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要介護1の認定を受けた・検討中の方介護サービスの内容や費用、利用手続きについて知りたい方
家族の介護に不安を感じている方在宅介護のポイントや支援制度を活用したいと考えている方
介護認定の仕組みを知っておきたい方要介護1と要支援の違いや、認定の基準について理解を深めたい方
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要介護1とは?どんな状態?
要介護1とは、介護が必要とされる区分の中で最も軽度にあたる等級です。食事や着替えなど多くの生活動作は自力で行える一方、入浴や排泄、移動の際に部分的な介助が必要となる状態が特徴です。
日本の介護保険制度は、2000年に創設された公的支援制度で、原則65歳以上の高齢者(第1号被保険者)、または40歳以上65歳未満で特定疾病に該当する医療保険加入者(第2号被保険者)が対象です。
介護の必要度は『要支援1・2』と『要介護1〜5』の7段階に分かれ、数字が大きいほど介護の必要性が高いとされています
要介護度は、市区町村への申請を経て実施される「要介護認定」により決定されます。
認定は、訪問調査結果に基づくコンピュータ判定(一次判定)と、介護認定審査会による総合的な判断(二次判定)の二段階で行われ、最終的に区分が確定します。
出典:介護保険制度の概要|厚生労働省老健局
出典:介護保険制度の概要|厚生労働省老健局
出典:要介護認定はどのように行われるか
要介護1の定義と特徴
要介護1は、要支援2よりも日常生活に介助が必要となる一方で、要介護2以上と比べると比較的軽度な状態にあたります。
厚生労働省は要介護1を 「手段的日常生活動作の能力がさらに低下し、部分的な介護が必要となる状態」 と定義しています。
具体的には、歩行時にふらつきが見られたり、衣服の着脱や入浴の際に軽度の介助を要する場合が該当します。認知機能についても軽度の低下がみられることがありますが、意思疎通は概ね可能です。
この等級の特徴は「できること」と「介助が必要なこと」が混在している点にあり、必要な支援の内容や頻度には個人差があります。そのため、本人の体調や生活環境に応じて柔軟に介護の形を整えることが重要です。
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要介護1と要支援2、要介護2の違い
要介護1は「要介護」に分類される中で最も軽度の状態であり、自立と介護の境目に位置づけられます。
要支援2では、基本的に自立生活が可能で、掃除・買い物などの家事支援が中心です。身体介護は一部に限られます。
一方で要介護1になると、入浴や排泄の介助、服薬管理、移動のサポートなど、日常的な身体介護が必要となります。認知症の影響で介護の手間が増えるケースも少なくありません。
さらに要介護2になると、介助の頻度や重度が増し、自力での移動が困難になったり、入浴・排泄の全面介助が必要となることもあります。
このように、要介護度は段階的に移行する性質があり、本人の状態変化に応じて支援内容が大きく変わる点が特徴です。
区分 | 主な特徴 | 必要となる支援・介助 |
|---|---|---|
要支援2 | 基本的に自立生活が可能 | 掃除・買い物・調理など家事支援中心、身体介護は一部のみ |
要介護1 | 日常生活に部分的な身体介護が必要 | 入浴・排泄の一部介助、服薬管理、移動の支え、軽度の認知症対応 |
要介護2 | 身体介助の頻度・重度が増加 | 入浴・排泄の全面介助、自力移動困難、より継続的な支援が必要 |
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要介護1の認定基準と流れ
ここでは、要介護1の認定を受けるための基準や手続きの流れを解説します。
申請方法や必要書類、認定調査の内容、判定のプロセスを理解しておくことで、スムーズに介護サービスを利用できるようになります。
要介護認定はどのように行われる?
要介護認定は「介護サービスをどの程度必要とするか」を判断する仕組みで、病気の重さと必ずしも一致しません。
例えば身体機能は保たれていても認知症による徘徊や問題行動がある場合は、介護の手間が大きくなり高い要介護度となることがあります。
判定は、公平性を確保するためにコンピュータによる一次判定と、専門家による二次判定の二段階で行われます。
一次判定では「1分間タイムスタディ」を用いて介護必要時間を推計し、その時間を基に要支援・要介護の区分が決まります。
この基準時間は実際の介護時間とは異なり、あくまで必要性を測る指標です。
区分 | 要介護認定等基準時間 |
|---|---|
要支援1 | 25分以上~32分未満 |
要支援2/要介護1 | 32分以上~50分未満 |
要介護2 | 50分以上~70分未満 |
要介護3 | 70分以上~90分未満 |
要介護4 | 90分以上~110分未満 |
要介護5 | 110分以上 |
要介護認定の流れ(申請~認定までの手順)
要介護認定は、市区町村の窓口に申請することから始まります。本人や家族が申請書を提出すると、調査員が自宅や施設を訪問し、心身の状態や日常生活の様子を聞き取る「認定調査」が行われます。
同時に、かかりつけ医による「主治医意見書」も提出され、医学的な観点からの補足情報が加わります。これらのデータを基に一次判定(コンピュータ判定)が行われ、その結果を踏まえて介護認定審査会で二次判定が実施されます。
最終的な要介護度が決定すると、市区町村から通知が届き、介護保険サービスを利用できるようになります。申請から結果通知までは『原則30日以内』とされています(主治医意見書の提出遅延や入院・転居等の事情により、超過する場合があります)」[各自治体の公式情報に基づく]
ステップ | 内容 |
|---|---|
1. 申請 | 本人または家族が市区町村の介護保険窓口へ申請 |
2. 認定調査 | 調査員が自宅や施設を訪問し、心身の状態や生活状況を調査 |
3. 主治医意見書 | かかりつけ医が医学的所見を記入(認知症の有無・慢性疾患など) |
4. 一次判定 | コンピュータ判定により基準時間を算出し、仮の要介護度を推定 |
5. 二次判定 | 介護認定審査会(専門家)が総合判断し、最終的な要介護度を決定 |
6. 結果通知 | 市区町村から認定結果を通知(原則30日以内)※主治医意見書の提出遅延や入院・転居等の事情により、超過する場合があります。 |
認定の申請方法と必要書類
要介護1の認定を受けるには、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターで申請を行います。
申請者は本人だけでなく、家族やケアマネジャー(介護支援専門員)など代理人でも可能です。
申請時に必要な主な書類は以下の通りです。
- 介護保険要介護認定申請書
- 介護保険被保険者証(65歳以上の第1号被保険者の場合)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、健康保険証など)
- 40〜64歳の第2号被保険者は、特定疾病を証明する医師の診断書が必要な場合あり
申請が受理されると、認定調査と主治医意見書の作成に進みます。
認定調査の内容(一次調査・主治医意見書)
認定調査は、要介護認定において非常に重要なプロセスです。まず行われるのが「一次調査(訪問調査)」で、市区町村から委託された調査員が本人の自宅などを訪問し、聞き取りと観察によって状態を確認します。
この調査では、「身体機能」「生活機能」「認知機能」「行動・心理状態」「社会生活への適応」など、74項目にわたる質問が行われ、コンピュータによる一次判定の材料となります。主な評価ポイントとしては、以下のようなものがあります。
- 食事や排泄をどの程度自分でできるか
- 入浴や着替えに手助けが必要か
- 認知症の兆候(日時がわからない、場所が分からないなど)
- 日常的な意思疎通ができているか
併せて、主治医による「意見書」も必要となります。これは市区町村が指定する用紙に、主治医が本人の健康状態、既往歴、認知機能などを記入するもので、一次判定と合わせて二次判定(審査会)に使用されます。
区分 | 内容 | 評価・記録項目 |
|---|---|---|
訪問調査(一次調査) | 調査員が自宅を訪問し、聞き取りと観察を実施 | 身体機能、生活機能、認知機能、行動・心理状態、社会生活適応など74項目を評価(例:食事・排泄の自立度、入浴や着替えの介助、認知症の兆候、意思疎通の可否) |
主治医意見書 | 市区町村の依頼に基づき、主治医が指定様式に記入 | 健康状態、既往歴、認知機能、日常生活の状況を記録し、一次判定と併せて二次判定の資料として使用 |
認定までのスケジュールと注意点
注意点として、認定結果は「非該当(自立)」「要支援1〜2」「要介護1〜5」のいずれかに分類され、一度の申請で必ずしも希望通りの認定が下りるとは限らない点に注意が必要です。万が一、想定よりも低い要支援・要介護度が出た場合は、不服申立ても可能です。
また、初回認定の有効期間は原則6か月、更新認定の有効期間は原則12か月で、状態に応じて更新申請が必要です。改善や悪化が見られる場合には、再申請によって要介護度が変わることもあります。
出典:要介護認定の仕組みと手順|厚生労働省老人保健課
出典:要介護認定の認定審査期間について|厚生労働省
出典:要介護認定の区分・有効期間 - 大津町ホームページ(介護保険課)
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要介護1に該当する主なケース
要介護1の認定が下りる典型的なケースとしては、以下のような状態が挙げられます。
状況 | 特徴・具体例 |
|---|---|
軽度の身体機能低下 | 転倒リスクが高く、歩行時に支えが必要。屋内移動は自力可能だが、外出には介助を要する。 |
入浴や着替えの部分介助 | 浴槽の出入りや衣類の着脱に一部補助が必要。 |
軽度の認知症 | 日時や場所の把握に混乱があり、物忘れが目立つ。ただし介助があれば日常生活は自立可能。 |
家事が困難 | 食事準備・買い物・掃除などが難しく、見守りや訪問支援が必要。 |
複数の慢性疾患 | 高血圧・糖尿病・脳梗塞後遺症などによって生活動作に制限がある。 |
要介護1に該当するかどうかは、身体面・認知面・生活環境の総合的な判断によって決定されるため、一見元気に見える高齢者でも、実際には介護が必要と判断されることもあります。

要介護1で受けられる介護サービス
ここでは、要介護1の方が介護保険を利用して受けられる主なサービスを紹介します。
居宅介護やデイサービス(通所介護)、ショートステイのほか、福祉用具の利用や住宅改修支援も対象です。自宅での生活をできるだけ自立して続けられるよう、多様な制度が整備されています。
居宅介護サービス(訪問介護・訪問看護など)
要介護1の方は、自宅での生活を支えるために「訪問介護(ホームヘルプサービス)」や「訪問看護」を利用できます。
訪問介護では、ヘルパーが日常生活を支援します。身体介助(食事、入浴、排泄、歩行など)と生活援助(掃除、洗濯、買い物など)に分かれ、要介護1では部分的な身体介助が中心となります。
訪問看護は、看護師が自宅を訪問し、体調管理や服薬指導、傷の手当て、リハビリ支援などを提供します。
複数の慢性疾患を抱える方や医療処置が必要な方に適したサービスです。これらはケアマネジャー(介護支援専門員)が作成するケアプランに基づき、介護保険の支給限度額内で利用できます。
通所系サービス(デイサービス(通所介護)・デイケア)
外出が難しい方でも、施設へ通って介護やリハビリを受けられるのが通所サービスです。
デイサービス(通所介護)は入浴・食事・レクリエーションを通じ、生活機能の維持や交流の機会を提供します。
デイケア(通所リハビリテーション)は医療機関などで行われ、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)による専門的なリハビリが中心です。送迎サービスがあるため、移動負担が軽減され、介護者の休養にもつながります。
期入所サービス(ショートステイ)
ショートステイは、要介護1の方が一時的に施設へ入所して介護を受けられるサービスです。
介護者の休養や急用時の対応、本人のリフレッシュを目的として利用されます。施設では生活介助や機能訓練、食事提供などが行われます。
利用日数や回数には制限がありますが、要介護1でも比較的利用しやすい支援です。
福祉用具のレンタル・購入
介護保険を利用し、生活を支える福祉用具をレンタルまたは購入できます。
対象は歩行器、車椅子、杖、介護ベッド、入浴補助具、ポータブルトイレなどです。要介護1では歩行補助や入浴安全のための用具がよく使われます。
利用はケアマネジャー(介護支援専門員)のケアプランに基づき、必要と認められたものに限られます。費用は原則1割(所得により2〜3割)の自己負担です。
住宅改修の支援内容と対象条件
介護保険では、自宅を安全に暮らしやすくするための住宅改修費用を一部補助しています。要介護1の方も対象で、代表的な改修は以下の通りです。
- 手すりの取り付け(廊下、階段、浴室など)
- 段差の解消(スロープ設置や床の張り替え)
- 扉の引き戸化
- トイレの便座交換や便器の取り替え
支給限度額(区分支給限度基準額)は20万円まで、そのうち 9割(原則)を介護保険が負担し、残りを自己負担します。(※所得により8割・7割給付の場合もあり)
希望する場合はケアマネジャー(介護支援専門員)や自治体に相談し、事前申請が必要です。
出典:介護保険における住宅改修|厚生労働省
出典:介護保険の住宅改修費の支給について|鳥取市
出典:介護保険の住宅改修費を支給します|手続き・申請・業務|佐用町 公式ホームページ
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要介護1でもらえるお金【支給限度額・自己負担】
ここでは、要介護1で利用できる介護保険サービスの支給限度額や、所得に応じて決まる自己負担割合(1〜3割)について解説します。
制度の仕組みを理解し、無理のない介護サービス利用につなげましょう。
月額の支給限度額
介護保険サービスには、要介護度ごとに1か月あたりの「支給限度額」が定められています。要介護1の場合、2025年現在の限度額は、16,765単位(167,650円)/月です。
この範囲内であれば、介護保険から費用の9割(自己負担1割の場合)が補助され、利用者は残りを負担する仕組みです。
限度額を超えた分は全額自己負担となるため、計画的にサービスを利用しましょう。
出典:介護保険の支給限度額とは | 健康長寿ネット
出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省
出典:多治見市/利用料金
出典:区分支給限度基準額について|厚生労働省
自己負担割合(1割〜3割)の決まり方
自己負担割合は、利用者の所得や世帯状況によって決まります。多くの高齢者は1割負担ですが、一定以上の所得がある場合は2割または3割負担となります。
判定基準は住民税の課税状況や年収額で、市町村が交付する「介護保険負担割合証」に記載されます。
現役並み所得と判定された方は3割負担となるケースが多く、同じサービスでも利用者の負担額は大きく変わります。
実際の利用例と費用シミュレーション
例えば、要介護1の方が訪問介護で月2万円、デイサービスで3万円、合計5万円のサービスを利用したとします。
- 自己負担1割の場合 → 5,000円
- 自己負担3割の場合 → 15,000円
いずれも支給限度額(167,650円/月)の範囲内なので追加負担はありません。ただし、利用サービスが増えて限度額を超えた場合、その超過分は全額自己負担になります。
出典:介護保険の支給限度額とは | 健康長寿ネット
出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省
出典:多治見市/利用料金
限度額を超えた場合の対処法
支給限度額を超えると、超過分が全額自己負担になるため注意が必要です。主な対策は以下の通りです。
- ケアマネジャー(介護支援専門員)と相談し、サービスの利用量や内容を調整する
- 介護保険外サービス(家事代行・民間訪問サービスなど)を組み合わせる
- 自治体の独自制度や補助金を活用する
無理なく継続できる介護体制を整えるには、制度の仕組みを理解し、費用面も含めたプランニングを行うことが大切です。
出典:介護保険の支給限度額とは | 健康長寿ネット
出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省
出典:多治見市/利用料金
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【要介護1】デイサービス(通所介護)を利用できる回数は?
要介護1で利用できるデイサービス(通所介護)の回数は、個別に定められている支給限度額(月16,765単位・167,650円:令和6年度基準)の範囲内で決まります。
例えば、1回あたりのデイサービス費用が概ね7,000〜10,000円(介護度・地域加算・時間数により変動)とすると、週2〜3回程度の利用が現実的な目安となります。
ただし、実際の利用回数は「他に利用するサービス」との兼ね合いで変わります。訪問介護や訪問看護を併用する場合は、その分デイサービス(通所介護)の回数を減らす必要があります。
最終的にはケアマネジャー(介護支援専門員)が作成するケアプランによって、本人の希望や体調、家族の介護状況を踏まえて調整されます。
出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省
出典:介護保険の支給限度額とは | 健康長寿ネット
出典:介護保険サービスの利用料|扶桑町公式ホームページ
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【要介護1】ケアプランの作成とケアマネジャー(介護支援専門員)の役割
ここでは、要介護1の方が介護サービスを利用する際に欠かせないケアプランとケアマネジャー(介護支援専門員)の役割を解説します。
ケアプランの作成手順や選び方、変更時の注意点を理解すれば、無理のない範囲で介護サービスを受けられるでしょう。
ケアマネジャー(介護支援専門員)の選び方と依頼方法
要介護1の方が介護サービスを適切に利用するためには、ケアマネジャー(介護支援専門員)の存在が欠かせません。
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、利用者の心身の状態や希望に合わせて最適なケアプランを作成し、サービスの調整や利用状況の管理を行います。
選ぶ際には、まず「信頼できるかどうか」が重要です。ケアマネジャー(介護支援専門員)は居宅介護支援事業所(ケアプランセンター)や地域包括支援センターに所属しているため、複数の事業所を比較し、面談で人柄や対応の丁寧さ、経験年数を確認しましょう。
依頼方法は、事業所に直接連絡して相談し、正式に担当を決めてもらいます。ケアマネジャー(介護支援専門員)は複数の利用者を担当しているため、相談のしやすさや対応の速さも大切な選定ポイントです。
なお、介護保険制度ではケアマネジャー(介護支援専門員)を自由に変更できるため、不満があれば遠慮なく切り替えることができます。
ケアプランの作成手順と内容の一例
ケアプランは、ケアマネジャー(介護支援専門員)を中心に、利用者本人や家族、必要に応じて医療スタッフも交えて作成されます。
まず、利用者の身体状況、生活環境、希望や課題を丁寧に聞き取り、課題を把握します。そのうえで、介護サービスの種類・頻度・利用時間を検討し、サービス事業者と調整してプランを組み立てます。
ケアプランには、目標(例:自立支援、認知機能の維持)、具体的なサービス内容、利用スケジュール、費用見込みなどが記載されます。
要介護1の場合は、週に数回の訪問介護、週1〜2回のデイサービス(通所介護)、必要に応じた福祉用具のレンタルといった内容が盛り込まれることが多いです。利用者の状態変化に合わせ、内容は柔軟に調整されます。
ケアプラン変更時の注意点
ケアプランは作成して終わりではなく、定期的な見直しが義務付けられています。通常は3か月に1回のモニタリングで確認されますが、急な体調の変化や家族の介護状況の変化があれば随時変更が可能です。
変更時には、ケアマネジャー(介護支援専門員)と利用者・家族で十分に話し合い、サービスの過不足や新しいニーズに対応したプランへ修正します。事業者との連携も不可欠で、サービスが途切れなく切り替わるよう調整されます。
また、ケアプランの変更は介護保険の給付内容にも直結するため、制度のルールを理解した上で進めることが重要です。申請や報告はケアマネジャー(介護支援専門員)が代行するため、利用者や家族は遠慮せずに相談しましょう。
出典:ケアプランデータ連携を 円滑に行うための 業務改善のポイント集|厚生労働省
出典:効果的な ケアプラン点検 高齢者向け住まい等における 推進のためのヒント|厚生労働省
出典:大阪市:介護支援専門員の方へ(よくある質問と回答)
利用者・家族との連携の重要性
介護サービスは、利用者本人と家族の協力があってこそ成り立ちます。ケアマネジャー(介護支援専門員)は橋渡し役として、利用者・家族とサービス提供者、医療機関、行政など多方面との調整を担います。
利用者や家族が抱える不安や疑問を丁寧に聞き取り、気持ちに寄り添う姿勢は、質の高いケアプラン作成に不可欠です。
また、日常の困りごとや希望は、こまめにケアマネジャー(介護支援専門員)へ伝えることが大切です。
こうした双方向のコミュニケーションが円滑に行われることで、利用者は落ち着いてサービスを受けられ、生活の質も向上します。さらに、家族も介護負担の軽減や精神的な支えを得られるため、良好な関係づくりが双方にとって重要なポイントとなります。
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要介護1の家族介護の実情
ここでは、要介護1の方を支える家族介護の現状について解説します。本人は部分的に自立できる場合も多いですが、日常的な見守りや一部介助は不可欠です。
介護者の心理的負担や制度の活用方法、サービスとの併用、支援グループの存在などを知ることで、家族が無理なく介護を続けるための工夫が見えてきます。
家族にかかる負担と心理的影響
要介護1では重度の身体介助は少ないものの、日常的な見守りや部分的な介助が必要です。特に同居家族は、転倒防止や服薬管理、火の不始末などに常に注意を払うため、精神的な疲労が積み重なります。
また、仕事や育児と介護を同時に担う「ダブルケア」では、ストレスや経済的不安が強まり、介護うつや家族関係の悪化につながる恐れもあります。
こうしたリスクを減らすには、家族だけで抱え込まない支援体制の構築が欠かせません。
介護休業・介護休暇などの制度活用法
家族介護をしながら働く人にとって役立つのが、職場で利用できる「介護休業」と「介護休暇」です。
介護休業は、要介護状態の家族1人につき通算93日まで、3回に分割して取得できます。
休業中は無給が一般的ですが、条件を満たせば雇用保険から賃金の67%相当の「介護休業給付金」が支給されます。
介護休暇は、年に5日(家族が2人以上なら10日)まで、1日または半日単位で取得可能です。
突発的な通院付き添いや手続きに活用でき、有給か無給かは会社の就業規則によります。利用には事前申請が必要なため、早めに職場へ相談しましょう。
出典:平成28年8月1日以降に開始する介護休業から 介護休業給付金の 「支給率」や「賃金日額の上限額」が変わります|厚生労働省
出典:介護休業について|介護休業制度特設サイト|厚生労働省
出典:Q&A~介護休業給付~について紹介しています。|厚生労働省
家族介護と介護サービスの併用方法
介護保険サービスは、要介護者本人だけでなく家族の負担軽減にも役立ちます。例えば、週2回のデイサービス(通所介護)を利用すれば、その間は介護から離れて休養や自分の時間を確保できます。
訪問介護を利用すれば、入浴や排泄といった身体的負担の大きい介助を任せられます。
ケアマネジャー(介護支援専門員)と相談しながら、どの時間帯や支援を外部に委ねるかを検討することが重要です。
支給限度額内であれば自己負担も抑えられ、経済的にも無理のない介護体制を作ることができます。
出典:介護保険の支給限度額とは | 健康長寿ネット
出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省
出典:多治見市/利用料金
介護者同士の交流やサポートグループの活用
介護を続ける家族にとって、同じ立場の人と経験や思いを共有できる場は大きな支えになります。自治体や地域包括支援センター、NPOが主催する「家族介護者の会」や「認知症カフェ」では、介護の工夫や制度利用の体験談を交換できます。
「自分だけではない」と実感できることが心理的負担の軽減につながり、孤立の防止にも役立つでしょう。
近年はオンライン交流やSNSを通じた情報交換も広がっており、地域や時間に制約されずに参加できる機会が増えています。長期的に介護を続けるためには、こうした外部のつながりを積極的に活用することが重要です。
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要介護1の方の生活支援のポイント
ここでは、要介護1の方が自宅で暮らし続けるために役立つ生活支援の工夫について解説します。
日常生活での見守りや声かけ、軽度の認知症への対応、基本動作に対する介助の工夫、転倒を防ぐ住環境の整備など、家族や介護者が意識して取り組むべきポイントを整理します。
日常生活での見守り・声かけのコツ
要介護1の方は基本的に自立していますが、身体機能や認知機能の低下により見守りが求められる場面があります。大切なのは、自主性を尊重しつつ安全を守ることです。
声かけは落ち着いた口調で、本人の意思を確認しながら行いましょう。「今から○○しましょうか?」と提案する形が受け入れやすさにつながります。
命令口調や急な大声は不安を与えるため避け、日常の変化や困りごとに気づきやすくするためにも、定期的な声かけでコミュニケーションを続けることが重要です。
認知症の初期症状がある場合の対応
要介護1には、軽度の認知症症状を持つ方も含まれます。初期症状には物忘れ、判断力の低下、時間や場所の混乱などが見られます。対応の基本は尊厳を守り、落ち着きを与える関わりを心がけることです。
忘れたことを責めず、繰り返し穏やかに説明する姿勢が求められます。
また、生活リズムを一定に保ち、メモやカレンダーなどの視覚的サポートを活用することで混乱を減らせます。
必要に応じて医療機関や地域包括支援センターと連携し、早めに診断や支援を受けることも大切だといえるでしょう。
食事・排泄・入浴などの介助の工夫
生活の基本動作は、自立を促しつつ安全を守る形で支援することが求められます。
- 食事:噛む力・飲み込む力に配慮し、食べやすい大きさや柔らかさに調理。姿勢を整え、むせ込みを防止
- 排泄:トイレ移動をサポートし、手すりや便座調整で安全を確保。プライバシーへの配慮も重要
- 入浴:滑り止めや温度管理で転倒防止。本人が可能な部分は自分で行えるよう支援し、自立を尊重
こうした工夫は、本人の尊厳を守りながら生活の質を高めることにつながります。
転倒予防と住環境の見直し
高齢者にとって転倒は大きなリスクであり、骨折や寝たきりにつながることもあります。要介護1では歩行に不安がある方も多く、住環境の安全整備が不可欠です。
段差の解消、手すりの設置、滑りにくい床材や十分な照明などの環境改善は効果的です。特に浴室や階段、トイレは重点的に対策を行いましょう。家具の配置を見直し、つまずきやすい物を減らすことも有効です。
また、外出時には靴や杖など適切な補助具を選び、必要に応じて福祉用具レンタルを活用することも勧められます。

【要介護1】地域包括支援センターや自治体のサポート
ここでは、要介護1の方やその家族を支える地域のサポート体制について解説します。
地域包括支援センターの役割、自治体が提供する相談窓口や支援制度、介護予防・生活支援サービス事業(総合事業)の活用方法を把握しておきましょう。
地域包括支援センターとは
地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で継続的に生活できるよう支援するために設置された公的な相談窓口です。主に65歳以上の高齢者やその家族を対象に、介護・医療・福祉・生活全般に関する相談や助言を行います。
センターには保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャー(介護支援専門員)などが配置されており、状況に応じて適切な支援やサービス調整を実施します。
介護保険の申請サポート、認知症に関する相談、介護サービス利用の調整などが代表的な業務です。
さらに、介護予防ケアマネジメントも担い、要介護状態になる前の段階から健康維持や生活支援に取り組みます。相談は無料で利用でき、介護に関する疑問や不安がある場合は最初に活用すべき窓口のひとつといえます。
出典:介護サービスの利⽤のしかた 地域包括⽀援センターとは 介護の相談窓⼝等について|厚生労働省
出典:福岡市 地域包括支援センターのご案内
自治体が提供する相談窓口・支援サービス
区町村は、高齢者や家族を支援するための多様な窓口や制度を設けています。地域包括支援センターもその一つであり、介護保険申請の手続き、福祉用具や住宅改修の補助、介護サービス利用の相談に対応しています。
また、自治体によっては独自の支援もあります。例として、買い物支援、見守りサービス、緊急通報システム導入支援などです。地域によってはボランティア活動の支援や福祉サービスの拡充も行われています。
情報は広報誌や自治体のウェブサイト、電話窓口などで得られるため、まずは地元自治体の担当部署へ問い合わせることが重要です。
介護予防・生活支援サービス事業(総合事業)の活用
介護予防・生活支援サービス事業(総合事業)は、要支援や要介護になる前段階から高齢者を支援する仕組みです。自治体が主体となり、筋力低下を防ぐ運動教室や栄養指導、生活支援を提供しています。
この事業では、従来の介護サービスに加え、買い物代行や掃除、見守りなど日常生活をサポートする取り組みも含まれます。
要介護1の方にとっても、自立を維持し、介護度の進行を防ぐために有効です。
利用にあたっては、地域包括支援センターや自治体窓口に相談し、本人の状況に合ったサービスを紹介してもらうとよいでしょう。
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要介護1から状態が変化した場合の対応
ここでは、要介護1の方の状態が悪化して介護度が上がる場合や、リハビリ等で改善して介護度が下がる場合の対応について解説します。
再認定の仕組みや申請方法、介護保険外サービスの活用も押さえておくことで、変化に応じた柔軟な支援体制を整えることができます。
要介護度が上がる(例:要介護2以上)場合の対応
要介護1から要介護2以上へと状態が悪化する原因には、身体機能の低下や認知症の進行、病気の重症化があります。介護度が上がると、利用できる介護サービスの量や種類が拡大し、より手厚い支援を受けられます。
例として、訪問介護の利用時間の増加、デイサービス(通所介護)でのリハビリ強化、ショートステイ利用回数の増加などがあります。介護度が変わった際は、ケアマネジャー(介護支援専門員)と相談し、最新の状態に合ったケアプランを作成することが重要です。
要介護度が下がる、または改善するケース
一方で、リハビリや医療的介入、生活習慣の改善により、要介護度が下がることもあります。要介護1から「要支援2」や「要支援1」へ変更されることがあり、これは自立度が回復したことを示します。
介護サービスの利用量は減少しますが、介護予防サービスや生活支援は継続することが望ましいです。
運動教室や栄養指導、福祉用具の活用などにより、再度の悪化を防ぐことができます。改善しても定期的な健康チェックとサービス見直しは欠かせません。
再認定のタイミングと申請方法
介護認定は原則12か月ごとに更新されますが、状態が変化した場合は随時再認定を申請できます。申請は市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターで行います。
申請後は調査員による訪問調査、主治医意見書の作成を経て審査会で判定されます。結果は通常30日以内(※主治医意見書の提出遅延や入院・転居等の事情により、超過する場合があります。)に通知され、新たな要介護度に応じてケアプランが更新されます。
変化を感じたら早めに申請することが、適切な介護を維持するポイントです。
介護保険の要介護認定は原則として1年ごとに再認定が行われますが、状態が変化した場合は、要介護者本人や家族、ケアマネジャー(介護支援専門員)が申請して随時認定を受けることも可能です。
出典:要介護認定の区分・有効期間 - 大津町ホームページ(介護保険課)
出典:調布市介護保険要介護認定・要支援認定申請書 | 調布市
介護保険外サービスの活用について
介護度が変化した際は、介護保険外のサービスを補完的に利用する方法もあります。民間の訪問介助、家事代行、リハビリ施設の利用、福祉用具レンタルなどが代表的です。
これらは自己負担となりますが、時間や内容を柔軟に調整できる利点があります。特に状態が変動しやすい段階では、介護者の負担軽減に役立つでしょう。
自治体によっては独自の生活支援制度を設けている場合もあるため、地域包括支援センターで確認することが推奨されます。
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要介護1の方を支えるために家族ができること
ここでは、要介護1の方が自分らしい生活を続けられるよう、家族が取り組める支援のあり方について解説します。
本人の自立を尊重した介助、介護を一人で抱え込まない工夫、そして将来に備えた準備という3つの視点を押さえることで、尊厳を守りながら持続的なケアを行うことが可能になります。
本人の自立を尊重した支援の重要性
要介護1は「自立と介護の境目」にある段階です。できることは本人に任せ、必要な部分だけをサポートする姿勢が大切です。
過剰な介助は心身の機能低下を早める恐れがあるため、「できることをできるだけ自分で」という方針を持ちましょう。
例えば、食事・入浴・排泄の一部動作は本人に行ってもらい、危険がある部分のみ介助する方法が推奨されます。
本人の意思を確認しながら生活環境を整えることで、尊厳を守りながら生活の質(QOL)を高めることができます。
護を一人で抱え込まないために
要介護1は比較的軽度の段階ですが、日常の見守りや部分介助により家族の負担は決して小さくありません。介護を一人で抱え込まないことが重要です。
地域包括支援センターやケアマネジャー(介護支援専門員)に相談し、介護サービスや福祉用具を活用しましょう。
介護休業・介護休暇制度の利用や、家族介護者同士の交流も支えになります。介護者自身の心身の健康を守ることが、結果的に本人の生活を支える力となります。
今後の介護に向けて備えるべきこと
要介護1は介護の入り口であり、この段階からの準備が将来の負担を左右します。
まずは介護保険や自治体の支援制度を理解し、必要なサービスを早めに導入することが大切です。
家族間で役割分担や今後の方針を話し合い、住環境の改修や福祉用具の利用を進めましょう。
また、運動習慣の維持や食生活の工夫により、本人の健康を保つことも重要です。
医療機関・ケアマネジャー(介護支援専門員)・地域包括支援センターと連携し、状態変化に応じた体制を整えておくことが、「その人らしい生活」を長期的に支える鍵となります。
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まとめ
要介護1は、日常生活の多くは自立して行えるものの、入浴や排泄、移動など一部の動作に介助が必要となる段階です。
介護保険を利用することで、訪問介護やデイサービス、ショートステイ、福祉用具レンタルや住宅改修といった多様な介護サービスを受けることができます。
支給限度額は月16,765単位(167,650円)で、自己負担は所得に応じて1〜3割に設定されています。制度の仕組みを理解し、ケアマネジャー(介護支援専門員)と相談しながら無理のないケアプランを組み立てることが大切です。
よくある質問
Q.Q1. 要介護1とはどんな状態ですか?
要介護1は、日常生活で部分的な介助が必要な軽度の介護状態です。歩行時のふらつきや入浴・排泄のサポート、軽度の認知機能低下が見られることがあります。
まだ自立して行える動作も多く、見守りや一部支援が中心です。
Q.Q2. 要介護1で利用できる介護サービスには何がありますか?
訪問介護(身体介助・生活援助)、訪問看護、デイサービス(通所介護)、ショートステイ、福祉用具レンタルなど多様なサービスを利用できます。介護保険の支給限度額の範囲内で、必要に応じた支援を受けられます。
出典:介護保険の支給限度額とは | 健康長寿ネット
出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省
出典:多治見市/利用料金
Q.Q3. 介護認定はどのように受けますか?
住民票のある市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターで申請します。
申請後、訪問調査や主治医の意見書を基に、介護認定審査会が介護度を判定します。
Q.Q4. 要介護1の自己負担額や支給限度額はどのくらいですか?
支給限度額は月約167,650円です。利用料の1割〜3割を自己負担し、負担割合は所得状況により異なります。利用計画を立てる際は、ケアマネジャー(介護支援専門員)に相談することが重要です。
出典:介護保険の支給限度額とは | 健康長寿ネット
出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省
出典:多治見市/利用料金
Q.Q5. 要介護1から状態が変わった場合はどうすればよいですか?
状態が悪化して介護度が上がる場合や、改善して下がる場合は、再認定の申請が可能です。変化に応じてケアプランを見直し、サービス内容を適切に調整しましょう。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み






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