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床ずれ対策が必要な方を介護しているご家族や利用者のために、適切な床ずれ防止用具を選びたい方
在宅介護をしているが、どのマットレスやクッションが良いか迷っている種類の違いやメリット・デメリットを比較したい方
介護や福祉の現場で働く職員床ずれリスクのある利用者に最適な用具を提案・活用したい方
福祉用具の購入・レンタルを検討している費用や選び方の基準を理解し、失敗のない選択をしたい方
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床ずれ防止用具の基礎知識
床ずれは、長時間同じ部位に圧力がかかることで皮膚やその下の組織が損傷し、要介護者の健康に影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、床ずれが発生する原因やリスクの高い部位、予防に必要な基本的な対策について解説します。
床ずれが起こる原因とリスク部位
床ずれは、長時間同じ姿勢で寝たり座ったりすることで、皮膚とその下の組織が圧迫され続け、血流が悪くなることにより発生します。
特に寝たきりの高齢者や自力で体位変換が困難な方に多く見られます。
圧迫が続くと組織の損傷が進み、皮膚に赤みやただれが生じることがあります。
床ずれの発生には、「圧迫」「摩擦」「湿気」の3つの要因が大きく関与しており、これらを適切に管理することが重要です。
リスクの高い部位には、仰向け時に体重が集中しやすい仙骨(腰の下あたり)、かかと、肩甲骨、後頭部など、骨が皮膚のすぐ下にある部分が挙げられます。
車椅子を使用する方は坐骨部にも特に注意が必要です。
日常的な観察と予防対策が欠かせません。
主なリスク部位
リスク部位 | 詳細 |
|---|---|
仙骨部 | 仰向けで長時間寝ると圧迫されやすい |
踵(かかと) | 寝ているときに常に接地している部位 |
坐骨部 | 車椅子使用時に特に注意が必要 |
肩甲骨周辺 | 上半身を起こした状態で負担がかかる |
床ずれ防止に必要な対策とは
床ずれの予防には、体圧を分散させること、定期的に体位を変えること、皮膚の清潔を保つことが基本とされています。
体圧分散マットレスやクッションの使用により、圧力が一点に集中するのを防ぎます。
また、定期的な体位変換(個々の状態に応じて実施)は、圧迫部位の血流を促進し、床ずれ発生のリスクを減らします。
皮膚の清潔保持も重要で、汗や尿による湿気や汚れは皮膚を傷めやすく、こまめな清拭や乾燥が推奨されます。
さらに、たんぱく質やビタミンを含む栄養バランスの良い食事は皮膚の修復を助けます。
保湿ケアも効果的で、乾燥による皮膚の刺激や湿潤による細菌感染を防ぐため、適度な皮膚の状態を維持することが望ましいです。
これらの対策を組み合わせて行うことが、床ずれの予防につながります。
効果的な対策例
- 体圧分散用のマットレスやクッションを使用する
- 毎日皮膚の状態を確認し、保湿剤を適切に使う
- たんぱく質やビタミンを含む食事を心がける
- 2時間ごとに体位を変える(横向き・仰向けを交互に)
※時間は個々の状況に応じて調整が必要です。
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床ずれ防止用具の種類と特徴
床ずれ防止用具には複数の種類があり、それぞれ利用者の状況に適した特徴があります。
ここでは、代表的なマットレスやクッション、体位変換器の種類とその特徴を解説します。
マットレス(静止型・エアマット)の違い
床ずれ防止マットレスには大きく分けて「静止型」と「エアマット型」の2種類があります。
静止型マットレスは、ウレタンフォームやジェル素材などの柔らかい素材でできており、体圧を広く分散させる構造です。
自力で寝返りや体位変換が可能な利用者に適しており、比較的手軽でコストも抑えられます。
一方、エアマット型は複数のエアセル(空気袋)が組み合わされており、ポンプで空気圧を自動的に変化させる仕組みです。
これにより、一部の部位に圧力がかかり続けることを防ぎ、体圧をより均等に分散します。
自力で体位変換が困難な寝たきりの方や、重度の床ずれリスクがある方に推奨されるタイプです。
利用者の身体状況や介護環境に合わせて適切なタイプを選ぶことが重要です。
医療・介護専門職と相談しながら決定するのが望ましいでしょう。
マットレスの比較
種類 | 特徴 | 推奨対象 |
|---|---|---|
静止型 | 柔らかい素材で体圧分散 | 自力で体位変換が可能な人 |
エアマット | 空気圧を自動調整し圧力分散 | 寝たきり・体動困難な人 |
クッションや体位変換器の種類と選び方
床ずれ予防には、マットレスだけでなくクッションや体位変換器も効果的です。
クッションには、尾骨や坐骨部を保護する円座型、臀部全体を支えるU字型、側臥位(横向き)時の支えに適した楕円型などがあり、使用部位や利用者の姿勢に応じて選びます。
体位変換器は介助者の負担軽減にも役立ち、安全で安定した姿勢保持をサポートします。
選ぶ際は、利用者の骨格や姿勢保持力、既存の床ずれの有無を考慮し、適切な製品を選ぶことが重要です。
専門職のアドバイスを受けることをおすすめします。
クッションの形状と用途
- 円座型:尾骨・坐骨部の保護に最適
- U字型:おしり全体のサポート
- 楕円型:背中や側臥位での支えに適す
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床ずれ防止用具の選び方
床ずれ防止用具の選定は、利用者の身体状況や介護環境に応じて慎重に行う必要があります。
ここでは、利用者の状態に合わせた選び方のポイント、誤った選定によるリスク、部位別の適した用具について解説します。
利用者の状態に応じた選定ポイント
床ずれ防止用具を選ぶ際は、利用者の身体状況や介護環境に合わせた適切な選定が必要です。
まず体重や体型は重要な判断基準で、体圧を適切に分散できる用具を選ぶことで、圧迫による皮膚損傷を防げます。
次に皮膚の状態も見逃せません。
すでに床ずれがある場合は、損傷部位に応じた用具の使用が必要です。
また、利用者の移動能力や自力での体位変換も考慮し、支援が必要な場合は介助者が使いやすい製品を選ぶことが望まれます。
さらに、介護が行われる環境も選択にも影響します。
在宅介護ではコンパクトで扱いやすい用具が求められ、施設ではより専門的で高度な機能を持つ用具が使用されることが多いです。
最適な用具を選ぶためには、看護師や福祉用具専門相談員などの専門職と相談し、利用者に合ったフィッティングを実施することが重要です。
選定時のチェックポイント
- 利用者の体重・体型
- 寝返りや体位変換の可否
- 既存の褥瘡(じょくそう・床ずれ)や皮膚疾患の有無
- 介護者の支援体制と頻度
誤った選び方によるデメリットとは
誤った床ずれ防止用具の選択は、場合によっては筋力低下のリスクが高まる可能性があります。
例えば、体圧分散機能が不十分なマットレスやクッションを使用すると、特定の部位に圧力が集中しやすくなり、床ずれの発生や悪化を招く恐れがあります。
通気性の悪い素材を選ぶと、汗や湿気がこもりやすくなり、皮膚がふやけて細菌感染や炎症のリスクを高めることになります。
また、サポート力が過剰な用具は利用者の自発的な動きを制限し、寝返りや体位変換を妨げてしまう場合があります。
これにより筋力の低下や関節の拘縮(動きにくくなる状態)を促進し、床ずれの改善を妨ぐ悪循環に陥ることも少なくありません。
したがって、床ずれ防止用具は利用者の身体状態や生活環境に合わせ、正しい知識と専門的な助言をもとに選定することが極めて重要です。
適切な用具選びが、床ずれの予防と改善に直結します。
部位別(おしり・背中・腰)に適した用具
床ずれは体の特定の部位に圧力が集中しやすいため、部位別に適した床ずれ防止用具を使い分けることが効果的な予防策となります。
まず、おしりの坐骨部は体重がかかりやすく圧迫を受けやすいため、円座クッションや通気性の高いジェルパッドが適しています。
これにより圧力を分散し、皮膚の蒸れを防止できます。
次に、背中の肩甲骨部は寝返りや姿勢保持が難しい場合、体位変換クッションやサポートピローを使用すると安定した姿勢を保ちやすくなり、圧迫を軽減できます。
腰の仙骨部は最も床ずれが起きやすい部位の一つであり、ここにはエアマットの利用が推奨されることが多いです。
エアマットは自動的に空気圧を調整し、体圧を広範囲に分散させることで仙骨部への過度な圧迫を防ぎます。
これらの用具を部位ごとの特性に合わせて使い分けることで、床ずれの予防効果が高まり、利用者の快適さと安全性が向上します。
選択にあたっては専門家と相談することをおすすめします。
部位別おすすめ用具
部位 | 推奨用具 |
|---|---|
おしり | 円座型クッション、除湿パッド |
背中 | サポートピロー、体位保持クッション |
腰(仙骨) | エアマット、ウレタンマットレス |
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介護保険を使ったレンタルの基礎知識
ここでは、介護保険による床ずれ防止用具のレンタルについて、対象者の条件や費用負担の目安、ケアマネジャーとの相談ポイントについて解説します。
レンタルの対象者と介護度の条件
介護保険による床ずれ防止用具のレンタルは、要介護認定を受けた方が対象となります。
床ずれ防止のための用具(エアマットレスなど)は、原則として「要支援1・2」や「要介護1~5」と認定された方が対象になります。
ただし、「要支援」や「要介護1」の方については、誰でも使えるわけではなく、
医師の診断などにより、「自分で寝返りができない」など、特別な事情があると認められた場合のみ使えます。
認定は市区町村の介護認定審査会で行われ、申請にはケアマネジャーの関与が必要です。
ケアマネジャーは利用者の状況を評価し、適切なサービス計画を作成します。
また、医師による診断書の提出も必要に応じて求められることもあり、これにより医療的な必要性が確認されます。
レンタル対象となる用具は、利用者の身体状況に合わせて選定され、生活の質の維持や向上を目的としています。
利用申請から認定までの手続きには一定の期間を要するため、早めの相談が推奨されます。
介護保険を活用することで、経済的な負担を軽減しつつ必要な用具を利用できる点が大きなメリットです。
正確な申請と専門家との連携が、円滑なレンタル利用のポイントとなります。
- 申請方法:市区町村への介護保険申請
- 必要書類:医師の診断書・ケアマネジャーの計画書
- 認定審査:介護認定審査会による判断
- 対象者:要介護2以上の認定者
※原則として要介護2以上が対象ですが、要介護1でも対象となる用具があります。
詳細は各市区町村窓口でご確認ください。
レンタル料金の目安と費用負担
介護保険を利用した床ずれ防止用具のレンタル料金は、用具の種類や利用者の介護度により異なります。自己負担額は原則1割ですが、利用者の所得に応じて2割または3割となる場合があります。なお、低所得者向けには高額介護サービス費制度により月額上限が設定されています。
具体的な料金の目安としては、床ずれ防止用具の場合、月額で数千円程度が一般的です。
(1割負担の場合)
介護保険の給付には上限額が設定されており、その範囲内であれば費用の大部分が保険で賄われます。
一方で、レンタル期間が長くなると自己負担の合計額も増加するため、事前に費用の見通しを立てておくことが重要です。
レンタル中の用具の修理や交換にかかる費用についてもルールがあるため、事前にサービス提供事業者やケアマネジャーに確認しておくと安心です。
こうした情報を正しく理解し、費用面での負担を適切に管理することが、利用者にとって快適な介護生活を支えるポイントとなります。
ケアマネジャーとの相談ポイント
レンタル床ずれ防止用具の選定にあたっては、ケアマネジャーとの密な連携が不可欠です。
まず、利用者の身体状況や日常生活の環境を詳しく伝え、最適な用具の種類や機能について専門的な提案を受けましょう。
特に、用具の具体的な使用目的やレンタル期間、費用負担の範囲については、事前に十分な相談を行うことが重要です。
介護保険の適用範囲や手続きの流れについても、ケアマネジャーに確認し、不明点があれば早めに質問することでトラブルを防ぐ一助になります。
レンタル開始後も定期的に使用状況を報告し、利用者の状態変化に応じて用具の見直しや調整を行うことが快適な介護生活の維持に繋がります。
こうした継続的なコミュニケーションは、介護の質を高めるうえで欠かせないポイントです。
ケアマネジャーは専門的な知識と経験を持つ相談相手として、利用者と家族の負担軽減にも役立ちます。
安心し、用具を活用するためにも、積極的な相談を心がけましょう。
- 利用者の身体状況と環境の共有
- 用具の機能と適合性の相談
- 費用負担やレンタル期間の確認
- 使用後の状況報告と調整
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市販の床ずれ防止用具と比較する際の注意点
ここでは、市販されている床ずれ防止用具と介護保険適用のレンタル用具の違いや、薄型用具の効果と注意点について解説します。
ニトリなど市販品との違い
市販されている床ずれ防止用具は、手軽に購入できる点がメリットですが、医療・介護用具に比べて機能面で劣ることが多いです。
具体的には、体圧分散性能や通気性、安全性について医療介護用基準での検証が行われていない場合があり、長時間の使用で床ずれ予防効果が不十分となる恐れがあります。
一方で、介護保険適用の床ずれ防止用具は、医療や介護の現場で使用実績が豊富で、専門家が設計や選定に関与しているため、利用者の身体状況に合わせた高い安全性と効果が期待できます。
価格面では市販品より高価になる傾向がありますが、専門家のサポートを受けながら使用できる点が大きな特徴です。
床ずれ防止用具を選ぶ際は、使用目的や利用者の身体状況、予算などを踏まえて、市販品と介護用具の違いをよく比較検討することが重要です。
適切な用具選びが床ずれ予防の効果を左右します。
薄型用具の効果と注意点
薄型の床ずれ防止用具は、その軽量さと取り扱いやすさから使用例が多いですが、体圧分散効果が限定的である点に注意が必要です。
特に体重が重い方や床ずれのリスクが高い重度の利用者の場合、薄型用具では十分な圧力緩和が期待できず、床ずれの予防効果が不十分となる恐れがあります。
また、薄型用具に使用される素材によっては通気性が劣ることがあり、蒸れやすくなることで皮膚の炎症やかぶれなどのトラブルが起こる可能性があります。
そのため、利用前には利用者の身体状況や床ずれのリスクをしっかりと把握し、医療や介護の専門職と相談のうえ適切な製品を選ぶことが望まれます。
場合によっては、他のタイプの用具との併用を検討することも重要です。
これにより、安全かつ効果的な床ずれ予防が可能となります。
使用時には定期的な皮膚の観察と用具のメンテナンスも欠かせません。
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床ずれ防止用具の選び方と比較ポイント
ここでは、エアマットとウレタンマットの特徴比較や、市販品と介護用専門用具の違いを明示し、利用者が迷わず選べるポイントを解説します。
エアマット vs. ウレタンマット:どちらが合う?
エアマットは空気圧の調整により体圧を効果的に分散でき、寝返りが難しい方や重度の床ずれリスクがある利用者に適しています。
一方、ウレタンマットは素材の反発力で圧力を分散し、比較的動ける方に向いています。
エアマットは高価で手入れも必要ですが、圧力調整機能があるため、症状の進行を抑えたい場合におすすめです。
ウレタンマットは手軽に利用でき、日常的な予防に適しています。
身体状況や介護環境に応じて使い分けることが大切です。
特徴 | エアマット | ウレタンマット |
|---|---|---|
体圧分散方法 | 空気圧を調整し圧力を分散 | 素材の反発力で圧力を分散 |
対象者 | 寝返り困難・重度リスク者 | 動ける方の予防 |
手入れの手間 | ポンプ等の管理が必要 | 比較的簡単 |
価格 | 高価 | 比較的安価 |
市販品と介護用専門用具の違いを比較する
市販品と介護用専門用具には、価格、機能、保証・アフターサービスの面で明確な違いがあります。
市販品は比較的安価で手軽に購入できるため、初期費用を抑えたい方に向いていますが、体圧分散性能や耐久性が介護用専門用具に比べて劣る場合があります。
対して、介護用専門用具は医療や介護の基準を満たしており、専門職によるサポートやフィッティングが受けられるため、安全性や効果の面で優れています。
また、介護保険の適用を受けられるため、自己負担額を大幅に抑えられる点も大きなメリットです。
選ぶ際には、①利用目的、②利用者の身体状態、③費用負担、④サポート体制の4つの視点から比較検討し、利用者のニーズに最も適した用具を選択することが重要です。
こうした総合的な判断が、床ずれ防止の効果を高め、快適な介護環境づくりにつながります。
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床ずれ防止用具と介護者の負担軽減
ここでは、床ずれ防止用具がどのように介護者の作業負担を軽減するか、また夜間介護の負担を抑えるための用具選びについて解説します。
介護者の作業負担が減る用具とは?
床ずれ防止用具は、利用者だけでなく介護者にとっても大きな支援になります。
特に、自動体位変換機能付きエアマットや体位保持クッション、昇降機能付き電動ベッドは、介護動作の頻度や作業を減らし、腰痛や介護ストレスの軽減に寄与します。
また、滑り止め付きのシートや移乗サポート用具も介護者の動作補助に役立ちます。
介護者の健康を守ることは、継続的なケアを実現するためにも重要です。
介護負担軽減につながる用具例
- 自動体位変換エアマット:体位変換の介助作業を軽減
- 体位保持クッション:姿勢維持を補助し力作業を低減
- 電動ベッド(背上げ・高さ調整):昇降力を軽減し腰への負担を軽減
- スライディングシート:摩擦削減で移乗時の負担を軽減
夜間介護に役立つ床ずれ防止用具の選び方
夜間介護では、センサー搭載型マット(体動・離床検知機能付き)や自動切替式エアマットが夜間の見守り・作業省力化に有効です。
特に、ベッドからの転落や離床をセンシングし、必要時のみ対応できる仕組みは、介護者の身体的・精神的負担軽減に繋がります。
また、アラーム付きセンサーマットは、利用者の体動を検知し、必要時のみ対応できるため、過度な介入を避けられます。
夜間は静音性や安定性も重要な選定基準です。
介護者の睡眠や健康を守るためにも、夜間対応用具の活用は有効です。
夜間対応に適した用具のポイント
- 自動体位変換機能付きエアマット
- 静音性の高いモーター搭載製品
- 見守り用センサー・アラーム機能
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失敗しない床ずれ防止用具の選び方
ここでは、床ずれ防止用具の選定でありがちな失敗例とその対策、また現場スタッフから聞いた選定のコツについて解説します。
選び方でよくある失敗例とその対策
床ずれ防止用具の選定でありがちなのが、「使う人に合っていない」選び方です。
例えば、動ける人に過剰なサポート機能のあるエアマットを使うと寝返りがしにくく、かえって筋力低下のリスクが高まる可能性があります。
また、通気性が不足して湿気がこもる素材では、皮膚トラブルを引き起こすこともあります。
失敗を防ぐには、利用者の体重、動きの可否、皮膚状態を正確に把握し、専門家と相談して選定することが大切です。
よくある失敗例と対策
失敗例 | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
動ける人にエアマット | サポート過剰 | 静止型マットを選択 |
湿気でかぶれ | 通気性不足 | 通気性素材+保湿ケア |
用具のサイズが合わない | 事前確認不足 | 試用やフィッティングを行う |
介護施設スタッフに聞いた選び方のコツ
介護現場の経験者によれば、用具選びは「身体状態の変化に対応できる柔軟性」と「手入れのしやすさ」が重要だとされています。
施設スタッフからは、清掃・交換のしやすさ、滑り止めや安定性、多様な体格に対応するサイズ展開、そして利用者による評価・フィードバックが活かせる運用体制が重要だという声が聞かれています。
現場で重視されるポイント
- 清掃・交換が簡単
- 安定性や安全性が高い
- 体重や体格に応じたサイズ展開
- 利用者のフィードバックを活かす運用
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まとめ
床ずれ防止用具は、利用者の健康とQOL(生活の質)を守るためには欠かせない介護用品です。
エアマットや静止型マットレス、各種クッション、体位変換器などがあり、利用者の身体状態や生活環境、床ずれのリスク部位に応じて選ぶことが重要です。
選定を誤ると、床ずれ悪化や動作制限などのリスクが生じる可能性があるため、専門職との相談やフィッティングを通じた導入が推奨されます。
介護保険を利用すれば、自己負担1〜3割でのレンタルが可能で、費用を抑えながら必要な用具を導入できます。
※低所得者は0〜1割軽減対象の場合があります。
さらに、用具は介護者の負担軽減への効果が期待され、自動体位変換マットやセンサーマット、電動ベッドなどは夜間介護の省力化にもつながります。
よくある質問
Q.床ずれ防止用具はどの部位に使える?
床ずれ防止用具は、体の特定部位ごとに対応した製品が用意されています。
代表的な部位としては、仙骨(腰の下)、坐骨(おしり)、かかと、肩甲骨、後頭部などが挙げられます。
これらは骨が皮膚のすぐ下にあり、圧迫による血行不良が起きやすいため、用具を使って体圧を分散させます。
各部位に適した形状や素材の用具を使い分けることが、効果的な予防につながります。
部位別おすすめ用具
- 坐骨部(座った時に地面に接するお尻の骨のこと):
円座クッション、除湿パッド
- 肩甲骨(背中側の上部に左右対称に位置する、逆三角形の平らな骨):
体位変換クッション
- 仙骨部(お尻の上、腰の下あたりで、骨盤の中心にある逆三角形の骨です。):
エアマット、ジェルパッド
- かかと:
かかと用サポーター
Q.床ずれ防止マットと一般マットレスの違いとは?
一般的なマットレスは寝心地を重視して作られていますが、床ずれ防止マットは「体圧分散性能」が重視され、血流を妨げない構造になっています。
例えばエアマットは空気圧を自動調整して、同じ部位に圧力が集中しないよう設計されています。
ウレタン素材のマットも、複数の層構造で衝撃を吸収します。
一方、通常のマットレスは柔らかすぎると沈み込み、かえって皮膚への圧迫が強まることもあるため注意が必要です。
比較項目 | 一般マットレス | 床ずれ防止マット |
|---|---|---|
用途 | 快適性 | 医療・介護 |
体圧分散 | 低い | 高い |
素材 | スプリング等 | エア・ウレタン等 |
Q.レンタルと購入、どちらがおすすめ?
床ずれ防止用具の選択では、利用期間や費用負担、状態変化への対応力を踏まえて「レンタル」が適している場合が多いです。
特に介護保険を利用すれば、自己負担1〜3割で必要な用具を使用できるため、コスト面でのメリットがあります。
一方で、短期間の使用や使い慣れた製品がある場合は購入も一案です。
使用者の状態が変わりやすい場合は、定期的な見直しができるレンタルが望ましい選択となります。
判断の目安
- 長期間使用 → レンタル
- 一時的使用 → 購入も可
- 状態変化に対応したい → レンタル
- 同一用具を使い続けたい → 購入
Q.クッションだけで十分なケースとは?
体位変換が自力でできる方や、床ずれのリスクが比較的低い方には、クッションのみで対応可能な場合もあります。
特に坐骨部やかかとなど、一部の部位のみ保護すればよい状況では、円座クッションや除湿パッドなどの局所用具が有効です。
ただし、体圧分散が不十分だと床ずれが悪化する可能性があるため、あくまで医療職の助言を受けながら選定するのが望ましいです。
クッションだけで対応できる条件
- 移動・寝返りが自力で可能
- 褥瘡(じょくそう・床ずれ)
- 短期的な使用を想定

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み






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