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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)とは?入居条件や老人ホームとの違い、認知症ケアの特徴・居室の種類を解説

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「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)ってどんな施設?「介護施設の一種って聞くけど、他とどう違うの?」「家族を入居させて後悔しない?」と不安に思っていませんか。

高齢者介護の現場で注目されている認知症対応型共同生活介護(グループホーム)ですが、生活の様子や職員の支援内容、費用、入居条件がわかりにくいと感じている方も多いでしょう。

この記事では、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の基本的な特徴や入居対象者、ほかの施設との違い、職員の役割、さらには働く上で向いている人の特徴についてもわかりやすく解説します。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の利用を考えているご家族や、介護業界で働きたいと考えている方が安心して判断できる内容になっているので、ぜひ参考にしてみてください。

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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)とは?定義についてわかりやすく解説

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)とは、認知症のある高齢者が1ユニット5〜9人という少人数で共同生活を営み、介護職員による日常支援を受けながら家庭的な環境で暮らせる入居型介護サービスです。 

介護保険法における正式名称は「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」であり、利用対象は要支援2以上または要介護1以上の認知症高齢者と定められています。

このサービスは、入居者がこれまで培ってきた生活能力を活かし、専門スタッフの支援を受けながら、可能な限り自立した生活を続けられるようにすることを目的としています。

出典:健康長寿ネット

出典:グループホームとは?|日本認知症グループホーム協会

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の特徴

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の高齢者が少人数で共同生活を送りながら、家庭的な雰囲気の中で安心して暮らせる施設です。


入居者同士の交流や役割分担、専門スタッフによる支援、地域社会とのつながりを通じて、自立した生活と心身機能の維持を目指す点が特徴です。

少人数制・家庭的な雰囲気

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、1ユニット5〜9人の少人数制で共同生活を送るため、大規模施設と比べて顔なじみの関係を築きやすく、家庭的で落ち着いた雰囲気の中で暮らせます。

新しい環境や大勢の人との生活に不安を感じやすい認知症高齢者でも、ストレスを抱えにくく安心して過ごせる環境です。

共同生活と役割分担

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、入居者とスタッフが協力して食事の準備や片付け、掃除、洗濯といった日常の家事を行います。

料理が得意な入居者には野菜を切ってもらうなど、その人の得意分野や体調に合わせて「役割」を担ってもらうケースもあります。

こうした取り組みは「生活リハビリ」と呼ばれ、自分が誰かの役に立っているという実感が生活意欲を高め、心身機能の維持にもつながります。

専門スタッフによる支援

スタッフは認知症ケアに関する専門知識と技術を持ち、24時間体制で常駐しています。入居者一人ひとりの症状や生活リズムに合わせ、食事・入浴・排泄などの介助や機能訓練をきめ細かく行います。

認知症の特性を理解したスタッフが寄り添うことで、不安が和らぎ、症状の進行を緩やかにする効果も期待できます。

出典:東京都に不動産をお持ちのオーナー向け 認知症高齢者グループホーム整備に係るご案内|東京都福祉保健局

出典:公益社団法人 日本認知症グループホーム協会

地域社会とのつながり

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、施設が所在する市町村の住民を対象とする地域密着型サービスに位置づけられています。そのため、地域から孤立しないよう、さまざまな取り組みが行われています。

たとえば、近隣の保育園児や小中学生との交流会、地域の祭りへの参加、近所のスーパーでの買い物など、日常的に社会と関わる機会が多く設けられています。

こうした活動を通じて、入居者は住み慣れた地域の一員としての生活を続けることができます。

出典:東京都に不動産をお持ちのオーナー向け 認知症高齢者グループホーム整備に係るご案内|東京都福祉保健局

プライバシーの確保と交流のバランス

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の居室は原則として個室となっており、一人で静かに過ごす時間が確保され、プライバシーが尊重されています。

一方で、リビングや食堂などの共有スペースでは、他の入居者やスタッフと会話を楽しんだり、レクリエーション活動に参加したりすることが可能です。

こうした仕組みにより、個人のプライベート空間と交流の場の両立が実現し、入居者は安心して生活を続けることができます。

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障がい者グループホームとは?

障がい者グループホームは、知的・精神・身体・難病などの障がいを持つ方が、地域の住宅やアパートで少人数の共同生活を送りながら支援を受けられる住まいです。

日中は職場や通所施設に通い、帰宅後はスタッフのサポートのもとで調理や掃除、買い物、レクリエーションなどを行い、家庭的な生活を築きます。

健康管理や金銭管理、余暇活動、緊急時対応といった幅広い支援が提供されるため、自立した暮らしと社会参加を両立しやすい環境が整えられています。


出典:福岡市障がい者グループホーム開設応援サイト

戸建ての家のミニチュアを手で包む様子
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認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは?

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、要支援2以上の認知症の方が少人数で共同生活を送りながら、家庭的な雰囲気の中で介護や支援を受けられる施設です。

1ユニットは5〜9人で構成され、食事や掃除、洗濯などの日常生活をスタッフと共に行い、役割を持ちながら暮らすことで自立心や生活意欲を維持します。

認知症ケアに精通した職員が24時間体制で常駐し、入浴や排泄、服薬などを支援するとともに、地域行事や交流活動を通じて社会とのつながりも保たれます。

医療機関ではないため医療対応に限界はありますが、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる住まいの選択肢として注目されています。


出典:認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護) | 「基本情報」の読み解き方

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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)への入居条件とは?

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の方が自分らしく安心して暮らせる環境を提供する施設です。


ただし、入居には一定の条件があり、サービス内容や費用負担を理解したうえで検討することが重要です。

対象者に関する条件

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は認知症ケアに特化した施設のため、対象者が明確に定められています。

認知症の診断を受けていること

65歳以上の高齢者が、医師から「認知症」と診断を受けていることが必須条件です。


診断書や「認知症高齢者の日常生活自立度」が記載された書類の提出を求められる場合があります。また、65歳未満で発症した若年性認知症の方も対象となります。

要支援2または要介護1以上であること

介護保険制度における要介護認定で「要支援2」または「要介護1〜5」の認定を受けている必要があります。

「要支援2」の場合は「介護予防認知症対応型共同生活介護」の対象です。

一方、要支援1の方や、認定を受けていない「自立」と判定された方は対象外です。なお、まだ要介護認定を受けていない場合は、お住まいの市区町村窓口や地域包括支援センターに申請を行いましょう。

出典:健康長寿ネット

居住地に関する条件

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、介護保険制度上「地域密着型サービス」に分類されています。

原則、施設と同じ市区町村に住民票があること

この仕組みは、「住み慣れた地域での生活を続け、地域社会とのつながりを維持する」という制度の趣旨に基づいています。

そのため、離れて暮らす子どもの自宅近くにある認知症対応型共同生活介護(グループホーム)へ入居したいと希望しても、原則として認められない点に注意が必要です。

例外ケース

ごく稀ではありますが、自治体によっては希望する施設に長期間空きがあり、さらに受け入れ体制が整っている場合に限り、他市区町村からの入居を特例的に認めることもあります。

どうしても入居を希望する場合は、施設と双方の自治体の介護保険担当課に事前確認を行うことをおすすめします。

共同生活への適応と心身の状態

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は「共同生活の場」であるため、本人の心身の状態によっては入居が難しい場合があります。

集団での生活に支障がないこと

食事やレクリエーションを他の入居者と共に行うため、一定の協調性が求められます。

入居可否の判断では、他の入居者に対する暴力・暴言や自傷行為の危険がないか、本人と周囲の安全・安心が確保できるかといった観点から総合的に判断されます。

検討のポイント:本人の適応確認

入居前には必ず、施設スタッフによる本人および家族との面談(アセスメント)が実施されます。その際には日常生活の様子や性格を正直に伝えることが重要です。

可能であれば体験入居(ショートステイ)を利用し、本人が施設の雰囲気や他の入居者と馴染めるかを確認してみるとよいでしょう。

認知症の症状が進行していても、実際に利用してみると意外に馴染んで生活できるケースもあるため、自己判断せずに施設スタッフやケアマネジャーへ相談することをおすすめします。

赤色とエクスクラメーションマークのイメージ
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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)への入居前に知っておきたい注意点

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)はあくまでも「生活の場」であり、病院や有床診療所のような医療機関ではありません。そのため、提供できる医療的ケアには一定の制限があります。


ここでは、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)への入居前に知っておきたい注意点について解説します。

看護師が24時間常駐しているわけではない

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)には看護師が24時間常駐しているわけではないため、以下のような専門的な医療管理は対応できない場合が多いです。

  • 胃ろう、気管切開、IVH(中心静脈栄養)の管理
  • インスリンの頻回投与や血糖値の厳密な測定
  • 人工透析、在宅酸素療法(特に常時高流量が必要な場合)

これらの医療行為が必要な場合は、医療機関への入院や、介護医療院・特別養護老人ホームなど医療的支援が整った施設を検討する必要があります。

検討のポイント

近年は訪問看護ステーションと連携し、一定の医療的ケアに対応できる認知症対応型共同生活介護(グループホーム)も増えてきました。

また、終末期における看取り介護を受け入れている施設もあります。入居前には以下の点を確認することが重要です。

  • 現在必要な医療行為と、その施設での対応可否
  • 状態が悪化した際の対応体制や連携医療機関の有無
  • 看護師の配置状況、訪問看護との連携体制

これらを契約前に確認しておくことで、安心して入居生活を始めることができます。

他の介護サービスとの併用制限がある

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の月額費用には、施設内で提供される介護サービスが包括的に含まれています。

そのため、これまで利用していた訪問介護(ホームヘルプ)や通所介護(デイサービス)といった外部の介護保険サービスは、原則として併用できません。

ただし、医師による訪問診療や薬剤師による服薬指導などの「居宅療養管理指導」は、例外的に利用可能です。

費用負担の確認

毎月の費用は、介護度に応じた介護サービス費の自己負担(1〜3割)に加え、家賃・食費・水道光熱費などの実費で構成されます。

特に家賃は施設の立地や設備によって差が大きく、さらに理美容代やおむつ代といった日常生活費が別途必要となることがあります。


そのため入居を検討する際には、月額費用の詳細な見積書で内訳を確認するとともに、初期費用として入居一時金や保証金が必要かどうかも必ず把握しておくことが大切です。

マルとバツが書かれたサイコロ
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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)と有料老人ホームなど他の施設の違い

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の高齢者を対象とした少人数制の共同生活型介護施設です。大規模な老人ホームと異なり、家庭的な雰囲気の中で顔なじみの関係を築きやすく、落ち着いた環境で暮らせる点が特徴です。

また、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)には他の高齢者向け施設と比べて 入居条件・提供されるサービス・生活環境 に明確な違いがあります。


ここでは、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅と比較し、それぞれの違いを分かりやすく解説します。

有料老人ホームとの違い

有料老人ホームは、食事や介護、生活支援など、多様なサービスを提供する民間の居住施設です。施設数が多く、選択肢が豊富な点が特徴です。

入居対象者

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の入居対象は、医師から認知症と診断された高齢者であり、介護保険制度において 要支援2以上または要介護1以上 の認定を受けていることが条件です。

さらに、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は地域密着型サービスに位置づけられているため、原則として施設と同じ市町村に住民票がある方のみが対象となります。一方、有料老人ホームは認知症の有無に関わらず、比較的自立した方から要介護度の高い方まで幅広く受け入れています。


生活スタイルとサービス

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、5〜9人の少人数単位で共同生活を営み、料理や掃除などの日常的な家事をスタッフと一緒に行う点が特徴です。

一方、有料老人ホームでは食事や清掃などのサービスがパッケージ化されているのが一般的で、ホテルのような生活を提供する施設や、レクリエーションが充実している施設など、施設ごとに多様なコンセプトが見られます。

医療・介護体制

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)には認知症ケアに専門性を持つ介護職員が24時間体制で常駐していますが、看護師の配置は必須ではありません。

これに対して有料老人ホームのうち「介護付」は介護・看護職員が24時間配置され、より手厚い医療・介護体制を整えています。

ただし「住宅型」や「健康型」の場合は、外部の介護サービスを併用する必要があります。

費用面

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の費用は、入居一時金が0円〜数十万円、月額費用は居室や設備、地域差などで変わりますが、10万円〜30万円程度が目安です。介護保険が適用されるため、自己負担は比較的抑えられる一方で、家賃や食費などの実費負担がかかります。

有料老人ホームの場合、入居一時金は0円から数千万円と施設による差が非常に大きく、月額費用も20万円〜40万円以上と、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)より高額になる傾向があります。

特別養護老人ホームとの違い

特別養護老人ホーム(特養)は、社会福祉法人や地方公共団体が運営する公的施設で、常時介護が必要な高齢者のための「終の棲家」として位置づけられています。

入居対象者

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)が要支援2から入居可能であるのに対し、特別養護老人ホームは原則として 要介護3以上 の方が対象です。

在宅生活が困難な、より介護度の高い高齢者が優先されます。認知症の有無は問われず、またグループホームのように居住地に制限はありません。

生活スタイルとサービス

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)が自立支援を目的に少人数での家庭的な共同生活を送るのに対し、特養では食事・入浴・排泄などの身体介護が中心です。

居室は多床室型やユニット型など複数の形態があり、多数の利用者が生活しています。看取り介護に対応する施設も多く、生活全般にわたる手厚い支援を受けながら穏やかに過ごすことを目的としています。

医療・介護体制

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では看護師配置が必須ではありませんが、特養では看護師の配置が義務づけられており、協力医療機関の医師による定期往診も行われます。

そのため、喀痰吸引や経管栄養といった日常的な医療的ケアに対応できる施設が多くあります。

費用の違い

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は家賃や食費などの実費負担が中心となるのに対し、特養は公的施設であるため費用負担が比較的軽く、月額10万円〜15万円程度 に収まるケースが多いです。

さらに所得に応じた負担軽減制度も設けられています。ただし人気が高いため、入居待機者が非常に多いという課題があります。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との違い

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者向けの賃貸住宅であり、介護施設というより「住まい」としての性格が強いのが特徴です。

サービス内容と対象者

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)が要支援2以上で認知症のある高齢者を対象とするのに対し、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は主に自立した生活が可能、または軽度の要介護状態にある高齢者を対象としています。

入居は施設入居契約ではなく、一般の賃貸住宅と同様に賃貸借契約を結ぶ形になります。

生活スタイルとサービス

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では介護スタッフとともに少人数で共同生活を送りますが、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)はバリアフリー設計の賃貸住宅でプライバシーを重視した個室生活が基本です。

必須で提供されるのは安否確認と生活相談といった基本サービスであり、その他の介護サービスや生活支援はオプションとして追加利用する仕組みです。

医療・介護体制

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は認知症ケアに特化し、24時間体制で介護スタッフが常駐します。

一方、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では日中に生活相談員が常駐するのみで、夜間は緊急通報システムによる対応が一般的です。

介護が必要な場合は、訪問介護やデイサービスなど外部の介護保険サービスを個別に契約して利用します。

費用

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は介護サービス費を含めた月額費用体系であるのに対し、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は「家賃+共益費+基本サービス費」が基本構成となります。

これに加えて食費や介護サービスの利用料が別途必要になるため、介護度が高くなると結果的に認知症対応型共同生活介護(グループホーム)より費用が高くなるケースもあります。

出典:サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)について | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」

このように、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は認知症ケアや家庭的な少人数での共同生活に強みを持つ施設です。

ただし、医療体制の充実度や入居条件の柔軟さを重視する場合には、有料老人ホームや特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)といった他の選択肢が適していることもあります。

それぞれの施設の違いを理解し、ご本人の心身の状態や生活スタイル、そして希望に最も合った施設を選ぶことが大切です。

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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)にかかる費用

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の利用料金は大きく分けて「介護保険の自己負担分」と「家賃・食費・日用品費などの実費負担」に区分されます。

実際の金額は要介護度や施設の立地・設備によって変動しますが、一般的な費用の内訳は以下のとおりです。

介護保険サービス費(自己負担分)

介護度や加算項目によって異なりますが、要介護1の場合で月額約78,090円(1割負担の場合)、要介護5で約81,150円程度(1割負担の場合)です。

出典:社会福祉法人  天心会

 

介護保険の自己負担割合は1~3割で、所得により異なります。

出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索

実費負担(介護保険適用外)

  • 家賃:月額約15,000円
  • 食費:月額約51,000円
  • 日用生活品費:月額約7,500円
  • 水道光熱費・日用品費:月額約17,000円
  • 教養娯楽費:月額約5,280円


介護保険適用外の場合、合計で月額約10万円〜30万円程度が目安です。


出典:(介護予防)認知症対応型共同生活 グループホームかわせみ 施設形態 認知症対応型共同生活介護

各種加算

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の利用料には、基本サービス費に加えて「医療連携体制加算」「夜間支援体制加算」「認知症専門ケア加算」など、複数の加算項目が設けられています。

これらの加算額は1日あたり数十円から数百円程度で、1か月単位に換算すると数千円から1万円前後の追加負担になるのが一般的です。

さらに、2024年度の介護報酬改定では「協力医療機関連携加算」や「退去時情報提供加算」などが新設されました。

これにより、医療・看護体制の強化や、退院・退所に伴う支援体制の整備を目的とした加算が追加されています。

月額費用

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の利用料には、入居一時金や保証金が必要となる場合もありますが、0円〜数十万円と施設によって幅があります。

月額費用は介護保険の自己負担に加えて、食費・部屋代・日用品費などが含まれ、要介護度に応じて変動します。

以下は一例として、介護度ごとの月額費用の目安です。(30日換算)


【基本料金】金額(1日当たり) / 円

要介護度

単位数

ご利用料金

ご利用者負担額一例※1

1割負担

2割負担

3割負担

要支援2

749

7,594円

760円

1,519円

2,279円

要介護1

753

7,635円

764円

1,527円

2,291円

要介護2

788

7,990円

799円

1,598円

2,397円

要介護3

812

8,233円

824円

1,647円

2,470円

要介護4

828

8,395円

840円

1,679円

2,519円

要介護5

845

8,568円

857円

1,714円

2,571円

出典:https://swan-partners.com/price_list/3215/



【加算】金額(1日当たり)/円

項目(内容)

単位数

ご利用料金

ご利用者負担額一例※1

1割負担

2割負担

3割負担

協力医療機関連携加算(2)※2、3

40

405円

41円

81円

122円

医療連携体制加算(Ⅰ)ハ※4

37

375円

38円

75円

113円

栄養管理体制加算※2

30

304円

31円

61円

92円

科学的介護推進体制加算※2

40

405円

41円

81円

122円

生産性向上推進体制加算(Ⅱ)※2

10

101円

11円

21円

31円

サービス提供体制強化加算(Ⅲ)

6

60円

6円

12円

18円

介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)※2

利用単位数の17.8%

-円

-円

-円

必要に応じて、その他の加算が発生します。


・入院期間中の体制※5 1日246単位(2,494円) ・初期加算※6 1回30単位(304円) ・退去時情報提供加算 250単位(2,535円) ・退去時相談援助加算※7 1回400単位(4,056円) ・若年性認知症利用者受入加算 1日120単位(1,216円)

出典:https://swan-partners.com/price_list/3215/

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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)のサービス

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、認知症の方が安心して暮らせるよう、日常生活に関する支援から専門的な認知症ケアまで、幅広いサポートが行われています。

日常生活の支援

支援内容

説明

食事の提供や調理のサポート

栄養バランスに配慮した食事を提供するほか、入居者が可能な範囲で調理に参加できる場を用意

身体介助

入浴、排泄、着替え、服薬など、日常生活に欠かせない介助をスタッフが丁寧にサポート

家事の支援

洗濯や掃除などの家事をスタッフと共に行い、自立を促しながら生活を支援

認知症ケア

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、入居者一人ひとりの症状や状態に応じた個別ケアが行われます。専門スタッフが24時間体制で見守りを行い、安心して暮らせる環境を提供します。

さらに「認知症専門ケア加算」の対象となるプログラムを実施し、認知症の進行を緩やかにする取り組みも行われています。

レクリエーション・機能訓練

日常生活に楽しみを持てるよう、趣味活動や季節のイベントが企画されます。加えて、体操やリハビリなどの機能訓練を取り入れ、心身機能の維持をサポートします。

地域住民との交流や外出支援の機会も設けられ、社会とのつながりを持ちながら生活できるのも特徴です。

医療・看護体制

協力医療機関との連携により、日常的な健康管理や緊急時の対応が可能です。また「医療連携体制加算」の対象となる医療サポートが整えられている場合もあります。

必要に応じて看護師や医師の訪問を受けられる体制があり、医療面での安心感が確保されています。

家族支援・相談

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、入居者と家族のつながりを大切にしています。

定期的な連絡や面会支援が行われるほか、退院・退所時には「情報提供加算」による連携サポートも実施されます。これにより、家族が安心して支援に関わることができます。

その他のサービス

一部の認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、若年性認知症の方を対象とした特別支援(若年性認知症利用者受け入れ加算)が提供されます。

また、終末期を迎えた方に対しては看取り介護や緩和ケアを行い、人生の最期まで尊厳ある暮らしを支える体制も整えられています。

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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の1日のスケジュール

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、入居者が安心して生活を続けられるように、一定の生活リズムに沿った1日が組み立てられています。

朝起きてから就寝までの流れが大まかに定められていることで、認知症の方でも見通しを持ちやすく、落ち着いて過ごすことができます。

ただし、実際のスケジュールは入居者一人ひとりの体調や希望、そして施設の方針によって柔軟に調整されます。

標準的な1日の流れ

以下のスケジュールは一例であり、実際には各施設の方針や入居者の体調・希望に応じて柔軟に調整されます。

時間

活動内容

7:00

起床・トイレ

7:30

朝食・配膳

8:00

口腔ケア・服薬

8:30

バイタルチェック

9:00

自由時間(入浴・体操・趣味など)

11:30

トイレ・昼食準備

12:00

昼食

12:30

口腔ケア・服薬

13:00

自由時間・入浴・レクリエーション

15:00

おやつ・団らん

17:30

夕食準備・トイレ

18:00

夕食

18:30

口腔ケア・服薬

19:00

自由時間

21:00

就寝

日中は散歩や買い物、体操、趣味活動、レクリエーションなどを行い、入居者本人の体調や希望に合わせて活動が組み込まれます。

また、食事や家事も可能な範囲で入居者自身が参加し、役割を持つことで自立支援につなげています。

夜間はスタッフが常駐し、必要に応じて介助や声かけを行うため、安心して生活することができるでしょう。

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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)のメリット

ここでは、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居することで得られる代表的なメリットを紹介します。

家庭的な雰囲気や少人数制の安心感、認知症に特化した個別ケア、自立支援や地域との交流など、暮らしの質を高めるポイントを解説します。


出典:どんなサービスがあるの? - 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

少人数制で家庭的な雰囲気

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、1ユニットあたり5〜9人という少人数体制で運営されています。

大規模施設のように人が多すぎて緊張することがなく、入居者同士やスタッフとの距離も近いため、顔なじみの関係を築きやすいのが特徴です。

家庭に近い雰囲気の中で生活できるため、認知症の方でも新しい環境への不安を感じにくく、安心して暮らせる点が大きな魅力です。

認知症ケアに特化した個別支援を受けられる

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、認知症ケアの知識と技術を持った専門スタッフが24時間体制で常駐しています。

入居者一人ひとりの症状や生活リズムに合わせ、食事・入浴・排泄・服薬などの介助をきめ細かく行います。

また、日々の会話や見守りを通じて不安や混乱を和らげ、症状の進行を緩やかにする効果も期待されています。

大人数の施設では得にくい個別対応ができる点が、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)ならではのメリットです。

自立支援と役割を維持しやすい

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、食事の準備や片付け、掃除、洗濯などの日常的な家事をスタッフと一緒に行います。

入居者は「自分にできること」を活かし、料理が得意な人は野菜を切る、体調が良い日は掃除を手伝うなど、役割を持ちながら生活します。

こうした取り組みは「生活リハビリ」と呼ばれ、自立心を維持し、生活意欲を高める効果があります。

役割を持つことが自己肯定感につながり、心身機能の維持にも役立つでしょう。

認知症の進行抑制が期待できる

慣れ親しんだ生活習慣や役割分担を持ちながら生活することで、「自分が誰かの役に立っている」という実感が得られます。

この感覚は、認知症高齢者にとって精神的な安定をもたらすと同時に、意欲や集中力を引き出す効果があると考えられています。

その結果、認知症の進行を緩やかにする可能性も期待されています。家庭的な環境の中で安心して過ごすことが、日々の生活の質を高める重要な要素となるでしょう。

地域とのつながり・交流がある

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、地域密着型サービスとして位置づけられており、地域社会との交流を大切にしています。

地域の祭りや行事に参加したり、近隣の学校や保育園児と交流を行ったりする機会が設けられています。

また、近所のスーパーでの買い物など、日常的に地域と関わることで「住み慣れた町の一員」として暮らし続けられるでしょう。

地域とのつながりは孤立を防ぎ、心身の健康維持にもつながる大きなメリットです。

赤鉛筆と「デメリット」の文字が並ぶイラスト
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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)のデメリット

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の方が安心して自分らしく暮らせる環境を提供する一方で、医療体制の制限・入居条件・費用面・定員の少なさといったデメリットも存在します。

入居を検討する際は、これらの特徴を理解したうえで、自分や家族に最も合った施設を選ぶことが大切です。

医療体制が限定的

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は介護施設であり、医療機関ではありません。そのため、点滴や酸素吸入など医療的ケアが日常的に必要な方、または頻繁に医師の診察や処置が求められる方は入居が難しい場合があります。

提携医療機関と連携して往診や緊急時の対応を行うケースもありますが、あくまで補助的な体制に留まることが多いのが現状です。

入居前には、医療的ニーズにどこまで対応できるかを必ず確認する必要があります。

地域限定の入居条件が設けられている

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は「地域密着型サービス」として制度上位置づけられているため、原則として施設が所在する市町村に住民票がある方しか入居できません。

したがって、子どもや家族の近くに引っ越して入居したい場合でも、住民票が異なる地域だと受け入れが難しいケースがあります。

地域ごとに入居条件が定められているため、希望する場所の施設に入れるかどうか、あらかじめ確認しておくことが大切です。

重度の身体介護には対応困難

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は認知症の方の暮らしを支援する施設であり、寝たきりや重度の身体障がい

がある方への全面的な身体介護には十分に対応できないことがあります。

人員配置や設備が限られているため、日常生活の介助は行えても、専門的なリハビリや医療的管理を伴う介護が必要になると対応が難しいのが実情です。

介護度が進んだ場合には、特別養護老人ホームや医療系施設への転居を検討する必要が出てくる点も留意すべきポイントです。

費用が高くなる可能性がある

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の利用料金は、介護保険の自己負担に加え、家賃・食費・光熱費などの実費が必要となります。

特に都市部の施設では、立地条件や設備の充実度によって月額費用が高額になるケースも少なくありません。

入居後に想定外の負担を避けるためには、基本料金だけでなく加算や生活費を含めた総額を事前に確認し、家計に無理のない範囲で利用できるか検討することが重要です。

定員が少なく待機が発生しやすい

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は1ユニット5〜9人という少人数制で運営されており、全体の定員も限られています。

そのため、人気のある地域や施設では空室が出るまでに長期間の待機が発生することもあります。

特に都市部では需要が高く、入居を希望してもすぐに利用できないケースが多いため、複数の施設に問い合わせておくことが望ましいです。早めに情報収集を行い、候補を広げておくことで入居のチャンスを確保できます。

虫眼鏡でベストの文字をアップにする様子
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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を選ぶ時のポイント

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)選びは、今後の暮らしを大きく左右する大切な決断です。

月額費用の負担や立地条件、介護・医療体制、設備の安全性などを十分に確認することで、安心して長く生活できる環境を整えられるでしょう。

費用の明確さ

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を選ぶ際に最も重要な要素のひとつが費用面です。介護保険の自己負担額に加えて、家賃・食費・光熱費などの実費が発生します。また、加算項目によって毎月の費用が変動することも多いため、必ず総額で確認しておきましょう。入居時の初期費用の有無や、将来的な加算の可能性も含め、無理なく支払える範囲かを冷静に判断することが大切です。複数の施設で見積もりを比較すると安心です。

立地条件

立地条件は、家族が面会に通いやすいかどうかに直結します。公共交通機関の利便性や駐車場の有無、周辺環境の静けさや安全性も考慮すべきポイントです。また、スーパーや病院など生活関連施設が近くにあるかも、日常の快適さに影響します。特に高齢期は外出の機会が限られるため、周囲の環境が閉塞感につながらないかも確認しておくとよいでしょう。

設備と安全性

施設内の設備や安全性は、入居後の生活の質を左右します。居室や共用スペースの広さ、清潔さ、プライバシーの確保はもちろん、バリアフリー設計や手すりの設置状況も重要です。さらに、浴室やトイレの使いやすさ、非常通報装置の有無など、将来的に介護度が高くなった場合を想定して確認しましょう。安全で快適な環境が整っているかどうかは、安心して暮らすうえで欠かせない条件です。

介護・医療体制

スタッフの人数や資格、夜間や緊急時の対応体制は必ず確認が必要です。看護師が常駐しているか、提携医療機関との連携がどのように行われているかも重要なチェックポイントです。また、看取り介護に対応しているかどうかも施設ごとに異なります。将来的に病気や体調の変化に対応できるかどうかを見極めることで、長く安心して暮らせる環境を選ぶことができます。

施設の雰囲気とスタッフの対応

実際に見学してみると、パンフレットやウェブサイトでは分からない施設の雰囲気を感じ取ることができます。入居者の表情が穏やかか、スタッフが親身に声をかけているかなど、人と人との関わり方が生活の安心感につながります。スタッフの対応力や明るさ、利用者への気配りが感じられるかどうかをチェックすることで、入居後の生活を具体的にイメージできるでしょう。

食事やレクリエーション

毎日の生活を支える食事とレクリエーションも、施設選びの大切な基準です。栄養バランスに配慮したメニューが提供されているか、入居者の嗜好や嚥下状態に合わせた工夫があるかを確認しましょう。また、体操や趣味活動、外出支援など、レクリエーションが充実していると生活意欲の維持にもつながります。食事と活動が整っている施設は、心身の健康に好影響を与えます。

運営状況・経営の安定性

長期的に安心して暮らすためには、施設を運営している法人の信頼性や経営基盤も重要です。運営実績が長いか、財務状況が健全か、行政や第三者機関からの評価はどうかを確認すると安心です。経営が不安定な場合、サービスの質やスタッフの定着率に影響が出る可能性もあります。入居後に施設の運営が継続できなくなるリスクを避けるためにも、経営の安定性を見極めることが大切です。

家族や地域との連携

施設と家族との連携は、入居者の生活を支えるうえで欠かせません。家族会や運営推進会議などに参加できるかどうか、定期的な報告や相談の場があるかを確認しましょう。また、地域の学校や住民との交流活動がある施設は、社会とのつながりを持ち続けやすく、入居者の孤立防止にも役立ちます。家族や地域と連携して支え合える環境があるかどうかは、安心感につながります。

将来のライフスタイルを想定

施設選びでは、今の生活だけでなく将来の変化を想定することが重要です。10年後の健康状態や介護度の変化に対応できる施設かどうかを考えておきましょう。例えば、医療体制が整っているか、重度介護に対応できるかなども確認が必要です。長期的に見て快適に暮らし続けられるかを意識することで、入居後の後悔を減らすことができます。

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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の入居までの流れ

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)への入居は、情報収集から契約、生活開始まで段階を踏んで進められます。施設の雰囲気や費用面、医療体制をしっかり確認し、本人や家族が安心できる環境を整えることが重要です。以下では、具体的な流れを詳しく解説します。

情報収集・見学

まずは希望する地域や条件に合う施設を探し、複数の認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を見学することから始まります。パンフレットやホームページでは分からない施設の雰囲気やスタッフの対応、入居者の表情などを実際に確認できるのが見学の大きなメリットです。また、一度だけでなく複数回訪れることで、日常の様子や時間帯による違いも把握できます。入居後の生活をイメージするためには、事前の情報収集と見学が欠かせません。

申し込み・面談

入居を希望する施設が決まったら、申し込みを行います。その後、本人や家族、ケアマネジャーを交えて面談やアセスメント(状態把握)が実施されます。ここでは、本人の健康状態や生活習慣、性格、医療的なニーズについて詳しく確認され、施設が適切な支援を提供できるかを判断します。家族も一緒に参加することで、本人の意向を尊重しつつ安心して入居を進めることができます。

入居判定

面談やアセスメントの内容をもとに、施設内で入居判定会議が開かれます。医師や看護師、介護スタッフなどが意見を出し合い、受け入れ可能かどうかが決定されます。認知症ケアに適した環境を提供できるか、医療的なニーズにどの程度対応できるかが重要な判断材料となります。入居判定により「入居可能」「条件付き」「入居不可」となる場合があるため、結果を踏まえて次のステップを検討することが必要です。

契約・入居準備

入居が認められたら、契約書の内容や費用について詳細に確認します。介護保険の自己負担分に加え、家賃や食費、光熱費など実費の内訳、加算の有無、退去時の返金規定などを必ず確認しましょう。必要な書類を揃え、入居日を調整したら生活用品や衣類などの準備を進めます。入居前に家族と施設スタッフがしっかり話し合うことで、スムーズな生活開始につながります。

入居・生活開始

契約を終えたら、いよいよ新しい生活が始まります。入居当初は環境の変化によって戸惑いや不安が生じることもありますが、スタッフや家族、ケアマネジャーが連携して支えることで徐々に生活に慣れていきます。日常生活に役割を持ちながら、食事やレクリエーションを通じて新しい仲間との関係を築いていくことが大切です。入居後も定期的に状態を確認し、必要に応じてケア内容を見直していく体制が整えられています。

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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)契約時の注意事項

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)への入居契約は、今後の生活を大きく左右する重要なステップです。費用や契約条件に加え、医療体制や家族との関わり方、本人の希望などを多角的に確認することが、安心した暮らしにつながります。以下のポイントを必ず押さえておきましょう。

見学は必ず複数回行う

パンフレットや公式サイトの情報だけでは、実際の生活の雰囲気は分かりません。必ず複数回の見学を行い、スタッフの接し方や入居者の表情、施設の清潔さや落ち着いた雰囲気が保たれているかを観察しましょう。平日と休日、時間帯を変えて訪問することで、普段の様子やレクリエーションの実施状況も確認できます。見学を重ねることで、より現実的な生活のイメージを持ちやすくなります。

費用や契約内容の詳細を確認

入居時の契約では、月額費用の内訳や介護保険の自己負担額に加えて、加算項目や光熱費、食費など実費負担がどの程度かを明確にしておく必要があります。また、退去時の返金規定や償却期間といった細かい契約条件も必ず確認しましょう。施設によっては追加料金が発生するケースもあるため、複数施設で見積もりを比較し、無理なく支払える範囲かどうかを判断することが大切です。

入居条件の確認

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は「地域密着型サービス」として位置づけられているため、原則として住民票が施設の所在する市町村にある方しか入居できません。また、要介護度や医療的ケアの必要性によっても受け入れ可否が分かれることがあります。入居を希望しても条件が合わない場合、別の施設を探す必要があるため、事前に条件をしっかり確認しましょう。ケアマネジャーに相談するのも有効です。

医療・看取り体制の確認

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は介護施設であり、医療機関ではありません。そのため、医療依存度が高い方や緊急時の対応が頻繁に必要な方の受け入れは難しい場合があります。提携病院との連携体制や、持病への対応可否、看取り介護に対応しているかを必ず確認しましょう。将来的な健康状態の変化を見据えて、医療や終末期ケアに関する体制を把握しておくことが、安心して長く暮らすための鍵となります。

家族との連携・面会体制

入居後も家族の存在は大きな支えとなります。そのため、面会のしやすさや家族会の有無、運営推進会議への参加が可能かどうかも重要な確認ポイントです。定期的に施設から家族へ報告が行われるか、相談の場が設けられているかも安心材料となります。家族との連携がスムーズであれば、入居者本人にとっても精神的な安定につながりやすく、生活の質の向上に役立ちます。

入居待機の可能性があることを把握しておく

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は1ユニット5〜9人の少人数制であるため、定員が限られています。そのため人気のある施設では入居待ちが発生することも珍しくありません。空きが出るまで数か月以上待機するケースもあるため、早めに情報収集を始め、複数の施設に申し込みを行うことが望ましいです。待機期間を考慮し、短期利用や他のサービスと併用することも選択肢になります。

本人の意思確認と適応を考慮する

入居を決める際には、本人の希望や性格、生活リズムが合うかどうかを重視することも大切です。施設の方針や雰囲気が本人に適さない場合、環境の変化によるストレスが認知症の症状を悪化させる可能性もあります。体験入居や短期利用ができる施設を選ぶことで、本人の適応を見極めることができます。本人の意思を尊重しながら決定することが、安心した生活につながります。

まとめ

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の高齢者が少人数で共同生活を送りながら、家庭的な雰囲気のもと専門的なケアを受けられる施設です。


食事や掃除などをスタッフと一緒に行い、役割を担うことで自立心や生活意欲を維持し、進行を緩やかにする効果も期待できます。


24時間体制の支援や地域交流が整う一方、医療体制の限界や重度介護への対応困難、待機が発生しやすい点は注意が必要です。費用や条件、雰囲気を比較し、本人と家族に合った施設を選ぶことが大切です。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に関する

よくある質問

Q.どんな人が入居できますか?
A.

医師による認知症の診断を受け、要支援2または要介護1〜5の認定があり、少人数での共同生活が可能な方が対象です。

Q.入居までの手続きや期間は?
A.

申し込み後、面談やアセスメントを経て入居判定が行われます。居室に空きがあれば最短2週間程度で利用開始できる場合もあります。


Q.医療的ケアが必要な場合はどうなりますか?
A.

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は医師や看護師が常駐していないため、経管栄養やカテーテル管理など日常的な医療行為が必要な方は原則入居できません。医療連携体制が整っている施設もありますので、詳細は各施設にご確認ください。


Q.面会や外出はできますか?
A.

面会は原則9時~18時ですが、事前に連絡すれば時間外も対応可能な場合があります。外出・外泊も可能ですが、体調不良時は控えることがあります。

出典:医療法人 豊成会 比の花

Q.入居時に必要な持ち物は何がありますか?
A.

衣類や身の回り品のほか、施設によってはリクライニングベッドやエアコン、洗面台などが備え付けられています。テレビやラジオなどの家電は必要に応じて持ち込み可能です。

Q.家族が協力することはありますか?
A.

日常生活の支援はスタッフが行いますが、緊急時や病院受診時の付き添い、家族会や行事への参加をお願いする場合があります。

Q.利用料金の支払い方法は何がありますか?
A.

指定の金融機関からの口座引き落としが一般的です。

Q.入居後にサービスが合わなかった場合、退所は可能ですか?
A.

サービス内容や生活が合わないと感じた場合は、希望する日に退所できます。

豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。
監修者

海野 和看護師

この記事の監修者情報です

2006年に日本消化器内科内視鏡技師認定証を取得し、消化器系疾患の専門的な知識と技術を習得。2018年にはNCPR(新生児蘇生法専門コース)の認定を取得し、緊急時対応のスペシャリストとしての資格を保有。さらにBLS(HeartCode®BLSコース)を受講し、基本的生命維持技術の最新知識を習得。豊富な臨床経験と高度な専門資格を活かし、医療・介護分野における正確で信頼性の高い情報監修を行っています。

【保有資格】

日本消化器内科内視鏡技師認定証(2006年取得)
NCPR(新生児蘇生法専門コース終了認定証)(2018年取得)
BLS(HeartCode®BLSコース)受講済み

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