認知症介護実践リーダー研修とは？日程や内容、費用、受講要件、レポートの例を解説【2025年最新】

施設・事業所で認知症ケアの中核を担うリーダー層の育成を目的とした公的研修です。

認知症介護実践者研修で培った知識・技術を発展させ、チームケアの設計・調整、職場内教育（OJT）、地域資源の連携までを実務ベースで学びます。

令和9年3月31日までの特例で、介護福祉士資格取得後10年以上かつ1,800日以上の実務経験がある方は、認知症介護実践者研修の修了および修了後1年以上経過の要件を満たしていなくても受講が可能です。

出典：令和7年度 東京都認知症介護研修のお知らせ

認知症介護実践リーダー研修は、認知症介護実践者研修を修了した職員を対象に、施設やチームの中核となる人材を育成する中上級レベルの研修です。

この研修の主な目的は以下のとおりです。

• 認知症ケアにおけるリーダーシップの習得
• チームケアの調整力・実践力の向上
• 後進指導・教育的支援の実施
• 他職種との連携・協働の推進
• 利用者・家族への理解と支援の深化

厚生労働省の定める研修体系において、本研修は現場でのケア品質向上と組織的支援体制の整備を担う人材の養成を目的としています。

対象者の条件（自治体により異なります）

• 認知症介護実践者研修を修了していること
• 介護福祉士やサービス提供責任者などの実務経験者
• 所属事業所からの推薦を受けた者

たとえば東京都では「認知症介護実践者研修修了後1年以上、かつ通算5年以上の実務経験」が要件とされています。

認知症介護実践者研修は、主に認知症の基礎理解や日常的なケア技術を身につけるための研修です。

一方、認知症介護実践リーダー研修は、その上位研修として「チーム運営や人材育成を担う能力」の習得を目的としています。以下に両研修の違いを比較表でまとめます。

認知症介護実践リーダー研修では、実際のケア現場での教育的関わり方や改善提案を行う力が重視されます。

認知症介護実践リーダー研修は、厚生労働省が示す認知症介護研修体系において、中上級に位置づけられる研修です。

施設・事業所における人材育成の要として、現場指導やチームの支援体制構築を担う役割が期待されます。

以下に、認知症介護研修の代表的な段階とその対象・目的を示します。

本研修は、実践力と指導力を兼ね備えた人材を育てる中核的なステップです。

本研修は、原則として「認知症介護実践者研修」修了後1年以上が受講要件となります。認知症介護実践リーダー研修は、認知症介護実践者研修を土台にした上位研修として位置づけられ、以下の内容を重点的に学びます。

• チームビルディングやリーダーシップ
• OJT（職場内教育）の設計・指導方法
• ケアカンファレンスの運営技法
• 地域資源を活かした認知症ケアの展開

さらに、修了者を配置し体制を整えることで、介護報酬上の「認知症専門ケア加算」（訪問系・入所系など）の算定要件を満たすことが可能になります。

事業所の類型によっては、「認知症加算」の一部算定要件を満たすケースもあり、研修修了が実務面だけでなく経営面にも直結する重要な制度です。

出典：認知症介護実践研修情報｜認知症介護研究・研修センター

認知症介護実践リーダー研修は、実務者向けの中〜上級レベルといえます。

レポート課題は自治体により異なりますが、一般的に以下のような内容が求められます。

レポートの主な評価ポイント

• 研修内容の理解度
• 自施設での実践への応用力
• リーダーとしての具体的な行動計画
• 論理的な文章構成力
  

総じて、単なる知識習得にとどまらず、現場でのOJT計画やチーム運営を担うリーダーを想定した研修であり、実習と職場での実践課題が重い点が特徴です。

出典：東京都福祉保健局「令和7年度東京都認知症介護研修のお知らせ」
出典：福岡県社会福祉協議会「令和7年度開催要綱」

ここでは、認知症介護実践リーダー研修を受講することで得られる具体的な4つのメリットについて解説します。

受講により、現場スキルの向上だけでなく、教育者・管理者としてのキャリア形成にもつながる可能性があります。

認知症介護実践リーダー研修は、厚生労働省が定める「認知症介護実践者等養成事業実施要綱」に基づく研修の上位に位置し、実践力をさらに高める内容となっています。

アセスメント能力、BPSD（行動・心理症状）への対応、チームケアの調整力など、専門性の高い知識と技術を体系的に学べます。

研修で身につく主なスキル

• 認知症高齢者とのコミュニケーション技術
• ケアアセスメント・個別支援計画の作成能力
• BPSDへの実践的対応
• 他職種との連携・調整スキル（コーディネート力）
• グループワーク・事例検討を通じた課題分析力

これにより、現場での判断力や支援力が高まり、「実践者」から「教育・指導的立場」へのキャリアアップが可能となります。

認知症対応型共同生活介護（グループホーム）や小規模多機能型居宅介護などでは、介護報酬の加算要件として、研修修了者の配置が推奨または義務づけられる場合があります。

特に「認知症専門ケア加算（Ⅰ）」の算定には、認知症介護実践リーダー研修修了者の配置が要件とされています。

認知症介護実践リーダー研修 修了者の配置状況（例）

資格を取得することで、履歴書でのアピール力が向上し、他の応募者との差別化につながる可能性があります。

出典：令和6年度介護報酬改定の主な事項について｜厚生労働省

研修修了者は、現場の中核的存在として、他職種と連携しながらチームケアを主導することが期待されます。また、後輩職員へのOJT指導や、ケアの質を標準化する取り組みにも積極的に関わる役割を担います。

職場で期待されるリーダー的役割

• OJTによる新人・若手職員の育成
• ケア手順の標準化・マニュアル整備
• チームミーティングでの情報共有・課題提案
• 医療職や家族との連携調整
• ケアの質向上に向けた改善提案と実行

このような役割により、施設全体のケアの質を高め、職場内での信頼や評価向上にもつながります。

認知症介護実践リーダー研修の修了者は、さらに上位の「認知症介護指導者研修」への受講資格を得られる場合があります。これは、地域内外の教育・研修を担う人材の養成を目的としたもので、より高度な教育・管理職へのキャリア形成を後押しします。

指導者研修の受講要件（例：大阪市の場合）

• 医師、看護師、介護福祉士などの有資格者
• 認知症介護実践者研修・実践リーダー研修を修了している
• 教育担当や講師として活動予定
• 実務経験があり、推薦を受けている

カリキュラム概要

研修を修了することで、法人内外の教育担当や地域の認知症ケア推進者としての活躍が可能となります。

出典：認知症介護実践者等養成事業｜大阪市

認知症介護実践リーダー研修は、自治体ごとに日程や会場が異なります。それぞれの最新情報を以下にまとめました。

福岡県

【Aコース】  

期間：2025年9月24日（水）～12月12日（金）  

内容：集合研修7日間＋職場実習4週間  

集合研修日：9/24、9/30、10/8、10/15、10/29、12/11、12/12

【Bコース】  

期間：2025年12月16日（火）～2026年2月27日（金）  

内容：集合研修7日間＋職場実習4週間  

集合研修日：12/16、12/23、1/7、1/14、1/21、2/26、2/27

クローバープラザ（春日市原町3-1-7）西棟5階セミナールームAB・アリーナ棟体育館

出典：【募集終了】令和7年度東京都認知症介護研修のお知らせ（実践リーダー研修第3～4回）【5月20日〆切】
出典：令和7年度認知症介護実践者研修 開催要綱

ここでは、認知症介護実践リーダー研修を受講するための資格や条件を、公的制度に基づいて解説します。

受講には一定の実務経験が必要で、地域によって条件が異なるほか、例外的なケースもあります。受講前に、最新の情報を正確に確認しておきましょう。

認知症介護実践リーダー研修は、一定の実務経験を積み、将来的にチームを担う立場の介護職員を対象としています。具体的な条件は以下のとおりです。

• 介護業務に 概ね5年以上従事した経験 を有していること
• ケアチームのリーダー、またはリーダーになる予定であること
• 認知症介護実践者研修を修了し、1年以上経過していること（ただし、自治体により要件が異なる場合があります）

令和9年（2027年）3月31日までの間、以下の条件を満たす方は、認知症介護実践者研修を修了していなくても、または修了から1年以上経過していなくても、認知症介護実践リーダー研修の受講が可能です。

【特例対象者の条件】

• 介護保険施設・事業所等においてサービスを利用者に直接提供する介護職員として従事していること
• 介護福祉士資格を取得した日から起算して10年以上経過していること
• 上記期間中に1,800日以上の実務経験を有すること
• あるいはそれと同等以上の能力を有すると実施主体の長が認めた者

この特例措置は、経験豊富な介護福祉士の受講機会を拡大し、現場のリーダー人材を育成することを目的としています。

出典：厚生労働省「認知症介護実践者等養成事業の実施について」一部改正（令和6年3月15日老発0331010号）

認知症介護実践リーダー研修の受講資格は、厚生労働省が定める「認知症介護実践者等養成事業実施要綱」に基づいて設定されています。主な要件は以下のとおりです。

主な受講条件（原則）

• 認知症介護実践者研修の修了者であり、修了から概ね1年以上が経過していること
• 概ね5年以上、介護業務に従事していること（必ずしも認知症介護に限定されない）
• 職場内でリーダー的役割を担っていること
• 所属施設において研修参加や職場内実習の調整など、施設側の受け入れ体制が整っていること（都道府県の実施要項により推薦書等が求められる場合あり）

また、介護福祉士の資格を有し、資格取得後に10年以上かつ延べ1,800日以上の実務経験がある方は、認知症介護実践者研修を修了していなくても例外的に受講が認められることがあります。

出典：認知症介護実践者等養成事業実施要綱｜厚生労働省

認知症介護実践リーダー研修は都道府県ごとに実施されており、地域によって詳細な条件に違いがあります。以下は主要自治体における条件の一例です。

各自治体により申し込み手続きや必要書類も異なるため、希望地域の公式サイトや研修機関にて最新情報を確認することが必須です。

原則的な要件を満たさない場合でも、以下のような条件に当てはまる場合は例外的に受講が認められることがあります。

ただし、判断は各都道府県または研修実施機関が行うため、事前に必ず確認が必要です。

例外的に認められる主なケース

• 認知症介護実践者研修を修了していないが、同等と認められる研修歴がある
• 介護福祉士としての資格を有し、10年以上・1,800日以上の実務経験がある
• 施設内で都道府県認定の研修を修了している
• 管理職やリーダー職の豊富な現場経験があり、自治体が適格と認めた場合

このような場合は、研修案内や実施要綱を確認のうえ、自治体窓口に問い合わせて正式な判断を仰ぐことが必要です。

認知症介護実践リーダー研修を受講するには、認知症介護実践者研修の修了や5年以上の実務経験など、一定の条件を満たす必要があります。

条件は地域ごとに異なる場合があるため、公的情報に基づいた確認と準備が不可欠です。

受講を検討している方は、まずは希望する自治体の公式情報をチェックし、必要な書類や条件を整理しましょう。

認知症介護実践リーダー研修は、自治体ごとに受講料や定員、申込方法が異なります。東京都は無料で定員70名、福岡県は有料で選考あり、神戸市は独自システムを活用しています。ここでは申込区分や必要書類も含めて整理します。

各自治体の研修は、費用や定員に違いがあります。

東京都は無料で広く受講機会を提供していますが、福岡県は有料で定員も限られ、神戸市は詳細が未掲載です。比較して選択の参考にしてください。

※費用・定員は実施機関により異なります。受講希望地域の最新情報を必ず確認してください。

申込方法や締切は自治体ごとに異なります。東京都は電子申込、福岡県は公式HP、神戸市は独自の研修管理システムを使用しています。

締切厳守が必須のため、早めに確認しておきましょう。

申込手順を誤ると不受理となる場合があります。とくに東京都は個人申込不可、神戸市はシステム必須なので注意してください。

申込時に必要な書類は区分A・区分Bで異なります。東京都と福岡県は要件を細かく区分しています。特に区分Bの方は証明書類や確認テストの準備が必須です。

必要書類の不備は受講不可につながります。特に東京都の区分Bは「確認テスト全問正解」が条件なので、事前準備と上司の協力が欠かせません。

ここでは、認知症介護実践リーダー研修にかかる費用や申し込み方法、各地域の開催情報について解説します。

受講前に知っておきたい金額の目安や必要書類、都道府県別の実施予定などを把握することで、計画的に準備を進めることができます。

研修費用は、主に受講料とテキスト代から構成され、自治体や委託団体によって金額に差があります。以下は、2025年度に実施される大阪府内の例を参考にした目安です。

一部の自治体では、市町村職員や介護保険事業所職員を対象に、受講料が無料となる制度もあります。

支払い方法や補助の有無は研修主催団体の募集要項を確認してください。

出典：令和6年度認知症介護実践研修(実践リーダー研修)のご案内｜大阪介護老人保健施設協会

申し込み方法は都道府県や実施団体によって異なりますが、主にWebフォームまたは郵送で行われます。必要書類や注意点は以下のとおりです。

【提出書類の例】

• 所定の受講申込書
• 認知症介護実践者研修修了証のコピー
• 実務経験証明書（勤務先記入）
• 本人確認書類（運転免許証、健康保険証など）

【申し込みに関する注意点】

• 応募多数の場合は抽選または選考（例：レポート審査）あり
• 申込方法はオンライン限定・郵送限定など自治体により異なる
• 一部地域では「都道府県内勤務者限定」の条件がある
• 受付期間は2～4週間程度で設定され、定員に達すると締切前に募集終了となる場合も

応募書類や選考条件の詳細は、必ず各自治体または研修団体の公式サイトで最新情報を確認しましょう。

出典：東京都認知症介護研修の概要｜東京都福祉保健局
出典：令和6年度認知症介護実践研修(実践リーダー研修)のご案内｜大阪介護老人保健施設協会

認知症介護実践リーダー研修は、座学だけでなく実践を重視した構成です。講義・演習ではチーム運営やOJT指導を学び、職場実習では自施設や他施設で実践課題に取り組みます。

修了後は正式な修了証が交付され、介護報酬加算にもつながります。

講義・演習は集合研修で7日間行われ、認知症ケアの専門的理解からリーダーとしての役割まで幅広く学習します。主なテーマは以下のとおりです。

• 認知症介護実践リーダー研修の意義と役割
• 認知症の専門的理解と最新施策
• ケアカンファレンスの技法と実践
• チームケア構築とリーダーシップ
• 職場内教育（OJT）の方法と実践
• ストレスマネジメント、倫理、権利擁護

これらを通じ、現場で指導・調整役を担える実践力が養われます。

研修には、他施設実習（3日間）と自施設実習（約4週間）が含まれます。

• 他施設実習：認知症対応型サービス事業所などで課題に取り組み、他事業所の運営方法やケア手法を学ぶ
• 自施設実習：自身の職場でリーダーとしての指導計画を実施し、指導対象者の育成やOJTを行う

いずれも「課題設定→実践→振り返り→成果報告」の流れで進められ、最終日には実習報告や評価を受けます。

以下の要件をすべて満たした場合に、都道府県知事名または指定機関長名による修了証書が交付されます。

【修了要件】

全日程への出席（遅刻・早退も未修了扱い）

eラーニング研修の全動画視聴（東京都等）

集合研修・他施設実習・自施設実習の全課程履修

指定期日までの全課題・レポート提出

提出物の内容が研修目標を達成していると判断されること

受講態度が適切であること

なお、以下の場合は修了が認められません。

遅刻、早退、欠席があった場合

• 課題・レポートの未提出または期限遅れ
• 提出物の内容が不十分で研修内容を理解していないと判断された場合

受講態度に問題がある場合

• 通常、研修終了後1～2か月程度で郵送にて交付
• 東京都の例：3月の研修終了後、4～5月頃に交付

【修了者情報の共有】 

修了者の氏名や所属事業所等の情報は、区市町村、地域包括支援センター、認知症疾患医療センター等の関係機関に通知される場合があります。

この修了証は、介護報酬の「認知症専門ケア加算」算定要件を満たすために重要です。また、研修修了者名簿は自治体を通じて関係機関にも共有され、地域での認知症ケア推進に活用されます。

出典：東京都福祉保健局「令和7年度東京都認知症介護研修のお知らせ」
出典：福岡県社会福祉協議会「令和7年度開催要綱」

ここでは、認知症介護実践リーダー研修の具体的なカリキュラムや学習内容、演習、実習、マネジメント技法について解説します。

制度に基づく構成や修了条件を理解することで、受講前の不安を軽減し、準備に役立てましょう。

認知症ケアのリーダーとして必要な理論と実践を体系的に学べるよう、研修では講義と演習がバランス良く配置されています。主な内容と時間配分は以下のとおりです。

講義では、認知症の症状や対応法に加え、制度理解や多職種連携の重要性も扱います。演習では、実際の事例をもとに他の受講者と意見交換を行い、実践的な判断力や対応力を養います。

研修の一環として行われる実習では、自施設と他施設それぞれで実践的な学びを得ることが求められます。

【実習内容の構成（厚労省基準）】

• 他施設実習： 1日（他施設での観察・指導を受ける）
• 自施設実習： 4週間（自施設におけるチーム会議の主導、ケア実施の指導など）
• 実習まとめ： 1日（振り返りと指導者との面談）
  

【共通する評価ポイント】

• 実習記録の作成
• スーパービジョン（指導・振り返り）
• 主体性・リーダーシップ・職員との協働力

他施設実習の有無や実施日数は都道府県ごとに差がある場合があるため、受講前に実施団体へ確認が必要です。

認知症介護実践リーダー研修では、現場の人材育成やマネジメントに必要な技法も習得します。

【OJT・マネジメントに関する学習項目】

• OJT指導法
  • 新人・中堅職員への指導計画の作成
  • 指導記録やフィードバックの手法
    
    
• チームケア
  • 職種間連携の調整・促進方法
  • 会議の準備・運営・ファシリテーション
    
    
• マネジメント
  • 問題解決の進行管理
  • ケアの質の向上を目的とした取り組み

演習ではこれらを実践的に学ぶ機会が設けられ、現場リーダーとして求められる調整力・指導力・改善力が磨かれます。

研修はおおむね2〜3か月の間で開講され、週1〜2回の受講を基本に進行します。以下は一般的なスケジュール例です。

【修了要件】

• 全講義・演習・実習への出席（通常90％以上が必要）
• 指定レポート・グループ発表の提出
• 実習記録・指導評価の所定水準の達成

これらを満たすと、主催自治体や運営法人から修了証が発行されます。

認知症介護実践者研修を修了すると、介護報酬における「認知症加算」を算定することが可能です。

これは、認知症高齢者（日常生活自立度Ⅲ以上）を積極的に受け入れる体制を評価するものです。

小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護に加え、2015年改定で通所介護や地域密着型通所介護にも拡大されました。

出典：認知症介護実践者研修でとれる加算

認知症加算を算定するためには、以下の要件を満たす必要があります。

• 認知症高齢者の受け入れ体制を整備していること
• 併算定：若年性認知症利用者受入加算との併算定は不可、中重度者ケア体制加算とは可

出典：認知症介護実践者研修でとれる加算

通所介護の認知症加算（60単位/日）は、認知症介護実践者研修等の修了者を配置することが算定要件です。なお、認知症専門ケア加算は認知症介護実践リーダー研修修了者の配置が必要となります。

主な算定要件（令和6年度/2024年4月改定）

• 利用者のうち認知症高齢者（日常生活自立度Ⅱ以上）の割合が15％以上
• 認知症介護実践者研修等の修了者を配置
• 認知症ケアに関する留意事項の伝達等に係る会議を定期的に開催（新設要件）
• 若年性認知症利用者受入加算との併算定は不可
• 中重度者ケア体制加算との併算定は可

出典：認知症介護実践者研修でとれる加算

認知症介護実践リーダー研修を修了すると、「認知症専門ケア加算」の算定要件を満たすことができます。

認知症専門ケア加算は、サービス種類ごとに（Ⅰ）と（Ⅱ）の区分があり、単位数が異なります。以下は主要なサービスの単位数一覧です。

2024年度介護報酬改定により、訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算の算定要件が見直されました（日常生活自立度の要件変更）。最新の算定要件については、各自治体または厚生労働省の公式資料をご確認ください。

訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算（Ⅰ）の算定要件：日常生活自立度Ⅱ以上の認知症高齢者が利用者の50%以上であること（2024年度改定により緩和）。なお、施設系・居住系サービスでは従来通りⅢ以上の要件が適用されます。

【単位数一覧】（令和6年度改定版）

※上記は一部抜粋です。詳細は厚生労働省の最新通知をご確認ください。

東京都では、令和7年度に「認知症介護実践リーダー研修」を実施します。本研修は、認知症介護実践者研修を修了した方を対象に、より高度なリーダーシップを発揮できる人材を育成することを目的としています。

令和9年3月30日までは、特例として介護福祉士資格取得後10年以上かつ1,800日以上の実務経験を持つ方も対象に含まれます。

出典：【募集終了】令和7年度東京都認知症介護研修のお知らせ（実践リーダー研修第3～4回）【5月20日〆切】

以下の要件をすべて満たす方が対象です。

• 東京都内の介護保険施設・事業所に従事している介護職員等（居宅介護支援事業所は除く）
• 認知症介護実践者研修を修了し、1年以上経過している方
• 認知症介護業務に原則5年以上従事している方
• 施設・事業所でチームリーダーや指導的立場にある方
• 区市町村や地域連絡会で、認知症支援の質向上に関わる意欲がある方

※特例（令和9年3月30日まで）：介護福祉士資格取得後10年以上かつ1,800日以上の実務経験があれば、上記の②③を満たさなくても対象となります。
出典：【募集終了】令和7年度東京都認知症介護研修のお知らせ（実践リーダー研修第3～4回）【5月20日〆切】

研修を修了した職員を配置し、要件を満たした場合は、介護報酬の「認知症専門ケア加算」を算定することが可能です。

出典：【募集終了】令和7年度東京都認知症介護研修のお知らせ（実践リーダー研修第3～4回）【5月20日〆切】

神戸市社会福祉協議会の研修管理システムでは、2025年度「認知症介護実践リーダー研修」の受講可否結果が通知されています。

結果確認後は、以下の受講前手続きを期限までに完了する必要があります。

出典：神戸市社会福祉協議会 研修管理システム

令和7年度は、北海道内で複数の法人・団体が認知症介護実践リーダー研修を実施予定です。各機関の開催回数、会場、問い合わせ先は以下の通りです。

出典：認知症介護実践者研修、実践リーダー研修について - 保健福祉部福祉局高齢者保健福祉課

福岡県社会福祉協議会でも「認知症介護実践リーダー研修」を実施しています。認知症介護実践者研修で得た知識や技術をさらに深め、施設や事業所においてケアチームを効果的に導く力を養うことを目的としています。

対象は、介護保険施設・事業所で5年以上の実務経験を持ち、認知症介護実践者研修修了から1年以上が経過したリーダー層。

特例として、介護福祉士資格取得後10年以上・1,800日以上の実務経験者も対象となります。講義や演習に加え、職場実習を通じてリーダーとしての役割を実践的に学べるプログラムです。

出典：令和7年度 認知症介護実践リーダー研修 開催要綱｜社会福祉法人 福岡県社会福祉協議会

ここでは、認知症介護実践リーダー研修を修了したあとの活かし方や、現場で求められる役割、今後のキャリアパスについて解説します。

修了後の進路や目標を具体的に知ることで、将来像がより明確になります。

認知症介護実践リーダー研修を修了すると、認知症ケアにおける中核的存在として現場の質向上に貢献することが期待されます。個別ケアやチーム連携の実践を通じ、利用者本位のサービス提供を牽引できる立場となります。

修了後の主な役割

• 認知症の特性理解に基づいた個別ケアの実践
• チーム内での多職種連携の推進
• ケアの質向上に向けた課題の抽出と提案
• 利用者や家族への的確な情報提供
• 実践知の共有による職場内学習の支援

認知症介護実践リーダー研修修了者は、施設内での教育的役割を担うことも期待されます。新人職員へのOJT（On the Job Training＝現場実務指導）をはじめ、研修報告会の実施やカンファレンスでの助言役など、育成や知識共有の中心となる機会が増えます。

教育支援の具体例

• 新人職員へのOJT（実務指導）
• 認知症介護実践者研修修了者への継続支援
• 職場内勉強会の企画・実施
• 認知症ケアのマニュアル整備
• ケースカンファレンスの司会・助言

主な教育機会と担当役割

このような指導的立場の経験は、教育担当者やユニットリーダー、さらには施設運営側へのキャリアステップにもつながります。

認知症介護実践リーダー研修修了者は、上位研修である「認知症介護指導者研修」の受講対象にもなります。指導者研修では、地域全体に影響を与える人材として、より高度な教育力・発信力・企画力が求められます。

指導者研修で目指せるキャリアの広がり

• 都道府県や外部機関での研修講師として活躍
• 地域包括ケア体制の中核人材として参画
• 地域・多職種連携のネットワーク形成
• 自施設の教育制度構築・運営責任者
• 行政や地域団体への施策提言活動への関与

このように、認知症介護実践リーダー研修は、現場での実践力を高めるとともに、より上位の専門研修へ進むためのステップでもあります。将来的に地域貢献や人材育成に取り組みたい方にとって、大きな転機となる資格です。

ここでは、認知症介護実践リーダー研修の受講を検討している方に向けて、申し込み前に確認しておきたい提出書類や手続き、予習・事前課題、研修中に必要とされる心構えなどを整理して解説します。

事前準備をしっかり行うことで、研修をスムーズに進め、学びを最大限に活かすことができます。

研修を受講するには、各都道府県や指定研修機関が定める期日までに、必要書類を提出する必要があります。申込方法や書類の様式、受付期間は地域により異なるため、必ず募集要項を確認しましょう。

主な提出書類の例

• 認知症介護実践者研修の修了証明書（写し）
• 実務経験証明書（所属施設が発行）
• 所属事業所の推薦書（書式指定がある場合あり）
• 受講申込書（研修機関所定の様式）
• 介護福祉士登録証の写し（自治体により必要）
• 顔写真（指定サイズ）
  
  

特に注意すべき点は、募集開始から締切までの期間が短い場合があることです。多くの研修では受講定員が設けられており、定員に達し次第締め切られることもあるため、申請開始前から準備を進めておくと安心です。

申込方法が郵送またはWeb申請で分かれていることもあります。事前に受付形式や提出先、提出期限を確認し、余裕をもって手続きを行いましょう。

多くの実施機関では、研修前に課される課題や予習が存在します。これは、受講者が事前に現場での実践を振り返り、主体的に学びを深めるための準備です。

主な事前課題の例

こうした課題は、研修中のグループワークやレポート作成、実習活動に直結します。配布される予習教材やeラーニングの指示に従い、内容を理解した上で取り組みましょう。

提出書類や課題には締切が設けられているため、早めに確認し、十分な時間を確保することが重要です。

認知症介護実践リーダー研修では、単なる知識習得ではなく、現場を変えるリーダーとしての行動力・省察力が求められます。研修中は、自身の体験を語り、他者の意見を聞き、学び合う姿勢が重視されます。

求められる心構えのポイント

• 主体性：ディスカッションや演習に積極的に参加する
• 協働性：多職種や他施設との交流から学び合う姿勢
• 柔軟性：講師や受講者からのフィードバックを素直に受け止める
• 自己省察力：自身のケア実践を客観的に振り返る力
• 現場志向：研修内容を自施設へ還元する意識
  
  

また、研修中は「自施設実習」が組み込まれており、実際の現場で計画を実行することが求められます。その成果を振り返り、レポートにまとめる作業も含まれるため、日々の実践に意識を向けながら研修に臨むことが大切です。

認知症介護実践リーダー研修は、介護職員が現場の中核となり、チームケアを推進するための重要なステップです。

受講要件は認知症介護実践者研修修了や実務経験年数が基本で、費用や定員は自治体によって異なります。カリキュラムは講義・演習に加え、他施設実習や自施設実習を含む実践的な内容で、最終的にはレポート提出も求められます。

修了者を配置することで認知症専門ケア加算などの介護報酬が算定可能となり、事業所経営面でも大きな意義があります。日程や申込方法を確認し、今後のキャリア形成や現場力向上にぜひ活用してください。