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- 介護業界に興味はあるけど、どんな職種があるかまだ分からない方介護職やケアマネジャーだけでなく、福祉用具専門相談員という選択肢を知ることで、自分に合ったキャリアの幅を広げられます。
- 地域福祉や在宅介護に貢献したい方在宅生活を送る高齢者や障がいのある方を支えるために必要な専門職で、地域社会に直結したやりがいのある仕事に関心がある方に向いています。
- 資格を取得して就職・転職の選択肢を広げたい学生や社会人の方福祉や介護業界に関心を持つ学生や、異業種から介護分野へのキャリアチェンジを考えている方にとって、福祉用具専門相談員は新しい道を開く第一歩になります。
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福祉用具専門相談員になるには
出典:福祉用具専門相談員 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
福祉用具専門相談員の資格を得るには、都道府県の指定を受けた研修機関で「福祉用具専門相談員指定講習」を受講し、約50時間のカリキュラムを修了する必要があります。
講習の最後には、筆記試験による修了評価が実施されます。一方で、保健師・看護師・理学療法士などの国家資格を持つ人は、講習を受けなくても相談員の業務に従事できます。
そのため、介護福祉士やホームヘルパーなどがスキルの幅を広げる目的で取得するケースも多いです。
学歴の傾向
厚生労働省の職業情報提供サイトでは、実際に福祉用具専門相談員として働く人の学歴分布を公開しています。学歴は、必須条件ではなく、あくまで傾向を示したものですので、参考程度にご覧ください。
学歴 | 割合 |
---|---|
高卒未満 | 4.2% |
高卒 | 29.2% |
専門学校卒 | 22.9% |
短大卒 | 12.5% |
高専卒 | 2.1% |
大卒 | 41.7% |
修士課程以上 | 0% |
不明 | 18.8% |
入職前後の訓練期間
区分 | 傾向 |
---|---|
入職前の訓練期間 | 「特に必要ない」が39.6%、「1か月超〜6か月以下」が41.7%と、この2つで全体の8割を占めています。 |
実務経験 | 必須とされることは少なく、未経験からの就業も可能。 |
入職後の訓練 | 1か月以内で慣れる人が多い。 |
入職前の実務経験の傾向
福祉用具専門相談員として働くために、必ずしも長い実務経験が求められるわけではありません。調査データを見ると、多くの人が未経験からスタートしていることが分かります。
実務経験の有無・期間 | 割合 |
---|---|
特に必要ない | 64.6% |
1か月以下 | 2.1% |
1か月超〜6か月以下 | 18.8% |
6か月超〜1年以下 | 2.1% |
1年以上 | 0% |
不明 | 12.5% |
入職後の訓練期間の目安
福祉用具専門相談員として現場に立った後、どのくらいで独り立ちできるかは人によって異なります。調査結果からは、半年以内で業務に慣れる人が多いことが分かります。
訓練期間 | 割合 |
---|---|
必要でない(未経験でも即戦力) | 10.4% |
1か月以下 | 0.0% |
1か月超〜6か月以下 | 33.3% |
6か月超〜1年以下 | 29.2% |
1年超〜2年以下 | 8.3% |
2年超〜3年以下 | 6.3% |
3年超〜5年以下 | 2.1% |
5年以上 | 0% |
不明 | 10.4% |
講習時間は約50時間と比較的短く、未経験から介護分野へ挑戦する人にとって入り口となりやすい資格だといえるでしょう。
国家資格を保有していれば講習免除の特例があるため、キャリアや資格に応じて柔軟な就業スタイルを選べる点も大きなメリットです。
データからも「未経験可」「短期間で習得可能」という特徴が見えており、介護分野におけるキャリア形成の第一歩として注目されています。

福祉用具専門相談員の受験資格
福祉用具専門相談員指定講習の受講には、特別な学歴や年齢制限はなく、誰でも受講可能です。
一方で、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士、社会福祉士、介護福祉士などの国家資格を保有している方は、講習を修了したものとみなされ、修了証の提出なしに福祉用具専門相談員として業務に従事できます。

福祉用具専門相談員指定講習の難易度は?
福祉用具専門相談員指定講習の難易度は比較的低いと言えます。
合格率や難易度は非公開となっていますが、授業の理解度を測るための位置づけに近いため、配布されるテキストや演習を復習していれば合格は十分可能とされています。
内容は福祉用具の基礎知識から介護保険制度、利用計画の作成方法など幅広く扱われますが、専門職として最低限必要な知識を確認するレベルであり、極端に難しいものではありません。
そのため、国家試験のような高い難易度ではなく、学習意欲と基礎理解があれば誰でも挑戦しやすい講習といえるでしょう。
福祉用具専門相談員指定講習の修了試験に落ちたらどうなる?
福祉用具専門相談員指定講習は、約50時間のカリキュラムを受講し、最後に修了評価(筆記試験)を受ける流れになっており、この試験に合格しないと「修了証」が交付されず、資格として認められません。
再受験の方法は実施機関によって異なり、追加の補講や再試験を設けている場合もあれば、再度講習を一から受講する必要がある場合もあります。
合否基準は非公開ですが、授業内容をしっかり理解していれば合格可能なレベルとされます。
試験に不安がある方は、事前に配布されるテキストや演習を復習し、各研修機関へ再試験制度の有無を確認しておくと安心です。
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安い?福祉用具専門相談員の資格を取得するのにかかる費用
受講料は実施団体によって異なりますが、受講料としておおよそ5万円前後が発生します。別途テキスト代や資料代が数千円程度かかる場合もあります。
受講時間は合計で約50時間となり、日程は集中講義型から数週間に分けて実施されるものまでさまざまです。
以下の表は、実際に開講されている指定講習のカリキュラム例であり、実施団体によって日程や時間数が一部異なる場合があります。
科目 | 時間数 |
---|---|
福祉用具と相談員の役割 | 2時間 |
介護保険制度の基礎知識 | 4時間 |
高齢者と介護・医療に関する知識 | 16時間 |
個別の福祉用具に関する知識・技術 | 16時間 |
サービスの仕組みと支援 | 7時間 |
総合演習 | 5時間 |
修了評価 | 1時間 |

福祉用具専門相談員の資格は通信講座で取得できる?
福祉用具専門相談員指定講習は、近年オンライン対応が進んでおり、通信講座のように自宅から受講することが可能です。
従来は会場に通学して行う集合研修が中心でしたが、現在はZoomなどを用いたオンライン講義や演習、さらには修了評価(筆記試験)まですべてオンラインで実施する団体も増えています。
受講時間は約50時間で、科目内容や修了評価は通学型と同じため、通信講座であっても取得できる資格は変わりません。
仕事や家庭の事情で通学が難しい人にとって、全国どこからでも参加できるオンライン講座は大きなメリットといえるでしょう。

福祉用具専門相談員向け履歴書の書き方
福祉用具専門相談員の求人に応募する際、履歴書は第一印象を左右する重要な書類です。特に資格欄では「福祉用具専門相談員指定講習 修了」と正式名称で記載しましょう。
また、保健師や介護福祉士など関連資格を持っている場合は併せて明記し、専門性をアピールしましょう。
さらに普通自動車免許は業務上の移動で活用されるため、必須ではないものの多くの求人で求められます。普通自動車免許を持っている場合には、忘れずに記載しましょう。
志望動機欄では、なぜこの職種を選んだのか、利用者支援にどのように関わりたいのかを具体的に伝えることが大切です。
過去の介護経験や営業スキルなど、自身の強みと結びつけて書くと説得力が増し、採用担当者の目に留まりやすくなります。
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福祉用具専門相談員とは
厚生労働省の「職業情報提供サイト」によると、福祉用具専門相談員は、車いすや介護ベッドなどの福祉用具を必要とする方に対して、専門的な知識をもとに選定や使用方法のアドバイスを行う専門職と定義されています。
介護保険の指定を受けた福祉用具貸与・販売事業所に必ず2名以上配置が義務付けられていることが特徴です。
他の介護保険サービスの専門職と連携しながら、高齢者の自立した生活を福祉用具で支援する役割を担っています。

福祉用具専門相談員の仕事内容
高齢者や要介護者が安心して生活できるように支えるのが福祉用具専門相談員の役割です。
利用者の状態や環境に応じた福祉用具の選定から、計画作成、設置・使用説明、定期的なモニタリングまで一連の業務を担います。
業務内容 | 説明 |
---|---|
選定相談 | 利用者の心身状態や生活環境をふまえ、適切な福祉用具を選定する。 |
計画作成 | 利用者ごとの状況に合わせて「福祉用具サービス計画」を作成する。 |
適合・取扱説明 | 福祉用具を利用者の体の状態や環境に合わせて調整し、安全かつ有効に使用できるよう説明する。 |
訪問確認(モニタリング) | 定期的に利用者宅を訪問し、点検や使用状況を確認する。 |
出典:福祉用具専門相談員 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
福祉用具専門相談員は単なる「用具の提供者」ではなく、利用者の生活に寄り添うパートナーです。
適切な選定と継続的なフォローを行うことで、利用者の自立支援や生活の質の向上につながります。
福祉用具専門相談員は、介護保険制度における「福祉用具貸与」の対象サービスを担うため、主に貸与・販売事業所に勤務します。
勤務先は全国に広がっており、働き方の多くは日中(朝〜夕方)のシフト中心です。
また、利用者や用具の多様化に対応するため、最新の福祉機器に関する知識や活用方法を継続的に学び、自己研鑽する姿勢も求められます。
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福祉用具専門相談員の労働環境
福祉用具専門相談員は全国で6万人以上が従事しており、介護・福祉分野において安定した需要があります。
労働時間は月平均161時間、年収は約396万円で、介護関連職の中では比較的バランスのとれた労働条件といえます。
項目 | 全国平均 |
---|---|
就業者数 | 63,760人 |
平均労働時間 | 161時間/月 |
平均年収 | 約396万円 |
平均年齢 | 43.1歳 |
時給換算(一般) | 1,941円 |
時給換算(短時間) | 1,397円 |
出典:福祉用具専門相談員 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
平均年齢は43歳と中堅層が多く、正規雇用を中心に安定して働ける環境が整っています。時給換算でも一定の水準が確保されており、介護現場で専門性を活かしながら長くキャリアを築ける点が特徴です。

福祉用具専門相談員の求人傾向
福祉用具専門相談員は人材不足が続いており、求人市場でも高い需要があります。
求人賃金は月額23万円台、有効求人倍率は6倍を超えており、介護・福祉職の中でも採用されやすい職種といえます。
項目 | 全国平均 |
---|---|
求人賃金(月額) | 23.7万円 |
有効求人倍率 | 6.07倍 |
月別求人賃金推移 | 23.2〜24.5万円の範囲で推移 |
出典:福祉用具専門相談員 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
求人賃金は安定して23〜24万円台で推移しており、需要の高さを背景に転職や未経験からの参入もしやすい環境です。求職者にとってはキャリアの入り口としても選択しやすい職種といえるでしょう。

福祉用具専門相談員の就業形態の内訳
働き方の特徴としては、正規職員が9割を占めており、安定的に就業している人が多いのが現状です。
契約社員やパートで働く人も一定数いますが、フリーランスや派遣は少数派にとどまります。
就業形態 | 割合 |
---|---|
正規職員 | 91.7% |
契約社員 | 10.4% |
パート | 18.8% |
派遣社員 | 4.2% |
自営・フリーランス | 4.2% |
アルバイト | 4.2% |
経営層 | 0% |
出典:福祉用具専門相談員 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
正規雇用が中心で安定して働ける一方、ライフスタイルに合わせてパートや契約で働く道もあります。
多様な雇用形態が用意されているため、キャリア段階や家庭の状況に応じて柔軟に選択できる点も魅力です。
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福祉用具専門相談員として働くメリット
福祉用具専門相談員として働く主なメリットは、介護保険制度に基づく配置義務により、安定した需要が見込める点です。
利用者の生活を直接支援できるやりがいも大きく、感謝の言葉をいただける機会が多いことも魅力だといえるでしょう。
また、約50時間の講習を修了すれば資格を取得でき、国家資格保有者は講習免除で従事可能と、比較的挑戦しやすいのも特徴です。
さらに、福祉用具に関する専門性を身につけることでキャリアの幅が広がり、施設職員や在宅支援の現場でも強みを発揮できます。

福祉用具専門相談員のキャリアパス
福祉用具専門相談員として経験を積むことで、介護現場での専門性を高めながらキャリアを広げることができます。
初期段階では利用者の相談対応や用具選定を中心に学び、その後はサービス計画の立案や後進育成に関わるケースもあります。
さらに福祉住環境コーディネーターや福祉用具プランナーなど関連資格を取得すれば、住宅改修や商品開発など活躍の場を広げることも可能です。
また、事業所の管理職や運営側にステップアップする道や、介護福祉士など他の資格との組み合わせで在宅介護支援に強みを発揮するキャリアパスも描けます。

まとめ
福祉用具専門相談員は、資格取得のハードルが比較的低く、介護・福祉分野への入り口としても注目される職種です。
高齢化の進展に伴い、今後も安定した需要が見込まれるため、長期的に働きやすい環境が整っています。
学歴や経験に関わらず挑戦しやすい点も魅力です。資格取得後は現場での経験を積みながらスキルアップし、福祉用具プランナーや住環境コーディネーターなどの上位資格に進むキャリアパスも可能です。将来性ある福祉分野でキャリアを築きたい方にとって、挑戦する価値の高い職種といえるでしょう。興味を持たれた方は、まずは各都道府県で開催される指定講習の情報を確認し、第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
Q.福祉用具専門相談員になるには資格は必要ですか?
福祉用具専門相談員として働くには、原則として都道府県が指定する研修機関で「福祉用具専門相談員指定講習」を受講し、約50時間のカリキュラムを修了する必要があります。
修了後には修了評価を受け、一定の知識と技能を身につけた上で業務に就くことが可能です。
ただし、保健師・看護師・介護福祉士・理学療法士などの国家資格を持つ場合は、この講習を受けずに従事することも認められています。
Q.福祉用具専門相談員の年収は?
福祉用具専門相談員の平均年収は、厚生労働省の統計によると全国で約396万円とされています。
月の平均労働時間は161時間で、正規職員として安定的に働く人が9割を占めています。求人賃金は23〜24万円台で推移しており、介護業界の中では比較的水準が高めです。
経験や勤務先の規模によっても収入は変わりますが、専門知識を活かしてキャリアを積めば、管理職や関連資格取得による収入アップも期待できます。
Q.福祉用具専門相談員は将来性がありますか?
福祉用具専門相談員は、高齢化社会の進展に伴い需要が拡大している職種です。介護保険制度により事業所への配置が義務づけられているため、安定的な就業が見込めます。
また、福祉用具の種類は年々多様化しており、新製品や技術に対応できる専門人材の存在が欠かせません。
資格取得のハードルが比較的低く、介護職員やヘルパーがスキルアップの一環として取得するケースも増えています。将来的にも需要が見込まれる点で将来性の高い職種です。
Q.福祉相談員になるには国家資格が必要ですか?
「福祉相談員」という名称は幅広い領域で用いられますが、福祉用具専門相談員の場合は国家資格ではなく、指定講習の修了によって業務に従事できます。
一方で、生活相談員や医療ソーシャルワーカーなど、施設や医療機関で働く福祉相談員は、社会福祉士や精神保健福祉士といった国家資格が採用条件となるケースもあります。
つまり、働く分野によって必要な資格が異なるため、自分が目指す職種ごとに資格要件を確認することが重要です。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
