介護

要介護2とは?どのような状態?受けられるサービスや費用まで徹底解説

高齢女性と手を握る職員女性

要介護2とは、介護保険制度において入浴や排泄、移動などに部分的な介助が必要な状態を指します。

厚生労働省の基準では、1日あたりの介護に要する時間が50〜70分未満。身体機能の低下は進んでいますが、自立してできる動作も多く、サービスの組み合わせ次第で在宅生活の継続が十分に可能です。


本記事では、要介護2の状態や支給限度額、代表的なケアプラン事例(同居・一人暮らし・リハビリ重視)、申請の流れ、よくある質問までわかりやすく解説します。

介護を受ける本人・家族の双方に役立つ内容です。また、介護福祉分野で働く方にも必要な情報をお届けするのでぜひチェックしてみてください。

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    要介護2の状態を正しく理解したい
    日常生活でどの程度の介助が必要になるのか知りたい方
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    介護サービスの活用方法を学びたい
    デイサービスや訪問介護など、利用できる支援内容を把握したい方
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    家族の負担や将来への備えを考えたい
    介護を支える家族の課題や、進行を予防する工夫を知りたい方
立ち上がろうとする杖を持った高齢女性を介助をする職員女性
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要介護2とは?どのような状態?

「要介護2」は、日常生活の多くで部分的な介助が必要になった段階です。

厚生労働省の要介護認定等基準時間(介護の手間を示す“ものさし”)で50分以上70分未満に相当します。病気の重さと必ずしも一致せず、介助に要する時間と内容で評価されます。


出典:要介護認定はどのように行われるか|厚生労働省

要介護認定等基準時間「50分以上70分未満」

要介護度は、認定調査の結果を1分間タイムスタディに基づく樹形モデルで推計し、介助時間(基準時間)で区分します。

要介護2は50〜70分未満で、ADL(日常生活動作)でも部分的な介助が必要です。特別な医療行為がある場合は所定時間を加算(例:点滴の管理 8.5分)して判定します。


出典:要介護認定はどのように行われるか|厚生労働省
出典:要介護認定はどのように行われるか その1:介護の手間に係る審査判定|厚生労働省

要介護1や要介護3との違い

区分

基準時間の目安

生活像の目安

要介護1

32〜50分未満

IADLの低下が中心。見守り+部分介助

要介護2

50〜70分未満

ADLに部分介助が拡大(移動・入浴・排泄など)

要介護3

70〜90分未満

立ち上がりや歩行が自力でできず、排泄・入浴などで全面的な介助が必要。

出典:介護保険制度における要介護認定の仕組み
出典:図表 12 行為区分毎の時間が表す行為  |三重県

具体的な状態像

  • 移動・動作:立ち上がりや歩行に支えが要る場面が増える
  • 身の回り:更衣・簡単な調理・買い物などに継続的支援
  • 排泄・入浴:一部または全般で介助が必要
  • 認知機能:金銭・服薬管理や意思決定に支援が要る場合あり/BPSDの見守りが必要な例も

出典:要介護状態区分別の状態像
出典:介護保険制度の概要|厚生労働省

手を胸に当ててる女性
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要介護2の方は一人暮らしできる?

要介護2でも通所+訪問、配食見守り、定期巡回、緊急通報体制などを組み合わせれば在宅継続は可能です。

火気・転倒・服薬ミスのリスク対策、連絡網(家族・地域)、ヘルパーの時間帯設計、福祉用具・住宅改修の活用が要点です。

判断はケアマネジャー(介護支援専門員)のアセスメントと地域資源で最適化します。

出典:サービス編 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」

要介護2で一人暮らしが可能かどうかは、本人の心身状態や認知機能、地域資源の有無、利用できる介護・見守りサービスなど個々の状況によって異なります。

ケアマネジャー(介護支援専門員)や専門職による個別のアセスメント(生活・安全リスク評価)をもとに、在宅継続の可否や介護サービスの組み合わせが提案されます。

要介護、要支援
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要介護1や要介護3との違い

要介護度は、介護に必要な手間を定量的に示す「要介護等基準時間」によって判定され、要介護1〜5の5段階に分類されます。 

特に前後の要介護1・要介護3との比較で、要介護2の特徴がより明確になります。

介護度

基準時間(1日あたり/分)※

主な違い

要介護1

32分以上 50分未満

立ち上がり・歩行はほぼ自力。家事の一部で見守りや介助が必要。

要介護2

50分以上 70分未満

立ち上がり・歩行・着替えなどの介助場面が増加。排泄・入浴にも部分的介助が必要。

要介護3

70分以上 90分未満

立ち上がりや歩行が自力でできず、排泄・入浴などで全面的な介助が必要。身体的・認知的機能の低下が顕著。​

※基準時間は介護の必要度を測る基準であり、実際の介護サービス提供時間を示すものではありません。

出典:要介護認定はどのように行われるか|厚生労働省

要介護1との違い

要介護1と要介護2は、日常生活において、自立する為の介助の手間が次のように違います。

  • 要介護1(32分以上50分未満):立ち上がりや歩行などの基本動作の多くを自力で自立しますが、家事や身支度などの一部の動作で見守りや介助が必要です。
  • 要介護2(50分以上70分未満):介護1の支援範囲に加え、着替えや入浴、排泄の動作にも介助を行う必要があり、介護の時間や手間が全体的に増加します。

この違いにより、要介護2では利用できる介護サービスの種類や福祉用具の範囲も要介護1より広くなり、介護サービス計画書(ケアプラン)の設計や家族のサポート体制の構築がより重要となります。 

具体的には、要介護2から車いすや特殊寝台(介護ベッド)、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフトなどの福祉用具がレンタル対象に追加されます。

出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省

要介護3との違い

要介護2と要介護3は、介助における必要な範囲と時間で次のように区別されます。

  • 要介護2(50分以上70分未満):部分的な自立が残り、立ち上がりや歩行、着替えなどの一部の動作は見守りや軽度の介助で対応可能です。
  • 要介護3(70分以上90分未満):立ち上がりや歩行などが自力でできず、排泄・入浴・食事などで全面的な介助が必要となり、身体的・認知的機能の低下が顕著になります。

要介護3では介護にかかる時間が大幅に増えるため、利用可能なサービスの種類や支給額も要介護2とは異なり、在宅介護の継続が困難となる場合があります。その結果、特別養護老人ホーム(特養)などへの入所を検討するケースが増加するのが特徴です。


出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省

1-5の要介護度がの文字のブロック
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要介護認定の仕組みと流れ(一次判定→二次判定)

申請後は、認定調査+主治医意見書に基づき一次判定(コンピュータ)→二次判定(介護認定審査会)の順で要介護度が決まります。

原則30日以内に結果が通知され、有効期間や更新の取扱いも決まっています。

要介護認定の判定は、まずコンピュータによる一次判定で基準時間を算出し、その後、介護認定審査会が医師の意見や実際の生活状況をもとに最終決定します。


申請から結果通知までは原則30日以内とされていますが、調査や意見書の提出に遅れがある場合は延びることも少なくありません。

申請から結果通知までの流れや窓口

  • 窓口:市区町村の介護保険担当(地域包括・ケアマネジャー(介護支援専門員)などによる申請代行可)
  • 流れ:申請 → 認定調査(訪問)・主治医意見書 → 一次判定 → 二次判定 → 通知
  • 結果:要支援1・2/要介護1〜5/非該当

出典:要介護認定の仕組みと手順|厚生労働省

一次判定:タイムスタディと5分野の推計(医療加算あり)

認定調査票をもとに、約3,500人のタイムスタディから最も近い状態像を参照し、次の5分野の介助時間を推計します。

  • 直接生活介助(食事・排泄・入浴等)
  • 間接生活介助(洗濯・掃除等)
  • BPSD関連行為(徘徊への対応等)
  • 機能訓練関連行為
  • 医療関連行為(例:点滴の管理 8.5分ほか)

→合計に認知症加算等を加味して基準時間を算出。

出典:介護認定審査会委員テキスト

二次判定:介護認定審査会(専門家による最終判定)

保健・医療・福祉の学識経験者が、一次判定結果+主治医意見書+特記事項を総合し最終決定します。

病名の重さと要介護度が一致しない場合がある点を踏まえ、実際の介助の必要性を丁寧に審査します。

出典:要介護認定はどのように行われるか

有効期間と更新・区分変更

  • 新規:原則6か月(3〜12か月の範囲で設定可)
  • 更新:同区分なら最長48か月、区分変更時は12か月(3〜36か月)
  • 状態悪化・改善時は区分変更申請が可能/不服は審査会に申立て(90日以内)

出典:介護保険審査会への審査請求について - 福岡県庁ホームページ

笑顔を向ける女性の介護職員
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要介護2で利用できる主な介護サービス

サービス種別

主なサービス例

訪問型サービス

訪問介護(身体介護・生活援助)、訪問入浴介護(訪問入浴)、訪問看護、訪問リハビリテーション

通所型サービス

デイサービス(通所介護)、通所リハビリテーション(デイケア)

短期入所型

短期入所生活介護(ショートステイ)

施設サービス

介護老人保健(老健)、認知症施設対応型共同生活介護(グループホーム)などの施設サービス ※

※特別養護老人ホーム(特養)は、2015年4月の介護保険法改正により、新規入所が原則として要介護3以上の方に限定されています。

在宅:訪問系・居宅療養管理指導

在宅生活を続けるうえで、身体介助・見守り・医療的ケアを必要な量だけ調整できる点が特徴です。

生活リズムや体調に合わせてサービスを組み合わせることで、負担軽減と自立支援の両立ができます。

  • 訪問介護:身体介護・生活援助の組合せ
  • 訪問入浴・訪問看護・訪問リハ:清潔保持・医療的ケア・機能維持
    居宅療養管理指導:医師・薬剤師等の指導・管理

通所:デイサービス/デイケア

日中の居場所として活用しながら、入浴・食事・リハビリなど複数の支援を一体的に受けられます。

社会参加や認知症予防にもつながり、家族の介護負担を減らす役割も大きいサービスです。

  • 通所介護(デイサービス):入浴・食事・機能訓練・口腔機能向上
  • 通所リハ(デイケア):PT/OT/STによる計画的リハと日常生活再獲得

短期入所:ショートステイ

介護者が不在になるときや、在宅介護を継続したいが休息が必要な場面で利用できます。

緊急対応や退院後の調整期にも役立ち、家族負担の調整機能として重要な支援です。

  • 生活/療養いずれも家族の休養・緊急対応に有効
  • 退院直後や在宅移行時の切り替え点で活用

福祉用具・住宅改修

動作の負担を減らし、転倒や事故を防ぐために効果的です。身体状況に合わせて選定することで、在宅生活の継続性や安全性、介護者の負担軽減にもつながります。

  • 貸与:車いす・介護ベッド等/販売:入浴・排泄用品 等
  • 住宅改修:手すり・段差解消・滑り止め・扉交換 など

地域密着・施設系

住み慣れた地域で支援を受けられるサービスから、医療やリハビリを伴う施設入所まで幅広く選べます。

状態の変化や家族状況を踏まえ、必要に応じて段階的に切り替えることが可能です。

  • 地域密着:小規模多機能、看多機、認知症対応型通所・グループホーム 等
  • 施設:特養(原則要介護3以上/例外入所あり)、老健、介護医療院

福祉用具貸与

要介護2の方の介護保険を利用してレンタルできる主な福祉用具は、以下のとおりです。

福祉用具名

内容・特徴

車いす

自走用・介助用・電動車いすなど。移動機能を支援し、クッションやブレーキなどの付属品も対象。

特殊寝台(介護ベッド)

電動・手動で背上げ・高さ調整が可能。サイドレール付きで転落防止。マットレスや手すり等の付属品も貸与対象。

床ずれ防止用具

エアマットレスや減圧マットレスなど。体圧を分散し、皮膚の損傷を防止します。

体位変換器

起き上がり・寝返りの補助装置。利用者の体位変換を支援し、介護者の負担を軽減します。

移動用リフト

床走行式・固定式・据置式など。立ち上がりや移乗を補助し、安全に移動可能。

認知症老人徘徊感知機器

離床センサーや外出通報システムなど。徘徊を検知・通知し、早期対応を支援します。

出典:介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム 福祉用具貸与|厚生労働省

福祉用具貸与では、要介護2の方が利用できる用具の選択肢が大きく広がり、生活の自立支援と介護負担軽減に効果的に寄与します。

  • 自己負担は原則1割(所得に応じて2〜3割になる場合があります)
  • 利用には介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成する介護サービス計画書(ケアプラン)への組み込みが必要です
  • レンタル可能な商品は、法改正や制度変更により見直されることがあります


これらの福祉用具を活用することで、自宅での生活を安全に続けやすいだけではなく、家族や介護者の身体的・精神的負担を軽減する効果が期待できます。

2024年度の介護報酬改定(2024年4月1日施行)により、固定用スロープ(敷居等の小さな段差の解消に使用し、頻繁な持ち運びを要しないもの。可搬型を除く)、歩行器(脚部が全て杖先ゴム等の形状となる固定式又は交互式歩行器。歩行車を除く)、単点杖(松葉づえを除く)、多点杖について貸与と販売の選択制が導入されました。選択にあたっては、医師やリハビリ専門職からの意見聴取、利用期間の見通しなどを踏まえた適切な判断が求められます。

出典:介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム 福祉用具貸与|厚生労働省

パソコンと計算機
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要介護2はいくら使える?支給限度額ともらえるお金・自己負担

介護保険の在宅サービスは、区分ごとの月額支給限度額(単位)までが給付対象となっています。

要介護2は19,705単位/月が目安で、原則1単位=10円として見込み額を把握します。所得に応じて1〜3割負担です。


介護保険における「19,705830単位(約19.78万円」は、要介護2で利用できるサービスの給付上限額であり、実際に支給される金額ではありません。


利用者負担は所得区分によって1〜3割となり、限度額を超えた分や一部のサービスは全額自己負担となります。

※具体的な負担額は、選択したサービス内容と利用者の所得状況によって異なります。

支給限度額と円換算の目安

  • 要介護2:19,705単位/月 ≒ 197,050円/月(原則換算)
  • 限度額超は全額自己負担/地域区分や特例で単価が異なる場合あり

出典:区分支給限度基準額について

利用者負担と軽減制度

  • 自己負担:1〜3割(所得区分による)
  • 軽減制度:高額介護サービス費、補足給付(食費・居住費の負担軽減)
介護に備える介護保険
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いくら使える?支給限度額と円換算の目安(要介護2)

支給限度額早見表(1単位=10円換算)

区分

支給限度単位数(月)

円換算目安(月額)

主なサービス組み合わせ例

要支援1

5,032単位

約50,320円

週1デイ+週1訪問介護

要支援2

10,531単位

約105,310円

週2デイ+週2訪問介護

要介護1

16,765単位

約167,650円

デイ+訪問介護+福祉用具

要介護2

19,705単位

約197,050円

デイ×2+訪問×2+ショート月1回

要介護3

27,048単位

約270,480円

デイ+訪問+夜間対応併用

要介護4

30,938単位

約309,380円

デイ+訪問+福祉用具+短期

要介護5

36,217単位

約362,170円

訪問・通所・看多機併用

※上記は全国平均単位10円での目安。地域区分により±1〜3%程度差異あり。
※超過分は全額自己負担。福祉用具や住宅改修費は別枠扱い。


出典:令和6年度介護報酬改定について|厚生労働省

水色の紙とクリップがついてる白紙
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要介護2のケアプラン事例

要介護2では、介助が必要な場面が増える一方で、生活能力を活かせる余地もあります。

介護サービスの組み合わせ方によって、自宅での自立度を高めつつ、家族の負担を軽減することが可能です。代表的な3パターンを紹介します。

同居家族がいる場合

家族の介護負担を和らげるため、デイサービス週2回+訪問介護週2回の組み合わせが基本です。

日中は通所で機能訓練と入浴支援を受け、夕方以降はヘルパーによる食事・整容介助を導入します。

ショートステイを月1〜2回挟むことで家族の休息も確保できます。住宅改修や福祉用具貸与で転倒リスクも軽減するでしょう。

出典:介護保険制度の概要 |厚生労働省

一人暮らしの場合

安全な在宅生活を維持するため、定期巡回・通報体制の整備が必要となります。

日中はデイサービスを活用し、週3回の通所で入浴と見守りを行うことが推奨されます。夕方以降は配食・安否確認サービスや、夜間対応型訪問介護を導入。

週1回の清掃支援や買い物代行を追加し、孤立防止と生活リズムの安定を図ります。

出典:地域密着型サービスの概要

リハビリ重視のケース

脳血管疾患や運動機能の低下がある場合は、通所リハビリ(デイケア)+訪問リハビリの併用が効果的です。

医師・理学療法士の指導で歩行・立ち上がりの改善を目指し、並行して福祉用具(手すり・歩行器)を活用します。

週1〜2回の介護予防運動や口腔リハビリも加え、ADL向上と再発予防を両立します。

出典:介護保険制度の概要

チェックリストの紙とペンと聴診器
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【要介護認定】申請前後のチェックリスト

要介護認定をスムーズに進めるには、事前準備と申請後の対応が重要です。

認定調査では「実際に困っている状況」を正確に伝え、主治医との情報共有も欠かせません。以下の項目をチェックしておきましょう。

請前に準備しておくこと

認定申請前は、普段の困りごとや生活状況を整理しておくと、調査時に伝え漏れが起きにくくなります。必要な情報を事前にまとめ、関係者と共有しておきましょう。

  • 現在の困りごとを具体化(例:「週3回入浴介助が必要」など)
  • 過去の転倒・入院歴、服薬内容を整理
  • 主治医に認定申請を伝え、病状と生活状況の両面を共有
  • ケアマネジャー(介護支援専門員)・地域包括に相談して申請代行を依頼

出典:サービス利用までの流れ | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」

認定調査で確認される主な項目

調査員は生活動作や認知機能など多角的に確認します。普段できていることではなく「どの程度困っているか」を基準に答えることが大切です。

  • ADL(起き上がり・立ち上がり・歩行・排泄・入浴など)
  • IADL(買い物・金銭管理・調理など)
  • 認知機能(時間・場所・人の認識、記憶、理解力)
  • BPSD(徘徊、暴言、妄想などの有無)
  • 栄養・服薬・意思疎通・生活リズム

 出典:介護認定審査会委員テキスト

認定結果が想定より低かったとき

結果に納得できない場合でも、改善の余地があります。期限内に不服申立てができ、状況変化があれば区分変更申請も可能です。早めに相談しましょう。

  • 判定通知を受け取った日から90日以内に不服申立て可
  • 状態が悪化・改善した場合は区分変更申請が可能
  • ケアマネジャー(介護支援専門員)・地域包括支援センターに早期相談を

出典:介護認定審査会委員テキスト

笑顔を向ける高齢女性と職員女性
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要介護2の方と家族が直面しやすい課題と対策

要介護2になると、本人だけでなく家族もさまざまな課題に直面します。ここでは代表的な課題と、その対策について整理します。

家族の介護負担、本人の自立支援の重要性

要介護2になると家族の介護負担が増加する一方で、本人の自立支援がますます重要になります。

「自立支援介護」とは、要介護者が可能な限り、自分の能力を活かして生活できるよう支援することを指します。介護保険法第1条では、要介護状態となった者について「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」必要なサービスを提供することが定められています。

過度な介助は身体機能・認知機能の低下を招き、介護の手間が増える悪循環につながります。自立支援の実践には以下のような取り組みが効果的です。

自立支援の実践方法

  • 日常生活動作(ADL)の維持:入浴・着替え・トイレ動作を本人のペースで行えるよう見守り中心の支援
  • 運動・機能訓練:散歩や筋力トレーニングを日常に取り入れ、身体機能を維持・向上
  • 住環境整備:手すり設置や段差解消により、安全に自分で動作できる環境を構築

高齢者を対象とした研究では、握力やバランス能力の向上が日常生活動作(ADL)の改善につながることが報告されています。正しい支援によって本人の身体機能や意欲の維持・向上が期待できます。

家族にとっても、本人の自立が促進されれば介護負担が軽減され、精神的・肉体的なゆとりが生まれます。

「手伝いすぎない介護」を心がけ、本人の尊厳を守りながら家族負担の軽減と生活の質向上を両立させることが重要です。

連れ添って歩く杖を持った高齢女性と職員女性
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まとめ

要介護2は、厚生労働省の定義で「要介護認定等基準時間50〜70分未満」に相当し、入浴・排泄・移動などに部分的な介助を要する状態です。


自立動作も残っており、デイサービス・訪問介護・短期入所などを組み合わせることで、住み慣れた自宅での生活を継続することが可能です。

支給限度額は月19,830単位(約19.8万円)で、所得に応じて1〜3割の自己負担となります。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の助言をもとに、心身の状態・家族の介護力・地域資源を組み合わせた最適なケアプラン設計が重要です。

要介護2に関する

よくある質問

Q.要介護2はどんな状態?
A.

介護の手間を示す「基準時間」が50〜70分未満で、入浴・排泄・移動などの部分介助が必要な状態です。認知機能の低下や意思決定支援が要るケースもあります。

出典:介護保険制度における要介護認定の仕組み

※この「1日あたり50〜70分未満」という基準時間は、厚生労働省が要介護度認定のために定めている“介護必要量を測る尺度”の参考値です。

実際に家庭で行われる介護時間やサービス利用時間とは異なります(要介護認定等基準時間)。認定は「タイムスタディ」に基づく推計値として決定されます。

Q.要介護1や3との違いは?
A.

要介護1は見守り中心で部分介助が必要、要介護3は日常の多くで全面介助が必要です。

要介護2はその中間で、自立できる動作も残しつつ、入浴・移動など一部で介助を要する状態です。

Q.一人暮らしでも生活できる?
A.

デイサービスや夜間対応型訪問介護、定期巡回などを組み合わせれば在宅生活も可能です。

通報体制や配食見守りを併用することで、孤立や転倒リスクを減らし、自立を支えられます。


出典:要介護状態区分別の状態像

Q.費用はいくらかかる?
A.

支給限度額は19,705単位(約197,000円)/月です。自己負担は所得により1〜3割です。高額介護サービス費・補足給付制度で負担軽減も可能です。


出典:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」

Q.特養(特別養護老人ホーム)に入れる?
A.

原則は要介護3以上が対象ですが、家族の介護困難などやむを得ない事情がある場合、要介護2でも特例入所が認められることがあります。判断は自治体の審査に基づきます。


出典:特別養護老人ホームの「特例入所」に係る国の指針(骨子案)について

執筆者

[介護サーチプラス]編集部

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