハビリ・処置への同行など |
備品・消耗品の管理・補充 | ガーゼ・手袋・消毒液などの在庫確認、補充、保管場所の整理 |
病室やベッド周囲の整備 | ベッドメイキング、清掃、整理整頓などで快適な療養環境を維持 |
配膳・下膳・お茶出し | 食事やお茶の配膳・下膳、状況に応じて食事介助の補助も担当 |
ゴミ・リネンの回収運搬 | 使用済みのゴミやリネン類を決められた場所に分別・運搬 |
カルテ・書類の整理 | 看護記録・伝票・検査依頼書などの整理・運搬、事務的なサポート業務も含まれる |
これらの業務は一見地味に見えますが、医療現場を支える“縁の下の力持ち”として欠かせない役割です。看護師との連携力や観察力、丁寧な対応が求められる職務と言えるでしょう。

病院で働く介護士(看護助手)の1日のスケジュール
病院で働く介護士(看護助手)の日勤は、患者の生活支援や環境整備、看護師の補助など多岐にわたります。以下は一般的な1日の流れの例です。
時間帯 | 主な業務内容 |
---|---|
8:00〜8:30 | 出勤・朝礼・申し送り(夜勤者からの引き継ぎ、患者の状態や伝達事項の確認) |
8:30〜9:00 | ベッド周囲の整理・清掃、朝食の配膳、食堂への誘導、食事介助、食事の下膳・片付け |
9:00〜10:00 | 口腔ケア(歯磨き介助)、清拭、排泄ケア、トイレ誘導、患者さんの移動介助 |
10:00~11:00 | 入浴介助、シーツ交換、病室の清掃、環境整備、看護師の補助業務 |
11:00〜12:00 | 患者の移送、昼食準備、排泄介助 |
12:00〜13:00 | 昼食の配膳・介助、口腔ケア |
13:00〜14:00 | 昼休憩 |
14:00〜15:00 | 午後の巡視、看護師の補助業務、入浴介助、リネン交換など |
15:00〜16:00 | 排泄介助、病室の清掃、患者とのコミュニケーション |
16:00〜17:00 | 介護記録の作成、各居室の巡回、水分補給の補助、夕食準備 |
17:00〜17:30 | 夕食の配膳・介助、転倒防止センサー等の機器チェック |
17:30〜18:00 | 引き継ぎ・申し送り・退勤 |
出典:マイナビ介護職
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病院勤務の介護士の給料について
病院勤務の介護士(看護助手)の給与は、勤務先の種類によって水準が異なります。介護施設や福祉施設で働く介護職員と比べ、病院勤務の介護士(看護助手)は全体的に給与水準が低めとなる傾向があります。以下に職種別の平均給与額を示します。
項目 | 所定内給与額(月額) | 年間賞与・特別給与額 | 備考 |
---|---|---|---|
介護職員(常勤) | 338,200円 | 約550,000円 | 介護施設などが主な勤務先 |
介護職員(医療・福祉施設等) | 248,000円 | 約550,000円 | 介護施設などが主な勤務先 |
介護士(看護助手)(病院勤務) | 210,000円 | 約513,000円 | 病院勤務が中心 |
病院勤務の介護士(看護助手)は月額給与が低めですが、安定した雇用と賞与が支給される点が特徴です。
一方、介護施設勤務の介護士(看護助手)は処遇改善加算の影響を受けやすく、賃金水準が高めに推移しています。職場選びの際には給与だけでなく、勤務環境やキャリアパスも併せて検討することが重要です。

病院の介護士は無資格・未経験でもなれる?
病院で働く介護士(看護助手)は、無資格・未経験からでも始められる求人が多く存在します。
特に、入浴や食事のサポート、ベッドメイキングなど、身体介護以外の業務からスタートするケースが一般的です。
ただし、患者への直接的なケアを行う職場では「介護職員初任者研修」などの資格が求められることもあります。
資格を取得すれば転職時に有利になるだけでなく、資格手当がついて給与アップにもつながります。
代表的な資格には、初任者研修、実務者研修、介護福祉士などがあり、介護士(看護助手)を目指す場合は「看護助手認定実務者試験」や「メディカルケアワーカー検定」もおすすめです。
将来のキャリア形成を見据え、余裕があるうちに資格取得を検討するとよいでしょう

病院で働く介護士(看護助手)と介護施設で働く介護士(看護助手)の違い
病院と介護施設では、介護士の役割や働き方に明確な違いがあります。下記の表でその主な違いを確認してみましょう。
比較項目 | 病院で働く介護士(看護助手) | 介護施設で働く介護士(看護助手) |
---|---|---|
主な目的 | 患者の治療・回復・退院をサポート | 利用者の生活支援・自立支援 |
役割 | 医師・看護師の補助が中心 指示に従い業務を遂行 | 介護士(看護助手)が主体となりケアを実践 自発的な判断が多い |
業務内容 | 生活援助・環境整備・看護師補助 医療チームの一員 | 日常生活の介助全般・レクリエーション 生活全般の支援 |
利用者の特徴 | 病気やケガで入院中の患者 年齢層は幅広い | 主に高齢者や障がい者 要介護認定者が中心 |
イベント・行事 | 基本的に実施しない | 季節行事やレクリエーションを積極的に実施 |
医療職との連携 | 医師・看護師など多職種と密に連携 | 看護師や医師が常駐しない場合も多い |
指示系統 | 医師や看護師の指示で動く | 介護士(看護助手)自身の判断で動く場面が多い |
それぞれの勤務先で求められる役割やスキルが異なるため、キャリア設計の参考にするとよいでしょう。
求められる役割の違い
勤務先 | 役割の特徴 |
病院 | 医師や看護師の補助業務が中心。療養環境の整備や生活支援などに従事 |
介護施設 | 利用者の生活全般を支援する。レクリエーションや個別ケアも介護士(看護助手)主導で行う |
病院では医療スタッフの一員として動く補助的な立場、介護施設では介護士(看護助手)自身がケアを主導する場面が多く、自発的な判断が求められます。
仕事内容の違い
勤務先 | 主な業務内容 |
---|---|
病院 | 食事・排泄・清拭・環境整備などの生活支援、看護師の補助業務 |
介護施設 | 日常生活全般の介助(食事・入浴・排泄等)、レクリエーションの企画・実施など |
病院は医療方針に基づいて行動するのに対し、介護施設では利用者のQOL向上や生活支援を重視した自主的・創造的なケアが求められます。
給料の違い
介護施設の方が夜勤手当や役職手当などが反映されやすく、年収は高めになる傾向があります。
勤務先 | 平均月給 | 平均年収 | 備考 |
---|---|---|---|
病院(看護助手等) | 約21~24.8万円 | 約320万円 | 残業・夜勤が少ない傾向 |
介護老人福祉施設(特養) | 約34.8万円 | 約417万円 | 夜勤・残業・役職手当が反映 |
出典:政府統計総合窓口e-Stat 賃金構造基本統計調査 / 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 (表番号1)「介護士の平均給与」
出典:政府統計総合窓口e-Stat 賃金構造基本統計調査 / 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 (表番号14)「介護士の所定内給与/賞与」
出典:厚生労働省 令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 (p.136、179)
必要な資格の違い
勤務先 | 必要な資格 | 備考・ポイント |
---|---|---|
病院 | 無資格でも可(看護助手など) | 資格がなくても働けるが、「介護職員初任者研修」「実務者研修」「介護福祉士」などがあると就職や業務で有利。 一部の業務(身体介助など)では資格が求められる場合もある。 |
介護施設 | 基本的に資格が必要 | 「介護職員初任者研修」修了が事実上必須。 「実務者研修」「介護福祉士」など上位資格があると業務範囲が広がり、待遇も向上。 |
介護福祉士国家試験との関係
病院勤務の介護士(看護助手)での実務経験は、介護福祉士国家試験の受験資格(実務経験3年以上+実務者研修修了)の対象に含まれる場合もありますが、病院によってはカウントされないこともあるため、事前に確認が必要です。
一方、介護施設では多くの場合、受験資格に必要な実務経験が正式にカウントされるため、資格取得を視野に入れるなら施設勤務が有利な面もあります。
病院と施設、それぞれの働き方を理解しよう
比較項目 | 病院勤務の介護士(看護助手) | 介護施設勤務の介護士(看護助手) |
---|---|---|
主な目的 | 治療・回復・退院のサポート | 生活支援・自立支援 |
役割 | 医療スタッフの補助 | ケアの主体者 |
自由度 | 指示通りに動く場面が多い | 自発的判断が求められる |
給与水準 | 年収やや低め | 夜勤・手当込みで年収はやや高め |
資格要件 | 無資格でも応募可能 | 初任者研修以上が実質的に必須 |
病院勤務は安定した勤務体制と医療現場での学びが得られ、介護施設勤務は高い専門性と裁量のあるケアを実践できる職場です。
それぞれの特徴を理解し、自分の希望や将来設計に合った職場を選びましょう。

病院の介護士(看護助手)として働くメリット
病院で働く介護士(看護助手)は、介護施設勤務とは異なるメリットが多く存在します。特に福利厚生の充実度や、医療分野での経験が積めることは病院勤務ならではの魅力です。
福利厚生が充実している
病院で働く介護士(看護助手)には、介護施設にはない手厚い福利厚生が整っている職場が多くあります。
子育て支援から医療費補助、キャリア支援まで、職員が安心して長く働けるような制度が充実しているのが特徴です。以下に、代表的な福利厚生の内容を一覧表にまとめました。
福利厚生項目 | 内容の概要 |
---|---|
託児所・保育所の併設 | 院内または隣接地に保育施設を設け、子育て中の職員が安心して勤務可能に |
医療費補助制度 | 自院での診療時、職員やその家族の医療費の一部を還付・補助する制度 |
年間休日・有給休暇制度 | 年間休日が多めに設定され、1時間単位で有給取得できる職場も多い |
健康診断・予防接種 | 定期健康診断、人間ドック、インフルエンザなどの予防接種が無料または補助対象 |
福利厚生クラブ提携 | リロクラブ等と連携し、旅行・レジャー・飲食等の割引サービスを利用可能 |
慶弔見舞金制度 | 結婚・出産祝い金、弔慰金、高度障害見舞金などの給付制度が整備されている |
資格取得・キャリア支援 | 奨学金制度、研修制度、資格取得費用の補助などでスキルアップを後押し |
職員寮・住宅手当 | 遠方通勤者向けに職員寮を提供したり、住宅手当を支給する病院もある |
福利厚生の内容は病院によって異なるものの、こうした支援制度を活用すれば、ライフステージに合わせて働き方を柔軟に調整できます。
特に子育て中の方やキャリアアップを目指す方にとっては、病院勤務は非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
病院勤務で得られる多様な介護経験と専門知識の習得
病院で働く介護士(看護助手)の魅力の一つは、対象となる患者の年齢や症状が多様であることです。
高齢者だけでなく、若年層や術後・障がいを持つ方など、幅広いニーズに応えることで、経験値と専門性が大きく高まります。以下に、その具体的なメリットを整理しました。
項目 | 内容 |
---|---|
対象患者の多様性 | 高齢者に限らず、若年層・中年層、術後・障がい・難病の患者、小児や産婦人科の入院患者などが対象 |
ケア経験の幅が広がる | 外傷・急性疾患・精神疾患・術後ケアなど、介護施設では経験しにくいケースに対応可能 |
医療知識の習得 | 治療法や検査、医療機器、薬剤など、医療チームと連携する中で幅広い知識を日常的に学べる |
実践スキルの向上 | 急変対応や観察力、報告・連携など、現場対応力や判断力が身につく |
キャリアアップに有利 | 看護師・リハビリ職へのキャリアチェンジ、医療系資格取得への基礎力が身につく |
医療・介護の連携理解 | カンファレンスなどを通じて、多職種連携や役割分担を実践的に学べる |
病院では多職種の専門家と協力しながら働くため、介護士(看護助手)としての視野が広がり、より高度な現場対応力を養うことができます。
こうした経験は将来的なキャリアの選択肢を広げるうえで非常に有益です。
医療に関心のある方や成長志向のある方にとって、病院勤務は実践的かつ学びの多い環境といえるでしょう。

病院の介護士(看護助手)として働くデメリット
病院での勤務は、安定性や医療知識の習得など多くの利点がありますが、その一方で特有の課題やストレス要因も存在します。ここでは、代表的なデメリットを3つの視点から紹介します。
スキルアップやキャリア形成の選択肢が限られる
病院で働く介護士(看護助手)は、医療知識や技術を学べるというメリットがある一方で、スキルアップやキャリアアップの機会が限られやすいというデメリットがあります。
業務内容が限定的
配属先の診療科によっては、日常的な介助業務が少なく、スキルを磨きにくいことがあります。
昇進・役職に就くチャンスが少ない
病院では、リーダー職や管理職のポストが少なく、昇格・給与アップにつながる明確なキャリアパスが描きづらい傾向があります。
介護職としての成長機会が乏しい
介護施設のようにケアマネジャーや管理職へのステップアップが用意されているわけではなく、成長の方向性が限られることもあります。
主体的に動きにくく、裁量が制限される
病院では医師や看護師の指示に従う業務体制が基本となり、介護士(看護助手)が自らの判断で動く場面は少ない傾向にあります。
医療職の指示が優先
安全管理や治療方針を最優先するため、介護士(看護助手)はあくまで補助的な役割として位置づけられます。
医療行為ができない範囲の限界
介護士(看護助手)は注射・投薬などの医療行為はできず、生活援助や環境整備が中心。業務が単調に感じることもあります。
業務分担が厳密
医療チーム内での役割が明確に決まっており、柔軟な提案や改善活動に関わる機会が少ない点もデメリットです。
出典:ちくさ病院
医師や看護師との人間関係にストレスを感じやすい
病院では多職種連携が欠かせませんが、その中で医師・看護師との上下関係やコミュニケーションの難しさがストレス要因となることがあります。
上下関係が明確
指示を受けて動く立場であるため、意見が通りにくかったり、自分の働きが正当に評価されていないと感じることがあります。
報連相のプレッシャー
忙しく緊迫した現場では、報告のタイミングや伝え方に細心の注意が必要で、精神的な負担が大きくなりがちです。
業務範囲・認識のズレ
医療職と介護職で専門領域が異なるため、業務の押し付け合いや誤解が生まれやすく、関係性がギクシャクすることもあります。

病院勤務の介護福祉士は「つまらない」「いらない」と言われる理由
病院勤務の介護福祉士に対して、「つまらない」「いらない」といった否定的な声が聞かれることがあります。
その背景には、医師や看護師の指示に従う業務が多く、介護士(看護助手)としての専門性や裁量が発揮しにくい職場環境があるためです。
介護施設と異なり、自発的なケアの提案やレクリエーションの企画などに関わる機会が少なく、やりがいや達成感を感じにくいと感じる人もいます。
また、医療スタッフ中心の組織構造の中で、介護福祉士の役割が十分に評価されにくいと感じることも理由の一つです。
ただし、医療現場での経験はスキル向上につながり、長期的なキャリア形成に活かせる可能性もあります。
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病院勤務の介護士(看護助手)への不安
病院勤務の介護士(看護助手)は、身体的にも精神的にも負担が大きいと感じる人が少なくありません。
入院患者の移乗や排泄介助、清拭などの身体介護に加え、ナースコール対応や医師・看護師からの急な指示にも迅速に対応する必要があります。
業務はシフト制で夜勤が含まれることもあり、不規則な生活リズムになりやすい点も負担の一因です。
また、医療チームの一員として働く中で、専門的な知識や報連相の正確さも求められ、プレッシャーを感じる場面も多くあります。
ただし、その分医療の知識を深められる機会もあり、スキルアップを目指す人にとっては成長できる環境とも言えるでしょう。
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病院勤務に向いている介護士(看護助手)の特徴
病院で働く介護士(看護助手)には、介護施設とは異なる資質や志向が求められることがあります。ここでは、病院勤務に適した介護士(看護助手)の特徴を3つの視点から紹介します。
医療現場に関心があり、専門性を高めたい人
病院では、看護師や医師と日常的に連携しながら仕事を進めるため、医療用語や治療方針、医療機器の知識に自然と触れる機会が豊富にあります。
介護施設と比べて、より多くの医療的な学びが得られる環境です。
患者の病状や回復過程を間近で見ることができ、医療への興味がある方には刺激的で学びの多い職場と言えるでしょう。
将来的にキャリアチェンジを目指している人
病院勤務は、看護師やリハビリ職、ケアマネジャーなど、医療・福祉分野でのキャリアアップを視野に入れている方にも適しています。
日々の業務を通じて医療現場の経験を積み、医療用語や治療の流れなどの基礎知識を自然に身につけることができます。
近年は、介護福祉士から看護師へのダブルライセンスを目指す人も増加しており、病院には進学や資格取得を支援する制度が整っているケースも。働きながらキャリアチェンジを実現しやすい環境が整っています。
チーム医療の中で安心して働きたい人
医師や看護師が常駐している病院では、急変時の対応や判断をすぐに医療職に任せることができ、介護士(看護助手)は自身の業務に集中できます。
役割分担も明確で、医療的判断を求められることは基本的にありません。困ったときにはすぐに相談できる体制が整っており、精神的な負担も軽減されます。
また、医療職が常にそばにいることで、患者やその家族にも大きな安心感を提供でき、介護士(看護助手)としても安定した気持ちでケアに取り組めます。

まとめ
病院で働く介護士は、入院患者の介助や環境整備、看護師のサポートなど、医療現場ならではの業務を担います。
介護施設と比べると、自ら判断して動く場面は少ない一方、医師や看護師と連携しながらチームで動く安心感があります。
給料はやや低めですが、福利厚生の充実や医療知識の習得など、病院勤務ならではのメリットも多くあります。
一方で、スキルアップの機会や裁量に物足りなさを感じることも。未経験や無資格でもスタートできる職場があるため、医療や病院の雰囲気に興味がある方にとっては、キャリアの選択肢として検討する価値がある職場だと言えるでしょう。
よくある質問
Q.看護助手と看護師や准看護師の違いは何ですか
看護助手は基本的に資格不要で働けますが、医療行為(採血・注射・服薬介助など)はできません。看護師や准看護師は国家資格が必要で、直接的な医療ケアができます。
Q.看護助手が担当する主な仕事は何ですか?
ベッドメイキングや環境整備、患者さんの身体の清潔ケア、食事や入浴・移動の補助、診察・検査時の移動サポートなどです。医療現場で看護師を支える役割です。
Q.看護助手がしてはいけないことはありますか?
採血や注射、点滴の管理・投与、医療用薬の投与や服薬介助など、「医療行為」に該当することは行えません。
Q.仕事はきつい(大変)ですか?
身体介護や排せつ介助、夜勤対応、患者さん・看護師との人間関係などで大変と感じる声もありますが、業務に慣れるにつれやりがいを感じる人も多いです。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
