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重度の要介護者を在宅で支えたい方医療依存度が高い家族の生活を在宅で続けるために、どのような通所サービスが使えるか知りたい方
在宅介護を続けながら安心できる支援を探している方訪問看護や訪問介護だけでは不安で、医療的ケアとリハビリを併せて受けられる施設を検討したい方
介護・医療業界で働く方で新しいケアモデルを学びたい方重度要介護者向けの通所介護や多職種連携、医療と介護の融合した支援について理解を深めたい方
介護保険制度や費用負担を理解して計画的にケアを選びたい方療養通所介護の利用条件や自己負担、支援を受けるための手続きを整理したい方

療養通所介護とは?定義・目的・対象者
ここでは、療養通所介護の制度上の位置づけや対象となる人の基準をまとめます。
一般的なデイサービスと比べ、医療的ケアが必要な方を対象としており、看護師が常時対応できる体制が特徴です。
「どんな人が利用できる?」「普通の通所介護と何が違う?」といった疑問を整理しながら、自分や家族に向いているサービスか判断する参考にしてください。
療養通所介護の定義(厚生労働省)
療養通所介護とは、介護保険サービスの一つで、「地域密着型サービス」に位置づけられる医療的ケア対応型サービスです。
厚生労働省は、「難病やがん末期など、常時看護師による観察や医療的処置が必要な利用者を対象とする通所サービス」と定義しています。
一般の通所介護(デイサービス)との違いは以下のとおりです。
- 看護師配置が必須
- 吸引・胃ろう・褥瘡処置などの医療的ケアに対応
- 利用者の医療依存度が高い
このため、体調変動が起こりやすい方や、医療観察が欠かせないケースでも、自宅生活を継続しやすくなる点が特徴です。
対象者の基準
療養通所介護の対象となるのは、要介護認定(要介護1~5)を受けた方で、特に医療依存度の高い要介護3〜5の方の利用が多い傾向があります。
※要介護度が低くても、常時の医療的ケアが必要な場合は利用対象となります。
加えて、日常的に医療的ケアを必要とする疾患や症状があることが前提となります。
● 対象となりやすい疾患例
- ALS・パーキンソン病などの神経難病
- がん末期
脳血管疾患後遺症 - 慢性呼吸不全 など
● 日常的な医療処置の例
- 胃ろう・経管栄養
- 気管切開・喀痰吸引
- 酸素療法
- インスリン注射や褥瘡処置 など
対象になりやすいケースの例
状況・特徴 | 具体例 |
|---|---|
医療的処置が日常的に必要 | 胃ろう、喀痰吸引、気管切開管理、酸素療法 |
病状の予測が難しく見守りが必要 | ALS、パーキンソン病、がん末期 |
移動や体位保持が難しい | 寝たきり、脳梗塞後遺症、重度機能低下 |
目的(家族支援含む)
療養通所介護の目的は、医療ニーズの高い利用者が自宅での生活を継続できるよう支援することです。
日中に通所することで、入浴、食事、排せつ介助、機能訓練、口腔ケア、医療的ケアを一体で提供し、体調悪化の予防や生活機能の維持を目指した支援を行います。
また、利用者本人の支援だけでなく、家族の負担軽減(レスパイトケア)も重要な役割です。
介護者が休息や仕事の時間を確保できることで、長期的な在宅介護が続きやすくなります。
- 生活機能の維持・悪化予防
- 社会的孤立の防止
- 在宅療養の継続
- 介護者の身体的・精神的負担軽減
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療養通所介護がなぜ今注目されているのか
療養通所介護は、医療的ケアが常時必要な重度の要介護者やがん末期患者などを対象とした通所型の介護保険サービスです。
利用者が日中に施設へ通い、看護師や介護職員による専門的なケアや機能訓練、日常生活支援を受けられる点が大きな特徴です。
このサービスは2006年に創設され、従来のデイサービスでは受け入れが難しかった、人工呼吸器の管理や痰の吸引、点滴による栄養補給など高度な医療的ケアが必要な方も利用できるようになりました。
医療法人や社会福祉法人といった法人格を持つ事業者が運営し、利用者一人ひとりの状態に合わせてきめ細やかなケアを提供しています。
出典:療養通所介護:厚生労働省
時代背景として、日本は急速な高齢化の進展とともに、要介護高齢者や医療ニーズの高い在宅療養者が増加しています。特にがん患者の推移を見ると、医療技術の進歩や早期発見の普及によりがんの罹患者数は増加傾向にあり、がん末期で在宅療養を希望する方も年々増えています。
出典:結果の概要:厚生労働省
こうした背景から、「できる限り自宅で最期まで過ごしたい」という本人や家族の希望を支えるサービスとして、療養通所介護の役割がますます重要になっています。
また、重度要介護者やがん末期患者を在宅で介護する家族の負担は非常に大きく、介護離職や心身の疲弊といった社会問題にもつながっています。療養通所介護は、家族の身体的・精神的負担を軽減し、介護の休息や社会参加の機会を提供するという側面も持っています。
このように、療養通所介護は「医療的ケアが必要でも、住み慣れた自宅で生活を続けたい」という本人と家族の思いに寄り添い、医療と介護の両面から在宅生活を支える重要な社会資源として、今大きな注目を集めています。
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療養通所介護で受けられるサービス内容と医療的ケア
ここでは、療養通所介護で提供される主なサービス内容と、対応可能な医療的ケアの種類を整理します。
「どの程度まで医療処置を任せられる?」「一般のデイサービスとの違いは?」といった疑問に答えながら、利用検討の判断材料として使える情報をまとめました。
提供されるサービス内容
療養通所介護では、一般的な通所介護(デイサービス)の内容に加え、看護職員による医療的ケアや健康管理が行われます。
体調変動が起こりやすい利用者にも対応できるよう、看護師が常に利用者の状態を観察しながらサービスを提供します。
【主なサービス】
サービス区分 | 内容・具体例 |
|---|---|
日常生活支援 | ・食事介助 ・入浴介助(機械浴対応の場合あり) ・排せつ支援 |
健康管理・医療ケア | ・バイタル測定 ・病状観察 ・医師連携によるケア記録 |
機能訓練 | ・個別リハビリ ・座位保持訓練 ・嚥下訓練 |
社会的交流支援 | ・レクリエーション ・孤立防止のためのコミュニケーション支援 |
これらが利用者の状況に合わせて個別計画(ケアプラン)に基づき提供されます。
対応できる医療的ケア
療養通所介護の大きな特徴は、看護師による医療的処置や観察がサービスの中心にあることです。
医療依存度が高い方でも利用できるよう、次のような処置が認められています(事業所により実施範囲は異なります)。
療養通所介護で対応されやすい医療的ケアの例
医療ケア | 内容例 |
|---|---|
吸引・口腔ケア | 喀痰吸引、口腔内清潔保持、嚥下評価 |
栄養・経管処置 | 胃ろう・経鼻経管栄養、点滴管理(必要時) |
呼吸管理 | 酸素療法、人工呼吸器利用者の観察 |
投薬・処置 | インスリン注射、褥瘡処置、創傷ケア |
モニタリング | バイタル管理、症状変化の観察、医師連携 |
サービス提供中に状態が変化した場合でも、看護師が適切な処置・記録・医療機関との連携を行い、自宅療養の継続を支えます。
看護師など医療従事者の常駐、連携
療養通所介護の最大の特徴は、看護師などの医療従事者が常駐し、利用者一人ひとりに対して専門的な医療的ケアを日常的に提供できる点です。
施設には必ず常勤の看護師が配置されており、利用者の健康状態や体調の変化に即座に対応できる体制が整っています。
出典:療養通所介護:厚生労働省
看護師は、主治医の指示や診療情報提供書に基づき、喀痰吸引や経管栄養、点滴、酸素療法、創傷処置、疼痛管理などの医療行為を行います。
人工呼吸器の管理や気管切開部のケアなど、一般的なデイサービスでは対応が難しい高度な医療的ケアにも対応している場合が多く、利用者や家族にとって大きな安心材料となっています。
出典:療養通所介護:厚生労働省
また、看護師は介護職員やリハビリ職、ケアマネジャーなど多職種と密接に連携し、利用者の状態やケア内容について日々情報共有を行っています。必要に応じて主治医や訪問看護師とも連絡を取り合い、医療的ケアが継続的かつ適切に行われるよう調整しています。利用者や家族からの健康相談にも丁寧に対応し、不安や疑問に寄り添いながら、必要な場合は医師へ報告・相談する役割も担っています。
このような体制により、療養通所介護では日常的な健康管理から緊急時の応急処置まで一貫して対応できるため、医療的ケアが必要な方も安心してサービスを利用することができます。
施設ごとに対応できる医療行為の範囲は異なるため、利用を検討する際は事前に確認することが大切です。看護師を中心とした医療従事者の存在と多職種連携が、療養通所介護の質の高いケアと利用者・家族の安心を支えています。
利用定員や人員配置基準
療養通所介護の利用定員と人員配置基準は、厚生労働省によって厳格に定められています。まず、1事業所あたりの利用定員は「18人以下」とされており、それ以上の利用者を受け入れることはできません。
実際の運営では、全国の事業所の平均利用定員は約7人と、小規模で手厚いサービス提供が一般的です。
出典:療養通所介護:厚生労働省
人員配置については、提供時間帯を通じて「利用者1.5人に対して看護職員または介護職員1人以上」の配置が義務付けられています。
さらに、そのうち1人以上は専ら療養通所介護の職務に従事する常勤の看護師でなければなりません。管理者も原則として常勤の看護師が担い、他の事業所と兼務する場合でも管理上支障がないことが条件とされています。
このような基準により、療養通所介護は医療的ケアが必要な利用者に対して、きめ細やかで安全なサービス提供が可能となっています。加えて、施設には利用者1人につき**6.4平方メートル以上の専用スペース(個別対応用)が必要とされるなど、設備面でも一定の基準が設けられています。
※一般デイサービスは3平方メートル/人なので、療養通所介護はより広いスペース基準
出典:療養通所介護:厚生労働省
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療養通所介護のメリット・デメリット
療養通所介護は、医療依存度が高い方でも在宅生活を続けられるよう支えるサービスですが、利用に向き不向きがあります。
ここでは「利用する価値があるのか?」「デイサービスと迷ったときの判断材料がほしい」という方に向けて、利用者・家族双方の視点からメリットとデメリットを整理します。
メリット
療養通所介護を利用する最大のメリットは、医療的ケアを受けながら日中の支援が受けられる点です。
看護師が常に状態を確認し、必要な処置や見守りができるため、自宅療養中の体調管理に役立ちます。
医療的支援と生活支援が一体化されている点が、一般の通所介護との大きな違いです。
デメリット
一方で、療養通所介護は提供できる事業所が限られるため、地域差や利用ハードルの高さが課題とされています。
課題カテゴリ | 内容・例 |
|---|---|
利用できる事業所が少ない | ・対応施設が少なく、選択肢が限られる ・特に地方では事業所数が少ない傾向 |
費用面の負担が増える可能性 | ・医療体制や加算の影響で総額が高くなるケースあり |
利用開始までの準備が必要 | ・医師意見書や事前調整が必要になることが多い ・一般的なデイサービスより利用開始まで時間がかかる場合あり |
サービスの特徴による偏り | ・サービス内容が医療中心になりやすい ・レクリエーションや運動より個別対応が多い |
体調や病状に左右されやすい | ・体調変化により利用の中止・変更が発生する可能性 ・医療状態によって計画や頻度が変わりやすい |
「利用したいが、対応施設が近くにない」という声も多く、自治体による支援体制の整備が今後の課題とされています。
向いている人・向いていないケース
状況 | 向いている | 向いていない |
|---|---|---|
医療的ケアが必要 | ◎ | △ |
交流・活動が目的 | △ | ◎(一般デイサービスの方が適合) |
在宅療養を継続したい | ◎ | △ |
通所距離が長い | △(送迎対応次第) | × |
医療ニーズが高く、在宅療養を続けたい場合に向いているサービスです。一方、活動や運動・交流が中心目的の場合は一般デイサービスの方が合うことがあります。
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療養通所介護と通所介護(デイサービス)の違い
ここでは、療養通所介護と一般的な通所介護(デイサービス)の違いを整理します。
どちらも「日帰りで利用する介護保険サービス」ですが、対象者・提供体制・医療ケアの範囲に大きな違いがあります。
「どちらを利用すべきか迷っている」「医療ニーズがある場合の判断基準を知りたい」という方に向けて、比較表を交えて解説します。
対象者・サービス目的の違い
両サービスは利用対象者が大きく異なります。通所介護は比較的幅広い要介護者に対応していますが、療養通所介護は医療依存度が高く、看護師による継続的な観察が必要な方が対象です。
項目 | 通所介護(デイサービス) | 療養通所介護 |
|---|---|---|
対象者 | 要支援・要介護全般 | 医療処置・看護体制が必要な要介護者 |
目的 | 生活支援・機能訓練・社会参加 | 在宅療養継続・病状悪化予防 |
「体調が安定しているが生活支援やリハビリを受けたい場合」は通所介護、「医療的ケアがあり、看護師の見守りが必要な場合」は療養通所介護が向いています。
サービス提供体制・人員基準の違い
療養通所介護では、サービス提供中に病状が変化する可能性があるため、看護職員の配置が義務付けられている点が大きな特徴です。
項目 | 通所介護 | 療養通所介護 |
|---|---|---|
看護師配置 | 必須ではない | 常時配置必須 |
医療ケア対応 | 原則不可 | 吸引・胃ろう・人工呼吸器対応など可能 |
チーム体制 | 介護職員中心 | 看護師中心+介護スタッフで連携 |
この人員体制により、高度なケアにも対応できる仕組みになっています。
サービス内容・医療ケアの違い
提供される内容にも違いがあります。通所介護では主に日常生活支援や機能訓練が中心ですが、療養通所介護では医療的処置・病状観察・緊急時対応が含まれます。
項目 | 通所介護 | 療養通所介護 |
|---|---|---|
入浴・食事・排せつ支援 | ○ | ○ |
機能訓練(リハビリ) | ○ | ○(医療計画下で実施) |
医療ケア | × | ○(吸引・経管栄養・酸素管理など) |
バイタル測定・医療観察 | 任意 | 必須 |
そのため、人工呼吸器利用者・吸引が必要な方・がん末期の方なども利用できる点が一般デイサービスとの大きな違いです。
料金体系・加算の違い
費用面では、医療体制が整っている療養通所介護の方が単価が高くなる傾向があります。
ただし、加算や自治体基準により差が出るため、必ず事業所で確認する必要があります。
項目 | 通所介護 | 療養通所介護 |
|---|---|---|
基本単価 | 標準 | やや高い※医療体制含む |
加算 | 口腔ケア・機能訓練など | 医療的ケア・看護体制加算など多い |
以下の表に、両者の主な違いをまとめます。
項目 | 療養通所介護 | 一般的なデイサービス (通所介護) |
|---|---|---|
目的 | 医療的ケアが必要な重度要介護者への医療的サービス | 生活支援や機能維持・改善、社会的交流 |
サービス内容 | 看護師・医師による健康管理、医療的ケア | 日常生活支援(食事・入浴・排泄介助)、レクリエーション |
対象者 | 主に医療的支援が必要な要介護度の高い人 | 要支援者から比較的軽度の要介護者まで |
施設規模 | 比較的小規模で専門性が高い | 比較的大規模で多様な活動を提供 |
スタッフ体制 | 看護師など医療従事者が常駐 | 介護職員が中心、看護師は必須ではない |
医療的ケア | 人工呼吸器管理、痰の吸引、点滴など対応可能 | 基本的に医療的ケアの対応は難しい |
一般的なデイサービスは、生活支援や交流を重視し、比較的軽度の要介護者や要支援者も幅広く利用できます。日常生活の介助やレクリエーション、機能訓練などが中心で、医療的ケアの体制は限定的です。
一方、療養通所介護は、難病や末期がん、認知症の進行などで常時看護師による観察や医療的処置が必要な方が主な対象です。看護師や医師が常駐し、人工呼吸器や点滴、痰の吸引など専門的な医療的ケアが日常的に提供されます。
このように、療養通所介護は「医療的ケアが必要でも自宅で暮らしたい」という重度要介護者や家族のニーズに応える、より専門性の高いサービスです。
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療養通所介護と看護小規模多機能型居宅介護などとの違い
療養通所介護と看護小規模多機能型居宅介護(「看多機」)は、どちらも医療的ケアが必要な方の在宅生活を支えるサービスですが、サービスの内容や利用の仕方に大きな違いがあります。以下の表で主な違いを比較し、その特徴を解説します。
サービス名 | 主なサービス内容 | 利用方法の特徴 | 対象者 |
|---|---|---|---|
療養通所介護 | 通所(デイサービス)による医療的ケア・生活支援 | 日中の「通い」に特化 | 要介護1~5、医療的ケアが必要な方 |
看護小規模多機能型居宅介護 | 通い・泊まり・訪問介護・訪問看護を一体的に提供 | 通い・泊まり・訪問を組み合わせて柔軟に利用 | 要介護1~5 |
看護小規模多機能型居宅介護は、「通い」「泊まり」「訪問介護」「訪問看護」の4つのサービスを1つの事業所で一体的に受けられるのが最大の特徴です。
出典:看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)について:厚生労働省
例えば、日中は「通い」で施設を利用し、必要なときは「泊まり」や「訪問」に切り替えることができ、利用者や家族の状況に合わせて24時間365日切れ目なくサービスを受けられます。医師の指示書に基づく看護師による医療処置や、リハビリ、看取り支援も行われています。
一方、療養通所介護は「通い」に特化しており、看護師など医療従事者が常駐するなかで、日中の医療的ケアや生活支援、リハビリ、レクリエーションなどを提供します。泊まりや訪問のサービスは含まれていませんが、医療的ケアの専門性が高く、人工呼吸器管理や痰の吸引、経管栄養、点滴などにも対応できる体制が整っています。
このように、看護小規模多機能型居宅介護は「通い・泊まり・訪問」を柔軟に組み合わせて在宅生活をトータルで支えるサービス、療養通所介護は「通い」に特化しつつも高度な医療的ケアを提供するサービスという違いがあります。
ご本人やご家族の生活スタイルやニーズに合わせて、どちらのサービスがより適しているかを選択することが大切です。
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療養通所介護の利用開始までの流れ・必要書類
療養通所介護を利用するには、一般の通所介護と同様に、介護保険制度にもとづく手続きとケアマネジャー(介護支援専門員)との調整が必要です。
ここでは、申し込みから利用開始までのステップを整理します。
「何から始める?」「医師の意見書は必要?」といった疑問を解消しながら、利用検討時に迷わないよう順序をまとめました。
STEP1|担当ケアマネジャーへ相談
療養通所介護を検討する場合、まずは担当のケアマネジャー(介護支援専門員)に相談します。
利用者の医療依存度や既存サービスとの組み合わせを踏まえ、適切な事業所を提案してもらう流れが一般的です。
相談内容の例
- 利用目的(医療ケア・入浴・家族支援など)
- 医療処置や健康状態
- 希望日時・送迎範囲
- 併用中の訪問看護や訪問介護との連携
※ケアマネジャー(介護支援専門員)がいない場合は、地域包括支援センターが窓口になります。
STEP2|事業所への問い合わせ・見学
候補事業所が決まったら、ケアマネジャー(介護支援専門員)を通じて事業所に可否確認を行い、可能であれば見学や体験利用を行います。
見学時に確認しておくとよいポイント
- 対応できる医療処置の範囲
- 看護師の配置体制(常勤・複数体制など)
- 機械浴・送迎対応の有無
- 医療機関との連携体制
- 緊急時の対応方法
体調に大きな配慮が必要なサービスのため、事前確認は重要です。
STEP3|主治医意見書・健康情報の共有
療養通所介護では、医療ニーズが高い利用者が多いため、事業所側は主治医または医療機関との情報共有を行い、利用可能か判断します。
提出・共有されやすい内容
- 主治医意見書
- 服薬状況
- 医療処置の内容(吸引・胃ろう・人工呼吸器など)
- 感染症・褥瘡・合併症情報
- リスク管理上の注意点
事業所と訪問看護等のサービスが入っている場合は、連携調整が行われることもあります。
STEP4|契約・利用開始
事業所の受け入れ体制が整い、ケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプランを作成したら、正式に契約し利用開始となります。
契約時に確認しておく内容
- 利用日数・スケジュール
- 料金・加算の有無
- 利用終了・休止のルール
- 緊急時の救急搬送体制
- 家族が行う医療ケアの範囲
利用開始後は、状態変化に応じて計画の見直しや医療チームとの連携が行われます。
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まとめ
療養通所介護は、胃ろう・吸引・人工呼吸器など医療的ケアが必要な方や、ALS・がん末期など進行性疾患を抱える方でも、通所で生活支援やリハビリ、入浴支援を受けられるサービスです。
看護師が常駐し、健康観察や医療的処置に対応できる点が一般の通所介護との大きな違いです。また、家族の負担軽減や、在宅療養を継続する支えになることも特徴です。
費用は加算や提供体制によって変動するため、利用を検討する際はケアマネジャー(介護支援専門員)や地域包括支援センターへ相談しましょう。
よくある質問
Q.通所介護(デイサービス)との違いは?
一般の通所介護は生活支援やリハビリが中心ですが、療養通所介護は医療的ケアと看護体制が必須のサービスです。
吸引・胃ろう・人工呼吸器管理など、医療依存度が高い方でも利用しやすい点が特徴です。
Q.どんな人が利用できますか?
以下に該当する場合、利用対象となりやすい傾向があります。
- 要介護認定(特に要介護3〜5が多い)
- 医療的ケアが日常的に必要(例:胃ろう、吸引、人工呼吸器、褥瘡処置など)
- 日中の見守りやリスク管理が必要
- がん末期や進行性疾患の方
正式な判断はケアマネジャー(介護支援専門員)・医療機関・事業所で行われます。
Q.費用はいくらくらい?
費用は介護保険ルールに基づくため全国共通ですが、加算や自治体区分、提供体制により差があります。
自己負担割合は1〜3割で、医療体制が必要な分、一般デイサービスより高くなる傾向です。
正しい金額はケアマネジャー(介護支援専門員)または地域包括支援センターへ確認が必要です。
Q.医療ケアはどこまで対応できますか?
事業所や看護体制により異なりますが、次のような処置に対応するケースが多いです。
- 胃ろう・経管栄養
- 喀痰吸引・気管切開管理
- 酸素療法・人工呼吸器利用者の観察
- インスリン投与・褥瘡処置
対応範囲は事業所ごとに異なるため、見学時の確認が必須です。
Q.利用開始までにどれくらいかかりますか?
医療情報共有や医師意見書の確認が必要なケースがあるため、一般デイサービスより時間がかかる傾向があります。
目安:1〜3週間程度(医療連携が必要な場合はさらに前後する)
Q.他のサービス(訪問看護など)と併用できますか?
他のサービス(訪問看護など)と併用できます。
ただし、訪問看護と療養通所介護を「同じ日」に利用することは、緊急時や病状が重篤な場合などを除き、原則として算定が認められません(適正給付の観点から制限されます)。
基本的には、利用しない日や時間帯を組み合わせて、以下のような多職種連携を行うケースが一般的です。
Q.途中で体調が変化した場合は?
看護師が状態を確認しながらサービス提供するため、体調変化があった場合は医師やケアマネジャー(介護支援専門員)と連携し、利用継続の可否や介護計画の見直しが行われます。
[介護サーチプラス]編集部
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介護業界に特化した情報を発信するオウンドメディア。
介護や福祉に関する制度、転職・キャリアに役立つトピック、スキルアップのヒントなど、幅広いテーマを取り上げ、誰にとっても読みやすいメディア運営を目指しています。
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