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- シルバーハウジングの仕組みを知りたい人制度の特徴や生活援助員(ライフサポートアドバイザー)の役割、どんな人が対象なのかを知りたい方
- 入居条件や家賃について詳しく知りたい人年齢や収入制限、減免制度など、入居前に押さえておきたい情報を探している方
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など他の選択肢と迷っている人シルバーハウジングとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の違いを理解し、自分に合った住まいを選びたい方
- 今後入居を検討している高齢者やその家族地域別の探し方や申し込み方法、将来的な住み替えまで考えたい方

シルバーハウジングは廃止された?問題点は?
シルバーハウジングは制度として廃止されたわけではありませんが、現在では新規物件の供給が減少傾向にあります。
背景には、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への制度一本化や、自治体による事業見直しの影響があります。
主な課題として、空室不足や募集枠の縮小、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)の人材確保の難しさ、制度の分かりにくさなどが挙げられます。
利用を検討する際は、地域の最新情報を確認し、他の高齢者住宅との比較も視野に入れることが重要です。
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シルバーハウジングの概要と特徴
ここでは、シルバーハウジングの仕組みや特徴について解説します。
制度が生まれた背景や法的根拠、住宅設備、生活援助員の支援体制を理解することで、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との違いも把握しやすくなるでしょう。
シルバーハウジングとは?制定の背景と根拠法
シルバーハウジングは、高齢者が自立した生活を維持しながら安心して暮らせるように設計された公営住宅の一種です。主に自治体が管理・運営しています。
出典:シルバーハウジング、LSA|一般財団法人高齢者住宅財団
出典:高齢者世話付住宅(シルバーハウジング)生活援助員派遣事業の実施について|厚生労働省
1980年代以降、急速な高齢化の進行に伴い、独居高齢者が増加し、地域での見守りや日常生活支援の必要性が高まりました。こうした社会状況を背景に、地域福祉施策の一環として制度化されました。
法的には、公営住宅法(昭和26年法律第193号)を根拠とし、各自治体が条例で住宅仕様や生活援助員(ライフサポートアドバイザー)の配置基準を定めています。
また、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号)とも関連しており、厚生労働省が推進する高齢者居住安定施策の一環として位置付けられています。
出典:高齢者の生活特性に配慮した公営住宅において高齢者に対する福祉サービスを提供するために整備された高齢者生活相談所及びLSA専用住戸の利用状況について|会計検査院
住宅仕様と生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による支援内容
シルバーハウジングの住宅は、バリアフリー仕様で高齢者が安全に暮らせるよう設計されています。生活援助員(ライフサポートアドバイザー)が常駐または巡回し、安否確認や生活相談、緊急時対応を行うのが特徴です。
医療や介護が必要になった場合は、地域包括支援センターや介護サービス事業者と連携して必要な支援につなげます。
出典:シルバーハウジング、LSA|一般財団法人高齢者住宅財団
【住宅仕様(例)】
- 段差をなくした床や廊下
- 手すり付きのトイレ・浴室・廊下
- 車椅子対応のトイレや浴室
出典:シルバーハウジング、LSA|一般財団法人高齢者住宅財団
【生活援助員(ライフサポートアドバイザー)の役割(例)】
- 日常の安否確認と健康相談
- 緊急時対応や救急搬送の手配
- 地域包括支援センターや介護事業者への連絡・橋渡し

シルバーハウジングの入居条件
ここでは、シルバーハウジングを利用するための主な入居条件について解説します。
年齢、収入、世帯構成といった基本的な要件に加え、障がい者世帯が入居できるケースについても触れています。また、地方公共団体やUR都市機構(独立行政法人都
年齢・収入・世帯構成の条件
シルバーハウジングは、公営住宅法(昭和26年法律第193号)に基づいて整備される高齢者向け公営住宅で、原則60歳以上の自立した生活が可能な高齢者が対象です。
出典:シルバーハウジング、LSA|一般財団法人高齢者住宅財団
高齢者夫婦や高齢者を含む家族世帯も条件を満たせば入居できます。
収入面では、公営住宅と同様に政令で定められた所得基準が適用され、これを超える場合は入居できません。内閣府男女共同参画局の「シルバーハウジングと高専賃の対象者の収入の区分けについて」によると、公営住宅の入居収入基準は15.8万円/月です。この金額は地方公共団体の判断で高齢者、障がい者の入居収入基準を最大21.4万円/月まで上げることが可能です。
また、健康状態や日常生活で生活援助が必要と認められることが条件となるため、入居前に自治体が実施する審査を受ける必要があります。詳細は自治体ごとに異なるため、募集要項をしっかりとチェックしましょう。
入居の主な条件
- 【年齢】原則60歳以上
- 【世帯構成】単身、高齢者夫婦、高齢者を含む家族世帯
- 【収入】公営住宅法に基づく所得制限
- 【健康状態】自立生活が可能で、生活支援が必要と認められる
障がい者世帯が入居できるケース
シルバーハウジングは本来、高齢者向けに設計された住宅ですが、一定の条件を満たす障がい者世帯も入居が認められる場合があります。
たとえば、高齢者と同居する身体障がい者や知的障がい者がいる世帯や、障がい者本人が高齢で自立した生活は可能でも、日常生活上の支援が必要と判断されるケースなどが該当します。
出典:シルバーハウジング、LSA|一般財団法人高齢者住宅財団
なお、適用条件は自治体によって異なり、公営住宅法や自治体の条例に基づいて特例が設けられていることもあります。
入居を希望する方は、事前に福祉部門や住宅供給担当課に相談し、必要書類や支援体制の確認を行うことが推奨されます。
入居対象となる主なケース
- 高齢者と障がい者が同居する世帯
- 障がい者本人が高齢で生活支援が必要と認められる場合
- 自治体条例で福祉施策として特例が認められる場合
地方公共団体とUR運営で異なる条件
シルバーハウジングは、地方公共団体が管理する公営住宅とUR都市機構(独立行政法人都市再生機構)が運営する物件で入居条件が異なります。
出典:企業情報|UR都市機構
地方公共団体の物件は公営住宅法に基づいており、低所得高齢者を優先するため所得基準が厳格で、家賃も公営住宅基準に準じ比較的低額です。
一方、UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)が運営する物件は所得制限が比較的緩やかで、中堅所得層や元気な高齢者も対象となる場合があります。
また、家賃や敷金の設定はUR都市機構(独立行政法人都市再生機構)の方が高めに設定される傾向があり、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)の配置頻度も自治体運営の常駐型に対し、UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)では巡回型が多いのが特徴です。
入居を検討する際は、自身の収入や生活状況に合わせて、管理主体ごとの条件やサービス内容を比較することが重要だと言えるでしょう。

シルバーハウジングの家賃と入居費用
ここでは、シルバーハウジングの家賃や入居時に必要な費用について解説します。
「公営住宅とUR都市機構運営物件で異なる家賃の目安」「敷金などの初期費用」「月額費用の内訳」「家賃減免制度」など、入居前に知っておくべきポイントをまとめました。
公営住宅とUR運営で異なる家賃の目安
シルバーハウジングの家賃は、管理主体によって大きく異なります。地方公共団体が管理する公営住宅では、公営住宅法(昭和26年法律第193号)に基づき、所得水準に応じた家賃が設定されます。
所得が一定基準以下の方ほど家賃が抑えられ、月額1万〜4万円程度が目安です。一方、UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)が運営する物件は、民間賃貸に近い水準で、月額5万〜9万円程度が多く見られます。
UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)の物件は所得制限が比較的緩やかで、中程度の所得がある方や、比較的自立した生活が可能な高齢者を対象とすることが多いのが特徴です。また、間取りが広めで、設備が新しい物件も多い点が魅力といえるでしょう。
ライフスタイルや収入状況に合わせて、管理主体ごとの家賃相場や条件を比較しておくことが大切です。
家賃の目安(管理主体別)
管理主体 | 家賃の目安 | 所得条件 | 主な特徴 |
---|---|---|---|
公営住宅 | 1万〜4万円 | 所得水準に応じて決定(公営住宅法に準拠) | 所得が一定基準以下の高齢者の方に配慮 |
UR都市機構(独立行政法人都市再生機構) | 5万〜9万円 | 所得制限は比較的緩やか | 設備が新しく、住環境も良好 |
初期費用・月額費用と家賃減免制度
入居時には、家賃のほかに敷金や共益費が必要です。
公営住宅は公営住宅法施行令に基づき敷金の納付が義務付けられており、礼金や仲介手数料は不要とされています。UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)の物件も礼金・仲介手数料は不要ですが、敷金が必要です。
公営住宅では所得に応じた家賃減免制度があり、生活保護世帯や低所得世帯が大幅に減額される場合もあります。
減免の有無や条件は自治体によって異なるため、詳細は自治体の募集要項や公式サイトで確認することが重要です。UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)の物件には公的な家賃減免制度は設けられていませんが、自治体独自の補助が適用される場合もあります。
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シルバーハウジングの申し込み方法と入居までの流れ
ここでは、シルバーハウジングを申し込む際の手続きと入居までの流れについて解説します。
役所やUR都市機構(独立行政法人都市再生機構)への問い合わせ方法、必要書類、空室情報の確認、抽選や先着順の違いを理解しておくことで、入居準備がスムーズに進められるでしょう。
役所・UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)への問い合わせと必要書類
シルバーハウジングの申し込み窓口は、管理主体によって異なります。公営住宅は市区町村の住宅担当課や福祉課が窓口となり、UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)の物件は営業センターや公式サイトから申し込みが可能です。
提出書類は自治体やUR都市機構(独立行政法人都市再生機構)によって異なるため、事前に募集要項を確認することが大切です。一般的には、本人確認や所得、健康状態を示す書類が必要とされます。
申し込み窓口と問い合わせ先
- 【公営住宅】市区町村の住宅担当課または福祉課
- 【UR都市機構】最寄りの営業センター、または公式サイト
出典:エステート千歳希望ヶ丘【シルバーピア(高齢者向け住宅)】 団地のくらし|UR都市機構
必要書類の例
- 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 所得証明書(課税証明書、年金証書など)
- 健康状態に関する書類(診断書、健康診断結果など、支援が必要と認められる場合)
- 同居予定者の住民票や収入証明書
抽選・先着順の違いと空室情報の確認方法
シルバーハウジングの入居者の募集方法には、抽選制と先着順があります。
公営住宅は応募者が多い場合、抽選で入居者を決定することが多いです。一方、UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)では空室があれば先着順で申し込みを受け付ける傾向にあります。
空室情報は自治体やUR都市機構(独立行政法人都市再生機構)の公式サイト、営業センターで確認でき、最新情報をこまめにチェックしておきましょう。
項目 | 公営住宅(地方公共団体) | UR都市機構((独立行政法人都市再生機構)) |
---|---|---|
募集方法 | 抽選制(応募多数時に実施) | 先着順(空室があれば即時申込可) |
目的 | 公平性の確保 | 迅速な入居促進 |
空室情報の確認方法 | - 自治体の公式サイト- 広報誌- 住宅担当課窓口 | - UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)公式サイト- 営業センター(窓口・電話) |
特徴 | 募集時期が限定されることが多い | 空室があれば通年受付されることが多い |

生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による支援サービス
ここでは、シルバーハウジングにおける生活援助員(ライフサポートアドバイザー)が提供する支援サービスについて解説します。
日常の安否確認や生活相談、緊急時の対応に加え、入居者が介護を必要とするようになった場合の対応方法もまとめました。
安否確認・生活相談・緊急時対応の内容
シルバーハウジングでは、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)が入居者の安全と安心を支える役割を担っています。日常的には安否確認を行い、体調や生活状況の変化を把握します。
生活相談では、健康や家事、地域サービスの利用方法など生活全般の相談を受け、必要に応じて地域包括支援センターや医療機関と連携を図ることも重要です。
緊急時には救急搬送の要請や家族への連絡を行い、迅速な対応に努めます。
なお、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)は介護職員ではないため、身体介護などの直接的な介護サービスは行いませんが、入居者が安心して自立生活を続けられるよう見守り役として重要な役割を果たしています。
介護が必要になった場合の対応方法
入居後に介護が必要となった場合、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)は入居者の状況を確認し、地域包括支援センターやケアマネジャー、訪問介護事業所など専門機関へつなぐ役割を担います。
介護サービスを直接提供するわけではありませんが、介護保険制度の利用方法や事業所の紹介、申請手続きの相談に応じることが可能です。
また、必要に応じてケアプラン作成の支援をケアマネジャーに依頼します。
介護度が重くなり、自宅での生活継続が難しいと判断された場合には、特別養護老人ホームなど施設入所の選択肢について情報提供を行い、入居者や家族が適切な支援を受けられるようサポートします。

シルバーハウジングのメリット・デメリット
ここでは、シルバーハウジングに入居する際のメリットとデメリットについて解説します。
安心して自立生活を送れる理由や見守り体制などの利点、入居条件や利用上の注意点もまとめました。
【メリット】安心して暮らせる
シルバーハウジングの大きな特長は、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による見守り体制にあります。定期的な安否確認や生活相談を受けられるため、一人暮らしの高齢者でも安心して自立した生活を続けやすい環境が整っています。
住宅はバリアフリー設計で、手すりの設置や車椅子対応の設備など、安全性にも配慮されていることも嬉しいポイントです。
また、公営住宅法に基づく家賃設定がされており、所得に応じた家賃減免制度が適用される場合もあります。
さらに、地域包括支援センターや医療機関と連携しやすい体制が整っており、必要な支援につながりやすいのも大きなメリットと言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
見守り体制 | 生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による安否確認・生活相談で安心感を提供 |
安心の住環境 | バリアフリー設計、手すり、車椅子対応設備など安全性に配慮 |
経済的負担の軽減 | 公営住宅基準の家賃設定+所得に応じた減免制度あり |
地域連携 | 地域包括支援センターや医療機関との連携がしやすい |
【デメリット】入居が難しい
シルバーハウジングにはいくつかの課題もあります。入居条件は「原則60歳以上で自立生活が可能な高齢者」に限られているため、要介護度が高い場合は入居できない可能性があります。
また、物件数が限られているため、募集時には抽選制が多く、希望しても待機となるケースも少なくありません。
共益費が通常の公営住宅より高めになることがあり、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)は介護職員ではないため、介護が必要な場合は外部の介護サービスを別途利用する必要があります。
入居前に、条件や費用、介護サービスの利用方法を十分に確認することが大切です。
項目 | 内容 |
---|---|
入居条件の制限 | 原則60歳以上かつ自立生活が可能な高齢者に限定されている |
物件数の少なさ | 抽選制が多く、希望してもすぐに入居できない場合がある |
費用面の負担 | 共益費が一般の公営住宅より高い場合がある |
介護サービスの不足 | 生活援助員(ライフサポートアドバイザー)は介護職員ではなく、必要な介護は外部サービスを利用する必要がある |

シルバーハウジングとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の違い
ここでは、シルバーハウジングとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の違いについて解説します。
運営主体や入居条件、家賃、自立度や介護体制を比較し、自分に合った住まいを選ぶ際の参考になるポイントをまとめたのでぜひチェックしてみてください。
運営主体・入居条件・家賃の違い
シルバーハウジングは、公営住宅法(昭和26年法律第193号)に基づき、自治体や住宅供給公社が運営する公的住宅です。入居対象は原則60歳以上で自立生活が可能な高齢者で、所得制限があり、公営住宅基準に準じた家賃が設定されています。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は民間事業者や社会福祉法人などが運営し、入居条件は概ね60歳以上で、所得制限はありません。家賃は民間賃貸住宅に近い水準が一般的ですが、物件ごとに大きく異なります。
シルバーハウジングは経済的負担が抑えられる一方、物件数が限られているため抽選制が多く、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は空室があれば先着順で入居できる点が特徴です。
項目 | シルバーハウジング | サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) |
---|---|---|
運営主体 | 自治体、住宅供給公社 | 民間事業者、社会福祉法人 |
入居条件 | 原則60歳以上、所得制限あり | 概ね60歳以上、所得制限なし |
家賃 | 公営住宅基準、減免制度あり | 民間賃貸に近い水準(物件により差あり) |
入居方法 | 抽選制が多い | 空室があれば先着順 |
出典:シルバーハウジング、LSA|一般財団法人高齢者住宅財団
出典:シルバーハウジング、LSA|一般財団法人高齢者住宅財団
出典:都営住宅の入居資格(単身者向シルバーピア)|東京都住宅政策本部
自立度や介護体制の違いと選び方のポイント
シルバーハウジングは、自立生活を前提としており、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による安否確認や生活相談が主な支援です。介護サービスは外部の訪問介護事業所などを個別に利用する必要があり、要介護度が高くなると継続入居が難しい場合があります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は介護職員の配置義務はありませんが、訪問介護やデイサービスなど外部サービスとの連携が前提となり、将来的な介護利用を見据えた選択が可能です。
経済負担を抑えたいか、将来的に介護利用を想定するかなど、自分の健康状態や介護ニーズを踏まえて検討することが重要だと言えるでしょう。
項目 | シルバーハウジング | サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) |
---|---|---|
自立度 | 自立生活が前提 | 自立~軽度要介護まで対応可 |
見守り体制 | 生活援助員(ライフサポートアドバイザー)が安否確認・相談 | スタッフが常駐、外部介護サービス利用前提 |
介護対応 | 外部介護サービスを個別契約 | 訪問介護・デイサービスとの連携が一般的 |
適する人 | 自立生活が可能、費用を抑えたい人 | 将来の介護利用を見据える人 |
出典:サービス付き高齢者向け住宅とは?老人ホームとの違い・費用相場・入居条件・サービス内容などを解説|UR都市機構

シルバーハウジングの現状と今後の見通し
ここでは、シルバーハウジングの現状と今後の見通しについて解説します。
空き部屋不足や新規物件が増えない背景、将来的な制度見直しや廃止の可能性、今後求められる方向性について網羅的にまとめました。
空き部屋不足と新規物件が増えない理由
シルバーハウジングは、1980年代に高齢化対策として本格的に整備が進められましたが、現在は全国的に物件数が限られており、空き部屋不足が深刻化しています。
主な理由として、まず公営住宅法に基づく整備には自治体の財政負担が大きく、新規建設が進みにくい点が挙げられます。
また、近年はサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など民間主導の住宅が普及し、自治体が新規整備よりも既存住宅の維持管理を優先する傾向が強まっています。
入居希望者の増加に比べて供給が追いつかず、抽選倍率が高くなるケースが多いこと、都市部と地方で供給格差が広がっていることも課題です。
廃止の可能性と今後の方向性
シルバーハウジングがすぐに廃止される予定はありませんが、今後の方向性として見直しが進む可能性があります。
国土交通省や厚生労働省の資料では、自治体が新規建設を抑制し、既存住宅の長寿命化や地域福祉施設との複合活用を進める方針が示されています。
また、介護ニーズの多様化に伴い、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や地域包括ケアシステムなど他サービスとの連携が重要視されています。将来的には、見守り機能や介護支援を充実させた民間住宅の活用が進むと考えられます。
ただし、低所得高齢者向けの公的住宅としての役割は依然として重要であり、入居者ニーズに合わせた改修や生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による支援体制の強化が課題となっています。

地域別シルバーハウジングの探し方
ここでは、地域ごとにシルバーハウジングを探す方法について解説します。
東京都や川崎市、千葉県など、自治体ごとに情報提供の方法や申し込み手順が異なるため、主な窓口や注意点について解説します。
東京都でのシルバーハウジング情報の入手方法
東京都でシルバーハウジングを探す際は、東京都住宅供給公社および各区市町村の住宅担当課が主な情報源です。
公社では「シルバーピア事業」として高齢者向け住宅を管理しており、空室状況や募集時期を公式サイトで公表しています。
募集は年度ごとに行われるケースが多く、抽選制が基本です。申し込みには住民票や所得証明書、健康状態を示す書類が必要で、募集開始前に要項を確認することが大切です。
各区市町村の高齢福祉課や役所窓口でも募集情報が掲示されるため、直接問い合わせるのも有効だと言えるでしょう。
東京都で情報を得る主な方法
- 【東京都住宅供給公社公式サイト】シルバーピア事業の空室・募集情報を確認
- 【各区市町村の住宅担当課・高齢福祉課】役所窓口や掲示板で情報提供
- 【募集時期】年度ごと、抽選制が多い
- 【必要書類】住民票、所得証明書、健康状態に関する書類
川崎市や千葉での申し込み手順
川崎市や千葉県でシルバーハウジングを申し込む場合も、自治体の住宅供給部門が主な窓口となります。川崎市では川崎市住宅供給公社が管理しており、公式サイトで募集情報を確認できます。抽選制が基本で、募集は不定期です。
千葉県では、市町村や県が管理する県営住宅扱いの物件が多い一方、千葉市の場合は千葉市住宅供給公社が高齢者向け住宅(シルバーピアなど)を管理しています。
募集時期や受付方法は市町村ごとに異なるため、公式サイトや窓口で事前確認が必要です。申し込みには住民票、所得証明書、健康診断書などが求められる場合があり、地域によって生活援助員(ライフサポートアドバイザー)の配置や家賃設定が異なるケースもあります。役所窓口や電話で相談することが推奨されます。
地域 | 管理主体 | 募集方法 | 注意点 |
---|---|---|---|
川崎市 | 川崎市住宅供給公社 | 不定期募集、抽選制 | 公式サイトを定期確認 |
千葉市 | 千葉市住宅供給公社 | 募集は不定期、抽選制が多い | 公式サイト・窓口で要確認 |
千葉県(その他市町村) | 県・市町村住宅課 | 市町村ごとに異なる、抽選制が多い | 募集要項を事前確認、窓口相談が有効 |

シルバーハウジング入居後の暮らしと注意点
ここでは、シルバーハウジング入居後の暮らしにおけるポイントについて解説します。
入居後に起こりやすいトラブルとその対処法、近隣住民やコミュニティとの関わり方を整理し、安心して生活を続けるための注意点をまとめます。
入居後によくあるトラブルと対処法
シルバーハウジング入居後には、生活音や共用スペース利用に関する近隣トラブル、設備不具合や修理対応の遅れなどが発生する場合があります。これらを防ぐには、まず自治体や管理公社が定めるルールを遵守することが基本です。
トラブルが起きた際には直接相手と話すのではなく、管理担当者や生活援助員(ライフサポートアドバイザー)を通じて相談するのが望ましい方法です。設備不具合は自己判断で対応せず、速やかに管理窓口へ連絡する必要があります。
健康面や生活上の不安がある場合は、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)に相談し、必要に応じて地域包括支援センターにつないでもらうことで、適切な支援を受けやすくなります。以下は、シルバーハウジング入居後に発生しやすいトラブルと、その対処法を整理した表です。
トラブルの種類 | 内容 | 主な対処法 |
---|---|---|
生活音・共用スペースのトラブル | 隣人との生活音や共用スペースの使い方をめぐる問題 | 自治体や管理公社のルールを守り、直接対話せずに管理担当者や生活援助員(ライフサポートアドバイザー)に相談する |
設備不具合・修理の遅れ | トイレ・水道・緊急通報装置などの不具合や対応の遅れ | 自己判断で修理せず、速やかに管理窓口へ連絡する |
健康面や生活の不安 | 体調不良や生活上の悩み、将来的な不安など | 生活援助員(ライフサポートアドバイザー)に相談し、必要に応じて地域包括支援センターにつないでもらう |
近隣住民・コミュニティとの関わり方
シルバーハウジングでは、共用スペースや自治体主催のイベントを通じて入居者同士が交流できます。近隣住民との良好な関係は、防災時や緊急時の助け合いにも役立つため、日頃からあいさつや簡単な会話を心がけるとよいでしょう。
ただし、過度に干渉せず、プライバシーを尊重することが重要です。自治体や管理公社が開催する交流会や健康講座への参加は、孤立防止や生活情報の入手にも役立つでしょう。
ゴミ出しや共用スペースの利用ルールを守ることが、トラブルを避け、信頼関係を築く上で大切です。
以下では、シルバーハウジングで良好な近隣関係を築くために心がけたい行動や態度をまとめたのでぜひチェックしてみてください。
項目 | 内容 |
---|---|
あいさつや会話を心がける | 日頃の交流が、防災・緊急時の助け合いにつながる |
プライバシーを尊重する | 過度な干渉は避け、適度な距離感を保つ |
イベント・交流会に参加する | 孤立の防止や生活情報の共有に役立つ |
共用部分のルールを守る | ゴミ出しや騒音マナーなど、日常のルールを遵守する |
地域包括支援センターと連携する | 必要な福祉・介護支援につながりやすくなる |

シルバーハウジングの選び方と失敗しないポイント
ここでは、シルバーハウジングを選ぶ際に失敗しないためのポイントについて解説します。
見学時に確認すべき設備や周辺環境、他の公営住宅やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と比較する際の判断基準を整理します。
見学時にチェックすべき設備と環境
シルバーハウジングを選ぶ際は、事前の見学が重要です。特に住戸内のバリアフリー設備は、安全に生活するうえで優先的に確認すべきポイントだと言えるでしょう。
段差の有無や手すりの設置状況、車椅子が通れる廊下やトイレが整っているかなどは、将来的な転倒予防にもつながります。
また、共用部分のエレベーターや廊下の広さ、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)の配置状況、緊急時の連絡体制などもチェックしておきましょう。
周辺に病院やスーパーがあるか、公共交通機関を利用しやすいかなど、日常生活や通院の利便性も考慮する必要があります。可能であれば複数物件を見学し、実際の生活を想定しながら比較検討することを推奨します。
■見学時に必ず確認したいポイント
- 【住戸内設備】段差の有無、手すり設置、車椅子対応の廊下やトイレ
- 【共用部分】エレベーターの有無、共用廊下や玄関ホールの広さ
- 【生活援助体制】援助員の常駐・巡回頻度、緊急時の連絡体制
- 【周辺環境】病院やスーパー、公共交通機関へのアクセス
- 【地域支援】地域包括支援センターや介護事業所との連携状況
他の公営住宅やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と迷ったときの判断基準
シルバーハウジングは、公営住宅の一種で家賃が比較的低く設定されている一方、介護が必要になった場合は外部サービスの利用が前提です。
一方、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は家賃がやや高い傾向にありますが、訪問介護やデイサービスなど外部介護サービスと連携しやすく、将来的に介護が必要になった際に安心感があります。
判断基準としては、現在の健康状態と将来の介護ニーズ、経済的負担、支援体制を総合的に検討することが大切です。
自立生活が可能で家賃を抑えたい場合はシルバーハウジングが適しており、介護が必要になる可能性が高い場合はサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を検討する方が安心です。
迷ったときは地域包括支援センターなど公的な相談窓口に相談し、長期的な視点で住まいを選ぶことが推奨されます。
■シルバーハウジングとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の比較ポイント
- 【現在の健康状態】自立生活が可能か、介護が必要か
- 【将来の見通し】今後介護サービスを利用する可能性
- 【経済面】家賃や共益費の負担額
- 【支援体制】生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による見守りか、介護職員配置か
- 【地域支援】地域包括支援センターへの相談体制

シルバーハウジングをやめた人の理由と他の選択肢
ここでは、シルバーハウジングを退去した人の主な理由と、代わりに選ばれることが多い住まいについて解説します。
退去に至る経緯を知ることで、将来の住まい選びの参考にしてみてくださいね。
退去理由として多いケース
シルバーハウジングを退去する理由として多いのは、介護が必要になったことです。シルバーハウジングは自立生活を前提としており、要介護度が高くなると、外部の訪問介護やデイサービスを利用しても生活が難しくなる場合があります。
また、医療的ケアが必要になった場合も、施設内で十分な支援が受けられず、医療体制が整った施設への転居が必要となるケースがあります。
家族の事情や生活環境の変化も理由の1つです。家族の近くで暮らすために別の施設へ移る人や、より手厚い見守り体制や交流機会を求めて他の高齢者住宅を選ぶ人もいます。
入居前には、健康状態の変化や介護が必要になった場合の選択肢をあらかじめ想定することが大切です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)・民間高齢者住宅への移行例
シルバーハウジング退去後の移行先として多いのは、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や民間の有料老人ホームです。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、訪問介護やデイサービスなど外部介護サービスとの連携がしやすく、将来的に介護が必要になる可能性が高い人に選ばれています。
医療的ケアが必要な場合は、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームへの移行が一般的です。
また、家族の希望やサポート体制を重視し、家族の自宅近くの高齢者向け住宅に移るケースも見られます。
シルバーハウジングからの退去を検討する際には、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、介護度や医療ニーズ、家族との距離などを考慮して最適な住まいを選ぶことが推奨されます。

まとめ
シルバーハウジングは、自治体が運営する高齢者向け公営住宅で、60歳以上の自立生活が可能な高齢者を主な対象としています。
バリアフリー設計や生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による安否確認・生活相談が整っており、一人暮らしでも安心して生活できる環境が特徴です。家賃は公営住宅基準に基づき、所得に応じて減免が適用される場合もあります。
一方で、要介護度が高くなると外部介護サービスだけでは生活が難しく、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や介護付き有料老人ホームへ住み替えるケースも少なくありません。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は家賃が高めですが、訪問介護やデイサービスとの連携がしやすく、将来の介護ニーズに対応しやすい点がメリットです。
入居を検討する際は、健康状態や将来の介護ニーズ、経済的負担を総合的に判断し、地域包括支援センター等に相談することが重要です。
よくある質問
Q.シルバーハウジングはいつ制定された?
1980年代後半に公営住宅法に基づいて整備が始まりました。
高齢化に伴い独居高齢者が増加し、見守りや生活支援が求められるようになったことが背景です。国土交通省や自治体が連携し、高齢者向けの公的住宅として普及しましたが、現在は新規建設より既存住宅の維持管理が中心です。
Q.シルバーハウジングは何歳から入居できる?
シルバーハウジングは原則60歳以上の自立生活が可能な高齢者が対象です。
自治体により、高齢者夫婦や高齢者を含む家族世帯、障がい者世帯が特例として入居可能な場合もあります。条件は自治体ごとに異なるため、募集要項を必ず確認しましょう。
Q.シルバーハウジングは要介護でも入居できる?
シルバーハウジングは要介護度が軽ければ入居可能ですが、重度の場合は難しいかもしれません。
シルバーハウジングは自立生活を前提としており、医療的ケアが必要な人は介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が適しています。軽度の要介護者は、訪問介護など外部サービスを利用しつつ入居可能な場合があります。
Q.シルバーハウジングはいくらかかる?
シルバーハウジングの家賃は所得に応じて異なり、月1万~4万円程度が目安です。
公営住宅法に基づき、所得階層別に家賃が設定されています。敷金は家賃の2~3か月分が必要で、礼金や仲介手数料は不要な場合が多いです。共益費として数千円が必要なケースもあります。詳細は自治体へ確認しましょう。
Q.サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への住み替えは可能?
介護が必要になればシルバーハウジングからサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への住み替えは可能です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は訪問介護やデイサービスなど外部介護サービスとの連携がしやすく、介護ニーズが高まった際に選ばれるケースが多いです。住み替えを検討する際は、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談することが推奨されます。
Q.シルバーハウジングとは何ですか?
シルバーハウジングは、自治体が運営する高齢者向け公営住宅です。
バリアフリー設備が整い、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)が安否確認や緊急時対応を行います。自立生活が可能な高齢者の安心した暮らしを支える住宅です。
Q.シルバーハウジングとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の違いは何ですか?
シルバーハウジングとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、費用と介護体制が大きく異なります。
シルバーハウジングは家賃が低く自立生活向けですが、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は家賃が高めで介護サービスとの連携が前提です。将来的に介護が必要な場合はサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が適しています。
Q.シルバーハウジングの要件は?
シルバーハウジングは、60歳以上で自立生活が可能な高齢者が主な対象です。
所得制限があり、自治体により高齢者夫婦や障がい者世帯が特例で入居できる場合があります。詳細は各自治体へ確認が必要です。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
