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- 介護職としてキャリアアップを目指す人認定介護福祉士は介護福祉士の上位資格であり、専門性を高めることでリーダー職や加算対象職員として評価されやすくなります。
- 施設や在宅での実務経験を活かしたい人実務経験を積んだ介護職が資格取得することで、より専門的なケアやチームマネジメントが可能になり、現場での信頼度も向上します。
- 給与や待遇面での向上を狙う人認定介護福祉士の資格取得により、資格手当や昇給の対象になる施設もあり、年収アップや待遇改善を見込むことができます。
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認定介護福祉士とは?
認定介護福祉士とは、介護福祉士として一定の経験を積み、さらに高度な知識や実践力を身につけた専門職を指します。
国家資格である介護福祉士を基盤に、介護福祉士として5年以上の実務経験を持ち、日本介護福祉士会が実施する養成研修を修了した上で申請し認定される任意資格です。
認定介護福祉士の主な役割は、利用者の尊厳を支える質の高いケアを実践するとともに、後進の指導やチームマネジメントを担い、介護現場全体の質を高めることです。
現場の中心的存在として信頼を得やすく、リーダー人材としてキャリアアップや処遇改善につながることから、介護職としてステップアップを目指す方に注目されている資格です。
民間資格としての位置づけと誕生の背景
認定介護福祉士は、厚生労働省が2012年に実施したモデル事業をもとに誕生した、日本介護福祉士会が認定する民間資格です。高齢化の進展に伴い介護の質の向上とチームケアを推進するリーダー人材の必要性から創設されました。
制度上は民間資格ですが、国の支援を受けて実施される養成研修を修了することで取得できる点が特徴です。
医療・福祉の多職種連携を支える中核人材として、介護現場において重要な役割を担っています。
認定介護福祉士が誕生した背景
- 高齢化の進展に伴う介護ニーズの多様化
- 介護職の専門性向上と体系的なキャリア構築の必要性
- 医療・福祉分野における多職種連携を支える人材育成
- チームケアの質を高めるためのリーダー確保
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認定介護福祉士と介護福祉士の違い【資格・仕事内容・待遇】
介護福祉士が「現場の専門職」として直接的なケアを提供するのに対し、認定介護福祉士は「現場のリーダー」としてマネジメントや指導に関わる役割を持ちます。
仕事内容もチームケアの調整や後輩育成が加わるため、より高度なスキルが求められます。
資格の位置づけとしては介護福祉士の上位にあり、待遇面でも加算や昇進においてケースによって処遇改善が期待できます。
制度上の違いだけでなく、キャリア形成にも大きく関わる資格といえるでしょう。
比較項目 | 介護福祉士(国家資格) | 認定介護福祉士(民間資格) |
---|---|---|
資格要件 | 国家試験合格または実務経験3年以上 | 介護福祉士として実務経験5年以上 |
主な役割 | 利用者への直接的なケア | 現場リーダー、後輩育成、多職種連携など |
処遇・待遇 | 処遇改善加算の対象となる場合あり | 現時点では介護報酬加算の対象外。ただし昇進・手当や将来的評価の可能性あり |

認定介護福祉士とケアマネージャー(介護支援専門員)の違い
認定介護福祉士とケアマネージャー(介護支援専門員)は、どちらも介護分野で重要な役割を担いますが、その位置づけや業務内容は異なります。
項目 | 認定介護福祉士 | ケアマネージャー(介護支援専門員) |
---|---|---|
資格区分 | 任意資格(日本介護福祉士会が認定) | 国家資格(都道府県が実施) |
主な役割 | 介護現場のリーダー、後進指導、質の高いケアの実践 | ケアプラン作成、サービス調整、相談支援 |
活躍の場 | 介護施設(特養・老健など)、居宅サービス事業所 | 居宅介護支援事業所、介護施設の相談部門 |
必要条件 | 介護福祉士資格+実務経験5年以上+養成研修修了 | 介護福祉士や看護師などの資格+実務経験+試験合格 |
強み | チームケアの推進、実務力と指導力 | サービス全体の調整力、相談支援の専門性 |
認定介護福祉士は、介護福祉士の上位資格として、現場の介護サービスの質を直接的に高める役割を担います。高度な介護技術と豊富な経験を活かし、チームのリーダーとして他の介護職員を指導・育成することで、利用者一人ひとりに質の高いケアが提供されるよう現場全体を牽引します。
一方、ケアマネジャー(介護支援専門員)は、利用者やその家族の生活全体を俯瞰し、必要な介護サービスを包括的にコーディネートします。介護保険制度の専門家として、利用者の状況や希望を丁寧にヒアリングし、医療・福祉など多職種と連携しながら、最適なケアプランを作成・調整します。
つまり、認定介護福祉士は「質の高い介護を現場で実践するプロフェッショナル」であり、ケアマネジャーは「利用者主体のケアを総合的に設計するプロデューサー」と言えます。両者は、アプローチこそ違いますが、利用者の生活を支える上で欠かせない重要な役割を担っています。

認定介護福祉士の資格は意味がない?
一部では「認定介護福祉士の資格は意味がない」と言われることがあります。その理由として、国家資格ではなく任意の認定資格であることや、取得までに研修や費用・時間の負担が大きい点が挙げられます。
しかし実際には、介護現場でリーダーとしての役割を担う人材を育成するための重要な制度であり、専門性の高さやマネジメント力が評価され、キャリアアップや職場での信頼につながります。
管理職や指導的立場を目指す方にとっては、決して無意味ではなく価値ある資格といえるでしょう。
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認定介護福祉士の資格を取得するメリット
認定介護福祉士の資格は、単なる肩書きではなく、現場での評価や待遇改善にも直結する強みとなります。
専門性を高め、組織やチームに貢献できる人材として期待されるため、介護職として長期的にキャリアを築く上で大きなメリットがあります。
- キャリアアップや昇進がしやすくなる
- チームケアにおける中心的存在として活躍できる
- 給与加算や処遇改善の対象になりやすい
- 同僚や利用者からの信頼が高まる
- 介護現場でのモチベーション向上につながる
認定介護福祉士を取得することで得られるメリットは多岐にわたります。自身のスキルアップだけでなく、職場全体の質向上にもつながる点が特徴です。
今後、介護現場でリーダーや管理職を目指す方にとって、取得は大きな価値を持つ選択といえるでしょう。

認定介護福祉士のキャリアパス
認定介護福祉士は、キャリア形成の一環として有用な選択肢です。介護福祉士として実務経験を積んだ後、さらに専門性や指導力を身につけたい方にとって、資格取得によって役職に抜擢されやすくなる可能性があります。
現時点では具体的な給与増の統計は限られていますが、管理職やリーダー職として評価されるケースも報告されており、処遇改善加算の対象になる可能性もあります。
また、利用者や同僚からの信頼性向上、チームケアにおける中心的存在としての働きが期待でき、モチベーションや職務満足度の向上にもつながる可能性があります。勤務先の制度や配置実績を確認したうえで、長期的なキャリア設計として検討する価値があります。
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認定介護福祉士の主な役割【就職・転職先】
認定介護福祉士は、単なるケアスタッフではなく、チーム全体の質を高める役割を担う存在です。
ここでは、現場でのマネジメント、多職種連携の推進、地域貢献といった観点から、認定介護福祉士の主な役割と活躍の場について解説します。
現場のマネジメント・育成での役割
認定介護福祉士は、現場のケア品質を保つためのマネジメント業務に携わります。具体的には、スタッフ間の情報共有や業務の調整、トラブル時の対応指導など、現場全体の統括的な役割を担います。また、後輩や新人職員へのOJT(現任教育)も重要な業務の一つです。
介護の専門知識だけでなく、コミュニケーション能力や教育力も求められます。認定介護福祉士がいることで、職場のスキルレベルの底上げと定着率の向上が見込まれます。単なる補助職ではなく、現場の質を高めるリーダーとしての働きが求められます。
認定介護福祉士の現場マネジメント・育成業務
- スタッフ間の情報共有の促進
- 業務内容やシフトの調整・改善
- ケア品質に関する助言や指導
- 新人・後輩職員へのOJTや評価
- トラブル時の現場対応・判断
多職種連携における中核的存在としての責任
医師、看護師、リハビリスタッフ、ケアマネージャー(介護支援専門員)など多職種との連携は、質の高い介護サービスの提供に不可欠です。認定介護福祉士は、その中核として情報共有の橋渡しや、意見の調整役を果たします。
利用者一人ひとりの状態やニーズを正確に把握し、医療と介護の現場をつなぐ役割が求められます。また、家族や地域との調整も含め、円滑なチームケアを実現する上で重要な存在です。連携の質が介護の成果を左右する中で、認定介護福祉士の存在が安心感と信頼性をもたらします。
関係職種 | 認定介護福祉士の連携内容 |
---|---|
医師 | 利用者の健康状態や治療方針の共有 |
看護師 | 日々の体調変化の観察情報を報告・相談 |
リハビリ職(PT/OT) | 機能訓練の計画やケアの連携 |
ケアマネージャー(介護支援専門員) | ケアプランへの現場意見の提供・モニタリング報告 |
利用者家族 | 状況説明や要望の調整、信頼関係の構築 |
地域の介護力向上に向けた活動内容
認定介護福祉士は、施設内にとどまらず、地域全体の介護レベルの底上げにも貢献しています。地域ケア会議への参加や、地域包括支援センターとの連携、住民向けの介護教室の講師など、活動の場は多岐にわたります。
地域の介護課題を理解し、専門職としての知見を活かして解決策を提案することも役割の一つです。地域密着型サービスが重視される中、認定介護福祉士の地域貢献は今後ますます大切になります。現場での経験を生かし、地域の信頼を得る存在として活躍が期待されています。
認定介護福祉士の地域での活動内容
- 地域ケア会議への参加と現場報告
- 介護予防教室・市民講座の講師
- 地域包括支援センターとの定期協議
- 福祉施設間での研修や人材交流支援
- 地域住民への相談対応や支援提案

認定介護福祉士に必要なスキル・能力
認定介護福祉士には、単なる介護スキルにとどまらず、現場をまとめるリーダーシップや管理能力が求められます。
ここでは、認定介護福祉士に求められる具体的なスキル・能力について解説します。
専門的な介護実践力
認定介護福祉士に求められる基礎は、介護福祉士としての高い実践力です。利用者一人ひとりの状態を的確に把握し、身体介助・生活支援・認知症対応など、あらゆる場面で最適なケアを提供する力が求められます。
また、感染症対策や医療的ケアへの理解など、多様化する現場に対応できる応用力も不可欠です。自らが模範となる実践力を持つことで、周囲の職員への信頼や影響力も自然と高まり、チーム全体のケアの質向上にもつながります。
認定介護福祉士に求められる介護実践力
- 身体介助(移乗・排泄・入浴など)の高度な技術
- 認知症対応に関する知識とケアスキル
- 感染症予防対策に基づく衛生管理の実践
- 医療的ケア(経管栄養、喀痰吸引など)への理解
- ケアマネージャー(介護支援専門員)や医療職との情報連携の実践力
リーダーシップ・指導力
現場の中核を担う認定介護福祉士には、職員をまとめ、育てるリーダーシップと指導力が不可欠です。状況判断力や対人コミュニケーション力を活かし、スタッフ間の信頼関係を築くことが求められます。
また、業務の中で後輩や新人に対して、実務的な助言やケア技術の指導を行う場面も多く、教育者としての役割も担います。適切なフィードバックや指導を通じて、職場の人材育成とチームの安定運営に大きく貢献する能力が求められます。
現場でのリーダーシップ・指導の具体例
- トラブル発生時の冷静な判断と対応指示
- 後輩職員へのOJT(現場教育)の実施
- スタッフ間の業務分担とフォローアップ
- 会議やカンファレンスでの意見調整
- スタッフの相談対応やメンタルサポート
サービス管理能力と人材マネジメント力
認定介護福祉士は、質の高い介護サービスを維持・向上させるための「管理者的視点」も必要です。職員配置の調整、業務効率化、苦情対応など、日常的な運営管理にも関与することがあります。
また、職員の特性や強みを把握し、適材適所で配置・指導する「人材マネジメント力」も大切です。これらのスキルは、利用者満足度の向上や職場の定着率にも直結するため、現場の運営において非常に重要な役割を果たすことになります。
管理スキルの領域 | 具体的な対応業務例 |
---|---|
業務管理 | 勤務シフト調整、サービス提供状況のモニタリング |
人材マネジメント | 新人育成計画、適性評価、スタッフ配置調整 |
苦情・リスク対応 | 利用者や家族からの意見対応、トラブル事前予防策の実施 |
チームビルディング | 会議のファシリテーション、目標の共有・達成支援 |

認定介護福祉士になるには?資格取得方法
認定介護福祉士の資格取得には、介護福祉士としての経験や研修受講、申請手続きなど複数のステップが必要です。ここでは資格取得の流れを分かりやすく解説します
STEP1:受講要件の確認
認定介護福祉士を目指すには、まず受講要件を満たしているかを確認する必要があります。
介護福祉士資格を取得していることに加え、5年以上の実務経験や100時間以上の現任研修歴が求められます。
さらに、小チームのリーダー経験や居宅・施設の両サービスでの支援経験があると望ましいとされています。
STEP2:養成研修の受講
受講要件を満たした後は、認定介護福祉士養成研修を受講します。
研修はⅠ類(13科目)とⅡ類(9科目)の全22科目で構成されており、修了することで必要な知識や実践力を体系的に身につけられます。
現場経験を土台に、より高度な介護の専門性を養う重要なプロセスです。
- Ⅰ類(13科目)+Ⅱ類(9科目)=計22科目
- 全科目を修了(単位取得)する必要がある
STEP3:認定申請
研修を修了したら、認定介護福祉士として認定されるための申請手続きに進みます。
申請には、所定の認定申請書、介護福祉士登録証の写し、研修修了証、認定費用の振込証明書などが必要です。規定に従って書類を準備し、認証・認定機構へ提出することで、正式に審査が行われます。
提出書類
- 認定申請書
- 介護福祉士登録証の写し
- 養成研修修了証の写し
- 認定費用の振込証明
STEP4:認定証の交付
申請書類と実績の審査を経て、認定が承認されると「認定介護福祉士認定証」が交付されます。これは介護現場でリーダーシップを発揮できる専門職としての証明であり、キャリアの大きなステップアップにつながります。交付後は、次の登録手続きに進むことになります。
STEP5:登録手続き
認定証を受け取ったら、認定介護福祉士として正式に登録を行います。提出する書類は、登録申請書、認定証の写し、登録費用の振込証明書です。
登録が完了すると、認定介護福祉士名簿に掲載され、社会的に認められた専門職として活動できるようになります。
提出書類
- 登録申請書
- 認定証の写し
- 登録費用の振込証明
STEP6:登録完了・更新
登録が完了すると、認定介護福祉士としての活動がスタートします。ただし、認定は一度で終わりではなく、5年ごとに更新手続きが必要です。
更新申請書や所定の書類を提出し、更新費用を納付することで資格を維持できます。常に最新の知識や技能を学び続けることが、専門性の継続につながります。
5年ごとに更新が必要
- 更新申請書
- 更新に関する書類
- 更新費用の振込証明
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認定介護福祉士養成研修の受講対象者
認定介護福祉士養成研修の受講対象者は、介護福祉士資格を有し、一定の実務経験を積んだ中堅職員です。特に、施設内で後輩指導を担っている方や、チームケアに関心を持ち、現場の質向上に意欲的な方が望ましいとされています。
また、研修では多職種連携やマネジメントに関する内容も学ぶため、対人コミュニケーション能力やリーダーシップが求められます。単なるケア技術の習得ではなく、「現場を支える人材」としての資質や意識が重視される点が特徴です。職場から推薦を受けるケースも多く、周囲からの信頼も大切な要素です。
望ましい受講者像・経験
- 現場でのOJTや新人指導を任されている
- チームケア・多職種連携に関心がある
- 利用者や家族と丁寧な関係構築ができる
- 周囲から信頼されている・推薦を受けている
- 将来的に管理職・リーダー職を目指している

認定介護福祉士の資格取得までの流れとスケジュール感
認定介護福祉士取得の流れは、①介護福祉士資格取得→②実務経験5年以上→③養成研修受講・修了という3段階で構成されています。
研修の実施期間は半年〜1年程度が一般的で、座学だけでなくグループワークや実地実習も含まれます。
研修修了後は、認定介護福祉士認証・認定機構への申請を経て資格が認定されます。年間で1回程度の研修募集となるため、スケジュール管理と事前準備が大切です。
応募要件や申込方法は実施団体によって異なるため、必ず最新の公的情報を確認し、余裕を持って準備を進めることが大切です。
ステップ | 内容と期間の目安 |
---|---|
① 介護福祉士の資格取得 | 国家試験合格または養成校卒業(2〜3年) |
② 実務経験の積み上げ | 通算5年以上の介護職経験 |
③ 養成研修の受講・修了 | 約6ヶ月〜1年(講義・演習・実地研修含む) |
④ 認定申請・資格取得 | 書類申請→認証・認定(機構審査) |

認定介護福祉士養成研修のカリキュラム
認定介護福祉士養成研修は、Ⅰ類とⅡ類の2段階構成で行われ、体系的にスキルと知識を習得できます。
ここでは、それぞれのカリキュラム内容や履修科目、全体の講義時間と修了までの期間について解説します。
Ⅰ類の内容と履修科目
Ⅰ類は、認定介護福祉士として必要な基本的知識と実践力を体系的に学ぶ基礎的な段階です。主に、チームケアの構築、多職種連携、リスクマネジメント、倫理や法制度の理解などが中心となります。
講義形式に加えてグループワークや事例研究も行われ、現場の実践につながる学びが重視されます。履修科目の例としては「介護の統括的役割」「医療との連携」「倫理的判断と実践」などがあり、職場でリーダーシップを発揮するための土台を築く内容です。
T類の修了がⅡ類への進級条件となっており、取得には所定の出席率とレポート提出が必要です。
Ⅰ類の主な履修科目例
- 介護の統括的役割と専門性
- 医療・看護職との連携と役割理解
- チームケア構築と調整スキル
- 介護現場の倫理と法制度
- リスクマネジメントの基本
- 多職種協働と連携支援の実践
Ⅱ類の内容と履修科目
Ⅱ類は、Ⅰ類で習得した知識を応用し、現場での実践力を高めるための発展的な研修です。実地実習やリーダーシップ実践など、より実務に即した内容が中心です。
履修科目には「現場指導技術」「ケアマネジメント支援」「人材育成と教育」「地域との協働」などがあり、現場でのマネジメントや地域貢献活動に必要なスキルが養われます。
また、研修終盤には課題解決型のプレゼンテーションやグループ発表が行われ、他の受講生との意見交換を通じて視野を広げます。Ⅱ類は現場の中心的存在として成長するための最終ステップです。
Ⅱ類の主な履修科目例
- 現場リーダーとしての指導力と対応力
- ケアマネジメント支援と評価
- 教育・研修の企画運営と実施技術
- 地域包括ケアにおける役割と協働
- チームビルディングとコミュニケーション
- 実習発表・課題解決型グループワーク
全体の講義時間と修了までの期間
認定介護福祉士養成研修は、Ⅰ類・Ⅱ類を合わせておおよそ600時間程度の講義・演習・実習で構成されます。Ⅰ類は300〜350時間、Ⅱ類は250〜300時間程度が目安です。
修了までにかかる期間はおよそ6ヶ月〜1年で、各地の実施機関によりスケジュールは異なります。週末や平日夜間を中心に実施される場合もあり、現職のまま受講できる配慮がなされていることが多いです。
修了には全科目の出席要件を満たし、レポートや実技課題を提出・合格する必要があります。スケジュールの確認と職場の協力体制を整えることが、研修成功の鍵となります。
区分 | 時間数の目安 | 主な内容 |
---|---|---|
Ⅰ類 | 約300~350時間 | 座学・演習中心、基礎知識の習得 |
Ⅱ類 | 約250~300時間 | 実習・指導力開発・地域連携を重視 |
合計 | 約600時間 | 全研修修了の総時間数 |
修了期間目安 | 6ヶ月〜1年 | 平日夜間・週末開催が主流 |
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認定介護福祉士養成研修の費用と支援制度
認定介護福祉士養成研修は、高い専門性を習得できる一方で、費用面や学習時間の負担もあります。
ここでは、研修費用の相場や実施団体ごとの違い、補助金や職場支援の有無、具体的な活用方法について解説します。
費用相場と実施団体ごとの違い
認定介護福祉士養成研修の費用は、実施団体や地域によって異なりますが、一般的にⅠ類・Ⅱ類あわせて約30万円〜60万円が相場とされています。大学や専門学校、社会福祉法人などが実施主体となっており、施設設備や講師陣の体制、研修内容の細かい違いによって費用に幅があります。
また、テキスト代や実習に伴う交通費などが別途発生することもあります。公的機関から委託を受けている団体では、比較的費用が抑えられている傾向があり、受講者の自己負担軽減につながります。受講を検討する際は、必ず複数の実施機関を比較検討し、最新の費用情報を確認することが大切です。
補助金・職場支援の有無と活用方法
研修費用に対する経済的負担を軽減するため、自治体や職場による支援制度を活用することが可能です。たとえば、都道府県の人材育成事業により研修費用の一部または全額が補助される制度があり、申請条件を満たせば費用負担を大きく軽減できます。
また、介護施設によっては研修費用を負担する職員育成制度や、勤務時間を調整するサポート体制を整えているところもあります。さらに、「介護職員等研修支援事業」など、厚生労働省や地方自治体の補助金制度を併用できる場合もあるため、事前に職場や自治体窓口に相談し、活用できる支援策を確認することが大切です。
活用できる補助制度・職場支援の例
- 都道府県の介護人材育成支援事業(研修費用補助)
- 厚生労働省の介護職員等研修支援事業
- 勤務先が研修費を一部負担(法人内助成制度)
- シフト調整や有給取得支援による学習時間の確保
- 補助金申請に関する職場の書類作成サポート
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認定介護福祉士の年収・待遇への影響
認定介護福祉士は、現場の実務力だけでなくマネジメント力や指導力も評価される専門職です。
ここでは、資格取得による給与や役職の変化、加算制度・昇進への影響、さらに待遇改善の現状と今後の展望について解説します。
取得後の給与・ポジションの変化
認定介護福祉士の資格を取得した場合、給与面での直接的な加算制度は現時点で存在しないものの、現場でのリーダー職や主任級ポジションへの登用が進み、結果として処遇が改善される傾向があります。
具体的には、役職手当が付与される、管理職候補としてキャリアパスが広がるといった変化が見られます。
また、法人内での昇格要件や内部評価の基準として認定介護福祉士の有無が重視されるケースも増えつつあり、非公式ながら待遇に好影響をもたらす資格として位置づけられています。長期的に見ると、安定したポジションや職場内での評価向上に貢献する資格です。
認定介護福祉士取得後に期待される待遇の変化
- リーダー・主任・ユニット長などへの昇格がしやすくなる
- 役職手当や管理職手当が加算される可能性がある
- 法人内の人事評価基準で有利になる場合がある
- 職場内での信頼性や発言力が高まる
- 新人教育やOJTの担当機会が増える
加算制度や昇進に与える影響
現時点では、認定介護福祉士を取得したことによる介護報酬上の直接的な「資格加算」は設けられていません。ただし、厚生労働省の資料では、今後の処遇改善施策の一環として、専門性の高い介護人材への新たな加算の検討が示唆されています。
また、多くの介護施設では、認定介護福祉士が主任・リーダー・マネジャーなどの中核ポジションに昇進する際の評価要素として活用されており、昇進に間接的に影響しています。
役職登用に伴い、基本給や手当が増額されることで、トータルでの年収アップにつながるケースも見られます。
資格種別 | 加算制度の有無 | 昇進との関連性 |
---|---|---|
介護福祉士 | ○(処遇改善加算対象) | 主任候補、基本昇給対象 |
認定介護福祉士 | ×(現時点でなし) | 管理職登用の評価要素 |
ケアマネジャー | ○(ケアマネ加算あり) | 計画作成責任者としての昇進可 |
現時点での待遇改善の現状と今後の展望
認定介護福祉士に対する待遇改善は、制度化が進む途中段階にあります。現在は施設や法人の自主的な評価制度により、ポジション・給与が変動する傾向にありますが、国レベルでの処遇加算制度は未導入です。
しかし、厚生労働省では「介護現場におけるキャリア段階別評価制度」の導入や、認定介護福祉士の位置づけを明確化する議論が進められており、将来的には処遇改善加算対象になる可能性もあります。
今後は、制度改正により年収水準や職場評価がさらに高まることが期待され、介護業界内での役割も一層重要になっていくと考えられます。
厚生労働省等で検討中の制度改正の方向性
- 認定介護福祉士の正式なキャリア段階への位置づけ
- 介護報酬上の新たな専門職加算制度の創設
- 職能団体との連携による研修制度の整備・普及促進
- 経験年数や業務内容に応じた評価基準の統一
- リーダー職研修との統合・一体的評価の可能性

まとめ
認定介護福祉士は、介護福祉士の上位に位置づけられる民間資格で、現場のリーダーとしてマネジメントや後進育成を担います。取得には介護福祉士資格と5年以上の実務経験、研修修了が必要です。
認定介護福祉士の資格取得による年収アップについては、役職登用などを通じて期待されます。チームケアや地域連携にも貢献できる点が魅力だといえるでしょう。
よくある質問
Q.認定介護福祉士の合格率は?
認定介護福祉士は試験制ではなく、所定の研修を修了し、修了評価に合格することで認定を受ける形式です。
そのため、国家試験のような「合格率」は公表されていません。ただし、養成研修の出席率や課題の提出、最終評価に合格する必要があり、受講者の自己管理能力や学習意欲が問われます。
各研修機関の修了率は高いとされますが、働きながらの受講が前提となるため、スケジュール管理や職場の協力体制が成功のカギとなります。継続的な学習姿勢がある方であれば、十分に修了を目指せる制度設計です。
Q.認定介護福祉士の費用対効果は?
認定介護福祉士の養成研修には、30〜60万円前後の費用がかかることが一般的です。一方で、取得後は職場内での評価向上やリーダー職への昇格機会が増え、長期的に見ると年収やポジションの面で待遇改善につながる可能性があります。また、専門職としての信頼性ややりがいの向上も大きなメリットです。
金銭的なリターンだけでなく、「専門性を持って現場を支える中核人材になる」というキャリアビジョンがある方には、費用対効果は十分に見合う資格といえるでしょう。補助金や職場支援の活用も併せて検討するのが賢明です。
Q.認定介護福祉士は未経験や若手でも目指せる?
認定介護福祉士は、原則として介護福祉士資格の取得後に5年以上の実務経験が必要なため、未経験や介護福祉士資格をまだ取得していない若手職員がすぐに目指すことはできません。ただし、将来を見据えて早い段階からキャリア設計を行うことで、効率的にステップアップできます。
たとえば、実務者研修の受講→介護福祉士試験合格→実務経験の蓄積→認定介護福祉士研修という流れが一般的です。現場での実務力に加え、マネジメントや指導にも関心がある若手にとっては、中長期的な目標として十分に目指す価値があります。
Q.認定介護福祉士と介護福祉士の違いは何ですか?
介護福祉士は国家資格であり、利用者の身体介助や生活支援などの実践的なケアを担う現場の専門職です。一方、認定介護福祉士は、介護福祉士としての経験を土台に、現場でのマネジメントや後進の育成、多職種連携の推進など、より高度な役割を担います。
制度上は民間資格ですが、厚生労働省のモデル事業に基づいて創設されており、現場リーダーとしての位置づけが明確です。したがって、両者の違いは資格の種別だけでなく、役割や職責、求められるスキルにもあります。現場の中核を担う存在が認定介護福祉士です。
Q.認定介護福祉士の年収は?
認定介護福祉士に対する明確な賃金加算制度は、2025年時点ではまだ制度化されていません。そのため、介護福祉士と比較して基本給が明確に上がるわけではありませんが、役職登用により手当がつくケースや、昇進による給与上昇が見込まれます。
たとえば、ユニットリーダーや主任として登用されると、年収で20万円〜50万円程度増える場合もあります。年収全体は法人規模や地域により異なりますが、将来的に制度改正により報酬加算対象となる可能性もあり、今後の展望にも注目が集まっています。
Q.認定介護福祉士とケアマネジャーの違いは何ですか?
認定介護福祉士は、介護現場におけるマネジメントや多職種連携、後輩指導を担うリーダー的存在です。一方、ケアマネジャー(介護支援専門員)は、利用者や家族との面談を通じてケアプランを作成し、サービス事業者と連携を取る「計画立案の専門職」です。
両者の大きな違いは、「現場に立つか」「調整に徹するか」という職務領域にあります。どちらも介護福祉士の上位職と見なされますが、進むキャリアの方向性が異なるため、自分が目指す働き方や得意分野に応じた選択が大切です。

海野 和(看護師)
この記事の監修者情報です
2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
【保有資格】
・日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
・NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
・BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み
