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公益社団法人の仕組みを知りたい方「公益社団法人と一般社団法人の違いは?」「どういう団体が該当するの?」と基本から理解したい方。
公益社団法人の設立を検討している団体関係者団体にとって公益認定を受けるメリットやデメリットを把握し、設立の可否を判断したい方。
法人格を活用して信頼性を高めたい方非営利活動や社会貢献事業を行う中で、法人格による社会的信用や税制優遇に関心がある方。
キャリアや研究の一環で制度を学びたい方行政書士・社労士などの専門職や、大学・大学院で公益法人制度を研究する学生・研究者の方。
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公益社団法人とは?
公益社団法人とは、『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律』(平成18年法律第48号)に基づき設立された一般社団法人のうち、『公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律』(平成18年法律第49号、最終改正:令和6年法律第29号)に基づき、内閣府または都道府県の公益認定等委員会による審査を経て公益性が認められた非営利法人です。
介護・福祉領域では、訪問介護事業の運営、ケアマネジャー研修、地域包括ケアの推進、資格試験事務など、行政だけではカバーしきれない支援を担う重要な存在です。
法的定義と役割
『公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律』(平成18年法律第49号、最終改正:令和6年法律第29号、令和7年4月1日施行)に基づき、内閣府または都道府県に設置された公益認定等委員会による審査を経て、公益性が認められた法人を指します。
認定は内閣府または都道府県が行い、以下の特徴を持ちます。
- 公益目的事業を主目的とすること
- 営利を目的とせず、社会全体の利益に資すること
- 公益目的事業比率が50%以上であること(認定法第5条第8号、認定法第15条)
【公益目的事業比率の計算式】
公益目的事業比率 = (公益目的事業の事業費 ÷ 全事業の事業費) × 100
※つまり、事業全体の費用のうち、半分以上を公益目的の活動に使う必要があります。
つまり、介護や福祉の現場で「利益よりも利用者と地域の利益を優先した活動」を制度的に求められている法人と言えます。
公益法人制度の歴史
公益法人制度は、明治31年(1898年)の旧民法第34条に始まり、長く主務官庁の許可制で運営されていました。平成18年(2006年)に『公益法人制度改革三法』が成立しました。これは以下の3つの法律を指します。
- 『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律』(平成18年法律第48号)
- 『公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律』(平成18年法律第49号)
- 『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律』(平成18年法律第50号)
これらは平成20年(2008年)12月1日に施行され、従来の許可制から、登記による準則主義(一般法人)と認定制(公益法人)への二段階方式に移行しました。
制度改革のポイント
- 従来の「許可制」から、「法律に基づく認定制」へ
- 法人区分を 公益法人(公益社団・公益財団) と 一般法人(一般社団・一般財団) に再編
- 透明性と自律性が求められる仕組みに刷新
令和6年(2024年)改正と令和7年(2025年)4月施行の新制度
令和6年5月に『公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律』(令和6年法律第29号)が成立し、令和7年4月1日から施行されました。この改正により、公益法人制度はさらなる進化を遂げています。
主な改正ポイント
1.財務規律の柔軟化・明確化
・収支相償基準の見直し(公益事業の収入が費用の1.5倍を超える状態の緩和)
・遊休財産規制の柔軟化
2.行政手続きの簡素化・合理化
・認定申請書類の簡素化
・事業報告等の提出書類の削減
自律的ガバナンスの充実と透明性向上
- 外部理事・外部監事の設置義務化(ただし、収益3,000万円未満かつ費用・損失3,000万円未満の小規模法人は外部理事の設置が適用除外になります。(外部監事はすべての公益法人に必須です。)
- 関連当事者取引の情報開示強化
外部理事・外部監事の設置義務(令和7年4月施行の新制度) 公益目的事業の収益が年間3,000万円以上の公益法人は、外部理事および外部監事の設置が義務付けられました。これにより、組織運営の透明性と客観性がさらに高められます。
出典:内閣府公益認定等委員会事務局 新公益法人制度説明資料(令和6年法律第29号、令和7年4月1日施行)
出典:内閣府公益認定 等委員会事務局
出典:公益法人等制度改革特集ページ | 公益法人Information
介護・福祉分野への影響
平成20年(2008年)の制度改正により、介護・福祉分野において以下のような変化が生まれました。
具体的な変化の例
- 都道府県の介護福祉士会等の専門職団体が、一般社団法人から公益社団法人へ移行
- 社会福祉協議会の一部事業が公益認定を受けることで、寄付金控除の対象に
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)の研修実施機関が、公益法人として透明性の高い財務報告を義務化
これにより、行政の許可制から脱却し、民間主導でありながら公益性が担保された組織として、介護人材育成や地域支援事業を展開しやすくなりました。
これによって、民間のノウハウや資金力を活かした社会貢献活動が推進されやすくなっています。
公益社団法人は、民間が担う「公益のための専門組織」です。特に介護・福祉では、研修・人材育成・地域支援・資格試験など、公的サービスを補完する重要な役割を担っています。
公益社団法人の設立手続き
公益社団法人になるには、以下の2段階の手続きが必要です。
第1段階: 一般社団法人の設立
項目 | 内容 |
|---|---|
必要人数 | 社員2名以上 |
主な手続きと費用 | ・定款作成・公証人認証(認証手数料:約5万円) ・設立時社員総会の開催 ・設立登記(登録免許税:6万円) |
所要期間 | 約2週間〜1ヶ月 |
第2段階: 公益認定の申請
項目 | 内容 |
|---|---|
申請先 | 内閣府または都道府県 (事業範囲により決定) |
主な提出書類 | 定款、事業計画書、収支予算書、財産目録、役員名簿、公益目的事業の具体的内容を示す書類 |
審査期間 | 標準処理期間3ヶ月 (認定法施行規則第7条) |
認定後 | 名称変更登記 (登録免許税: なし) |
総費用目安 | 約11万円〜15万円程度(内訳:公証人認証手数料約5万円+設立登記の登録免許税6万円+その他実費)。 ただし、行政書士・司法書士等の専門家への報酬(10万円〜30万円程度)を依頼する場合は別途必要。 |
次に内閣府や都道府県へ認定申請を行い、事業計画書や財産目録等の書類をもとに、経理的基礎やガバナンス体制が厳格に審査されます。
認定後は名称変更の登記を行いますが、その後も毎年の事業報告や行政庁の監督により、高い透明性と公益性の維持が継続的に義務付けられます。
出典:内閣府公益認定 等委員会事務局
出典:公益法人制度とNPO法人制度の比較について : 公益法人と特定非営利活動法人(NPO法人) - 内閣府
出典:公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則 | e-Gov 法令検索
公益社団法人の活動内容と目的
公益社団法人は、法律で定められた学術・福祉・地域貢献など23種類の「公益目的事業」を主たる活動として設立されます。
最大の特徴は、特定の個人ではなく「不特定かつ多数の者の利益」の増進に寄与する点です。
そのため、事業費用の50%以上を公益事業に充てる必要があり、営利を目的としない厳格な運営が求められます。
高い透明性とガバナンス体制が義務付けられていることから、社会的信頼の厚い法人として、行政や民間営利企業ではカバーしきれない社会課題の解決を担っています。
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公益社団法人と一般社団法人の違い
一般社団法人と公益社団法人の決定的な違いは、行政庁から公益性の認定を受けているかどうかです。
一般社団法人は登記だけで設立できますが、公益社団法人は審査を通過しないと名乗れません。
項目 | 一般社団法人 | 公益社団法人 |
|---|---|---|
設立方法 | 登記のみで可(準則主義) | 行政庁の認定が必須(認定主義) |
公益性 | 問わない ※営利事業も可 | 必須 (公益目的事業比率50%以上) |
税制優遇 | ほぼなし (普通法人と同じ) | あり (寄付金控除、非課税枠など) |
監督 | 法令の範囲内で自主運営 | 行政庁による監督・立入検査あり |
公益認定による信頼性と社会的役割
公益社団法人は行政庁による審査を受けており、「公益」を名乗る資格が制度的に保証されている団体です。
介護・福祉の現場では、利用者や家族からの信頼が重要となるため、組織の法的ステータスが“安心材料”として強い効果を持ちます。
- 一般社団法人:信頼性は運営実績や情報公開に依存
- 公益社団法人:制度面での信用が付与される(行政の審査+監督)
つまり、同じ「非営利法人」でも、公的な信頼基盤の有無が、大きな違いとなります。
税制・寄付・事業制限の違い
一般社団法人は、事業内容・利益の使途を自由に設定できます。しかし公益社団法人は、以下の制限があります。
- 収益事業で得た利益は公益目的に使う義務がある
- 遊休財産(内部留保)をため込みすぎてはいけない
その代わりに、次の優遇措置を受けられます。
- 法人税の非課税枠
- 個人・法人からの寄付金控除の対象
一般社団法人は、事業内容を自由に決められますが、税制面での優遇はほとんどありません。
一方の公益社団法人は、公益目的の事業に制限される分、税制優遇や高い社会的信用を得られるという特徴があります。
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公益社団法人と公益財団法人の違い
同じ「公益法人」であっても、人が主役の団体(社団)と、財産を基盤とする団体(財団)では組織の性質が異なります。
介護・福祉分野で活動する際にも、この違いを理解することが重要です。
財産型(公益財団)と人の集まり型(公益社団)
項目 | 公益社団法人 | 公益財団法人 |
|---|---|---|
構造 | 人(社員)の集まり | 財産の集まり |
設立に必要なもの | 社員2名以上 | 拠出財産(最低300万円以上、定款で基本財産として定めることも可能) |
意思決定 | 社員総会で決議 | 評議員会・理事会で決議 |
主な活動例 | 専門職団体・研修・地域支援 | 助成金給付・基金運用・施設運営 |
公益社団法人は、会員や専門職が協力しながら事業を進める「人を中心とした組織」です。
一方、公益財団法人は、拠出された財産を基盤として社会貢献活動を行う「資金を軸にした組織」といえます。

公益社団法人になる条件と手続き
公益社団法人になるには、一般社団法人の設立 → 行政庁への公益認定申請という二段階の手続きが必要です。
まず一般社団法人として登記を行い、法人運営や事業内容が一定の公益性を満たしているかを審査してもらう仕組みです。
認定は内閣府または都道府県が行い、基準を満たす団体だけが「公益社団法人」を名乗ることができます。
公共性に関する基準(遊休財産規制など)
公益認定を受けるには、認定法第5条に基づく厳しい基準をクリアしなければなりません。主な要件は以下の3つです。
- 公益目的事業比率が50%以上であること
事業費の半分以上を公益事業に充てる必要があります。 - 収支相償(しゅうしそうしょう)であること(利益を出しすぎない)
収支相償の原則は、令和7年(2025年)4月の制度改正により、『中期的収支均衡原則』へと見直されました(認定法第5条第7号、公益認定等ガイドライン)。公益目的事業について、収入がその実施に要する適正な費用を著しく超えてはならないという原則は維持されていますが、単年度ではなく複数年度での収支の均衡が認められるようになりました。
- 遊休財産規制(内部留保をため込まない)
使途不特定財産額の上限(認定法第16条) 令和7年4月施行の改正により、名称が「遊休財産」から「使途不特定財産」に変更され、保有上限額の算定方法は過去5年間の公益目的事業費相当額の平均額を用いる方式に見直されました。
例えば、年間の公益目的事業費が5,000万円の場合、遊休財産として保有できるのは5,000万円までとなり、それを超える財産は公益目的に使用するか、類似の公益法人等へ贈与する必要があります。つまり、公益法人は利益をため込むのではなく、継続的に社会貢献に活用することが求められます。
ガバナンスに関する基準
公益社団法人は、公益性だけでなく運営の透明性や公平性も問われます。組織運営に関する主な基準は次の通りです。
- 理事・監事の親族制限(同族経営の防止)
親族など密接な関係にある理事は、全体の3分の1を超えてはなりません。 - 特定の人や企業への利益供与を禁止
社員・役員・特定企業などに、不当な優遇(特別利益)を与えてはいけません。 - 経理基盤と技術的能力の確保
公益事業を継続できる会計基盤と、専門的な運営能力が求められます。
これらの基準により、公益社団法人は「社会の資金を適切に扱える組織」であることが求められます。
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公益社団法人の事業【介護・福祉分野】
公益社団法人の活動は、社会全体の利益につながる「公益目的事業」を主軸とし、その事業を継続するために 一定の収益事業を行うことも認められている点が特徴です。
介護・福祉分野では、地域支援や人材育成を重点に、多様な事業が展開されています。
公益目的事業
公益目的事業は法律により、『学術及び科学技術の振興』『文化及び芸術の振興』『高齢者の福祉の増進』など23種類の事業として別表に定義されています(認定法第2条第4号、別表)
介護領域では、以下のように実際の支援活動や専門人材育成と結びついています。
主な公益目的 | 介護・福祉での具体例 |
|---|---|
高齢者福祉の増進 | 地域包括支援センターの運営、独居高齢者の見守り、介護予防教室 |
障害者支援 | 就労支援事業所の運営、障害者スポーツ・文化活動の推進 |
公衆衛生の向上 | 感染症予防啓発、介護施設向け衛生講習、健康診断の助成 |
人材育成 (教育・学術) | 介護職員初任者研修、ケアマネジャー研修、専門資格の更新支援 |
公益目的事業は利益を追求せず、「社会全体の利益」を前提に行うことが条件です。
介護業界では、営利企業では難しい地域包括支援、人材育成、弱者支援を担う役割が大きく期待されています。
収益事業
活動資金を確保するために、法人税法施行令第5条第1項に定められた34業種の収益事業を行うことも可能です。
ただし、収益は公益事業に必ず還元しなければならない 点が営利企業との大きな違いです。
収益事業の例 | 介護分野での具体的活用 |
|---|---|
技芸教授業 (講習・セミナー) | 有料の介護技術講座、認知症ケア講習、介護予防セミナー |
物品販売業 | 介護用品・リハビリ用具の販売、福祉バザー |
不動産貸付業 | 高齢者向け住宅や事務所の貸付、福祉モール管理 |
医療保健業 | 予防事業や地域健康サポート、医療との連携サービス |
収益事業を行うことで、寄付や補助金に頼らず、自立した福祉事業の継続が可能になります。これは、介護研修や地域支援を継続するための重要な財源にもなります。
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公益社団法人における税制優遇と寄付の仕組み
公益社団法人には、社会貢献活動を継続できるよう強力な税制優遇制度が設けられています。
税負担を軽減し、寄付を集めやすくする仕組みによって、介護・福祉分野の人材育成や施設整備、地域支援事業を安定的に進められる点が大きな特徴です。
法人税の優遇(公益目的事業は非課税)
公益社団法人が行う公益目的事業によって得られた収益は法人税の対象外となります。
また、収益事業を行った場合でも、その利益を公益目的事業に充てた分は「みなし寄付金制度」により損金として扱うことが可能です。
これにより、「利益が公益目的に循環しやすい仕組み」が作られ、社会貢献事業の継続性が高まります。
たとえば、研修会で得た利益を、介護予防事業の開催費用に充てることができます。この場合、税負担を増やさずに公益事業へ資金を活用することが可能です。
寄付者のメリット(税控除により寄付が集まりやすい)
公益社団法人は、寄付者にも税制上の優遇が認められる法人です。
- 個人寄付:所得控除または税額控除の対象
- 法人寄付:損金算入限度額が拡大(寄付金が経費として扱いやすい)
この仕組みにより、介護施設建設、介護研修の助成、高齢者支援プロジェクトなど、地域福祉に必要な資金を集めやすくなります。
寄付が「税制面で有利になる」ため、企業や個人からの支援が民間主導で集まり、地域課題の解決につながりやすい点が大きな強みです。
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公益社団法人とNPO法人の違い【介護現場での選び方】
どちらも「営利を目的としない法人」ですが、設立の仕組みや信用度、事業規模に大きな違いがあります。
介護分野では、事業内容に応じて向いている法人形態が異なるため、特徴を理解して選ぶことが重要です。
項目 | 公益社団法人 | NPO法人(特定非営利活動法人) |
|---|---|---|
設立の難易度 | 高い(一般社団法人設立+公益認定の二段階) | 比較的容易(所轄庁の認証のみ) |
必要人数 | 設立時社員2名以上(理事1名以上) | 設立時社員2名以上、理事3名以上、監事1名以上(理事会・監事は必置) |
活動分野 | 公益目的事業23分野に限定 | 特定非営利活動促進法第2条第1項別表に定める23分野 |
信用度 | 高い(行政の認定を受ける) | 比較的高いが団体差が大きい |
出典:特定非営利活動法人(NPO法人)制度の概要 | NPOホームページ
出典:特定非営利活動促進法第2条第2項、第11条
介護現場ではどう選ぶ?規模と目的で判断するのがポイント
地域住民に向けた小規模のサロン運営や介護予防イベントなど、少人数ではじめる柔軟な活動に向いているのはNPO法人です。最低10名の社員を確保できれば、比較的短期間で立ち上げることができます。
一方、県単位の研修事業や大規模な高齢者支援プロジェクトを運営する場合は、公益社団法人が有利です。
行政との連携や寄付金の活用、社会的信用を背景に、長期的な事業展開を行いやすい点が強みです。
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公益社団法人の働き方・給与
公益社団法人で働く職員は、営利を目的とする企業とは異なる環境で働きます。
利益を最大化するよりも、介護・福祉などの社会的課題に向き合い、公益を優先する点が大きな特徴です。
給与水準は法人規模や事業内容によって差があるものの、安定的な事業運営や行政との連携が進んでいる法人も多く、特に介護・福祉領域では雇用の受け皿として重要な役割を担っています。
平均給与データ
公益社団法人のみに特化した平均給与データは、公的統計では明確に分類されていません。
給与水準は法人規模や事業内容により大きく異なり、厚生労働省『賃金構造基本統計調査(令和5年)』における『社会保険・社会福祉・介護事業』の平均給与は月額約26.8万円(年収換算で約370万円、賞与含む)ですが、公益法人はこの範囲に加えて、公務員準拠の給与体系を採用する大規模団体も存在します。
給与体系は法人によって異なり、公務員に準じた給与制度を採用する大規模団体もあれば、NPO法人に近い水準の中小規模法人も存在します。
公益財団法人介護労働安定センターの『令和6年度介護労働実態調査』(令和7年7月公表)によると、介護職員(訪問介護員、介護職員)で賃金支払形態が月給の人の通常月の平均月収は248,884円となっています。前年度と比較して3.1%の増加となっており、特に20歳代での伸びが高くなっています。
出典:内閣府公益認定等委員会事務局
出典:公益財団法人介護労働安定センター『令和6年度介護労働実態調査結果の概要について』
介護領域の勤務先例
公益社団法人といっても、現場に密接した業務が多く、「介護の仕事と無関係に見える」という誤解は少なくありません。
実際には、次のように介護・福祉分野の身近な仕事を支えています。
勤務先例 | 仕事内容 | 全国の事業所数(目安) | 職員規模 | 給与水準の目安 |
|---|---|---|---|---|
公益社団法人 全国シルバー人材センター事業協会 | 高齢者の生きがい就労支援、軽作業提供、地域事業 | 約1,300センター(令和4年度) | センターあたり5〜20名程度 | 月給20〜30万円程度(地域・職種による) |
地域包括支援センター(社会福祉協議会等が運営) | 自治体からの受託により、高齢者の総合相談を実施 | 地域包括支援センター(社会福祉協議会等が運営) 5,451箇所(令和6年4月末現在、ブランチ・サブセンター含めると7,362箇所) | センターあたり5〜10名 | 月給22〜35万円程度(社会福祉士・保健師等) |
都道府県介護福祉士会 | 介護職向け研修、資格更新研修、会員管理等の事務局運営 | 47都道府県 | 事務局3〜10名程度 | 月給20〜28万円程度 |
このように、直接介護を行う立場だけでなく、地域の支援インフラや人材育成を担うポジションとして、多様な働き方が存在しています。
働くメリット・デメリット【求職者視点】
ここでは、公益社団法人で働く際の「良い点」と「注意すべき点」を、求職者の視点から整理します。
収入だけでなく、働き方や職場文化に特徴があるため、希望するキャリアや価値観との相性を見極めることが大切です。
【メリット】利益追求の圧力が小さく、利用者に向き合える
株主への配当がないため、売上至上主義に陥りにくい点が特徴です。
「利益よりも利用者のために」という姿勢を重視しやすく、介護・福祉職の理念と相性が良い職場も多くあります。
【メリット】比較的安定した経営基盤
自治体からの委託事業を担うケースが多く、補助金や委託費で事業が運営されるため、急な倒産リスクが低い傾向があります。
長期的に地域に根付いた支援を継続しやすい点も魅力です。
公益財団法人介護労働安定センターの『令和6年度介護労働実態調査』(2025年7月28日公表)によると、訪問介護員・介護職員を合わせた2職種の離職率は12.4%と過去最低を更新し、2年連続の低下となっています。低下傾向が続いており、安定的な雇用環境が整備されているケースが多く見られます。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査結果」
【デメリット】組織風土が保守的な場合がある
歴史ある団体では年功序列の文化が残っている場合もあり、意思決定に時間がかかることがあります。
新規事業の提案や改善活動が通りにくい環境もあるため、「改革より安定を求める人」に向いている側面があります。
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まとめ
公益社団法人は、行政と営利企業の隙間を埋め、「民による公益」を支える重要な仕組みです。
特に介護・福祉の分野では、利益が出にくいが社会に必要な事業(過疎地の介護や専門職の育成など)を担う受け皿として機能しています。
働く側にとっても、利用者にとっても、「公益認定」というマークは安心と信頼の証です。
就職やサービス利用の際には、その法人が公益社団法人であるかどうかを確認してみると、その団体の理念や安定性を知る一つの手がかりになるでしょう。
よくある質問
Q.公益社団法人の職員は公務員?
いいえ、「民間非営利法人」の団体職員であり、公務員ではありません。ただし、仕事内容は公共性が高いものになります。
出典:内閣府公益認定等委員会事務局
Q.公益社団法人は給与が安いって本当?
営利を目的にしないため「儲け」の分配はありませんが、適正な費用として人件費は支払われます。規模や事業収益により大きく異なります。
Q.公益社団法人における倒産リスクは?
公益社団法人における倒産リスクは、ゼロではありません。
ただし、法令違反等で公益認定が取り消された場合でも、残った公益目的財産は国や類似の団体に贈与しなければならないなど、解散時のルールが厳格です。
出典:内閣府公益認定等委員会事務局
Q.寄付は必須?
一般の職員や利用者に寄付が強制されることはありません。ただし、寄付金は法人の重要な活動原資の一部です。
出典:内閣府公益認定等委員会事務局
Q.NPO法人から公益法人に変更できる?
NPO法人から公益法人への組織変更制度は法律上存在しないため、直接の変更はできません。移行する場合は、以下の2つの方法があります。
方法1: NPO法人を解散して一般社団法人を新設
NPO法人を解散し、残余財産を国・地方公共団体または類似の非営利法人に帰属させる
新たに一般社団法人を設立し、公益認定を申請
注意点: 従業員の雇用関係、契約関係は原則として引き継げないため、再契約が必要
方法2: NPO法人を存続させたまま、別途一般社団法人を設立
NPO法人の事業を継続しながら、並行して一般社団法人を設立
公益認定取得後、段階的に事業を移管
注意点: 二重運営期間のコスト負担、事業の重複に関する整理が必要
いずれの方法も、事業の継続性や従業員の雇用保護の観点から、専門家(行政書士・弁護士)への相談を推奨します。
出典:公益法人制度とNPO法人制度の比較について : 公益法人と特定非営利活動法人(NPO法人) |内閣府
[介護サーチプラス]編集部
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